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2021.12.15
【最近のウォーニングレター】ASTROM通信<232号>
~安全な医薬品の安定供給をご支援する~
こんにちは
ASTROM通信担当の橋本奈央子です。
今年も残すところ約2週間となりましたが、いかがお過ごしですか?
海外の製造所向けウォーニングレターは、未だに除菌用ローションのエタノールの含有量に関する
指摘が多いため、今回も、アメリカ国内の製薬会社向けに出されたFDAのウォーニングレターを
2件取り上げたいと思います。
アメリカ国内向けとは言え、データ・インテグリティの不備等の指摘内容は参考になるものなので、
是非お読みいただければ幸いです。
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最近のウォーニングレターの概要
注:文中のXXはウォーニングレターでマスキングされている文言及び具体的な社名・品名等です。
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■WL#614644■
2021年3月8日~3月23日のカリフォルニア州の処方薬・OTC薬・原薬の受託試験機関の査察でみつかっ
たCGMP違反について発した2021年8月17日付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられて
います。
●指摘1
貴社は、権限のある職員のみが製造指図記録、または、その他の記録の変更を開始することを確実に
するためにコンピュータ及び関連システムの適切な管理を実施することを怠った。
<指摘1詳細>
貴社は、リリース前の製品を試験するのに使用されるガス・クロマトグラフィー(GC)のデータ収集
システムの管理が不足していた。特に、貴社のGC(GC-XXとGC-XX)のデータ収集システムは、ロー
データのファイルの削除または変更を防ぐための十分な管理がされていなかった。査察中、我々
査察官は、医薬品の分析を行っている試験職員がGC装置のオペレーティング・ソフトウエアXX
に対する管理者権限を持っていることを発見した。管理者権限は、これに限定されないが、
データ・シーケンスの削除、方法の変更/削除、方法、監査証跡の無効化/有効化ができる権限を
含んでいた。
さらに、少なくとも2018年4月から2021年2月まで、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)とGCは、
各分析試験に関する情報を記録するための下記のような監査証跡を有効化していない状態で操作
されていたことがわかった:
・注入タイプ
・日付と時間
・分析者のID
・取られたアクションの理由(例:記録の修正)
貴社は、微生物の負荷試験のために試験職員により使用される電子的ワークシートをバリデート
することも怠っていた。レビュされた微生物ワークシートは、負の対数の換算や、黄色ブドウ球菌、
緑膿菌に関するXX%とXX%の減少率などの誤ったデータ生成につながる、バリデートされていない
セルの計算式が使われていることがわかった。これらのバリデートされていない計算は、これらの
スプレッドシートで生成されたデータの正当性に疑問を生じさせる。
我々は、2018年4月に、貴社の所有者が変わり、新しい組織構成が実装され、新しい職員がアサイン
されたことを知っている。しかし、これは、FDAが同様のCGMP違反で指摘した以前のウォーニング
レター(2016年8月2日付WT#38-16)で貴社の製造所で発見した違反の繰り返しである。前の経営陣は、
ウォーニングレターに対する回答として、2016年8月22日に、その違反に関する具体的な改善を提案
していた。しかし、繰り返される不具合と適切な管理の実施の遅れは、経営陣の試験作業に対する
監督・管理が不十分なままであることを示している。我々は、貴社がヒト用医薬品と原薬の両方を
試験するのに同じプロセスを使用していることも指摘している。
貴社は回答の中で、分析を行う職員について、管理者権限XXをやめ、分析者の権限に変えることを
約束した。しかし、追加の対応で提出された裏付け文書は、貴社が約束した適切な管理を実装
していなかったことを示している。特に、ユーザは不適切な管理者権限を持ち続けている。
貴社の顧客は、医薬品の品質に関する判断をするために貴社が生成した試験データの完全性を信頼
している。全ての試験データが保持され、貴社の電子記録内の情報の追加、削除または修正は、許可
され適切に文書化されていることを保証するために、CGMPの電子データの厳格な管理を維持すること
が重要である。
さらに、貴社は、今後の試験分析について、監査証跡の一部のみのXXのレビュを実施すると約束した。
21 CFR 211.22は、バッチリリースの前に、監査証跡データを含むデータのレビュを求めているので、
貴社の回答は不適切である。この文書への回答の中で以下の情報を提供せよ:
・監査証跡を有効にしている全ての試験器具とソフトウエアのリスト
・全ての分析者と適用可能な電子試験装置のオペレーティング・ソフトウエアについて貴社が是正
したと述べた、GC-XXとGC-XXに関する特定の職員のデータ権限についての構成変更を検証する文書
・全てのソフトウエアの構成(装置のソフトウエアと試験情報システム(LIMS)の両方)のリスト、
管理者権限を含む全てのユーザの権限の詳細と、貴社の各試験システムの監督の役割のリスト
ユーザの権限について、試験室のコンピュータシステムにアクセスできる全ての職員のレベルに
ついて、ユーザの役割と権限と、それらの組織の所属と肩書を明記せよ。管理者権限が完全に分離
され、品質部門の職員と独立していることを貴社がいかに保証するつもりかの詳細を述べよ。
・貴社の暫定的な管理と、全ての適用可能な試験装置と電子データシステムの監査証跡が有効化
される時期と、CGMPの対象となる分析結果のリリース前の監査証跡のレビュに関する手順が実装
される時期を述べた貴社のタイムライン付のアクションプラン
・貴社の試験装置と電子システムデータの監査証跡を有効化しなかったことと、この再発する不具合
が生成されたデータに与えた影響に関する調査
●指摘2
貴社は、必要とされる試験管理のしくみを制定し、従うことを怠った。
<指摘2詳細>
貴社は、品質部門の文書化・アセスメント・承認により、電子の試験モニタリング作業への重大な
変更を適切に管理することを怠った。特に、品質部門の監督のない試験作業への重大な変更には、
これに限定されないが、以下のことを含んでいた:
・規格や試薬の追跡、モニタリングのための電子ワークシートの実装
・分析者のIDが付いた、事前に用意された微生物試験のワークシートへの変更
・管理手順や変更管理もなく、2021年2月16日に装置のソフトウエアの監査証跡の活性化
貴社は回答の中で、変更管理フォーム(PAR A-0037)と、試験作業の変更管理を規定した文書化された
手順を改訂することを約束した。貴社は、我々がレビュするためのPAR A-0037と改訂された標準操作
手順書のコピーを提供しなかったので、貴社の回答の適切性を判断できなかった。さらに貴社は、
貴社の作業に実施された変更とCGMPの対象となる医薬品の分析への影響のシステム的な回顧的レビュ
を約束することを怠った。
この文書への回答の中で以下の情報を提供せよ:
貴社の変更管理システムの包括的で独立したアセスメント
このアセスメントは、これに限定されないが、変更が正当化され、レビュされ、品質保証部門により
承認されていることを保証するための手順を含めよ。貴社の変更管理プログラムには、変更の効果を
判断するための規定を含めるべきである。
●データ・インテグリティの改善
貴社の品質システムは、貴社が試験した医薬品の安全性、効果、品質を裏付けるデータの正確性・
完全性を適切に保証していない。CGMPに従ったデータ・インテグリティの手順を制定して遵守する
ためのガイダンスとして、FDAのガイダンス文書Data Integrity and Compliance With Drug CGMP
を見よ。
我々は、貴社の改善を助ける適格なコンサルタントを雇うことを強く勧める。
この文書への回答の中で以下の情報を提供せよ:
A.アメリカ国内に出荷された医薬品に関するデータのレビュ結果を含む、データの記録と報告の
不正確性の範囲の包括的な調査
貴社のデータの完全性の欠落の範囲と根本原因の詳細な記述を含めよ。
B.発見された不具合の貴社の医薬品の品質への影響の可能性に関する現在のリスクのアセスメント
アセスメントにはデータ・インテグリティの欠落の影響を受けた薬の出荷により引き起こされた
患者のリスクと、継続的な作業によるリスクの分析を含めるべきである。
C.全体的な是正処置及び予防処置の計画の詳細を含む貴社の管理の戦略
是正処置の詳細な計画では、微生物及び分析のデータ、試験記録、FDAに提出された全ての
データを含む貴社が生成した全てのデータの信頼性と網羅性を保証するために貴社がどのように
するつもりかを述べるべきである。
●受託試験機関の責任
FDAは、受託業者を製造業者自身の製造所の延長とみなす。貴社のCGMPの不順守は、貴社の顧客のため
に貴社が試験した医薬品の品質、安全性、効果に影響を与える可能性がある。CGMPを完全に順守して
作業をする責任を理解し、これらの医薬品の試験中に遭遇した規格外の結果や重大な問題を全ての
顧客に通知することが重要である。更なる情報については、
FDAのガイダンス:Industry Contract Manufacturing Arrangements for Drugs : Quality Agreements
を参照せよ。
●CGMPコンサルタントの推奨
貴社は、繰り返しの違反の是正を怠ったので、我々は貴社がCGMP要件を満たす手伝いをする適格な
コンサルタントを雇うことを強く勧める。貴社のコンサルタントの使用は、CGMPを順守するための
貴社の義務を軽減するものではない。貴社の経営陣には、継続的なCGMP順守を保証するために、
全ての不備とシステムの欠陥を解決する責任が残る。
●結論
この文書で挙げた違反は、貴社の製造所に存在する逸脱の包括的なリストでもない。貴社には、
これらの違反を調査し、原因を判断し、再発やその他の違反の発生を防止する責任がある。
全ての違反を速やかに是正せよ。この問題への即座の適切な対処の不履行は、制限のない差し押さえ、
強制命令を含む、さらなる通知のない制限または法的なアクションにつながるかもしれない。
未解決の違反は、他の連邦機関の契約授与も妨げるかもしれない。
違反への対処の不履行は、輸出証明の発行の差し控えにもつながるかもしれない。全ての違反に
完全に対応がされ、我々が貴社のCGMPの遵守を確認するまで、FDAは貴社の受託試験機関としての
新しい申請やリストの補完の承認を保留するだろう。我々は、貴社が全ての違反に対する是正処置
を完了したことを確認するために再査察を行うかもしれない。
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■CMS#615098■
2021年4月13日~4月26日のミシシッピ州の製造所の査察でみつかった医薬品製造の重大なCGMP違反
について発した2021年9月21日付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。
●指摘1
貴社の品質管理部門は、貴社で製造された医薬品がCGMPを順守し、同一性、濃度、品質、純度に
関して制定された規格を満たすことを保証する責任を果たすことを怠った。
<指摘1詳細>
貴社は、貴社の医薬品の製造、包装、出荷のために、貴社の代わりに使用されている受託製造機関
(CMO)を管理するための適切な監督と手順に欠けていた。貴社は貴社が実施するCGMP活動について
最終的に責任がある。
貴社は、貴社の制定した品質部門(QU)の手順や、品質協定で文書化された義務に従うことを怠った。
貴社は回答の中で、これに限定されないが、貴社の品質部門に関する文書化された手順を持つこと、
消費者の苦情の処理をすること、医薬品を出荷すること、貴社のCMOの適格性を評価し承認すること
を含むCGMPの責任を持っているという姿勢を継続した。品質部門の不備は以下の通りである:
■貴社のCMOの不十分なQUの監督
貴社のQUは、CMOの適切な監督、管理に欠け、基準を満たさないCMOの使用につながった。2017年
以来、FDAは、貴社のCMOでみつかったCGMP違反に対応して、以下のアクションをとった。
例えば、XX日付でXX社にウォーニングレターが発行された。そこには、これに限定されないが、
製造の各段階の適切なタイムリミットの制定の不履行や、規格外(OOS)の結果の徹底的な調査の
不履行を含んでいた。
貴社は回答の中で、貴社のCMに関する承認プロセスに対応する手順を開発中であると述べた。
貴社は、QUの、貴社のCMOに対する監督と、貴社の医薬品の同一性、濃度、品質、純度の影響を
受けた可能性のある製品出荷に対する監督の欠如の回顧的なレビュを実施しなかったので、
貴社の回答は不十分である。
この文書への回答の中で、供給者が適切に適格性を評価され、適切な監督が維持されていること
を保証するための包括的なアセスメントの計画を提出せよ。このアセスメントには、これに限定
されませんが、以下の情報を含めるべきである:
・貴社の代わりに実施するCMOのCGMP活動の全ての機能を網羅した、供給者の適格性の選択範囲と
管理の手順
・貴社の供給者の適格性と、貴社の再適格性評価プログラム(例:監査)の重要な要素
■QU手順の制定と順守の不履行
□バッチリリース手順の欠如
貴社は貴社のCMOによって製造されたロットのレビュに関する、適切に文書化された責任と手順の制定
を怠った。貴社は、XXと共にQAによる各ロットの処遇(却下または承認)に関する製造記録のレビュも
怠った。
貴社は契約製造所で貴社のために製造された医薬品のロットを承認または却下する最終的な責任を負う。
リリースのための各ロットの適合性を判断することは、貴社の品質部門の責任の重要な要素である。
貴社は回答の中で、CMOからの医薬品のリリースについて明記した文書化された手順がないことを認め、
手順を開発中であると述べた。貴社はこれらの手順が何を含み、それらがどのように適用される予定
であるかの詳細を提出しなかったので、貴社の回答は不十分である。
□変更管理手順の不順守
貴社のQUは、貴社が変更管理手順に従っていることを保証することを怠った。例えば、2019年3月の
前回のFDAの査察以降、貴社は、貴社の変更管理手順に従わずに、消費者の苦情や医薬品の回収の
手順の変更を実施した。さらに、変更管理手順に従わずに製品のラベリングに対する変更を承認した。
これらの各事象において、貴社は、貴社の変更管理手順で求められた通りにこれらの変更の正当化
や文書化をしなかった。
貴社は回答の中で、貴社が実施した変更について、貴社の変更管理手順に従っていなかったことを
認めた。提出されたフォームは、ラベルの材質の変更を含む変更の影響のアセスメントを含んで
いなかったので、貴社の回答は不十分である。
この文書への回答で、貴社の変更管理システムの包括的で独立したアセスメントを含めよ。この
アセスメントには、これに限定されないが、変更が正当化され、レビュされ、貴社の品質部門に
より承認されていることを保証するための手順を含めるべきである。貴社の変更管理プログラムは、
変更の有効性の判断のための規定も含めるべきである。
貴社は、貴社の医薬品の同一性、濃度、品質、純度に影響を与える可能性があるQUの手順の制定
及び順守の不履行の回顧的なレビュを実施しなかったので、貴社の回答は不十分である。
この文書への回答の中で、貴社のQUが効果的に機能するために権限とリソースが与えられている
ことを保証するための包括的なアセスメントと改善計画を提出せよ。アセスメントには、これに
限らないが以下のことを含めるべきである:
〇貴社で使用されている手順が安定していた適切かどうかの判断
〇適切な手順の順守を評価するための、貴社の作業全体のQUの監督に関する規定
〇QUの出荷判定の前の各ロットの完全で最終的なレビュとそれに関連する情報
アメリカ市場にあり、この文書の日付時点で使用期限内にある全てのロットの回顧的なレビュと、
分析でみつかったことをまとめたレポートを含めよ。
〇全ての製品の同一性、濃度、品質、純度を保証するための、QUの調査の監督・承認、及び、QUの
その他の職務からの解放
●指摘2
貴社は、製品に関する全ての書面及び口頭の苦情の取り扱いについて述べた適切な文書化された手順を
制定しそれを順守することを怠った。
<指摘2詳細>
貴社は、貴社の代わりにCMOを使用する際、これに限らないが、消費者の苦情や問い合わせの取り扱いを
含む、関連するCGMPの責任があることを認めている。しかし貴社は、苦情の取り扱い手順を適切に制定
し、それを順守することを怠った。例えば、貴社の手順は、貴社の”医薬品安全性スペシャリスト“と
”最高科学責任者“に対して顧客の苦情の取り扱いと調査に関する責任を規定した。調査中、これらの
肩書と職員のポジションは貴社に存在しなかった。
さらに、XXを持つ貴社のQAは、フィールドアラートや回収が発生する可能性がある苦情をXXに通知し、
XXは苦情調査を実施し完了する予定であると述べた。全ての品質関連の苦情は、それらの域を超えて、
211.198に従い調査されるべきである。
貴社は回答の中で、存在しない肩書を削除し、これらの役職を”最高執行責任者“に置き換えるために、
苦情取り扱い手順を改訂したと述べた。貴社は、この個人が、苦情取り扱い手順に従い、苦情が重大で
予期しない医薬品の有害事象を示しているかどうかを判断するためのレビュを実施することを示す
エビデンスを提出しなかったので、貴社の回答は不十分である。
この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:
・貴社が受け取り、貴社のCMOに共有されている、または、共有されているはずの、フィールドアラート
や回収につながらない可能性のある品質関連の内容を含む、苦情に関する回顧的なアセスメント
・貴社のCMOが受け取ったものも含む、全ての情報源から受け取った苦情のリスト
・品質関連の苦情を貴社のCMOとどのように共有するつもりかの詳細を示した手順
●指摘3
貴社は、正しいラベル、ラベリング、包装が貴社の医薬品のために使用されていることを保証するために
設計し文書化された手順を制定しそれを順守することを怠った。
<指摘3詳細>
貴社は、貴社のCMOで製造された製品のためのラベリングをレビュし承認しているが、ラベルのレビュと
承認に関する貴社の手順は不十分である。例えば、貴社の手順は、保管条件や分注量などのラベルの
全ての要素の検証を求めていない。さらに、貴社の手順は、レビュ、または、承認されたマスタまたは
参照ラベルとの比較を含んでいない。
貴社は回答の中で、マスタラベルを使用していて、2021年7月1日までにラベルのレビュ手順を改訂して
いる最中であると述べた。貴社の回答は不十分である。
貴社は、貴社が医薬品のラベルのレビュや承認をする際にマスタまたは参照ラベルを使用しているという
エビデンスを提出しなかった。さらに、貴社は、この所見に対する回答の中で、改訂された手順を提出
していない。さらに、貴社の回答は、適切なラベリングが、現在販売中の全ての製品にされていることを
保証するための回顧的レビュに欠けている。
この文書への回答の中で以下の情報を提供せよ:
・ラベリングのレビュと承認、管理監督、その他の必要とされるアクションのための適切な手順を含む
ラベル作業を改善するための貴社の是正処置・予防処置(CAPA)の計画
・文書化手順が不十分かどうかを判断するための、貴社の製造及び試験作業を通して使用されている
文書化システムの完全なアセスメント
貴社が作業を通して、帰属可能で、判読可能で、完全で、原本性があり、正確で、同時性のある記録
を保持していることを保証するために、貴社の文書化手順を包括的に改善する詳細なCAPAの計画を
含めよ。
●製造所での繰り返しの違反
2015年8月、2019年3月の査察で、FDAは同様の所見を挙げた。貴社は回答の中で、これらの所見について
の具体的な改善を提案した。これらの繰り返される違反は、貴社の経営陣が医薬品の製造の適切な監督
と管理の実施の不履行を示している。貴社はシステム、手順、最終的に製品がFDAの要求に従っている
ことを保証するために、貴社の全ての製造作業をすぐに包括的に評価すべきである。
この文書への回答の中で、以下の情報を提出せよ:
・これに限定されないが、継続的な管理状態を保証するために、新たに発生した製造/品質の問題に
積極的に対応するためのタイムリーなリソースの提供を含む、経営陣がいかに品質保証と信頼できる
作業をサポートするか述べよ。
・貴社のCAPAプログラムの独立したアセスメントと改善の計画
適切な調査能力を持つ職員を評価し、根本原因の分析を効果的に実施し、CAPAの効果を保証し、
定期的に調査の傾向をレビュし、必要に応じてCAPAプログラムの改善を実施し、適切な品質部門の
決定権を保証し、経営陣により完全にサポートされた報告書を提出せよ。
●契約製造業者の使用
医薬品はCGMPに従って製造されなければならない。FDAは、多数の医薬品製造業者は、製造設備、試験
機関、包装業者、ラベル貼付業者のような独立した受託業者を使用していることを認識している。FDA
は、受託業者を製造業者の延長とみなす。
貴社が回答で述べたように、貴社のCMOのXXが貴社のために製造された医薬品の全てのロットについて
微生物試験を実施していることを確認せよ。
受託製造所との契約に関わらず、貴社は貴社の医薬品の品質に責任がある。貴社は、安全性、同一性、
濃度、品質、純度を保証するために、医薬品がFD&C Act 501(a)(2)(B)に従って製造されていることを
保証する必要がある。
FDAのガイダンス文書:Contract Manufacturing Arrangements for Drugs : Quality Agreementsを見よ。
●結論
この文書で挙げた違反は、貴社の製造所に存在する逸脱の包括的なリストでもない。貴社には、
これらの違反を調査し、原因を判断し、再発やその他の違反の発生を防止する責任がある。
全ての違反を速やかに是正せよ。この問題への即座の適切な対処の不履行は、制限のない差し押さえ、
強制命令を含む、さらなる通知のない制限または法的なアクションにつながるかもしれない。未解決
の違反は、他の連邦機関の契約授与も妨げるかもしれない。
違反への対処の不履行は、輸出証明の発行の差し控えにもつながるかもしれない。全ての違反に完全
に対応がされ、我々が貴社のCGMPの遵守を確認するまで、FDAは貴社の受託試験機関としての新しい
申請やリストの補完の承認を保留するだろう。我々は、貴社が全ての違反に対する是正処置を完了した
ことを確認するために再査察を行うかもしれない。
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まとめ
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いかがでしたでしょうか。
データ・インテグリティの不備、委託先の不十分な管理は、非常に身近な内容だったと思います。
皆様の業務の参考にしていただければ幸いです。
さて、今年も1年間、ASTROM通信をお読みいただきましてありがとうございました。
☆次回は、1/1(土)に配信させていただきます。
来年もどうぞよろしくお願いいたします。
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インターフェックスジャパンのお礼
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
インターフェックスジャパンにて弊社ブースにご来場いただきました方、誠にありがとうございました。
次回は2022年3月9日~11日に、インターフェックスWeek大阪(インテックス大阪)に出展いたします。
また、よろしくお願いいたします。
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株式会社プロス
『ASTROM通信』担当 橋本奈央子
2021.12.01
【最近のウォーニングレター】ASTROM通信<231号>
~安全な医薬品の安定供給をご支援する~
こんにちは
ASTROM通信担当の橋本奈央子です。
今日から師走に突入ですが、いかがお過ごしですか?
さて、今回は、アメリカ国内の製薬会社向けに出されたウォーニングレターを2件取り上げたい
と思います。
最後までお読みいただければ幸いです。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
最近のウォーニングレターの概要
注:文中のXXはウォーニングレターでマスキングされている文言及び具体的な社名・品名等です。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
■WL#612765■
2020年10月7日~10月28日のニューヨーク州の製造所の査察でみつかった原薬製造の重大なCGMP
違反について発した2021年7月6日付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。
●指摘1
原薬の同一性または純度の取り違えや紛失を防ぐために、適切なCGMPのもとで原薬の再包装、
再ラベル貼付、保管をすることの不履行
<指摘1詳細>
貴社は原薬間の交叉汚染を防ぐための適切な管理をすることを怠った。しかし、我々の貴社の記録
のレビュで、貴社がロムスタチンのロットXXの再包装について細胞毒性を有する化学療法の
エージェントである顧客に請求したことを発見した。貴社は時々再包装をしていたと認めたが、
具体的なロムスタチンの再包装作業を思い出すことが出来なかった。この再包装作業は、バッチ
レコードや装置の使用ログを含む作業の基本的な文書が欠けていた。
更に貴社は、品質低下を防ぐために、製造業者の分析証明書(COA)で要求されている通りに冷蔵
する代わりに室温でロムスタチンとヒト絨毛性ゴナドトロピンを不適切に保管したことを認めた。
また貴社は、除草剤、エンジン不凍冷却剤、ドライウォール修理製品を、原薬や包装資材を保管
しているのと同じ部屋で保管した。貴社は、原薬や化学薬品を保管している冷蔵庫内で、ラベルが
表示されていないアルミのバッグに入った個人的な食品と正体不明の製品を一緒に保管もしていた。
適切な施設の設計、有効な手順の制定、貴社の活動の記録の保持、安定した管理の実装を怠った
ので、貴社により販売される医薬品は、汚染のリスクやその他の危険がある。
貴社は回答の中で、別々の棚を使うことで、医薬品の保管エリアを、細胞毒性化合物、ベータ
ラクタム、強力な化合物、その他の原薬の4つの区域に分けるつもりであると述べた。
貴社の回答は不適切である。貴社は、貴社が取引している医薬品に関するリスクの特定や、交叉汚染
や取り違えを防ぐための改善を保証するための適切な是正処置・予防処置(CAPA)の提出を怠った。
FDAは、原薬がCGMPに従って製造されたかどうかを判断する際、ICH Q7に概要が述べられた期待を
考慮する。原薬の製造に関し、
FDAのガイダンス文書 Q7 Good Manufacturing Practice Guidance for Active Pharmaceutical Ingredients
を見よ。
更なる情報については、業界向けガイドライン
Non-Penicillin Beta-Lactam Drugs : A CGMP Framework for Preventing Cross-Contamination
を見よ。
我々は、貴社が再包装作業を一時的に停止したことを認識している。
この文書への回答の中で、以下の情報を提出せよ:
・貴社により販売された原薬が汚染されているか、ラベルの取り違えが起きているかどうかを判断
するための独立した回顧的なリスクアセスメント
・全ての医薬品の製造における、使用目的の適合性を判断するための貴社の施設、装置、工程、
原材料の独立したアセスメント
適性のあるコンサルタントにより特定された全ての不適切な状態と手順をまとめたレポートを、
CAPAとCAPA完了に関連したタイムラインと共に提出せよ。
・貴社がベータラクタムや強力な化合物を取り扱う(即ち、開封、サンプリング、秤量、移動)つもり
なら、隔離保管のための包括的な計画
より具体的には:
〇ベータラクタムの原薬に関し、これに限定されないが、非ベータラクタム原薬がむき出しに
される可能性のある施設からの完全かつ包括的に分離された設備を含む詳細なCAPAを提出せよ。
〇非常に強力な原薬に関し、交叉汚染や保管の安全性に対する危険を防ぐための、封じ込めを
保証する適切なCAPAを提出せよ。適切な設計と、装置、空気システム、部屋、手順に関する
管理規定を含めよ。
●指摘2
原薬製造に使用する装置の洗浄やリリースに関する文書化された手順の制定と、手順をバリデート
することの不履行
<指摘2詳細>
貴社は、そのいくつかは非常に強力な原薬のために使用される、非専用の製造装置に関する洗浄
のための適切に文書化された手順を制定することを怠った。さらに、貴社は、再包装装置の使用
と洗浄を文書化することを怠った。例えば、貴社は、2020年4月9日あたりに使用された装置や、
細胞毒性薬、ロムスタチンの再包装後に洗浄が実施されたかどうかを文書化していなかった。
査察中、貴社は、排気フード、用具(ステンレスのスプーン)、秤を洗浄するために、洗濯洗剤が
使用されたと述べた。貴社は、適切な洗浄用の化学物質を使用することや、貴社の洗浄用物質
や手順が効果的であることを示すための洗浄バリデーションを実施することを怠った。
貴社は回答の中で、“ただの小さい道具や装置がこれらの作業に使用され、これらの装置は使用前
に視覚的にきれいであった。従って、我々は、販売されている原料の汚染のリスクは非常に小さい
と信じている”と述べた。貴社は、販売された原薬について交叉汚染が発生していなかったことを
裏付ける説得力のあるエビデンスを提出しなかったので、貴社の回答は不適切である。例えば、
装置の使用ログや、いつ、どのように洗浄が行われたかを示す記録がなかった。
この文書への回答の中で以下の情報を提供せよ:
・貴社が販売した原薬で不十分な洗浄手順の影響を受けた可能性のあるすべてのロットについて、
影響を判断するための独立したアセスメント
もし、リスクアセスメントが貴社の不適切な洗浄手順により貴社の医薬品の品質が損なわれて
いる可能性を示したら、顧客への通知や、製品の回収など貴社がとろうとしているアクション
を明記せよ。
・貴社の洗浄バリデーションの戦略、手順、プロトコル、検証のタイムラインを含む包括的な計画
・貴社の医薬品製造作業におけるワーストケースとして特定された条件を取り入れることに特に
重点を置いた洗浄バリデーションプログラムの適切な改善
それには、これに限定されないが、以下の全てのワーストケースの特定と評価を含むべきである:
〇より高い毒性を持つ医薬品
〇より高い有効性を持つ医薬品
〇洗浄溶液の中でより低い溶解度の医薬品
〇洗浄を難しくする特性を持った医薬品
〇洗浄を最も難しくする拭き取り場所
〇洗浄前の最大保持時間
さらに、新しい製造装置や新しい製品を導入する前に、貴社の変更管理システムで取られるはずの
手順を述べよ。
・製品、工程、装置の洗浄手順の検証とバリデーションに関する適切なプログラムが整っている
ことを保証する、改訂されたSOPのサマリ
●指摘3
貴社の製造所で製造された原薬がCGMPに従っていることを保証するために、品質部門がその責任を
果たすことの不履行
<指摘3詳細>
貴社には、原薬の製造に関する品質部門(QU)の適切な監督が不足していた。例えば、貴社のQUは、
以下のことを怠った:
・リリースと出荷の前の、貴社の原薬に関する適切な試験と、その結果の承認の実施
貴社は、原薬の品質を確実にするための同一性試験を実施しなかった。貴社は、適切な
適格性評価を通して供給者の分析の信頼性を立証せずに供給者のCOAをもっぱら信頼した。
例えば、貴社は、貴社の顧客により試験され、非常に強力であることがわかったオキシトシン
のロットXXとXXを出荷した。
・もともとの密閉容器から別の密閉容器に再包装された原薬(例:ロムスタチン、アゼライン酸)
の保管条件だけでなくリテストや使用期限を裏付ける安定性データがあることの保証
・貴社が受け取った原薬に関する規格の制定
・貴社の原薬の受領、リリース、出荷活動に関する適切に文書化された手順の制定
・製造指図の制定と承認及び、貴社の製造所で製造(例:再包装、再ラベル貼付)された原薬の
全てのロットに関するバッチ製造記録を持つこと
・CAPA、変更管理、調査(例:規格外の結果、不適合、苦情)に関する適切な手順の制定
貴社は回答の中で、入荷原料の受け取り、保管、リリースに関し、最近制定された手順を提出した。
貴社は、製造業者がCOAの規格への合格を報告しているかどうかに基づき、入荷原料を拒否・受入
するつもりであると述べた。
貴社は、入荷した原薬、容器、蓋の各ロットを評価しリリースするのに使用する予定の規格制定
に関するCAPAを提出しなかったので、貴社の回答は不十分である。貴社は、貴社の供給者の適格性
評価プログラムの詳細を提出することも怠った。
我々は、貴社が適正な文書化手順を実装したことを知っている。しかし、貴社は今後の原薬の製造
作業のための製造指図を制定・提出していない。
この文書への回答の中で以下の情報を提出せよ:
・QUが効果的に機能するための権限とリソースを与えられていることを保証するための包括的な
アセスメントと改善の計画
アセスメントには、これに限定されないが以下のことを含めるべきである。
〇貴社で使用されている手順が安定していて適切かどうかの判断
〇適切な手順の順守を評価するための、貴社の作業全体のQUの監督に関する規定
〇QUの出荷判定の前の各ロットの完全で最終的なレビュとそれに関連する情報
〇全ての製品の同一性、濃度、品質、純度を保証するための、QUの調査の監督・承認、及び、
QUのその他の職務からの解放
・貴社が製造に使用するために入荷した成分の各ロットを試験しリリースするのに使用する化学
及び微生物の品質管理規格
・同一性、濃度、品質、純度に関する全ての規格への一致について、各成分のロットをいかに
試験するつもりかの記述
もし貴社が濃度、品質、純度に関し各成分のロットを試験する代わりに供給者のCOAから得られる
結果を受け入れるつもりなら、最初のバリデーションと再バリデーションを通じて貴社の供給者の
結果の信頼性をいかに安定して実証するかについて明記せよ。さらに、入荷した成分の各ロット
について、少なくとも1つの同一性試験を常に実施するという約束を含めよ。
・今後の製造作業(例:開封、サンプリング、秤量、移動、再包装、再ラベル貼付)のための
製造指図と、貴社が作業を再開したら、製造されたはじめの5つのバッチレコード
・原材料に適切な使用期限またはリテスト日が付与されているかどうかを判断するための包括的
で独立したレビュ
レビュには、成分、容器、蓋の不適切な使用を防ぐために、入荷した原材料の管理が、適切か
どうかの判断も含めるべきである。
・もともとの密閉容器から別の密閉容器に再包装された各原薬のリテスト日または使用期限を
裏付けるための安定性の検証
この検証には、これに限定されないが以下のことを含めるべきである:
〇安定性を示す方法
〇各工程(タイムポイント)で試験される特定の特性の詳細な定義
〇貴社の改善された安定性プログラムにおける、これら及びその他の要素を述べた全ての手順
・貴社が販売する医薬品を試験するために使用される予定の契約施設の適格性評価及び監督に
関する貴社のプログラムのサマリ
●不良医薬品の受け取り
我々は貴社の供給者のリストをレビュし、貴社の原薬供給者の3社から得た全ての医薬品はこれら
の会社から輸入した時点で輸入警告措置の対象であったことに気付いた。原薬供給者のうち2社
から得た貴社で使用される医薬品は、供給者のCGMP不履行により輸入警告措置IA66-40のリストに
載っていた。原薬供給者のうち1社から得た貴社で使用される医薬品は、供給者が海外の製造所の
FDA査察または査察官の正当なアクセスの提供の先延ばし・拒否・制限したことにより輸入警告
措置IA99-32のリストに載っていた。更に、貴社の原薬供給者のうち2社は、不良医薬品の原因と
なるCGMP遵守に関する問題でFDAがウォーニングレターを発行していた。不良医薬品の受け取り
と配送または提供はFD&C Actの違反になる。
例えば:
・XXからの全ての医薬品はXX年から、FDAの輸入警告措置IA66-40のリストに載っていて、今の時点
で輸入警告措置が続いている。XXは、CGMP遵守の不履行によりFDAからウォーニングレターを
受け取った。貴社は、この製造業者により2019年6月24日~10月21日に製造された
ニトロフラントインの複数ロットを輸入し、2019年8月16日~11月18日に貴社の顧客に販売した。
・XXからの全ての医薬品はXX年から、FDAの輸入警告措置IA66-40のリストに載っていて、今の時点
で輸入警告措置が続いている。XXは、CGMP遵守の不履行によりFDAからウォーニングレターを
受け取った。貴社は、この製造業者によりXXに製造されたピモベンダン(欧州薬局方)を輸入し、
2019年5月15日に貴社の顧客に販売した。
・XXからの全ての医薬品はXX年から、FDAの輸入警告措置IA99-32のリストに載っていて、今の時点
で輸入警告措置が続いている。貴社は、この製造業者により2017年8月3日、2018年6月9日と
10月10日に製造されたエストリオール(米国薬局方)を輸入し、2018年2月21日~2019年2月26日
に貴社の顧客に販売した。
貴社には、貴社が販売した医薬品が全ての関連するCGMP要件に従って製造されていることを保証
する責任がある。輸入警告に関する最新情報は、FDAのウェブサイトで見つけることができる。
●品質システムのガイドライン
貴社の品質システムは不適切である。CGMPの要件21 CFR part 210, 211を満たすための
品質システムとリスクマネジメントアプローチの実装の助けのためにFDAのガイダンス文書
Quality Systems Approach to Pharmaceutical CGMP Regulationsを見よ。
●CGMPコンサルタントの推奨
我々は貴社がCGMP要件を満たす手伝いをするために貴社の全ての作業を徹底的に評価する適格な
コンサルタントを雇うことを強く勧める。貴社のコンサルタントの使用は、CGMPを順守するため
の貴社の義務を軽減するものではない。貴社の経営陣には、継続的なCGMP順守を保証するために、
全ての不備とシステムの欠陥を解決する責任が残る。
●停止された医薬品製造
我々は、この製造所で医薬品の製造を停止するという貴社の約束を認識している。この文書への
回答の中で、貴社が今後この製造所で作業を実施するつもりか明確にせよ。もし貴社が医薬品の
作業を再開するつもりなら、活動を再開する前に我々に通知せよ。
さらに、貴社が貴社の所有権の移動、作業の外注、新しい場所への引っ越しを決めたら、貴社の
作業を再開する前に我々に通知せよ。
●結論
この文書で挙げた逸脱は、貴社の製品に関する貴社の製造所に存在する逸脱の包括的なリストでも
ない。貴社には、これらの逸脱を調査し、原因を判断し、再発やその他の逸脱の発生を防止する
責任がある。
全ての逸脱を速やかに是正せよ。この問題への即座の適切な対処の不履行は、制限のない差し押さえ、
強制命令を含む、さらなる通知のない制限または法的なアクションにつながるかもしれない。未解決
の逸脱は、他の連邦機関の契約授与も妨げるかもしれない。
逸脱への対処の不履行は、輸出証明の発行の差し控えにもつながるかもしれない。全ての逸脱に完全
に対応され、我々が貴社のCGMPの遵守を確認するまで、FDAは貴社の製造業者としての新しい申請や
リストの補完の承認を保留するだろう。我々は、貴社が全ての逸脱に対する是正処置を完了したこと
を確認するために再査察を行うかもしれない。
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■CMS#614278■
2021年3月1日~3月5日のフロリダ州の製造所の査察でみつかった医薬品製造の重大なCGMP違反に
ついて発した2021年7月27日付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。
●指摘
貴社の品質管理部門は、製造された医薬品がCGMPに従い、同一性、濃度、品質、純度に関して
制定された規格を満たすことを保証する責任を果たすことを怠った。
〇バッチリリースの品質管理の不足
貴社はアルコールフリーの手の除菌用ローションとラベル表示されたOTC医薬品を製造し販売した。
貴社の品質部門は、少なくとも2020年3月から12月まで、総好気性微生物数(TAMC)と
カビ/酵母(Y/M)の最終製品規格に不合格のアルコールフリーの手の除菌用ローションを合格と
し、リリースした。さらに貴社は、手の除菌用ローションXXロット#XX、手の除菌用ローションXX
ロット#XX、除菌用ティッシュロットXXにセパシア菌、日和見病原菌を発見した。貴社は
2020年4月、7月、12月にそれらのロットを販売用にリリースした。
2021年3月5日に貴社の最高経営責任者によりサインされた宣誓供述書内で、貴社は、2020年3月1日
から6月30日に製造された製品は、汚染された状態で出荷されたと述べた。
これらの外用剤は、傷ついた皮膚や感染リスクの高い集団に適用されるかもしれない。これらの
製品の好ましくない微生物の汚染は、消費者に深刻な危険をもたらしうる。さらに、貴社は我々
査察官に、貴社のトップスリーの顧客は、幼児、歩き初めの子供、幼稚園に入る前の子供を含む
学校組織であると述べた。
微生物汚染のされた製品のリリースに関し、貴社のQUは、以下のことに関して職務と監督を行う
ことを怠った:
・貴社の最終製品が微生物に関する規格を満たさなかった時の規格外(OOS)の結果の開示と徹底的
な調査
貴社は、貴社の医薬品の成分を作る水設備XXの、水サンプル内の数えきれない微生物数(TNTC)
の発見を含む不具合の開示と徹底的な調査も怠った。
・貴社のOTC医薬品を製造するために使用される水設備が使用目的に合っていたという保証
水設備は、2020年3月23日にTNTCレベルが記録された微生物で汚染された水を製造した。
これらの発見にも関わらず、貴社のQUはこのシステムから作られた医薬品成分を不合格にする
権限を行使せず、かわりに、貴社は、好ましくない微生物で汚染されたOTC医薬品を製造し
リリースすることを続けた。
貴社の水設備に関する欠陥は新しいことではない。FDAは、2019年10月29日に貴社と規制に関する
会議を実施し、貴社の水設備の状態について議論した。貴社は会議中にXXを計画していると述べた。
FDAは水設備の不適切なモニタリングについて議論し、貴社は、適切でないモニタリングの理由は、
限定された製造によると述べた。
FDAは非無菌の医薬品と好ましくない微生物に関係した業界内の微生物汚染問題により開始された
回収数に関する情報を提供した。貴社は、もし水に関するOOSの結果を得たら、製品を隔離し、
調査を開始し、回収が必要か判断するつもりだと述べた。しかし、貴社のQUは規制に関する会議
の間にされた貴社の誓約に従わず、故意に製造で使用するために汚染された水をリリースし、
TNTCとして記録された危険なレベルの微生物で汚染された製品を販売した。
〇最終製品規格と安定性プログラムに関する手順と責任の不足
貴社のQUは、以下のことに関するその職務と監督を実施することを怠った:
・有効成分の塩化ベンザルコニウムに関する最終製品規格の制定
貴社は、最終製品の分析に関する規格を何度も変更し、まだ、規格の“最適化”と正当である
根拠を示している最中であると述べた。
・医薬品がその属性を使用期間を通じて保持していることを保証する安定性プログラムの制定
貴社は回答の中で、“消費者の強い要求”により、それが合格である前提で充填し出荷するという
判断がより優先的なリーダーシップによりされたと述べた。その後の最終製品の試験では時々
バクテリアに関し陽性であることが示されたが、大部分は無視され、試験結果に一貫性がなく
それらがなぜ陽性だったかの明白な相関もないため、結果は信用できないものと判断された。
貴社は、前の経営陣がこれらのリリースの判断をしたと述べたが、現在の経営陣が微生物で高度
に汚染されている医薬品を少なくとも23回出荷した。
貴社の回答は不適当である。貴社は、安全で効果のある医薬品が市場に出荷されることを保証する
ために、いかに品質部門が医薬品の製造工程の必要な監督を行うつもりかの詳細を提出しなかった。
例えば、貴社の回答は、貴社の品質部門が、いかに品質部門の責任の重要な要素である医薬品の
全てのロットの適合性を判断するつもりかが詳細に述べられていない。さらに、製品ロットを
リリースするための正当化のための微生物試験を単純に信頼することができない。汚染は、特に
欠陥のあるシステム内では、通常は均一に分布していないので、それ故に、サンプルはロットの
他のユニット内に存在するかもしれない汚染のタイプやレベルを表現していないかもしれない。
この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:
・市場にあり使用期限内の全ての製品に関する貴社の責任の書面での認識
・販売中の医薬品に関する有害事象や顧客の苦情の継続的なレビュを含む、品質アセスメントを
いかに維持するかを示せ。
・市場にあり使用有効期限内にある貴社が回収していない全ての医薬品の完全な突き合わせ
・貴社が回収した全ての医薬品と、在庫に残っている医薬品の完全な突き合わせ
・貴社が処分した医薬品に関し、貴社がいかに在庫し、突き合わせをし、処分したかを明確に示す
文書を提供せよ。
・連絡先情報、医薬品製造業者を解体しFDAの登録を抹消したことを示す文書を含む、貴社の
ビジネスの解体に関する詳細な計画を提供せよ。この計画の中で、貴社がいかに装置と資産を
処分したかを示せ。
●好ましくない微生物
セパシア菌群は、非無菌の水性医薬品への汚染のリスクをもたらす。医薬品のセパシア菌群の
汚染の深刻さに関する更なる情報は、FDAの注意書を見よ。
●製造所での製造の中止
我々は、2021年6月30日以後、医薬品の全ての製造と販売を中止するという貴社の判断を認識して
いる。
もし、貴社、後継者、取得者がアメリカ市場のためにこの製造所で医薬品の製造作業を再開する
なら、これらのCGMP違反の改善が必要となることに注意せよ。もし貴社がこの製造所、または、
他の場所で医薬品製造作業を再開するつもりなら、貴社の作業を再開する前に、指摘された
CGMP違反に関し、詳細の裏付文書を含む全ての改善の確認文書と共に、当局に連絡せよ。
●結論
この文書で挙げた違反は、貴社の製品に関する違反の包括的なリストでもない。貴社には、これら
の違反を調査し、原因を判断し、再発を防止し、その他の違反を防止する責任がある。
この文書で挙げた違反を速やかに是正せよ。これらの違反への即座の適切な対処の不履行は、制限
のない差し押さえ、強制命令を含む、さらなる通知のない制限または法的なアクションにつながる
かもしれない。未解決の違反は、他の連邦機関の契約授与も妨げるかもしれない。
違反への対処の不履行は、輸出証明の発行の差し控えにもつながるかもしれない。全ての違反に
完全に対応され、我々が貴社のCGMPの遵守を確認するまで、FDAは貴社の製造業者としての新しい
申請やリストの補完の承認を保留するだろう。我々は、貴社が全ての違反に対する是正処置を完了
したことを確認するために再査察を行うかもしれない。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
まとめ
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
いかがでしたでしょうか。
アメリカの話とはいえ、2件ともなかなか衝撃的だったと思います。
1件目の、洗浄バリデーションを実施せず、洗濯洗剤を使っていたという話に衝撃を受けました。
また、2件目の微生物で汚染された水を使って除菌用ローションやティッシュを製造し販売をした
という内容を読み、ドラッグストアで購入した、海外製の除菌用ローションは大丈夫だろうか?
と心配になりました。
消費者を危険にさらしたり不安にさせたりしないために、粛々とGMPを順守していくしかないと
あらためて思いました。
☆次回は、12/15(水)に配信させていただきます。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
インターフェックスジャパンのご案内
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
2021年12月8日~12月10日に幕張メッセにて開催されるインターフェックスジャパンに出展
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◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
★弊社サービスのご案内
https://drmarketing.jp/cch/73/520/3/425/395819/c04859
★ブログ毎日更新中!
◆ PROS.社長の滋養強壮ブログ
https://drmarketing.jp/cch/73/520/1/425/395819/5e4315
◆ プロス橋本のブログ
https://drmarketing.jp/cch/73/520/2/425/395819/88d96c
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