ASTROM通信バックナンバー
月別アーカイブ
2019.08.15
20 / 多数 【EU GMP/GDPノンコンプライアンスレポート】ASTROM通信<176号>
~安全な医薬品の安定供給をご支援する~
こんにちは
ASTROM通信担当の橋本奈央子です。
お盆休み真っ只中ですが、いかがお過ごしでいらっしゃいますか。
さて、今回は、EUのGMP及びGDPのノンコンプライアンスレ
思います。
EUの規制当局がどんな点を指摘しているのか、参考にしてみてい
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
1.EU GMPノンコンプライアンスレポート
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
EU GMPノンコンプライアンスレポートは、EUの当局による製造所
不備が見つかった場合に発行されるもので、3部構成になっていま
Part1に確認した当局の名前、製造業者の名前、製造所の住所
ション、Part3に不備の内容、EUの対策等が書かれています
査察結果を報告するという点ではウォーニングレターと似ています
内容があまり詳しくありません。また、不備を、クリティカル(C
その他(Others)に分類して、クリティカルとメジャーが何
Part3の不備の内容をみていきたいと思います。
■Report No.CH19-0209
スイスの当局が2019/3/9にインドの製薬会社を査察し、2
発行した。
●ノンコンプライアンスの性質
スイスとEDQM(医薬品の品質の欧州理事会)の査察が、アメリ
この査察では10件のメジャーと2件のその他の不備が、品質管理
管理、試験室の管理、バリデーションの部分で確認された。ニトロ
回収された中間体が、会社により適切に対処されていなかった。こ
ことと、汚染のリスクを軽減することに関する重大な不具合により
あることがみつかった。品質管理部分では、装置及び試薬の管理と
かった。文書の管理と保管が不適切であることがわかった。
●当局によりとられた/提案された行動
この査察の結果に基づき、CEPの申請が差し止められた。
■Report No.IT/GMP/NCR/1-2019
イタリアの当局が2019/3/22にイタリアの製薬会社を査察
ートを発行した。
●ノンコンプライアンスの性質
査察中、メジャー19件、その他9件の不備がみつかった。メジャ
つながる不十分な品質システムに関するものだった:不十分は逸脱
デーションの不足、プロセスバリデーションの不足、分析のレビュ
ータシステムバリデーションの不足。
●とられた/提案された行動
・医薬品の製造承認の差し止め
・GMP証明の撤回
■Report No.INS/GMP/2018/111;INS/GMP/20
スペインの当局が2019/3/26に中国の製薬会社を査察し、
を発行した。
●ノンコンプライアンスの性質
査察中、クリティカル2件、メジャー5件を含む25件の不備が報
施設内での非細胞毒性、細胞毒性、有害性、強力な作用の物質の取
内での交叉汚染のリスクは、適切に特定・軽減されていなかった。
ション、精製水のモニタリング、中間体の保持時間のバリデーショ
●とられた/提案された行動
〇販売承認の変更要求
1.この製造業者は、ノンコンプライアンスな状態のもとで、いか
有効成分に関する変更申請を許可されるべきではい。
2.当該有効成分の別の製造業者の変更申請の提出が推奨される。
〇出荷されたロットの回収
2016年のノンコンプライアンスな状態の結果として、EU市場
製造されEUに輸入されているので、この製造所で製造された有効
しかしながら、万が一、暫定手段として推奨された試験の結果とし
MAH(医薬品市販承認取得者)からNCA(国の当局)に伝達さ
製品のバッチを回収するかどうかについてNCAにより下される決
基づくべきではない。評価は、代替供給者がいるかと、製品の不足
ある。
〇供給禁止
代替供給者がおらず、不足のリスクがあるのでなければ、原薬の供
〇その他
みつかったものの数と重要性により、以下の追加の手段が推奨され
された有効成分に関し、GMPのノンコンプライアンス状態が公表
全ての細胞毒性/有害性のある製品の製造、上記の建物で製造され
製造、新しい建物内での製造は、フォローアップの査察が実行され
で製造された有効成分の全てのロットについて、不純物、残留溶媒
医薬品製造業者に義務付けること。加盟国は、強化された分析試験
モニタすべきである。これは、現在市場にあるロットには適用され
●追加コメント
販売承認取得者には、ノンコンプライアンス状態の範囲を超えて、
どうか、代替供給者がいないかどうか、域内で不足のリスクがある
をとることが求められる。
■Report No.DEC-NCF19-95c
スペインの当局が2019/6/4にスペインの製薬会社を査察し
を発行した。
●ノンコンプライアンスの性質
a)技術的な監督者がいない、もしくは、ふさわしい技術的な監督
b)技術的な監督者が病気休暇中、彼女によってサインされたと推
c)彼らが実施している医薬品の品質管理の中で発生した逸脱やO
2019年1月以来、品質保証システムが停止している
d)品質管理の試験室で彼らが行っている手順は、医薬品の分析に
ない
●当局によりとられた/提案された行動
〇販売承認の差し止め
販売承認が一時的に差し止められた。全ての医薬品に品質管理活動
〇GMP証明の取り消し
GMP証明が取り消される。
■Report No.PE010-2625
スペインの当局が2019/6/27にスペインの製薬会社を査察
ートを発行した。
●ノンコンプライアンスの性質
2019年6月に実施された査察中にEU-GMPの遵守が欠けて
のうちの3件はクリティカル、20件はメジャーと特定された。3
以下の通りである。
1.この会社は、2016年6月4日にノンコンプライアンスと証
を2バッチ、2019年に受け取った。このノンコンプライアンス
原薬を含む。しかし、この原薬は、当局により重要とみなされ、全
の要求に基づいた試験が実施されれば輸入が許可された。この点で
2.高度な薬理作用または毒性を持つ原薬の製造(再包装)の活動
文書を作成した。(洗浄バリデーションは完了されていなかった。
容認できるものとみなされなかった。残留物の限界の計算に使用さ
かった)
3.品質システムは、適切で効果的とみなされない。埋め込まれた
の適用をするためのリスクの特定ができない。更に、品質システム
査察官は、品質システムと品質管理活動に関するメジャーな不備を
メジャーな不備の重大性と、EU GMPのノンコンプライアンスのレベルは、査察官チームが、公衆
潜在的なリスクを取り除くために、暫定的な管理手法がとられるこ
異なる原薬同士の取り違え/ラベルの貼り間違えが起きないことを
●当局によりとられた/提案された行動
〇出荷済ロットの回収
〇供給の禁止
供給の禁止に加え、原薬の受け取り、再包装、出荷に関する製造所
〇販売承認の差し止め
販売承認が一時的に差し止められた。全ての医薬品に品質管理活動
〇GMP証明の取り消し
GMP証明が取り消される。
出典:
http://eudragmdp.ema.europa.eu
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
EU GDPノンコンプライアンスレポート
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
EU GDPノンコンプライアンスレポートは、EUの当局による卸売販
される不備がみつかった場合に発行されるもので、3部構成になっ
Part1に確認した当局の名前、卸売販売業者の名前、卸売販売
作業、Part3に不備の内容、当局の対策等が書かれています。
Part3の不備の内容をみていきたいと思います。
■Report No.UK WDA(H)18799 Insp GDP 18799/303632-0035 NCR
イギリスの当局が2019/5/21にイギリスの卸売販売業者を
レポートを発行した。
●1.ノンコンプライアンスの性質
会社のシステムは、適法なサプライチェインに偽造医薬品が再び入
せず、偽造医薬品を保持しているのがみつかった。
●2.当局によりとられた/提案されたアクション
卸売販売業許可ライセンスの即時停止が2019年6月20日に実
■Report No.UK WDA(H)39307 Insp GDP 39307/303632-0036 NCR
イギリスの当局が2019/5/21にイギリスの卸売販売業者を
レポートを発行した。
●1.ノンコンプライアンスの性質
会社のシステムは、適法なサプライチェインに偽造医薬品が再び入
せず、偽造医薬品を保持しているのがみつかった。
●2.当局によりとられた/提案されたアクション
製品並行輸入許可品に関し、EEA(European Economic Area:欧州経済領域)の加盟国からイギリスへの医薬品の
調達を2019年9月19日まで部分的に停止
■Report No.NC-NVN/01/2019
キプロスの当局が2019/1/31にキプロスの卸売販売業者を
レポートを発行した。
●1.ノンコンプライアンスの性質
a.卸売販売業者は、卸売販売業の許可、または、製造承認の持っ
b.卸売販売業者は、供給者の適性、能力、信頼性を評価するため
c.責任のある職員が職務を適切に遂行していなかった。
●2.当局によりとられた/提案された行動
法律およびGDPガイドラインの重大な違反により3ヶ月間、20
られた。
■Report No.7/2/2019/I/DGMUH
ポルトガルの当局が2019/3/7にポルトガルの卸売販売業者
レポートを発行した。
●1.ノンコンプライアンスの性質
卸売販売業者は、いくつかの点でGDPの原則に従っていない。ク
関するものである。すなわち:満足できる適格性評価のない状態で
温度と環境の管理、記録に関する問題、品質システムの管理、レビ
それ以外に、複数のGDPの内容に及ぶ15件のメジャーと、その
●2.当局によりとられた/提案されたアクション
卸売販売業の許可の差し止め
●追加コメント
現時点で、追加の方策が必要と考えない。(この卸売販売業者によ
■Report No.DE GAALG 41403/053
ドイツの当局が2019/6/27にドイツの卸売販売業者を査察
トを発行した。
●1.ノンコンプライアンスの性質
GDP要件へのクリティカルな違反:
a.品質システムは、配送される製品がその品質を維持し、保管中
とどまっていることを保証しなかった。
b.責任のある職員が職務を適切に遂行していなかった。
c.供給者及び顧客の適格性評価が部分的に不十分だった。
●2.当局によりとられた/提案されたアクション
卸売販売業の許可の停止が2019年6月27日に実施された。
●追加コメント
イラン・イスラム共和国のみに販売
■Report No.sukls132322/2019
チェコ共和国の当局が2019/7/15にチェコ共和国の卸売販
アンスレポートを発行した。
●1.ノンコンプライアンスの性質
会社は活動の許可に関する条件において重大な違反をし、医薬品の
●当局によりとられた/提案されたアクション
2018/9/21付で卸売販売免許の差し止め
●追加コメント
販売活動は実施されていなかった。会社が適格性のある職員の業務
から、卸売販売業のライセンスは停止された。
出典:
http://eudragmdp.ema.europa.eu
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
まとめ
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
いかがでしたでしょうか。
EUのノンコンプライアンスレポートは、FDAのウォーニングレ
らい部分はあるのですが、おおよその指摘内容を知ることができる
ます。
ところで、イギリスがEUを離脱した後、イギリス当局の査察情報
条件の変更が気になるところです。
このノンコンプライアンスレポートとは関係ないのですが、201
MHRA(Medicines and Healthcare products Regulatory Agency:英国医薬品庁)が発表した情報によると、
イタリアからイギリスに医薬品が輸入される際、その一部が配送中
持ち出され、後でラベルが貼り直されたうえで流通に戻るというG
したか、また、これらの医薬品が安定した室温の状態に置かれてい
が発生したそうです。
今後、ますますGDPの強化が求められるのではないでしょうか。
☆次回は、9/1(日)に配信させていただきます。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
★弊社サービスのご案内
https://drmarketing.jp/cch/73/
★ブログ毎日更新中!
◆ PROS.社長の滋養強壮ブログ
https://drmarketing.jp/cch/73/
◆ プロス橋本のブログ
https://drmarketing.jp/cch/73/
※URLクリック数の統計をとらせていただいております。
本メルマガは、名刺交換させていただいた方に配信させていただい
今後このような情報が必要ない方は、お手数ですが、こちらに配信
hashimoto@e-pros.co.jp
【発行責任者】
株式会社プロス
『ASTROM通信』担当 橋本奈央子
2019.08.01
【EU-米国MRAの話題&最近のウォーニングレター】ASTROM通信<175号>
~安全な医薬品の安定供給をご支援する~
こんにちは
ASTROM通信担当の橋本奈央子です。
ついに梅雨が明け、猛烈な暑さになってきましたがいかがお過ごし
さて今回は、以下の2つのテーマについて取り上げたいと思います
1.EU-米国 ヒト用医薬品製造所査察のMRA完全施行について
2.FDA(米国食品医薬品局)の製造品質局から製薬会社向けに
是非、皆様の業務の参考にして頂ければと思います。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
1.EU-米国 ヒト用医薬品製造所査察のMRA完全施行について
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
2019年7月12日付のEMAの報道発表(EMA/39288
を進めてきた査察情報の共有が完全に開始されたようです。
以下に、報道発表内容をまとめました。
スロバキアのFDA(米国食品医薬品局)の認証により、EU(欧
のヒト用医薬品の製造所の査察について、相互認証協定(MRA)
EMA事務局長のGuido Rasiは“私たちは、大西洋の両側の当局がお互いの査察結果を
が出来ることを意味するこの協定の実施を歓迎します。このマイル
パートナシップの重要性の証明です。このことは、我々の査察の処
を支え、患者は、それらがどこで製造されたとしても、全ての薬の
ことができます。”と述べました。
毎年、EU各国の当局とFDAは、EU、米国及び世界中の医薬品
を保証するために、これらの製造所を査察しています。MRAのも
のテリトリー内のヒト用医薬品に関するお互いの査察を信頼し、今
しょう。MRAの結果、EUと米国は、他の国の製造所の査察をす
しょう。
MRAは、大西洋の両側にあるEUとUSがヒト用医薬品に関する
持っているというしっかりしたエビデンスにより支えられています
EU各国の当局、欧州医薬品庁(EMA)、FDAからなるチーム
てきました。スロバキアの肯定的な評価により、ヒト用医薬品を取
完了しました。
今後、ロット試験の免除の適用も開始するでしょう。これは、EU
は、米国で管理が既に実施されている場合、米国で製造され、米国
管理はもはや実行しないということを意味しています。
MRAの実施検討は、動物用医薬品、ヒト用ワクチン、血漿由来の
目的として続くでしょう。
<MRA協定への背景>
1998年、EUと米国は広範囲のMRAに署名しました。それは
される、医薬品に関する付属文書を含んでいました。しかし、この
でした。EUとFDAは、2014年に会話を始め、2017年の
2017年11月1日、それぞれのテリトリーで実施されるヒト用
EU-FDA間の協定の施行の開始を示しました。この協定は、お
を強化します。協定は最初、FDAとFDAが評価したEU加盟国
EU加盟国に広げられ、同様に、EUは米国内で評価し、2017
医薬品のGMP査察を実施するための能力、処理能力、手順を持っ
EUでは、製造所の査察は、EU加盟国の当局により実施されます
EU加盟国と連携してこれらの活動を調整する重要な役目を果たし
出典:https://www.ema.europa.eu/e
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
2.最近のウォーニングレターの概要
注:文中のXXはウォーニングレターでマスキングされている文言
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
■WL:320-19-26 インドの製造所の査察(2019/1/28~2019/2/1)
重大なCGMP違反等に関し、2019/6/13付ウォーニング
1.貴社は、同一性及び純度、含量、品質に関する文書化された規
のサンプルの試験をすることを怠った。また、貴社は、適切な間隔
の信頼性をバリデートして確認することを怠った。
貴社は、バルクのホメオパシー薬品XXの成分、容器、蓋を外部の
入荷した原材料の同一性や、その他の品質特性について試験をせず
確認していなかった。
貴社は、ホメオパシー薬品XXの成分を受入れているが、もし、そ
なり、特にXXはよく研究された高度の毒性を持ち、殺鼠剤として
適格性評価の手順によってホメオパシー薬品XXの供給者の信頼性
医薬品の製造のためにこれらの有害な原材料のホメオパシー薬品X
であるXXのレベルを含んでいないことを保証するための試験もせ
貴社は回答で試験のための原材料のサンプルの収集を含む改訂され
保管、ラベリングと原材料の包装に関する新しい手順を作ったが、
ついて、成分試験の不足の影響に対処していないので、貴社の回答
また、貴社は、ホメオパシーの原薬のバルクと医薬品XXを外部の
計画をしていて、代わりにホメオパシーの出発原料を使って自分で
しかし、貴社はホメオパシーの原薬、医薬品XXの製造工程、バリ
かった。
注意喚起として、貴社の原薬製造工程もまた、21 U.S.C.351(a)(2)(B)に従わなければならないし
Q7原薬GMPのガイドラインを参照することが期待される。
この文書への回答の中で以下の情報を提供せよ。
・各成分、容器、蓋が、同一性、純度、含量、品質に関する文書化
するために貴社がいかに計画しているかの詳細の説明
もし貴社が成分の試験をする代わりに供給者のCOAを受け取るの
ションを通じて、供給者の試験結果の信頼性確認するために貴社が
述べよ。
・不適切に試験され管理された成分から製造され、使用期限内にあ
のリスクアセスメント
医薬品が、その毒性の効果により患者がさらされるリスクを増すか
含んでいないことを保証するために貴社の保管サンプルを試験する
・もし、貴社が自身で原薬を製造することを計画するなら、貴社が
包括的なプラン
・貴社のさまざまな製品に使用される工程のプロセスバリデーショ
採用する工程内試験と管理の詳細を含めよ。
2.貴社は、製造された医薬品の各ロットの製造及び管理に関する
記録を作成することを怠った。
貴社のロットの記録は、これに限定されないが次のことの詳細が不
情報、製造に使用される主要な装置とラインの同一性、使用された
た成分の重さと測定値、工程試験の結果、生産量の記述、ラベルの
されたサンプリング、各重要工程を実施識別かつ/または各工程を
関する全ての調査、待機時間または装置の管理設定の限度。
さらに、XX件を超える貴社のホメオパシー医薬品は、単一の製造
単一の製造指図記録書は、ホメオパシー医薬品を製造するために使
る予め決められた記述もなく、大きな自由形式の空欄を持っていた
不完全な記録を持つことは、調査の目的で必要な活動のトレーサビ
さらに、製造の特別な指示・情報・計算もなく製造指図記録を持つ
違えや間違いにつながりかねない。
貴社は回答の中で、製造記録の改訂手順を提出した。しかし、新し
生産量、成分の規格、ラベルの規格を含む詳細を含んでいないので
貴社の回答からは、貴社が全製品に関する製造指図記録の原本を、
かがわからない。
この文書への回答の中で、貴社の全ての製品の製造工程の包括的な
重要な製造工程を記録し、取り違えや間違えを防ぐためのバリデー
指図書原本を制定せよ。
3.貴社の品質管理部門は、製造された医薬品がCGMPに従い、
関する規格を満たすことを保証する責任を果たすことを怠った。
貴社の品質部門は、貴社の製造工程の適切な管理を怠った。貴社の
の体制、機能、責任について定義・記述していない。
さらに、貴社の製造作業者達は、品質部門に所属していた。貴社の
作業者達が成分のレビュと使用許可を行っている。CGMPに従っ
品質部門は独立していることが期待される。
貴社の品質部門は、ラベルの使用許可、ラベルへのアクセスの管理
貴社はXXを超える異なるホメオパシー医薬品を製造しているので
防ぐために重要である。
貴社はまた、これに限定されないが、次のことを含む多数の重要な
制定を怠った。
・医薬品の成分の受入れ
・入荷した原材料のサンプリングとリリース
・規格外試験(OOS)結果の調査と不合格判定
・プロセスバリデーションと洗浄バリデーション
・ロットの製造指図記録
・年次製品照査
・装置の適格性評価
貴社は回答の中で、上で言及した作業に関する新しい文書化された
品質部門と手順の不足が使用期限内にある販売された医薬品へ与え
ので貴社の回答は不十分である。
この文書への回答の中で
・貴社の品質部門が効果的に独立して機能するための権限とリソー
ために是正処置・予防処置(CAPA)を含む包括的なアセスメン
これに限定されないが以下の情報を含めるべきである。
○貴社で使用されている手順が安定していて適切であるかどうかの
○適切な手順の遵守を評価するために、貴社の作業全体を監督する
○品質部門の判定の前の、各ロットとそれにかかわる情報の完全で
○調査の監督と承認 及び 全ての製品の同一性、含量、品質、純度を保証するための、品質部
その他の職務の解放
・適切な品質部門の監督なしに製造され市場に出荷された使用期限
アセスメントを実施せよ。
・新しい手順の遵守の測定基準を含む、新しい手順の実施に関する
CGMPの規制21 CFR 210,211の要求を満たすための品質システムとリスクマネジ
実施する助けとして、FDAのガイダンス“Quality Systems Approach to Pharmaceutical CGMP Regulations”
を参照せよ。
●CGMPコンサルタントの推奨
我々は、我々が貴社で確認した違反の性質に基づき、もし貴社がア
再開するつもりなら、貴社がCGMP要件を満たす手伝いをするた
サルタントを雇うことを強く勧める。また我々は、貴社がFDAの
適格なコンサルタントが、貴社の全ての作業のCGMP順守につい
してきた全ての是正処置・予防処置の完了と効果を評価することを
貴社のコンサルタントの使用は、CGMPを順守するための貴社の
経営陣には、全ての不備を解決し、継続的なCGMP順守を保証す
●結論
この文書で挙げた違反は、包括的なリストではない。貴社には、貴
の違反を調査し、原因を判断し、再発を防止し、その他の違反を防
FDAは2019年5月22日、貴社に輸入警告措置66-40を
貴社が全ての違反を完全に解決し、我々がCGMPの遵守を確認す
としてのいかなる新しい申請やリストの補完の承認を保留とする。
出典:https://www.fda.gov/inspect
■WL:320-19-27 インドの製造所の査察(2019/2/4~2019/2/9)で
CGMP違反等に関し、2019/6/20付ウォーニングレター
●CGMPの逸脱
1.特定の不具合または逸脱に関連した可能性のある他のロットへ
貴社の原薬XXとXXの中のXXのような不純物XXの根本原因の
メントでは、原薬XXの製造に関する合成過程はXXやXXのよう
と判断した。このアセスメントは、重要出発原料、その他の原材料
する結果になった可能性の評価を含んでいなかった。
貴社は、医薬品品質の欧州総局(EDQM)から、試験結果は貴社
と知らされた後に、原薬XXのロット以外も試験をして、XXのロ
およそXX%の汚染物質XXを含んでいると判断し、その後、これ
2019年1月29日付の貴社のリスクアセスメントは、原薬XX
生じたと記録していた。貴社は、回収されたXXは、貴社の委託製
と報告した。貴社の調査は、汚染物質XXは、XXにより供給され
貴社は、汚染物質XXは、XXの不十分な洗浄手順のせいにした。
貴社は回答の中で、今後XXを製造するのに回収された溶媒は使用
の回答は不十分である。貴社は、FDAの査察の開始時に、XXの
してXXを使っていなかったとはいえ、医薬品の品質に影響を与え
業者の作業の適切な品質管理を保証するための是正処置を割り出し
我々は、貴社が追加の工程管理を開始したことと、貴社が現在、ロ
含むXXに関する原薬XXの製造された全てのロットを試験してい
この文書への回答の中で、
・改訂されたいかなる適格性評価の手順を含む、医薬品の品質に影
委託
製造業者の作業の適切な品質管理を保証するための是正処置の割り
・貴社の製造所で製造された全ての原薬の不純物XX及び他の潜在
ために開始された調査及び是正処置・予防処置(CAPA)の計画
・不純物XX及び他の潜在的な不純物XXの存在に関する全てのX
・クロマトグラムにおける不純物XXに関するロットXXの回顧的
不純物XXに関する適切にバリデートされた方法を使ったクロマト
するための是正処置を提出せよ。
・変異原性不純物の存在の可能性に関し、貴社の製造所で製造され
アセスメントを提出せよ。
潜在的な変異原性不純物の管理に関するFDAの現在の考えについ
2.原薬に接触する装置表面が、公式の規格または制定された規格
ことを保証することの不履行
不十分な装置のメンテナンスに関する調査が不十分である。我々査
るSRJ014 XXのXX%以上がさびているように見えることを発見した。貴社
同様に適切にメンテナンスされていない可能性のある他の医薬品製
回答の中で、貴社は洗浄後、XXの内部の表面の乾燥度をチェック
水分がXXに残り、変色の原因となったことを認めた。貴社は、し
ものであると判断した。貴社は回答の中でSRJ014 XXをさびの形成の影響を受けにくいXXに交換する
つもりであると説明した。しかし、貴社は、医薬品を製造するため
な材料で作られた接触表面を持つことを確実にするための是正処置
回答は不十分である。
この文書への回答の中で、
・アメリカ向けの医薬品の製造に使用される可能性のある全ての装
包括的なアセスメントを提出せよ。
・装置の表面が貴社の医薬品に対して反応性が高い/付加的である
目的に適しているかどうかを判断するために、全ての装置の表面の
を提出せよ。
・もし原材料、中間体、もしくは原薬の接触表面に不備があった場
影響を含むリスクアセスメントと、再発を防ぐためにとるアクショ
●補完のために提出された要求および承認されたXXへの変更の遵
1.承認されたXXに対する補完の実施中、FDAに方法や管理の
査察官は、原薬XXのロットの残留溶媒のテストの中で貴社の原薬
達するレベルのXXとXXの非発がん性の不純物を発見した。これ
に関するアメリカ薬局方の規格の限度XX(即ち、NMT XX%)を超えてレベルで製剤原料に存在している。
また、これらの不純物は、ICH Q3A(R2)で公表されている製剤原料の不純物の閾値を超えて
貴社の品質部門は、XX%未満という貴社の内部の閾値も超えたこ
怠った。貴社は、FDAの査察官が査察中に閾値を超えて発見され
あると伝えた後にドラッグマスタファイル(DMF)の情報を更新
貴社は回答の中で、“計画された規制の改訂で我々(FDA)の指
貴社は残留溶媒の管理のために追加のCAPAを始めるつもりであ
原薬でみつかった全ての不純物の完全なレビュを実施することと、
改訂されていることを保証することを怠ったので、貴社の回答は不
XXとXXの申請者として、貴社は、補完XXと承認されたXXの
要件に従わなければならない。当局は、その提出の目的のために変
しれないが、そのようなカテゴリの変更の場合、承認されたXXの
取り次第、医薬品の販売を開始することができる。これらの変更に
医薬品の成分または医薬品が、同一性、含量、品質、純度、それが
という更なる保証を提出するための方法や管理に対する規格の追加
原薬XX、DMF XXのDMF所有者として、我々は、貴社のDMFへのいかなる追
21CFR314.420に基づき、FDAに提出することが求め
貴社のDMFの中の関連のある変更の情報を参照する権限を与えら
れている。
この文書への回答の中で、
・未知の不純物が閾値を超えたことを示しているA製造所で製造さ
なレビュを実施せよ。
ICH Q3A(R2)の閾値を超えるレベルで存在している不純物を確認
いる通りに改訂せよ。
いかなるDMFの改訂も、DMFに関する権限を持った全ての職員
通知はFDAに提出せよ。
・未知のピーク、逸脱、食い違い、規格外試験(OOS)の結果、
全体的なシステムの徹底的で独立したアセスメントを提出せよ。さ
公的な医薬品集、または、適切な製造の標準に従っていないロット
判断するために使用期限内にある販売されたすべてのロットの回顧
●追加の原薬CGMPガイダンス
FDAは、原薬がCGMPに従って製造されているかを判断する時
する。原薬の製造のためのCGMP関連のガイダンスとして、FD
”Q7 Good Manufacturing Practice Guidance for Active Pharmaceutical Ingredients”
を見よ。
●CGMPコンサルタントの推奨
我々は、貴社がCGMP要件を満たすことを手伝うためにコンサル
我々は、我々が貴社で確認した違反の性質に基づき、貴社の作業を
コンサルタントを雇うことを強く勧める。貴社のコンサルタントの
貴社の義務を軽減するものではない。貴社の経営陣には、継続的な
の不備とシステムの欠陥を完全に解決し、責任が残る。
●複数製造所での繰り返しの所見と規制会議
FDAは同様のCGMPの所見を貴社の組織内の他の製造所でも挙
査察され、原薬XXと中間体の製造に関するCGMPの不備につい
のコンプライアンス状態は受け入れられないと考えられている。こ
る不備は、医薬品製造における経営陣の監督と管理が不十分である
CGMPのコンプライアンスを議論するための規制会議を計画する
●結論
この文書で挙げた違反は、包括的なリストではない。貴社には、貴
これらの違反を調査し、原因を判断し、再発を防止し、その他の違
貴社が全ての違反を完全に解決し、我々がCGMPの遵守を確認す
業者としてのいかなる新しい申請やリストの補完の承認を保留とす
出典:https://www.fda.gov/inspect
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
まとめ
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
いかがでしたでしょうか。
1.EU-米国 ヒト用医薬品製造所査察のMRA完全施行について
・EUも米国も査察のリソースを有効に使うことができるようにな
製造所は何度も査察を受けなくて済むようになる反面、問題のある
受けなければならなくなるということでしょう。
・今後開始されるという、ロット試験免除の適用の話題は興味深い
しっかり管理されていれば、米国で製造された製品を輸入したEU
パーソンは、本当に試験を実施しなくてよくなるのでしょうか。輸
のか気になるところです。
2.ウォーニングレターについて
1件目の、ロットの製造指図記録に関する話題が気になりました。
今回の指摘は、複数製品について、単一の製造指図記録書を使用し
ついて項目別の記述欄を作らず大きな空欄を設けていたという極端
ミスを防ぐためには製品別に製造指図記録原本を作成することを期
汎用的なレイアウトを使って製品別に使用項目を使い分けている場
ことを証明できるようにしておく必要が出てくるかもしれません。
☆次回は、8/15(木)に配信させていただきます。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
★弊社サービスのご案内
https://drmarketing.jp/cch/73/
★ブログ毎日更新中!
◆ PROS.社長の滋養強壮ブログ
https://drmarketing.jp/cch/73/
◆ 営業ウーマンの営業報告ブログ
https://drmarketing.jp/cch/73/
※URLクリック数の統計をとらせていただいております。
本メルマガは、お申込みいただいた方、名刺交換させていただいた
いたしております。
今後このような情報が必要ない方は、お手数ですが、こちらに配信
いたします。
hashimoto@e-pros.co.jp
【発行責任者】
株式会社プロス
『ASTROM通信』担当 橋本奈央子