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2021.05.15
【改正GMP省令&最近のウォーニングレター】ASTROM通信<218号>
~安全な医薬品の安定供給をご支援する~
こんにちは
ASTROM通信担当の橋本奈央子です。
新型コロナが気がかりですが、いかがお過ごしですか。
さて、今回は、
1.4月28日に発出され、8月1日から施工される改正GMP省令の概要
2.アメリカ国内の製薬会社向けに出されたウォーニングレター2件
を取り上げたいと思います。
最後までお読みいただければ幸いです。
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1.改正GMP省令
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発出される、発出されると言われ続けていた改正GMP省令が、この4月28日、ついに、厚生労働省令第90号
「医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令の一部を改正する省令」として発出
されました。
今回の改正により、PIC/S GMPガイドラインとの整合化がいっそう図られます。
今回の改正のポイントとして、以下の点に注意が必要です。
・医薬品品質システムの構築
・品質リスクマネジメントの活用
・安定性モニタリングの実施
・製品品質の照査
・原料等の供給者の管理
・外部委託業者の管理
安定性モニタリング、製品品質の照査、原料等の供給者の管理、外部委託業者の管理については、手順書
の作成が明確に求められています。
手順書の作成や職員への教育が終わっていない場合は、本改正省令の施行日である令和3年8月1日までに
準備が必要です。
参考文献:
https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/hourei/H210430I0030.pdf
https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/hourei/H210430I0040.pdf
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2.最近のウォーニングレターの概要
注:文中のXXはウォーニングレターでマスキングされている文言及び具体的な社名・品名です。
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■CMS607476■
フロリダ州の製造所の査察(2020/2/3~2020/2/7)でみつかった医薬品製造の重大なCGMP違反について出さ
れた2020/12/3付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。
●指摘1
適切な品質部門とその責任の制定の不履行,品質管理部門に適用される手順の文書化の不履行と手順の不遵守
<指摘1詳細>
貴社は日焼け止めの有効成分と鎮痛剤の有効成分を含む、OTCの局所日焼け止め医薬品を製造している。
貴社の品質部門(QU)は、貴社のOTC医薬品の製造の適切な監督をしなかった。例えば、貴社のQUは、以下の
ことを保証することを怠った。
・リリース前に各ロットの微生物試験が実施され、レビュされていること
・継続的な安定性試験が制定されていること
・供給者が適切に評価されていること
・規格外(OOS)の試験結果が徹底的に調査され、調査に関する文書化された手順が制定されていること
・年次の製品照査が実施されていること
医薬品の品質を一貫して保証するために、QUによる全ての製造作業の適切な監督が必要である。
貴社の品質システムは不十分である。CGMPの規制要件21CFR Part 210, 211を満たすために品質システムと
リスクマネジメントのアプローチを実装する助けとして、
FDAのガイダンスQuality Systems Approach to Pharmaceutical CGMP Regulations を見よ。
この文書への回答の中で、貴社のQUが効果的に機能するために権限とリソースを与えられていることを
保証するための、包括的なアセスメントと改善の計画を提出せよ。アセスメントには、これに限定されない
が以下のことも含めるべきである:
・貴社で用いられている手順が安定していて適切かどうかの判断
・適切な手順の遵守を評価するためのQUによる作業全体の監視の規定
・ロットの処遇の判断をする前の、貴社の医薬品の各ロットを分析するために用いられる化学及び微生物
試験の方法と規格と、関連する文書化された手順
・QUがロットの処遇を判断する前の、各ロットの完全で最終的なレビュとその関連情報
・全ての製品の同一性、濃度、品質、純度を保証するためのQUによる調査の監督と承認と、その他全ての
職務からのQUの解放
・貴社の作業についての貴社コンサルタントの評価
●指摘2
貴社は、貴社が製造する医薬品が、それが持つとされる同一性、濃度、品質、純度を持つことを保証する
ために設計された製造と工程管理に関する適切に文書化された手順を制定することを怠った。
<指摘2詳細>
貴社は、貴社の医薬品を製造するために使用される工程を適切にバリデートすることを怠った。貴社は
アメリカで販売される製品に関する、安定した製造作業と一貫した医薬品品質を保証するための工程管理の
モニタリングに関する継続的なプログラムをサポートする工程の性能適格性評価(PPQ)を実施しなかった。
例えば、貴社の医薬品の仕掛品のホールドタイムを裏付ける研究を実施していなかった。
例えば、貴社は、医薬品Age BlockerロットQ09108の充填作業を XXの間に少なくともXX回実施した。
貴社は、各充填作業のたびに開けるプラスチックで内張されたバケツにバルクを保管した。さらに、貴社
は我々査察官に、バルクは3年の使用期限まで充填作業のために保管できると話した。このロットに関する
試験報告のレビュ中、ただ1つの微生物試験が2019年6月7日に実施されていることに気づいた。試験では、
充填日を特定することはできず、特定の好ましくない微生物のための試験も含んでいなかった。
散発的なモニタリングのもとで、プラスチックで内張されたバケツに保管され数年後にリリースしたロット
が貴社の全ての規格に従うかどうか、貴社は保証できない。
プロセスバリデーションは、設計の安定性と工程の管理状態を、そのライフサイクルを通じて評価するもの
である。投入する原材料、中間材料、最終製品の品質を保証するために、製造工程の各重要な段階は適切
に設計されていなければならない。これらの検証の不履行は製品の品質特性の不具合につながる。工程の
適格性評価の検証は、初期の管理状態が確立しているかどうかを判断するものである。上首尾の工程の
適格性評価は商品流通の前に必要である。その後の工程性能と製品品質の継続的で慎重な監視は、製品の
ライフサイクルを通じて安定した製造作業を維持するために必要である。
FDAがプロセスバリデーションの要素と考える一般原則とアプローチに関し、
FDAのガイダンスProcess Validation : General Principles and Practices を見よ。
この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:
・貴社の製造工程が適切な規格と製造標準を一貫して満たすよう、全てのばらつきの原因を特定し管理する
データ駆動型で科学的に理にかなったプログラムがあることを保証するための、各医薬品の工程のアセス
メント
アセスメントは、これに限定されないが、その使用目的にあった装置の適合性の評価、貴社のモニタリング
及び試験システム(貴社及び契約試験機関で使用される分析方法を含む)の検知能力の十分性、投入原材料
の品質、各製造工程の手順の信頼性と管理を含む。
・製品のライフサイクルを通じて管理状態を保証するための、関連手順も含む、バリデーションプログラム
の詳細なサマリ
工程の性能適格性のプログラムと、管理状態の継続を保証するためのロット内及びロット間のばらつきの
継続的なモニタリングについて述べよ。
・販売されている貴社の各医薬品のPPQを実施するためのタイムライン
・継続的な管理状態を保証するための、ロット内及びロット間のばらつきの慎重なモニタリングを含む、
貴社の各製造工程の設計、バリデーション、維持、管理、モニタリングに関するプログラムの詳細
貴社の装置と設備の適格性評価のプログラムも含めよ。
●指摘3
貴社は、成分、医薬品の容器、蓋、中間材料、ラベル、製品が同一性、濃度、品質、純度の適切な規格に
従うことを保証するために設計された、科学的に理にかない適切な規格、標準、サンプリング計画、試験
手順を含む試験の管理を制定することを怠った。
<指摘3詳細>
貴社は、貴社の医薬品を製造するための成分として、水XXを使用していた。貴社は、その使用目的にあった
水を一貫して製造していることを保証するために、要求される全ての品質特性について、貴社のXXシステム
を定期的にモニタすることを怠った。貴社は我々査察官に、XXユースポイント(POU)におけるサンプリングは
無作為に実施されたと述べた。貴社は、貴社のPOUの2つが試験されていたことを示すエビデンスを提出でき
なかった。更に、他のXX個のPOUのエビデンスは、2019年に2回だけモニタされていることを示した。所定の
水のモニタリングなしに、貴社の水が、貴社の医薬品の製造にあった、最低限の微生物及び化学的標準を
満たすことを保証することはできない。
更に我々査察官は、貴社のPOUから少なくとも2例の高い微生物数(370CFU/mLとL446CFU/mL)を明らかにした。
貴社は、そのPOUにおけるXXに関する微生物の規格はXX CFU/mLであると述べた。これは、医薬品の製造に
使用する水に関する限界値を超えている。
この文書への回答の中で以下の情報を提供せよ:
・貴社の試験の業務、手順、方法、装置、文書、分析者の能力の包括的で独立したアセスメント
アセスメントは、市場にある製品が品質特性に関し適切に試験されていたことを保証するために回顧的
でなければならない。このレビュに基づき、貴社の試験システムの改善と効果の評価をするための詳細
な計画を提出せよ。
・ロットの処遇を判断する前に医薬品の各ロットを分析するために使用される試験方法を含む化学及び
微生物の規格のリスト
・この文書の日付時点で使用期限内にある、アメリカに販売された医薬品の全てのロットの品質を判断する
ために保管サンプルの完全な化学及び微生物試験を実施するためのアクションプランとタイムライン
・各ロットの保管サンプルの試験から得られた全ての結果のサマリ
もしそれらの試験で医薬品が品質基準を満たさないことが明らかになった場合、顧客への通知や製品の
回収等の迅速な是正処置をとれ。
・原材料及び医薬品の製品試験で使用される全ての試験方法に関するバリデーション(または薬局方収載
の方法の検証)を完了するためのアクションプラン
方法が修正された時は、適切な変更管理を確実に行うための適切なバリデーションまたは検証を求める
改善された標準操作手順(SOPs)も含めよ。
・貴社の水システムの設計、管理、保全の包括的で独立したアセスメント
・適切な水システムを完全に改善しバリデートするための徹底的な是正処置・予防処置(CAPA)の計画
・XX、USPモノグラフ、微生物の限界値を満たす水を一貫して精製できる改善されたシステムを保証する
ための、継続的な管理・保全・モニタリングに関する効果的なプログラム
後者については、貴社により製造された医薬品にとって総数限界が100CFU/mLより低いことが適切と
なるだろう。
・貴社のXXシステムに関して使われている総数及び好ましくない微生物数の現在のアクション/アラート限界
XXの総数限界が、貴社で製造された各無菌医薬品の使用目的を適切に厳格に考慮していることを保証せよ。
・貴社の原材料、水、貴社が製造した医薬品を試験する契約設備の適格性評価と監督に関するプログラムの
サマリ
●指摘4
貴社は、医薬品の安定性を評価し適切な保管条件や使用期限を判断するために、安定性試験の結果を利用
するよう設計し文書化した試験プログラムを制定し、それに従うことを怠った。
<指摘4詳細>
貴社は、それが持つとされている3年の使用期限を通して、貴社の医薬品の化学及び微生物学的な性質が
許容範囲にあることを示すための適切な安定性のデータを持っていない。貴社はラベルに表示された3年
の使用期限を裏付けるための検証を信頼していると述べた。しかし、査察中に要求された時、その検証を
提出することができなかった。貴社は、適切な安定性のデータなしに、貴社の医薬品が付与された使用期間
を通じて、制定された規格と、予め設定された全ての品質の基準を満たすことを保証することはできない。
この文書への回答の中で以下の情報を提供せよ:
・貴社の安定性プログラムの適切性を保証するための包括的で独立したアセスメントとCAPAの計画
貴社の改善されたプログラムは、これに限定されないが以下のことを含むべきである:
■安定性を示す方法
■出荷が許可される前の、市販されている各医薬品の容器/施栓系内の安定性の研究
■宣伝されている使用期限が妥当かどうかを判断するために各製品の代表的なロットが毎年プログラムに
追加されるような継続的な安定性プログラム
■各工程(タイムポイント)で試験される特定の特性の詳細な定義
・貴社の改善された安定性プログラムの上記要素等を述べた全ての手順
●不正表示の違反
省略
●一時停止された医薬品製造
貴社が査察官に提出した報告書の中で貴社は医薬品の製造を停止し、貴社の設備の医薬品製造業者として
の登録を抹消すと約束した。もし貴社が医薬品の製造または、貴社の代わりに委託製造業者が製造した
医薬品の販売を再開するつもりなら、作業を再開する前に通知せよ。
●委託製造業者の使用
貴社は、今後、サードパーティの設備で貴社のOTC医薬品の製造を外注するつもりであると述べた。この
文書への回答の中で、貴社の医薬品を製造するために使用しようとしている委託製造業者の選択に関する
情報を提供せよ。
医薬品は、CGMPに従って製造されなければならない。FDAは、多くの医薬品製造業者は、製造設備、試験
機関、包装業者、ラベル貼付業者のような独立した委託製造業者を使用していることに気づいている。
FDAは委託製造業者を製造業者の延長とみなす。
もし貴社が契約設備の使用を計画しているなら、貴社は、契約設備との協定の有無にかかわらず貴社の
医薬品の品質に関し、貴社に責任がある。貴社は、安全性、同一性、濃度、品質、純度を保証するために
医薬品がFD&C Act 501(a)(2)(B)に従って製造されていることを保証することが要求される。
FDAのガイダンスContract Manufacturing Arrangements for Drugs : Quality Agreementsを見よ。
●結論
この文書で挙げた違反は、貴社の製造所に存在する違反の包括的なリストではない。貴社には、これらの
違反を調査し、原因を判断し、再発を防止し、その他の違反を防止する責任がある。
この文書で指摘した違反を即座に是正せよ。これらの違反の即座の是正の不履行は、更なる通知や制限・
差し押さえ・禁止命令なしに、法的措置につながるかもしれない。このウォーニングレター内の違反の
未解決な状態は、他の連邦機関との契約を妨げるかもしれない。
上記の違反が解決されるまで、FDAは貴社の製造所の供給者または製造業者としての輸出証明の要求の
承認や新薬の申請やリストの補完の承認を保留する。我々は、貴社が是正処置を完了したことを確認する
ために再査察を実施するかもしれない。
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■CMS609023■
フロリダ州の製造所の査察(2020/5/5~2020/5/15)でみつかった医薬品製造の重大なCGMP違反について
出された2021/1/27付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。
●指摘1
貴社は、貴社が製造する医薬品が、それが持つとされる同一性、濃度、品質、純度を持つことを保証する
ために設計された製造と工程管理に関する適切に文書化された手順を制定することを怠った。
<指摘1詳細>
貴社は、錠剤XXの製造工程を適切にバリデートすることを怠った。貴社は製造中の貴社の医薬品の均質性
を示すための適切なデータに欠けていた。貴社の工程の性能適格性評価(PPQ)中、分析前の混合サンプルが
XXされた。サンプルがXXされる時、貴社の混合のばらつきが隠されていた可能性がある。さらに貴社は、
PPQロットXXの濃度XXの圧縮後の試験で、有効成分の1つのXXについてOOSの分析結果を得た。
FDAは、査察中に錠剤XXの3サンプルを収集した。3つのうち2つは、プロセスバリデーションのロットから
得られたものだった。
3つのサンプルは全て、有効成分XXとして通常の効能より低かった。3つのうち1つは、XXに関する含量均一
性も不合格だった。
貴社の製造工程の適切な管理と理解は医薬品の安全と効能を保証するために不可欠である。我々は、貴社
が自主的にロットXXとXXを回収することと、市場に出荷されなかったと述べたロットXXを廃棄することに
同意したことを知っている。
混合工程は、経口の固形剤型、特にXXの製造において重大な工程である。混合の不適切な操作は、分離、
水分量の増加を促進し、粒子の凝集を引き起こし、一貫性のない流量特性につながる可能性がある。
さらに、この製品のXXにより、含量均一性は、不十分もしくは過剰な投与によるXXから患者を守るために、
特に重要である。
貴社は回答の中で、製品の作用を評価するのに十分なデータを収集するためにコンカレントバリデーション
を実施するつもりであると述べた。OOSの結果についての貴社の逸脱調査は進行中で、貴社はバリデーション
手順を改訂した。
貴社はバリデーションの再実施の前に、ばらつきが貴社の工程のどこで発生し、貴社がそれをいかにコント
ロールするつもりかを示すために十分なデータを提供しなかったので、貴社の回答は不十分である。さらに
貴社は、改訂されたバリデーション手順のコピーを提出しなかった。貴社は、製造工程のばらつきの原因の
高度の理解がないようなので、貴社のコンカレントバリデーションのアプローチの使用は、不適切である。
さらに、コンカレントバリデーションはめったに使用されるべきでない。
貴社の製造の不具合は、安定した製造作業と一貫した医薬品の品質を保証するための工程管理のモニタリング
に関する適切な継続的プログラムを持っていないことを示している。FDAがプロセスバリデーションの要素
と考える一般原則とアプローチに関し、
FDAのガイダンスProcess Validation : General Principles and Practicesを見よ。
この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:
・これに限定されないが、原材料や製造工程(例:手ですくう作業)を含む、ばらつきの原因を特定する
データ駆動型の科学的に理にかなった分析
各製造工程の能力を判断し、工程のばらつきを減らすための是正処置・予防処置(CAPA)の情報を提供せよ。
・製品のライフサイクルを通じて、関連する手順を伴った管理状態を保証するための貴社のバリデーション
プログラムの詳細なサマリ
工程の適格性評価に関するプログラムと、継続的な管理状態を保証するためのロット内及びロット間の
継続的なモニタリングについて述べよ。
・貴社の錠剤XXに関する適切な工程の適格性評価(PPQ)を実施するためのタイムライン
・装置と設備の適格性評価に関する工程性能プロトコルと文書化された手順を含めよ。
●指摘2
貴社は、そのロットが既に出荷されているかどうかに関わらず、規格を満たすために、ロットやその成分
の説明のつかない食い違いや不具合を徹底的に調査することを怠った。
<指摘2詳細>
貴社は、FDAの試験で錠剤XXの1つのロットでOOSの分析結果を発見したと知らされた後、徹底的な調査を
行うことを怠った。
貴社はプロダクトオーナーXXとの契約のもとで錠剤XXを製造している。プロダクトオーナーとの品質協定に
おいて、貴社は、OOSの結果の調査に関する主要責任を負っている。
製品XXとXXに関し、プロダクトオーナーと共に貴社が開発した有効成分の分析規格は、適切でない。
2020年4月14日、貴社は、通常の効能より低い試験結果と不十分な規格について知らされた。XXとXXに関し、
プロダクトオーナーと共に制定した有効成分の分析規格はXX%だった。しかし、XXに関するアメリカ薬局方
(USP)モノグラムでは、XXとXXの分析でXX%の許容範囲となっている。
濃度、品質、純度がFD&C Actで認められている公式抄録内に記載されている基準を下回っているので、USP
の許容範囲のXXの外にあることはFD&C Act21 U.S.C.351(b)の501(b)章の意味で不良品である。FDAは、
ウォーニングレターXXでこの違反を貴社の顧客に通知した。
公式抄録で認められた医薬品の契約は、濃度、品質、純度に関する抄録の基準に従わなければならない。
我々は貴社が錠剤XXの有効成分の分析規格を改訂したことを認識している。
貴社のサンプルのOOSの試験結果の調査は不十分で、CAPAの確認をしていなかった。更に、前に出荷した
ロットが貴社の改訂した規格を満たすことを保証するための調査がされていなかった。FDAの調査官は、
使用期限内の13ロットは、リリース試験または安定性試験中に新しい分析規格を超えていたことを発見した。
これらのロットは、貴社の調査の中で確認されるべきだった。
貴社は回答で、バッチレコードと分析記録をレビュしたと述べた。
貴社の製品がCGMPに従っていないかもしれないと気づいた時、貴社には徹底的な調査を実施する責任が
あるので、貴社の回答は不十分である。
この文書への回答中で以下の情報を提供せよ:
・規格が適切で正当と認められるものかどうかを判断するための、貴社が製造した全ての製品のレビュ
適切で正当と認められる規格がない製品のロットについてリスクアセスメントを実施せよ。もし抄録
の標準またはその他の適切な規格から外れる製品が見つかった場合は、顧客への通知や回収の開始を
含む、貴社がとろうとしている是正処置を示せ。
・製品の規格が適切であり続けることを保証するために、定期的にレビュされることを確実にする手順の
改訂
・逸脱、食い違い、苦情、OOS結果、不具合を調査するための貴社の全体的なシステムの包括的で独立した
アセスメント
このシステムを改善するための詳細なアクションプランを提出せよ。貴社のアクションプランは、これ
に限定されないが、調査能力、範囲の決定、根本原因の評価、CAPAの効果、品質部門の監督、文書化
された手順の著しい改善を含めるべきである。
調査の全ての段階が適切に実施されることを貴社がいかに保守するかについて検討せよ。
・使用期限内にある錠剤XXの全てのロットの保管サンプルの試験から得られた試験結果のサマリと、
タイムラインを添えたアクションプラン
貴社は、これに限定されないが、有効成分の各ロットの同一性、濃度を含む全ての品質特性を試験する
べきである。もし試験でOOSの結果が生じたら、顧客への通知や回収の開始を含む、貴社がとろうとして
いる是正処置を示せ。
●指摘3
貴社は、医薬品の安定性を評価し、適切な保管条件や使用期限を決定するために安定性試験の結果を利用
するために設計された適切で文書化された試験プログラムを制定しそれに従うことを怠った。
<指摘3詳細>
貴社の安定性プログラムは不十分である。貴社は、新しい供給者から得た原薬を使って製造された商用規模
のバリデーションロットの安定性を裏付けるための、適切な長期の安定性データを持っていなかった。
また貴社は、確実に崩壊試験を実施せず、安定性試験プロトコルに従うことを怠った。新しい原薬供給者の
原薬を使ったバリデーションロットは、2019年5月16日から6月25日に製造されたが、およそ1年後の2020年
5月1日まで、長期安定性検証がされなかった。
製品がラベルに表示された使用期限を通して、同一性、濃度、品質、純度、安全性を維持していることを
保証するために、安定性データは重要である。
貴社は回答の中で、安定性試験の不足に関し、逸脱の調査を開始したので、これらの逸脱は再発しない
だろうと述べた。安定性プログラムを監督するための安定性のコーディネータも雇われる予定である。
貴社は長期の安定性データが不足している市場にある製品に対処するための暫定処置を提出しなかった
ので、貴社の回答は不十分である。
この文書への回答の中で以下の情報を提供せよ:
・安定性プログラムの適切性を保証するための包括的で独立したアセスメントとCAPAの計画
貴社の改善されたプログラムは、これに限定されないが以下のことを含むべきである:
〇安定性を示す方法
〇出荷が許可される前の、市販されている各医薬品の容器/施栓系内の安定性の研究
〇宣伝されている使用期限が妥当かどうかを判断するために各製品の代表的なロットが毎年プログラムに
追加されるような継続的な安定性プログラム
〇各工程(タイムポイント)で試験される特定の特性の詳細な定義
・貴社の改善された安定性プログラムの上記要素等を述べた全ての手順
●指摘4
貴社の品質管理部門は、製造された医薬品がCGMPに従い、同一性、濃度、品質、純度に関する制定された
規格を満たすことを保証するための責任を果たすことを怠った。
<指摘4詳細>
貴社の品質部門(QU)は、貴社の供給者から受け取った成分の品質や貴社の医薬品の製造作業を適切に監視
することを怠った。例えば:
・貴社の試験と比較した貴社の供給者から報告される原薬の分析結果のばらつきが適切に評価されなかった。
発見されたばらつきは、貴社の最終製品の分析や含量均一性を損なうかもしれない。例えば、錠剤XXの
ロットXXとXXの製造に使用された原薬のロットXXに関する貴社の試験結果は、原薬製造業者の
試験成績書(COA)と7.8%の差があった。貴社は最終製品の処方を定めるために貴社の分析結果を使用した。
さらに、FDAがサンプリングしたロットXXとサンプルの結果は、有効成分XXに関するUSPの分析規格と
含量均一性を満たさなかった。貴社の2020年9月15日の連絡で、貴社は、このロットは販売されておらず、
廃棄するつもりであると述べた。
XXとの品質協定により、貴社は、許可された製造業者の適格性に関し責任を負う。しかし査察中、貴社は
新しい原薬供給者の適格性を評価せず、協定に反して供給者の適格性評価を実施する際XXを信用した。
・試験室のコンピュータ化システムは不適切に管理されていた。
・苦情は適切にレビュ・調査されなかった。
貴社は回答の中で、貴社は原薬製造業者ともっと交流が必要であると理解したと述べた。貴社は、原薬の
リリース試験結果が3%を超えて異なる場合は、調査をし、原薬製造業者とのやり取りをすることを約束した。
さらに、貴社は、必要な装置を買ってバリデートするために貴社のHPLCシステムの製造業者に連絡をとった。
また貴社は、追跡、傾向分析、苦情の分析を含む新しい苦情対応手順を示した。
貴社の回答は不十分である。貴社は、貴社の原薬供給者をいつ、どのように再評価するつもりか、また、
原薬の分析の差が発生した時に、調査されることが必要かをどのように判断するかについて述べなかった。
さらに、貴社は、前の原薬供給者XXの試験結果の回顧的レビュを実施しなかった。また、管理が可能な
監査証跡、固有のユーザパスワードを持っていない場合のリスクを判断するためのアセスメントを実施
しなかった。
CGMPの規制要件である21 CFR part 210, 211を満たす品質システムとリスクマネジメントのアプローチ
を実装するための助けとして、
FDAのガイダンス文書Quality Systems Approach to Pharmaceutical CGMP Regulationsを見よ。
この文書への回答の中で、以下の情報を提要せよ:
・成分、容器、蓋の全ての供給者がそれぞれ適格性を評価され、原材料に適切な使用期限またはリテスト
日が付与されているかどうかを判断するための貴社の原材料システムの包括的で独立したレビュ
レビュは、不適切な成分、容器、蓋の使用を防ぐために入荷した原材料の管理が適切かどうかも判断
すべきである。
・入荷した成分のロットを試験しリリースするために貴社が使用する化学及び微生物の品質管理の規格
USPの方法が使用されるなら、該当するバリデーション及び検証と共に、貴社の各原薬を分析するため
に使用される化学及び微生物の試験方法を含めよ。
・同一性、濃度、品質、純度に関する全ての適切な規格と共に、各成分のロットの適合性をいかに試験する
つもりかの記述
濃度、品質、純度に関し、各成分のロットの試験をする代わりに、貴社の供給者のCOAの結果を受け入れる
つもりであれば、貴社がいかにしっかりと最初のバリデーションおよび定期的な再バリデーションを通し
て、貴社の供給者の試験結果の信頼性を立証するつもりか明記せよ。さらに、入荷した成分の各ロットに
関し、少なくとも1つの同一性試験を常に実施することの約束を含めよ。
・各成分の製造業者のCOAの信頼性を評価するための、各成分の製造試験から得られた結果のサマリ
このCOAのバリデーションプログラムを述べた貴社のSOPを含めよ。
・貴社のQUが効果的に機能するための権限とリソースを与えられていることを保証するための包括的な
アセスメントと改善の計画
アセスメントには、これに限定されないが、以下のことを含めるべきである:
〇貴社で使用されている手順が安定していて適切かどうかの判断
〇適切な手順の遵守を評価するためにQUが貴社の作業全体を監督するための規定
〇QUのロットの処遇の判断の前の、関連する情報も含めた各ロットの完全で最終的なレビュ
〇全ての製品の同一性、濃度、品質、純度を保証ためのQUによる調査の監督と承認と、その他
全ての職務からのQUの解放
〇経営陣が、これに限定されないが、新たに発生した製造/品質の問題への積極的な対処と、継続的な管理
状態の保証を含む、タイムリーなリソースの提供をいかにサポートするかについても述べよ。
・貴社が手書き及び電子の試験データの保持及びレビュを保証するために効果的なシステムをいかに実装
するかの詳細な記述
以下の情報を含めよ:
〇データの削除と変更を防ぐための暫定的な管理を要約せよ。
〇分析機器と分析データにアクセス権を持っている職員の役割と責任を述べよ。
〇これに限定されないが、サンプル及び標準品を含む全ての分析データがCGMPの要件に従って文書化
されることを保証するための手順を制定せよ。
〇貴社の各分析システムに関し、全ての職員のユーザ権限の詳細を述べよ。
〇ユーザの役割の割り当てと管理に関し、手順の改訂と関連する教育の詳細を提出せよ。
●未承認新薬
省略
●CGMPコンサルタント
我々が貴社で確認した違反の性質に基づき、我々は貴社のCGMP要件を満たす手伝いをするために21 CFR
211.34に規定されている適格なコンサルタントを雇うことを強く勧める。
貴社のコンサルタントの使用は、CGMPを遵守するための貴社の義務を軽減するものではない。貴社の
経営陣には、継続的なCGMP遵守を保証するために、全ての不備とシステムの欠陥を解決する責任が残る。
●結論
この文書で挙げた違反は、貴社の製造所に存在する違反の包括的なリストではない。貴社には、これらの違反
を調査し、原因を判断し、再発を防止し、その他の違反を防止する責任がある。
この文書で指摘した違反を即座に是正せよ。これらの違反の即座の是正の不履行は、更なる通知や制限・
差し押さえ・禁止命令なしに、法的措置につながるかもしれない。このウォーニングレター内の違反の未解決
な状態は、他の連邦機関との契約を妨げるかもしれない。
上記の違反が解決されるまで、FDAは貴社の製造所の供給者または製造業者としての輸出証明の要求の承認や
新薬の申請やリストの補完の承認を保留する。我々は、貴社が是正処置を完了したことを確認するために
再査察を実施するかもしれない。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
まとめ
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
いかがでしたでしょうか。
FDAがアメリカ国内の製薬会社に対して指摘している、安定性モニタリングの不備、外部委託業者の管理の
不備、供給者の管理の不備は、今回厚労省より発出された改正GMP省令が求めている内容と共通していて、
改正GMP省令が海外の規制内容に近づいていることをあらためて実感しました。
8月1日の改正GMP省令施行にむけて、是非ウォーニングレターの指摘内容を参考にしてみていただければと思います。
☆次回は、6/1(火)に配信させていただきます。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
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【発行責任者】
株式会社プロス
『ASTROM通信』担当 橋本奈央子
2021.05.01
【最近のウォーニングレター】ASTROM通信<217号>
~安全な医薬品の安定供給をご支援する~
こんにちは
ASTROM通信担当の橋本奈央子です。
新型コロナが猛威をふるいつつある中でゴールデン・ウィークが始まりましたが、いかがお過ごしですか。
さて、今回もアメリカ国内の製薬会社向けに出されたウォーニングレター2件を取り上げたいと思います。
最後までお読みいただければ幸いです。
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最近のウォーニングレターの概要
注:文中のXXはウォーニングレターでマスキングされている文言及び具体的な社名・品名です。
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■CMS606909■
ニュージャージー州の製造所の査察(2020/2/24~2020/3/17)でみつかった医薬品製造の重大なCGMP違反に
ついて出された2020/10/15付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。
●指摘1
貴社は、そのロットが既に出荷されているかどうかに関わらず、規格を満たすために、ロットやその成分
の説明のつかない食い違いや不具合を徹底的に調査することを怠った。
<指摘1詳細>
貴社はOTCの局所日焼け止め医薬品を製造するためにXXを使用している。貴社はXXシステムの微生物の
OOL(Out-of-Limit)の結果を十分に注意することを怠った。例えば、2019年9月30日にXXからサンプリング
した水からOOLの結果が出て緑膿菌が確認された。貴社は調査で、2019年9月11日と20日に異なるXXから
得たサンプルでもOOLが見つかったことに気づいた。1か月にも満たない間にXX回、貴社の水システムから
好ましくない微生物の汚染が見つかったにもかかわらず、貴社は、適切な調査を実施することを怠った。
その後、2019年の9月から11月の間に、貴社は、多すぎて数えられない微生物を含む、OOLの水のサンプル
を発見した。多数のケースで、貴社の調査は、微生物の正体について文書化しなかった。貴社は、
水システムの上流部分の管理も欠けていた。
貴社は、微生物の不具合の再発を適切に調査することを怠った。貴社は品質の悪い水と製品の品質への
影響の十分な調査に欠けていた。貴社のXXの中の微生物の好ましくないレベルとタイプの存在は、出荷
された製品の品質に悪い影響を与えていたかもしれない。
貴社の回答は、不具合発生前から発生後の期間に収集された他のサンプルは制限範囲であったことを
示しており、貴社は医薬品に対してリスクがなかったと信じている。貴社の回答は不十分である。貴社は
水システムの過度の異常のパターンや、好ましくない汚染の根本原因に対処することを怠った。貴社は
微生物汚染により品質が低下しているかもしれない出荷された製品のロットへの対処もしなかった。
この文書への回答の中で以下の情報を提出せよ:
・水システムの設計、管理、保全の適格性に関する包括的で独立したアセスメント
この独立したアセスメントの重要な要素の1つとして、過去の全てのモニタリング結果のレビュと、
微生物の汚染問題の過去の調査の批評(根本原因の判断の適格性を含む)を含めるべきである。
・適切な水システムを設置し操作するための徹底的な改善プラン
・現在アメリカで流通しているか使用期限内の全ての医薬品のロットの品質について、発見された
水システムの不具合の潜在的な影響に関する詳細なリスクアセスメント
リスクアセスメントに応じて貴社がとろうとしている、顧客への通知や製品の回収といったアクション
を明記せよ。
・XX、USPモノグラムの規格、微生物の制限値を満たす水を、改善されたシステムが一貫して精製する
ことの保証の助けになる継続的な管理、保全、モニタリングに関する効果的なプログラム
・貴社で製造された医薬品の各ロットに使用するための妥当性を保証するための、水の所定の微生物試験
を明記した水システムのモニタリング手順
貴社の水システムがモニタされている各場所のサンプリングの頻度と、ユースポイントでの水システムの
サンプルから見つかる微生物の特定に関する改善された規定について詳細に述べよ。
・貴社のXXシステムの好ましくない細菌の総数に関する現在のアクション及びアラートリミット
・貴社の逸脱、矛盾、苦情、規格外試験(OOS)結果、不具合の調査に関する全体的なシステムの包括的で
独立したアセスメント
このシステムを改善するための詳細なアクションプランを提出せよ。貴社のアクションプランはこれに
限定されないが、調査能力、範囲の決定、根本原因の評価、是正処置・予防処置(CAPA)の効果、品質
部門(QU)の監督、文書化された手順の著しい改善を含めるべきである。調査の全てのフェーズが適切に
実施されていることの保証の方法を検討せよ。
・2018年1月1日から現在までの全てのOOLと、水、原料、容器、蓋、中間材料、最終製品のOOSの結果の
回顧的で独立したアセスメント
ロット番号、日付、推定される根本原因、CAPA、CAPAの効果の独立した評価を含む、各事象のサマリ
を提出せよ。
●指摘2
貴社は、製品の品質を保証するための製造の各段階の完了のタイムリミットを制定することを怠った。
<指摘2詳細>
貴社は、最終的な充填の前に最大6ヶ月、仕掛段階で保持されるかもしれない多数のバルクの保持時間の
研究に欠けていた。しかし、貴社は許可された検証、手順またはプロトコルなしに医薬品の最大バルク
保持時間としてXXを設定していた。さらに貴社は、適切な承認なしに、最大バルク保持時間を超えていた。
貴社の回答は、所定の品質管理試験が貴社により実施されていたので、正式なバルクの研究なしに販売の
ためにリリースされた製品にリスクがないというものだった。
貴社の製品の品質を保証するために製造の各段階の制限時間をいかに制定するつもりか、十分な情報を
提供することを怠ったので、貴社の回答は不十分である。さらに貴社はバルクの保持時間のデータの欠如
が貴社の製品の安定性に与える影響に適切に対処しなかった。
この文書への回答の中で以下の情報を提供せよ:
・ばらつきの全ての原因を特定し管理するデータ駆動型の科学的に理にかなったプログラムが存在し、
適切な規格と製造手順を一貫して満たすことを保証するための、各製品の工程のアセスメメント
アセスメントには、これに限定されないが、使用目的に合った装置の適格性の評価、貴社のモニタ
リング及び試験のシステムの検知能力の十分性、投入する原材料の品質、各製造工程の手順と管理の
信頼性を含むべきである。
・製造段階の適切な制限時間を定義する改訂された手順と、これらの制限時間を裏付けるために実施され
た各検討の記述
最大保持時間で試験される予定の全ての特性を含めよ。また、最大保持時間で試験されていない特性に
関する論理的根拠を述べよ。
・貴社の各医薬品の製造の全ての重要な段階における適切な保持時間を制定するために代表的で安定した
検証が実施されていることを保証するための貴社の安定性プログラムの改善
最大保持時間を制定するための検証の一部として試験されたロットも長期安定性の試験がされるか
どうかについても述べよ。この不備に完全に対処する改善計画を提出せよ。
●指摘3
貴社は、装置の洗浄及び保持に関する適切な文書化された手順を制定しそれに従うことを怠った。
<指摘3詳細>
貴社は、文書化され承認された洗浄手順に従って非専用製造タンクを洗浄し消毒することを怠った。例え
ば、貴社の職員は、最低の適性温度の維持することや、洗浄・消毒手順で指定されたレベルでタンクを
定期的に充填することをしなかった。貴社の経営陣は、一部の職員は洗浄手順に従ってタンクを適切に
洗浄する方法を知らなかったことを認めた。
さらに、貴社の洗浄プログラムには適切な文書が欠けていた。例えば、洗浄液のバケツは、ラベルや化学
薬品や適切な洗浄濃度の使用量の文書なしに使用された。また貴社の手順には、洗浄度を評価するために
洗浄が難しい部分に関する詳細を含んでいなかった。適切な洗浄プロブラムもなく、貴社は、貴社の職員
が前に製造されたロットからの汚染を防ぐために一貫して装置を洗浄すること保証できない。
貴社は回答で、貴社の洗浄手順に関し、スキンケア工程の全ての職員を再教育するつもりであると述べた。
貴社はこの共有装置で製造された製品のロットの潜在的な交叉汚染のリスクと、製品品質に与える影響に
ついて評価していないので、貴社の回答は不十分である。また貴社は貴社の洗浄手順が完全に改善された
という適切なエビデンスを提出しなかった。
この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:
・貴社の洗浄・消毒の手順及び業務の改善・完了までのタイムラインを含む、洗浄・消毒プログラムの
回顧的な評価に基づくCAPAの計画
装置の洗浄・消毒のライフサイクルの管理における、貴社の工程の脆弱性のサマリを提出せよ。洗浄
効果の向上、全ての製品と装置に関する洗浄・消毒の適切な実施に関する改善された継続的な検証、
その他の必要な内容を含む、洗浄・消毒プログラムへの改善について述べよ。
・貴社の医薬品製造作業におけるワーストケースとして特定された条件を取り入れることに特に重点を
置いた洗浄バリデーションプログラムの適切な改善
改善には、これに限定されないが、全てのワーストケースの特定と評価を含むべきである:
〇より高い毒性を持つ医薬品
〇より高い有効性を持つ医薬品
〇洗浄溶液の中でより低い溶解度の医薬品
〇洗浄を難しくする特性を持った医薬品
〇洗浄を最も難しくする部分の拭き取り場所
〇洗浄前の最大保持時間
・さらに、新し製造装置や新しい製品を導入する前に、貴社の変更管理システムで取られるはずの手順を
述べよ。
・製品、工程、装置の洗浄手順の検証とバリデーションのための適切なプログラムを保証するような、
改訂されたSOPのサマリ
●グリセリンを含む製品
貴社は、グリセリンを含む複数の医薬品を製造している。ジエチレン・グリコールに汚染されたグリセ
リンの使用は、世界中の人のさまざまな致死の中毒事件につながる。貴社がグリセリンを含む医薬品を
製造するときにCGMP要件を満たす助けとして、
FDAのガイダンス文書Testing Glycerin for Diethylene Glycolを見よ。
●品質部門の権限
この文書での重大な指摘事項は、貴社の品質部門が完全のその権限/責任を完全に果たすことができない
ことを示している。貴社は、その責任を果たし、医薬品の品質を一貫して保証するために、適切な権限と
十分なリソースを提供しなければならない。
●CGMPコンサルタント
我々が貴社で確認した違反の性質に基づき、我々は貴社がCGMP要件を満たす手伝いをするために21 CFR
211.34に規定されている適格なコンサルタントを雇うことを強く勧める。
貴社のコンサルタントの使用は、CGMPを順守するための貴社の義務を軽減するものではない。貴社の
経営陣には、継続的なCGMP順守を保証するために、全ての不備とシステムの欠陥を解決する責任が残る。
●結論
この文書で挙げた違反は、貴社の製造所に存在する違反の包括的なリストではない。貴社には、これら
の違反を調査し、原因を判断し、再発を防止し、その他の違反を防止する責任がある。
この文書で指摘した違反と逸脱を即座に是正せよ。これらの違反と逸脱の即座の是正の不履行は、更なる
通知や制限・差し押さえ・禁止命令なしに、法的措置につながるかもしれない。このウォーニングレター
内の違反の未解決な状態は、他の連邦機関との契約を妨げるかもしれない。
上記の違反が解決されるまで、FDAは貴社の製造所の供給者または製造業者としての輸出証明の要求の承認
や新薬の申請やリストの補完の承認を保留する。我々は、貴社が是正処置を完了したことを確認するために
再査察を実施するかもしれない。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
■CMS607087■
インドの製造所の査察(2020/1/13~2020/2/12)でみつかった医薬品製造の重大なCGMP違反について、
アメリカのニュージャージー州の製薬会社に出された2020/10/16付ウォーニングレターには、下記の指摘
事項があげられています。
●指摘1
貴社は、そのロットが既に出荷されているかどうかに関わらず、規格を満たすために、ロットやその成分
の説明のつかない食い違いや不具合を徹底的に調査することを怠った。
<指摘1詳細>
貴社は、オランザピン原薬の初期の不純物試験の規格外(OOS)の結果を無効化し、不具合の根本原因の
判断をするための十分な調査をせずに製品の製造を終えた。
例えば、オランザピン錠のロット#56119018の不純物試験中に、相対保持時間(RRT)XXに、未知の不純物
の規格(XX%未満)を超えた0.3%の濃度が計算された。貴社は、この不純物の結果を適切に調査しなかった。
OOSの調査中、貴社はオリジナルサンプルを使って2回のOOSの結果が得たことを確認した。その後、貴社
は同じロットから新しいサンプルの試験をして合格の結果を得て、合格の再試験結果のみ報告した。
裏付けのエビデンスなしに、貴社は不純物の結果は乳鉢と乳棒からの汚染によるものであると結論づけた。
さらに貴社は、オランザピン錠を作るために使用されたオランザピン原薬に関する不純物試験のOOSの
結果を調査することを怠った。例えば、この原薬の6ロットは、RRTXXにおける未知の不純物について
XX%の限度を超えた。
貴社はこれらの不純物試験の不具合を適切に調査しなかった。貴社は、最終製品の製造のためにこれらの
原薬の5ロットをリリースし、1ロットだけ不合格にした。不合格のロットXXに、貴社は別のRRTで未知の
高い不純物を発見した。査察中、貴社の職員は、このロットは保管中高温に関する逸脱があったと述べた。
貴社は、この原薬が保存されている冷凍保管設備の要求温度の維持の問題を先延ばしにした。
貴社は、RRTXXにおけるOOSの結果を、HPLC用カラムの予洗いの不足を含むHPLCの方法の問題のせいにして、
その間タイムリーに是正処置を実施することを怠り。我々の査察にならって、方法の訂正をする前に
少なくともXXロット以上を試験した。
貴社は回答の中で、ロット#56119018のOOSの結果を再評価して、必要であればロットを回収するつもり
であると述べた。オランザピン原薬に関し、貴社は“QC責任者が、RRTXXの対象のピークに関し、全ての
試験されたロットを確認しリリースをし”、原薬のロットは、規格内にあると判断したと回答した。また
貴社は、貴社のOOSの調査手順は不十分だったので、改訂が必要であるということに同意するとも回答
した。
貴社の回答は不適切である。我々は、オランザピン原薬の5ロットのOOSの結果を無効化する十分なエビ
デンスがあったという貴社の結論に賛成できない。また貴社は、強い科学的に正当な理由と明確なエビ
デンスもなしに、貴社の試験室により無効化された全てのOOSの結果を確認するための回顧的なアセス
メントを実施しなかった。さらに貴社は、OOSの手順が不十分なまま改訂した。例えば、試験の原因が
最終的に特定されなかった時はいつでも製造の原因の徹底的な調査を開始することを確実に行うことを
怠った。
この文書への回答の中で以下の情報を提供せよ:
・オランザピン原薬のロットXXでRRTXXとXXにみつかった未知の不純物試験で不合格(NMTXX%の規格)に
なった不純物の特定
これらの不純物の特定後:
〇強制分解試験でこれらの不純物が潜在的に見られていたかどうかを判断せよ。
〇どの根本原因が、みつかった分解物に関連しそうか判断せよ。
〇オランザピン原薬の他のロットにおける同様のRRTのOOSの結果の調査を拡大し、確認と適切な根本
原因の分析を実施せよ。
・不合格になったロットと同じ条件下で保管されたか、もしくは保管された可能性のあるオランザピン
原薬の全てのロットのレビュ
・データが無効化されたかや、ロットが不合格にされたかどうかに関わらず、貴社で受け取ったオラン
ザピン原薬の各ロットの全ての試験結果のサマリ
各ロットに関する試験結果には、各データが生成されたポイントを含むべきである。
・貴社の試験室の業務、手順、方法、装置、文書、分析者の能力の包括的で独立したアセスメント
このレビュに基づき、貴社の試験システムの改善とその効果を評価するための詳細の計画を提出せよ。
・現在アメリカ市場にあり、この文書の日付時点で使用期限内の製品について、全ての無効化された
OOS(工程、リリース/安定性試験を含む)の回顧的で独立したレビュと、各OOSに関し以下のことを含む
分析でみつかったことをまとめたレポート:
〇無効化されたOOSの結果に関する科学的に正当な理由やエビデンスが、最終的でないもしくは結論に
到達しない状態で試験室の不具合が原因と示しているかどうかの判断
〇最終的に試験室を根本原因と判断した調査について、論理的根拠を提出し、同じもしくは類似の
原因に対して脆弱な全ての他の試験方法が改善のために特定されていることを保証せよ。
〇回顧的なレビュにより結論に達しなかったか、または、試験室での根本原因が特定されなかった
全てのOOSの結果について、製造(例:バッチの製造記録、製造手順の正当性、装置/設備の適合性、
原材料のばらつき、工程の能力、逸脱の履歴、苦情の履歴、ロットの不具合の履歴)の徹底的なレビュ
を含めよ。
各調査における潜在的な製造の根本原因と製造作業の改善のサマリを提出せよ。
・貴社のOOSの結果の調査システムに関する包括的なレビュと改善の計画
是正処置と予防処置(CAPA)の計画には、これに限定されないが、以下のことへの対処を含めよ:
〇試験の調査の品質部門の監督
〇試験管理の好ましくない傾向の特定
〇試験のばらつきの原因の解決
〇試験の原因が最終的と特定できなかった時はいつでも潜在的な製造の原因の徹底的な調査を開始する
こと
〇各調査の適切な範囲の決定とそのCAPA
〇これら及びその他の改善を含む改訂されたOOSの調査手順
●指摘2
貴社は、製造、加工、包装または保管に使用される建物を、良い修理状態で維持することを怠った。
<指摘2詳細>
貴社は、良い修理状態で貴社の設備を適切に維持することを怠った。
例えば2018年に、貴社のカプセル充填室XXの天井からの4つの水漏れ事件があった。ガバペンチンカプセル
USP100㎎は、複数のロットのカプセル充填作業中にこれらの水漏れにさらされた。また貴社は、フェンテル
ミンカプセルのカプセル充填作業中に水漏れを経験した。
更に、貴社の包装エリア(XX室とXX室)で、5回の水漏れがあった。その何回かは、蓋の開いた容器に錠剤
を充填している間に発生した。これらの水漏れのいくつかは、包装ラインの上で発生した。
貴社の施設が適切に維持されていることの保証の不履行は、湿度に敏感なピオグリタゾン塩酸塩錠を含む
貴社の最終製品の品質にリスクをもたらす可能性がある。
貴社は、これらの漏れの根本原因が迅速に対処され、高い湿度の環境にさらされたことによる製品への
リスクが適切に評価されることを保証するのを怠った。
我々は、貴社が回答の中で、指摘#1のForm FDA483にリストアップされたロットの回収を約束したと認識
している。また貴社は、CAPAの効果を調査し、異常な製品の取り扱いに関する新しい手順の追加を計画
しているとも回答した。貴社の回答は、貴社の経営陣がなぜこれらの水漏れのリスクを完全に認識する
ことを怠ったかに触れることや、いかに設備の修理が迅速に行われることを保証するつもりかを触れる
ことを怠った。
この文書への回答の中で以下の情報を提供せよ:
・設備と装置の所定の慎重な作業の管理の監督を実施するためのCAPAの計画
この計画は、特に、設備・装置の性能の問題の迅速な検知、交換の効果的な実施、適切な予防保全計画
の順守、装置/設備のインフラへのタイムリーな技術的改修、継続的なマネジメントレビュのための
改善されたシステムを含むべきである。貴社の計画は、会社全体で適切なアクションがとられることも
保証すべきである。
・化学的特性(例:溶解物、分解物)や微生物学的特性を含む、マイナスの影響を受けた可能性がある医薬
品の回顧的レビュ
レビュは、水漏れによる高い湿度のようなファクタを含むべきで、保全・逸脱・設備の交換の記録等の
情報を含む全ての記録のアセスメントも含むべきである。
・貴社の設備で水漏れが発生した期間に製造された湿度に敏感な医薬品の保管サンプルの試験
●指摘3
貴社は装置を洗浄し維持するための文書化された手順を制定し守ることを怠った。
<指摘3詳細>
査察中、我々査察官は原薬のサンプリング室、原材料の調剤室、共通の製造の廊下のエリア、造粒室、
圧縮室を含む製造施設で表面が粉で覆われていることを発見した。
例えば、“しっかり”洗浄されたと文書化されていた造粒室XX内で、XXのパネルの表面、部屋の床、XX
のコントロールパネルが粉の残留物でコーティングされているのを発見した。
貴社の設備の多数のエリアで発見された目に見える粉は、貴社の製品の交叉汚染につながりうる。特に、
貴社は高い効能の医薬品を製造しているので、この逸脱により危険が高められる。
貴社は回答の中で、貴社の洗浄手順を改訂し職員を教育するつもりであると述べた。貴社の回答は、
貴社の設備内の不十分な粉の管理の根本原因に取り組み、適切な是正処置を提案することを怠った。
この文書への回答の中で以下の情報を提供せよ:
・貴社が貴社の製造施設内で効果的な粉の管理(例:排出)システムを持つことを保証するためのCAPAの
計画
・交叉汚染の危険の範囲を評価するための貴社の洗浄の効果の包括的で独立した回顧的アセスメント
残留物の特定、不適切に洗浄されたかもしれないその他の製造装置、交叉汚染された製品が販売の
ために出荷されたかどうかのアセスメントを含めよ。
アセスメントでは、設備の設計、洗浄手順、洗浄業務の不十分さを特定すべきである。各製造室や2品
以上の製造に使用される製造装置の部品も網羅すべきである。
●指摘4
貴社は、貴社が製造した医薬品が持つとされる同一性、濃度、品質、純度を持つことを保証するため
に設計された製造及び工程管理の文書化された手順を制定することを怠った。
<指摘4詳細>
アセトアミノフェンとリン酸コデイン錠の3つの濃度のために製造工程時間を減らすため、貴社は製造
工程の変更を実施した。この新しい工程を使って、貴社は工程性能適格性評価(PPQ)のXXロットを製造
した。貴社は、均質性の不具合(例:混合、含量均一性)によりXXロットを不合格にし、残りのXXロット
をリリースした。
貴社は、これらのXXロットをリリースする前に、貴社の工程が管理状態にあることを裏付けるデータ
を持っていなかった。
貴社の工程変更実施後の評価は、新しい工程が不均一な混合で、貴社の前の製造工程はもっと一貫して
いて安定していて、残りのロットはより一層の議論まで保持されるべきであると結論づけた。この最初
の評価の8か月後、貴社は古い工程に戻すことを決定した。しかし貴社は、隔離されていたロットは
出荷できると判断した。
貴社は回答の中で、これらのロットをレビュし、必要であれば回収するつもりであると述べた。
また貴社は、連続してうまく製造されたPPQのバリデーションロットの最初のXXのみ市場に出荷できる
とし、PPQで不合格になる前のロットは“XX”とみなすことができると述べた。貴社は、PPQのロット
で原因不明で不具合が見つかった場合、不合格のロットと不合格のロットの前に製造されたロットは、
市場に出荷されないだろうと述べた。貴社の工程が初期の管理状態にあろうがなかろうが、全てのPPQ
のロットが適切に評価されることを保証するために、貴社の提案するバリデーションの戦略は誤りで
あり、貴社の回答は不適切である。
我々は、貴社が最近、新しい工程を使って製造されたPPQのロットの回収を決定したことを認識して
いる。
プロセスバリデーションは、そのライフサイクルを通して、設計の安定性と工程の管理状態を評価
するものである。製造工程の重要な段階は、適切に設計され、投入される原材料、中間材料、最終製品
の品質を保守しなければならない。これらの検証の実施の不備は、製品の品質特性の不具合につながる。
工程の適格性評価は、初期の管理状態が確立されたかどうかを判断するものである。上首尾の工程の
適格性評価は、商品流通の前に必要である。その後、貴社が製品のライフサイクルを通して、安定した
製造作業を維持していることを保証するために継続的で慎重な工程性能と製品品質の監督が必要である。
FDAがプロセスバリデーションの適切な要素と考える一般原則とアプローチに関し、
FDAのガイダンス文書Process Validation : General Principles and Practicesを見よ。
この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:
・製品のライフサイクルを通じて、関連する手順と共に、管理状態を保証するための貴社のバリデー
ションプログラムの詳細なサマリ
工程の性能適格性評価と、連続した管理状態を保証するためのロット内及びロット間のばらつきの
継続的な監視に関するプログラムについて述べよ。
・貴社が販売した各医薬品のPPQが適切に実施され、適切な基準が用いられたかどうかの判断
●CGMPコンサルタント
我々が貴社で確認した違反の性質に基づき、我々は貴社がCGMP要件を満たす手伝いをするために21 CFR
211.34に規定されている適格なコンサルタントを雇うことを強く勧める。
貴社のコンサルタントの使用は、CGMPを順守するための貴社の義務を軽減するものではない。貴社の
経営陣には、継続的なCGMP順守を保証するために、全ての不備とシステムの欠陥を解決する責任が残る。
●結論
この文書で挙げた違反は、貴社の製造所に存在する違反の包括的なリストではない。貴社には、これら
の違反を調査し、原因を判断し、再発を防止し、その他の違反を防止する責任がある。
この文書で指摘した違反と逸脱を即座に是正せよ。これらの違反と逸脱の即座の是正の不履行は、更なる
通知や制限・差し押さえ・禁止命令なしに、法的措置につながるかもしれない。このウォーニングレター
内の違反の未解決な状態は、他の連邦機関との契約を妨げるかもしれない。
上記の違反が解決されるまで、FDAは貴社の製造所の供給者または製造業者としての輸出証明の要求の承認
や新薬の申請やリストの補完の承認を保留する。我々は、貴社が是正処置を完了したことを確認するため
に再査察を実施するかもしれない。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
まとめ
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
いかがでしたでしょうか。
2通とも、ずさんな管理を指摘する内容でしたが、日本でも、一部の製薬会社でずさんな管理体制が続々と
見つかっている状況にあり、決して他人事とはいえません。精製水の品質管理手順の曖昧さ、バルクの
保持時間の明確な規定の不足、OOSの調査の不足といったことは、さほど珍しい話ではないかもしれません。
この機会に、チェックをしてみるのもよいのではないでしょうか。
☆次回は、5/15(土)に配信させていただきます。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
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