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2020.12.15
【最近のウォーニングレター】ASTROM通信<208号>
~安全な医薬品の安定供給をご支援する~
こんにちは
ASTROM通信担当の橋本奈央子です。
新型コロナの感染拡大が止まらない状況が続いていますが、いかがお過ごしでいらっしゃいますか。
さて、今回は、FDA(米国食品医薬品局)から海外の製造所に出されたウォーニングレター1件と、アメリカ国内
の製造所向けに出されたウォーニングレター1件について見ていきたいと思います。
最後までお読みいただければ幸いです。
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最近のウォーニングレターの概要
注:文中のXXはウォーニングレターでマスキングされている文言及び具体的な社名・品名です。
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■WL:320-21-07■
メキシコの製造所の査察(2020/2/24~2020/2/28)でみつかった医薬品製造の重大なCGMP違反について出され
た2020/11/4付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。
●指摘1
貴社は、貴社が製造した医薬品が、それが持つとされる同一性、濃度、品質、純度を持っていることを保証
するために設計された製造及び工程管理に関し、文書化された手順を制定することを怠った。
<指摘1詳細>
貴社は、貴社の医薬品を製造するために使用される工程をバリデートせず、装置の適格性評価を行わ
なかった。査察中、貴社は貴社がアメリカ向けに出荷されるさまざまなホメオパシー医薬品のプロセスバリ
デーションも装置のバリデーションも行っていなかったことを認めるサインのされた供述を査察官に提出した。
貴社は回答の中で、2製品のバリデーション文書を提出した。貴社は、アメリカに販売されているさらなる
6製品についてもバリデートするつもりであると述べた。貴社は、2020年にアメリカ向けの製品の需要の不足
と製造中止により、残りのXX製品に関するプロセスバリデーションを始める計画はないと述べた。
貴社の回答は不適切である。貴社は適切なプロセスバリデーションをせず、アメリカに出荷される医薬品の
リスクアセスメントを実施しなかった。アメリカ市場向けに貴社が製造したいくつかの医薬品が潜在的に
有毒な成分(例:XX、XX、XX)を含んでいることを考えると、ばらつきを特定し、ばらつきの原因を管理
するためのプロセスバリデーションの不履行は、患者を危険にさらすことになる。
プロセスバリデーションは設計の安定性とライフサイクルを通じた工程の管理状態を評価するものである。
製造工程の重要な各段階は適切に設計され、投入される原材料、中間材料、製品の品質を保証しなければ
ならない。
工程の適格性評価は、初期の管理状態が達成されているかどうかを判断するものである。
良好な工程の適格性評価は、商品流通の前に必要である。その後、製品のライフサイクルを通じて、貴社が
安定した製造作業を維持していることを保証するために、工程の性能と製品の品質の継続的で慎重な監視が
必要である。
FDAがプロセスバリデーションの要素と考える一般原則やアプローチに関し、FDAのガイダンス文書
Process Validation : General Principles and Practicesを見よ。
この文書への回答の中で以下の情報を提供せよ:
・製品のライフサイクルを通じて管理状態を保証するための、関連手順も併せたバリデーションプログラム
のサマリ
工程の性能適格性評価のプログラムと、継続的な管理状態を保証するためのロット内及びロット間の
ばらつきの継続的なモニタリングについて述べよ。
・貴社が販売している各製品に関する適切な工程の適格性評価(PPQ)の実施に関するタイムライン
・貴社の工程性能の規定、装置及び設備の適格性評価に関する文書化された手順
・使用期限内の市場にある製品のリスクアセスメント
リスクアセスメントに対応して、貴社がとる予定の顧客への通知や製品の回収などのアクションを明記
せよ。
●指摘2
貴社は、純度、濃度、品質の文書化された全ての規格への一致に関し、各成分のサンプルを試験すること
を怠った。
<指摘2詳細>
査察中、成分を、アメリカ向けの製品の製造に使用する前に、適切に試験していないことがみつかった。
貴社は入荷した成分のロットの同一性試験を実施しているが、純度、濃度、品質に関する文書化された
全ての規格への一致に関しては、供給者の検査証明書(COA)に頼っている。貴社は、純度、濃度、品質の
文書化された規格について、供給者のCOAをバリデートしていなかった。
貴社は回答の中で、貴社の手順に“アメリカ市場向けの製品に使用される原材料に関し、供給者から受け
取ったCOAまたは適合証明書(COC)の検証が必要である”ということを含めるために、手順を改定するこ
とを約束した。
貴社の回答は、同一性、濃度、品質、純度に関する文書化された規格への一致に関し、各成分がいかに
試験されるかに関する詳細に欠けているので、不十分である。さらに貴社は、適切な間隔での供給者の
試験結果のバリデーションを通して供給者のCOAの信頼性を証明するための計画についての詳細を提出
しなかったので、貴社が試験をする代わりに供給者のCOAの試験結果を信頼するつもりかどうかはっきり
しない。
この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ。
・製造に使用するために入荷した成分の各ロットを試験しリリースするために使用する化学及び微生物
の品質管理の規格
・成分の各ロットの同一性、濃度、品質、純度のすべての規格への一致に関し、貴社がいかに試験をする
つもりかの記述
もし貴社が濃度、品質、純度に関し、成分の各ロットの試験をする代わりに供給者のCOAの結果を受け
入れるつもりであれば、貴社が初期のバリデーションと定期的な再バリデーションを通じて供給者の
試験結果の信頼性をいかに確実に証明するかを明記せよ。さらに、入荷した成分の各ロットに関し、
少なくとも1つの同一性試験を常に実施するという約束を含めよ。
・各成分の製造業者から得たCOAの信頼性を評価するための、全ての成分の試験から得られる結果のサマリ
サマリには、このCOAのバリデーションプログラムを述べた貴社の標準操作手順書(SOP)を含めよ。
●結論
この文書で挙げた違反は、貴社の製造所に存在する違反の包括的なリストではない。貴社には、違反と逸脱
を調査し原因を判断する責任と、違反や逸脱の再発や発生を防止する責任がある。
貴社が全ての違反を完全に解決し、我々がCGMPの遵守を確認するまで、FDAは、貴社の医薬品製造業者と
してのいかなる新しい申請やリストの補完の承認を保留する。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
■CMS#589823
ウエストバージニア州の製造所の査察(2019/6/18~2019/7/2)でみつかった医薬品製造の重大なCGMP違反に
対して出された2020/6/19付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。
●指摘1
貴社は、契約に基づき他の会社で製造、加工、包装、保管された医薬品を含む、全ての成分、容器、蓋、
中間材料、包装材料、ラベル、製品の合格または不合格を判断する責任と権限をもった品質管理部門を制定
することを怠った。また貴社は、品質管理部門に適用する文書化された責任と手順を制定することを怠った。
<指摘1詳細>
貴社の品質部門は、ホメオパシー医薬品と受入した成分、製造、販売に関する適切な監督を怠った、さらに
貴社には、品質部門の責任を述べた文書化された手順が欠けていた。査察中、貴社は、貴社と貴社の供給者
の間の製造の役割と責任を定義していないことを認めた。
例えば、XXは貴社にホメオパシー医薬品XXとその他の成分を供給している。XXXX/XX/XXに貴社はXXが
輸入警告措置66-40が出され、CGMPの甚だしい違反についてFDAによりXXXX/XX/XXにXXが発行されていること
に気付いていた。
XXのCGMP違反は以下のことを含んでいた:
貴社は、貴社の供給者の製造所について述べられた違反状態に気付いたにも関わらず、XXから得た不良の
ホメオパシー医薬品と成分の販売を続けた。貴社のFDA査察後に、貴社は貴社がXXから受け取った医薬品の
不十分な品質に対応するための是正処置・予防処置(CAPA)の予定を提案した。
貴社は回答の中で、貴社の承認されたベンダのリストからXXを除き、XXから受け取った全ての原材料を隔離
したと述べた。また貴社はリスクアセスメントを実施し、これらの原材料と製品の契約設備での試験を
行った。さらに貴社はホメオパシー医薬品とチンキ剤の現在の供給者と品質協定をそろえている最中で
あると述べた。さらに、貴社は回答の中で、前の2018年のFDA査察中に話し合った通りにベンダの適格性評価
に関する効果的なCAPAを実施することを怠っていることを認めた。
我々は、貴社が、XXにより貴社のために製造されラベルが貼られたホメオパシー医薬品を回収したことを
認識している。貴社は、貴社がハイリスクと判断した顧客に直接販売された、原材料XXを使って貴社が製造
したチンキ剤を回収するつもりであると述べた。しかし、原材料XXを使って貴社が製造したその他の
最終製品に関しては、貴社はリスクアセスメントの中で、顧客に連絡をとり、“製品のそれらのロットが
回収されることを推奨する。しかしながら、回収の最終判断は顧客により実施されるだろう”と伝える
つもりであると述べた。
貴社は貴社の是正処置を効果的に進めるために、いかに貴社の製造手順が改善されるかを監視するかを示す
ことを怠ったので、貴社の回答は不十分である。また、貴社は、前のFDA査察中に話し合った通りに供給者
の適格性評価プログラムを改善することを保証することも怠った。貴社により製造または受入され販売
された医薬品が、安全性・同一性・品質・濃度を保証するためにFD&C Act 501(a)(2)(B)に従っていること
を保証するのは貴社の責任である。
この文書への回答の中で以下の情報を提供せよ:
・供給者の適切な監督をせずに貴社の品質部門がリリースしたすべての製品の完全な照合
・貴社が貴社の供給者と締結した品質協定を実施していることと、全ての製品が安全性・同一性・濃度・
品質・純度を保証するためにFD&C Act 501(a)(2)(B)に従っていることを保証するための包括的なアセス
メントと改善計画
・貴社の品質部門が効果的に機能するために権限とリソースを与えられていることを保証するための包括的
なアセスメントと改善計画
アセスメントには、これに限定されないが以下のことを含めるべきである:
〇貴社により使用される手順が安定していて適切かどうかの判断
〇適切な手順の順守を評価するための、貴社の作業の品質部門の監督の規定
〇品質部門の出荷判定前の関連情報を含む各ロットの完全で最終的なレビュ
〇全ての製品の同一性、濃度、品質、純度を保証するための、品質部門の調査の監督と承認及び他の全ての
業務の解放
・これに限らないが、新たに発生した製造・品質の問題に積極的に取り組み管理状態の継続を保証する
ことを含む品質保証や信頼できる作業をトップの経営層がいかにサポートするかも述べよ。
●指摘2
貴社は、製品の各成分の同一性を確認するために少なくとも1つの試験を実施することを怠った。
<指摘2詳細>
貴社は、チンキ剤のもとと、XXのようなその他の成分を外部の供給者から購入しているが、受入した成分
の各ロットの同一性について、医薬品の製造に使用するためにリリース前に試験することを怠った。
貴社は回答の中で、適切な原材料の試験をせずに行った製造に対処するためにリスクアセスメントを実施
していると述べた。また貴社は、使用前に全ての成分の同一試験を行うために貴社の標準操作手順書
(SOP)を改定するつもりであると述べた。
しかし、貴社は現在倉庫にある全ての成分や、同一性を確認せずに製造のためにリリースした成分の保管
サンプルの全ての試験結果を提供することを怠ったので、貴社の回答は不十分である。貴社の回答は、
貴社のリスクアセスメントが“適切な原材料の試験を実施せずに”製造された医薬品にいかに対処するかが
不明確である。
この文書への回答の中で以下の情報を提供せよ:
・全ての成分が製造に使用される前に適切な方法で同一性試験がされているかどうかを判断するための
貴社の原材料システムの包括的で独立したアセスメント
レビュでは、不適切な成分の使用を防ぐために入荷した原材料の管理が適切かどうかも判断すべきである。
・ホメオパシー医薬品と表示された医薬品に使用される全ての入荷した成分に関し少なくとも1つの
同一性試験を実施するための計画
・入荷した成分の各ロットを製造に使用するために試験しリリースするのに貴社が用いる化学及び微生物の
品質管理の規格
・同一性、濃度、品質、純度の全ての規格への一致に関し、貴社がいかに各成分の試験を実施するかの記述
貴社が各成分の濃度、品質、純度に関する試験を実施する代わりに貴社の供給者の検査証明書(COA)の
結果を受け入れるつもりであれば、初期のバリデーションと定期的な再バリデーションを通じて供給者
の結果の信頼性をいかに確実に確認するつもりかを明記せよ。さらに、入荷した成分の各ロットについて、
少なくとも1つの同一性試験を常に実施するという約束を含めよ。
・各成分の製造業者から得たCOAの信頼性を評価するための全ての成分の試験から得られた結果のサマリ
サマリに、このCOAのバリデーションプログラムを記述した貴社のSOPを含めよ。
・貴社が製造した医薬品の試験をする契約試験機関の適格性評価と監督に関する貴社のプログラムのサマリ
●指摘3
貴社は、試験方法の精度、感度、特異性、再現性を検証し文書化することを怠った。
<指摘3詳細>
貴社は微生物特性について原材料及び製品を分析するために使用していた試験方法を適切にバリデートする
ことを怠った。貴社は試験方法をバリデートすることを試みたが、以下のことを怠った:
・実際の使用状態のもとでの試験方法の適合性の確認
・存在するであろう微生物を貴社が培養できることを保証するための、貴社により製造される全ての製品
に関する試験方法の適合性の確認
・貴社のホメオパシー医薬品内の好ましくない微生物を検知するためのバリデートされた方法の制定
貴社は回答の中で、現在全ての試験に適格性評価がされた試験機関を使っていることと、製品の実際の状態
を示していることを保証するために他のバリデートされた微生物試験を評価するつもりであると述べた。
また、貴社は回顧的リスクアセスメントを実施するつもりであるとも述べた。
しかし、貴社が他の微生物試験を評価するのに使用するバイオバーデンの方法が適切であることをいかに
保証するつもりかが明確でない。貴社は提案するリスクアセスメントを裏付ける文書を提出しなかったし、
バイオバーデンのバリデートされた試験方法がない状態で販売された他の製品にいかに対応するつもりかを
明確にしなかった。さらに貴社は貴社の是正処置の効果を評価できることを保証するCAPAを提出しなかった。
この文書への回答の中で以下の情報を提供せよ:
・貴社の各製品に関する、ロットの微生物上のリリース規格(すなわち、総数、好ましくない微生物を検知
するためのバイオバーデンの確認)
・貴社の各製品を分析するために使用される全ての微生物試験の方法
・使用期限内にある全ての製品のロットの保管サンプルの試験から得られる結果のサマリ
貴社は各ロットの微生物の品質(総数、好ましくない微生物を検知するためのバイオバーデンの確認)を
試験すべきである。もし試験で規格外(OOS)の結果が生じた場合、顧客への通知や回収の開始を含む、
貴社がとろうとしている是正処置を述べよ。
・妥当な試験方法を使って貴社の製造した全ての医薬品を試験するという貴社の誓約
さらに貴社が貴社の医薬品のバイオバーデンの確認を実施することも不可欠である。
●品質システム
貴社の品質システムは不十分である。CGMPの法規制21 CFR part210, 211の要件を満たすために品質システム
とリスクマネジメントのアプローチを実装する助けとして、
FDAのガイダンス文書Quality Systems Approach to Pharmaceutical CGMP Regulationsを見よ。
●CGMPコンサルタントの推奨
我々は貴社がコンサルタントを雇ったことを認識している。しかし、我々が貴社で確認した違反の性質に
基づき、我々は貴社がCGMP要件を満たす手伝いをするために21 CFR 211.34に規定されている適格な
コンサルタントを雇うことを強く勧める。貴社のコンサルタントの使用は、CGMPを順守するための貴社
の義務を軽減するものではない。貴社の経営陣には、全ての不備とシステムの欠陥を解決し、継続的な
CGMP順守を保証する責任が残る。
●結論
この文書で挙げた違反は、貴社の製造所に存在する違反の包括的なリストではない。貴社には、これらの
違反を調査し、原因を判断し、再発を防止し、その他の違反を防止する責任がある。
この文書で指摘した違反を即座に是正せよ。これらの違反を即座の是正の不履行は、更なる通知や、制限・
差し押さえ・禁止命令なしに、法的措置につながるかもしれない。このウォーニングレター内の違反の
未解決な状態は、他の連邦機関との契約を妨げるかもしれない。
上記の違反が解決されるまで、FDAは貴社の製造所の供給者または製造業者としての輸出証明の要求の承認
や新薬の申請やリストの補完の承認を保留する。我々は、貴社が是正処置を完了したことを確認するために
再査察を実施するだろう。
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まとめ
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いかがでしたでしょうか。
内容とは関係ない話なのですが、FDAがここ最近、海外の製造所向けに発行したウォーニングレター(320-21-03,
04, 05, 06, 09, 10, 11, 12, 13)は、すべて隣接しているメキシコの製造所向けで、その内容は、
1件目の320-21-07を除き、手の消毒剤のエタノールの含有量に関するものばかりでした。
新型コロナの影響で、FDAの海外査察はほとんど機能していないように思います。
ところで、アメリカ国内で新型コロナのワクチン接種がはじまりました。
今回ワクチンを供給する製薬会社のインドの製造所は、昨年夏のFDAの査察で、無菌試験結果のOOSの根本原因
の調査やCAPAの不実施、環境モニタリングの不具合が指摘されていました。今回接種されるワクチンは
アメリカ製のようですが、それでもワクチンの品質には不安を感じてしまいます。
感染拡大を防ぐためにワクチンの接種は不可欠ですが、緊急使用の決定に現場が対応しきれているのか、
気になるところです。
さて、末筆ではございますが、この1年、メールマガジンをお読みいただきまして誠にありがとうございました。
来年もどうぞよろしくお願いいたします。
☆次回は、1/1(金)に配信させていただきます。
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今後このような情報が必要ない方は、お手数ですが、こちらに配信停止依頼のメールをお願いいたします。
hashimoto@e-pros.co.jp
【発行責任者】
株式会社プロス
『ASTROM通信』担当 橋本奈央子
2020.12.01
【最近のウォーニングレター】ASTROM通信<207号>
~安全な医薬品の安定供給をご支援する~
こんにちは
ASTROM通信担当の橋本奈央子です。
2020年も残すところ一か月となりましたが、いかがお過ごしでいらっしゃいますか。
ここ2回、FDA(米国食品医薬品局)からアメリカ国内の製造所向けに出されたウォーニングレターを
取り上げてきましたが、今回はいつものように海外の製造所向けに出されたレター(2件)について
見ていきたいと思います。
最後までお読みいただければ幸いです。
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最近のウォーニングレターの概要
注:文中のXXはウォーニングレターでマスキングされている文言及び具体的な社名・品名です。
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■WL:320-21-01■
インドの製造所の査察(2020/2/24~2020/2/25)でみつかった医薬品製造の重大なCGMP違反について
出された2020/10/9付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。
●指摘1
貴社は、そのロットが既に出荷されたかどうかに関わらず、ロットまたはその成分の、説明のつかない
規格との食い違いや不合格の徹底的な調査を行うことを怠った。
<指摘1詳細>
貴社は、無菌の注射剤XX及び固形製剤を製造している。貴社は、根本原因の特定と効果的な是正処置・
予防処置(CAPA)のタイムリーな実施を含む、適切なOOS(Out-of-Specification)と苦情の調査を怠った。
a.2019年6月29日、錠剤XXロットXXは、不純物XXに関しOOSの結果を得た。
貴社のフェーズIの調査で、オリジナルのサンプルが再注入され再ろ過された時に、最初のOOSの結果
を確認した。可能性のある根本原因は特定されなかった。また、高速液体クロマトグラフィの実行に
おいて不純物XXのピークに隣接して発見された未知のピークを徹底的に調査しなかった。
貴社は、それを裏付ける文書もなしに、クロマトグラフの未知のピークをサンプルの汚染またはHPLC
のカラムのロードの問題のせいにした。貴社は、サンプルが汚染されていたかどうかを判断するため
の、意味のある努力をしなかった。OOSの結果が生じた最初のHPLCの実行は、システムの適合性要件の
手順を満たし、カラムや装置の誤動作は報告されていなかった。貴社の分析者もカラムは適切に使用
されていたと報告した、貴社の調査では、未知のピークはブランク試料でもプラセボ品の注入でも
発見されなかった。
貴社のフェーズIIの試験の調査中、HPLCのカラムは再生(すなわち、洗浄)されなかった。理に
かなった説明もなく、2019年7月9日、貴社は、再生されたカラムを使ってロットXX、XX、XXをリテスト
した。3つのロットは、不純物XXに関する規格に適合した。しかし貴社は、リテストにおいて、最初の
OOSの結果を持ったロットXXを含めなかった。
後で、ロットXXは再生されたカラムと共に新しいサンプル標本を使ってリテストされた。しかし、
このクロマトグラフの実行は放棄された:伝えられるところによれば、システムの通信エラーが
あった。貴社は、XXによる洗浄の後に水で洗浄し、再び、HPLCのカラムを再生した。不純物XXの規格
を満たし製品はリリースされた。
貴社の回答は不十分である。貴社は、HPLCのカラムが最初に確認されたOOSの根本原因だったことを
示す十分に科学的な正当化の理由を提供しなかった。貴社は、なぜブランク試料または標準溶液で
未知のクロマトグラフのピークが発見されなかったかを説明しなかった。貴社の調査では、根本原因
としてサンプルの汚染を排除するために、なぜ新しいHPLCのカラムを使ってオリジナルのサンプルが
リテストされなかったかがはっきりしない。貴社の調査は、HPLCのカラムの使用履歴の情報や、分析
方法や装置のカラムの性能の評価も欠けていた。
b.貴社は、XXの注入において、異なる3ロットのOOSの分析結果を得た。規格は溶液も懸濁液も
XX~XX%である。
ⅰ.2018年4月30日に、貴社は、溶液と懸濁液の規格XXを満たさないロットXXについてOOSの分析
結果を報告した。OOSの結果として、溶液でXX%、混濁液でXX%が報告された。貴社は、最も
可能性のある原因は保管していた溶液の標本の問題にあると結論づけ、XXのリテストの平均値
に基づき、そのロットをリリースした。
ⅱ.2019年10月12日、貴社は、溶液の規格XXを満たさないロットXXについてのOOSの分析結果を
得た。報告されたOOSの結果はXX%だった。貴社は、OOSは“分析上のエラーによるものだった”
と結論づけ、そのロットはリリースされた。
ⅲ.2019年10月16日、貴社は、溶液の規格XXを満たさないロットXXについてのOOSの分析結果を
得た。報告されたOOSはXX%だった。貴社は、OOSは分析上のエラーによるものだったと結論づけ、
そのロットはリリースされた。
貴社が結論づけた3つすべての調査において、適切な科学的に正当な理由もなしに、分析上のエラー
が、オリジナルのOOSの結果の最も可能性のある根本原因とされた。貴社は再発を防ぐために分析者
の再訓練を行い、CAPAを開始した。貴社の調査は、実施されたCAPAと、CAPAの効果をいかに測定する
かの詳細が不足していた。貴社はフェーズIIの製造レビュを実施したが、製品開発、製造バリデー
ション、過去の不具合、分析試験方法の包括的な評価を実施しなかった。3ロット全ては、合格の
リテストの結果に基づきリリースされた。
貴社の回答は不十分である。貴社は可能性のある根本原因を示唆したが、試験のエラーが発生したと
いう貴社の結論を裏付ける科学的なエビデンスは提出しなかった。貴社は、実施されたCAPAとCAPAの
効果をいかに測定するかの詳細の提出も怠った。
c.2019年1月に製造され、使用期限がXXのXXmg/XXmLの注射剤XXロットXXの苦情調査は不十分だった。
2019年10月2日、”XX密閉”システムがガラスのバイアルから分離しているという苦情を受け取った。
このロットの製造中、密閉の不具合のあるいくつかの充填バイアルにより、意図しない逸脱が生じた。
充填作業開始の約1時間後、“キャップに問題のある充填”(不適切なXX)が発見された。逸脱の記録
は、XXは置き場所を誤り/調整を誤り、XXが適切にロックされなかったことを示していた。貴社の
苦情調査によれば、製品が製造されている時に封かん機の故障が発生し、目視検査中、ゆるい封緘の
いくつかのバイアルが見逃されてしまった可能性があるかもしれなかった。にもかかわらず、貴社は、
そのロットを出荷した。
我々は、貴社がこの問題の評価の一環で、バイアルの封緘の完全性を評価するために、査察後に検証
を実施したことを知っている。
貴社の回答は、不十分である。貴社は、機械の故障が発生した密閉の最初の1時間の間に充填された
分を含む注射剤XXロットXXをリリースした理由を提供していない。さらに、貴社は装置の故障前に
充填されたバイアルについて触れていない。
d.貴社は、異物の存在に関し注射剤の複数ロットについて、複数の消費者の苦情を受け取った。
これらの苦情は、再発を防ぐために適切に評価されていなかった。
貴社の調査は、科学的なエビデンスもなく、根本原因はエンドユーザによるXXの使用に関連している
と結論づけた。苦情を訴えた人はXXを使っているのに、貴社はXXを使っている製品を評価し問題は
みつからなかったと述べた。貴社はこれに限定されないが、異物や栓の分離または封緘の抜けの
不具合はXXの使用によるとする貴社の根本原因を裏付ける機能性試験データを含む十分な科学的
データを持っていなかった。
不十分なOOSの調査は2017年のFDAの査察以来繰り返されているCGMP違反である。
我々は、貴社の調査プログラムを改善しようとるす貴社の努力と、エンドユーザにより使用された
XXを評価するための手順ベースの検証を開始するという貴社の判断を知っている。
しかし、貴社の回答は、改善の範囲と度合いに関する詳細が不足している。
この文書への回答の中で以下の情報を提供せよ:
・逸脱、食い違い、苦情、OOSの結果、不具合の調査に関する全般的なシステムの包括的で独立した
アセスメント
このシステムを改善するための詳細なアクションプランを提出せよ。貴社のアクションプランには、
これに限定されないが、調査能力の著しい改善、範囲の決定、根本原因の評価、CAPAの効果、品質
保証部門の監督、文書化された手順を含むべきである。貴社が調査の全てのフェーズでいかに調査
が適切に実施されていることを保証するかについて対応せよ。
・この文書で言及されているロット及び貴社の回顧的アセスメントの一部として苦情から見つかった
他のロットに関する貴社の市場でのアクションプランを提出せよ。
・貴社のCAPAプログラムの独立したアセスメントと改善計画
適切な調査の能力を持った職員が根本原因の分析を効果的に実施し、CAPAの効果を保証し、調査の
傾向を定期的にレビュし、必要に応じてCAPAプログラムの改善を実施し、適切は品質保証部門の
決定権を保証し、それが経営陣により完全にサポートされているかを評価したレポートを提出せよ。
・顧客への通知、製品の回収、追加試験の実施、安定性を保証するための安定性プログラムへの
ロットの追加、医薬品の申請アクション、改善された苦情のモニタリングのような、患者を保護し、
薬の品質を保証するためにとられた処置、及び、これから取ろうとしている処置を述べた暫定的な
手段を含む経営戦略
・そのロットが最終的にアメリカに出荷されたかに関わらず、アメリカ向け製品の全ての無効化され
たOOS(工程内試験や、リリース/安定性試験を含む))の結果の回顧的で独立したレビュと、OOSに
関する以下の内容を含む分析で発見した内容の要約のレポート
〇無効化されたOOSの結果に関する科学的に正当な理由やエビデンスが、最終的でも最終的でなくて
も、試験のエラーが原因であると示しているかどうかの判断
〇最終的に試験が根本原因であるとした調査に関し、論理的根拠を提出し、同じまたは類似の根本
原因に対して脆弱である他の全ての試験の方法が改善のために特定されていることを保証せよ。
〇回顧的レビュで、根本原因が試験にあることが決定的でない、または、特定されていない全ての
OOSの結果に関し、製造(例:ロットの製造記録、製造手順の適格性、苦情の履歴、ロットの
不具合の履歴)の徹底的なレビュを含めよ。各調査に関する製造の根本原因の可能性と、製造作業
の改善について要約せよ。
・OOSの結果の調査システムに関する包括的なレビュと改善計画
CAPAは、これに限定されないが以下のことに取り組め。
〇試験の調査に関する品質部門の監督
〇試験の良くない管理傾向の確認
〇試験のばらつきの原因の解決
〇試験の原因が最終的に確認できない場合はいつでも、製造の原因の可能性の徹底的な調査の開始
〇各調査とCAPAの適切な範囲の決定
〇これら及びその他の改善を反映した最新のOOS調査手順
不具合の対応、OOS、OOT(Out-of-Trend)または、その他の予期しない結果や、調査の文書化について
の更なる情報は、FDAのガイダンス文書Investigating Out-of-Specification(OOS) Test Results for
Pharmaceutical Productionを見よ。
●指摘2
貴社は、医薬品が規格を満たし、21CFR211.192に従った調査の必要性の判断を行うために、医薬品
の不具合の可能性を含む苦情についての品質管理部門によるレビュを含む、製品に関する全ての文書
または口頭の苦情の取扱いを述べた文書化された手順に従うことを怠った。
<指摘2詳細>
貴社の”市場の苦情の取扱い”というタイトルの手順QAD/GEN/049-05は、もし苦情の程度がランク3
とされた場合、その苦情はリスク優先度数に関わらずクリティカルとして扱われるべきであると示し
ている。貴社の注射剤XXでみつかった異物の存在または注射剤XXのバイアルの完全性の欠陥の可能性
に関する苦情は、ランク3にされなかった。外因性の異物または完全性の欠陥は、無菌性の喪失の指針
となりうる。かわりに、過去2年に受け取った苦情は、それらのいくつかは貴社の顧客によりクリティ
カルで深刻な有害事象につながりうる苦情と判断されたにもかかわらず、マイナーとして分類された。
貴社は、上述の苦情をマイナーとして分類し、CAPAは実施されなかった。
貴社は回答の中で異物の汚染、抜け、封緘の完全性に関する、もともとはマイナーと分類されたに
苦情はメジャーとして分類されるべきだったと認めた。
貴社の回答は不適切である。貴社の回答はこれらの苦情が“クリティカル”として分類されなかった
科学的に正当な理由は論理的根拠を提出しなかった。貴社の回答は、貴社のスポンサーと貴社自身の
苦情のリスクアセスメントの分類の食い違いについて説明することも怠った。
この文書への回答の中で以下の情報を提供せよ:
・貴社の苦情取扱いプログラムに関する独立したアセスメントと改善計画
実施された全てのCAPAを評価するレポートを提出せよ。職員の能力・根本原因の分析・CAPAの効果・
調査の傾向の定期的なレビュ・必要に応じたCAPAプログラムの改善・判断が科学的根拠に基づき、
経営陣により指示されていることを保証するための品質部門によるレビュの評価を含めよ。
・使用期限内のロットに関し、全ての苦情と関連する調査の独立した回顧的レビュ
このレビュは、調査の網羅性と、苦情または保管サンプルの分析、特に2つ以上の苦情を含む調査
に重点を置くべきである。
●現場警告報告(FAR:Field Alert Reporting)の違反
1985年5月23日発効の21CFR314.81(b)(1)(i)(ii)のNDA/ANDAの現場警告報告要件は申請者からの受領
の3営業日以内に適切なFDAの地区オフィスに、販売された製品のバクテリアの汚染、または、重大な
化学的・物理的またはその他の変更や劣化に関する情報の提出を求めている。21CFR314.81(b)(1)の
目的は、既に販売された製品の安全性の危険の可能性を防ぎ、また、今後製造される製品の安全性の
危険の可能性を防ぐために、重大な問題が申請所有者からFDAに届けられる早期の警告システムを
確立することにある。規則の定義を満たす確認済及び未確認の問題に関し、会社が気付いてから
3営業日位以内に、FARが提出されなければならない。
前述のCGMP違反に加え、この査察で存在した問題により、貴社は、21CFR314.81(b)(1)(i)(ii)に
明記された現場警告報告の要件に違反している。2017年から2018年の間、溶液XXに関するFARは
3営業日以内にFDAに提出されなかった。特に、貴社は、XXmg/バイアルの注射剤XXのいくつかの
ロットのバイアル内で発見された外因性の異物に関するいくつかの苦情を受け取っていたが、FARは
当局に提出されなかった:
1.2018年12月5日に、貴社はロットXXに関する顧客の苦情を受け取った。2018年12月5日に貴社は
苦情を確認し、初期のFARは不要であると判断した。貴社は苦情を調査し、2019年2月11日に調査
を完了した。
2.2018年11月21日、貴社はロットXXに関する顧客の苦情を受け取った。2018年11月21日に貴社は
苦情を確認し、初期のFARは不要であると判断した。貴社は苦情を調査し、2019年1月18日に調査
を完了した。
3.2018年10月3日、貴社はロットXXに関する顧客の苦情を受け取った。2018年10月3日に貴社は
苦情を確認し、初期のFARは不要であると判断した。貴社は苦情を調査し、2018年12月3日に調査
を完了した。
4.2018年9月10日、貴社はロットXXとロットXXに関する顧客の苦情を受け取った。2018年9月11日
に貴社は苦情を確認し、初期のFARは不要であると判断した。貴社は苦情を調査し、2018年11月
2日に調査を完了した。
5.2018年8月31日、貴社はロットXXとロットXXに関する顧客の苦情を受け取った。2018年8月31日
に貴社は苦情を確認し、初期のFARは不要であると判断した。貴社は苦情を調査し、2018年11月
2日に調査を完了した。
6.2018年7月27日、貴社はロットXXに関する顧客の苦情を受け取った。2018年7月27日に貴社は苦情
を確認し、初期のFARは不要であると判断した。貴社は苦情を調査し、2018年9月22日に調査を
完了した。
7.2018年1月6日、貴社はロットXXに関する顧客の苦情を受け取った。2018年1月7日に貴社は苦情を
確認した。2018年1月8日に初期のFARは不要であると判断した。貴社は苦情を調査し、2018年2月
23日に調査を完了した。
8.2017年12月15日、貴社はロットXXに関する顧客の苦情を受け取った。2017年12月16日に貴社は
苦情を確認し、初期のFARは不要であると判断した。貴社は苦情を調査し、2018年2月16日に調査
を完了した。
我々は貴社の製造所で明らかになったCGMP違反と、問題に気付いてから3営業日以内のFAR関連事象の
提出不履行を懸念している。違反の影響を受ける可能性のある、貴社の製造所で製造され出荷された
製品に関し貴社が計画している是正処置を、貴社の回答文書に含めてください。
●CGMPコンサルタントの推奨
以前の査察から繰り返しの違反の是正を怠っているので、我々は、貴社がCGMP要件を満たす手伝い
をするために21 CFR 211.34に規定されている適格なコンサルタントを雇うことを強く勧める。貴社
のコンサルタントの使用は、CGMPを順守するための貴社の義務を軽減するものではない。貴社の
経営陣には、全ての不備とシステムの欠陥を解決し、継続的なCGMP順守を保証する責任が残る。
●結論
この文書で挙げた違反は、貴社の製造所に存在する違反の包括的なリストではない。貴社には、
これらの違反を調査し、原因を判断し、再発を防止し、その他の違反を防止する責任がある。
貴社が全ての違反を完全に解決し、我々がCGMPの遵守を確認するまで、FDAは、貴社の医薬品製造
業者としてのいかなる新しい申請やリストの補完の承認を保留する。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
■320-21-02
メキシコの製造所に対して出された2020/10/15付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげ
られています。
●不純物添加の違反
貴社の製造所で製造されたと申告された手の消毒剤XXは、有効成分のアルコール(エタノール)を
75%v/v含むとラベル表示されている。しかし、国境で留められたこの製品のロットのFDA研究所の
試験で、製品は15%v/vのエタノールしか含んでいないことがわかった。さらに、貴社の製造所で
製造されたとラベル表示されている手の消毒剤XXは、有効成分のアルコール(エタノール)を62%v/v
含むと表示されている。しかし、国境で留められたこの製品のロットのFDA研究所の試験で、製品
は50%v/vのエタノールしか含んでいないことがわかった。これらの製品は、ラベルに表示されて
いるより低いレベルのエタノールの有効成分しかないのでFD&C Act 501(c)のもとで不良品である。
CDC(アメリカ疾病管理予防センター)は、もし、石けんと水がすぐに使用可能でなければ、消費者は
アルコール(エタノール) を少なくとも60%含む手の消毒剤を使うことを推奨している。これは、
“Safety and Effectiveness of Consumer Antiseptics; Topical Antimicrobial Drug Products for
Over-the-Counter Human Use; Proposed Amendment of the Tentative Final Monograph; Reopening
Administrative Record” Proposed Rule, 81 FR 42912(2016年6月30日)により更に改正されたのだ
が、FDAが1994年に発出したTentative Final Monograph for Health-Care Antiseptic Drug
Products(59 FR 31402)の中で指定したエタノールの最小の濃度である。
2020年6月16に、FDAは貴社と貴社のアメリカの代理店と電話会議を開催した。我々は現在アメリカ
市場で販売されている貴社の全ての手の消毒剤を取り除くことを検討するよう勧めた。最終的に貴社
は使用期限内にある貴社で製造された全ての手の消毒剤を回収することを約束した。しかし、この
文書の日付において、貴社はまだ回収を開始していない。2020年8月3日、FDAはWEBにて貴社の手の
消毒剤の有効性の低さについて公表した。
この文書への回答の中で以下の情報を提供せよ:
・どうして、エタノールを75%と62%含んでいるとラベルに表示されていた上記の手の消毒剤が実際
にはそれぞれ15%と50%のエタノールを含んでいたのかについての詳細な調査
・貴社の手の消毒剤を製造するために使用された全ての原材料の、供給者の名前、住所、連絡先情報
を含むリスト
・貴社によりアメリカに出荷された手の消毒剤の全てのロットのリストと、貴社が販売した全ての
原材料の照合
・アメリカに出荷された全てのロットに関するバッチレコードのコピー
・2020年6月16日の電話会議中、貴社は、貴社の手の消毒剤が通常の効能より低いことを示す試験
結果を持っていると述べたが、それでも貴社はどっちみちそれらを出荷した。貴社の品質部門の
出荷判定に関する試験の実務や手順を含む完全で包括的で独立したアセスメントを提出せよ。
貴社の製造所で製造されたと申告またはラベル表示された手の消毒剤の有効性の低さは、貴社の
製造所内の品質保証がFD&C Act 501(a)(2)(B)のもとでCGMP要件に従って機能していないことを
示している。
●未承認の新薬と不正商標表示の違反
XXとXXは、病気の診断、治療、緩和、手当、予防を意図していて、かつ/または、体の構造や機能に
影響を与えることを意図しているので“医薬品”にあたる。
ラベル上で指示され、勧められ提案されている状態での使用に関し、XXとXXが安全で効能があると
一般的に認められていない。それ故にこの製品はFD&C Act 201(p)、21 U.S.C.321(p)の意味で新薬
であり、これらの医薬品はFD&C Act 505(a)と301(d)、21 U.S.C 355(a)と331(d)に違反している
未承認新薬である。
XXとXXが含んでいるエタノールは、ラベルに表示されているよりはるかに少ないので不正商標表示
となる。不正商標表示された医薬品の受け渡しや、受け渡しのための州内への配送は、
FD&C Act 301(a)、21 U.S.C.331(a)で禁止されいている。
●CGMPコンサルタントの推奨
我々が貴社で確認した違反の性質に基づき、もし貴社がアメリカ市場向けの医薬品の製造を再開する
つもりなら、我々は、貴社の作業を評価し、貴社がCGMP要件を満たす手伝いをするために
21 CFR 211.34に規定されている適格なコンサルタントを雇うことを強く勧める。また、我々は、
貴社がFDAとコンプライアンス状態を遵守しようとする前に、適格性のあるコンサルタントが、
貴社の全ての作業のCGMP順守について包括的な監査を実施し、貴社の是正処置・予防処置の完了と
効果を評価することを勧める。貴社のコンサルタントの使用は、CGMPを順守するための貴社の義務
を軽減するものではない。貴社の経営陣には、全ての不備とシステムの欠陥を解決し、継続的な
CGMP順守を保証する責任が残る。
●結論
この文書で挙げた違反は、貴社の製造所に存在する違反の包括的なリストではない。貴社には、
これらの違反を調査し、原因を判断し、再発を防止し、その他の違反を防止する責任がある。
製造、加工、包装、保持に用いられる方法と管理はCGMPに従っていないように思われるので、
FDAは2020年7月15日、貴社で製造された全ての医薬品の輸入警告措置66-78をとった。
貴社で製造された全ての医薬品は、貴社が違反の状況を生じさせる状態が解決したことを証明する
証拠があり、当局が今後法令に従うという信頼を持つまで、輸入警告リストに残るだろう。
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まとめ
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いかがでしたでしょうか。
1件目は、OOSや苦情に正しく対処していないこと、FARの提出不履行への指摘でした。
根本原因を特定していない状態で試験エラーを理由に調査を終了し、OOSの結果を無視することは、
製造過程での不具合や、隠れた問題を見落とすおそれがあるので、FDAの指摘はもっともな内容と
いえるでしょう。
2件目は、今の時期ならではの内容で、手の消毒液に含まれるアルコール濃度が表示より低いことに
対する指摘でした。このアルコールの濃度の低さに関するウォーニングレターは、これ以外にも
多数出ており、なかなか興味深いです。
ところで、CDCは手の消毒用にエタノールを60%以上含むものを推奨していたので、気になって
弊社内の消毒剤を確認したところ、エタノールの濃度は58%で、しかも、効能の書かれていない
単なるハンドジェルでした。消毒剤と思って使っていたのですが。。。
新型コロナの感染が広がり続けていますが、新型コロナに負けずに、定期的にメールマガジンを
お届けできるよう頑張ってまいります。引き続きよろしくお願いします。
☆次回は、12/15(火)に配信させていただきます。
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お礼
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インターフェックスジャパンにて弊社ブースにお立ち寄りいただきましたメールマガジンの読者様、
ありがとうございました。心よりお礼申し上げます。
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『ASTROM通信』担当 橋本奈央子