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2021.04.15
【最近のウォーニングレター】ASTROM通信<216号>
~安全な医薬品の安定供給をご支援する~
こんにちは
ASTROM通信担当の橋本奈央子です。
新型コロナの再びの感染急拡大が気になるところですが、いかがお過ごしですか。
さて、今回も、アメリカ国内の製薬会社向けに出されたウォーニングレター2件を取り上げたい
と思います。
最後までお読みいただければ幸いです。
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最近のウォーニングレターの概要
注:文中のXXはウォーニングレターでマスキングされている文言及び具体的な社名・品名です。
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■CMS607662■
ペンシルベニア州の製造所の査察(2020/2/26~2020/3/10)でみつかった医薬品製造の重大なCGMP
違反について出された2020/9/15付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。
●指摘1
貴社は、前の作業から全ての医薬品が取り除かれたことを保証するために、包装及びラベル貼付用
設備を使用前に点検しなかった。
<指摘1詳細>
貴社はヒト用医薬品の再包装を行っている。立ち入り査察中、我々査察官は、XX及びXXの包装エリア
の上や下で、異なる錠剤やカプセルの種類を発見した。貴社の製造記録は、ラインクリアランスが
実施されたことを示していて、”再包装室の洗浄チェックリスト“は、部屋が2020年2月14日に完全に
洗浄されたことを示していた。包装機械の上下に様々な錠剤やカプセルが存在していることは、
ラインクリアランスが適切に実施されず、潜在的に危険のある医薬品の取り違えのリスクを増して
いることを示している。貴社は回答の中で、作業者はラインクリアランスの再教育をされ、より
タイムリーな製造エリアの洗浄スケジュールが開発されたと述べた。しかし、ラインクリアランスの
標準操作手順書(SOP)は提出されず、製造室の洗浄要件に関するSOPは詳細な記述に欠けている。
貴社は、この文書への回答において、ラインクリアランスのSOPと、故障モード・能力・設計の
十分性に重点を置いた包装及びラベル貼付作業の包括的な文書化された評価を提出せよ。これに限定
されないが、ヒューマンエラーの可能性のあるポイントを特定するために、作業前・作業中・作業後
の全ての人の作用を含む分析を提出せよ。
●指摘2
貴社は装置を洗浄し維持するための文書化された手順を制定し守ることを怠った。
<指摘2詳細>
貴社は、貴社の洗浄手順が貴社の医薬品を製造するために使用されている共有装置から残留物を
取り除くのに適していることを示すことを怠った。貴社は、貴社の洗浄バリデーションの検証に
用いられた医薬品の選択の科学的に正当な理由を提供できなかった。貴社は、洗浄バリデーションの
検証に、科学的な論理的根拠に基づいて製品を選択するむしろ “最も粉になりやすい”製品が選択
されたと述べた。
貴社は、貴社の不備に対処するために、サードパーティのコンサルタントと一緒に作業をすることを
約束したが、進捗についての詳細を提出していなかった。
この文書への回答において、以下の情報を提出せよ:
・貴社の医薬品製造作業におけるワーストケースとして特定された条件を取り入れることに特に
重点を置いた洗浄バリデーションプログラムの適切な改善
全てのワーストケースの特定と評価には、これに限定されないが、以下のことを含むべきである:
〇より高い毒性を持つ医薬品
〇より高い有効性を持つ医薬品
〇洗浄溶液の中でより低い溶解度の医薬品
〇洗浄を難しくする特性を持った医薬品
〇洗浄を最も難しくする部分の拭き取り場所
〇洗浄前の最大保留時間
さらに、新し製造装置や新しい製品を導入する前に、貴社の変更管理システムで取られるはずの
手順を述べよ。
・製品、工程、装置の洗浄手順の検証とバリデーションのための適切なプログラムを保証するような、
改訂されたSOPのサマリ
●指摘3
貴社の品質管理部門は、製造された医薬品がCGMPに従い、同一性、濃度、品質、純度に関して制定
された規格を満たすことを保証するため責任を果たすことを怠った。
<指摘3詳細>
査察中、我々査察官は、貴社の品質部門(QU)が貴社の医薬品に関する適切な監督を行っていない
のを見た。貴社のQUは全ての逸脱が調査されていることを保証するのを怠った。例えば、貴社の
逸脱のSOPに反して、貴社は、11の逸脱の十分な調査をしていなかった。それどころか、疑義のある
11のバッチレコードは、適切な逸脱フォームや逸脱調査なしに”逸脱“とラベルのついたフォルダ
に置かれた。さらに、貴社のQUは全ての装置の適格性評価がされていることを保証するのを怠った。
例えば、貴社は、貴社の作業で使用されるエアコンプレッサの適格性評価を実施しなかった。
貴社は回答の中で、11の調査のリストの原本を提出した。しかし、貴社は、完了した個々の調査結果
の提出をしなかった。また貴社は、11の逸脱の製品に対する影響にも対処しなかった。加えて、
貴社のエアコンプレッサの適格性評価は保留中である。
この文書への回答において、以下の情報を提出せよ:
・装置の不十分な適格性評価が現在販売されている製品への品質上の影響を示すためのリスク分析
・貴社のQUが効果的に機能するために権限とリソースを与えられていることを保証するための包括的
なアセスメントと改善計画
アセスメントは、これに限定されないが、以下のことを含むべきである。
〇貴社で使用されている手順が安定していて適切かどうかの判断
〇適切な手順の順守を評価するために貴社の作業全体を監督すQUに関する規定
〇QUが出荷判定をする前の、各ロットと関連する情報の完全で最終的なレビュ
〇全ての製品の同一性、濃度、品質、純度を保証するための、QUの調査の監督と承認と、他の
全ての職務の解放
●結論
この文書で挙げた違反は、貴社の製造所に存在する違反の包括的なリストではない。貴社には、
これらの違反を調査し、原因を判断し、再発を防止し、その他の違反を防止する責任がある。
この文書で指摘した違反と逸脱を即座に是正せよ。これらの違反と逸脱の即座の是正の不履行は、
更なる通知や制限・差し押さえ・禁止命令なしに、法的措置につながるかもしれない。この
ウォーニングレター内の違反の未解決な状態は、他の連邦機関との契約を妨げるかもしれない。
上記の違反が解決されるまで、FDAは貴社の製造所の供給者または製造業者としての輸出証明の要求
の承認や新薬の申請やリストの補完の承認を保留する。我々は、貴社が是正処置を完了したことを
確認するために再査察を実施するかもしれない。
出典:
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
■CMS608236■
ペンシルベニア州の製造所の査察(2020/2/4~2020/3/13)でみつかった医薬品製造の重大なCGMP
違反について出された2020/10/8付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。
●指摘1
貴社は装置を洗浄し維持するための文書化された手順を制定し守ることを怠った。
<指摘1詳細>
貴社はこの製造所でおよそXXの固形経口投与医薬品の包装作業を実施していた。貴社は、貴社の洗浄
バリデーション標準操作手順SOP-0030で求められている通りに、使用前にSLATカウンターのような
非専用の包装装置を洗浄するために使用されている手順をバリデートしなかった。
非専用の製造(例:包装)装置の接触表面の残留物の不十分な除去はその装置で続いて製造される
製品の交叉汚染を引き起こしうる。
貴社は回答で、SLATカウンターは、ペンシルベニア州ニュートンの第二の製造所で使用されている
錠剤カウンターXXと類似の材質で作られていると信じていたので、洗浄バリデーションを実施しな
かったと述べた。
我々は、貴社が今、SLATカウンターの洗浄バリデーションを開始しようとしていて、貴社の医薬品XX
のXXの残留物に関するふき取りサンプルを試験したと認識している。また貴社は、医薬品XXの残りに
ついて洗浄バリデーションを実施すると約束した。さらに貴社は、装置や洗浄手順に影響のある修正
がされた時はいつでもアセスメントが実施されることを規定するために洗浄バリデーションの手順
は改訂されるようになるだろうと述べた。
貴社の回答は不十分である。設計も、錠剤カウンターXXの最も洗浄が難しい表面も、SLATカウンター
と違っている。最も洗浄が難しくキャリーオーバーの起こりうる場所の一つである細長い穴の中の
ふき取りが欠けていたので、新しい洗浄バリデーションの検証において、交叉汚染のワーストケース
のシナリオを検証しなかった。さらに、貴社の回答は、洗浄バリデーションのSOPから逸脱したかの
論理的根拠をなぜ文書化しなかったか説明することも、再発を防止するために変更管理システムの
監視をいかに改善するつもりかを明記することも怠っていた。
この文書への回答において、以下の情報を提出せよ:
・貴社の医薬品製造作業におけるワーストケースとして特定された条件を取り入れることに特に
重点を置いた洗浄バリデーションプログラムの適切な改善
改善は、これに限定されないが、全てのワーストケースの特定と評価を含むべきである:
〇より高い毒性を持つ医薬品
〇より高い有効性を持つ医薬品
〇貴社手順中、洗浄溶液内でより低い溶解度の医薬品
〇洗浄を難しくする特性を持った医薬品(例:コーティングされていない錠剤)
〇これに限定されないが、細長い穴を含む、洗浄を最も難しくする部分の拭き取り場所
〇洗浄前の最大保留時間
さらに、新しい製造装置や新しい製品を導入する前に、貴社の変更管理システムで取られるはずの
手順を述べよ。
・製品、工程、装置の洗浄手順の検証とバリデーションのための適切なプログラムを保証する改訂
されたSOPのサマリ
●指摘2
貴社は、製造された医薬品の各ロットに関連する完全な情報が添えられた製造指図記録書を準備する
ことを怠った。
<指摘2詳細>
ヒドロキシジンHCI錠USP 50mgの1ロットの包装中、我々査察官は、適合した値が製造記録に記録され
ていたが、打錠機の空気圧のゲージの表示数値は許容範囲からはずれていることを発見した。さらに
我々査察官は、他のゲージの表示数値も、バリデートされたパラメータより低い値だったことを発見
した。
我々査察官は、プロメタジンHCI錠USP 25mgの製造記録において、貴社の従業員は、SLATカウンター、
打錠機、XXを含む包装装置のいくつかの部品の空気圧に関する実際の表示数値を記録することを
怠ったことにも気づいた。
貴社は回答の中で、ヒドロキシジンHCI錠の包装中に整備士が、キャップが打錠機に適切に供給されて
いないことを発見し、適格な限界値以下で打錠機の空気圧を調整したと説明した。しかし、逸脱は
文書化されていなかった。また貴社は、いくつかの装置のゲージは誤動作し交換されたことを発見
したと述べた。さらに、貴社は、製造記録の実際の値を文書化するために職員を雇った。
貴社は製造記録内の不正確なデータの記録の範囲と影響を判断するための包括的なレビュを実施せず、
作業の管理監督を改善するための計画を提出しなかったので、貴社の回答は不十分である。
この文書への回答において、以下の情報を提供せよ:
・どこで文書化手順が不十分かを判断するための、貴社の製造及び試験の作業全体で使用されている
文書システムの完全なアセスメント
貴社が作業を通じて、帰属可能で、判読可能で、完全で、原本で、正確で、同時の記録を保持する
ことを保証するために、貴社の文書手順を包括的に改善する詳細な是正処置・予防処置(CAPA)の
計画を含めよ。
・設備と装置の管理監督を改善するための所定の慎重な作業を実装するための貴社のCAPAの計画
この計画では、特に、装置/設備の性能問題の迅速な検知、効果的な修理の実施、適切な予防的
保全計画の順守、装置/設備のインフラのタイムリーな技術的改善、継続的なマネジメントレビュ
システムの改善を保証するべきである。
貴社の計画は、会社の組織全体で適切なアクションがとられることも保証すべきである。
・貴社の変更管理システムの包括的で独立したアセスメント
このアセスメントは、これに限定されないが、変更が正当である根拠が示され、レビュされ、
貴社の品質部門に承認されていることを保証するための手順を含むべきである。貴社の変更管理
プログラムは、変更の効果を判断するための規定も含むべきである。
●その他の所見
査察中、塩化オキソブチニン錠USP 5mg、ロット15749に関する洗浄バリデーションのサンプルは、
2019年9月24日PM10:50に入荷したとして、入荷サンプルのログブックに記録されていた。このサンプル
のクロマトグラフの分析は、貴社のログブックによればサンプルが受領された約5時間前の9月24日
PM5:50に完了していた。
建物の入退室カードリーダの記録のレビュにより、サンプルを記録した分析者はその日のPM10:50に
建物にいなかったことを示した。貴社の分析者は、この食い違いに関し矛盾する釈明をしたが、
最終的にログブックに間違った情報を入れたことを認めた。
●複数製造所での繰り返しの違反
FDAは貴社の組織内の他の製造所で同様のCGMP違反を挙げた。貴社の別の製造所では、2020年2月11日
付でFDAのウォーニングレターを受け取った。複数の製造所でのこれらの繰り返しの違反は医薬品の
製造の監督と管理が不十分であることを示している。
貴社の経営陣には、全ての不備を完全に解決し、CGMPの継続的な順守を保証する責任が残る。貴社は、
システム、工程、製造された製品がFDA要件に従っていることを保証するために、会社全体の製造作業
をすぐに包括的に評価すべきである。
●CGMPコンサルタントの推奨
もし、貴社がアメリカ市場向けに医薬品の製造を再開するつもりなら、我々が貴社で確認した違反
の性質に基づき、我々は貴社がCGMP要件を満たす手伝いをするために21 CFR 211.34に規定されている
適格なコンサルタントを雇うことを強く勧める。また、我々は、貴社がFDAと一緒にコンプライアンス
状態を遵守しようとする前に、適格性のある第三者が、貴社の全ての作業のCGMP順守について包括的
な監査を実施し、貴社が実施してきた全ての是正処置・予防処置の完了と効果を評価することを勧める。
貴社のコンサルタントの使用は、CGMPを順守するための貴社の義務を軽減するものではない。貴社の
経営陣には、継続的なCGMP順守を保証するために、全ての不備とシステムの欠陥を解決する責任が残る。
●停止された医薬品製造
我々は、貴社が製造所XXでの医薬品の製造を停止することを約束したと認識している。この文書への
回答の中で、今後この製造所で、貴社が医薬品の製造を再開するつもりかどうかを明確にせよ。
もし貴社が医薬品の製造を再開することを計画するなら、作業を再開する前に知らせよ。
●結論
この文書で挙げた違反は、貴社の製造所に存在する違反の包括的なリストではない。貴社には、
これらの違反を調査し、原因を判断し、再発を防止し、その他の違反を防止する責任がある。
この文書で指摘した違反と逸脱を即座に是正せよ。これらの違反と逸脱の即座の是正の不履行は、
更なる通知や制限・差し押さえ・禁止命令なしに、法的措置につながるかもしれない。この
ウォーニングレター内の違反の未解決な状態は、他の連邦機関との契約を妨げるかもしれない。
上記の違反が解決されるまで、FDAは貴社の製造所の供給者または製造業者としての輸出証明の
要求の承認や新薬の申請やリストの補完の承認を保留する。我々は、貴社が是正処置を完了
したことを確認するために再査察を実施するかもしれない。
出典:
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まとめ
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いかがでしたでしょうか。
2通とも、特別な指摘ではなく、ラインクリアランスの不備、洗浄バリデーションの不備、製造
指図記録のデータ・インテグリティの欠落といったごくごく基本的な内容で、身近に感じられる
内容だったように思います。
基本だからこそ、おろそかになっていることもあるかもしれません。是非参考にしてみていただ
ければと思います。
余談ですが、2通目のウォーニングレターで、FDAが、原料のサンプリングの時刻と、その記録を
つけた分析者の入退室記録を照合していることに驚きました。かなり細かいところまで査察して
いる点が興味深かったです。
☆次回は、5/1(土)に配信させていただきます。
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今後このような情報が必要ない方は、お手数ですが、こちらに配信停止依頼のメールをお願いいたします。
【発行責任者】
株式会社プロス
『ASTROM通信』担当 橋本奈央子
2021.04.01
【最近のウォーニングレター】ASTROM通信<215号>
~安全な医薬品の安定供給をご支援する~
こんにちは
ASTROM通信担当の橋本奈央子です。
今日から新年度が始まりますが、いかがお過ごしでいらっしゃいますか?
FDA(米国食品医薬品局)からアメリカ国外の製薬会社向けに出されたウォーニングレターは相変わ
らずメキシコの製薬会社の手指の消毒剤のアルコール濃度を指摘するものばかりの状態が続いて
いますので、今回も、アメリカ国内の製薬会社向けに出されたウォーニングレター2件を取り上げ
たいと思います。
最後までお読みいただければ幸いです。
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最近のウォーニングレターの概要
注:文中のXXはウォーニングレターでマスキングされている文言及び具体的な社名・品名です。
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■CMS607098■
オクラホマ州の製造所の査察(2020/2/10~2020/2/21)でみつかった医薬品及び原薬製造の重大な
CGMP違反について出された2020/8/27付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられて
います。
●医薬品のCGMPの違反
貴社は出荷前に、医薬品の各ロットについて、各有効成分の同一性、濃度を含む最終製品の規格に
一致するという試験の判断をすることを怠った。
<指摘詳細>
貴社は、契約試験機関からの有効成分XXの分析証明書を受け取る3日前にOTC医薬品XXを出荷した。
2019年12月20日に分析証明書を受領したが、貴社は、2019年12月17日にロットがリリースされた
と述べた。
更にロットのリリース後2019年12月23日まで、バッチレコードのレビュと承認をしなかった。
貴社は回答の中で、製品をリリースして顧客に出荷する前に、品質部門による完全で迅速なロット
のレビュを実施すると約束した。
貴社の回答は不適切である。貴社は、全てのロットのリリース判定の前に試験のレビュがされて
いることを保証するための是正処置・予防処置(CAPA)について説明しなかった。
この文書への回答の中で以下の情報を提供せよ:
・ロットの処遇を判断する前に製品の各ロットを分析するために使用されている試験方法を含む
化学及び微生物の規格の一覧
〇この文書の日付において使用期限内にあるアメリカに出荷された製品の全てのロットの品質
を判断するために保管サンプルの全ての化学及び微生物試験を実施するアクションプランと
タイムライン
〇各ロットの保管サンプルの試験から得られた全ての結果のサマリ
もしそれらの試験で製品の品質不良が明らかになった場合、顧客への通知や製品の回収の
ような迅速な是正処置をとれ。
・貴社の試験の業務、手順、方法、装置、文書、分析者の能力の包括的で独立したアセスメント
このレビュに基づき、貴社の試験システムを改善し、その効果を評価するための詳細なプランを
提出せよ。
・貴社の品質部門が効果的に機能するための権限とリソースが与えられていることを保証するため
の包括的なアセスメントと改善の計画
アセスメントには、これに限定されないが以下のことも含むべきである:
〇貴社で使用されている手順が安定していて適切かどうかの判断
〇適切な手順の順守を評価するために貴社の作業全体を監督する品質部門に関する規定
〇品質部門が出荷判定をする前の、各ロットと関連する情報の完全で最終的なレビュ
〇全ての製品の同一性、濃度、品質、純度を保証するための、品質部門の調査の監督と承認と、
他の全ての職務の解放
●原薬のCGMPの逸脱
貴社で製造された原薬がCGMPに従っていることを保証するための品質部門の責任の不履行
<指摘詳細>
貴社の製造所は、原薬を再包装し再ラベル貼付を行っている。貴社の品質部門は貴社が供給する
原薬がCGMPの要件を満たすことを保証するために適切な機能を果たすことを怠った。
例えば、貴社の品質部門は、再ラベル貼付のされた各原薬について、記録が保持されレビュされて
いることを保証するのを怠った。さらに、貴社には原薬の再ラベル貼付の手順が欠けていた。
文書化された手順や文書がなく、ロットに再ラベル貼付をして出荷するのは、貴社にとっては
日常的な手順だった。
貴社は出荷前に再包装したロットの記録をレビュすることも怠った。例えば、リドカインHCIの
1つのロットは、不正なロットナンバーを付けて再包装され出荷された。貴社の品質部門は、製品
が出荷された6日後に再包装の化学的な記録をレビュした。FDAの査察官が査察中にそれを見つける
まで、その過失は発見されなかった。
貴社は回答の中で、原薬の再ラベル貼付の新しい手順を作り、再包装の手順を改訂するつもりで
あると述べた。また貴社は、貴社の品質部門が製品を顧客に出荷する前に合格/不合格を判断する
責任を負うようになると約束した。
貴社は、再ラベル貼付された原薬の在庫と出荷された原薬について、不十分な文書や監督により、
検知されていない危険の可能性の包括的なリスクアセスメントを含んでいなかったので、貴社の
回答は不十分である。さらに、貴社は新しい改訂された手順のコピーを提供することも怠った。
この文書への回答の中で以下の情報を提供せよ:
・貴社の品質部門が効果的に機能するために権限とリソースが与えられていることを保証する
ための包括的なアセスメントと改善計画
〇貴社で使用されている手順が安定していて適切かどうかの判断
〇適切な手順の順守を評価するために貴社の作業全体を監督する品質部門に関する規定
〇品質部門が出荷判定をする前の、各ロットと関連する情報の完全で最終的なレビュ
〇全ての製品の同一性、濃度、品質、純度を保証するための、品質部門の調査の監督と承認と、
他の全ての職務の解放
また、これに限定されないが、新に発生した製造/品質の問題に積極的に対処し、継続的な
管理状態を保証するためのタイムリーなリソースの準備を含む品質保証と信頼できる作業を、
経営陣がいかに支えるかを述べよ。
・再ラベル貼付され販売された医薬品と在庫している医薬品の両方について、不十分な文書と
監督により引き起こされた危険に対処するリスクアセスメント
また、再ラベル貼付と再包装に関する貴社の新しい改訂された手順を提供せよ。
●原薬の不正表示の違反
貴社のリドカインHCI、ガバペンチン、プロメタジンHCIのような貴社の原薬のラベルは、貴社を
特定しているが、貴社の役割を示していない。エビデンスは貴社が原薬のただ一つの製造業者では
ないことを示しているので、貴社の名前のみがのったこれらの原薬のラベルは、貴社がただ一つの
製造業者であると偽って表示している。よって、ラベルには誤りがあり、判断を誤らせるので、
原薬は、FD&C Act 502(a)のもとで不正表示である。
さらに、リドカインHCIのようなラベルは、不正なロットナンバーがついているので、貴社の原薬
は不正表示である。
●未承認新薬と不正表示の違反
省略
●製造所での繰り返しの査察結果
2017年11月の前回の査察で、貴社は、貴社の作業に関する適切な手順を持っていないことを指摘
された。貴社はその時点で回答文書にて査察結果に関する具体的な改善を提案した。
繰り返しの不具合は、経営陣の医薬品製造の監督・管理が不十分であることを示している。
●追加の原薬CGMPガイドライン
FDAは、原薬がCGMPに従って製造されていることを判断するのに、ICH Q7で説明された期待を考慮
している。原薬の製造に関するCGMPのガイダンスとして、FDAのガイダンス文書
Q7 Good Manufacturing Practice Guidance for Active Pharmaceutical Ingredientsを見よ。
●CGMPコンサルタントの推奨
我々が貴社で確認した違反と逸脱の性質に基づき、我々は貴社がCGMP要件を満たす手伝いをする
ために21 CFR 211.34に規定されている適格なコンサルタントを雇うことを強く勧める。
貴社のコンサルタントの使用は、CGMPを順守するための貴社の義務を軽減するものではない。
営陣には、継続的なCGMP順守を保証するために、全ての不備とシステムの欠陥を解決する責任が
残る。
●結論
この文書で挙げた違反と逸脱は、貴社の製造所に存在する違反と逸脱の包括的なリストではない。
貴社には、これらの違反と逸脱を調査し、原因を判断し、再発を防止し、その他の違反と逸脱を
防止する責任がある。
この文書で指摘した違反と逸脱を即座に是正せよ。これらの違反と逸脱の即座の是正の不履行は、
更なる通知や制限・差し押さえ・禁止命令なしに、法的措置につながるかもしれない。この
ウォーニングレター内の違反と逸脱の未解決な状態は、他の連邦機関との契約を妨げるかもしれ
ない。
上記の違反と逸脱が解決されるまで、FDAは貴社の製造所の供給者または製造業者としての輸出
証明の要求の承認や新薬の申請やリストの補完の承認を保留する。我々は、貴社が是正処置を
完了したことを確認するために再査察を実施するかもしれない。
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■CMS607359
イリノイ州の製造所の査察(2020/3/10~2020/3/17)でみつかった医薬品製造の重大なCGMP違反に
ついて出された2020/9/10付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。
●指摘1
貴社は、そのロットが既に出荷されているかどうかに関わらず、規格を満たすために、ロットや
その成分の説明のつかない食い違いや不具合を徹底的に調査することを怠った。
<指摘1詳細>
貴社は、貴社の日焼け止め医薬品の1つについて製品の重要な特性の規格外(OOS)の分析試験結果
の徹底的な調査を怠った。特にXXのロットXXに関するOOSの調査は、サンプル、標準品、根本原因
の分析、調査の結論、是正処置・予防処置(CAPA)のような重大な情報の詳細が不足していた。
また、OOSの結果に関連するオリジナルのデータは上書きされレビュに使用できなかった。さらに、
貴社の調査で利用できる唯一の情報は、重大でOOSだった。試験の不合格を無効にすることについて
の論理的根拠は、しっかりした科学的評価を欠き、OOSの結果の調査に関する手順に従っていなか
った。
貴社の回答は、貴社にOOSの結果を明確に説明したレビュと調査の文書がなく、貴社の手順は根本
原因の分析の要件とCAPAの判断に欠けていることを認めた。貴社は、品質管理部門の責任者はまだ
結果の削除や上書きをできるが、結果の削除や上書きを防ぐためにソフトウエアのXXの方法を
改訂したと述べた。
この違反に応えて提供された貴社のOOSの調査に関する改訂された手順は、貴社がいかにOOSの
発生を有意義に調査するかの詳細の不足が続いていたので、貴社の回答は不十分である。我々は、
貴社の試験の責任者が、認めることのできない、結果を削除し上書きする能力を持ち続けている
ことも知っている。制定された規格と基準に合っていることを保証するために、試験の記録が必要
な全ての試験から得られた全てのデータを含むことを確実にするのは、貴社の根本的なGMPの責任
である。
貴社のデータの完全性についての管理の欠如は、貴社の分析データの真正性と信頼性と、貴社の
製品の品質について疑問を提起する。
規格外、傾向外、またはその他の予期しない結果の対応や、調査の文書化に関するより多くの情報
については、FDAのガイダンス文書Investigating Out-of-Specification(OOS) Test Results for Pharmaceutical Productionを見よ。
回答の中で、以下の情報を提供せよ:
a.最初の査察の日から3年分の現在アメリカにある製品に関する、全ての無効化されたOOS
(工程内及びリリース/安定性試験を含む)の結果の回顧的レビュと、各OOSに関する以下の
情報を含む分析の調査結果の要約のレポート:
i:無効化されたOOSの結果に関する科学的な正当化の理由やエビデンスが、原因となる試験の
エラーを決定的に立証しているか、それとも、非断定的に立証しているかを判断せよ。
ii:試験のエラーを決定的に立証した調査について、論理的根拠を提出し、改善のために同じ
または類似の根本原因に対して脆弱な他の全ての試験方法が特定されていることを保証せよ。
iii:回顧的レビュにおり、試験室で非断定的に根本原因がみつかったか、もしくは、根本原因
がみつかっていない全てのOOSの結果について、製造の徹底的なレビュ(例:バッチ製造
記録、製造手順の適切性、装置/設備の適合性、原材料のばらつき、工程の能力、逸脱の
履歴、苦情の履歴、ロットの不合格の履歴)を含めよ。各調査について、潜在的な製造の
根本原因と、製造作業の改善のサマリを提出せよ。
b.貴社のOOSの結果の調査システムに関する包括的なレビュと改善計画
CAPAはこれに限定されないが以下のことへの対処を含むべきである。
i:試験室の調査に関する品質部門の監督
ii:試験管理の有害な傾向の特定
iii:試験室のばらつきの原因の解決
iv:試験室の原因が断定的に特定できなかった場合は、潜在的な製造の原因の徹底的な調査
v:各調査とそのCAPAの適切な範囲の設定
vi:これら及びその他の改善を織り込んだOOSの調査手順の改訂
c.文書手順が不十分な部分を判断するための貴社の製造及び試験の手順全体で使用される
文書システムの完全なアセスメント
貴社が作業を通じて、帰属可能で、判読可能で、完全で、原本で、正確で、同時の記録を保持
することを保証するために、貴社の文書手順を包括的に改善する詳細なCAPAの計画を含めよ。
d.手書き及び電子の試験データの保持とレビュを保証するために貴社がいかに効果的なシステム
を実装するかについての詳細な記述
i:データの削除と変更を防ぐための当座の管理を要約せよ。
ii:分析機器やデータにアクセス権を持つ職員の役割と責任を定義せよ。
iii:これに限定されないがサンプルと標準品を含む全ての分析データがCGMPの要件に従って文書化
されることを保証するための手順を制定せよ。
iv:貴社の各分析システムについて、全ての職員のユーザ権限を詳細に述べよ。
v:ユーザの役割の付与と管理に関する手順の改訂と関連する教育の詳細な要約を提出せよ。
●指摘2
貴社は、貴社が製造した医薬品が、それが持つとされる同一性、濃度、品質、純度を持つことを保証
するために設計された製造及び工程の管理に関する文書化された手順を制定することを怠り、また、
貴社の品質管理部門は、全ての変更を含む、それらの手順をレビュ・承認しなかった。
<指摘2詳細>
貴社は、貴社の日焼け止め製品のプロセスバリデーションを実施しなかった。査察中、貴社は、
貴社の工程が品質の良い製品を一貫して供給することができることを立証するために、工程の性能
適格性評価(PPQ)が実施されたという文書を提出することができなかった。さらに、貴社は、安定
した製造作業と一貫した医薬品の品質を保証するための工程管理をモニタリングするための継続的
なプログラムを持っていなかった。
貴社は回答の中で、プロセスバリデーションの新しい手順を提出した。貴社の回答は、全ての
ばらつきの原因を特定するための詳細な工程性能のプロトコルとアクションの詳細な記述を含んで
いなかったので、不十分である。さらに、貴社の回答は、各医薬品のPPQの検証の完了に関する
タイムラインを提出しなかった。
上首尾の工程の適格性評価の検証は、商品流通の前に必要である。その後、貴社が製品のライフ
サイクルを通じて、安定した製造作業を維持していることを保証するために、工程性能と製品品質
の継続的で慎重な監督が必要である。
FDAがプロセスバリデーションの適切な要素と考える原則とアプローチについて、
FDAのガイダンス文書General Principles and Practicesを見よ。
回答の際、以下の情報を提出せよ。
a.製品のライフサイクルを通じて安定した管理を保証するための貴社のバリデーションプログラム
の詳細なサマリ
貴社のプログラムがいかに適切な設計を保証するか、貴社が工程の適格性評価にいかにアプローチ
するか、貴社が継続的な管理状態を保証するためにロット内及びロット間のばらつきの慎重な
モニタリングをいかに実施するかを述べよ。
b.貴社が販売している各医薬品に関し、適切な工程の適格性評価(PPQ)を実施するためのタイム
ライン
c.貴社のPPQのプロトコルと、装置及び設備の適格性評価に関する文書化された手順
d.PPQの検証に関し、貴社の製造作業のばらつきの原因を集約的に評価するための統計的な基本情報、
製品のロット数、その他、貴社の検証の重要なパラメータを含めよ。
●指摘3
貴社は、全ての成分、医薬品の容器、蓋、中間材料、包装材料、ラベル、医薬品の合格・不合格を
判断する責任と権限を持った適切な品質管理部門を制定することを怠った。
<指摘3詳細>
貴社は、独立した効果的な品質部門を制定することを怠った。例えば、貴社では、OOSの調査のレビュ
や、装置の適格性評価のような適切な品質部門の責任を果たすことを怠った。さらに貴社は、
変更管理や年次の製品レビュプログラムを制定することを怠った。
貴社は回答で、正式な品質部門を可能にするリソースがなく、組織・文書・照合確認が増加すれば
貴社の品質部門を改善するだろうと述べた。また貴社は、存在する手順を改善し、調査の手順として
新たに一つ手順を作り、年次の製品レビュを計画したと述べた。
貴社は、貴社が責任を果たすことができる効果的な品質部門を用意したことを示す文書を提出する
ことを怠ったので貴社の回答は不十分である。また貴社は、貴社が改訂または作ったという手順の
コピーや、そのまま残っている手順に関するタイムラインを提供することを怠った。
適切な品質部門の制定は、全てのシステム(設備や装置、原材料、製造、試験管理、包装や
ラベル貼付)に関連した貴社の作業が適切に計画され、承認され、実施され、モニタされ、最終的
に貴社が許容できる品質の製品を一貫して製造できることを保証するのに不可欠である。
21 CFR part210, 211のCGMP要件を満たすための品質システムとリスクマネジメントの実装の助け
として、FDAのガイダンス文書Quality Systems Approach to Pharmaceutical CGMP Regulations
を見よ。
回答の際、以下の情報を提供せよ:
a.貴社の品質部門が効果的に機能するための権限とリソースが与えられていることを保証するため
の包括的なアセスメントと改善の計画
アセスメントには、これに限定されないが以下のことを含むべきである:
i:貴社で使われている手順が安定していて適切であるかの判断
ii:適切な手順を遵守していることを評価するための品質部門の作業全体の監督に関する規定
iii: 品質部門が出荷判定をする前の、各ロットと関連する情報の完全で最終的なレビュ
iv:全ての製品の同一性、濃度、品質、純度を保証するための、品質部門による調査の監督と承認
と、他の全ての職務の解放
v:経営陣が、これに限定されないが、新たに発生した製造/品質の問題に積極的に対処し継続的
な管理状態を保証するためのタイムリーなリソースの提供を含む、品質保証や信頼できる作業
をいかにサポートするかについても述べよ。
b.査察中に集められた情報は、バルク製品が試験室の最終試験結果を受け取る前に貴社の管理外に
出荷されていることを示した。貴社がこの業務を中止したかどうかを述べ、試験結果と品質部門
の出荷許可の前に出荷され販売されたロットのリストを提出せよ。
●データ・インテグリティの改善
貴社の品質システムは、貴社が製造した医薬品の安全性、有効性、品質を裏付けるデータの正確性と
完全性を適切に保証していない。CGMPに従ったデータ・インテグリティの手順を制定し遵守するため
のガイダンスとして、FDAのガイダンス文書Data Integrity and Compliance with Drug CGMPを見よ。
我々は、貴社の改善を助ける適格なコンサルタントを雇うことを強く勧める。
回答の中で以下の情報を提供せよ:
a.アメリカに出荷された医薬品に関するデータのレビュ結果を含む、データの記録と報告における
不正確さの範囲に対する包括的な調査
貴社のデータ・インテグリティの欠落の範囲と根本原因の詳細な記述を含めよ。
b.貴社の医薬品の品質において発見された不具合の潜在的な影響についての、現在のリスクアセス
メント
貴社のアセスメントには、データ・インテグリティの欠落の影響をうけた医薬品のリリースに
より引き起こされる患者へのリスクの分析と、継続的な作業により引き起こされるリスクの分析
を含めるべきである。
c.貴社全体の是正処置・予防処置の計画の詳細を含む貴社の経営戦略
詳細な是正処置計画には、微生物及び分析のデータ、製造記録、FDAに提出されるデータを含む
貴社で生成される全てのデータの信頼性と完全性を貴社がいかに保証するかについて記述すべき
である。
●品質部門の権限
このレター内の重大な指摘事項は、貴社の品質部門がその権限・責任を完全に果たすことができない
ことを示している。貴社は、その責任を果たし、医薬品の品質を一貫して保証するための適切な権限
と十分なリソースを持った品質部門を整えなければならない。
●推奨されるコンサルタント
我々が貴社で確認した違反の性質に基づき、我々は、貴社がCGMP要件を満たす手伝いをするために、
21 CFR 211.34に記載された適格なコンサルタントを雇うことを強く勧める。
また、我々は、貴社の製品のどれが医薬品で、医薬品のCGMPの対象になるかを識別するのを助ける
コンサルタントも勧める。
貴社のコンサルタントの使用は、CGMPを順守するための貴社の義務を軽減するものではない。貴社
の経営陣には、継続的なCGMPの順守を保証するために、全ての不備とシステムの欠陥を解決する
責任が残る。
●医薬品の登録違反
FDAの査察中(2020年3月10日~17日)に、この製造所でOTC医薬品を製造していることがわかった。
FD&C Act及び 21 CFR Part207は、医薬品の登録とリストへの掲載に関する要件の概要を述べて
いる。貴社は、貴社の製造所で製造される医薬品について、リストへの掲載情報をFDAに提出する
ことを怠った。
もし貴社が医薬品の委託製造業者であったとしても、貴社には、貴社の製造所で製造される全ての
医薬品のリスト掲載が求められていることに注意せよ。契約に基づいて製造された医薬品に関する
医薬品リストへの掲載の要件は、契約製造所の全米医薬品コードを使って委託製造業者に関する
情報の提出、自社ブランド販売業者に関する情報の提出を含む。もし、自社ブランド販売業者が
直接情報を提出することを選ばなかった場合、両情報をFDAに提出するのは商標登録者の責任で
ある。貴社は、その義務を果たすことを怠った。さらに、貴社の情報の提出義務の不履行は、
貴社の製造所で製造された医薬品に偽の商標をつけたことになる。
●結論
この文書で挙げた違反は、貴社の製造所に存在する違反の包括的なリストではない。貴社には、
これらの違反を調査し、原因を判断し、再発を防止し、その他の違反を防止する責任がある。
この文書で指摘した違反を即座に是正せよ。これらの違反と即座の是正の不履行は、更なる通知
や制限・差し押さえ・禁止命令なしに、法的措置につながるかもしれない。このウォーニング
レター内の違反の未解決な状態は、他の連邦機関との契約を妨げるかもしれない。
上記の違反が解決されるまで、FDAは貴社の製造所の供給者または製造業者としての輸出証明の
要求の承認や新薬の申請やリストの補完の承認を保留する。我々は、貴社が是正処置を完了した
ことを確認するために再査察を実施するかもしれない。
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まとめ
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いかがでしたでしょうか。
2通とも、試験結果が出る前の出荷についての指摘でした。
日本は海外に比べて小さな製薬会社が多いと聞いていたため、アメリカの製薬会社は大規模施設
で厳格な品質管理のもと医薬品を製造しているというイメージを持っていましたが、今回の2通
の内容や、これまでにご紹介したウォーニングレターから、アメリカも必ずしも大きな製薬会社
ばかりがあるわけでなく、全ての製薬会社の品質管理レベルが高いわけではないということが
わかってきました。
2通目の製薬会社は、品質管理の問題をリソースのせいにしていたので、思わず、Google Mapの
ストリートビューを見て、なるほどと感じました。
☆次回は、4/15(木)に配信させていただきます。
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『ASTROM通信』担当 橋本奈央子