ASTROM通信バックナンバー
月別アーカイブ
2022.08.15
【最近のウォーニングレター】ASTROM通信<248号>
こんにちは。
ASTROM通信担当の橋本奈央子です。
お盆休み中の方も多いと思いますが、いかがお過ごしですか。
さて今回も、アメリカ食品医薬品局(FDA)がアメリカ国内の製薬会社向けに出したウォーニングレター
2件を見ていきたいと思います。
FDAがどのような点を問題視して指摘しているかをご確認いただければ幸いです。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
最近のウォーニングレターの概要
注:文中のXXはウォーニングレターでマスキングされている文言及び具体的な社名・品名等です。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
■CMS#623723■
2021年11月8日~11月11日のカリフォルニア州の製造所の査察でみつかった医薬品製造の重大なCGMP
違反について発した2022年4月19日付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。
●指摘1
適切な品質部門の制定を怠り、品質管理部門に適用される責任と手順が文書化・遵守されていなかった。
(21 CFR 211.22(a), 211.22(d))
<指摘1詳細>
貴社は、手指消毒剤XXを含むOTCの手指消毒剤を製造している。貴社の品質システムは不十分である。
貴社は、貴社のOTC医薬品製造の適切な監督を保証する責任を持った品質部門を制定することを怠った。
例えば貴社は、品質部門の責任が文書化・遵守されていること、貴社の製品の規格が制定され承認されて
いること、各ロット及びそれに関連する情報の最終的なレビュがリリース前及び販売前に適切に文書化
され完了していることを保証するのを怠った。
全ての製造作業を監督する品質部門は、医薬品の品質を一貫して保証するために必要である。CGMPの要件
21 CFR 210, 211を満たすための品質システムとリスクマネジメントのアプローチを実装する助けとして、
FDAのガイダンス文書を見よ。
●指摘2
貴社は、ロットがサンプリングされ、試験または検査され、品質管理部門により使用のためにリリース
するまで、成分、製品の容器、蓋の使用を控えることを怠った。 (21 CFR 211.84(a))
<指摘2詳細>
貴社は、手指消毒剤XXの製造で原薬として使用されるエタノールを含む、OTC医薬品の製造で使用され
る成分をサンプリング、試験、検査することを怠った。査察中、貴社は使用前に入荷した原材料を試験
しなかったと述べた。貴社は我々査察官に、貴社の顧客XX側にエタノールを含む原材料を調達する責任が
あると述べた。しかし、これは貴社が製造で使用する前に、エタノール内のメタノールの存在の試験を含
む、品質を保証するための使用前の医薬品の成分のサンプリング、試験、検査をするという製造業者と
しての責任を免除するものではない。
メタノールで汚染されたエタノールの使用は、世界中の人々の様々な致死的中毒事件をもたらしている。
エタノールを含む医薬品を製造する際にCGMP要件を満たすための助けとして、FDAのガイダンス文書
Policy for Testing of Alcohol (Ethanol) and Isopropyl Alcohol for Methanol, Including During the Public Health Emergency (COVID-19)
を見よ。
●指摘3
貴社は、医薬品の各ロットについて、リリース前に、各有効成分の同一性、濃度を含む、医薬品の最終
規格への適合性を判断する適切な試験の判断を行わなかった。 (21 CFR 211.165 (a))
<指摘3詳細>
貴社は、エタノールを含むとラベル表示された手指消毒剤XXのロットのリリース試験を実施することを
怠った。査察中、貴社は、医薬品のリリース試験は実施されていないと述べた。医薬品は、リリース前
に、同一性、濃度、品質、純度に関して試験されなければならない。試験は、貴社が製造した医薬品が、
微生物の規格を含む、意図した使用目的に適した、全ての予め定義された品質特性に従うことを保証する
ために不可欠である。
●指摘4
貴社は、製造された医薬品の各ロットの製造と管理に関する情報を含むロットの製造指図記録を作成する
ことを怠った。(21 CFR 211.188)
<指摘4詳細>
貴社は、貴社が製造した手指消毒剤XXのロットの製造実施記録が不足していた。査察中、貴社は製造記録
を作成していないと述べた。また貴社は、従業員が手指消毒剤の配合と最終濃度を知っているので、望ま
しい濃度の最終製品を製造するために毎回同じ方法で製造を行っていると述べた。製造実施記録がなくて、
これに限定されないが成分の重量と大きさ、正しい装置の使用、全ての重要な処理パラメータの遵守、
歩留まりの記述を含む、バッチ間の均一性を保証するための、医薬品の製造プロセスの各重要なステップ
が意図した通りに完了したことを検証できない。さらに貴社は、間違いが発生していないかを判断でき
ないし、それらの間違いが製品の品質や患者の安全に影響を与える可能性があるかどうかや、個々の
ロットへのトレーサビリティを判断することができない。
●医薬品の製造中止
貴社がこの製造所での医薬品の製造を中止すると約束したことを認識している。もし医薬品の製造を
再開する計画をする場合は、操業を再開する前に連絡せよ。
●請負業者としての責任
医薬品は、CGMPを遵守して製造されなければならない。FDAは、多数の医薬品製造業者が製造設備、試験
機関、包装業者、ラベル貼付業者などの独立した請負業者を使用していることを認識している。FDAは請負
業者も製造業者の延長とみなす。
貴社には、製品のオーナーとの契約に関わらず、受託製造所として、貴社が製造する医薬品の品質に責任
がある。貴社には、医薬品の安全性、同一性、濃度、品質、純度を保証するために、医薬品が
FD&C Act 501(a)(2)(B)に従って製造されていることを保証することが求められている。
FDAのガイダンス文書Contract Manufacturing Arrangements for Drugs : Quality Agreements
を見よ。
●CGMPコンサルタントの推奨
貴社がアメリカ市場向けに医薬品の製造を再開するつもりなら、我々は、CGMPの要件を満たすように貴社
を支援するために21 CFR 211.34に記載されている適格性のあるコンサルタントを雇うことを強く勧める。
貴社のコンサルタントの使用は、CGMPを順守するための貴社の義務を軽減するものではない。貴社の
経営陣には、継続的なCGMP順守を保証するために、全ての不備とシステムの欠陥を解決する責任が残る。
●結論
この文書で挙げた違反は、貴社の施設に存在する違反の包括的なリストではない。貴社には、違反を調査し、
原因を判断し、再発やその他の違反の発生を防止する責任がある。
全ての違反を速やかに是正せよ。この問題への即座の適切な対処の不履行は、制限のない差し押さえ、
強制命令を含む、さらなる通知のない制限または法的なアクションにつながるかもしれない。未解決の
違反は、他の連邦機関の契約授与も妨げるかもしれない。
違反への対処の不履行は、FDAの輸出証明の発行の差し控えにもつながるかもしれない。全ての違反に
完全に対応がされ、我々が貴社のCGMPの遵守を確認するまで、FDAは貴社の医薬品製造業者としての新しい
申請やリストの補完の承認を保留するだろう。我々は、貴社が全ての違反に対する是正処置を完了した
ことを確認するために再査察を行うかもしれない。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
■CMS#623494■
2021年11月1日~11月5日のオハイオ州の受託試験機関の査察でみつかった原薬製造の重大なCGMP違反に
ついて発した2022年4月20日付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。
●指摘1
貴社は、不正アクセスやデータの変更を防ぐためのコンピュータ化システムの十分な管理を実施すること
を怠り、データの削除を防ぐための適切な管理を怠った。
<指摘1詳細>
貴社は、貴社の施設で生成されたデータの完全性を保証するための適切な管理を実装することを怠った。
貴社は、粗ヘパリンと医薬品有効成分ヘパリンナトリウムのCGMP試験を実施する契約試験機関である。
貴社で実施される試験、とりわけ、XXによる元素不純物試験と、XXによる同一性試験を含むヘパリンの
XX試験は、死亡を含む有害事象に関係したヘパリンの歴史的汚染の汚染物質である過硫酸コンドロイチン
硫酸(OSCS)の存在に関するサンプルの分析を含む。
FDAの査察の開始の直前に、貴社、貴社のヘパリンナトリウムの代理店、USP、顧客は、監査を実施した。
XXの試験のローデータのレビュの後、貴社の顧客のリスクアセスメントで、貴社の学生の分析者が、
改竄データを持っていたと判断した。貴社及び貴社の顧客の代表は、FDAの査察官に対し、貴社で
CGMPの試験をはじめてからXXとXXのローデータがレビュされたのは今回が初めてだったと告げた。XX
データの改竄は、およそ2018年から2020年にかけて発生し、サンプル、スパイク、相関の分析者の任意
の値の入力で起きていた。
データの改竄に関する懸念に加えて、次のようなデータ・インテグリティのさらなる懸念が明らかに
された:
・XXの全てのサンプル試験結果が、誰で操作できる制御されていないフォルダに保存されていた。
・装置XXとXXは、教員や大学院生を含む多数の人々により使用されていた。全てのユーザーは、全て
の管理アクセスが許可された1つのログインを共有していた。
・CGMPの試験が始まって以来、XXのローデータはバックアップされていなかった。
・XXを実行するソフトウエアには監査証跡がなかった。
・スパイクの回収やXX分析の最終結果を計算するために使用されるエクセルのスプレッドシートは管理
されていなかった。
・装置XXとXXを実行するソフトウエアはバリデートされていなかった。
・貴社は再処理が行われたと述べたが、サンプルの再処理は正式に文書化されていなかった。
・XXの分析において、選択されたスペクトラムのピークが確立された手順で制定された手順で取り扱わ
れていなかった。
貴社は回答の中で、“データの改竄”は、システムの適合性要件を満たさなかったサンプルの再分析を
ただ避けたいという1人の分析者に関係していると述べた。また、貴社は、“データの改竄”は規格に
準拠した結果を作るために実行されたものではないとも述べた。しかし、我々は貴社の結論には同意し
ない。
へバリンの暴露のリスク評価で特定された全ての原因は、USP(米国薬局方)に従って、完全に定量化される
必要がある。報告された原因の最終的な定量的データの不足は、製品が医薬品の品質について適切に分析
されていないことを示している。これらのシステムの適合性の不具合は、他の不具合の中でも特に、
分析結果の信頼性が低く報告可能でない、または、ヘパリン薬品の品質を裏付けるのに適していないこと
を示している。従って、生成された分析結果が、規格内なのか不合格なのかを結論づけることが出来ない。
貴社の品質システムは、貴社が顧客のために分析した医薬品の安全性、有効性、品質を裏付けるための
データの正確性と完全性を適切に保証していない。データ・インテグリティに対応したCGMPに従うため
に、FDAのガイダンス文書Data Integrity and Compliance With Drug CGMPを見よ。
我々は、貴社の改善を支援するために適格性のあるコンサルタントを雇うことを強く勧める。この文書へ
の回答の中で以下の情報を提供せよ:
A.データの記録及び報告の不正確さの範囲の包括的な調査には以下のことを含むべきである:
・(1)詳細な調査のプロトコルと方法論、(2)アセスメントの対象となる全てのシステムのサマリ、
(3)貴社が除外を提案した操作の正当化
・データの不正確さの性質、範囲、根本原因を特定するための、現在とかつての従業員のインタビュ
我々はこれらのインタビュが、適格性のあるサードパーティによって実施されることを推奨する。
・貴社の施設におけるデータ・インテグリティの不備の範囲のアセスメント
省略、変更、削除、記録の破壊、非同時の記録の完成、その他の不備を特定せよ。貴社が発見した
データ・インテグリティが欠落している貴社施設の全ての作業を述べよ。
・試験データの完全性の不備の性質の包括的で回顧的な評価
我々は、潜在的な違反が確認された分野の専門知識を持った適格性のあるサードパーティが全ての
データ・インテグリティの欠落を評価することを勧める。
B.貴社が試験した医薬品の品質において発見された不具合の潜在的な影響に関する現在のリスクアセス
メント
貴社のアセスメントには、データ・インテグリティの欠落の影響を受けた医薬品の出荷により患者に
引き起こされるリスクの分析と、継続的な作業により引き起こされるリスクの分析を含めるべきである。
C.グローバルな是正処置・予防処置の計画の詳細を含む、貴社のマネジメント戦略
貴社の戦略には以下のことを含めるべきである。
・分析データ、FDAに提出される全てのデータを含む貴社が生成する全てのデータの信頼性と網羅性
を、貴社がどのように保証するかを述べた詳細な是正処置の計画
・現在のアクションプランの範囲と深さが、調査とリスクアセスメントの結果に釣り合うという
エビデンスを含むデータ・インテグリティの欠落の根本原因の包括的な記述
データ・インテグリティの欠落の責任がある個人が、貴社でCGMP関連または医薬品の申請のデータ
に影響を与え得ることができる状態のままかどうかを示せ。
・顧客への通知、追加試験の実施、強化した苦情モニタリングなど、患者を守り、貴社が試験した
医薬品の品質を保証するために、貴社がとった、または、とろうとしているアクションを述べた
暫定的な手段
・貴社のデータの完全性を保証するために設計された手順、プロセス、方法、管理、システム、監督、
人的資源(例:教育、職員の改善)に対する改善努力と強化を述べた長期の手段
・既に進行中または完了した上記の全ての活動に関する状況報告
さらに、次の情報を提供せよ:
・文書化手順が不十分な場所を判断するための、貴社の試験業務全体で使用されている文書化システム
の完全なアセスメント
貴社の業務を通して、帰属可能で、判読可能で、完全で、原本性があり、正確で、同時性のある記録
を保持していることを保証するために、貴社の文書化手順を包括的に改善する詳細なCAPAの計画を
含めよ。
ヘパリンに関する更なる参考文献として、
業界のガイダンス文書Heparin for Drug and Medical Device Use : Monitoring Crude Heparin for Quality
を見よ。
●指摘2
貴社の品質部門は、医薬品が適切に試験されその結果は報告されていることを保証することを怠った。
<指摘2詳細>
貴社は、試験業務を適切に監督するための適切な品質部門(QU)または品質システムを持っていなかった。
FDAが、貴社がFDAの査察の準備が出来ているかをたずねる連絡を取る前、貴社は手順を整備しておらず、
貴社で実施されるCGMPの試験を監督する、確立されたQUを持っていなかった。さらに、査察の過程で
FDAの査察官は、貴社で最も責任のある主任研究者がFDAの査察の初日に変更されたと知らされた。前の
主任研究者は、今はコンサルタントである。
適切なQUや品質システムもなしに、貴社のCGMPの試験作業を管理された状態で確実に実施するための管理
が実施されているという十分な保証がない。
貴社は、貴社がFDAの査察の準備ができているかFDAにたずねられた後、適用される要件に準拠するため
に非常に短い時間で品質システムとそれに対応する手順を作成しようと試みたようだ。貴社は回答文書の
中や査察の中で、CAPAのポリシー、根本原因の分析、品質システムのマニュアルを含む最近作成した20
以上の手順を提供した。しかし、これらの全ての手順は、FDAの最初の連絡の後に作成されただけでなく、
州際通商へ医薬品のリリースを含むCGMPの目的で使用される試験結果を提供した後にも作成された。
さまざまな手順は、査察中や貴社の回答文書の中で提出されたが、機能するために十分な詳細さに欠けて
いると思われる。さらに貴社は、貴社が手順を適切に実装し、遵守していることを示す証拠を提供しな
かった。
この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:
・貴社のQUが効果的に機能するための権限とリソースが与えられていることを保証するための包括的な
アセスメントと改善の計画
アセスメントには、これに限定されないが、以下のことを含めるべきである:
〇貴社で使用されている手順が安定していて適切であるかどうかの判断
〇適切な手順の遵守を評価するための貴社の作業全体のQUの監督の規定
〇QUの出荷判定前の、各ロットとそれに関連する情報の完全で最終的なレビュ
〇全ての製品の同一性、濃度、品質、純度を保証するための調査の監督と承認及びその他のQUの職務の
遂行
●指摘3
教育が適格な個人により定期的に実施され、少なくとも、各職員が実施する特定の業務と業務に関係する
CGMPが対象とされていることを保証することを怠った。
<指摘3詳細>
貴社は、CGMPの試験を実施する試験担当者が、現在のGMPの要件について適切に訓練されていることを
保証することを怠った。CGMPの試験は、貴社で教員と大学院生により実施されている。貴社には試験
担当者がそれぞれの業務について適切に訓練されていることを示すための適切な文書が不足していた。
貴社は回答文書の中や査察の中で、我々が事前にアナウンスした査察を開始する約1週間前に作った
“GMPと教育”、“従業員の教育”というタイトルの教育手順を提出した。貴社は、手順を作る前にCGMP
の試験を始め、貴社の顧客に提供される試験結果を裏付けるために試験担当者が専門知識を持っているか
教育を受けていることを示すために以前の試験担当者の回顧的なアセスメントを実施することを怠って
いるので、貴社の回答は不十分である。
この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:
・貴社の試験業務、手順、方法、装置、文書、分析者の能力の包括的で独立したアセスメント
このレビュに基づき、貴社の試験システムを改善し、試験システムの効果を評価するための詳細な計画
を提出せよ。
・以前の試験担当者が適切にCGMPの試験を実施するための専門知識を持っていたことを示すための回顧
的なアセスメント
このアセスメントの時間枠は、使用期限内の全ての医薬品のCGMP試験を含むことを保証するべきである。
●CGMPコンサルタントの推奨
我々が貴社で確認した逸脱の性質に基づき、我々は、CGMPの要件を満たすように貴社を支援するために
貴社の業務を評価する適格性のあるコンサルタントを雇うことを強く勧める。貴社のコンサルタントの
使用は、CGMPを順守するための貴社の義務を軽減するものではない。貴社の経営陣には、継続的なCGMP
順守を保証するために、全ての不備とシステムの欠陥を解決する責任が残る。
● 中止/停止した原薬試験
我々は貴社が、貴社の施設で、原薬の微量金属の分析を中止し、XX試験業務を停止したと認識している、
この文書への回答の中で、貴社が今後この施設で医薬品の試験を再開するつもりか明確にせよ。もしCGMP
の試験を再開することを計画するなら、業務を再開する前に連絡せよ。
●結論
この文書で挙げた逸脱は、貴社の施設に存在する逸脱の包括的なリストではない。貴社には、逸脱を調査
し、原因を判断し、再発やその他の逸脱の発生を防止する責任がある。
全ての逸脱を速やかに是正せよ。この問題への即座の適切な対処の不履行は、制限のない差し押さえ、
強制命令を含む、さらなる通知のない制限または法的なアクションにつながるかもしれない。未解決の
逸脱は、他の連邦機関の契約授与も妨げるかもしれない。
逸脱への対処の不履行は、FDAの輸出証明の発行の差し控えにもつながるかもしれない。全ての逸脱に
完全に対応がされ、我々が貴社のCGMPの遵守を確認するまで、FDAは貴社の医薬品製造業者としての
新しい申請やリストの補完の承認を保留するだろう。我々は、貴社が全ての逸脱に対する是正処置を完了
したことを確認するために再査察を行うかもしれない。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
まとめ
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
いかがでしたでしょうか。
1件目のレターには、リリース前に試験を実施していない、製造記録を作成していないといった、
びっくりするような内容が含まれていました。新型コロナのもとで無理をして手指消毒剤を製造しよう
としたという背景があるのかもしれません。
2件目のレターは、データ・インテグリティに関連した指摘が含まれていました。
・データを保存するフォルダのアクセス制限がされていない
・管理者権限を持ったログインIDを複数の人間が使いまわしている
・データをバックアップしていない
・監査証跡がない
・エクセルシートが管理されていない
・ソフトウエアがバリデートされていない
といった、身近な内容の指摘だったので、是非参考にしてみていただければと思います。
☆次回は、9/1(木)に配信させていただきます。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
★弊社サービスのご案内
https://drmarketing.jp/cch/73/594/3/425/459655/854081
★ブログ毎日更新中!
◆ PROS.社長の滋養強壮ブログ
https://drmarketing.jp/cch/73/594/1/425/459655/c83571
◆ プロス橋本のブログ
https://drmarketing.jp/cch/73/594/2/425/459655/5c3fc1
※URLクリック数の統計をとらせていただいております。
本メルマガは、名刺交換させていただいた方に、毎月1日、15日に配信いたしております。
今後メルマガが必要ない方は、お手数ですが下記まで配信停止依頼のメールをお願いします。
【発行責任者】
株式会社プロス
『ASTROM通信』担当 橋本奈央子
2022.08.01
【最近のウォーニングレター】ASTROM通信<247号>
こんにちは。
ASTROM通信担当の橋本奈央子です。
新型コロナの感染状況が気がかりなところですが、いかがお過ごしですか。
さて今回も、アメリカ食品医薬品局(FDA)がアメリカ国内の製薬会社向けに出したウォーニング
レター2件を見ていきたいと思います。
FDAがどのような点を問題視して指摘しているかをご確認いただければ幸いです。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
最近のウォーニングレターの概要
注:文中のXXはウォーニングレターでマスキングされている文言及び具体的な社名・品名等です。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
■CMS#622318■
2021年8月30日~9月14日のニューハンプシャー州の製造所の査察でみつかった医薬品製造の重大な
CGMP違反について発した2022年4月12日付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられて
います。
●指摘1
貴社は、貴社が製造した医薬品が、それが持つとうたわれている、または、持つと表示されている
同一性、濃度、品質、純度を持つことを保証するために設計された製造と工程管理に関する文書化
された適切な手順を制定することを怠った。(21 CFR 211.100(a))
<指摘1詳細>
貴社は、さまざまなOTC医薬品を流通させているが、医薬品の製造工程を適切にバリデートする
ことを怠り、複数の製品に関する適切なプロセスバリデーションが不足していた。乳児向けを含む
日焼け止めの製品の複数のロットにおいて、品質管理試験で規格外(OOS)の結果が出た。プロセス
バリデーションがなければ、製品の品質に影響を与える製造の投入とパラメータの妥当性を理解し、
規格を満たす製品を再現性よく提供する安定した操作ができるという基本的な保証が欠けている。
さらに、貴社には洗浄バリデーションが欠けていた。
適切なプロセスバリデーションが欠けていた期間中に、少なくとも23の固有な医薬品の品目コード
の少なくともXXロットを製造し、リリースし、販売した。これは繰り返しの違反である。
貴社は、貴社がコンサルタントとプロセスバリデーションを終えるために協力すると回答し、貴社
の計画は部分的に完了したと述べた。貴社は、XXまでに検証を終えると計画した。また、貴社は、
同じ日までに洗浄バリデーションを終えると計画したと述べた。
欠落または不十分なプロセスバリデーションに対応するための貴社の提案は、初期のバリデー
ション(工程の適格性評価(PPQ))が未だに不足している工程から製造された製品の販売を続ける
計画をしているかどうかを明確に述べていないので、貴社の回答は不十分だった。同様に、貴社
の洗浄バリデーションの提案は詳細が不足していた。貴社は前回の査察の対応と2019年11月19日に
FDAと開催された規制会議で、工程バリデーション及び洗浄バリデーションの実施を約束していた。
しかし前回の査察以降、貴社は、貴社の製品のうち1つだけ(SPF30 ベビー日焼け止め)のPPQの
検証を実施しただけで、その製品のバリデーション報告も完了していなかった。前回のプロセス
バリデーションと洗浄バリデーションの約束の遵守を怠ったので、FD&C Actを遵守するという
貴社の現在の約束を当局が信頼することは難しい。
プロセスバリデーションは、そのライフサイクルを通じで、工程の設計の妥当性と管理状態を
評価するものである。製造工程のそれぞれの重要な段階は、適切に設計され、原材料・中間材料・
最終製品の品質を保証しなければならない。工程の適格性評価の検証は、初期の管理状態が確立
されているかどうかを判断する。商用の販売の前に、性能適格性評価の検証の達成が必要である。
その後、貴社が製品のライフサイクルを通じて安定した製造作業が維持されていることを保証
するために、工程と製品品質の継続的で慎重な監視が必要である。
この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:
・製品のライフサイクルを通じた、管理状態を保証するためのバリデーションプログラムの詳細
なサマリ(サマリには関連する手順を添えよ。)
継続的な管理状態を保証するために、妥当な設計、工程の性能適格性評価、ロット内及び
ロット間のばらつきの継続的なライフサイクルのモニタリングに関するプログラムを説明せよ。
・貴社が販売している各医薬品に関する適切な工程の適格性評価(PPQ)の実施に関する最新の
情報とタイムライン
貴社が、プロセスバリデーションの検証がまだ終わっていない製品の更なる販売を計画して
いるかどうか説明せよ。また、工程性能のプロトコルと、装置や設備の文書化された適格性
評価の手順を含めよ。
・貴社の医薬品製造作業におけるワーストケースとして特定された条件を取り入れることに特に
重点を置いた洗浄バリデーションプログラムへの適切な改善
改善には、これに限定されないが、以下の全てのワーストケースの特定と評価を含むべきで
ある:
〇より高い毒性を持つ医薬品
〇より高い有効性を持つ医薬品
〇洗浄溶液の中でより低い溶解度の医薬品
〇洗浄を難しくする特性を持った医薬品
〇洗浄を最も難しくする拭き取り場所
〇洗浄前の最大保持時間
さらに、新しい製造装置や新しい製品を導入する前に、貴社の変更管理システムでとられるべき
手順を述べよ
・製品、工程、装置の洗浄手順の検証とバリデーションのための適切なプログラムが実施されて
いることを保証する最新の手順のサマリ
FDAがプロセスバリデーションの適切な要素と考える一般的な原則とアプローチについて、
FDAのガイダンス文書Process Validation : General Principles and Practices
を見よ。
●指摘2
貴社は、貴社の試験方法の精度、感度、特異度、再現性を制定し文書化することを怠った。
(21 CFR 211.165(e))
<指摘2詳細>
貴社は、サードパーティの契約試験機関(CTL)によって実施されたリリース試験に基づき、OTC
医薬品を出荷した。その分析試験方法は、精度、特異度、再現性についてバリデートされて
いなかった。例えば、貴社のCTLが使用していた酸化亜鉛のリリ―ス試験方法は、別の顧客の
亜鉛ベースの製品についてはバリデートされていたが、貴社の製品ではなかった。さらに、
これらの検証されていない試験方法が貴社の特定の製剤の安定性を示すものであるという科学的
エビデンスを欠いていた。FDAは、2年以上前の前回の査察中に試験方法バリデーションの欠如を
貴社に伝えたが、その後も貴社は適切なリリース及び安定性の試験方法のバリデーションデータ
を持たずに、複数製品の多数のロットを製造し、リリースし、販売した。これは繰り返しの違反
である。
貴社は、2021年8月10日のCTLの査察中、CTLが、亜鉛ベースのOTC医薬品の製剤に固有でない試験
方法を使用していることに気付いたと回答した。また、貴社は、CTLと協力して、貴社の製品に
必要な方法バリデーションを実施し始めたと述べた。
前の査察で、方法バリデーションの欠如が指摘されていたにも関わらず、是正処置・予防処置を
開始するのになぜそれほど長い時間がかかったのかを説明しなかったので、貴社の回答は不十分
である。貴社は2019年5月の査察中、酸化亜鉛のリリース試験と安定性試験の方法バリデーション
がなかったが、2019年11月19日の規制会議で、方法バリデーションを完了すると約束した。貴社
は前回の約束の遵守を怠ったので、現在の方法バリデーションの約束を当局が信頼することは
難しい。
医薬品は、CGMPを遵守して製造されなければならない。FDAは、多数の医薬品製造業者が製造設備、
試験機関、包装業者、ラベル貼付業者などの独立した請負業者を使用していることを認識して
いる。FDAは請負業者も製造業者の延長とみなす。貴社には、貴社の契約施設との契約に関わらず、
医薬品の品質に責任がある。貴社には、医薬品の安全性、同一性、濃度、品質、純度を保証する
ために、医薬品がFD&C Act 501(a)(2)(B)に従って製造されていることを保証することが求められ
ている。FDAのガイダンス文書Contract Manufacturing Arrangements for Drugs : Quality Agreements
を見よ。
この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:
・再現性を確実にするために具体的な指示を含んでいることを保証するための、適切なバリデー
ション(またはアメリカ薬局方の簡便法による検証)で裏付けされ、使用目的にあった全ての
試験方法の詳細な独立したアセスメン ト
アセスメントは、安定性プログラムで使用されている試験方法が、安定性を示しているか
どうかも判断すべきである。アセスメントの範囲は、貴社または契約試験機関で実施されている
試験を網羅すべきである。
・全ての分析試験方法に関するバリデーション(または、適切な場合は、検証)の完了に関する
ステータスの報告とタイムライン
・貴社の全ての試験システムの包括的で独立したレビュと、試験作業の完全な修正を保証する
是正処置・予防処置(CAPA)の計画
例えば、貴社の試験システムのレビュは、これに限定されないが、全ての試験装置の適合性、
修正されたキャリブレーションプログラム、職員の能力、監督監視、データシステム、その
他の試験管理の要素を含むべきである。要件を遵守した試験システムに対するニーズは、
貴社の代わりに試験を実施する試験機関にも及ぶ。
FDAが分析試験方法のバリデーションの要素と考える一般的な原則とアプローチについて、
FDAのガイダンス文書:Analytical Procedures and Methods Validation for Drugs and Biologics
を見よ。
●指摘3
貴社は、ロットが既に出荷されているかどうかに関わらず、ロットやその成分の規格に対する
説明のつかない不一致や不具合を徹底的に調査することを怠った。 (21 CFR 211.192)
<指摘3詳細>
貴社の調査は不十分である。粘度と高い水分活性の結果で繰り返しOOSの結果を得たことが示す
ように、貴社は、効果のない是正処置と予防処置を行った。約2年の間に、貴社は粘度に関して
少なくとも25回のOOSの結を記録した。同じ期間中に、貴社は少なくとも45回の高い水分活性の
OOSの結果も記録した。水分活性が貴社の規格を超えていたら、貴社はバイオバーデンを試験
しただろう。これらの高い水分活性のロットは、バイオバーデンでもOOSで、リリースができ
なかった。さらに、貴社は、2018年3月以降で、製品の粘度に関し少なくとも29件の苦情と、
効能の不足に関し少なくとも129件の苦情を得ていた。これは繰り返しの違反である。
例えば、貴社は2020年6月9日に、SPF30 ベビー日焼け止めクリームの高い水分活性のOOSの事例
を調査した。貴社は、XX内の水分が根本原因であると判断し、XX内の水分をより管理するため
にXXを実施し、2020年8月17日に調査を終了した。しかし、XXの適用後も、高い水分活性に
関する30件の追加のOOS(バイオバーデンで不合格になったいくつかのロットを含む)を
みつけた。その後の30件の高い水分活性のうちの1件は、SPF35 キッズクリアフェイス日焼け
止めスティックで発生した。高い水分活性結果の後に実施されたバイオバーデンの試験は、
好気性微生物の総数が390cfu/mLで、規格から外れていた。貴社はこのロットを不合格にした
が、微生物の不具合の根本原因の特定をせず、他のロットが影響を受けているかどうかを判断
するために調査を広げることもしなかった。成分として水を含まないと思われる製品内で、
高い水分活性のOOSの結果や、バイオバーデンの不合格を得ているのも気がかりである。
不合格の粘度の結果に関する貴社の回答の中で、貴社は、粘度は重要な品質特性とみなさない
と述べた。また貴社は、調査をより徹底的にするために、貴社の調査プログラムを修正すると
述べた。
不具合を引き起こした要因について適切な調査を行わず、粘度の規格の重要性を軽視して
いるので、貴社の回答は不適切である。貴社は、潜在的な根本原因を解決するための適切な
CAPAを決めず、他のロットがどのように損なわれていたかを充分に評価しなかった。粘度は、
日焼け止めやクリームなどの外用医薬品にとって意味のある品質特性である。貴社の粘度の
範囲は、ロットの処理過程で大きく変化し、製品の苦情の原因となった可能性がある。粘度
は、医薬品の安定性や、医薬品の肌への塗布に重要で、例えば、アメリカ薬局方<911>粘度
などのバリデートされた方法を使って測定される必要がある。
高い水分活性や、バイオバーデンの不合格の結果に関する貴社の回答において、貴社の調査
の文書化が不十分であることを認めた。貴社は、継続する高い水分活性の結果を、XX内の
高い水分という同じ原因のせいにし、CAPAのフォローアップは、XXからXXまでだった。貴社
は、特定された問題が他のロットに影響を与えたかどうかのアセスメントを含めるために、
調査手順をレビュするつもりであるとも述べた。多数のOOSや不合格の結果の、使用期限内
でかつ市場にある貴社製品に対する影響の評価が不足しているため、貴社の回答は不十分で
ある。FDAは2年以上前に、貴社の調査は、効果的なCAPAを可能にしていないと知らせていた。
当時、貴社は、貴社の調査手順を改善するという同様の約束をした。しかし、貴社は、
それ以降、調査手順の改善を怠っていた。査察時点で、貴社は、過剰な水分活性とバイオ
バーデンの不合格の結果に対応したCAPAのフォローアップを開始していなかった。当時
貴社はXXの追加を検討しているとも述べた。
この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:
・現在アメリカ市場にあり、この文書の日付時点で使用期限内にある製品に関し、全ての
無効化されたOOS(工程内/リリース/安定性試験を含む)の結果の回顧的で独立したレビュ
と、各OOSに関する以下の内容を含む分析で見つかった内容をまとめたレポート:
〇無効化されたOOSの結果に関する科学的正当性及びエビデンスが、決定的または
非決定的でないにしても、原因が試験エラーであると示しているかどうかを判断せよ。
〇試験が根本原因であると最終的に確認された調査に関し論理的根拠を提出し、同じ
または類似の根本原因に対して脆弱な他の全ての試験方法が改善のために特定されて
いることを保証せよ。
〇回顧的レビュで発見された、試験の根本原因が決定的でないか、根本原因が特定されて
いない全てのOOSの結果に関し、製造の徹底的なレビュ(例:ロットの製造記録、製造
ステップの妥当性、装置/施設の適合性、原材料のばらつき、工程の能力、逸脱の履歴、
苦情の履歴、ロットの不具合の履歴)を含めよ。各調査の潜在的な製造の根本原因と、
製造作業の改善のサマリを提出せよ。
・貴社のOOSの結果の調査システムに関する包括的なレビュと改善計画
CAPAは、これに限定されないが、以下のことへの対処を含むべきである:
〇試験の調査の品質部門の監督
〇有害な試験管理の傾向の特定
〇試験のばらつきの原因の解決
〇試験の原因が決定的に特定できない場合は製造の潜在的な原因の徹底的な調査の開始
〇各調査とそのCAPAの適切な範囲の決定
〇これら及びその他の改善を含むOOS調査手順の改善
●CGMPコンサルタントの推奨
貴社で確認した違反の性質に基づき、我々は、CGMPの要件を満たすように貴社を支援する
ために21 CFR 211.34に記載されている適格性のあるコンサルタントを雇うことを強く勧める。
貴社のコンサルタントの使用は、CGMPを順守するための貴社の義務を軽減するものではない。
貴社の経営陣には、継続的なCGMP順守を保証するために、全ての不備とシステムの欠陥を解決
する責任が残る。
●結論
この文書で挙げた違反は、貴社の施設に存在する違反の包括的なリストではない。貴社には、
違反を調査し、原因を判断し、再発やその他の違反の発生を防止する責任がある。
全ての違反を速やかに是正せよ。この問題への即座の適切な対処の不履行は、制限のない
差し押さえ、強制命令を含む、さらなる通知のない制限または法的なアクションにつながる
かもしれない。未解決の違反は、他の連邦機関の契約授与も妨げるかもしれない。
違反への対処の不履行は、FDAの輸出証明の発行の差し控えにもつながるかもしれない。全て
の違反に完全に対応がされ、我々が貴社のCGMPの遵守を確認するまで、FDAは貴社の医薬品
製造業者としての新しい申請やリストの補完の承認を保留するだろう。我々は、貴社が全て
の違反に対する是正処置を完了したことを確認するために再査察を行うかもしれない。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
■CMS#622823■
2021年9月20日~9月24日のニュージャージー州の製造所の査察でみつかった医薬品製造の重大な
CGMP違反について発した2022年4月14日付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられて
います。
●指摘1
貴社は、成分、医薬品の容器、蓋、中間材料、ラベル、製品が同一性、濃度、品質、純度の適切
な規格に準拠していることを保証するために設計された科学的に妥当で適切な規格、標準、
サンプリング計画、試験手順を含む試験管理を制定することを怠った。 (21 CFR 211.160(b))
<指摘1詳細>
貴社はアメリカ薬局方(USP)品のセタカインミントゲル局所麻酔薬を製造している。ベンゾカイン、
ブタンベン、及び、塩酸テトラカインゲルの簡便法を使う代りに、エアロゾルの簡便法を使用
した。貴社は、エアロゾルがこの製品のゲルの試験に適していることを適切にバリデートして
いなかった。貴社は、2019年3月以降、完成したエアロゾル、液体、ゲル局所麻酔薬製品の
有効性の試験に関しUSPから逸脱した。
さらに、貴社は、貴社の最終製品のリリース試験に使用しているXXに関する方法XXの方法バリ
デーションの検証を完了することを怠った。それゆえに、貴社は、貴社の方法が、現在のUSPの
簡便方法と同等またはそれより優れていると十分に示していなかった。
貴社は回答の中で、今後、リリース試験にXX法を使用するつもりであると述べた。しかし、
貴社は、貴社の方法がUSP法と同等またはそれより優れていると示すバリデーションを回答に
含めていなかった。さらに、貴社の回答内で提供されたデータは、貴社のゲル製品に関する
分析のためのカスタム試験方法(XX,XX)とUSP簡便法とで異なる結果を示した。貴社のラベル
には、貴社の製品がUSPの規格を満たしていないことを明記していないため、ベンゾカイン、
ブタンベン、テトラカイン塩酸塩ゲルのUSPモノグラフが、貴社のゲル医薬品の規制試験方法
であることに注意せよ。
貴社が判断に使用する方法がUSPと同等またはそれより優れていると示すためのデータを提供
していなかったので、貴社の回答は不十分である。さらに社は、規格を満たしておらずに
合格と判定されてリリースされたロットの製品品質や患者の安全性のリスクに対処するため
の計画を提供しなかった。
この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:
・代替方法がUSP法と同等またはそれより優れていると示されるまで、現在のUSP簡便法を
使用するという約束
・現在のUSP簡便法を使用していない場合は、貴社の医薬品の試験方法がUSP法と同等または
それより優れているかどうかを判断する包括的な検証
貴社の代替方法がUSP簡便法と同等またはそれより優れているか評価する中で遭遇した全て
の調査結果や逸脱を含めよ。分析試験方法のバリデーションに関するFDAの現在の考え方に
ついて、Analytical Procedures and Methods Validation for Drugs and Biologics
を見よ。
・貴社の医薬品が、同一性、濃度、品質、純度に関する適切な規格に従っていることを保証
するために、 市場に出荷され使用期限内の全ての医薬品の全ての保管サンプルのバリ
デートされた試験方法(例:USP法)を使った最新の試験結果
・アメリカ市場にある貴社の医薬品の製品品質や患者の安全性のリスクに対応するための、
顧客への通知、改修、市場からの撤退の可能性を含む貴社のアクションプラン
●指摘2
貴社は、ロットが既に出荷されているかどうかに関わらず、ロットやその成分の規格に対す
る説明のつかない不一致や不具合を徹底的に調査することを怠った。 (21 CFR 211.192)
<指摘2詳細>
貴社はバリデートされていない方法を使って貴社のゲル製品を分析した際、規格外(OOS)の
試験結果の適切な調査を怠った。貴社の分析は、有効性(XX)114.7%と115.2%で、テトラ
カインHCLのOOSを明らかにした。貴社は調査中、ベンゾカイン、ブタンベン、テトラカイン
塩酸塩ゲルのUSP簡便法を使って再試験をし、また、118.9%と118.3%(XX)のOOSの結果を
得た。簡便試験方法で不合格になった医薬品は、501(b)条のもとで不良品とみなされる。
適切な科学的正当性がなく、2つの追加の方法XXとXXを使ってサンプルを再試験し、合格の
結果を得た。それから貴社は、簡便試験方法を使ったOOSの試験結果を含むOOSの試験結果
を無効化するための十分な理由もなく製品をリリースした。
貴社は回答の中で、OOSの調査は、品質部門のロットをリリースするという判断を裏付ける
徹底的な調査だったと信じていると述べた。貴社は、簡便法を使った際のOOSを含む、
繰り返しの試験に関する科学的に妥当な正当化の理由を立証せず、合格結果を得るまで
サンプルを繰り返し試験しているので、貴社の回答は不適切である。再試験に関して十分
に確証された手順やプロトコルはOOSの調査の一部であるが、手順は科学的に妥当な原則に
基づき、適切にバリデートされ検証された方法でなければならない。
この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:
・アメリカ向け製品で、現在アメリカ市場にあり、この文書の日付時点で使用期限内に
ある、全ての無効化されたOOS(工程内/リリース/安定性試験を含む)の結果の回顧的な
独立したレビュと、各OOSに関する以下のことを含む、分析結果をまとめたレポート:
〇無効化されたOOSの結果に関する科学的正当性及びエビデンスが、決定的または
非決定的でないにしても、原因が試験エラーであると示しているかどうかを判断せよ。
〇試験が根本原因であると最終的に確認された調査に関し論理的根拠を提出し、同じ
または類似の根本原因に対して脆弱な他の全ての試験方法が改善のために特定されて
いることを保証せよ。
・回顧的レビュで発見された、試験の根本原因が決定的でないか、根本原因が特定されて
いない全てのOOSの結果に関し、製造の徹底的なレビュ(例:ロットの製造記録、
製造ステップの妥当性、装置/施設の適合性、原材料のばらつき、工程の能力、逸脱の
履歴、苦情の履歴、ロットの不具合の履歴)を含めよ。各調査の潜在的な製造の根本原因
と、製造作業の改善のサマリを提出せよ。
・貴社のOOSの結果の調査システムに関する包括的なレビュと改善計画
CAPAは、これに限定されないが、以下のことへの対処を含むべきである:
〇試験の調査の品質部門の監督
〇有害な試験管理の傾向の特定
〇試験のばらつきの原因の解決
〇試験の原因が決定的に特定できない場合は製造の潜在的な原因の徹底的な調査の開始
〇各調査とそのCAPAの適切な範囲の決定
〇これら及びその他の改善を含むOOS調査手順の改善
●結論
この文書で挙げた違反は、貴社の施設に存在する違反の包括的なリストではない。貴社には、
違反を調査し、原因を判断し、再発やその他の違反の発生を防止する責任がある。
全ての違反を速やかに是正せよ。この問題への即座の適切な対処の不履行は、制限のない
差し押さえ、強制命令を含む、さらなる通知のない制限または法的なアクションにつながる
かもしれない。未解決の違反は、他の連邦機関の契約授与も妨げるかもしれない。
違反への対処の不履行は、FDAの輸出証明の発行の差し控えにもつながるかもしれない。
全ての違反に完全に対応がされ、我々が貴社のCGMPの遵守を確認するまで、FDAは貴社の
医薬品製造業者としての新しい申請やリストの補完の承認を保留するだろう。我々は、貴社
が全ての違反に対する是正処置を完了したことを確認するために再査察を行うかもしれない。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
まとめ
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
いかがでしたでしょうか。
今回のウォーニングレターは2件とも、OOSの結果への対応不備の指摘が含まれていました。
今回のウォーニングレターにあった下記の指摘は、頻繁にウォーニングレターに登場します。
・OOSの結果が出ても、その結果を無効化し、合格が出るまで再試験を繰り返す
・OOSの原因を十分に調査していない
・OOSの影響範囲(他のロットや他の製品)を評価していない
・CAPAにつなげていない
奇しくも、日本のPMDAの7月のオレンジレターにもOOSに関する指摘がありましたので、是非、
チェックをしてみていただければと思います。
https://www.pmda.go.jp/files/000247221.pdf
☆次回は、8/15(月)に配信させていただきます。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
★弊社サービスのご案内
https://drmarketing.jp/cch/73/589/3/425/455915/b12338
★ブログ毎日更新中!
◆ PROS.社長の滋養強壮ブログ
https://drmarketing.jp/cch/73/589/1/425/455915/6a57e1
◆ プロス橋本のブログ
https://drmarketing.jp/cch/73/589/2/425/455915/f1b955
※URLクリック数の統計をとらせていただいております。
本メルマガは、名刺交換させていただいた方に、毎月1日、15日に配信いたしております。
今後メルマガが必要ない方は、お手数ですが下記まで配信停止依頼のメールをお願いします。
【発行責任者】
株式会社プロス
『ASTROM通信』担当 橋本奈央子