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2022.05.15

【FDA:品質指標報告プログラムのパブリックコメント募集】ASTROM通信<242号>

 こんにちは。

ASTROM通信担当の橋本奈央子です。

 

ゴールデンウィークも終わり、梅雨の走りのような天気ようになってきましたが、いかがお過ごしで

すか。

 

今回は、アメリカ食品医薬品局(FDA)が202239日から02267日までコメント募集を行って

いる品質指標報告プログラム(Quality Metrics Reporting Program)について取り上げたいと思います。

アメリカに輸出をしていない企業には当面関係はありませんが、企業や製品の品質を評価する指標を

設けようというプログラムは、自社の品質レベルを評価したり、品質目標を設定し手継続的な改善を

実施したりするうえで参考になるかと思いますので、是非最後までお読みいただければ幸いです。

 

 

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品質指標報告プログラム(Quality Metrics Reporting Program)に関するパブリックコメント募集

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アメリカ食品医薬品局(FDA)は、202239日に、以前に提案した品質指標報告プログラムの変更に

関するコメントの募集を開始しました。

■経緯

FDA2015年と2016年、品質指標報告プログラム(Quality Metrics Reporting Program)に関する

ガイダンスのドラフトを発表していましたが、一般的に医薬品製造業者には受け入れられませんでした。

情報収集のコストがかかるだけでなく、そのための膨大な作業負荷にも批判があがり、結局、医薬品

製造業者は自発的に品質データを提出することが求められてきました。

そこで、FDA202239日に当初の情報収集計画の欠点や、提出された品質データ、医薬品製造業者

からのフィードバックをもとに新しいプログラムを検討し、202267日まで、業界にコメントを募集

しました。

 

■コメント募集内容

I.背景

A.品質指標

医薬品製造において、品質指標は、製品とプロセスのライフサイクルを測定、評価、監視し、品質リスク

を積極的に特定して軽減し、それにより高いレベルの安全性、有効性、配送および性能で運用を管理する

客観的な手段である。品質指標は、品質管理システムと工程をモニタし、製造の継続的な改善努力を推進

するために、医薬品および生物学的製剤の業界全体で使用されている。製造手順の更新や革新の不履行や、

運用上の信頼性 (すなわち、管理状態) の欠如は、公衆衛生に悪影響を与える品質問題につながる可能性

があるため、品質指標は重要である。

製造業者の製品が安全で有効で十分な品質であると保証するための最低基準は、現在の規制で要点が説明

され、現在のポリシー(医薬品に関する21 CFR 210章及び211章と、ICH Q7原薬GMP(「医薬品の製造管理

及び製造管理に関する基準」)で推奨されているCGMPの遵守である。しかし、CGMPの遵守だけでは、

必ずしも、製造業者が改善のために投資し、製造性能と品質の一貫した管理状態を維持するために努力

しているかどうかを示さない。継続的な改善に重点を置かずにCGMPの持続的な遵守状態を達成することは

難しい。

効果的な医薬品品質システム(PQS : Pharmaceutical Quality System)は、継続的なCGMPの遵守とサプライ

チェインの堅牢性の両方を保証する。品質指標のデータは、製造性能の見識を提供し、製造の業務を改訂

し刷新する機会を確認することを可能にするため、効果的なPQSを開発する製造業者に貢献できる。

品質指標は、供給者の選択においても重要な役割を果たし、契約活動と原材料の供給者の監督のための

情報を提供し、サプライチェインの混乱を最小化するための適切なモニタリング活動の決定にも役立つ。

組織からの品質指標データはFDAにも役立つ。これらのデータは、FDAが将来の医薬品の不足の予測を

改善・緩和し、医薬品製造のための革新的な品質マネジメントシステムを実装するために製薬業界に

働きかけるよう、CGMP遵守・査察ポリシーと実務の進展を支援することができる。例えば、品質指標

データをFDAのリスクベースの検査スケジューリングに適用し、持続可能なコンプライアンスを示唆する

品質指標を持つ組織の定期的な監視査察の頻度/長さを縮小することができる。さらに、品質指標データ

の提出は、査察の合間の、組織の業務を継続的に洞察することができる。

FDAのリスクベースの規制のアプローチの継続的な導入の一環として、FDAは品質監視活動を裏付ける

品質指標報告プログラムの開発および実装することを提案している。このプログラムのもとで、FDAは、

以下のことを実施するために、組織により提出された品質指標データを分析することを目指している:

1.組織での製造品質と信頼性のより定量的で客観的な評価基準を得る

2.指標と結果の分析を、FDAの包括的な品質監視プログラムに統合する そして

3.製品の品質問題(例:品質関連の不足や回収)のリスクを特定するのを助けるために分析結果を適用

  する

 

B.品質指標データの提出に関する業界向けのFDAガイダンス

20157月、FDAは品質指標の製品ベースの報告のための、義務となる可能性のあるプログラムについて

説明した“品質指標の要求”というタイトルのガイダンスのドラフトを発行した。この提案された

プログラムのもとで、製造業者は4つの主要な指標(ロットの合格率(LAR)、製品品質の苦情率(PQCR)

無効化/覆された規格外(OOS)の率 (IOOSR)、および、予定通りの年次の製品照査(APR)または製品品質

照査の率)3つのオプション指標(経営陣の関与、是正処置・予防処置(CAPA)の効果、および

工程能力/性能)を提出することになっていた。ガイダンスに関するステイクホルダーのコメントには、

複数の組織にまたがる製品レベルでのデータの収集、書式設定、提出に関する負担に関する懸念、提案

された指標と定義に関する技術的なコメント、提案された義務的プログラムに関する法的懸念が含まれて

いた。ステイクホルダーのコメント者は、業界とFDAの両者による学習を可能にするための段階的な

アプローチも提案した。

このフィードバックを受けて、FDA201611月に品質指標データの提出というタイトルのガイダンス

の改訂ドラフトを発表した。2016年のガイダンスは、FDAの提出ポータルサイトを通じて、参加者が製品

または組織がデータを報告する、品質指標報告プログラムの最初の自主的な段階が説明していた。FDAは、

2015年のガイダンスのドラフトから4つの指標のうちの1つを削除し、残りの3つの主要な指標

(1)製造工程の性能を測定するためのLAR;

(2)実験室の堅牢性を測定するためのIOOSR;

(3)患者または顧客のフィードバックを測定するためのPQCRの提出を要求し、参加のためにインセンティブ

を提案した。このガイダンスでは、FDAが提出されたデータをどのように活用するつもりかについても

説明していた。ガイダンスに対するステイクホルダーのコメントは、FDAで標準化した定義は課題のまま

であり、自発的なプログラムに参加するインセンティブを強化する必要があると示していた。(例:

プログラムを開発するためのFDAとの直接の協力は強力なインセンティブの一例だった)。コメント者は、

FDAに提出されるデータの価値と有用性と、FDAがプログラムの成功をいかに測定するかをよりよく理解

するよう求めた。コメント者達は、広範囲の品質指標プログラムの実装の前に、業界の情報を集めるため

の試験的なプログラムが好ましいとのべた。

 

C.FDAの品質指標の試験的プログラムから学んだ教訓

2018629日に発行された連邦官報の通知で、FDAは、品質部門によって開発・実装され、製品と工程の

品質改善をサポートするために使用される品質指標プログラムを持つすべての組織に対して、品質指標

サイトへのアクセスプログラムと品質指標のフィードバックプログラムの2つの試験的プログラムが

利用可能になったと発表した。

〇品質指標サイトアクセスプログラム

品質指標サイトアクセスプログラムは、FDAスタッフに体験学習の機会を提供し、参加組織に品質指標

プログラムの実装と管理に関する利点と課題を説明する機会を提供した。たとえば、参加者は、FDA

ガイダンスのドラフトで提案されている指標の定義と、同じ指標に関して業界で一般的に使用される

定義の違いを示すために、ケーススタディの形でフィードバックを提供した。彼らはそれらの変更が

必要な理由を正当化して、定義の変更を提案した。FDAは、世界中の14の組織の業務を視察し、以下の

ようなトピックについて組織と対話した:いかに品質指標データが収集・分析・伝達 (例:ダッシュ

ボード、ビジネスインテリジェンスプラットフォーム)され、組織全体で構造化された集中的な方法で

報告されるか、いかに経営陣が品質指標データを利用して供給ネットワークのパフォーマンスをモニタ

するか、いかに経営陣がデータ駆動型の判断をするために指標を活用するか、いかに組織が指標に

基づいて継続的な改善を実装しモニタするか、いかにさまざまな品質指標が定義されるか、いかに

品質指標データのレビュの結果得られた発見から行動が取られたか、いかに医薬品の不足を積極的に

緩和し防止するために取り組みが調整されているか。

〇品質指標フィードバックプログラム

品質指標フィードバックプログラムでは、参加組織がFDAスタッフに品質指標プログラムを発表した。

プレゼンテーションに続き、分析的戦略、探索的データ分析、データ準備と構造、コミュニケーション

のための視覚化に焦点を当てたディスカッションと知識共有、FDAがいかに高度な分析技術(例:

データ/テキストマイニング、インタラクティブな視覚化)、高度な統計手法(例:管理図、時系列分析)

機械学習(例:予測分析、自然言語処理)を使用してデータを分析するために計画しているかについての

デモンストレーションが行われた。これらの議論の中で、FDAは、FDAの改訂したガイダンスのドラフト

に記載されているアプローチを適用する際に予想される業界の課題に関するフィードバックも得た。

参加者は、FDA提出ポータルサイトを通じて品質指標データを提出し、ユーザーエクスペリエンスに

関するフィードバックを提供する機会を得た。業界の参加者は、新薬、ジェネリック医薬品、非処方薬

(店頭(OTC)として知られる)、生物学的製品など、製薬業界のさまざまな分野を代表していた。

データ分析に焦点を当てた2つの試験的プログラムにおける業界との専門会議は、

品質指標報告プログラムの方向性を決める、FDAのための以下の重要な教訓をもたらした。

1.異なる業種は、個々の事業やビジネス動態のニーズにより、異なる指標を好む。従って、指標を

  選択する際に、十分な柔軟性を持つプログラムを実装する必要がある。重要な業務のエリア

  (例:製造工程の性能)を特定し、組織がいくつかのオプションから適切な指標を選択することを

  可能にすることが、より実現可能なアプローチである。

2.報告すべきものとして選ばれた指標は、測定対象の業務領域にとって意味があり、指標として

  収集されたデータは、工程の改善や設備投資の意思決定に影響を与えるものであるべきである。

3.場合によっては、特定の業務領域を評価するのに、1つの指標より指標の組み合わせのほうが好ま

  れる。

4.参加者の過半数は、組織レベルでデータを報告し、製品により分割する可能性を持つことを好むが、

  一部の参加者はビジネス構造(例:垂直的に統合された企業)により、製品レベルの報告を好む。

5.2016年に改訂されたガイダンスの定義に基づき、LARPQCRの計算は、100%を超えるレートや

  無効な計算(例:0での割り算)のような数学的不具合が発生する可能性がある。これらの不具合は、

  リアルタイムの作業による固有の変動や、特定の期間でいかに分母を定義するかにより引き起こ

  される。

6.LARIOOSRは組織により定期的にモニタされる品質指標だが、それらは、時間に伴う変動が限られ

  ていたり範囲が限られているため、組織が指標を特定できず、存在しない性能問題にハイライトを

  あてることで、誤検知につながる可能性がある。他の指標が、製造工程の性能や試験の堅牢性の

  代わりとして特定されるべきである。これに限定されないが、例えば、Right-First-Time Rate

  工程能力、リードタイムの遵守などがある。

7.品質システムの有効性は、PQSに関するデータを収集する多数の組織により証明されている通り、

  品質指標報告プログラムの重要な要素である。例えば、CAPAプログラムの有効性、繰り返しの

  逸脱、保守プログラム、適時性に関する指標が含まれる。

8.クオリティカルチャに関する指標は性能と信頼性の重要な指標だが、他の指標と異なり、数値の

  指標のみに基づいて、組織でクオリティカルチャをとらえることは難しい。数値のKPI(主要業績

  評価指数)(例:APRの適時性や惜しい失敗)と、定性的なサマリ(例:経営陣のコミットメントや

  品質計画)の両方は、クオリティカルチャの更なる理解のために使用することができる。

9.品質指標フィードバックプログラム中に提出されたデータのFDAによる分析は、統計的な品質管理

  アプリケーション(例:統計的な工程管理や工程能力)と、機械学習/自然言語処理の使用は、組織

  により提出された品質指標データを評価するために適切で意味のある分析戦略である。

 

II.FDA品質指標報告プログラムの提案された方向性

FDAは、試験的プログラムや、ステイクホルダーのフィードバックから学んだ教訓を、2016年改訂

ドラフトガイダンスで提示された品質指標報告プログラムの改善のために適用した。この章では、

プログラムの潜在的な方向性を要約し、III章では、このアプローチの具体的な側面への意見の提供を

求める。

FDAは、品質指標データの収集と提出を担当する組織の変更は必要ないと考えている。2016年改訂

ドラフトガイダンスで定義されている“対象組織”とは、“対象医薬品”(FD&C Act 505または

Public Health Service Act 351のもとで承認申請対象の製品、FD&C Act 505Gに従って合法的に

販売されている製品(承認された医薬品の申請なしで市販されている非処方薬);未承認の最終製品と

して販売されている製品;対象医薬品の製造に使用される医薬品有効成分である。“対象組織”には、

契約試験機関、契約滅菌業者、および契約包装業者が含まれる。

FDAは、品質指標プログラムの他の側面の変更を検討している。ステイクホルダーは、異なる業種は、

異なる品質指標を好む可能性を示していた。製造業者に柔軟性を提供するため、FDAは、品質指標や

定義の標準化に焦点を当てないつもりである。代りに、FDAは、持続可能な製品品質と可用性を保証

するために重要な業務領域を特定し、製造業者が各業務領域から意味のある指標を選択し、継続的な

改善の機会を確認できるようにするつもりである。指標の定義では、組織が特定の指標を計算する

方法を指定しないつもりである。むしろ、報告をする組織は、それぞれの業務領域から最も適切な

指標を選択し、それがどのように計算されたかをFDAに通知することになるだろう。試験的参加者

から集められたフィードバックを通してFDAは現時点で品質指標報告プログラムのために適切な以下

の4つの一般的業務領域を特定した;

(1)製造工程性能

(2)PQSの効果

(3)試験室のパフォーマンス

(4)サプライチェインの堅牢性

 

各業務に関連した品質指標の例は以下の通りである:

1.製造工程性能

・工程能力/性能指数(Cpk/Ppk)

 工程の出来高を規格の限界と比較し、比率として計算される尺度(例:Ppk1.33を超える属性の

 総数をPpkが使用されている属性の総数で割った値)。妥当なサンプル数を使った標準偏差の測定

 を検討することが重要である。

LAR

 特定の期間に合格になったロットの割合の測定。LARの計算に使用される情報の例は、完成された

 ロット、処理されたロット、未完のロット、不合格になったロット、リリースされたロット、

 承認されたロット、中止されたロット、並行/予備のロットを含む。

Right-First-Time Rate:

 不適合の発生がなく製造されたロットの割合の測定。Right-First-Time Rateの計算に使用

 される情報の例は、逸脱の数、処理されたロット、未完のロット、不適合の数、初回で合格に

 なったロットを含む。

・ロット・リリース・サイクル・タイム:

 ロットの処理のプロセスにかかる時間の測定。ロット・リリース・サイクル・タイムは、時間

 や日数などの適切な測定単位により計算される。

 

2.PQSの効果

CAPAの効果:

 実施され、効果的であるとみなされたCAPA計画の割合の測定(すなわち、有効である として完了

 した有効性の検証)CAPAの有効性を計算するために使用される情報の例は、開始されたCAPA

 数、予定通りに完了したCAPA有効として完了したCAPA、期日を過ぎたCAPA、結果として

 再教育となったCAPAを含む。

・繰り返しの逸脱率:

 逸脱の再発生の測定の割合の尺度。繰り返しの逸脱率の計算に使用される情報の例は、逸脱の

 総数と、同じ根本原因とされる逸脱の数を含む。

・変更管理の有効性:

 GMP施設、システム、装置、工程に対して実施された変更の適時性と有効性の測定。

 この指標を計算するために使用される情報の例は、変更の予定通りの完了、有効性のチェックが

 遅れた総数、

 開始された変更の総数、事後と事前に開始された変更の数、有効とみなされた変更の総数を含む。

・全体的な装置の有効性:

 計画された製造時間を使った生産性の測定。全体的な装置の有効性は、可用性(例:計画された

 製造時間、作業時間)、性能(例:生産能力)、品質(合格にならなかった出来高)に関する情報を

 使用して計算されることができる。

・計画外メンテナンス:

 計画、もしくは、スケジュールされていなかったメンテナンス時間の割合の測定。この指標を

 計算するために使用される情報の例は、合計メンテナンス時間と計画されたメンテナンス時間を

 含む。

 

3.試験室のパフォーマンス

・リードタイムの遵守:

 スケジュールの要求に従って予定通りに完了された試験室の試験の割合の測定。

 リードタイムの遵守は、例えば、リリース及び安定性試験の開始と回転時間のトラッキング

 (すなわち、品質管理(QC)の開始と完了の日数)、データレビュと文書化のトラッキング、バッチ

 の処理前の最終結果報告のトラッキング、目標日に対するQC試験完了日の比較により計算される。

Right-First-Time Rate

 逸脱の発生なしに実施された試験の割合の測定。試験室のパフォーマンスの指標としての

 Right-First-Time Rateは、例えば、無効化した分析の割合、人的的ミスのために無効化された

 分析の数、レビュ中のCGMP文書のエラーのトラッキングにより計算することができる。

IOOSR

 正確に試験を実施するための試験室の能力を示す尺度。この指標を計算するために使用される情報

 の例は、実施された試験の総数と、測定プロセスの異常により無効化されたOOSの総数で計算できる。

・キャリブレーションの適時性:

 計画通りに意図された目的のための、試験室の機器を検査、校正、試験の遵守の測定。この指標は、

 キャリブレーションの基準とスケジュールで測定することができる。

 

4.サプライチェインの堅牢性

・オンタイム・インフル(OTIF)

 正しい数量で、注文で指定されたスケジュールに従って、貨物が目的地に出荷される程度の測定。

 この指標は、出荷された注文数、期限を過ぎた注文の数、許容範囲内で出荷された注文数のような

 情報を使って計算されることができる。

・フィル・レート:

 指定された期間内の、総需要に対して出荷された注文数を定量化した測定。この指標を計算する

 ために使用することのできる情報の例は、出荷された注文の数、発注された注文の数、受領した

 注文の数を含む。

・時間通りの処理:

 時間通りに処理が行われたロットの割合の測定。この指標を計算するために使用される情報の例は、

 処理されたロットの総数と、時間通りに処理されたロットの総数で計算されることができる。

・手持ち在庫の日数:

 使用可能な平均在庫量を会社がいかに利用するかの尺度。在庫として残っている日数である。

 試験的プログラムの参加者の過半数が組織レベルでデータを報告することを好むことを前提として、

 FDAは、製造の流れ、製品のタイプ、製品のレベル(例:申請数や製品群)により分けるオプション

 も備えた、組織レベルの品質指標データの集計と報告のためのアプローチを検討している。

 

データが提供されたら、FDAは査察のリソースの割り当てに役立つ見識を提供するために、統計的

および機械学習的方法を使って情報を分析する予定である。例として、製品の傾向と集団の試験、

識別のための探索的および時系列分析、それによる経時的な組織の健全性のモニタリング、組織の

全体的なPQSの効果を判断するのを助けるために機械学習モデルへの入力としての品質指標データの

利用が含まれる。

 

III.コメントのお願い

我々は、品質指標報告プログラムに関するFDAの提案した方向性の以下の側面についてコメントを

求めている。この章で提起された質問は網羅的なものではない。また我々は、ステイクホルダーや

その他の関係者がFDAの品質指標報告プログラムで提供したいその他の関連情報にも関心がある。

FDAはステイクホルダーが、利用可能な例や補足情報などコメントの根拠を提供することを奨励して

いる。

A.報告レベル

1.報告は組織レベルで集計されるべきであると思うか?

2.組織レベルでの報告は受託製造組織による品質指標データの提出を容易にするか?

3.組織において、通常、製品群で指標を評価する場合、貴社の業界の“製品群”の便利な定義は何か?

 

B.業務領域と品質指標

1.この通知のII章にあげられた一般的な業務領域がFDAの品質指標報告プログラムの目的に合わない

  と思う場合、FDAは他にどの業務領域を考慮すべきか?

2.FDAがクオリティカルチャを一般的な業務領域の一つとみなす場合、堅牢なクオリティカルチャの

  重要な要素は何か?また、これらの要素は定量的に測定可能か?もしそうであれば、クオリティ

  カルチャの情報を定量的指標(惜しい失敗、オンタイムのAPR、クオリティカルチャの二値応答

  またはその他の数値的指標/KPI)として獲得することをどのように推奨するか?

3.FDAが提案する品質指標の例は、指定された業務領域にとって適切な指標でないと思うか?

4.指定された業務領域にとって、FDAは他に何の指標を考慮すべきか?

5.FDAは、工程の能力と性能の指標を組み込んでいる組織の経験に関心がある。例えば、品質指標

  プログラム(例:特定の製品のCpkおよび/またはPpkの報告、組織レベルでの集計)の一環として、

  FDACpkおよび/またはPpkをどのように報告するつもりか?

6.PQSの有効性をよりよくモニタし、適切なビジネス戦略を通知し、洞察に満ちた傾向をとらえ、

  継続的な改善行動を推進するために、指標は、組織によって変更されたり調整されたりする必要が

  あるかもしれない。品質指標の変更または修正を正当化するために、(組織またはFDAによって)

  どのような基準が適用されるべきか?どれくらい頻繁に変更や修正が必要とされると思うか?

7.特定の業務領域を評価する際、指標として、複数の指標に対して1つの指標を信用しますか(例:

  1つの指標が他の指標に影響を与えるので、2つの指標が一緒に考慮される)?指標のどの組み

  合わせは意味があり有用だったか?

 

C.その他の検討事項

1.品質指標報告プログラムにおいて対処すべき特定の製品カテゴリ(例:ジェネリック医薬品、

  OTC医薬品、生物学的製剤)に固有の検討事項はあるか?

2.品質指標データの提出について、最適な報告頻度(例:毎月、四半期、毎年、または四半期や

  月ごとにセグメント化)は何か?

3.製造業者がアメリカと外国のデータを含み、自国のデータを抽出してFDAに提出できない場合、

  これらのデータをどのようにFDAに有益な方法で提出できるか?

4.FDAがプログラムについて提案した方向性について、今後FDAが方針文書で対処しなければいけ

  ない側面はあるか?

 

出典:

https://www.gmp-publishing.com/content/en/gmp-news/news-about-gmp-cgmp/d/fda-asks-for-feedback-on-streamlined-quality-metrics-program

https://www.fda.gov/drugs/pharmaceutical-quality-resources/quality-metrics-drug-manufacturing

https://www.federalregister.gov/documents/2022/03/09/2022-04972/food-and-drug-administration-quality-metrics-reporting-program-establishment-of-a-public-docket

 

 

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まとめ

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いかがでしたでしょうか。

 

品質指標の考え方は、自社や委託先の品質レベルの把握や、目標設定の参考になると思います。

 

品質指標を①製造工程性能②PQSの効果試験室のパフォーマンスサプライチェインの堅牢性

4分野に分けてとらえる考え方や、指標の例(LARRight-First-Time Rate、、ロット・リリース・

サイクル・タイム、オンタイム・インフル、フィル・レート等)は利用できそうです。

FDAが組織のクオリティカルチャの指標化を検討している点も興味深かったです。

 

FDAが品質指標を査察のリソースの割り当てに利用しようと考えていることから、今後このプログラム 

は企業にとって重要なものになっていくと思われます。

 

☆次回は、6/1(水)に配信させていただきます。

 

 

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【発行責任者】

株式会社プロス

ASTROM通信』担当 橋本奈央子

2022.05.01

【最近のウォーニングレター】ASTROM通信<241号>

 こんにちは。

ASTROM通信担当の橋本奈央子です。

 

ゴールデンウィーク真っ只中ですが、いかがお過ごしでいらっしゃいますか。

 

さて今回は、FDAがアメリカ国内の製薬会社向けに出したのウォーニングレター2件を、

FDAがどのような点を指摘したかを確認していきたいと思います。

是非、お読みいただければ幸いです。

 

 

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最近のウォーニングレターの概要

注:文中のXXはウォーニングレターでマスキングされている文言及び具体的な社名・品名等です。

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Warning Letter 621026

2021920日~924日のユタ州の製造所の査察でみつかった医薬品製造の重大なCGMP違反について

発した202228日付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。

 

●指摘1

貴社は医薬品の各成分の同一性を検証するために少なくとも1つの試験を実施することを怠った。

また貴社は、適切な間隔で成分の供給者の分析の信頼性をバリデートし確証することを怠った。

<指摘1詳細>

貴社は、入荷した成分を、OTC医薬品の製造に使用する前に適切に試験することを怠った。

さらに貴社は、純度、濃度、品質等の規格に関し、適格性評価のされていない供給者の分析証明書

(COA)を信頼した。成分の同一性、純度、濃度、品質の不十分な分析により、貴社は入荷した成分が

適切な規格を満たすと保証することを怠った。

例えば貴社は、手指の消毒剤の有効成分でありエタノールを、その色、におい、外観だけで供給者

から受け入れ、その後、製造するのに使用した。貴社は使用前にこのエタノールの同一性や

メタノールについて試験をしなかった。貴社は、供給者のCOAを信頼し、他の品質特性を1つも試験

しなかった。さらに、貴社のエタノールの供給者のCOAは、医薬品製造の有効成分や医療機器用や

消毒剤としての使用を意図したものではない”と述べている。

貴社は回答の中で、日焼け止めと手指の消毒剤を製造するために使用される有効成分に関し同一性

試験を実施すると約束した。しかし、貴社の是正処置・予防処置(CAPA)に関して提出された

補助文書では、日焼け止めの有効成分の同一性試験のみを対象としている。貴社は、いかに貴社の

供給者の試験結果の信頼性を確証し、定期的にバリデートする計画をするかについては対処しな

かった。また貴社は貴社のOTC医薬品に使用される成分の同一性を検証するために保管サンプルを

試験するとも約束しなかった。

貴社はエタノールを含む医薬品を製造している。メタノールで汚染されたエタノールの使用は、

世界中の人の様々な致死的な中毒事件をもたらしている。エタノールを含む医薬品を製造する場合

CGMP要件を満たす助けとして、

FDAのガイダンス文書Policy for Testing of Alcohol(Ethanol) and Isopropyl Alcohol for Methanol, Including During the Public Health Emergency(COVID-19)

を見よ。

この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:

・医薬品製造の有効成分として使用されることを意図していない非医薬品グレードのエタノール

 の使用に関するリスクアセスメント

 貴社のリスクアセスメントには、貴社の医薬品を回収する具体的な安全性のリスクがあるか

 どうかの評価を含むべきである。

・製造に使用するための成分の入荷した各ロットを試験しリリースするために貴社が使用している

 化学及び微生物の品質管理の規格

・同一性、濃度、品質、純度に関する全ての適切な規格への一致に関し、成分の各ロットを貴社が

 いかに試験するつもりかの記述

 もし貴社が濃度、品質、純度に関し、成分の各ロットを試験する代わりに、供給者のCOAから得ら

 れた結果を受け入れるつもりなら、初期のバリデーションと定期的な再バリデーションを通じて、

 供給者の分析結果の信頼性をいかに確実に証明するつもりかを明記せよ。

 更に、入荷した各成分について、少なくも1つの特定の同一性試験を常に実施するという約束

 を含めよ。

・各成分の製造業者から得られたCOAの信頼性を評価するために全ての成分を試験して得られた

 結果のサマリ

 COAのバリデーションプログラムについて述べた貴社の標準操作手順書を含めよ。

・貴社が製造した医薬品を試験する契約施設の適格性評価と監督に関する貴社のプログラムの

 サマリ

・成分、容器、蓋の全ての供給者がそれぞれ適格性を評価され、原材料には、適切な使用期限

 またはリテストの日付が付与されているかどうかを判断するための、貴社の原材料システムの

 包括的で独立したレビュ

 レビュは、入荷した原材料の管理が、不適切な成分、容器、蓋の使用を防ぐために適切かどうか

 の判断も含むべきである。

 

●指摘2

貴社は、ロットが既に出荷されているかどうかに関わらず、ロットや成分の規格に対する説明の

つかない不一致や不具合を徹底的に調査することを怠った。

<指摘2詳細>

貴社の、OOSの試験結果の調査は不完全で、結論の科学的な裏付けを含まず、適切なCAPAが不足して

いる。

例えば、SPF30の日焼け止めのロットXXを試験している間に、貴社は、有効成分メラジメートは

80.1%、有効成分オクチサレート81.9%(リリース試験規格:それぞれXX%とXX%)の不適合の分析

結果を得た。調査中、貴社は、最初の不合格の結果を確認した。それから貴社はラベルのない最終

製品の3つの箱の上部、中部、下部から新しいサンプルを収集し、合格の結果を得た。貴社は、COA

の合格結果の平均を報告し、製品をリリースした。本格的な調査(例:製造工程)を実施することなく、

貴社は、最初の不合格の結果は、製造のはじめに加熱された充填ノズルが、最初のサンプルを充填

する際に急冷されたことによるとした。

貴社のCAPAは、製造の開始時にいくつが廃棄されるかを作業者と話し合うことだった。貴社は、

今後、いかに加熱したノズルの影響を除去または軽減するかについて決定することを怠った。

貴社は回答で どの程度の手順や工程の変更を文書化する必要があるかを認識していなかった

述べた。貴社は、適切な根本原因を判断し、再発を防ぐために適切なCAPAを特定し、CAPAの効果を

測定するための調査システムをいかに改善するかについて対処していなかったので、貴社の回答は

不十分である。

不具合、規格外、傾向外、その他の予期しない結果の取り扱いや、調査の文書化に関する詳細の

情報は、FDAのガイダンス文書Investigating Out-of-Specification(OOS) Test Results for Pharmaceutical Production

を見よ。

この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:

・現在アメリカ市場にあり、この文書の日付時点で有効期限内にあるアメリカ向け製品の無効化

 された全てのOOS(工程内試験、リリース/安定性試験を含む)の結果の回顧的で独立したレビュと、

 各OOSに関する以下の情報を含む分析の結果を要約したレポート:

 〇無効化されたOOSの結果に関する科学的正当性とエビデンスが決定的または非決定的でも、原因

  となる試験のエラーを示しているかどうかの判断

 〇決定的に試験の根本原因を確証した調査に関し、論理的根拠を提出し、同じまたは類似の根本

  原因に対して脆弱な他の全ての試験方法が改善のために特定されていることを保証せよ。

 〇回顧的レビュで、試験の根本原因が非決定的、または、根本原因がないと判明した全てのOOS

  結果について、製造の徹底的なレビュ(例:バッチの製造記録、製造手順の妥当性、装置/設備の

  適合性、原材料のばらつき、工程の能力、逸脱の履歴、苦情の履歴、ロットの不具合の履歴)

  含めよ。

  各調査に関し、潜在的な製造の根本原因と、製造作業の改善のサマリを提出せよ。

 〇貴社のOOSの結果の調査システムに関する包括的なレビュと改善計画

  CAPAには、これに限定されないが、以下の対処を含めよ。

  *試験の調査の品質部門の監督

  *有害な試験の管理傾向の特定

  *試験のばらつきの原因の解決

  *試験の原因が決定的に特定できない場合はいつでも潜在的な製造の原因の徹底的な調査の

   開始

  *各調査とそのCAPAの適切な範囲の決定

  *これら及びその他の改善を含む改訂されたOOSの調査の手順

・貴社の逸脱、不一致、苦情、OOSの結果、不具合の調査に関する全てのシステムの包括的で独立

 したアセスメント

 このシステムを修正するための詳細なアクションプランを提出せよ。貴社のアクションプラン

 には、これに限定されないが、調査能力、範囲の決定、根本原因の評価、CAPAの効果、品質保証

 部門の監督、文書化された手順の大幅な改善を含むべきである。調査の全ての段階が適切に実施

 されることを貴社がいかに保証するつもりかについて説明せよ。

・貴社の変更管理システムの包括的で独立したアセスメント

 このアセスメントには、これに限定されないが、変更が理にかなっていて、レビュされ、品質保証

 部門 に承認されていることを保証するための手順を含むべきである。貴社の変更管理プログラム

 は、変更の効果を判断する規定も含むべきである。

 

●指摘3

貴社は、成分、医薬品の容器、蓋、中間材料、ラベル、医薬品が同一性、濃度、品質、純度の適切な

基準に一致していることを保証するために設計された、科学的に妥当で適切な規格、標準、サンプ

リング計画、テスト手順を含む品質の管理を制定することを怠った。

<指摘3詳細>

貴社には、エタノールベースの手指の消毒剤の製品が出荷のためにリリースされる前に、分析、有効

成分の同一性、不純物の限界(例:メタノール)に関する試験をするための分析機器と適切な試験方法

が不足していた。製品は、リリースや出荷の前に同一性、濃度、品質、純度に関して試験されなければ

ならない。

さらに、成分として使用される水及びOTC医薬品の中の微生物を検知するために貴社の微生物の試験方法

が適切であることを示すことも怠っていた。また、貴社は、最終製品の微生物試験に使用される培地の

複数のロットの成長促進試験を実施することも怠っていた。

貴社は、メタノールの含有量について、エタノール原薬を試験する必要性を認識しておらず、貴社の

微生物試験手順はまだバリデートしていないと述べた。また、貴社は、分析試験機器の設置と、微生物

試験室の設置が保留になっていると述べた。貴社は、貴社の有効成分の同一性または、OTC医薬品の

不純物を検証するために保管サンプルを試験することを約束しなかった。

我々は、貴社の回答内で是正箇所として提供されたローション内のオキシベンゾン、オクチノキサート、

メラジメート、及び、オクチサレートに関する分析方法01-146.02のバリデーションを評価し、それが

不十分であることに気付いた、貴社は、貴社の方法バリデーションのプロトコルに従っておらず、バリ

デーションの試験実施後はじめて合格基準や製品規格の上限を設定した。貴社は、適切な正確さと精度

で各有効成分を定量化する方法の能力を示すために、サンプル母体、分解物、不純物からの干渉の

可能性を試験しなかった。最後に、追加の方法バリデーションをせずに、この方法が日焼け止め

ローション製剤だけでなく、ワックスベースのリップクリームにとっても使用が妥当であるとみなした。

貴社は、正確性、感度、特異性、試験の再現性を保証するために、分析方法と手順を制定し、バリデート

または検証しなければならない。

FDAが分析方法バリデーションの適切な要素と考える一般原則とアプローチに関し、FDAのガイダンス

文書Analytical Procedures and Methods Validation for Drugs and Biologicsを見よ。

この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:

・メタノール、ベンゼン、アセタール、アセトアルデヒドと、リリースされ出荷された全ての手指の

 消毒剤の試験結果

・貴社の試験の業務、手順、方法、装置、文書、分析者の能力に関する包括的で独立したアセスメント

 このレビュに基づき、貴社の試験システムを修正し、効果を評価するための詳細な計画を提出せよ。

・ロットの処遇を判断する前に貴社の医薬品の各ロットの分析に使用される試験方法を含む、化学及び

 微生物の規格のリスト

 〇この文書の日付時点で使用期限内にあるアメリカに出荷された医薬品の全てのロットの品質を判断

  するために保管サンプルの化学及び微生物の全ての試験を実施するためのアクションプランと

  タイムライン

 〇各ロットの保管サンプルから得られた全ての結果のサマリ

  それらの試験で基準以下の品質が明らかになった場合、顧客への通知や製品の回収等の迅速な是正

  処置をとれ。

 

●指摘4

貴社は、貴社が製造する医薬品が、それが持つとされる同一性、濃度、品質、純度を持っていることを

保証するために設計された製造及び工程の管理に関する文書化された手順を制定することを怠った。

<指摘4詳細>

貴社は、貴社の医薬品を製造するために使用されている製造工程を適切にバリデートし、貴社の工程が

再現可能で、均一な性質と品質の医薬品を一貫して製造するために管理されていることを示すことを

怠った。

プロセスバリデーションは、その工程のライフサイクルを通じて、設計と工程の管理状態の安定性を

評価する。製造工程のそれぞれの重要な段階は、適切に設計され、投入原材料、中間材料、最終製品の

品質を保証しなければならない。工程の適格性評価の検証は、初期の管理状態が定着しているかどうか

を判断する。商品流通前に、工程の適格性評価の検証を成功させる必要がある。その後、貴社が製品

のライフサイクルを通じて安定した製造作業を維持していることを保証するために工程性能と製品品質

の継続的で慎重な監視が必要である。

貴社は回答で、OTC医薬品のプロセスバリデーションはまだ行っていないと述べた。貴社はこの

作業を完了するための計画とタイムラインの提出を怠っているので、貴社の回答は不十分である。

FDAがプロセスバリデーションの適切な要素と考える一般原則とアプローチに関する、プロセスバリ

デーションについての更なる情報については、

FDAのガイダンス文書Process Validation : General Principles and Practices を見よ。

この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:

・製品のライフサイクルを通じて管理状態を保証するための、関連する手順も添えた、貴社のバリデー

 ションプログラムの詳細なサマリ

 継続的な管理状態を保証するための、工程性能の適格性評価、ロット内及びロット間のばらつきの

 継続的なモニタリングに関する貴社のプログラムについて述べよ。

・貴社の市販されている各医薬品の適切な工程性能適格性評価を実施するためのタイムライン

・貴社の工程性能プロトコル、機器及び設備の適格性評価に関する文書化された手順を含めよ。

・継続的な管理状態を保証するための、ロット内及びロット間のばらつきの慎重なモニタリングを

 含む貴社の各製造工程の設計、バリデーション、維持、管理、モニタリングに関する詳細な

 プログラムを提出せよ。貴社の機器及び装置の適格性評価に関するプログラムも含めよ。

 

●指摘5

貴社は、医薬品の安定性を評価し、適切な保管条件と使用期限を決めるために安定性試験の結果を使う

ために設計された文書化された試験プログラムに従うことを怠った。

<指摘5詳細>

貴社は、3年というラベルに表示された使用期間を通じて、貴社の医薬品の化学及び微生物学的特性が

許容可能な状態であることを示すための適切な安定性データを持っていない。査察中、貴社は、3年という

ラベル表示された使用期間は、安定性の検証により裏付けされていると主張した。しかし、査察中、貴社

はその検証を提出できなかった。貴社は、適切な安定性のデータなしに、医薬品に付与された使用期間を

通じて制定された規格や事前に定められた全ての品質基準を満たすことを保証できない。

貴社は回答の中で、バリデートされた安定性試験を開始するためのリソースを持っていないと述べ、貴社

の医薬品に関し安定性の検証を実施する全ての要件を認識していないと述べた。貴社は、ガスクロマト

グラフを設置し、機器の適格性を評価したら、適切な使用期限を決めるために各医薬品について安定性の

検証を開始すると約束した。この作業を完了させるための計画とタイムラインを提出していないので、

貴社の回答は不十分である。

この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:

・貴社の安定性プログラムの妥当性を保証するための包括的で独立したアセスメントとCAPAの計画

 貴社の修正されたプログラムは、これに限定されないが、以下のことを含むべきである:

 〇安定性を示す方法

 〇出荷が許可される前の、販売されている容器密閉システムにおける各医薬品の安定性の研究

 〇使用期間が妥当であるかどうかを判断するために、毎年各製品の代表的なロットがプログラムに

  追加されるような継続的なプログラム

 〇各段階(タイムポイント)で試験される特性の詳細な定義

・改善された安定性プログラムの、これら及びその他の要素を説明する全ての手順

 

●施設での繰り返しの違反

FDA2017年に発行されたウォーニングレターDEN-17-07-WL20201月に開催された規制会議、2007

9月、20112月、20165月、20182月、20199月に実施された査察で、同様のCGMP違反や査察結果

について指摘している。貴社は、回答の中で、指摘された違反や査察結果を修正することを約束して

いた。繰り返しの不具合は、経営陣の医薬品製造の監督と管理が不十分であることを示している。

 

CGMPコンサルタントの推奨

貴社は繰り返しの違反の是正を怠っているので、我々は、CGMPの要件を満たすように貴社を支援する

ために、21 CFR 211.34に規定された適格性のあるコンサルタントを雇うことを強く勧める。貴社の

コンサルタントの使用は、CGMPを順守するための貴社の義務を軽減するものではない。貴社の経営陣

には、継続的なCGMP順守を保証するために、全ての不備とシステムの欠陥を解決する責任が残る。

 

●結論

この文書で挙げた違反は、貴社の製造所に存在する違反の包括的なリストでもない。貴社には、違反

を調査し、原因を判断し、再発やその他の違反の発生を防止する責任がある。

全ての違反を速やかに是正せよ。この問題への即座の適切な対処の不履行は、制限のない差し押さえ、

強制命令を含む、さらなる通知のない制限または法的なアクションにつながるかもしれない。未解決の

違反は、他の連邦機関の契約授与も妨げるかもしれない。

違反への対処の不履行は、FDAの輸出証明の発行の差し控えにもつながるかもしれない。全ての違反に

完全に対応がされ、我々が貴社のCGMPの遵守を確認するまで、FDAは貴社の医薬品製造業者としての

新しい申請やリストの補完の承認を保留するだろう。我々は、貴社が全ての違反に対する是正処置を

完了したことを確認するために再査察を行うかもしれない。

 

出典:https://www.fda.gov/inspections-compliance-enforcement-and-criminal-investigations/warning-letters/yusef-manufacturing-laboratories-llc-621026-02082022

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

CMS#618333

202176日~728日のカリフォルニア州の製造所の査察でみつかった医薬品製造の重大なCGMP違反

について発した202231日付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。

 

●指摘1

貴社は、そのロットが既に出荷されたかどうかに関わらず、その規格を満たすために、ロットまたは

その成分の説明のつかない不一致や不具合を徹底的に調査することを怠った。

<指摘1詳細>

貴社はOTC医薬品のいくつかのロットに関し、規格外(OOS)の分析結果を調査することを怠った。

例えば、貴社の医薬品XXロットXX内のサリチル酸の分析試験で、1.93%1.90%(リテスト)を含む結果

が明らかになった。この重要な製品の特性に関する貴社の規格は、XX% - XX%だった。

調査のための貴社の品質システムは不十分で、安全で有効な医薬品の一貫した製造を保証していない。

貴社は回答の中で、適切に調査するためのリソースと職員が不足していると述べた。貴社は、より

包括的な是正処置と予防処置(CAPA)のプログラムを開発し職員を訓練するつもりであるとも述べた。

貴社の回答は不十分である。貴社は根本原因を判断するために適切に評価し、OOSの結果の影響を評価

することを怠った。さらに、貴社は、全ての潜在的な不一致が適切に調査されていることを保証する

ために使用期限内で、販売された全てのロットの回顧的なレビュを提出しなかった。

この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:

・査察初日の日付から過去3年の、最終的にアメリカに販売されたかどうかにかかわらず、アメリカ向け

 製品の全ての無効化されたOOS(工程内試験とリリース/安定性試験を含む)の結果の回顧的で独立した

 レビュと、各OOSについて以下のことを含む、分析結果をまとめたレポート:

 〇無効化されたOOSの結果に関する科学的正当性及びエビデンスが、決定的にまたは決定的でなくても、

  原因として試験のエラーを示しているかどうかを判断せよ。

 〇最終的に試験を根本原因とした調査について、論理的根拠を提出し、同じまたは類似の根本原因に

  対して脆弱な他の全ての試験方法が修正のために特定されていることを保証せよ。

 〇回顧的レビュにより、根本原因が決定的でないか、根本原因がないとされた全てのOOSの結果に

  ついて、製造の徹底的なレビュ(例:バッチ製造記録、製造ステップの妥当性、機器/設備の適合性、

  原材料のばらつき、工程性能、逸脱の履歴、苦情の履歴、ロットの不具合の履歴)を含めよ。各調査

  について、潜在的な製造の原因と、製造作業の改善のサマリを提出せよ。

・貴社のOOSの結果の調査システムに関する包括的なレビュと修正計画

 CAPAは、これに限定されないが、以下のことへの対処を含むべきである:

 〇試験の調査の品質部門の監督

 〇有害な試験管理の傾向の特定

 〇試験のばらつきの原因の解決

 〇試験の原因が決定的に特定できない場合はいつでも潜在的な製造の原因の徹底的な調査の開始

 〇各調査そのCAPAの適切な範囲の決定

 〇これら及びその他の修正を含む、OOS調査手順の改訂

・貴社の逸脱、不一致、苦情、OOSの結果、不具合の調査に関する全てのシステムの包括的で独立した

 アセスメント

 このシステムを修正するための詳細なアクションプランを提出せよ。貴社のアクションプランには、

 これに限定されないが、調査能力、範囲の決定、根本原因の評価、CAPAの効果、品質保証部門の監督、

 文書化された手順の大幅な改善を含むべきである。調査の全ての段階が適切に実施されることを貴社

 がいかに保証するつもりかについて説明せよ。

・貴社のCAPAプログラムの独立したアセスメントと修正計画

 プログラムが効果的な根本原因の分析を含み、CAPAの効果を保証し、調査の傾向を分析し、必要に

 応じてCAPAプログラムを改良し、最終的に品質部門が判断を実施し、経営陣に完全にサポートされて

 いるかどうかを評価するレポートを提出せよ。

 

●指摘2

貴社は、同一性と、純度、濃度、品質に関する全ての文書化された規格への一致について、各成分の

サンプルを試験することを怠った。また貴社は、適切な間隔で、貴社の成分供給者の分析試験の信頼性

をバリデートし、確証することを怠った。

<指摘2詳細>

貴社は、医薬品XXのロットXXの有効成分であるサリチル酸を含む、貴社の医薬品の製造で使用される

成分の各ロットの同一性試験を実施することを怠った。さらに貴社は、成分の仕様と特性に関し、

各供給者の分析証明書(COA)の信頼性を確証していなかった。

これは、20134月の前回のFDA査察からの繰り返しの指摘である。

適切な試験をしなければ、貴社は、原材料が医薬品の製造に使用する前に適切な規格に一致するという

科学的なエビデンスを持っていない。

貴社は回答の中で、純度と同一性に関する成分の試験を含む標準操作手順(SOP)を開発する予定である

と述べた。また貴社は、原材料成分の取り扱い方法について技術者を教育する予定であるとも述べた。

貴社の回答は不十分である。貴社は、各成分について適切な受入試験が実施されることを保証する手順

の詳細、即ち、COAに対する完全な試験、または、供給者の信頼性に基づいて選択された品質特性(識別

以外)に関する制限試験を実施するための適切な正当性を提出することを怠った。また貴社は、ベンダ

のアンケート以外に、供給者の適格性プログラムのその他の要素について説明をしなかった。さらに、

貴社は、全ての品質特性が規格を満たしていることを保証するために、以前、医薬品の成分に使用

された保管サンプルを試験するための計画を提出することを怠った。

この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:

・成分、容器、蓋の全ての供給者がそれぞれ適格性評価をされていて、原材料は適切な使用期限または

 リテストの日付が付与されているかどうかを判断するための、貴社の原材料システムの包括的で独立

 したレビュ

 レビュは、不適切な成分、容器、蓋の使用を防ぐために入荷した原材料の管理が適切かどうかの判断

 も含めるべきである。

・製造に使用するための入荷した成分の各ロットを試験しリリースするために使用している化学及び

 微生物の品質管理の規格

・同一性、濃度、品質、純度に関し、全ての適切な規格への一致について、各成分のロットを貴社が

 いかに試験するかの説明

 もし貴社が各成分のロットの濃度、品質、純度に関するテストを実施する代わりに供給者のCOAの結果

 を受け入れるつもりなら、初期のバリデーションと定期的な再バリデーションを通じて供給者の結果

 の信頼性をいかに慎重に確証するつもりかを明記せよ。さらに、入荷した成分の各ロットについて

 少なくとも1つの特定の同一性試験を常に実施するという約束を含めよ。

・各成分の製造業者から得たCOAの信頼性を評価するための、全ての成分の試験から得られた結果の

 サマリ

 このCOAのバリデーションプログラムを述べた貴社の標準操作手順を含めよ。

・貴社が製造した医薬品の試験をする契約施設の適格性評価と監督に関する貴社のプログラムのサマリ

 

●指摘3

貴社は、貴社が製造した医薬品が、それが持つとされる同一性、濃度、品質、純度を持つことを保証

するために設計された製造及び工程管理に関する文書化された手順を制定することを怠った。

<指摘3詳細>

貴社は、貴社のOTC医薬品を製造するために使用される工程をバリデートし、機器の適格性評価を実施

することを怠った。具体的には、貴社は、多数のOTC医薬品に関し、適切な工程性能適格性評価(PPQ)

完了していなかった。また、貴社は安定した製造作業と一貫した医薬品の品質を保証するために工程管理

をモニタするための厳格で継続的なプログラムを持っていない。また貴社は、調合及び充填装置の性能

適格性評価を適切に実施することも怠った。

工程の適切なバリデートと、装置の適格性評価を実施せずに、貴社の製造工程が所定の品質特性を満たす

製品を一貫して製造できると示すことはできない。

これは、20134月の前回のFDA査察と、2014124日に発行された無題の文書の違反リストからの

繰り返しの指摘である。

貴社は回答の中で、包括的な製造と工程管理のプログラムを実装し、貴社の従業員を教育するつもりで

あると述べた。又貴社は貴社の据付時適格性評価と運転時適格性評価の手順を統合するために性能適格性

評価の手順を開発するつもりであるとも述べた。貴社の回答は不十分である。貴社は、新しい手順と

プロトコルの詳細を提出することを怠った。また貴社はこれらの計画の実施に関するタイムラインの提出

も怠った。

この文書への回答の中で、以下の情報を提出せよ:

・製品のライフサイクルを通して管理状態を保証するための関連手順も添えたバリデーションプログラム

 の詳細なサマリ

 工程の性能適格性評価(PPQ)と、継続的な管理状態を保証するためのロット内及びロット間のばらつき

 の継続的なモニタリングに関する貴社のプログラムについて述べよ。

・販売されている貴社の各医薬品の適切なPPQの実施に関するタイムライン

・装置及び設備の適格性評価に関する貴社の工程性能プロトコルと文書化された手順

・継続的な管理状態を保証するためのロット内及びロット間のばらつきの慎重なモニタリングを含む、

 貴社の各製造工程の設計、バリデーション、維持、管理、モニタリングに関する詳細なプログラム

 装置及び設備の適格性評価のためのプログラムも含めよ。

・製造工程が適切な規格と製造の標準を一貫して満たすよう、ばらつきの全ての原因を特定し管理する

 データ駆動型の科学的に妥当なプログラムが存在することを保証するための医薬品の各工程のアセス

 メント

 このアセスメントには、これに限定されないが、装置の使用目的への適合性、モニタリング及び試験

 システムの検知能力の十分性、投入原材料の品質、各製造工程の手順と管理の信頼性の評価を含めよ。

 

●指摘4

貴社は、公式またはその他の制定された要求を超えて、医薬品の安全性、同一性、濃度、品質、純度を

変える誤動作や汚染を防止するために、適切な間隔で機器及び器具を洗浄、維持、医薬品の性質に応じて

消毒/滅菌することを怠った。

<指摘4詳細>

貴社は、OTC医薬品と化粧品の両方を製造するために使用される共有装置から汚染物質を除去するために

貴社の洗浄及び消毒の業務が十分であると示すことを怠った。例えば、貴社のXXを製造するために使用

される装置は、貴社の医薬品XXXXの製造に使用するのと同じ装置であったが、貴社には洗浄バリデー

ションの検証が不足していた。

洗浄中の製造装置からの有効成分や残留物の不十分な除去は、貴社の医薬品の交叉汚染につながる可能性

がある。

これは、20134月の前回のFDA査察と、2014124日に発行された無題の文書の違反リストからの

繰り返しの指摘である。

貴社は回答の中で、OTC医薬品製造のために使用される全ての装置の洗浄バリデーションを開発し実施

すると述べた。貴社の回答は不十分である。貴社は、バリデーション計画の詳細の提出を怠った。また

貴社は、この計画の実施のためのタイムラインも提出しなかった。

この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:

・交叉汚染の危険の範囲を評価するための貴社の洗浄の効果の包括的で独立した回顧的アセスメント

 残留物の特定、不適切に洗浄された可能性のある他の製造装置、交叉汚染された製品が販売のために

 リリースされた可能性があるかどうかのアセスメントを含めよ。アセスメントは、洗浄手順と業務の

 不備を特定し、複数製品の製造に使用される製造装置を網羅せよ。

・貴社の洗浄及び消毒プログラムの手順と業務の適切な修正と、完了までのタイムラインを含む、洗浄

 及び消毒プログラムの回顧的アセスメントに基づくCAPAの計画

 装置の洗浄及び消毒のライフサイクル管理に関する貴社の工程の脆弱性の詳細なサマリを提出せよ。

 洗浄効果の向上、全ての製品と装置のための適切な洗浄及び消毒の継続的な検証の改善、その他の

 必要な全ての修正を含む、洗浄及び消毒プログラムの改善について述べよ。

・貴社の医薬品製造作業におけるワーストケースとして特定された条件を取り入れることに特に重点を

 置いた貴社の洗浄バリデーションプログラムへの適切な改善

 改善には、これに限定されないが、以下の全てのワーストケースの特定と評価を含むべきである:

 〇より高い毒性を持つ医薬品

 〇より高い有効性を持つ医薬品

 〇洗浄溶液の中でより低い溶解度の医薬品

 〇洗浄を難しくする特性を持った医薬品

 〇洗浄を最も難しくする拭き取り場所

 〇洗浄前の最大保持時間

 さらに、新しい製造装置や新しい製品を導入する前に、貴社の変更管理システムでとられるべき手順

 を述べよ。

・製品、工程、装置の洗浄手順の検討とバリデーションのための適切なプログラムが実施されている

 ことを保証する改訂されたSOPのサマリ

 

●未承認の新薬と虚偽表示

省略

 

●品質部門の権限

この文書内の、貴社の査察の履歴と重大な指摘は、貴社の品質部門がその権限と責任を完全に果たして

いないことを示している。貴社は、品質部門がその責任を果たし一貫して医薬品の品質を保証するため

に、適切な権限とリソースを提供しなければならない。

 

●施設での繰り返しの査察結果と違反

201345日の前回の査察と、2014124日の無題の文書でFDAは同様のCGMPの査察結果と違反ついて

挙げている。貴社は回答の中で、これらの指摘事項と違反について具体的な修正を提案した。繰り返し

の不具合は、経営陣の医薬品製造の監督と管理が不十分であることを示している。

 

●規格外(Out-of-Specification)の結果

不具合、OOS、傾向外、その他の予期しない結果の取扱いと、調査の文書化に関する更なる情報は、

FDAのガイダンス文書Investigating OOS Test Results for Pharmaceutical Productionを見よ。

 

●工程管理

貴社には、安定した製造作業と一貫した医薬品品質を保証するための工程管理のモニタリングのための

継続的なプログラムが不足している。FDAが工程のバリデーションの適切な要素と考える一般原則と

アプローチに関し、FDAのガイダンス文書Process Validation : General Principles and Practices

を見よ。

 

CGMPコンサルタントの推奨

我々が貴社で発見した違反の性質に基づき、また、貴社が繰り返し、違反の是正を怠っていることから、

我々はCGMPの要件を満たすように貴社を支援するために、21 CFR 211.34に規定された適格性のある

コンサルタントを雇うことを強く勧める。貴社のコンサルタントの使用は、CGMPを順守するための

貴社の義務を軽減するものではない。貴社の経営陣には、継続的なCGMP順守を保証するために、全て

の不備とシステムの欠陥を解決する責任が残る。

 

●結論

この文書で挙げた違反は、貴社の製造所に存在する違反の包括的なリストでもない。貴社には、違反

を調査し、原因を判断し、再発やその他の違反の発生を防止する責任がある。

全ての違反を速やかに是正せよ。この問題への即座の適切な対処の不履行は、制限のない差し押さえ、

強制命令を含む、さらなる通知のない制限または法的なアクションにつながるかもしれない。未解決

の違反は、他の連邦機関の契約授与も妨げるかもしれない。

違反への対処の不履行は、FDAの輸出証明の発行の差し控えにもつながるかもしれない。全ての違反

に完全に対応がされ、我々が貴社のCGMPの遵守を確認するまで、FDAは貴社の医薬品製造業者としての

新しい申請やリストの補完の承認を保留するだろう。我々は、貴社が全ての違反に対する是正処置を

完了したことを確認するために再査察を行うかもしれない。

 

出典:https://www.fda.gov/inspections-compliance-enforcement-and-criminal-investigations/warning-letters/generitech-corporation-618333-03012022

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

まとめ

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

いかがでしたでしょうか。

 

Out-of-Specificationの調査不足、供給者のCOAの信頼性の検証不足の指摘は、ほぼ毎回登場する内容

ですが、皆様の会社ではいかがでしょうか。

OOSの根本原因が特定できない場合、どこまで、そして、いつまで調査をするか。

・供給者との関係性も含め、いろいろな事情がある中で、供給者の管理をどこまで徹底するか。

この指摘は万国共通の課題のように思います。

 

話は変わるのですが、今回取り上げた2件とも、FDAの指摘内容に対して、リソースが不足していると

回答しているのが印象的でした。

ウォーニングレターの中で、今までこのような回答を見たことがなかったので驚かされました。

と同時に、親近感を覚えてしまいました。

 

☆次回は、5/15(日)に配信させていただきます。

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

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