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2019.08.15

20 / 多数 【EU GMP/GDPノンコンプライアンスレポート】ASTROM通信<176号>

 ~安全な医薬品の安定供給をご支援する~

こんにちは
ASTROM通信担当の橋本奈央子です。

お盆休み真っ只中ですが、いかがお過ごしでいらっしゃいますか。

さて、今回は、EUのGMP及びGDPのノンコンプライアンスレポート(Non-Compliance Report)を取り上げたいと
思います。

EUの規制当局がどんな点を指摘しているのか、参考にしてみていただければと思います。


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1.EU GMPノンコンプライアンスレポート  
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EU GMPノンコンプライアンスレポートは、EUの当局による製造所の査察において、EU GMPに不適合と判断される
不備が見つかった場合に発行されるもので、3部構成になっています。
Part1に確認した当局の名前、製造業者の名前、製造所の住所等、Part2にノンコンプライアントな製造オペレー
ション、Part3に不備の内容、EUの対策等が書かれています
査察結果を報告するという点ではウォーニングレターと似ていますが、ウォーニングレターに比べて、指摘の
内容があまり詳しくありません。また、不備を、クリティカル(Critical)、メジャー(Major)、
その他(Others)に分類して、クリティカルとメジャーが何件あったかを明記しているという特徴があります。
Part3の不備の内容をみていきたいと思います。
■Report No.CH19-0209
スイスの当局が2019/3/9にインドの製薬会社を査察し、2019/7/10付で以下のノンコンプライアンスレポートを
発行した。
●ノンコンプライアンスの性質
スイスとEDQM(医薬品の品質の欧州理事会)の査察が、アメリカFDAの査察官と一緒に、並行して実施された。
この査察では10件のメジャーと2件のその他の不備が、品質管理、職員、建物と設備、文書と記録、原材料の
管理、試験室の管理、バリデーションの部分で確認された。ニトロソアミンの汚染のリスクと、回収溶媒及び
回収された中間体が、会社により適切に対処されていなかった。これは、原材料のトレーサビリティを保証する
ことと、汚染のリスクを軽減することに関する重大な不具合により証明された。洗浄バリデーションが不適切で
あることがみつかった。品質管理部分では、装置及び試薬の管理と、データインテグリティにおいて問題がみつ
かった。文書の管理と保管が不適切であることがわかった。
●当局によりとられた/提案された行動
この査察の結果に基づき、CEPの申請が差し止められた。

■Report No.IT/GMP/NCR/1-2019
イタリアの当局が2019/3/22にイタリアの製薬会社を査察し、2019/5/13付で以下のノンコンプライアンスレポ
ートを発行した。
●ノンコンプライアンスの性質
査察中、メジャー19件、その他9件の不備がみつかった。メジャーの不備は、(包括的ではないが)以下の問題に
つながる不十分な品質システムに関するものだった:不十分は逸脱管理と調査、出荷の文書の不足、洗浄バリ
デーションの不足、プロセスバリデーションの不足、分析のレビュと方法のバリデーションの不足、コンピュ
ータシステムバリデーションの不足。
●とられた/提案された行動
・医薬品の製造承認の差し止め
・GMP証明の撤回

■Report No.INS/GMP/2018/111;INS/GMP/2018/112;INS/GMP/2019/063;INS/GMP/2019/064
スペインの当局が2019/3/26に中国の製薬会社を査察し、2019/7/30付で以下のノンコンプライアンスレポート
を発行した。
●ノンコンプライアンスの性質
査察中、クリティカル2件、メジャー5件を含む25件の不備が報告された。クリティカルの不備は、多品種を扱う
施設内での非細胞毒性、細胞毒性、有害性、強力な作用の物質の取扱いの不備によるものだった。これらの施設
内での交叉汚染のリスクは、適切に特定・軽減されていなかった。みつかったメジャーの不備は、洗浄バリデー
ション、精製水のモニタリング、中間体の保持時間のバリデーション、回収溶媒プロセスで確認された。
●とられた/提案された行動
〇販売承認の変更要求
1.この製造業者は、ノンコンプライアンスな状態のもとで、いかなる新しい/継続の販売承認または医薬品の
    有効成分に関する変更申請を許可されるべきではい。
2.当該有効成分の別の製造業者の変更申請の提出が推奨される。
〇出荷されたロットの回収
2016年のノンコンプライアンスな状態の結果として、EU市場での活動は既に差し止められ、重要な有効成分のみ
製造されEUに輸入されているので、この製造所で製造された有効成分の回収は現在のところ推奨されていない。
しかしながら、万が一、暫定手段として推奨された試験の結果として、OOSの結果が得られた場合は、
MAH(医薬品市販承認取得者)からNCA(国の当局)に伝達されなければならない。NCAとMAHの間の評価後、特定の
製品のバッチを回収するかどうかについてNCAにより下される決定は、リスクアセスメント及び製品の重要性に
基づくべきではない。評価は、代替供給者がいるかと、製品の不足の潜在的なリスクがあるかを考慮すべきで
ある。
〇供給禁止
代替供給者がおらず、不足のリスクがあるのでなければ、原薬の供給禁止が推奨される。
〇その他
みつかったものの数と重要性により、以下の追加の手段が推奨される:上記の有効成分と、問題の建物で製造
された有効成分に関し、GMPのノンコンプライアンス状態が公表されるべきである。
全ての細胞毒性/有害性のある製品の製造、上記の建物で製造された細胞毒性/有害性のある製品以外の製品の
製造、新しい建物内での製造は、フォローアップの査察が実行された後も実施されるはずである。問題の製造所
で製造された有効成分の全てのロットについて、不純物、残留溶媒、微生物を含む分析試験をEU及び第三国の
医薬品製造業者に義務付けること。加盟国は、強化された分析試験の結果として集められた情報を受け取り
モニタすべきである。これは、現在市場にあるロットには適用されない。
●追加コメント
販売承認取得者には、ノンコンプライアンス状態の範囲を超えて、上記に挙げられた原薬が重要と考えられるか
どうか、代替供給者がいないかどうか、域内で不足のリスクがあるかどうかを確認するために、国の当局に連絡
をとることが求められる。

■Report No.DEC-NCF19-95c
スペインの当局が2019/6/4にスペインの製薬会社を査察し、2019/7/1付で以下のノンコンプライアンスレポート
を発行した。
●ノンコンプライアンスの性質
a)技術的な監督者がいない、もしくは、ふさわしい技術的な監督者がいない
b)技術的な監督者が病気休暇中、彼女によってサインされたと推察される、署名の偽造された書類がある
c)彼らが実施している医薬品の品質管理の中で発生した逸脱やOOSの結果を記録することをやめてしまったため、
  2019年1月以来、品質保証システムが停止している
d)品質管理の試験室で彼らが行っている手順は、医薬品の分析においてGMPの遵守を確実にするのに十分では
  ない
●当局によりとられた/提案された行動
〇販売承認の差し止め
販売承認が一時的に差し止められた。全ての医薬品に品質管理活動の停止を命じる。
〇GMP証明の取り消し
GMP証明が取り消される。

■Report No.PE010-2625
スペインの当局が2019/6/27にスペインの製薬会社を査察し、2019/8/7付で以下のノンコンプライアンスレポ
ートを発行した。
●ノンコンプライアンスの性質
2019年6月に実施された査察中にEU-GMPの遵守が欠けていることがわかった。31件の不備がみつかった。それら
のうちの3件はクリティカル、20件はメジャーと特定された。3件のクリティカルな不備は
以下の通りである。
1.この会社は、2016年6月4日にノンコンプライアンスと証明された製造所により製造されたイベルメクチン
    を2バッチ、2019年に受け取った。このノンコンプライアンスの証明は、この製造所で製造された全ての
    原薬を含む。しかし、この原薬は、当局により重要とみなされ、全てのロットに対してヨーロッパの薬局方
  の要求に基づいた試験が実施されれば輸入が許可された。この点で、この要求は満たされていなかった。
2.高度な薬理作用または毒性を持つ原薬の製造(再包装)の活動に関し、彼らは、この活動に関し、不完全な
  文書を作成した。(洗浄バリデーションは完了されていなかった。ワーストケースの基準の原薬の選択が
  容認できるものとみなされなかった。残留物の限界の計算に使用される基準が容認できるものとみなされな
  かった)
3.品質システムは、適切で効果的とみなされない。埋め込まれたシステムは、リスクを防ぐための適切な手段
  の適用をするためのリスクの特定ができない。更に、品質システムの管理の積極的な参加がない。更に、
  査察官は、品質システムと品質管理活動に関するメジャーな不備を発見した。発見されたクリティカルと
  メジャーな不備の重大性と、EU GMPのノンコンプライアンスのレベルは、査察官チームが、公衆衛生の
  潜在的なリスクを取り除くために、暫定的な管理手法がとられることを勧めるほどである。さらに会社は、
  異なる原薬同士の取り違え/ラベルの貼り間違えが起きないことを保証することができない。
●当局によりとられた/提案された行動
〇出荷済ロットの回収
〇供給の禁止
供給の禁止に加え、原薬の受け取り、再包装、出荷に関する製造所の活動が差し止められた。
〇販売承認の差し止め
販売承認が一時的に差し止められた。全ての医薬品に品質管理活動の停止を命じる。
〇GMP証明の取り消し
GMP証明が取り消される。

出典:
 http://eudragmdp.ema.europa.eu/inspections/gmpc/searchGMPNonCompliance.do


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EU GDPノンコンプライアンスレポート 
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EU GDPノンコンプライアンスレポートは、EUの当局による卸売販売業者の査察において、EU GDPに不適合と判断
される不備がみつかった場合に発行されるもので、3部構成になっています。
Part1に確認した当局の名前、卸売販売業者の名前、卸売販売業者の住所等、Part2にノンコンプライアントな
作業、Part3に不備の内容、当局の対策等が書かれています。
Part3の不備の内容をみていきたいと思います。
■Report No.UK WDA(H)18799 Insp GDP 18799/303632-0035 NCR
イギリスの当局が2019/5/21にイギリスの卸売販売業者を査察し、2019/6/27付で以下のノンコンプライアンス
レポートを発行した。
●1.ノンコンプライアンスの性質
会社のシステムは、適法なサプライチェインに偽造医薬品が再び入ってくることを検知または防止することを
せず、偽造医薬品を保持しているのがみつかった。
●2.当局によりとられた/提案されたアクション
卸売販売業許可ライセンスの即時停止が2019年6月20日に実施された。

■Report No.UK WDA(H)39307 Insp GDP 39307/303632-0036 NCR
イギリスの当局が2019/5/21にイギリスの卸売販売業者を査察し、2019/6/27付で以下のノンコンプライアンス
レポートを発行した。
●1.ノンコンプライアンスの性質
会社のシステムは、適法なサプライチェインに偽造医薬品が再び入ってくることを検知または防止することを
せず、偽造医薬品を保持しているのがみつかった。
●2.当局によりとられた/提案されたアクション
製品並行輸入許可品に関し、EEA(European Economic Area:欧州経済領域)の加盟国からイギリスへの医薬品の
調達を2019年9月19日まで部分的に停止

■Report No.NC-NVN/01/2019
キプロスの当局が2019/1/31にキプロスの卸売販売業者を査察し、2019/7/2付で以下のノンコンプライアンス
レポートを発行した。
●1.ノンコンプライアンスの性質
a.卸売販売業者は、卸売販売業の許可、または、製造承認の持っていない人物から医薬品の供給を受けていた。
b.卸売販売業者は、供給者の適性、能力、信頼性を評価するための適性評価を実施しなかった。
c.責任のある職員が職務を適切に遂行していなかった。
●2.当局によりとられた/提案された行動
法律およびGDPガイドラインの重大な違反により3ヶ月間、2015/2/17に発行された卸売販売業の許可が差し止め
られた。

■Report No.7/2/2019/I/DGMUH
ポルトガルの当局が2019/3/7にポルトガルの卸売販売業者を査察し、2019/7/3付で以下のノンコンプライアンス
レポートを発行した。
●1.ノンコンプライアンスの性質
卸売販売業者は、いくつかの点でGDPの原則に従っていない。クリティカルな指摘事項5件は、品質システムに
関するものである。すなわち:満足できる適格性評価のない状態での輸送に関する契約業者の使用、不十分な
温度と環境の管理、記録に関する問題、品質システムの管理、レビュとモニタリングである。
それ以外に、複数のGDPの内容に及ぶ15件のメジャーと、その他の5件の不備が査察中にみつかった。
●2.当局によりとられた/提案されたアクション
卸売販売業の許可の差し止め
●追加コメント
現時点で、追加の方策が必要と考えない。(この卸売販売業者により販売された医薬品の回収は不要)

■Report No.DE GAALG 41403/053
ドイツの当局が2019/6/27にドイツの卸売販売業者を査察し、2019/7/5付で以下のノンコンプライアンスレポー
トを発行した。
●1.ノンコンプライアンスの性質
GDP要件へのクリティカルな違反:
a.品質システムは、配送される製品がその品質を維持し、保管中及び輸送中に適法なサプライチェインの中に
 とどまっていることを保証しなかった。
b.責任のある職員が職務を適切に遂行していなかった。
c.供給者及び顧客の適格性評価が部分的に不十分だった。
●2.当局によりとられた/提案されたアクション
卸売販売業の許可の停止が2019年6月27日に実施された。
●追加コメント
イラン・イスラム共和国のみに販売

■Report No.sukls132322/2019
チェコ共和国の当局が2019/7/15にチェコ共和国の卸売販売業者を査察し、2019/7/24付で以下のノンコンプライ
アンスレポートを発行した。
●1.ノンコンプライアンスの性質
会社は活動の許可に関する条件において重大な違反をし、医薬品の法令の76項にある義務を果たしていない。
●当局によりとられた/提案されたアクション
2018/9/21付で卸売販売免許の差し止め
●追加コメント
販売活動は実施されていなかった。会社が適格性のある職員の業務を保証せず、倉庫が利用できなかったこと
から、卸売販売業のライセンスは停止された。

出典:
http://eudragmdp.ema.europa.eu/inspections/view/gdp/viewGDPCertificate.xhtml


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まとめ
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いかがでしたでしょうか。

EUのノンコンプライアンスレポートは、FDAのウォーニングレターに比べて詳細が書かれていないのでわかりづ
らい部分はあるのですが、おおよその指摘内容を知ることができるため、是非、参考にしていただければと思い
ます。

ところで、イギリスがEUを離脱した後、イギリス当局の査察情報が共有されなくなってしまう点や、受入試験の
条件の変更が気になるところです。

このノンコンプライアンスレポートとは関係ないのですが、2019年6月27日に
MHRA(Medicines and Healthcare products Regulatory Agency:英国医薬品庁)が発表した情報によると、
イタリアからイギリスに医薬品が輸入される際、その一部が配送中に規定された医薬品のサプライチェインから
持ち出され、後でラベルが貼り直されたうえで流通に戻るというGDP関連の問題が発生し、医薬品に異物が混入
したか、また、これらの医薬品が安定した室温の状態に置かれていたかを証明するエビデンスがないために回収
が発生したそうです。
今後、ますますGDPの強化が求められるのではないでしょうか。

☆次回は、9/1(日)に配信させていただきます。


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【発行責任者】
株式会社プロス
ASTROM通信』担当 橋本奈央子

2019.08.01

【EU-米国MRAの話題&最近のウォーニングレター】ASTROM通信<175号>

 ~安全な医薬品の安定供給をご支援する~

こんにちは
ASTROM通信担当の橋本奈央子です。

ついに梅雨が明け、猛烈な暑さになってきましたがいかがお過ごしでいらっしゃいますか。

さて今回は、以下の2つのテーマについて取り上げたいと思います
1.EU-米国 ヒト用医薬品製造所査察のMRA完全施行について
2.FDA(米国食品医薬品局)の製造品質局から製薬会社向けに出た最近のウォーニングレター(2件)
是非、皆様の業務の参考にして頂ければと思います。


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1.EU-米国 ヒト用医薬品製造所査察のMRA完全施行について
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2019年7月12日付のEMAの報道発表(EMA/392883/2019)によると、EUと米国が数年前から準備
を進めてきた査察情報の共有が完全に開始されたようです。
以下に、報道発表内容をまとめました。

スロバキアのFDA(米国食品医薬品局)の認証により、EU(欧州連合)と米国は、それぞれのテリトリー
のヒト用医薬品の製造所の査察について、相互認証協定(MRA)を完全に施行しました。
EMA事務局長のGuido Rasiは“私たちは、大西洋の両側の当局がお互いの査察結果を頼りにすること
が出来ることを意味するこの協定の実施を歓迎します。このマイルストーンは 米国との戦略的な
パートナシップの重要性の証明です。このことは、我々の査察の処理能力を最大限に利用すること
を支え、患者は、それらがどこで製造されたとしても、全ての薬の品質、安全性、効果を信頼する
ことができます。”と述べました。
毎年、EU各国の当局とFDAは、EU、米国及び世界中の医薬品の製造所がGMPに従って稼働していること
を保証するために、これらの製造所を査察しています。MRAのもとで、EUと米国の取締官は、それぞれ
のテリトリー内のヒト用医薬品に関するお互いの査察を信頼し、今後、重複した仕事を防げるで
しょう。MRAの結果、EUと米国は、他の国の製造所の査察をするためにリソースを使うことができるで
しょう。
MRAは、大西洋の両側にあるEUとUSがヒト用医薬品に関するGMP査察を実行するために同等な手順を
持っているというしっかりしたエビデンスにより支えられています。2014年5月以来、欧州委員会(EC)、
EU各国の当局、欧州医薬品庁(EMA)、FDAからなるチームは、それぞれの監督システムを監査し評価し
てきました。スロバキアの肯定的な評価により、ヒト用医薬品を取り扱うGMP査察当局はこの作業を
完了しました。
今後、ロット試験の免除の適用も開始するでしょう。これは、EUの製薬会社のクオリファイドパーソン
は、米国で管理が既に実施されている場合、米国で製造され、米国から輸入された製品に関する品質
管理はもはや実行しないということを意味しています。
MRAの実施検討は、動物用医薬品、ヒト用ワクチン、血漿由来の医薬品に運用範囲を拡大することを
目的として続くでしょう。

<MRA協定への背景>
1998年、EUと米国は広範囲のMRAに署名しました。それは、お互いのGMP査察の限定された依存が期待
される、医薬品に関する付属文書を含んでいました。しかし、この協定は決して完全に実施されません
でした。EUとFDAは、2014年に会話を始め、2017年の付属文書の改訂につながりました。
2017年11月1日、それぞれのテリトリーで実施されるヒト用医薬品の製造所の査察を認証するための
EU-FDA間の協定の施行の開始を示しました。この協定は、お互いの査察の専門知識とリソースの信頼
を強化します。協定は最初、FDAとFDAが評価したEU加盟国の間で適用されました。これは徐々に全ての
EU加盟国に広げられ、同様に、EUは米国内で評価し、2017年6月1日にFDAはEUと同等のレベルでヒト用
医薬品のGMP査察を実施するための能力、処理能力、手順を持っているという結論を下しました。
EUでは、製造所の査察は、EU加盟国の当局により実施されます。EMAは、特に承認された製品を中心に、
EU加盟国と連携してこれらの活動を調整する重要な役目を果たします。

出典:https://www.ema.europa.eu/en/documents/press-release/eu-us-reach-milestone-mutual-recognition-inspections-medicines-manufacturers_en.pdf


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2.最近のウォーニングレターの概要  
注:文中のXXはウォーニングレターでマスキングされている文言です。
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■WL:320-19-26 インドの製造所の査察(2019/1/28~2019/2/1)でみつかった医薬品製造における
重大なCGMP違反等に関し、2019/6/13付ウォーニングレターに下記の指摘事項があげられています。
1.貴社は、同一性及び純度、含量、品質に関する文書化された規格に一致するかについて、各成分
  のサンプルの試験をすることを怠った。また、貴社は、適切な間隔で、成分の供給者の分析試験
  の信頼性をバリデートして確認することを怠った。
貴社は、バルクのホメオパシー薬品XXの成分、容器、蓋を外部の供給者から購入したが、これらの
入荷した原材料の同一性や、その他の品質特性について試験をせず、分析証明書(COA)の正確さを
確認していなかった。
貴社は、ホメオパシー薬品XXの成分を受入れているが、もし、それが不適切な濃度であれば有毒に
なり、特にXXはよく研究された高度の毒性を持ち、殺鼠剤として使われる。貴社は、貴社の供給者の
適格性評価の手順によってホメオパシー薬品XXの供給者の信頼性を確認することを怠った。貴社は、
医薬品の製造のためにこれらの有害な原材料のホメオパシー薬品XXを、COAもなく、成分が有害な濃度
であるXXのレベルを含んでいないことを保証するための試験もせず、利用した。
貴社は回答で試験のための原材料のサンプルの収集を含む改訂された手順を提供し、原材料の受入れ、
保管、ラベリングと原材料の包装に関する新しい手順を作ったが、使用期限内で、市場にある製品に
ついて、成分試験の不足の影響に対処していないので、貴社の回答は不十分である。
また、貴社は、ホメオパシーの原薬のバルクと医薬品XXを外部の供給者から購入するのを中止する
計画をしていて、代わりにホメオパシーの出発原料を使って自分で製造するつもりであると述べた。
しかし、貴社はホメオパシーの原薬、医薬品XXの製造工程、バリデーションプランの詳細を提出しな
かった。
注意喚起として、貴社の原薬製造工程もまた、21 U.S.C.351(a)(2)(B)に従わなければならないし
Q7原薬GMPのガイドラインを参照することが期待される。
この文書への回答の中で以下の情報を提供せよ。
・各成分、容器、蓋が、同一性、純度、含量、品質に関する文書化された規格に一致することを試験
 するために貴社がいかに計画しているかの詳細の説明
 もし貴社が成分の試験をする代わりに供給者のCOAを受け取るのであれば、貴社が定期的なバリデー
 ションを通じて、供給者の試験結果の信頼性確認するために貴社がいかに計画しているかの詳細を
 述べよ。
・不適切に試験され管理された成分から製造され、使用期限内にあり、アメリカ国内にある全ての製品
 のリスクアセスメント
 医薬品が、その毒性の効果により患者がさらされるリスクを増すかもしれない有効成分のレベルを
 含んでいないことを保証するために貴社の保管サンプルを試験するための計画を含めよ。
・もし、貴社が自身で原薬を製造することを計画するなら、貴社が原薬をいかに製造し試験するかの
 包括的なプラン
・貴社のさまざまな製品に使用される工程のプロセスバリデーションの記述
 採用する工程内試験と管理の詳細を含めよ。
2.貴社は、製造された医薬品の各ロットの製造及び管理に関する完全な情報を含んだロット製造指図
  記録を作成することを怠った。
貴社のロットの記録は、これに限定されないが次のことの詳細が不足している:ラインクリアランスの
情報、製造に使用される主要な装置とラインの同一性、使用された成分のロット固有の情報、使用され
た成分の重さと測定値、工程試験の結果、生産量の記述、ラベルの管理記録、最終容器の密閉、実施
されたサンプリング、各重要工程を実施識別かつ/または各工程を直接監督した職員の識別、ロットに
関する全ての調査、待機時間または装置の管理設定の限度。
さらに、XX件を超える貴社のホメオパシー医薬品は、単一の製造指図記録書原本を共同で使用している。
単一の製造指図記録書は、ホメオパシー医薬品を製造するために使用される成分の重さや測定値に関す
る予め決められた記述もなく、大きな自由形式の空欄を持っていた
不完全な記録を持つことは、調査の目的で必要な活動のトレーサビリティを貴社から奪うことになる。
さらに、製造の特別な指示・情報・計算もなく製造指図記録を持つことは、医薬品製造において取り
違えや間違いにつながりかねない。
貴社は回答の中で、製造記録の改訂手順を提出した。しかし、新しい製造記録もまだ装置の設定限度、
生産量、成分の規格、ラベルの規格を含む詳細を含んでいないので、貴社の回答は不十分である。また、
貴社の回答からは、貴社が全製品に関する製造指図記録の原本を、製品固有のものにするつもりかどう
かがわからない。
この文書への回答の中で、貴社の全ての製品の製造工程の包括的なレビュを実施し、各医薬品の全ての
重要な製造工程を記録し、取り違えや間違えを防ぐためのバリデートされた計算式を含んだ詳細な製造
指図書原本を制定せよ。
3.貴社の品質管理部門は、製造された医薬品がCGMPに従い、制定された同一性、含量、品質、純度に
  関する規格を満たすことを保証する責任を果たすことを怠った。
貴社の品質部門は、貴社の製造工程の適切な管理を怠った。貴社の品質保証手順QA-004-00は、品質部門
の体制、機能、責任について定義・記述していない。
さらに、貴社の製造作業者達は、品質部門に所属していた。貴社のホメオパシー医薬品を製造する製造
作業者達が成分のレビュと使用許可を行っている。CGMPに従った品質システムのもとで、製造部門と
品質部門は独立していることが期待される。
貴社の品質部門は、ラベルの使用許可、ラベルへのアクセスの管理、供給者の適格性評価も怠った。
貴社はXXを超える異なるホメオパシー医薬品を製造しているので、適切はラベルの管理は、取り違えを
防ぐために重要である。
貴社はまた、これに限定されないが、次のことを含む多数の重要な品質と製造の作業に関する手順の
制定を怠った。
・医薬品の成分の受入れ
・入荷した原材料のサンプリングとリリース
・規格外試験(OOS)結果の調査と不合格判定
・プロセスバリデーションと洗浄バリデーション
・ロットの製造指図記録
・年次製品照査
・装置の適格性評価
貴社は回答の中で、上で言及した作業に関する新しい文書化された手順を提出した。貴社は、独立した
品質部門と手順の不足が使用期限内にある販売された医薬品へ与えうる影響について評価しなかった
ので貴社の回答は不十分である。
この文書への回答の中で
・貴社の品質部門が効果的に独立して機能するための権限とリソースを与えられていることを保証する
 ために是正処置・予防処置(CAPA)を含む包括的なアセスメントを提供せよ。アセスメントには、
 これに限定されないが以下の情報を含めるべきである。
 ○貴社で使用されている手順が安定していて適切であるかどうかの判断
 ○適切な手順の遵守を評価するために、貴社の作業全体を監督する品質部門の規定
 ○品質部門の判定の前の、各ロットとそれにかかわる情報の完全で最終のレビュ
 ○調査の監督と承認 及び 全ての製品の同一性、含量、品質、純度を保証するための、品質部門の
  その他の職務の解放
・適切な品質部門の監督なしに製造され市場に出荷された使用期限内にある貴社製品のロットのリスク
 アセスメントを実施せよ。
・新しい手順の遵守の測定基準を含む、新しい手順の実施に関するタイムライン
CGMPの規制21 CFR 210,211の要求を満たすための品質システムとリスクマネジメントのアプローチを
実施する助けとして、FDAのガイダンス“Quality Systems Approach to Pharmaceutical CGMP Regulations”
を参照せよ。
●CGMPコンサルタントの推奨
我々は、我々が貴社で確認した違反の性質に基づき、もし貴社がアメリカ市場向けの医薬品の製造を
再開するつもりなら、貴社がCGMP要件を満たす手伝いをするために21 CFR 211.34章に示す適格なコン
サルタントを雇うことを強く勧める。また我々は、貴社がFDAの求める状態を遵守しようとする前に、
適格なコンサルタントが、貴社の全ての作業のCGMP順守について包括的な監査を実施し、貴社が実施
してきた全ての是正処置・予防処置の完了と効果を評価することを勧める。
貴社のコンサルタントの使用は、CGMPを順守するための貴社の義務を軽減するものではない。貴社の
経営陣には、全ての不備を解決し、継続的なCGMP順守を保証する責任が残る。
●結論
この文書で挙げた違反は、包括的なリストではない。貴社には、貴社の全ての製造所において、これら
の違反を調査し、原因を判断し、再発を防止し、その他の違反を防止する責任がある。
FDAは2019年5月22日、貴社に輸入警告措置66-40をとった。
貴社が全ての違反を完全に解決し、我々がCGMPの遵守を確認するまで、FDAは、貴社の医薬品製造業者
としてのいかなる新しい申請やリストの補完の承認を保留とする。
出典:https://www.fda.gov/inspections-compliance-enforcement-and-criminal-investigations/warning-letters/rxhomeo-private-limited-575889-06132019

■WL:320-19-27 インドの製造所の査察(2019/2/4~2019/2/9)でみつかった原薬製造における重大な
CGMP違反等に関し、2019/6/20付ウォーニングレターに下記の指摘事項があげられています。
●CGMPの逸脱
1.特定の不具合または逸脱に関連した可能性のある他のロットへの調査拡大の不履行
貴社の原薬XXとXXの中のXXのような不純物XXの根本原因の調査が不完全だった。貴社の初期のアセス
メントでは、原薬XXの製造に関する合成過程はXXやXXのような不純物XXを生成する可能性はなかった
と判断した。このアセスメントは、重要出発原料、その他の原材料、溶媒について、XXとXXが存在
する結果になった可能性の評価を含んでいなかった。
貴社は、医薬品品質の欧州総局(EDQM)から、試験結果は貴社の原薬XXがXXを含むことを示している
と知らされた後に、原薬XXのロット以外も試験をして、XXのロットは、許容限度を超えたレベルで
およそXX%の汚染物質XXを含んでいると判断し、その後、これらのロットを回収した。
2019年1月29日付の貴社のリスクアセスメントは、原薬XXの中の汚染物質XXは溶媒XXとXXの回収から
生じたと記録していた。貴社は、回収されたXXは、貴社の委託製造業者XXで回収されたXXから生じた
と報告した。貴社の調査は、汚染物質XXは、XXにより供給された回収品XXの使用によると結論づけた。
貴社は、汚染物質XXは、XXの不十分な洗浄手順のせいにした。
貴社は回答の中で、今後XXを製造するのに回収された溶媒は使用しないつもりであると述べたが貴社
の回答は不十分である。貴社は、FDAの査察の開始時に、XXの製造に、回収された溶媒XXの供給者と
してXXを使っていなかったとはいえ、医薬品の品質に影響を与える役割を果たしている全ての委託
業者の作業の適切な品質管理を保証するための是正処置を割り出していなかった。
我々は、貴社が追加の工程管理を開始したことと、貴社が現在、ロットのリリース基準として、XXを
含むXXに関する原薬XXの製造された全てのロットを試験していることを知っている。
この文書への回答の中で、
・改訂されたいかなる適格性評価の手順を含む、医薬品の品質に影響を与えうる役割を果たしている
 委託
 製造業者の作業の適切な品質管理を保証するための是正処置の割り出しを実施せよ。
・貴社の製造所で製造された全ての原薬の不純物XX及び他の潜在的な不純物XXの存在に取り組む
 ために開始された調査及び是正処置・予防処置(CAPA)の計画の最新情報を提出せよ。
・不純物XX及び他の潜在的な不純物XXの存在に関する全てのXXと中間体の試験結果を提出せよ。
・クロマトグラムにおける不純物XXに関するロットXXの回顧的レビュを実施せよ。
 不純物XXに関する適切にバリデートされた方法を使ったクロマトグラムの未知のピークを特定
 するための是正処置を提出せよ。
・変異原性不純物の存在の可能性に関し、貴社の製造所で製造された全ての原薬及び中間体のリスク
 アセスメントを提出せよ。
 潜在的な変異原性不純物の管理に関するFDAの現在の考えについて、FDAのガイダンスを見よ。
2.原薬に接触する装置表面が、公式の規格または制定された規格を越えて原薬の品質を変えない
  ことを保証することの不履行
不十分な装置のメンテナンスに関する調査が不十分である。我々査察官は、原薬XXの製造に使用され
るSRJ014 XXのXX%以上がさびているように見えることを発見した。貴社は、この発見に関する調査を、
同様に適切にメンテナンスされていない可能性のある他の医薬品製造装置まで十分に拡大しなかった。
回答の中で、貴社は洗浄後、XXの内部の表面の乾燥度をチェックしていなかったこと、そのため、
水分がXXに残り、変色の原因となったことを認めた。貴社は、しみはXX内部の鉄のさびの形成による
ものであると判断した。貴社は回答の中でSRJ014 XXをさびの形成の影響を受けにくいXXに交換する
つもりであると説明した。しかし、貴社は、医薬品を製造するために使用されるその他の装置も適切
な材料で作られた接触表面を持つことを確実にするための是正処置の割り出しを行わなかったので、
回答は不十分である。
この文書への回答の中で、
・アメリカ向けの医薬品の製造に使用される可能性のある全ての装置のメンテナンスの状態に関する
 包括的なアセスメントを提出せよ。
・装置の表面が貴社の医薬品に対して反応性が高い/付加的であるかどうか、また、接触表面が使用
 目的に適しているかどうかを判断するために、全ての装置の表面の完全なレビュを含むCAPAの計画
 を提出せよ。
・もし原材料、中間体、もしくは原薬の接触表面に不備があった場合、ロットに与える可能性のある
 影響を含むリスクアセスメントと、再発を防ぐためにとるアクションの情報を提出せよ。
●補完のために提出された要求および承認されたXXへの変更の遵守の不履行
1.承認されたXXに対する補完の実施中、FDAに方法や管理の変更が報告されなかった。
査察官は、原薬XXのロットの残留溶媒のテストの中で貴社の原薬XXの中に、それぞれ、XX%とXX%に
達するレベルのXXとXXの非発がん性の不純物を発見した。これらの不純物は、その他の個々の不純物
に関するアメリカ薬局方の規格の限度XX(即ち、NMT XX%)を超えてレベルで製剤原料に存在している。
また、これらの不純物は、ICH Q3A(R2)で公表されている製剤原料の不純物の閾値を超えている。
貴社の品質部門は、XX%未満という貴社の内部の閾値も超えたこれらの不純物をFDAに報告することを
怠った。貴社は、FDAの査察官が査察中に閾値を超えて発見された全ての不純物は報告されるべきで
あると伝えた後にドラッグマスタファイル(DMF)の情報を更新した、
貴社は回答の中で、“計画された規制の改訂で我々(FDA)の指摘を抜かした”と説明した。さらに、
貴社は残留溶媒の管理のために追加のCAPAを始めるつもりであると述べた。貴社は、閾値を越えた
原薬でみつかった全ての不純物の完全なレビュを実施することと、それに応じて貴社のDMFとXXが
改訂されていることを保証することを怠ったので、貴社の回答は不適当である。
XXとXXの申請者として、貴社は、補完XXと承認されたXXの変更の提出に関し、314.708(c)(6)(i)の
要件に従わなければならない。当局は、その提出の目的のために変更のカテゴリを指定するかも
しれないが、そのようなカテゴリの変更の場合、承認されたXXの所有者は、当局が変更の補完を受け
取り次第、医薬品の販売を開始することができる。これらの変更には、これに限定されないが、
医薬品の成分または医薬品が、同一性、含量、品質、純度、それが持つとされる効能を持っている
という更なる保証を提出するための方法や管理に対する規格の追加または変更を含む。
原薬XX、DMF XXのDMF所有者として、我々は、貴社のDMFへのいかなる追加、削除、変更も、
21CFR314.420に基づき、FDAに提出することが求められていることを申し上げたい。更に、貴社は、
貴社のDMFの中の関連のある変更の情報を参照する権限を与えられた各職員を通知することが求めら
れている。
この文書への回答の中で、
・未知の不純物が閾値を超えたことを示しているA製造所で製造された原薬の全てのロットの徹底的
 なレビュを実施せよ。
 ICH Q3A(R2)の閾値を超えるレベルで存在している不純物を確認し、貴社のDMFとXXを要求されて
 いる通りに改訂せよ。
 いかなるDMFの改訂も、DMFに関する権限を持った全ての職員に通知されなければならない。これらの
 通知はFDAに提出せよ。
・未知のピーク、逸脱、食い違い、規格外試験(OOS)の結果、苦情、その他の不具合に関する貴社の
 全体的なシステムの徹底的で独立したアセスメントを提出せよ。さらに、貴社が制定した規格、
 公的な医薬品集、または、適切な製造の標準に従っていないロットを貴社が出荷したかどうかを
 判断するために使用期限内にある販売されたすべてのロットの回顧的レビュを提出せよ。
●追加の原薬CGMPガイダンス
FDAは、原薬がCGMPに従って製造されているかを判断する時にICH Q7で概説されている期待を考慮
する。原薬の製造のためのCGMP関連のガイダンスとして、FDAのガイダンス
”Q7 Good Manufacturing Practice Guidance for Active Pharmaceutical Ingredients”
を見よ。
●CGMPコンサルタントの推奨
我々は、貴社がCGMP要件を満たすことを手伝うためにコンサルタントを雇ったことを知っている。
我々は、我々が貴社で確認した違反の性質に基づき、貴社の作業を評価するために、適格性のある
コンサルタントを雇うことを強く勧める。貴社のコンサルタントの使用は、CGMPを順守するための
貴社の義務を軽減するものではない。貴社の経営陣には、継続的なCGMP順守を保証するために、全て
の不備とシステムの欠陥を完全に解決し、責任が残る。
●複数製造所での繰り返しの所見と規制会議
FDAは同様のCGMPの所見を貴社の組織内の他の製造所でも挙げている。A製造所のUnitIとUnitIXも
査察され、原薬XXと中間体の製造に関するCGMPの不備について指摘された。これらの製造所も、CGMP
のコンプライアンス状態は受け入れられないと考えられている。これらの複数製造所での繰り返され
る不備は、医薬品製造における経営陣の監督と管理が不十分であることを示している。A製造所の
CGMPのコンプライアンスを議論するための規制会議を計画するために5営業日以内に連絡せよ。
●結論
この文書で挙げた違反は、包括的なリストではない。貴社には、貴社の全ての製造所において、
これらの違反を調査し、原因を判断し、再発を防止し、その他の違反を防止する責任がある。
貴社が全ての違反を完全に解決し、我々がCGMPの遵守を確認するまで、FDAは、貴社の医薬品製造
業者としてのいかなる新しい申請やリストの補完の承認を保留とする。
出典:https://www.fda.gov/inspections-compliance-enforcement-and-criminal-investigations/warning-letters/aurobindo-pharma-limited-577033-06202019


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まとめ
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いかがでしたでしょうか。

1.EU-米国 ヒト用医薬品製造所査察のMRA完全施行について
・EUも米国も査察のリソースを有効に使うことができるようになったということは、問題のない
 製造所は何度も査察を受けなくて済むようになる反面、問題のある製造所は、今後頻繁に査察を
 受けなければならなくなるということでしょう。
・今後開始されるという、ロット試験免除の適用の話題は興味深いです。
 しっかり管理されていれば、米国で製造された製品を輸入したEUの製薬会社のクオリファイド
 パーソンは、本当に試験を実施しなくてよくなるのでしょうか。輸送中のリスクはどう評価する
 のか気になるところです。

2.ウォーニングレターについて
1件目の、ロットの製造指図記録に関する話題が気になりました。
今回の指摘は、複数製品について、単一の製造指図記録書を使用し、製品毎に異なる管理項目に
ついて項目別の記述欄を作らず大きな空欄を設けていたという極端な話なのですが、FDAとしては
ミスを防ぐためには製品別に製造指図記録原本を作成することを期待しているようにもとれます。
汎用的なレイアウトを使って製品別に使用項目を使い分けている場合、ミスなく使い分けができる
ことを証明できるようにしておく必要が出てくるかもしれません。

☆次回は、8/15(木)に配信させていただきます。


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