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2022.02.15
【最近のウォーニングレター】ASTROM通信<236号>
こんにちは。
ASTROM通信担当の橋本奈央子です。
立春を過ぎてもまだまだ寒い日が続いていますがいかがお過ごしでいらっしゃいますか。
今回は、久しぶりに、FDAがアメリカ国内ではなく国外の製薬会社向けに出したウォーニング
レター3件を取り上げ、FDAがどのような点を指摘したかを確認していきたいと思います。
最後までお読みいただければ幸いです。
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最近のウォーニングレターの概要
注:文中のXXはウォーニングレターでマスキングされている文言及び具体的な社名・品名等です。
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■Warning Letter 320-22-05■
FDAが2021年6月16日~6月24日に中国の医薬品製造施設を査察してみつかつた医薬品製造に
関する重大なCGMP違反について発した2021年11月23日付ウォーニングレターには、下記の
指摘事項があげられています。
査察中、我々査察官は、これに限定されないが、下記の内容を含む明確な違反を発見した。
●指摘1
貴社は、無菌をうたう医薬品の微生物汚染を防ぐために設計された全ての無菌及び滅菌工程
を含む文書化された手順を制定しそれに従うことを怠った。
<指摘1詳細>
貴社は、貴社の製造工程が塩酸ナファゾリン0.1%を含む充血用OTC目薬の微生物汚染を防ぐ
能力があることを示すことを怠った。例えば、
・微生物汚染を防ぐための適切な管理をせずに、Grade Dクリーンエリア内で非無菌医薬品
としてXXを製造した。
・貴社は、無菌医薬品の製造に適した手順を制定しバリデートすることを怠った。
・貴社は、貴社の目薬の製造に使用される滅菌装置に関する適切に文書化された手順を定め、
それに従うことを怠った。
・貴社は、貴社の目薬を製造するために使用されるエリアの適合性を保証するための環境条件
のモニタリングのための適切なシステムを定めることを怠った。
・貴社は、リリース前に、無菌試験または微粒子や異物に関する試験を実施せずにアメリカ
市場にXXの複数ロットを出荷した。
貴社は回答の中で、非無菌の点鼻薬としてXXを製造しリリースしたので、無菌医薬品の製造に
関する要件は当てはまらないと述べた。貴社は、無菌試験と微粒子や異物の目視試験は必要
ないとも述べた。さらに貴社は、製造エリア内の環境モニタリング(EM)はXXが実施されるべき
であると述べた。
貴社の回答は不適切である。貴社の医薬品は、目薬としてラベルが貼られ、目に使用する
説明書を含んでいる。それゆえに、この医薬品が無菌であることを要求されていないという
貴社の解釈は正しくない。
無菌工程を使って無菌医薬品を製造する場合にCGMP要件を満たす助けとして、FDAのガイダンス
文書Sterile Drug Products Produced by Aseptic Processing – Current Good Manufacturing Practice
を見よ。
我々は、貴社が使用期限内にあるアメリカ市場に出荷された全てのロットの自発的回収を
開始したことを認識している。
この文書への回答の中で以下の情報を提供せよ:
・無菌工程、装置、設備に関する全ての汚染の危険の、これに限定されないが以下のことを
含む独立したアセスメントも加えた包括的なリスクアセスメント
〇ISO 5エリア内の全ての人の相互作用
〇装置の配置と人間工学
〇ISO 5エリア内及び周辺の部屋の空気の品質
〇設備のレイアウト
〇人のフローと原材料のフロー(無菌作業を実施しサポートするために使用される全ての部屋
のあらゆる場所)
・汚染の危険のリスクアセスアセスメントで発見したものに対処するための、タイムライン
付きの詳細な改善計画
無菌工程の作業の設計と管理に実施される具体的な改善を述べよ。
・貴社の医薬品XXのライフサイクルを通じて管理状態を保証するための、手順を伴うバリデー
ションプログラムの詳細なサマリ
工程の性能適格性評価に関するプログラムと、継続的な管理状態を保証するための、ロット内
及びロット間のばらつきの継続的なモニタリングについて述べよ。
・販売されている貴社の医薬品の工程の性能適格性評価を実施するためのタイムライン
・貴社の工程性能のプロトコルと、装置の適格性評価及び消毒に関する文書化された手順
・商用生産の最悪条件のシミュレーションを保証する培地充填プログラムの包括的サマリ
さらに、増殖する微生物の存在に関し、貴社がどうユニットを調べるか、また、ロットの収率
の照合をいかに実施するか、詳細を述べよ。関連する全ての標準操作手順を含めよ。
・無菌工程ライン上の気流のパタンを完全に評価するための静的・動的条件のもので実施される
煙の研究
煙の研究の独立したアセスメントを提出せよ。
・以下のことを含む最新の環境モニタリング
〇サンプリングの頻度、場所、継続時間、サンプルのサイズ、具体的なサンプリングの装置
と技術
〇それぞれの場所の活動とアラート限度、その機能とISO区分の記述
〇限界値を超えた環境モニタリングの結果の調査に関する指図
〇環境モニタリングのサンプル内で検知された微生物の特定
・貴社の目薬に関する適切なロットリリース規格(即ち、総菌数、好ましくない微生物を検知
するためのバイオバーデンの確認)
・貴社の目薬を分析するために使用される全ての化学的・物理的・微生物的試験方法
●指摘2
貴社は、医薬品の安定性を評価するために設計され適切に文書化された試験プログラムを制定し
それに従うことと、適切な保管条件や使用期限を決定するために安定性試験の結果を使用する
ことを怠った。
<指摘2詳細>
査察中、貴社は、貴社の医薬品XXの文書化された安定性プログラムを持っていないことを認めた。
また、ラベルに表示された3年の使用期間を通じて受容可能なままであるはずの無菌性を含む、
その化学的・物理的・微生物的特性を示すためのデータを提供することができなかった。
貴社は回答の中で、今後の医薬品のロットに関し3年の使用期限を裏付けるための安定性
プロトコルを制定したと述べた。
貴社の回答は不十分である。貴社は、全ての関連する品質特性、合否基準、安定性を示す方法
を含む、安定性のプロトコルと詳細を提出しなかった。
この文書への回答の中で以下の情報を提供せよ:
・貴社の安定性プログラムの適格性を保証するための包括的で独立したアセスメントと
是正処置・予防処置(CAPA)の計画
貴社の改善されたプログラムは、これに限定されないが、以下のことを含むべきである:
〇安定性を示す方法
〇出荷が許可される前の、市販されている各医薬品の容器/施栓系内の安定性の研究
〇うたわれている使用期限が妥当かどうかを判断するために各製品の代表的なロットが
毎年プログラムに追加されるような継続的な安定性プログラム
〇各工程(タイムポイント)で試験される特定の特性の詳細な定義
・貴社の改善された安定性プログラムについて述べた全ての手順
●指摘3
貴社は、そのロットが既に出荷されたかどうかに関わらず、規格を満たすために、ロット
やその成分の説明のつかない不一致や不具合を徹底的に調査することを怠った。
<指摘3詳細>
貴社は説明のつかない不一致や規格外(OOS)の結果を徹底的に調査することを怠った。例えば
・貴社は、原薬塩酸ナファゾリンのロットXXの赤外線スペクトルが標準と異なっていること
が見つかった際、調査を開始しなかった。貴社は、アメリカ市場に販売された目薬の
ロットXXを製造するためにこの原薬を使用した。
・貴社は、ロットXXのリリースのための分析試験中に未知のピークが見つかった際、調査を
行わなかった。
貴社は回答の中で塩酸ナファゾリンのロットXXに関し、新しい外部の試験機関の赤外試験
の結果が標準と一致したと述べた。貴社は最終製品のロットの未知のピークを断定するため
に適格性が評価された試験機関と連絡を取ったとも述べた。
貴社の回答は不十分である。我々は貴社が最近、貴社の原薬のサンプルを含む赤外線試験の
結果の不一致に関し、逸脱処理を開始したことを知っている。しかし貴社は、最初のOOSの
結果を無効化した科学的理由を提出しなかった。さらに貴社は最終製品のロットで検知
された未知のピークの根本原因を特定するための調査と、再発を防ぐためのCAPAを実施しな
かった。
不具合、OOS、OOT、その他の予期しない結果の取り扱いや調査の文書化に関する更なる情報
について、
FDAのガイダンス文書Investigating Out-of-Specification(OOS) Test Results for Pharmaceutical Production
を見よ。
この文書への回答の中で以下の情報を提供せよ:
・アメリカ向け製品の全ての無効化されたOOS(工程内、リリース/安定性試験を含む)の
結果の回顧的で独立したレビュと、以下のOOSを含む分析でみつかったことをまとめた
レポート:
〇無効化されたOOSの結果に関する科学的理由とエビデンスが、最終的に、または、
暫定的に原因となる試験室のエラーを示しているかどうか判断せよ。
〇最終的に試験の根本原因が立証された調査に関し、論理的根拠を提出し、同じまたは
類似の根本原因に対して脆弱な全ての他の試験方法が改善のために特定されている
ことを保証せよ。
〇試験室での暫定的な根本原因が特定されているか、根本原因が特定されていない、
回顧的レビュで見つかった全てのOOSの結果に関し、製造の徹底的なレビュ(例:ロット
の製造記録、製造手順の適格性、装置/設備の適合性、原材料のばらつき、工程の能力、
逸脱の履歴、苦情の履歴、ロットの不具合の履歴)を含めよ。可能性がある製造の原因
と、製造作業の改善のサマリを提出せよ。
●指摘4
貴社は、公的または制定された要求を超えて医薬品の安全性、同一性、濃度、品質または
純度を変える可能性のある誤動作や汚染を防ぐために、医薬品の性質のために適切な洗浄
や保全をし、適切な間隔で、装置や器具を消毒・殺菌することを怠った。
<指摘4詳細>
貴社の製造装置の洗浄バリデーションと検証プログラムは、交叉汚染を防ぐのに不十分で
ある。例えば、
・貴社の洗浄バリデーションは、貴社の目薬の製造に使用される装置に関し、化学物質XX
の検証が不足していた。
・貴社は、貴社の目薬の製造に使用される装置の洗浄に、再利用可能な非無菌の雑巾を
使用した。
・はっきり見えるさびが、貴社の目薬に直接入ってくるXXタンク(F-219-01-001)から
充填ライン(XX)につながるXXの中で見つかった。さらに、充填ラインのコンペヤベルト
にほころびがみつかった。
貴社は回答の中で、XXからさびを取り除き、コンベヤベルトの擦り切れた部分を交換したと
述べた。貴社は、点鼻薬としてXXを製造したので、化学物質XXの検証は洗浄バリデーション
に必要とされていないとも述べた。さらに貴社は、装置の洗浄に無菌の雑巾を使用する必要
はないと述べた。
貴社の回答は不適切である。貴社は、不備に対処し再発を防ぐための包括的なCAPAの計画を
提供することを怠った。前述の通り、貴社の医薬品XXは眼への使用を意図し、それに従って
製造されなければならない。
この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:
・設備や機器の所定の慎重な作業の管理監督を実施するためのCAPAの計画
この計画は、とりわけ、装置/設備の性能の問題の迅速な検知、効果的な修理の実施、
適切な予防保全の計画の順守、装置・設備インフラのタイムリーなアップデート、継続的
なマネジメントレビュのために改善されたシステムを保証すべきである。
・交叉汚染の危険の範囲を評価するための貴社の洗浄の効果の包括的で独立した回顧的アセス
メント
残留物・不適切に洗浄されていたかもしれないその他の製造装置の特定、交叉汚染された
製品が販売のためにリリースされたかどうかのアセスメントを含めよ。アセスメントは、
洗浄の手順や業務の不適切な点を特定し、2製品以上の製造に使用されている製造装置の
各部品も網羅すべきである。
●未承認の新薬と不正表示の違反
省略
●中止された医薬品製造
我々は、アメリカ市場向けの医薬品の製造を中止するという貴社の誓約を認識している。
この文書への回答の中で、貴社が今後この設備でアメリカ市場向けの医薬品の製造を再開
するつもりかどうかを明確にせよ。
●結論
この文書で挙げた違反は、貴社の施設に存在する違反の包括的なリストでもない。貴社には、
違反を調査し、原因を判断し、再発やその他の違反の発生を防止する責任がある。
FDAは、2021年11月4日に輸入警告措置66-40をとった。
全ての違反を速やかに是正せよ。全ての違反に完全に対応され、我々が貴社のCGMPの遵守を
確認するまで、FDAは貴社の製造業者としての新薬の申請やリストの補完の承認を保留する
だろう。
我々は、貴社が全ての違反の是正処置を完了したことを確認するために再査察をするかも
しれない。
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■Warning Letter 320-22-09■
FDAが、FD&C Actに従った記録及びその他の情報の提出の要求に対して韓国のOTC医薬品の
製造業者から2020年4月22日提出された記録をレビュし医薬品製造の重大なCGMP違反について
発した2022年1月6日付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。
●指摘1
貴社は、医薬品の各ロットに関し、リリース前に、各有効成分の同一性、濃度を含む医薬品
の最終規格への適合について、適切な試験の判断をすることを怠った。
<指摘1詳細>
貴社は、ニキビ治療のOTC医薬品を製造している。記録とその他の情報に関する我々の要求
に対する貴社の回答は、貴社が、アメリカへの出荷のために医薬品をリリースする前に、
適切な試験(即ち、分析)を実施していないことを示している。リリース前に適切な試験を
行っていなければ、貴社の医薬品のロットがラベルの宣伝文句に一致することを保証する
科学的なエビデンスはない。
この文書への回答の中で、我々の要求前後にアメリカが輸入した全ての医薬品に関する
以下の情報を提供せよ:
・ロットの処遇を判断する前に貴社の医薬品の各ロットを分析するために使用されている
試験方法を含む化学及び微生物の規格のリスト
・この文書の日付時点で使用期限内にあるアメリカ市場に出荷された医薬品の全てのロット
の品質を判断するための、保管サンプルのすべての化学及び微生物の試験を実施するため
のアクションプランとタイムライン
・各ロットの保管サンプルの試験から得られた全ての結果のサマリ
もしそれらの試験で品質基準を満たさないことが明らかになった場合は、顧客への通知
や製品の回収等の迅速な是正処置をとれ。
●指摘2
貴社は、医薬品の安定性を評価するために設計され文書化された試験プログラムを制定し
それに従うことと、適切な保管条件と使用期限を決定するために安定性試験結果を使用する
ことを怠った。
<指摘2詳細>
貴社は、貴社の医薬品が、ラベルに表示された使用期間を通して要求される品質特性を
持つことを示すための適切な安定性データを提出しなかった。例えば、記録とその他の情報
に関する我々の要求に対する貴社の回答は、貴社が製品を、pH、“粒子”と外観に関する
安定性の検証のみで評価していることを示している。貴社はまた、貴社が、におい、色、
“外観”、微生物的品質を含む、別の品質特性に関し製品を評価していることを示す安定性
試験のレポートも提出した。適切な安定性の検証もなしに、貴社の医薬品がラベルに表示
された使用期間を通して品質特性を保持していることを裏付けるための科学的なエビデンス
はない。
この文書への回答の中で、我々の要求前後にアメリカが輸入した全ての医薬品に関する以下
の情報を提供せよ:
・貴社の安定性プログラムの適格性を保証するための、包括的なアセスメントと、是正処置・
予防処置の計画
〇安定性を示す方法
〇出荷が許可される前の、市販されている各医薬品の容器/施栓系内の安定性の研究
〇宣伝されている使用期限が妥当かどうかを判断するために各製品の代表的なロットが
毎年プログラムに追加されるような継続的な安定性プログラム
〇各工程(タイムポイント)で試験される特定の特性の詳細な定義
・貴社の改善された安定性プログラムについて述べた全ての手順
●指摘3
貴社は、装置の洗浄及び保全に関する適切な文書化された手順を制定しそれに従うことを
怠った。
<指摘3詳細>
貴社は、非医薬品を製造するためにも使用される装置を含む、OTC医薬品を製造するために
使用される、共用の製品に接触する装置に関する洗浄手順をバリデートしていなかった。
装置上の前の製造作業からの化学及び微生物の残留物は、その装置で製造された医薬品の
純度、品質、安全性に悪い影響を与える可能性がある。
この文書への回答の中で、我々の要求前後にアメリカが輸入した全ての医薬品に関する
以下の情報を提供せよ:
・貴社の医薬品製造作業におけるワーストケースとして特定された条件を取り入れること
に特に重点を置いた適切な洗浄バリデーションプログラムの実施
それには、これに限定されないが、以下の全てのワーストケースの特定と評価を含むべき
である:
〇より高い毒性を持つ医薬品
〇より高い有効性を持つ医薬品
〇洗浄溶液の中でより低い溶解度の医薬品
〇洗浄を難しくする特性を持った医薬品
〇洗浄を最も難しくする拭き取り場所
〇洗浄前の最大保持時間
さらに、新しい製造装置や新しい製品を導入する前に、貴社の変更管理システムで取られる
はずの手順を述べよ。
・製品、工程、装置の洗浄手順の検証とバリデーションを実施するための適切なプログラム
を保証する改訂されたSOPのサマリ
●未承認の新薬と不正表示の違反
省略
●結論
この文書で挙げた違反は、貴社の施設に存在する違反の包括的なリストでもない。貴社
には、違反を調査し、原因を判断し、再発やその他の違反の発生を防止する責任がある。
FDAは、2021年9月20日に輸入警告措置66-40をとった。
全ての違反を速やかに是正せよ。
全ての違反に完全に対応され、我々が貴社のCGMPの遵守を確認するまで、FDAは貴社の
製造業者としての新薬の申請やリストの補完の承認を保留するだろう。
我々は、貴社が全ての違反の是正処置を完了したことを確認するために再査察をするかも
しれない。
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■Warning Letter 320-22-10■
FDAが2021年8月2日~8月12日にインドの原薬製造施設を査察してみつかつた原薬製造に
関する重大なCGMP違反について発した2022年1月12日付ウォーニングレターには、下記の
指摘事項があげられています。
査察中、我々査察官は、これに限定されないが、下記の内容を含む明確な違反を発見した。
●指摘1
変更が、貴社の中間体及び原薬の品質に与える影響の可能性を評価することの不履行
<指摘1詳細>
貴社は、原薬XX内の出発原料XX内のXXの許容範囲をXXまで増やすことが原薬XXの品質に
影響を与えるかどうかを十分に評価することを怠った。
XXの上限に関する不合格(例:XXppmの規格に対し、XXppmが観測された)により出発原料XX
の数ロットの初回の不合格を受けて、貴社はXXの合格の上限を増やすことが正当であると
する根拠を示すために、試験室でスケールスタディを実施した。貴社は、出発原料XX内の
XXの上限をXXppmからXXppmに増やす前に、XXの場合にXXによって形成されるXXの不純物
のみを評価し、その他の置換不純物の生成の可能性を検討しなかった。
さらに、出発原料XX内のXXの上限を増やす影響を十分に評価する代わりに、貴社は、
XXにより全ての潜在的な不純物が除去されるという証明もなしに、その時点で原薬XXの
製造工程の大きな承認または実施されたラージスケールではない検証を、潜在的な不純物
を除去するためのスケールスタディの一部として信頼した。最後に、新しい不純物に関し
分析方法が適切かどうかを判断する際、関連する応答係数を決定せずに、既存の関連物質
の分析方法を新しい不純物の検知にも使用した。
貴社の2回目の回答の中で、貴社は、製造工程の一部としていかにこれらの不純物が除去
されるかを示すためのスパイクとパージの検証結果を提出した。しかし、出発原料XXに
対してこの変更が実施される前にこれらの検証が完了されていなかったので、貴社の回答
は不適切である。
この文書への回答の中で、貴社の変更管理システムの包括的で独立したアセスメントを
提出せよ。このアセスメントには、これに限定されないが、変更が正当である根拠が示され、
レビュされ、品質部門により承認されていることを保証する手順を含むべきである。貴社の
変更管理プログラムは、変更の影響を判断するための規定も含むべきである。
●指摘2
品質部門が、重大な逸脱が調査され解決されていることを保証することの不履行
<指摘2詳細>
貴社は不一致を十分に調査していない。出発原料XX内のXXのXXの特定に関するガスクロマト
グラフィ・マス分析法(GC-MS)のメソッド移行中に、貴社は、観測されたピークが割れて
いたために、試験の精度の許容範囲のメソッド移行に失敗した。貴社は調査を実施したが、
装置起因の問題の全ての可能性を検討することを怠ったため調査は不十分だった。不合格
の結果は科学的な論理的根拠もなく無効化され、承認されたメソッド移行レポートの
“直面した問題”や“とられた是正処置”の章に報告されなかった。最終的に貴社は
不合格の結果を汚れた/劣化したカラム、交換されたカラムのせいにし、新しいサンプル
で合格の結果を得た。さらに、不合格の原因を劣化したカラムのせいにした後、貴社は、
その後の分析で条件に合ったカラムのみが使用されることを確実にするための管理を制定
しなかった。
貴社は回答の中で、カラムが不合格の結果の根本原因だったという貴社の考えを再確認し、
しかも、XXのGC-MS法は適切に移行されたことを再確認した。貴社は、不合格の結果は単独
の事象だったと述べた。貴社の2度目の回答の中で、貴社は、不合格となったサンプル内の
XXがなぜピーク割れを示さなかったかを説明するために、“サンプルXXとカラムXXの劣化
したXXとの相互作用”があったと述べた。しかし、もし特定された根本原因がサンプルと
劣化したGC-MSカラムに固有の不安定さであるならば、貴社は、今後のピーク割れを防ぐ
ための装置の管理を準備することも、分析方法が意図したXX試験のために適切かどうかの
検討も怠っていた。
この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:
・逸脱、不一致、苦情、OOSの結果、不合格を調査するための貴社の全てのシステムの
包括的で独立したアセスメント
このシステムを改善するための詳細なアクションプランを提出せよ。貴社のアクション
プランは、これに限定されないが、調査能力、範囲の決定、根本原因の評価、是正処置・
予防処置の効果、品質保証部門の監督、文書化された手順の大幅な改善を含めるべきで
ある。調査の全ての段階が適切に実施されることを貴社がいかに保証するかについて
検討せよ。
・最初の査察の日から3年以内に、最終的にロットがアメリカに出荷されたかどうかに
関わらず、アメリカ向けとして製造された製品の全ての無効化されたOOSの結果(工程内
及びリリース/安定性試験の結果を含む)の回顧的で独立したレビュと、各OOSに関して
以下のことを含む分析でみつかったことをまとめたレポート:
〇科学的な正当化の理由と、無効化された最初のOOSの結果に関連するエビデンスが、
決定的もしくは不確定的に、原因となる試験のエラーを示しているかどうかの判断
〇試験の根本原因を決定的に証明した調査について論理的根拠を提出し、同じまたは
同様の根本原因に対して脆弱な他の全ての試験方法が改善のために特定されている
ことを保証せよ。
〇回顧的レビュで、試験室で不確定な根本原因が特定されたか、もしくは根本原因が
ないとされた全てのOOSの結果について、製造の徹底的なレビュ(例:ロットの製造記録、
製造工程の適格性、装置/設備の適合性、原材料のばらつき、工程の能力、逸脱の履歴、
苦情の履歴、ロットの不合格の履歴)を含めよ。各調査における製造上の根本原因の
可能性のサマリと、全ての製造作業の改善について提出せよ。
・承認されたメソッド移行レポート内に記載されてない全ての不一致に関して、全ての
分析方法と微生物試験の方法をレビュせよ。メソッドが適切に移行され、使用に適して
いることを保証するための適切なアクションをとれ。
●設備における繰り返しの逸脱
2019年7月29日に実施された前回の法規制会議で、FDAは同様のCGMPの逸脱を指摘した。
貴社は、回答の中でこれらの逸脱に関する具体的な改善を提案した。繰り返しの不具合は、
経営陣の監督と医薬品製造の管理が不十分であることを示している。
●CGMPコンサルタント
我々が貴社で確認した逸脱の性質と、繰り返しの逸脱の是正の失敗に基づき、我々は、貴社
の作業を評価し、貴社がCGMP要件を満たすために手伝いをするための適格なコンサルタント
を雇うことを強く勧める。貴社のコンサルタントの使用は、CGMPを順守するための貴社の義務
を軽減するものではない。貴社の経営陣には、継続的なCGMP順守を保証するために、全ての
不備とシステムの欠陥を解決する責任が残る。
●結論
この文書で挙げた逸脱は、貴社の施設に存在する逸脱の包括的なリストでもない。貴社には、
逸脱を調査し、原因を判断し、再発やその他の逸脱の発生を防止する責任がある。
全ての違反を速やかに是正せよ。全ての違反に完全に対応され、我々が貴社のCGMPの遵守を
確認するまで、FDAは貴社の製造業者としての新薬の申請やリストの補完の承認を保留する
だろう。
我々は、貴社が全ての違反の是正処置を完了したことを確認するために再査察をするかも
しれない。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
まとめ
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いかがでしたでしょうか。
コロナ下でも、1件目は2021年6月に中国の製造所で、3件目は2021年8月にインドの製造所
で、FDAがオンサイトの査察を実施していたことがわかります。
それだけリスクの高い製造所だということなのかもしれません。
試験前のリリースや出荷、影響の評価無の変更など、重大なGMP違反の指摘があがって
いました。
コロナで管理レベルが下がったのか、それとも、もともと管理レベルが低かったのか気に
なるところです。
☆次回は、3/1(火)に配信させていただきます。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
インターフェックスWeek大阪のご案内
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
新型コロナの状況次第ではありますが、2022年3月9日~11日に、インターフェックスWeek大阪
(インテックス大阪)への出展を予定しております。
ご来場される方は、是非、弊社ブース【4号館 2-53】にもお立ち寄りいただければ幸いです。
2022.02.01
【最近のウォーニングレター】ASTROM通信<235号>
こんにちは。
ASTROM通信担当の橋本奈央子です。
オミクロンの感染拡大が止まりませんが、いかがお過ごしでいらっしゃいますか。
今回は、FDAがアメリカ国内の製薬会社向けに出したウォーニングレター2件を取り上げ、
FDAがどのような点を指摘したかを確認していきたいと思います。
是非、お読みいただければ幸いです。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
最近のウォーニングレターの概要
注:文中のXXはウォーニングレターでマスキングされている文言及び具体的な社名・品名等です。
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■WL#615319■
2021年5月3日~5月19日にミズーリ州の契約試験研究所を査察してみつかつた医薬品と原薬製造の
重大なCGMP違反について発した2021年9月30日付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげ
られています。
■最終製品の違反
●指摘1
貴社は、そのロットが既に出荷されたかどうかに関わらず、ロットや成分の規格との説明のつか
ない不一致や規格外(OOS)の結果を徹底的に調査することを怠った。
<指摘1詳細>
貴社は説明のつかない不一致や規格外(OOS)の結果を徹底的に調査することを怠った。更に、
調査は、適切な科学的に正当な理由もなく打ち切られた。例えば、
・製品XXのロットXXはXXに分析試験で不合格になった。もともとの製剤のサンプルの再試験も
不合格の結果になった。貴社の研究所の調査は、不合格の根本原因を特定しなかった。貴社は、
科学的に正当な根本原因もなしに、もともとのOOSの結果を無効化するために、再サンプル・
再試験を信頼した。
・貴社は、XXの記録の改竄を検知し、徹底的に調査することを怠った。実際のサイクルがXXの
場合、XXの期間中、XXがログブックに故意に記録された。
貴社は回答の中で、最新のOOSの調査報告を提出し、OOSの不具合は、最初の調査の結果に矛盾
する、不適切なサンプルといった、よく知られた試験のエラーによるものだったと述べた。
貴社の回答は不適切である。貴社には、OOSの結果の根本原因として試験のエラーという修正
された貴社の結論を裏付ける証拠が不足していた。
さらに貴社は、その期間中に生成されたXXの記録をレビュするための調査を最近開始したと
述べた。
貴社の回答は不適切である。貴社の調査は、加圧滅菌器の記録の改竄や、試験中に発生した
データ・インテグリティの他の違反の範囲の包括的なアセスメントが不足していた。
この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:
・現在アメリカ市場にあり、この文書の日付時点で使用期限内の製品に関する全ての無効に
された (工程内及びリリース/安定性試験を含む) OOSの結果の回顧的な独立したレビュと、
各OOSに関する以下のことを含む分析で発見した内容をまとめたレポート:
〇無効化されたOOSの結果に関する科学的な正当化の理由やエビデンスが、決定的に、または、
決定的ではなくても、原因となる試験のエラーを示しているかどうかを判断せよ。
〇試験の根本原因を決定的に立証した調査について、論理的根拠を提出せよ。また、同じ
または類似の根本原因に対して脆弱な他の試験方法が改善のために特定されていることを
保証せよ。
〇回顧的なレビュにより試験で決定的でない根本原因が特定されたかまたは根本原因が特定
されていない全てのOOSの結果について顧客への通知の送付を盛り込め。
・現在アメリカ市場にあり、この文書の日付時点で使用期限内にある製品について、全てのXXの
記録と微生物試験の記録の回顧的で独立したレビュ、
調査結果と適切な改善計画をまとめた報告を提出せよ。
●指摘2
貴社は、権限を与えられた職員のみが製造指図書原本またはその他の記録の変更を行うことを
保証するために、コンピュータまたは関連するシステムの適切な管理を実施することを怠った。
<指摘2詳細>
貴社はXXのシステムに関する適切なセキュリティとアクセス管理をしなかった。例えば、XXの
ソフトウエアと、ウインドウズのオペレーティングシステムのために、固有のユーザアカウント
と権限レベルが個々のユーザに割り当てられていなかった。分析者たちは、データを削除し
上書きする権限を持っていた。
我々査察官は、ゴミ箱内に36の削除されたファイルまたはフォルダを発見した。
さらに、貴社の分析者たちは、さまざまな医薬品の分析、不純物、含量均一性、溶解試験の計算
のために、個人的なバリデートされていなXXのスプレッドシートを使用した。
貴社は回答の中で、XXシステムをアップブレードすることを計画していると述べた。しかし、
貴社は、データやファイルの削除や変更の発生や再発を防ぐための暫定的な管理に関するCAPAの
計画を提出しなかった。また、貴社は、“デスクトップ上の削除されたファイルは、オリジナル
のデータファイルを編集用にコピーしたものであった。オリジナルのデータファイルはまだ
データベースにあった。”と述べた。
貴社の回答は不適切である。貴社は、影響の可能性を評価するための回顧的なレビュを実施せず、
データ・インテグリティを保証しなかった。
この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:
・貴社の試験の実務、手順、方法、装置、文書、分析者の能力の包括的で独立したアセスメント
このレビュに基づき、貴社の試験システムを改善し、その効果を評価するための詳細な計画を
提出せよ。
・全ての該当する電子の試験データシステムの、データやファイルの削除や変更の発生や再発を
防ぐための暫定的な管理を述べた、タイムライン付きの貴社のアクションプラン
■原薬の逸脱
●指摘3
逸脱の文書化と説明及び全ての重大な逸脱に関する調査の不履行
<指摘3詳細>
貴社は、XXに関し、未確認の試験のエラーのせいにした最初のOOSのXXの結果を得た。貴社はXXの
新しいサンプルで分析をくりかえし、4つのサンプルで再びOOSの結果を得た。その後、XX人の
分析者により、新しいサンプルで、貴社の顧客のプロトコルに従って分析を繰り返し、規格値内
の結果を得た。貴社は、科学的に正当な根本原因もなしに、もともとのOOSの結果を無効化する
ために、再サンプル・再試験を信頼した。
貴社は回答の中で、改訂されたOOSの調査報告を提出し、OOSの不具合は、最初の調査の結果に
矛盾する、不適切なサンプルのようなよく知られた試験のエラーによるものだったと述べた。
貴社の回答は不適切である。貴社には、OOSの結果の根本原因として試験のエラーという修正
された貴社の結論を裏付ける証拠が不足していた。
この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:
・現在アメリカ市場にあり、この文書の日付時点で使用期限内の製品に関する全ての無効に
された(工程内及びリリース/安定性試験を含む) OOSの結果の回顧的な独立したレビュと、
各OOSに関する以下のことを含む分析で発見した内容をまとめたレポート:
〇無効化されたOOSの結果に関する科学的な正当化の理由やエビデンスが、決定的に、
または、決定的ではなくても、原因となる試験のエラーを示しているかどうかを判断せよ。
〇試験の根本原因を決定的に立証した調査について、論理的根拠を提出せよ。また、同じまたは
類似の根本原因に対して脆弱な他の試験方法が改善のために特定されていることを保証せよ。
〇回顧的なレビュにより試験で決定的でない根本原因が特定されたかまたは根本原因が特定
されていない全てのOOSの結果について顧客への通知の送付を盛り込め。
■OOSの試験結果
試験の不合格、OOS、傾向外、その他の予期しない結果の取り扱い及び調査の文書化に関する
更なる情報について、
FDAのガイダンス文書Investigating Out-of-Specification (OOS) Test Results for Pharmaceutical Productionを見よ。
■データ・インテグリティの改善
貴社の品質システムは、貴社がテストした薬の安全性、効果、品質を裏付けるデータの正確性・
完全性を適切に保証していない。CGMPに従ったデータ・インテグリティの手順を制定して遵守
するためのガイダンスとして、
FDAのガイダンス文書Data Integrity and Compliance With Drug CGMPを見よ。
我々は、貴社が貴社の作業を監査し、FDAの要求を満たすことを助けるコンサルタントを雇って
いることを認識している。この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:
A.データの記録と報告の不正確性の範囲の包括的な調査
貴社の調査は以下のことを含むべきである:
・調査手順と方法論の詳細;アセスメントの対象となる全てのシステムの概要;貴社が除外を
提案している作業の正当性を示す理由
・データの不完全性の性質・範囲・根本原因を特定するための現在及びかつての従業員の面接
我々は、これらの面接が適格な第三者により実施されることを推奨する。
・貴社の施設におけるデータ・インテグリティの欠陥の範囲のアセスメント
記録の省略、変更、削除、記録の破棄、非同時の記録の完成、その他の欠陥の特定をせよ。
貴社が発見したデータ・インテグリティの欠落箇所について、貴社の施設の全ての操作を
述べよ。
・試験データのインテグリティの欠陥の性質についての包括的な回顧的評価
我々は、違反の可能性のある分野の特別な専門知識を持った適格な第三者が、すべての
データ・インテグリティの欠陥について評価することを推奨する。
B.発見された不具合の貴社が試験した医薬品の品質への影響の可能性に関する現在のリスク
アセスメント
アセスメントにはデータ・インテグリティの欠落の影響を受けた薬の出荷により引き起こ
された患者のリスクと、継続的な作業によるリスクの分析を含めるべきである。
C.全体的な是正処置及び予防処置の計画の詳細を含む貴社の管理の戦略
貴社の戦略には下記のことを含めよ:
・分析データ、FDAに提出した全てのデータを含む貴社が生成した全てのデータの信頼性と
網羅性を保証するために貴社がどのようにするつもりかを述べた詳細な是正処置計画
・現在のアクションプランの範囲と深さが、調査とリスクアセスメントで見つかったことに
釣り合うことを示すエビデンスを含んだ、データ・インテグリティの欠落の根本原因の
包括的な記述
データ・インテグリティの欠落に責任のある個人が、貴社のCGMP関連または薬の申請データ
に依然として影響を与えるかどうかを示すこと。
・顧客への通知、製品の回収、追加試験の実施、安定性を保証するための安定性プログラム
へのロットの追加、医薬品の申請アクション、改善された苦情のモニタリングのような、
患者を保護し、貴社が試験した薬の品質を保証するためにとられた処置、または、これから
取ろうとしている処置を述べた暫定的な手段
・貴社のデータの完全性を保証するための、全ての改善の努力と、手順、工程、方法、管理、
システム、経営者の管理、人的資源(例:訓練、職員の改善)の強化を述べた長期的手段
・上記活動が既に進行中または完了といったステイタスの報告
■品質部門の権限
この文書内の重大な調査結果は、貴社の品質部門がその権限・責任を完全に果たしていないこと
を示している。貴社は、その責任を果たし、医薬品の品質を一貫して保証するための、適切な
権限と十分なリソースを品質部門に提供しなければならない。
■契約試験研究所の責任
FDAは、受託業者を製造業者自身の製造所の延長とみなす。貴社のCGMPの不順守は、貴社の顧客
のために貴社が試験した医薬品の品質、安全性、効果に影響を与える可能性がある。CGMPを完全
に順守して作業をする責任を理解し、これらの医薬品の試験中に遭遇したOOSの結果や重大な
問題を全ての顧客に通知することが重要である。更なる情報については、
FDAのガイダンス:Contract Manufacturing Arrangements for Drugs : Quality Agreements
を参照せよ。
●結論
この文書で挙げた違反や逸脱は、貴社の施設に存在する違反や逸脱の包括的なリストでもない。
貴社には、違反や逸脱を調査し、原因を判断し、再発やその他の違反や逸脱の発生を防止する
責任がある。
全ての違反や逸脱を速やかに是正せよ。この問題への即座の適切な対処の不履行は、制限の
ない差し押さえ、強制命令を含む、さらなる通知のない制限または法的なアクションにつながる
かもしれない。未解決の違反は、他の連邦機関の契約授与も妨げるかもしれない。
違反や逸脱への対処の不履行は、FDAの輸出証明の発行の差し控えにもつながるかもしれない。
全ての違反や逸脱に完全に対応がされ、我々が貴社のCGMPの遵守を確認するまで、FDAは貴社の
医薬品製造業者としての新しい申請やリストの補完の承認を保留するだろう。我々は、貴社が
全ての違反や逸脱に対する是正処置を完了したことを確認するために再査察を行うかもしれない。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
■CMS#616232■
2021年5月25日~6月3日のカリフォルニア州の製造所の査察でみつかった医薬品製造の重大な
CGMP違反について発した2021年11月29日付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげ
られています。
●指摘1
貴社の品質管理部門は、製造された医薬品がCGMPに従っていることと、同一性、濃度、品質、
純度に関して制定された規格を満たすことを保証する責任を果たさなかった。
<指摘1詳細>
*不適切な調査/工程管理の不足
貴社は塩化ベンザルコニウムを含む手の除菌用ローションを含むOTC医薬品の製造を受託して
いる。手の除菌用ローションの複数のロットは、
数えきれない微生物の結果(Too Numerous to Count: TNTC)により、
総プレート数(Total Plate Count : TPC)の試験で不合格になった。貴社の品質部門(QU)は、
手の除菌用ローション内の微生物汚染を適切に調査して根本原因を特定することを怠った徹底的
な調査の実施と是正処置・予防処置を実施するかわりに、貴社のQUは:
・最初に微生物のTPC試験で不合格になったロットに抗菌性保存剤を加えることを承認し、貴社
の顧客による販売のためにリリースした。
・合格の結果が出るように、まだ微生物のTPC試験を実施していないロットに抗菌性保存剤を
加えることを承認し、貴社の顧客による販売のためにリリースした。
さらに、手の除菌用ローション(保存剤を加えていない既にリリースした製品)のロットの安定性
サンプルは、TNTCの結果により、微生物のTPCに関して3ヶ月の安定性試験で不合格になった。
貴社は、顧客に通知し、自発的な製品の回収を勧めたと述べた。貴社の顧客は、それを断り、
ロットは売られ消費されたと貴社に知らせた。更なるアクションはとられなかった。
貴社は回答の中で、貴社のコンサルタントとマネジメントレビュを実施し、貴社の手順は十分に
安定しておらず、詳細でないという判断をしたと述べた。貴社は、微生物の不具合の詳細な調査
結果を提出しなかったので、貴社の回答は一部が不適切である。また貴社は、コンサルタントの
レビュや是正処置の詳細を提出しなかった。さらに、貴社のQUは、根本原因の判断と適切は是正
処置の戦略を含む、今後の調査を徹底的にすることを保証するための職務と監督を実施しな
かった。
この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:
・貴社の逸脱、不一致、苦情、規格外の結果、不具合の調査をするための全てのシステムの
包括的で独立したアセスメント
このシステムの改善のための詳細なアクションプランを提出せよ。貴社のアクションプラン
は、これに限定されないが、調査能力、範囲の決定、根本原因の評価、是正処置・予防処置
の効果、QUの監督、文書化された手順の大幅な改善を含むべきである。貴社が、調査の全て
の段階が適切に実施されることをいかに保証するかについて検討せよ。
・好ましくない微生物の汚染の可能性がある、または、規格外の微生物試験の結果(後で無効
にされたかどうかに関わらず)となった全てのロットの完全な調査
調査は、汚染の根本原因に関する貴社の調査結果を詳細に述べるべきである。
・貴社のCAPAのプログラムの独立したアセスメントと改善計画
プログラムが根本原因の効果的な分析を含み、CAPAの効果を保証し、調査の傾向を分析し、
必要であればCAPAプログラムを改善し、最終的にQUが決定を実施し、それが経営陣により
サポートされているかどうかを評価したレポートを提出せよ。
*適切なレビュ前の医薬品の出荷承認
貴社のQUは、完全な最終製品試験をせずに、医薬品の出荷承認をした。例えば貴社は、
2020年6月1日に手の除菌用ローションのロットXXを出荷した。しかし、分析結果は、
2020年6月3日以後に利用可能になり、微生物試験の結果は2020年6月8日に得られた。貴社のQU
は微生物試験結果を受け取る前で、ロットが顧客に出荷された後の2020年6月3日に分析証明書を
承認した。
貴社は回答の中で、貴社は、製品は貴社のQUにより承認されリリースされるまで州際通商で販売
されないという口頭の取り決めのもとで、リリースされていない製品を移動すると述べた。この
業務は受け入れられないし、品質特性を満たさない医薬品が顧客に出荷されるリスクを高める。
貴社が製造した医薬品が適切な規格を満たしているかどうかを判断するために、リリース前に
医薬品の各ロットの試験を完了することが必要とされている。
この文書への回答の中で、不合格でない製品が出荷されたことを所掌するために、貴社が製造
した全ての手の除菌用製品の独立した回顧的なレビュを提出せよ。もしレビュで品質基準を
満たさない医薬品が出荷されたことが明らかになった場合、顧客への通知や製品の回収といった
迅速な是正処置をとれ。
*不十分な安定性プログラム
貴社のQUには、貴社の安定性プログラムの適切な品質の監視が不足していた。例えば貴社は、
貴社のPackage Compatibility Test Programの手順に従うことを怠り、貴社のヒドロキノン
医薬品XXの製品と工程を示すために、安定性試験XXに各製品のXXをセットすることを怠った。
貴社は回答の中で、貴社のヒドロキノン医薬品XXに使用する製剤は、異なる製品XXの中に
包装され、それらの製品の全ては、最初に安定性プログラムにセットされていると述べた。
さらに貴社は、製剤、包装サイズ、構造材は製品XXと同じなので、貴社はXXの安定性試験の
実施にはブラケット法(※両極端の検体の安定性により、中間の検体の安定性も示されると
いう方法)を使用していると言及した。
しかし、貴社の回答は、異なる容器密閉システムのデザインを示していた。したがって、
ブラケット法は科学的に正当であるように見えない。さらに、これらの製品に関する安定性
プログラムに対するブラケット法のアプローチに対する変更は、適切な変更管理をせずに実施
されていた。
この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:
・貴社の安定性プログラムの適格性を保証するための、包括的で独立したアセスメントと
CAPAの計画
貴社の改善されたプログラムは、これに限定されないが以下のことを含むべきである:
〇出荷が許可される前に市販されている各医薬品の容器/施栓系内の安定性の研究
〇安定性を示す方法
〇宣伝されている使用期限が妥当かどうかを判断するために各製品の代表的なロットが毎年
プログラムに追加されるような継続的な安定性プログラム
〇各工程(タイムポイント)で試験される特定の特性の詳細な定義
・貴社の改善された安定性プログラムについて述べた全ての手順
・全ての医薬品についての、正当な理由を添えた使用期限のリスト(例:リアルタイムの3年の
安定性データ)
*不適切な文書の品質の監督
貴社のヒドロキノン医薬品XXロットXXのバッチレコードのレビュ中、我々査察官は、製造活動
が同時に記録されていないことに気付いた。例えば、1人の職員が、容器の測定や、別の日に
バルクの照合などの複数の製造手順を実施したというバッチレコードを記録し、第二の職員が
それらの活動の確認を記録した。しかし、第二の職員(確認者)は、我々査察官に、これらの
手順が実施された記録された時に、彼らは仕事をしていないと述べた。貴社のQUは、製造記録
が正確で、製造が記録された通りに実施されたという適切な保証をしていない。
貴社は回答の中で、適切な文書管理手順が守られていなかったことを認めた。また貴社は全職員
の教育を実施したとも述べた。貴社の回答は不十分である。貴社の品質システムは、貴社が製造
する医薬品の安全性、効果、品質を裏付けるためのデータの正確性・完全性を適切に保証して
いなかった。正確な記録がなければ、貴社は、継続的な品質の保証に必須であるロットの
リリース、製品の安定性、その他の事の適切な判断を保証することができない。
この文書への回答の中で、文書化の手順が不十分である場所を判断するために、貴社の製造及び
試験の作業で使用されている文書システムの完全なアセスメントの情報を提出せよ。アセス
メントには、貴社の作業を通じて、帰属可能で、判読可能で、完全で、原本であり、正確で、
同時性のある記録を保持していることを保証するための文書化手順を包括的に改善する詳細な
CAPAの計画を含めよ。
上の例は、貴社のQUがその役割と責任を果たすにあたっての基本的な不備を示しているが、
工程管理の監督、調査の対応、ロットのレビュと処理の判断、データの適切な管理に限定される
ものではない。
この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:
・QUが効果的に機能するために権限とリソースが与えられていることを保証するための、
包括的なアセスメントと改善の計画
アセスメントには、これに限定されないが、以下のことも含むべきである。
〇貴社で用いられている手順が安定していて適切であるかどうかの判断
〇適切な手順の順守を評価するための貴社の作業全体のQUの監督に関する規定
〇QUがロットの処遇を判断する前の、各ロットとそれに関連する情報の完全で最終的なレビュ
・全ての製品の同一性、濃度、品質、純度を保証するためのQUの調査の監督・承認、及び、QU
のその他の職務からの解放
また、これに限定されないが、製造/品質の新たに発生した問題に積極的に対応し、継続的な
管理状態を保証するためのタイムリーなリソースの提供をするために、貴社の経営陣が、
いかに品質保証と信頼できる作業をサポートするかについて述べよ。
2021年9月20日、FDAは、貴社と貴社のコンサルタントと一緒にテレビ会議を実施した。我々は、
この文書で言及した状態で製造された使用期限内の全ての手の除菌用医薬品の廃止を検討する
ことを勧めた。2021年9月21日、貴社は手の除菌用医薬品の特定のロットを自発的に回収した。
2021年9月22日、FDAは貴社の微生物汚染を防止する適切な管理の欠如について公表した。
CGMPの規制21 CFR parts210,211の要件を満たすための品質システムとリスクマネジメント
アプローチの実装の助けとして、
FDAのガイダンス文書Quality Systems Approach to Pharmaceutical CGMP Regulationsを見よ。
●指摘2
貴社は、成分、製品の容器、蓋、中間材料、ラベル、医薬品が同一性、濃度、品質、純度の
適切な標準に従うことを保証するために設計された、科学的に妥当で適切な規格、標準、
サンプリング計画、テスト手順を含む試験の管理を制定することを怠った。
<指摘2詳細>
貴社は、多数の再加工したロットと、製品の処方に追加された保存料の抗菌有効性の試験を
示すことなく新たに再処方化したロットをリリースし、販売した。特に、貴社の手の除菌用
医薬品は、TNTCの結果によりバルク段階のリリース試験中に微生物のTPCに関して不合格に
なっていた。貴社は、抗菌保存料を追加することでこのロットを再加工した。貴社の逸脱報告
では、保存料はベンザルコニウムの分析結果に影響を与えないように微生物の安定性を追加
したと述べていた。
貴社の回答は不十分である。貴社は契約試験機関から得た完全な試験データを提出しなかった。
アメリカ薬局方<51>の通り、抗菌保存料は、GMPのための代用品として使われたり、
非殺菌医薬品の生存している微生物数を減らすだけに使用されたりすべきではない。
この文書への回答において、以下の情報を提供せよ:
・全ての微生物の危険性の詳細で徹底的なレビュを添えた、貴社の製造作業の設計と管理包括
的で独立したアセスメント
・好ましくない汚染の可能性がある販売された医薬品により引き起こされる危険に対応した
詳細なリスクアセスメント
リスクアセスメントの結果に基づき貴社がとろうとしている、顧客への通知や製品の回収
といったアクションを明記せよ。
・各製品の適切な微生物のロットのリリース規格(即ち、微生物総数、好ましくない微生物
を検討するためのバイオバーデンの確認)
・貴社の試験実務、手順、方法、装置、文書、分析者の能力の包括的で独立したアセスメント
このレビュに基づき、貴社の試験システムの改善とその効果の評価のための詳細な計画を
提出せよ。
・貴社の製造工程などのばらつきの全ての原因を特定し管理する、データ駆動型で科学的に
妥当なプログラムが存在し、適切な規格と製造の標準を一貫して満たすことを保証するため
の、各医薬品の製造手順のアセスメント
・製品のライフサイクルを通じて管理状態を保証するための貴社のバリデーションプログラム
の、関連手順を添えた詳細なサマリ
工程の性能適格性評価に関するプログラムと、継続的な管理状態を保証し、ロット内と
ロット間のばらつきを継続的にモニタリングするためのプログラムについて述べよ。
・販売されている貴社の各医薬品に関する、適切な工程の性能適格性評価の実施に関する
タイムライン
・貴社の工程性能のプロトコルと、装置や施設の適格性評価に関する文書化された手順
●指摘3
貴社は、権限を与えられた職員のみが製造指図書原本またはその他の記録の変更を行うことを
保証するために、コンピュータまたは関連するシステムの適切な管理を実施することを怠った。
<指摘3詳細>
貴社のフーリエ変換赤外(FTIR)分光コンピュータ化システムXXは、試験のローデータの削除
を防ぐための適切な管理をしていなかった。特に、このデータは、医薬品製造のために使用する
医薬品成分をリリースするための社内の分析証明書をつくるために使用されている。さらに、
貴社は、データへの未許可のアクセスを防ぐためのソフトウエアの適切なパスワード保護をして
いなかった。
貴社は回答の中で、FTIRシステムに関しては、パスワード保護をしており、化学者のみがデータ
にアクセスできると述べた。また貴社は、FTIRのデータは、外部のハードドライブに
バックアップされ、コピーが印刷され、原材料のテストデータのセットに含まれていると述べた。
FTIRの完全性の回顧的なレビュ、装置の監査証跡に関する詳細、コンピュータ化システムの変更
の影響の評価を提出しなかったので、貴社の回答は不十分である。
貴社の電子記録内の全ての追加、削除、情報の変更は承認され、適切に文書化されていることを
保証するために、CGMPの電子データの管理を厳格に維持することが重要である。完全で正確な
記録がなく、貴社がロットのリリース、安定性、その他の継続的に品質を保証するための基礎的
な要素について、適切な判断をすることはできない。
貴社の品質システムは、貴社が製造する医薬品の安全性、効果、品質を裏付けるためのデータの
正確性・完全性を適切に保証していない。CGMPに則ったデータ・インテグリティの手順を制定し、
それに従うためのガイダンスとして、
FDAのガイダンス文書Data Integrity and Compliance With Drug CGMPを見よ。
この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:
・アメリカに出荷された医薬品のデータレビュの結果を含む、データの記録と報告の不正確の
範囲の包括的な調査
貴社のデータ・インテグリティの欠落の範囲と根本原因の詳細な記述を含めよ。
・貴社の医薬品の品質で見つかった不具合の影響の可能性についての現在のリスクアセスメント
貴社のアセスメントには、データ・インテグリティの欠落の影響を受けた医薬品の出荷による
患者へのリスクの分析と、継続的な作業により引き起こされるリスクの分析を含めるべきで
ある。
・全社的な是正処置・予防処置の計画を含む貴社の管理の戦略
是正処置の計画には、貴社がどのように、微生物及び分析データ、製造記録、FDAに提出
された全てのデータを含む、貴社により生成された全てのデータの信頼性と網羅性を保証する
つもりかの記述を含めるべきである。
●未承認の新薬の違反
省略
●虚偽表示の違反
省略
●虚偽表示違反の登録・リスト表示
省略
●効果のない品質システム
貴社の経営陣の医薬品の製造に関する監督と管理は不適切である。貴社の経営陣には、全ての
不備を完全に解決し、継続的なCGMPの順守を保証する責任がある。貴社は、システム、工程、
製造された製品がFDAの要件に従っていることを保証するために、貴社の製造作業をすぐに
包括的に評価するべきである。
●受託業者としての責任
医薬品はCGMPに従って製造されなければならない。FDAは、多数の医薬品製造業者は、製造設備、
試験機関、包装業者、ラベル貼付業者のような独立した受託業者を使用していることを認識して
いる。FDAは、受託業者を製造業者の延長とみなす。プロダクトオーナーとの契約に関わらず、
貴社は貴社の医薬品の品質に責任がある。貴社は、安全性、同一性、濃度、品質、純度を保証
するために、医薬品がFD&C Act 501(a)(2)(B)に従って製造されていることを保証する必要が
ある。
FDAのガイダンス文書:Contract Manufacturing Arrangements for Drugs : Quality Agreements
を見よ。
●CGMPコンサルタントの推奨
2021年6月24日付の貴社の回答の中で、貴社が医薬品、医療機器、化粧品、栄養補助食品の
CGMP問題に知識と経験のあるコンサルタントを雇ったという記述を認識している。しかしながら、
我々が貴社で発見した違反の性質に基づき、CGMPの要件を満たすために貴社を手伝うために、
少なくとも品質リスクマネジメント、データ・インテグリティ、調査の全般でCGMPの知識を
持ったCGMP21 CFR 211.34に記載されているコンサルタントを雇うことを強く勧める。貴社の
コンサルタントの使用は、CGMPを順守するための貴社の義務を軽減するものではない。貴社の
経営陣には、継続的なCGMP順守を保証するために、全ての不備とシステムの欠陥を解決する責任
が残る。
●結論
全ての違反を速やかに是正せよ。この問題への即座の適切な対処の不履行は、制限のない
差し押さえ、強制命令を含む、さらなる通知のない制限または法的なアクションにつながるかも
しれない。未解決の違反は、他の連邦機関の契約授与も妨げるかもしれない。
違反への対処の不履行は、FDAの輸出証明の発行の差し控えにもつながるかもしれない。全ての
違反に完全に対応がされ、我々が貴社のCGMPの遵守を確認するまで、FDAは貴社の医薬品製造
業者としての新しい申請やリストの補完の承認を保留するだろう。我々は、貴社が全ての違反
に対する是正処置を完了したことを確認するために再査察を行うかもしれない。
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まとめ
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いかがでしたでしょうか。
1件目は、OOSの不十分な調査、データ・インテグリティの不備、コンピュータ化システムの
アクセス制限の不備、バリデートされていないスプレッドシートの使用という、身近な問題
の指摘でした。
2件目は、微生物試験で不合格になった手の除菌用ローションに抗菌性の保存剤を追加して
しまったというすごい指摘もありましたが、データ・インテグリティの不備、コンピュータ化
システムのアクセス制限の不備、不十分な安定性試験といった身近な内容もありました。
これらは、FDAがアメリカ国内の製薬会社に対して行った指摘ではありますが、社内の手順の
見直しの際に参考にしていただけるかと思いますので、ご確認いただければと思います。
☆次回は、2/15(火)に配信させていただきます。
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インターフェックスWeek大阪のご案内
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
新型コロナの状況次第ではありますが、2022年3月9日~11日に、インターフェックスWeek
大阪(インテックス大阪)への出展を予定しております。
ご来場される方は、是非、弊社ブース【4号館 2-53】にもお立ち寄りいただければ幸いです。