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2021.11.15
【最近のウォーニングレター】ASTROM通信<230号>
~安全な医薬品の安定供給をご支援する~
こんにちは
ASTROM通信担当の橋本奈央子です。
紅葉は見ごろになってきましたが、いかがお過ごしでいらっしゃいますか。
さて、今回は、FDA(米国食品医薬品局)から海外の製造所に出されたウォーニングレターと、
アメリカ国内の製薬会社向けに出されたウォーニングレターを1件ずつ取り上げたいと思います。
最後までお読みいただければ幸いです。
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最近のウォーニングレターの概要
注:文中のXXはウォーニングレターでマスキングされている文言及び具体的な社名・品名等です。
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■#320-21-57■
FDAがOTC医薬品を製造しているホンジュラスの製薬会社から2020年11月6日、2021年3月24日に
提出された記録及び情報をレビュし、医薬品製造の重大なCGMP違反について発した2021年9月15日
付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。
●指摘1
貴社は、成分、医薬品の容器、蓋、中間材料、ラベル、医薬品が、同一性、濃度、品質、純度の
適切な標準に従うことを保証するために設計された科学的に妥当で適切な規格、標準、サンプ
リング計画、試験手順を含む試験管理を定めることを怠った。
<指摘1詳細>
我々の704(a)(4)の要求に対する貴社の回答及びその後の対応で、貴社は、貴社の最終製品XX
内の有効成分である塩酸リドカイン及びメンソールに関する適切な規格を制定することを怠って
いることを示した。例えば、704(a)(4)に従った記録及びその他の情報提供に関する我々の要求
に対する貴社の回答の中で、貴社は、アメリカに出荷されたと確認されたロットに関する
最終製品の試験記録を提出した。これらの記録の我々のレビュで、貴社は、最終製品の中の
有効成分メンソールに関する規格の制定を怠っていたことを示した。さらに、貴社は、入荷した
メンソールを試験したように見えない。
この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:
・最終製品試験の適切さを保証するための、包括的で独立したアセスメントと、是正処置・予防
処置の計画
貴社の改善されたプログラムは、これに限定されないが以下のことを含むべきである:
〇(摘要できる場合は)現在のアメリカ薬局方(USP)公定承認基準の規格を使用するという約束
・ロットの出荷判定をする前に製品の各ロットを分析するために使用される試験方法を含む化学
及び微生物の規格のリスト
〇この文書の日付時点で使用期限内にあるアメリカに出荷された製品の全てのロットの品質を
判断するために保管サンプルの全ての化学及び微生物の試験を実施するためのアクション
プランとタイムライン
〇各ロットの保管サンプルの試験から得られた全ての結果のサマリ
それらの試験で医薬品が品質の基準を満たさないことが明らかになったら、顧客への通知や
製品の回収等の迅速な是正処置を行うこと。
・貴社の試験業務、手順、方法、装置、文書、分析者の能力の包括的で独立したアセスメント
このレビュに基づき、貴社の試験システムを改善し、その効果を評価するための詳細な計画を
提出せよ。
●指摘2
貴社は、医薬品の安定性を評価するために設計された文書化された試験プログラムを制定しそれに
従うことと、適切な保管条件と使用期限を決定するために安定性試験結果を使用することを怠った。
<指摘2詳細>
我々の704(a)(4)の要求に対する貴社の回答及びその後の対応は、貴社には、貴社の製品の化学的
特性がラベルに表示された3年の有効期間を通して許容可能であることを示すための、適切な安定性
ラムが欠けていることを示している。例えば、我々は、貴社の製品XXに関するラベルに示された3年
の使用期間を裏付けるために使用された全ての安定性の検証または(制定された安定性プログラム
と切り離された)記録・データのリストを含む詳細の提出を要求した。貴社はは、“全ての製品は
加速安定性及び在庫(実時間)の安定性を持っている”と説明した。しかし、704(a)(4)に基づく
記録及びその他の情報に関する我々の要求に対する、アメリカ向けに出荷され販売された製品に
関する貴社の回答は、貴社が適切な安定性プログラムを制定していないうえに、評価されたロット
は、ラベルの使用期限の表示を裏付けるための定量分析の判断の対象とされていないことを示して
いる。さらに、貴社は、アメリカに出荷され販売された手の除菌用ローションの有効期限を裏付け
る適切な安定性データを提出しなかった。
この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:
・貴社の安定性プログラムの適切さを保証するための、包括的で独立したアセスメントと、
是正処置・予防処置の計画
貴社の改善されたプログラムは、これに限定されないが以下のことを含むべきである:
〇分析試験及び微生物試験の方法を含む安定性を示す方法
〇ラベルの表示を裏付けるための定量分析に基づく各製品の安定性の検証
〇保管期間が妥当か判断するために、各製品の代表的なロットが毎年プログラムに追加される
ような継続的な計画
〇各工程(タイムポイント)で試験される特定の特性の詳細な定義
・貴社の改善された安定性プログラムにおける、これら及びその他の要素を述べた全ての手順
・手の除菌用ローションの有効期間を裏付ける安定性データ
・アメリカで流通している製品の製品品質や患者の安全性のリスクに対応するための、顧客への
通知、回収、市場からの撤退の可能性を含む貴社のアクションプラン
●指摘3
貴社は、純度、濃度、品質に関する全ての適切な文書化された規格への一致について、各成分の
サンプルを試験することを怠った。
<指摘3詳細>
入荷した成分の試験に関する我々の704(a)(4)の要求に対する貴社の回答及びその後の対応は、
貴社が、リリースもしくはアメリカへの出荷前に貴社の医薬品の製造に使用される入荷成分の
純度または同一性に関する適切な試験を示すことを怠った。例えば、704(a)(4)に関連する記録
及びその他の情報提供に関する我々の要求に対する貴社の回答は、貴社がXXに関する適切な成分
の試験を保証することを怠っていることを示した。特に、エチルアルコールの不純物に関して
評価することと、同一性試験を実施することを怠った。
この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:
・製造に使用する成分の入荷した各ロットの試験やリリースに使用している化学及び微生物の
品質管理の規格
・同一性、濃度、品質、純度に関する全ての適切な規格への一致について、各成分のロットを
いかに試験するかの記述
制定された試験方法の代わりにその他の方法が使われるなら、正当性を提供することを要求
する。各成分の濃度、品質、純度の試験をする代わりに、供給者の分析証明書(COA)から
得られる結果を受け入れるつもりなら、初期のバリデーションと定期的な再バリデーション
を通して貴社の供給者の試験結果の信頼性をいかに確実に立証するつもりかを明記せよ。
さらに、入荷した成分の各ロットの少なくとも特定の1つの同一性試験を常に実施するという
約束を含めよ。
・各成分の製造業者のCOAの信頼性を評価するために全ての成分の試験から得られた結果のサマリ
このCOAのバリデーションプログラムについて述べた貴社のSOPを含めよ。
・貴社が製造した医薬品を試験する契約施設の適格性評価と監督に関する貴社のプログラムの
サマリ
・成分、容器、蓋の全ての供給者にそれぞれ適格性があり、原材料には適切な使用期限または
リテスト日が付与されているかどうかを判断するための原材料システムの包括的で独立した
レビュ
レビュでは、入荷した原材料の管理が、不適切な成分、容器、蓋の使用を防ぐのに適切である
ことも判断せよ。
・アメリカで流通している製品の製品品質や患者の安全性のリスクに対応するための、顧客への
通知、回収、市場からの撤退の可能性を含む貴社のアクションプラン
●未承認の新薬と虚偽表示の違反
省略
●ベータラクタムの封じ込め
貴社が提出した記録は、貴社が貴社の製造所で他の医薬品に加えて、強力な化合物を製造して
いることも示している。ベータラクタムの管理について明らかにせよという複数の要求に対する
貴社のそれぞれの回答の中で提供された記録は、ベータラクタム製品と非ベータラクタム製品
の間の完全で包括的な分離が確立されていたことを保証していない。例えば、モニタリングと
人の流れに関する以下の管理は確立されていなかった。
・封じ込めを立証する環境モニタリング
・休憩室やジムなどの共有空間内の人の流れの制限
極めて低い閾値量でアレルギー反応が起こりうるため、ベータラクタムの設備は、非ベータラク
タムの設備と完全かつ包括的に分離されている必要がある。さらなる情報については、業界の
ガイドラインである
“Non-Penicillin Beta-Lactam Drugs : A CGMP Framework for Preventing Cross-Contamination”
を参照せよ。
●結論
この文書で挙げた違反は、貴社の製品に関する違反の包括的なリストでもない。貴社には、
これらの違反を調査し、原因を判断し、再発を防止し、その他の違反を防止する責任がある。
FDAは貴社で製造された全ての医薬品について、2021年6月16日に輸入警告措置66-40をとった。
違反が解決されたことを示すエビデンスがあり、当局が今後の輸入品がFD&C Actを遵守すると
いう信頼をするまで、貴社で製造された全ての医薬品は輸入警告リストに残る。基準に適合して
いない状況に対処されたとFDAが認める前に査察を行うかもしれない。
全ての違反に完全に対応され、我々が貴社のCGMPの遵守を確認するまで、FDAは貴社の製造業者
としての新薬の申請やリストの補完の承認を保留するだろう。
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■CMS#613385■
インドの製造所の査察(2020年9月10日~2020年11月5日)でみつかった医薬品製造の重大な
CGMP違反について発した2021年6月11日付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげ
られています。
●指摘1
貴社は装置の洗浄及びメンテナンスに関する適切に文書化された手順を制定し、それに従う
ことを怠っ
た。
<指摘1詳細>
貴社の打錠機及びXXを含む非専用装置の洗浄手順は不十分である。我々の査察官は、品質部門
によって”クリーン“と保証されリリースされた打錠機の1つのXの内側に、前に製造された
製品の残留物をみつけた。貴社はいくつかの強力な医薬品と非強力な医薬品を製造するために
この打錠機を使用していた。
査察官は、XXの上と、XXのダクトXXの中でも残留物を発見した。2008年に設置されたXXに関する
洗浄と予防的保全の手順は、これらのエリアまたはエアダクトの定期検査に関する洗浄の指図
を含んでいなかった。
貴社は回答の中で、前に製造された医薬品の活性残留物が確認された打錠機XXから収集された
残留物の分析試験を実施したと述べた。また貴社は、2つの異なる有効成分トリメトプリムと
チニダゾールの存在が確認されたXXのダクトXXから収集された残留物の分析試験も実施したと
述べた。
貴社はアメリカに出荷され使用期限内で、これらの非専用装置で製造された製品の保管サンプル
について、交叉汚染に関する試験をしなかったので、貴社の回答は不十分である。貴社は、
残留物XXの試験結果は、許容可能なキャリーオーバーの最大値(MACO)を下回っていると述べた。
しかし、それは、交叉汚染が発生しなかったことを保証してはいない。さらに、残留物を覆う
XXが発見され、交叉汚染防止の完全性の保証にならない。
貴社の是正処置・予防処置(CAPA)は製品の切り替え時、ダクトXXの洗浄を含むことを怠った
ので、貴社が交叉汚染を防げるという保証はない。
この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:
・交叉汚染の可能性に関して、上記に示したように貴社の打錠機とXXで製造され、使用期限内
でアメリカ市場に出荷された製品の全ての保管サンプルを試験するという約束
貴社の調査は、全ての潜在的な汚染源の評価を含めるべきである。さらに、試験には、目的
に合っていて、製品が持つとされる濃度、品質、純度を持っていることを示すバリデート
された試験方法を使った分析を含むべきである。これに限定されないが、製品の名前、
ロット番号、使用期限、実施された試験、試験方法の名前、規格、試験結果を含むサマリを
提出せよ。もしそれらの試験で製品が品質の基準を満たさないことが明らかになった場合は、
顧客への通知や製品の回収等の迅速な是正処置をとること。
・交叉汚染の危険の範囲を評価するための、洗浄の効果の包括的で独立した回顧的なアセス
メント
残留物の特定、不適切に洗浄されたかもしれないその他の製造装置、交叉汚染された製品が
販売のために出荷されたかどうかのアセスメントを含めよ。
アセスメントは洗浄の手順や業務の不十分さを確認し、2製品以上を製造するために使用
される製造装置も網羅すべきである。
・手順や業務の適切な改善、頻度の評価、完了までのタイムラインを含む、貴社の洗浄及び
予防的保全プログラムの回顧的アセスメントに基づくCAPAの計画
装置の洗浄と予防的保全のライフサイクル管理に関する貴社の手順の脆弱性のサマリを提出
せよ。効果の増大、全ての製品と装置に関する適切な実行の改善された継続的な検証、
その他の全ての必要とされる改善を含む、これらのプログラムの改善について述べよ。
・貴社の医薬品製造作業におけるワーストケースとして特定された条件を取り入れることに
特に重点を置いた洗浄バリデーションプログラムの適切な改善
それには、これに限定されないが、以下の全てのワーストケースの特定と評価を含むべきで
ある:
〇より高い毒性を持つ医薬品
〇より高い有効性を持つ医薬品
〇洗浄溶液の中でより低い溶解度の医薬品
〇洗浄を難しくする特性を持った医薬品
〇洗浄を最も難しくする拭き取り場所
〇洗浄前の最大保持時間
・さらに、新し製造装置や新しい製品を導入する前に、貴社の変更管理システムで取られる
はずの手順を述べよ。
・製品、工程、装置の洗浄手順の検証とバリデーションを実施するための適切なプログラム
を保証する改訂されたSOPのサマリ
●指摘2
貴社は、貴社が製造する医薬品が、それが持つとされる同一性、濃度、品質、純度を持って
いることを保証するために設計された製造と工程の管理に関する文書化された手順を制定
することを怠った。
<指摘2詳細>
貴社は、製品の製造を新しい建物に移す前に、XX15㎎とXX30㎎に関する製造工程を適切に
バリデートすることを怠った。貴社は、貴社の製造作業に対し行った、工程や装置の変更
(例:有効成分の投入順番、異なるモデルXX)を適切に評価せず、製品品質への影響の確認
を怠った。貴社は、これらの変更が行われたロットを製造し、アメリカ市場に製品を出荷
した。これらのバリデートされていない変更のもとで製造されたいくつかのロットは、
含量均一性に関し規格外(OOS)だった。
貴社のOOSの結果は、貴社の工程が安定していないことを示している。貴社は、製造工程が
再現可能で、均一の性質と品質を持つ医薬品を一貫して製造するために管理されている
ことを適切に証明しなかった。
貴社は回答の中で、XXカプセルの製造作業において、OOSの根本原因である最適以下の
工程性能の発生を認めたと述べた。貴社は、15㎎と30㎎の濃度に関する装置と工程の変更
の実施と共に、各ロットの全ての規格への一致についてXXロットのバリデーションを完了
したとも述べた。さらに貴社は、改善の実施と共に、濃度について、製造されたXXロット
をモニタするための継続的な工程モニタリングの検証のためのサンプリング手順を開始
したと述べた。
貴社は、バリデーション前に製造され、アメリカ市場に出荷されたロットが適切な濃度や
品質を持っているという保証を提出しなかったので、貴社の回答は不十分である。これらの
ロットについて実施された追加の同一性試験は、他の全ての製品の品質特性が適合している
ことを保証していない。
さらに、貴社は、安定した製造作業と一貫した製品品質を保証するための工程管理のモニタ
リングに関する適切な継続的プログラムを持っていない。貴社の継続的な工程モニタリング
の検証のためのサンプリング手順は同一性しか評価していない。製品を移すタイミングで
製造作業への変更がされた時、傾向外(OOT)の分析結果が確認された。
FDAがプロセスバリデーションの適切な要素と考える一般的な原則とアプローチについて、
FDA のガイダンス文書Process Validation : General Principles and Practicesを見よ。
この文書への回答の中で、以下の情報を提出せよ:
・製品のライフサイクルを通して管理状態を保証するための貴社のバリデーションプロ
グラムの、関連手順も含めた詳細なサマリ
XX30mgの継続的な工程モニタリングの検証のためのサンプリング手順のバリデーション
レポート、XX15mg、XX30mgに関するリスクアセスメントのレポートを含めよ。継続的な
管理状態を保証するための工程の性能適格性評価、ロット内及びロット間のばらつきの
継続的なモニタリングに関するプログラムについて述べよ。
・貴社が販売した各医薬品の適切な工程の性能適格性評価の実施に関するタイムライン
・各ロットの製造中のばらつきの検知を高めるための、改善された工程内の試験とモニタ
リング
これに限定されないが、上流の工程管理をより確実にモニタするための改善されたサンプ
リングを含む、改善された工程内の品質基準を含めよ。その改善が、工程のばらつきと
製造の不具合の早い検知をいかに保証するかについて述べよ。また、消費者が品質の基準
を満たさない医薬品にさらされることを防ぐこと。
●指摘3
貴社は、品質管理部門に適用する適切に文書化された責任と手順を制定し従うことを怠った。
<指摘3詳細>
貴社の品質部門(QU)は、貴社が製造した医薬品の濃度、品質、純度を保証するために適切に
文書化された手順を制定してそれを順守することを怠った。例えば、
・貴社の、許容可能なキャリーオーバーの最大値(MACO)を変更するためのレビュと承認に
関する洗浄バリデーションプロトコルの手順は、適切なQUの管理を必要としていなかった。
特に、この手順は、非専用装置で製造された強力な医薬品と非強力な医薬品に関し、試験
方法と、承認された洗浄のMACOの限界値のQUによるレビュを必要としていなかった。貴社は、
これらの医薬品の試験方法が新しく制定された限界値を量ることができることを保証しな
かった。
・貴社は、211.180(e)及び貴社の制定された手順で必要とされている年次製品照査(APR)を
適切に履行することを怠った。2019年がAPRの期限のいくつかの製品は査察時点で保留の
ままだった。貴社の手順は医薬品の契約日のXX日以内にAPR完了を必要求めていた。
貴社は以前に、全ての製造所で、分析方法の等価、洗浄バリデーションの手順、APRの手順を
強化し、会社の品質保証の管理をすると全社規模で約束した。
貴社は回答の中で、貴社の洗浄バリデーションプログラムのより確実なQUの監督の必要性を
認め、リスクアセスメントと影響評価の方法を含めるよう貴社の洗浄バリデーションと検証
の手順のSOP NL-VA-002に改訂したと述べた。貴社は、QU以外の試験管理部門が、試験方法の
バリデーションに関する標準操作手順書(SOP)をレビュし承認する権限を持っていることも
明らかにした。貴社は、SOPは連携と一貫性のある実行のために調和がとられていたと述べた。
さらに、貴社は、主としてAPRに責任のある個人が追加のQUの任務も責任を負い、XXの表計算
の手順は、XXシステムに置き換えられたとも述べた。
貴社は、製造された医薬品の同一性、濃度、品質、純度に影響を与える手順を承認する責任
をQUに付与することを保証する全ての文書化された手順の包括的なアセスメントを提出する
ことを怠ったので、貴社の回答は不十分である。
この文書への回答の中で以下の情報を提出せよ:
・貴社のQUが効果的に機能するための権限とリソースを与えられていることを保証するため
の包括的なアセスメントと改善計画
アセスメントには、これに限定されないが、以下のことも含めるべきである:
〇貴社で使用されている手順が安定していて適切かどうかの判断
〇貴社のQUが、任命されたQUの権限を行うために、適切な教育、訓練を受け、経験を
持っているかどうかの判断
〇適切な手順の順守を評価するために、貴社の作業全体のQUの監督に関する規定
〇QUの出荷判定の前の各ロットの完全で最終的なレビュとそれに関連する情報
・これに限定されないが、新たに発生した製造/品質の問題に積極的に対応し、継続的な
管理状態を保証するために、リソースのタイムリーな提供を含んだ、経営陣がいかに
品質保証と信頼できる作業をサポートするかについても述べよ。
●複数製造所での繰り返しの違反
FDAは貴社の組織内の製造所で同様のCGMP違反を挙げていた。
・2019年9月10日、XXの製造装置の不十分な洗浄と不十分なプロセスバリデーションに関し
て、ウォーニングレターが発行された。
・2017年11月6日に2か所の製造所にCGMPに関するウォーニングレターが発行され、それに
対して、会社の品質コンプライアンスとグローバルな品質ガバナンスを強化するという
約束がされた。
複数の製造所での繰り返される違反は、貴社の医薬品の製造に関する監督や管理が不適切
であることを示している。貴社は、全ての製造所で、システムや工程、最終的には、貴社
で製造される医薬品がFDAの要件に従うことを保証するために貴社の製造作業をより包括的
に評価すべきである。
●結論
この文書で挙げた違反は、貴社の製品に関する違反の包括的なリストでもない。貴社には、
これらの違反を調査し、原因を判断し、再発を防止し、その他の違反を防止する責任がある。
もし貴社が貴社の製造所で生産される医薬品の供給に混乱を引き起こしそうなアクション
を検討しているならば、FDAが貴社の作業が法律に従うために最も効果的な方法で働くため
に、FDAはCDERの医薬品不足スタッフにすぐに連絡をとることを要求する。
医薬品不足スタッフへの連絡は、貴社の医薬品製造の中断または休止を報告する義務を果たす
こともできる。これは、FDAが出来るだけ早く貴社の製品の不足を防ぎ、貴社の製品に依存
する患者の健康を守るために必要なアクションを考えることを可能にする。
全ての違反を速やかに是正せよ。この問題への即座の適切な対処の不履行は、制限、差し
押さえ、強制命令を含むさらなる通知をせず、規制または法的なアクションにつながるかも
しれない。未解決の違反は、他の連邦機関の契約授与も妨げるかもしれない。
違反への対処の不履行は、輸出証明の発行の差し控えにもつながるかもしれない。全ての
違反に完全に対応され、我々が貴社のCGMPの遵守を確認するまで、FDAは貴社の製造業者と
しての新薬の申請やリストの補完の承認を保留するだろう。我々は、貴社が全ての違反に
対する是正処置を完了したことを確認するために再査察を行うかもしれない。
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まとめ
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いかがでしたでしょうか。
今回も、入荷成分や製品の不十分な試験、安定性の不十分な管理が指摘されていましたが、
それに加えて、封じ込めや交叉汚染対策の不備の指摘がみられました。
専用設備・装置が使えればそれに越したことはないですが、それが出来ない場合は、製造
する側は洗浄や保全の手順の整備と順守、また査察する側は交叉汚染対策の確認が必要で
あるとあらためて思いました。
☆次回は、12/1(水)に配信させていただきます。
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2021年12月8日~12月10日に開催されるインターフェックスジャパンに出展いたします。
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今後メルマガが必要ない方は、お手数ですが下記まで配信停止依頼のメールをお願いします。
【発行責任者】
株式会社プロス
『ASTROM通信』担当 橋本奈央子
2021.11.01
【最近のウォーニングレター】ASTROM通信<229号>
~安全な医薬品の安定供給をご支援する~
こんにちは
ASTROM通信担当の橋本奈央子です。
今年も残すところあと2ヶ月となりましたが、いかがお過ごしでいらっしゃいますか。
さて、今回もFDA(米国食品医薬品局)から海外の製造所に出されたウォーニングレター2件
について見ていきたいと思います。
最後までお読みいただければ幸いです。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
最近のウォーニングレターの概要
注:文中のXXはウォーニングレターでマスキングされている文言及び具体的な社名・品名等です。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
■#320-21-46■
FDAがOTC医薬品を製造しているトルコの製薬会社から2020年4月23日に提出された記録及び
情報をレビュし、医薬品製造の重大なCGMP違反について発した2021年5月13日付ウォーニング
レターには、下記の指摘事項があげられています。
●指摘1
貴社は出荷前に、医薬品の各ロットについて、各有効成分の同一性、濃度を含む最終製品
の規格に一致するという試験の判断をすることを怠った。
<指摘1詳細>
貴社は、XXをXX%含むXXのようなXX等のOTC医薬品をFDAのリストに載せている。 704(a)(4)に
基づいた我々の記録やその他の情報の提出要求に対する貴社の回答は、貴社がアメリカ向けに
出荷した医薬品の適切な最終製品試験を実施していないことを示していた。
貴社の回答文書の説明を受けるための2020年7月16日の電話会議と、2021年1月19日のフォロー
アップ電話会議中、貴社は、アメリカ市場向け製品の各ロットの出荷判定前に、有効成分XXの
同一性と濃度の試験を実施していないことを認めた。貴社は、回答の中で、製剤が安定して
いるのでこの試験が必要とされていないということも認めた。
704(a)(4)の要求により、我々は、貴社がいくつかのロットをアメリカ向けに出荷したことに
気付いた。
この文書への回答の中で、704(a)(4)の要求の前後にアメリカが輸入した全ての製品に関する
以下の情報を提供せよ:
・ロットの出荷判定前に製品の各ロットを分析するために使用される試験方法を含む、化学
及び微生物の規格
・この文書の日付時点で使用期限内にあるアメリカに出荷された製品の全てのロットの品質を
判断するために保管サンプルの化学及び微生物の全ての試験を実施するためのアクション
プランとタイムライン
・各ロットの保管サンプルの試験から得られた全ての結果のサマリ
もしそれらの試験で、医薬品が品質の基準を満たさないことが明らかになったら、顧客への
通知や製品の回収等の迅速な是正処置を行うこと。
・試験の業務、手順、方法、装置、文書、分析者の能力の包括的で独立したアセスメント
このレビュに基づき、貴社の試験のシステムを改善し、その効果を評価するための詳細な
計画を提出せ
よ。
●指摘2
貴社は、医薬品の各成分の同一性を検証するための試験を少なくとも1つ実施することを怠った。
貴社は、適切な間隔で、成分の供給者の分析試験の信頼性をバリデートし証明することも怠った。
<指摘2詳細>
貴社が提出した記録や情報は、貴社が同一性を判断するため、OTC医薬品を製造するために使用
される有効成分の入荷したロットを試験していることを示していなかった。さらに、貴社は、
適切なバリデーションを通して供給者の分析の信頼性を確認していなかったが、成分の供給者
の分析レポートに基づき、医薬品の製造に使用するために有効成分をリリースした。
例えば、成分の各ロットの同一性試験の情報に関する我々の最初の704(a)(4)の要求への回答
において、貴社はそれらの試験のエビデンスを提出しなかった。そのすぐ後の2021年1月19日
に行われた電話会議で、貴社は、入荷したXXの各ロットの同一性試験を実施していなかったが、
ベンダの分析証明書(CoA)を信頼していると述べた。同じ電話会議内で、我々はXXの供給者
の適格性を評価するために実施された試験を含む文書を要求した。この要求にこたえて、貴社
は2021年2月1日に、管理帳票、分析方法、XXに関するサードパーティの分析レポートを含む
文書を提出した。提出された文書は、ベンダの適格性を示し、貴社の有効成分XXの供給者の
信頼性を確証するために十分なエビデンスではない。
貴社がもし医薬品の製造に使用する前に各成分のロットの同一性を検証するために少なくとも
1つ試験を実施するならば、品質特性に関するベンダのCoAを信頼することができる。さらに、
貴社は、適切な初期のバリデーションと、その後の、適切な間隔での供給者の試験結果の検証
を通じて、供給者の分析の信頼性を実証すべきだった。
この文書への回答の中で、704(a)(4)の要求の前後にアメリカが輸入した全ての製品に関する
以下の情報を提供せよ:
・成分、容器、蓋の全ての供給者にそれぞれ適格性があり、原材料には適切な使用期限または
リテスト日が付与されているかどうかを判断するための原材料システムの包括的で独立した
レビュ
レビュでは、入荷した原材料の管理が、不適切な成分、容器、蓋の使用を防ぐのに適切で
あることも判断せよ。
・製造に使用するための成分の各入荷ロットを試験しリリースするために貴社が使用する
化学及び微生物の品質管理の規格
・各成分のロットが同一性、濃度、品質、純度に関する全ての適切な規格に一致することを
貴社がいかに試験するつもりかの記述
もし貴社が、濃度、品質、純度に関し、各成分のロットの試験をする代わりに供給者の
CoAの結果を受け入れるつもりなら、貴社が最初のバリデーションと定期的な再バリデー
ションを通じて供給者の分析結果の信頼性をいかに確実に確認するつもりかを明記せよ。
さらに、各入荷成分のロットについて少なくとも1つの特定の同一性試験を常に実施すると
いう約束を含めよ。
・各成分の製造業者から得られたCoAの信頼性を評価するための全ての成分の試験から得られた
結果のサマリ
このCoAのバリデーションプログラムを述べた貴社の標準操作手順を含めよ。
・貴社が製造した医薬品を試験する契約施設の適格性評価と監督に関する貴社のプログラムの
サマリ
・貴社のために原材料を製造する供給者の適切な選定を保証するための改善されたプログラム、
意図した使用目的のために供給者から供給された各原材料の品質等級の適合性、サプライ
チェインの継続的な監視、入荷したロットの適切な管理
●指摘3
貴社は、医薬品の安定性を評価するために設計された文書化された試験プログラムを制定し
それに従うことと、適切な保管条件と使用期限を決定するために安定性試験結果を使用する
ことを怠った。
<指摘3詳細>
貴社は、ラベルに表示された使用期間を通して、貴社の医薬品の化学的特性が許容可能な状態
であることを示すための適切な安定性のデータを提出しなかった。
例えば、704(a)(4)の要求に応じて提出されたXXに関する加速安定性データは、有効成分XXに
関する試験を含んでいなかった。従って、データは、医薬品の有効成分が有効期間を通して
安定していることを示していなかった。さらに、提供されたデータは、品質の悪い製品の
テストを含んでいなかった。2021年1月19日に行われた電話会議で貴社は、安定性の検証中に
XXに関する分析試験を実施してないと述べた。
適切な安定性のデータなしに、貴社は、製品に付与された有効期間を通じて、製品が、制定
された規格と予め定められた全ての品質の基準を満たすことを保証できない。
この文書への回答の中で、704(a)(4)の要求の前後にアメリカが輸入した全ての製品に関する
以下の情報を提供せよ:
・貴社の安定性プログラムの適切性を保証するための包括的で独立したアセスメントとCAPAの
計画
これに限定されないが、貴社の改善されたプログラムには以下のことを含むべきである:
〇安定性を示す方法
〇出荷許可前に、販売されたコンテナ密閉システム内の各製品の安定性の検証
〇保管期間が妥当か判断するために、各製品の代表的なロットが毎年プログラムに追加
されるような継続的な計画
〇各工程(タイムポイント)で試験される特定の特性の詳細な定義
・貴社の改善された安定性プログラムにおける、これら及びその他の要素を述べた全ての手順
●品質システム
貴社の品質システムは不十分である。CGMPの法律である21 CFR part210,211の要求を満たす
ために品質システムとリスクマネジメントアプローチを実装するための助けとして、FDAの
ガイダンス文書Quality Systems Approach to Pharmaceutical CGMP Regulationsを見よ。
●CGMPコンサルタントの推奨
我々が貴社で確認した違反の性質に基づき、我々は貴社がCGMP要件を満たす手伝いをするために
21 CFR 211.34に規定されている適格なコンサルタントを雇うことを強く勧める。また我々は、
貴社がFDAと共に貴社のコンプライアンス状態の解決を達成しようとする前に、適格なコンサル
タントが貴社のCGMP遵守に関し貴社の全ての作業の包括的な監査を実施し、貴社の是正処置・
予防処置の完了と効果を評価することを勧める。
貴社のコンサルタントの使用は、CGMPを順守するための貴社の義務を軽減するものではない。
貴社の経営陣には、継続的なCGMP順守を保証するために、全ての不備とシステムの欠陥を解決
する責任が残る。
●結論
この文書で挙げた違反は、貴社の製品に関する違反の包括的なリストでもない。貴社には、
これらの違反を調査し、原因を判断し、再発を防止し、その他の違反を防止する責任がある。
FDAは貴社で製造された全ての医薬品について、製造、加工、包装、保管のために用いられて
いる方法と管理がFD&C Act 501(a)(2)(B)の意味の範囲内でCGMPを遵守していないので、
2021年3月29日に輸入警告措置66-40をとった。不良であるか、不正商標表示をしていると
思われる医薬品は、FD&C Act 21 U.S.C.381(a)(3)の801(a)(3)に従う物理的な試験がなければ、
引き留められるか輸入拒否がされるかもしれない。
違反が解決されたことを示すエビデンスがあり、当局が今後の輸入品がFD&C Actを遵守すると
いう信頼をするまで、貴社で製造された全ての医薬品は輸入警告リストに残る。基準に適合
していない状況に対処されたとFDAが認める前に査察を行うかもしれない。
全ての違反を速やかに是正せよ。全ての違反に完全に対応され、我々が貴社のCGMPの遵守を
確認するまで、FDAは貴社の製造業者としての新薬の申請やリストの補完の承認を保留する
だろう。我々は、貴社が全ての違反に対する是正処置を完了したことを確認するために再査察
を行うかもしれない。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
■#320-21-56■
FDAがOTC医薬品を製造しているマレーシアの製薬会社から2020年11月5日及びその後に提出
された記録及び情報をレビュし、医薬品製造の重大なCGMP違反について発した2021年9月13日付
ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。
●指摘1
貴社は出荷前に、医薬品の各ロットについて、各有効成分の同一性、濃度を含む最終製品の
規格に一致するという試験の判断をすることを怠った。
<指摘1詳細>
貴社は、アメリカ市場向けのメンソールを含むOTC医薬品XXを製造していた。704(a)(4)に
基づく記録及びその他の情報に関する我々の要求に対する貴社の回答は、貴社がアメリカ向け
に輸出された全ての製品の適切な最終製品試験を実施していなかったことを示していた。
例えば、アメリカ国内への販売用製品のリリース規格とそれらを評価するために使用されて
いる試験方法に関する我々の提出要求に応じ、貴社は、有効成分メンソールの同一性と濃度
に関する適切な試験を実施していなかったことを示す貴社のOTC医薬品に関する分析証明書
(CoA)を提出した。貴社はその後の回答で、アメリカに輸出された最終製品の中のメンソール
に関する同一試験と分析試験を実施していなかったことを明確に追認した。
適切な試験をせずに、リリース前に貴社の医薬品のロットが適切な規格に従うことを裏付ける
科学的なエビデンスがない。
この文書への回答の中で、アメリカに輸入された全ての医薬品について、以下の回答を提出
せよ:
・出荷判定前の貴社医薬品の各ロットを分析するために用いられる試験方法も含めた、化学
及び微生物の規格のリスト
〇この文書の日付時点で使用期限内にあるアメリカに出荷された医薬品の全てロットの品質
を判断するために保管サンプルの化学及び微生物の試験を実施するアクションプランと
タイムライン
〇各ロットの保管サンプルの試験から得られた全ての結果のサマリ
もしそれらの試験が基準を満たさない品質を示した場合、顧客への通知や製品の回収の
ような迅速な是正処置を実施せよ。
・貴社の試験業務、手順、方法、装置、文書、分析者の能力の包括的で独立したアセスメント
このレビュに基づき、貴社の試験システムを改善し、効果を評価するための詳細な計画を
提出せよ。
●指摘2
貴社は、各成分のサンプルの同一性と、全ての適切な純度・濃度・品質に関する文書化された
規格に一致するのを試験することを怠った。
<指摘2詳細>
貴社が提供した記録と情報は、貴社のOTC医薬品を製造するために使用される有効成分の入荷
した各ロットの同一性を判断するために試験をしていることを示していなかった。
例えば、成分の各ロットに関する同一性試験の情報に関する我々の要求に対し、貴社は、
それらの試験のエビデンスを提出しなかった。XXを製造するために使用された入荷した
有効成分の同一性試験が実施されたかどうかをはっきりさせるための、我々の繰り返しの
リクエストに対する回答の中で、貴社はベンダから受け取ったCoAを提出し、入荷した
有効成分に関する同一性試験は実施されなかったと述べた。
704(a)(4)の要求の前後の、アメリカに輸入された全ての医薬品について、以下の回答を
提出せよ:
・成分、容器、蓋の全ての供給者が適格性を評価され、原材料に適切な使用期限または
リテスト日付が付与されているかどうかを判断するための、貴社の原材料システムの
包括的で独立したレビュ
レビュは、入荷した原材料の管理が、不適切な成分、容器、蓋の使用を避けるために
適切かどうかも判断すべきである。
・製造で使用するための成分の入荷した各ロットを試験しリリースするために貴社が使用
する化学及び微生物の品質管理の規格
・同一性、濃度、品質、純度に関する全ての適切な規格への一致について、貴社が各成分
のロットをいかに試験するつもりかの記述
もし、濃度、品質、純度に関し、各成分のロットを試験する代わりに供給者のCoAから
得られる結果を受け入れるつもりであれば、初期のバリデーションと定期的な再バリ
デーションを通じて供給者の試験結果の信頼性をいかに確実に証明するかを明記せよ。
さらに、入荷した成分の各ロットについて、少なくとも1つの特定の同一性試験を常に
実施するという約束を含めよ。
・各成分の製造業者から得られるCoAの信頼性を評価するための、全ての成分の試験から
得られる結果のサマリ
CoAのバリデーションプログラムを述べた貴社のSOPも提出せよ。
・貴社が製造した医薬品を試験する契約設備の適格性評価と監督に関する貴社のプログラム
のサマリ
●指摘3
貴社は、適切な安定性試験により裏付けられた使用期限に耐えることを保証することを
怠った。
<指摘3詳細>
貴社は、付与された使用期間を通じて、貴社の医薬品の化学的特性が許容できる状態のまま
であることを証明するために適切な安定性データを提供することを怠った。
例えば、全てのロットの安定性のリストと、全ての安定性試験のリストに関する我々の
704(a)(4)の要求に対する回答の中で、アメリカに出荷されたXXに関する有効期限を裏付ける
ために安定性データがないことを認めた。さらに、貴社は、2021年3月22日付のe-mailで、
“0ヶ月目のデータを収集することの管理”のみしていたと述べた。e-mailに添付された
安定性データの文書は、初期の試験結果のみを報告していて、貴社はその後の試験は保留に
されていたと述べた。
適切な安定性データがなく、貴社は医薬品に付与された有効期間を通じて、貴社の医薬品が
制定した規格と予め定めた全ての品質基準を満たすことを保証することができない。
この文書への回答の中で、アメリカに輸入された全ての医薬品について、以下の回答を提出
せよ:
・貴社の安定性プログラムの妥当性を保証するための、包括的で独立したアセスメントと
是正処置・予防処置
貴社の改善されたプログラムは、これに限定されないが以下のことを含むべきである。
〇分析試験及び微生物試験の方法を含む、安定性を示す方法
〇出荷許可前に、販売されたコンテナ密閉システム内の各製品の安定性の検証
〇保管期間が妥当か判断するために、各製品の代表的なロットが毎年プログラムに追加
されるような継続的な計画
〇各工程(タイムポイント)で試験される特定の特性の詳細な定義
・貴社の改善された安定性プログラムにおける、これら及びその他の要素を述べた全ての手順
●未承認の新薬と虚偽表示の違反
省略
●工程管理
貴社は、プロセスバリデーションのプロトコルを作成したり、貴社のXXや充填装置の適格性
評価を実施したりしなかった。貴社のバッチレコードは、製造工程の重要な手順の文書を
含んでいなかった。製造及び工程の管理に関して制定された手順がなくて、貴社は安定した
製造作業と一貫した製品品質を保証することはできない。
FDAのガイダンス文書であるProcess Validation : General Principles and Practices, for general principles and elements for process validationを見よ。
●品質システム
貴社の品質システムは不十分である。CGMPの法律である21 CFR part210,211の要求を満たす
ために品質システムとリスクマネジメントアプローチを実装するための助けとして、FDAの
ガイダンス文書Quality Systems Approach to Pharmaceutical CGMP Regulationsを見よ。
●CGMPコンサルタントの推奨
我々が貴社で確認した違反の性質に基づき、我々は貴社がCGMP要件を満たす手伝いをするため
に21 CFR 211.34に規定されている適格なコンサルタントを雇うことを強く勧める。また我々は、
貴社がFDAと共に貴社のコンプライアンス状態の解決を達成しようとする前に、適格なコンサル
タントが貴社のCGMP遵守に関し貴社の全ての作業の包括的な監査を実施し、貴社の是正処置・
予防処置の完了と効果を評価することを勧める。
貴社のコンサルタントの使用は、CGMPを順守するための貴社の義務を軽減するものではない。
貴社の経営陣には、継続的なCGMP順守を保証するために、全ての不備とシステムの欠陥を解決
する責任が残る。
●結論
この文書で挙げた違反は、貴社の製品に関する違反の包括的なリストでもない。貴社には、
これらの違反を調査し、原因を判断し、再発を防止し、その他の違反を防止する責任がある。
FDAは貴社で製造された全ての医薬品について、製造、加工、包装、保管のために用いられて
いる方法と管理がFD&C Act 501(a)(2)(B)の意味の範囲内でCGMPを遵守していないので、
2021年5月7日に輸入警告措置66-40をとった。不良であるか、不正商標表示をしていると
思われる医薬品は、FD&C Act 21 U.S.C.381(a)(3)の801(a)(3)に従う物理的な試験がなければ、
引き留められるか輸入拒否がされるかもしれない。
違反が解決されたことを示すエビデンスがあり、当局が今後の輸入品がFD&C Actを遵守すると
いう信頼をするまで、貴社で製造された全ての医薬品は輸入警告リストに残る。基準に適合
していない状況に対処されたとFDAが認める前に査察を行うかもしれない。
全ての違反を速やかに是正せよ。全ての違反に完全に対応され、我々が貴社のCGMPの遵守を
確認するまで、FDAは貴社の製造業者としての新薬の申請やリストの補完の承認を保留する
だろう。我々は、貴社が全ての違反に対する是正処置を完了したことを確認するために再査察
を行うかもしれない。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
まとめ
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いかがでしたでしょうか。
2件とも、
・成分の試験が不十分
・出荷前の試験も不十分
・安定性管理が不十分
という指摘で、輸入警告措置がとられていました。
作る前も、作った後も、品質の管理が不十分となれば、輸入警告措置は当然かもしれません。
☆次回は、11/15(月)に配信させていただきます。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
インターフェックスジャパンのご案内
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
今年は、幕張メッセにて2021年12月8日~12月10日に開催されるインターフェックスジャパン
に出展いたします。
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ご都合が合えば、是非ご来場ください。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
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https://drmarketing.jp/cch/73/512/3/425/382508/5e1d7e
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『ASTROM通信』担当 橋本奈央子