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2019.05.15

【平成29年薬事工業生産動態統計調査】ASTROM通信<170号>

 ~安全な医薬品の安定供給をご支援する~

こんにちは 
ASTROM通信担当の橋本奈央子です。

ゴールデンウィークが終わって1週間がたちましたが、いかがお過ごしでいらっしゃいますか。

さて、今回は、2019年4月17日に厚生労働省から公表された平成29年薬事工業生産動態統計調査の結果に
ついて取り上げたいと思います。
元号が変わったこともあり、「平成29年」と聞くと遠い過去の気がしてしまいます。
それはさておき、都道府県別生産額など興味深いデータもありますので、話の種にでもご覧いただければ
幸いです。


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平成29年薬事工業生産動態統計調査結果
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平成29年薬事工業生産動態統計調査結果のうち、主ものを以下にピックアップしました。
■医薬品■
1.生産金額について
平成29年の国内の医薬品最終製品の生産金額は6兆7213億円で、前年と比べると1.5%の増加となり
ました。
増減の内訳を見てみますと、医療用医薬品は2.3%の増加、その他の医薬品は-5.1%、一般用医薬品は-4.8%、
配置用家庭薬は-17.4%の減少となっています。
生産金額の多い医薬品(薬効大分類別)は、1位 循環器官用薬(9344億円、前年比-7.3%)、
2位 その他の代謝性医薬品(7904億円、前年比+14.6%)、3位 中枢神経系用薬(7577億円、前年比-5.4%)、
4位 腫瘍用薬(4421億円、前年比+35.4%)、5位 血液・体液用薬(4209億円、前年比-1.1%)と
なっていました。
医薬品薬効中分類別で生産金額の増減を見てみますと、56の分類のうち30の分類で増加していました。特に前年
に対して増え方が多いのは、抗ウイルス剤 +87.6%、呼吸促進剤 +70.8%、甲状腺,副甲状腺ホルモン剤 +48.5%、
その他の腫瘍用薬 +40.5%、ワクチン類 +27.9%となっていました。逆に、減り方が多いのは、
生化学的検査用剤 -26.2%、主としてグラム陽性・陰性菌に作用する抗生物質製剤 -23.2%、精神神経用剤 -20.7%、
主としてグラム陽性菌,マイコプラズマに作用する抗生物質製剤 -18.9%、総合代謝性製剤 -18.0%となっていました。
剤形分類別で生産金額の多い医薬品は、1位 錠剤(3兆438億円、前年比-0.2%)、
2位 その他(1兆1224億円、前年比+7.9%)、3位 注射液剤(5275億円、前年比+12.4%)、
4位 カプセル剤(4262億円 前年比+0.2%)、5位 外用液剤(4152億円 前年比-7.7%)となっていました。

2.輸出入金額
医薬品の輸出金額は、1669億円で、前年比-5.0%でした。この減少は北米向けの輸出額が大きく減ったことに
よりますが、他の地域(アジア、ヨ-ロッパ、アフリカ、大洋州)向けの輸出額は増えています。
金額で見た主な輸出国は、1位 韓国(350億円、前年比+47.5%)、2位 中国(289億円、前年比+6.1%)、
3位 アメリカ(260億円、前年比-56.8%)、4位 台湾(163億円、前年比+13.9%)、
5位 香港(73億円、前年比+0.5%)でした。
医薬品の輸入金額は3兆4382億円で、前年比-12.9%でした。金額で見た主な輸入国は、
1位 アメリカ(7269億円、前年比+6.0%)、2位 ドイツ(5890億円、前年比-5.5%)、
3位 スイス(4557億円、前年比-26.3%)、4位 フランス(2687億円、前年比+9.0%)、
5位 イギリス(1757億円、前年比+11.9%)でした。

3.都道府県別ランキング
生産金額の多い都道府県は、1位 静岡県(6820億円、前年比+24.3%)、2位 富山県(6540億円、前年比+5.2%)、
3位 大阪府(5302億円、前年比-5.7%)、4位 埼玉県(4814億円、前年比-7.0%)、
5位 東京都(4076億円、前年比-32.7%)でした。
生産金額が前年より増加している都道府県のトップ5は、愛知県の+48.6%、秋田県の+42.6%、熊本県の+32.7%、
静岡県の+24.3%、山梨県の+23.9%となっています。また、逆に減少している都道府県のトップ5は、愛媛県の-82.3%、
東京都の-32.7%、山形県の-23.8%、大分県の-17.8%、鳥取県の-17.3%でした。

■医療機器■
1.生産金額について
平成29年の国内医療機器の生産金額は1兆9904億円で、前年と比べると4.0%の増加となりました。
生産金額の多い医療機器(大分類別)は、1位 処置用機器(5291億円、前年比+1.1%)、
2位 画像診断システム(2963億円、前年比+11.1%)、3位 生体機能補助・代行機器(2678億円、前年比-3.1%)、
4位 生体現象計測・監視システム(2104億円、前年比+25.4%)、
5位 医用検体検査機器(1729億円、前年比-13.9%)、となっていました。
医療機器小分類別で生産金額の増減を見てみますと、49の分類のうち33の分類で増加していました。特に前年に
対して増え方が多いのは、眼圧計 +585.5%、家庭用磁気治療器 +170.2%、血圧計 +169.8%、
一人用生体情報モニタ及び関連機器 +53.7%、視覚機能検査用機器 +43.8%となっていました。
逆に、減り方が多いのは、血液凝固分析装置 -33.0%、医用写真フィルム -26.1%、血球計数装置 -17.8%、
人工関節、人工骨及び関連用品 -15.6%、透析器 -15.3%となっていました。。

2.輸出入金額
医療機器の輸出金額は、6190億円で、前年比+6.0%で、その他地域を除き、アジア、ヨーロッパ、北アメリカ、
南アメリカ、アフリカ、大洋州向けの全てで輸出額が増えていました。
金額で見た主な輸出国は、1位 アメリカ(1291億円、前年比+5.3%)、2位 中国(839億円、前年比+13.3%)
、3位 ドイツ(544億円、前年比+6.8%)、4位 オランダ(351億円、前年比+9.2%)、
5位 韓国(344億円、前年比+15.5%)でした。
医療機器の輸入金額は1兆6492億円で、前年比+6.0%でした。金額で見た主な輸入国は、
1位 アメリカ(8479億円、前年比+13.8%)、2位 アイルランド(1448億円、前年比-6.5%)、
3位 ドイツ(1095億円、前年比-15.8%)、4位 中国(1078億円、前年比+2.2%)、
5位 スイス(711億円、前年比+36.0%)でした。

3.都道府県別ランキング
生産金額の多い都道府県は、1位 静岡県(3513億円、前年比+1.3%)、2位 栃木県(1807億円、前年比+2.3%)、
3位 東京都(1785億円、前年比+34.2%)、4位 埼玉県(1641億円、前年比+42.6%)、
5位 茨城県(1249億円、前年比-9.2%)でした。
生産金額が前年より増加している都道府県のトップ5は、埼玉県の+42.6%、福岡県の+41.5%、東京都の+34.2%、
福井県の+33.8%、鹿児島県の+25.8%となっています。また、逆に減少している都道府県のトップ5は、
和歌山県の-48.7%、熊本県の-29.1%、群馬県の-24.6%、長野県の-21.7%、徳島県の-21.2%でした。

詳細:https://www.mhlw.go.jp/topics/yakuji/2017/nenpo/


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平成31年1月分以降の薬事工業生産動態統計調査について
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平成31年1月から新たな調査方法が実施されており、平成31年分から集計方法や公表される統計表が変わります。
主な変更点は下記の通りです。
1.都道府県別医薬品生産金額について
●平成30年12月分までの調査(旧調査)
<報告>製造販売業者が製造業者に製造委託している場合、製造販売業者が生産金額を報告し、
製造業者は受託額(委受託契約額)を報告。
<集計>製造販売業者から報告された生産金額は委受託関係を確認し、製造業者が所在する都道府県に
計上。委受託関係が確認できない場合は、製造販売業者が所在する都道府県に計上。
●平成31年1月分以降の調査(新調査)
<報告>製造販売業者のみを調査客体とし、製造販売業者から委託先の製造業者情報も含めて報告。
<集計>生産金額は全て製造業者が所在する都道府県に計上。
2.報告先について
都道府県への報告は廃止し、全て厚生労働省に直接報告する
3.調査票の報告期限
調査月の翌月15日(土日祝日の場合は翌営業日)に延期
4.報告方法
従来の紙、CD、オンラインの選択式から、原則オンライン報告とする
5.医薬品製造業者の従業員数の報告を廃止する
6.衛生材料は、医療機器または医薬部外品として報告する

詳細:https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/105-1.html


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まとめ
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いかがでしたでしょうか。

医薬品も医療機器も、輸出金額より輸入金額のほうが圧倒的に多い状態が続いていることがよくわかります。
特に、アメリカとドイツからの輸入が多いことをあらためて実感しました。

配置用家庭薬の生産金額は年々減少してきいましたが、平成29年は特に大きく落ち込んでいたことに驚か
されました。(平成27年は-7.3%、平成28年は-8.9%、平成29年は-17.4%となっています)

余談ですが、静岡県に住む人間としては、医薬品の生産金額が富山県を抜いて1位になったことがうれしかったです。
とはいえ、所詮は宇都宮と浜松の餃子日本一をめぐる戦いのようなもの。1年後にはどうなっているかわかりません。
しかも、平成31年1月分以降の薬事工業生産動態統計調査の方法が変わるため、各都道府県の生産金額が旧調査と
比較して大幅に増減する可能性もあるようです。

ということで、今回の調査結果は、話のネタにでも活用いただければ幸いです。

☆次回は、5/31(金)に配信させていただきます。


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【発行責任者】 
株式会社プロス 
ASTROM通信』担当 橋本奈央子

2019.05.07

【米国初のDSCSA不履行ウォーニングレター】ASTROM通信<169号>

 ~安全な医薬品の安定供給をご支援する~


こんにちは 
ASTROM通信担当の橋本奈央子です。

ゴールデンウィーク明けの初日ですが、いかがお過ごしでいらっしゃいますか。

さて、今回は、2013年11月に出されたDrug Supply Chain Security Act(DSCSA)の要件の不履行と
して、FDA(米国食品医薬品局)からはじめて発行されたウォーニングレターを取り上げます。
DSCSAは、アメリカの消費者が偽物、盗品、汚染品、その他の有害な薬にさらされることを防ぐ
ために、医薬品のサプライチェイの危険の可能性を検知し除去するのための法令です。

DSCSAについて:
https://www.fda.gov/Drugs/DrugSafety/DrugIntegrityandSupplyChainSecurity/DrugSupplyChainSecurityAct/

このウォーニングレターは、DSCSA違反としてはじめて発行されたということで、注目されています。
アメリカに医薬品を輸出されている製薬会社様は内容を是非確認いただければと思います。
また、DSCSAは、昨年12月に日本で発出されたGDPガイドラインの目的に近いため、、アメリカに輸出
されていない製薬会社様も参考にしていただければ幸いです。


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ウォーニングレターの概要  
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■アメリカの製薬会社の本社の査察(2018/6/25~2018/7/3)及び配送センタの査察
(2018/6/26~2018/6/29)でみつかった連邦食品医薬品化粧品法(FD&C Act)の確認要件の重大な
違反に関する、2019/2/7付けウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。
1.貴社は貴社が所有または管理している通知対象の全ての医薬品を識別し、隔離することを含む、
  違法製品に対する要求された対応を怠った。
2.貴社は疑わしい製品を隔離して調査することを怠った。
3.貴社は疑わしい製品の調査の記録や違法製品の処理の記録を少なくとも6年間保管することを
  怠った。
●実例1
2016年9月と10月に、貴社は、貴社の取引相手であるR社から、R社の異なる3薬局で、貴社により
販売されたと報告のある違法な製品を受領したと通知された。
はじめに、2016/9/1にR社から、ミシガン州ミルフォードの薬局で、M社により製造されたオキシコドン
塩酸塩(NDC0406-8530)100錠入りとラベルが貼られたボトルを受け取ったと通知された。ボトルの
シールは破れ、ボトルにはオキシコドン塩酸塩が入っていなかった。ボトルの中身は、ナプロキセン
15錠に変わっていた。R社は貴社に、この製品は貴社との取引を通じて受け取ったと報告した。
M社は、このオキシコドン塩酸塩について、Form 3911で“ボトルの中の錠剤が異なる錠剤だった”
とFDAに違法製品通知を提出した。
R社のミシガン州ウォーターフォードにある薬局も、M社により販売されたと報告のある違法な製品
を受領した。薬局は、オキシコドン塩酸塩100錠入りとラベルが貼られたボトル1個を受け取ったが、
シールは破れ、オキシコドン塩酸塩は入っていなかった。そのボトルの中身もナプロキセン15錠に
変わっていた。R社は貴社に、この製品は貴社との取引を通じて受け取ったと報告した。2016/9/15に、
R社は、消えた錠剤に関して、メールで貴社に警告した。M社は、このオキシコドン塩酸塩について、
Form 3911で“ミシガン州ウォーターフォードにあるR社の薬局は、M社オキシコドン塩酸塩30mgの、
開封されたボトルのシールは破られ、オキシコドン塩酸塩30mgの錠剤100錠がなくなった。A社で
製造されたナプロキセンナトリウム220mgのジェネリック医薬品Aの錠剤15錠がボトルの中にあった”
とFDAに違法製品通知を提出した。
2016/10/6、R社のミシガン州ウォーレンにある薬局も、貴社により販売されたと報告のある違法な
製品を受領した。その薬局はオキシコドン塩酸塩のボトルを5つ注文し、受け取ったボトルのうちの
3つは、オキシコドン塩酸塩が全て持ち去られていた。これらの3つのボトルには、ナプロキセンと
塩酸シプロフロキサシンのさまざまな組み合わせが入っていた。M社は、これらの製品について、
“3つのボトルでオキシコドン塩酸塩30mgの錠剤100錠が全てなくなり、別の錠剤が入っていた”
とForm 3911でFDAに違法製品通知を提出した。
3件の事件に関する貴社の調査は、これらのパッケージが不正に加工されたというエビデンスに欠け
ていることと、これら3件のR社の薬局の近さにより、オキシコドン塩酸塩はおそらく貴社の所有
または管理中に他の製品にすり替えられたと判断した。
これらの事件は、貴社が連邦食品医薬品化粧品法(FD&C Act)582(c)(4)の要件に従うための
システムを持つことを怠ったことの例となっている。R社から違法製品通知を受領後、貴社は、
所有または管理している、通知対象の全製品を確認する対応が求められていた((582(c)(4)(B)(iii))。
それから、貴社は、それらの製品が解決するまで、所有または管理しているそれらの製品の販売用
の製品からの隔離 ((582(c)(4)(B)(i)(l))、所有または管理している違法製品の処理((582(c)(4)(B)(i)(ll))、
貴社が所有していない違法製品を処理するために取引先を手助けするための妥当で適切な措置を
とること((582(c)(4)(B)(i)(lll))、24時間以内にFDAとそれらの違法医薬品を受け取ったかも
しれない全ての直接取引先への通知((582(c)(4)(B)(ii))が必要だった。また、貴社は、違法製品
の譲渡・処理の記録を少なくとも6年保持する必要があった((582(c)(4)(B)(v))。
貴社はオキシコドン塩酸塩のこれらのボトルに関する調査は実施したが、582(c)(4)に基づいて重要
な義務を果たしたことを証明することはできなかった。例えば、貴社は通知された全ての違法製品
について、同じロット番号またはNDC(National Drug Code: 全米医薬品コード)を持つ製品を探す
などにより確認したことや、それらの製品を隔離したことを示すことができなかった。同様に、
貴社は、同じロット番号またはNDCの製品を受け取ったかもしれない直接取引先に通知したと証明
することを怠った。貴社の調査で、オキシコドン塩酸塩はおそらく貴社の配送センタで別の製品に
置き換えられたことに気付いていたので、これは特に不安を感じさせる。これ以外にも不安に感じ
させることとして、FDAが貴社のサンフランシスコ本社を査察中、貴社の代表は、中身が盗まれたり
変わったりしたことを含む事象は、社内ではDSCSAの確認事象として扱われないと述べたことである。
実際、DSCSAは、“信頼できるエビデンスが、それが偽物であったり、変えられたり、盗まれたり
したと示す製品”は、違法製品に含めると明確に定義している。最終的に、貴社は、これらの違法
製品の譲渡・処理の記録を提出しなかった。
●実例2
2016/12/2、貴社は、貴社の取引先の1社であるA社から、DSCSAに基づき、疑わしい製品Dの報告を
通知された。製品は、ロット番号または使用期限を持っていなかった。2016/12/6、A社は、この
製品Dに関する違法製品通知をForm 3911でFDAに提出した。2016/12/7、A社は、貴社から受け取った
ロット番号または使用期限を持たない別の製品Iに関する違法製品通知をForm 3911でFDAに提出
した。この通知は、A社が貴社に先にメールで問題を通知していたことを示した。2016/12/15に
FDAは貴社に連絡をとり、A社からパッケージにロット番号と使用期限のない製品DとIに関する
Form 3911を受け取ったことを通知した。その結果として、FDAは、これらの製品の状況を判断する
ためのFD&C Actの582(c)(4)(A)(i)に述べられているような確認を実施するよう要求した。
この事象において、貴社は、582(c)(4)の確認要件に従うことのできるシステムを持つことを怠った。
貴社は、それらの製品の疑いが晴れるか処理が決まるまで、それらの製品を販売用の製品から隔離
し、製品が違法(582(c)(4)(A)(i))かどうか判断するために、規定通りに取引先と協力して疑わ
しい製品の調査をすぐに実施することが必要だった。また貴社は、疑わしい製品の調査の記録を
少なくとも6年保持する必要があった(582(c)(4)(A)(iii))。
A社とFDAが貴社にこれらの薬の連絡をとった後も、貴社は、それらの製品を隔離したことや、
製品が違法かどうかを判断するために疑わしい製品の調査を実施したことを示さなかった。A社が
パッケージにロット番号と使用期限のない2製品(DとI)に関するForm 3911を提出したとFDAに
通知された後、貴社は、ロットと使用期限のないボトルが他にないことを確認する調査が遂行され
る必要があると認識した。
もしロットと使用期限のない他のボトルが見つかれば、それは、これらの製品を購入した顧客に、
ロットと使用期限のない在庫をチェックするよう通知する必要があったかもしれない。貴社は、本社
が配送センタに通知を送ったことを示す文書を提出した。しかし、貴社のオレゴン州ウィルソンビル
にある製造所は、それらの隔離の通知の受領を否定し、それらの隔離の通知が貴社の電子システム
に存在したことを示すエビデンスはなかった。582(c)(4)(A)(iii)を遵守するために、貴社は少なく
とも6年、疑わしい製品の調査の記録を保持する必要がある。貴社はその後、オレゴンの製造所で
これらの製品の在庫確認を記録したと思われる手書きのメモと一緒に、在庫の一覧と思われるもの
を提出した。しかし、手書きのメモは日付もサインもなく、これらの製品の隔離の通知の受領を否定
したウィルソンビル製造所にいたFDA査察官に提供されなかった。また貴社は貴社の各配送設備に
おいて隔離確認が実施されたことを示す情報を提供しなかった。
●実例3
2016/6/28頃、貴社は、G社に、薬局が実際には製品Gが入った製品Tのラベルが貼られた2つの密封
されたボトルを受け取ったと報告したことを通知された。G社は、その製品がみつかった薬局は、
貴社から製品を購入したことを示す注文書を持っていたと述べた。2016/7/8にG社は、
“G社は製品Tのボトルは、DSCSAのもとで違法製品と確認されたと判断した。2つのボトルは、
貴社から仕入れた密閉された製品Tのボトルに別の錠剤の存在を確認した薬局により報告された。
よって、違法製品に関するDSCSAの要件に従い、FDAに通知し、直接の取引先として貴社に通知
した。”と通知した。
貴社は製品は違法製品だという判断の通知を受け取ったらすぐに、保管または管理中のそれらの
全ての製品の確認が必要だった。また貴社は、所有または管理しているそれらの製品の販売用の
製品からの隔離(582(c)(4)(A)(i)(l)、582(c)(4)(B)(i)(l))、所有または管理している
違法製品の処理(582(c)(4)(B)(i)(ll))、貴社が所有していない違法製品を処理するために
取引先を手助けするための妥当で適切な措置をとること((582(c)(4)(B)(i)(lll))が必要だった。
貴社は、違法製品の確認要件またはそれに続く要件を満たしたことを示す記録を提供できなかった。
例えば、貴社の代表は、貴社が残っている在庫を調べ、同じロット番号の製品はなかったと述べた
が、 (1)報告されたロット番号に関して在庫確認を実施する指示をした違法製品通知が配送センタ
に発行されたこと(2)貴社が違法製品を所有または管理しているかどうか判断するために配送センタ
で在庫確認が実施されたこと(3)違法製品の事象を配送センタに警告するために貴社システムに
隔離フラグがセットされたことを示す記録のような、これを裏付けるエビデンスはなかった。
よって貴社は、違法製品を所持しているかを判断することや、取引先に通知することができなかった。
●是正処置
FDAは、貴社のForm 483への回答や、それに続く文書をレビュした。
1.Form 483に対する貴社の回答において、中身の変換や窃盗の可能性に関する事象を調査して
  いる間は、その事象を疑わしい製品や違法製品と関連づける必要はないと述べた。この回答は、
  FDA査察官に対する貴社のサンフランシスコ本社の代表の、盗まれたり替えられたりした中身
  を含む事象は社内ではDSCSAの確認事象として扱わないという発言と類似している。これらの
  陳述は、疑わしい製品や違法製品の定義の理解や、取引先による違法製品の通知時の貴社の
  責任の欠如を示している。患者に投与される全ての処方箋薬は、582(c)(4)のDSCSAの確認要件
  の対象である。さらに、法律は、“信頼できるエビデンスが、それが偽物であったり、変えら
  れたり、盗まれたりしたと示す製品”は、違法製品に含めると定義している。法の下で、貴社
  は、DSCSA要件の対象として、疑わしい製品や違法製品を含む事象を取り扱わなければならない。
2.Form 483に対する貴社の回答は、十分な裏付けの文書に欠けているので評価できない。貴社は、
  これらの改訂が何かを述べることや、レビュするための新しい標準操作手順書の文書の提供も
  なく、貴社は標準操作手順の手続きの改訂を計画していると回答している。FDAは、貴社による
  疑わしい製品や違法製品の調査が今後DSCSAに従った方法で実施されると結論づける十分な情報
  を持っていない。2018/11/4付の貴社の回答は、前回の回答と同様で、いくつかのポリシー文書
  を改訂したことに関する情報を含んでいたが、レビュのための裏付け文書が提供されなかった。
3.2018/11/4付の貴社のFDAに対する回答は、“疑わしい製品や違法製品に関する全ての活動の調整
  に責任を負う製品安全性委員会”を結成するつもりであると述べているが、この委員会の構成や
  委員会が機能するための手順についての情報が提供されなかった。結果として、貴社の回答は、
  提案された変更が、貴社のDSCSAの確認要件遵守をいかに向上させるかを示していない。
●結論
この文書で挙げた違反は、包括的なリストではない。貴社には、これらの違反を調査し、原因を判断
し、再発を防止し、その他の違反を防止する責任がある。連邦法の全ての要件に従うことを保証する
のは貴社の責任である。
これらの違反に対する迅速な是正の不履行は、更なる通知なしに、強制命令を含む法的手段を招く
可能性がある。このウォーニングレター内の未解決の違反は、他の連邦政府関係機関の事業発注も
妨げるかもしれない。

出典: 
https://wayback.archive-it.org/7993/20190214023432/https://www.fda.gov/ICECI/EnforcementActions/WarningLetters/ucm631088.htm


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まとめ
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いかがでしたでしょうか。
流通が複雑化している状況を考えると、今後同様の問題が起きると思われますので、今回のアメリカ
の事例を是非参考にしていただければと思います。

☆次回は、5/15(水)に配信させていただきます。


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インターフェックスジャパンのご案内
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今年も2019年7月3日~7月5日のインターフェックスジャパン(東京ビッグサイト)に出展いたします。
弊社ブースは【W25-27】となります。
ご都合が合えば、是非ご来場ください。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
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https://drmarketing.jp/cch/73/262/3/426/168591/756190

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