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2018.10.15

【最近の話題】ASTROM通信<156号>

 ~安全な医薬品の安定供給をご支援する~

こんにちは 
ASTROM通信担当の橋本奈央子です。

日暮れが早くなってきたことを実感するこの頃ですが、いかがお過ごしでいらっしゃい
ますか。

さて、今回は、下記の3つの話題を取り上げたいと思います。
1.      FDAが求める新しい製品識別要件について(シリアライゼーション)
2.      日本における医療用医薬品のバーコード表示の取り組み状況につい
3.      FDAの医療機器の品質システムに関する規制動向について

1は、アメリカにヒト用処方箋医薬品を輸出されている製薬会社様に関係のある話題です。
2は、医療用医薬品を製造されている日本の全ての製薬会社様に関係ある話題です。
3は、海外、特にアメリカに医療機器を輸出されている医療機器メーカ様に関係のある話題
です。

参考にしていただければ幸いです。


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1.FDAが求める新しい製品識別要件について(シリアライゼーション)
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FDA(米国食品医薬品局)は、医薬品サプライチェインセキュリティ法(DSCSA : 
Drug Supply Chain Security Act)のもとで、アメリカ市場で取引されるヒト用処方箋医薬品
の製造業者、包装業者、再包装業者に対して、医薬品の製品識別番号を、個々の箱(package) 
とケース(homogenous case)に押印するか印刷する対応を求めています。
これに関連し、医薬品の製造業者、包装業者、再包装業者は、FDAに対して、製品識別番号の
ついた表示の新しいサンプルを提出する必要があります。

■製品識別とは
貿易相手国がサプライチェインを通して医薬品のトレースを容易に行えるようにするために、
個々の医薬品の箱とケースに付ける固有の識別子のことで、製品のロット番号、有効期限、
全米医薬品コード(NDC : National Drug Code)とシリアル番号を含み、人及び機械が読む
ことのできるフォーマットである必要があります。

■製品識別のメリット
製品の箱やケースに個別のシリアル番号をつけることで、完全なトレーサビリティが実現でき
ます。これにより、医薬品の偽造、盗難を防ぎ、汚染、その他の有害な事象から消費者を守り、
危険のある医薬品を検知してサプライチェインから取り除く能力を向上させることができます。

■対応期限
対応期限は、2018年11月27日となっています。

■適用除外
2018年11月27日より前に製造業者に包装されたか、再包装業者に再包装された製品識別番号の
ない箱やケースに本要件の適用は除外されます。

出典:
https://www.fda.gov/downloads/Drugs/GuidanceComplianceRegulatoryInformation/Guidances/UCM565272.pdf
https://www.fda.gov/Drugs/DrugSafety/DrugIntegrityandSupplyChainSecurity/DrugSupplyChainSecurityAct/ucm565358.htm
https://www.fda.gov/Drugs/DrugSafety/DrugIntegrityandSupplyChainSecurity/DrugSupplyChainSecurityAct/
https://www.fda.gov/Drugs/GuidanceComplianceRegulatoryInformation/DrugRegistrationandListing/ucm622477.htm


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2.日本における医療用医薬品のバーコード表示の取り組み状況について
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厚生労働省より、2018年9月28日付で「医療用医薬品における情報化進捗状況調査」の結果公表が
ありました。

医療用医薬品における情報化とは、医薬品の取り違え事故防止、市販後のトレーサビリティの
確保、流通の効率化の目的から、厚労省が通知「医療用医薬品へのバーコード表示の実施について」
(平成18年9月15日付薬食安発第0915001号、平成19年3月1日付薬食安発第0301001号、平成24年6月
29日付医政経発0629第1号・薬食安発0629第1号一部改正、平成28年8月30日付医政経発0830第1号・
薬生安発0830第1号・薬生監麻発0830第1号一部改正)を発出し、製造販売業者に求めている医療用医
薬品へのバーコード表示を意味します。

<各表示項目の表示対応状況>
●必須表示項目:100%
●原則平成 33 年4月以降に製造販売業者から出荷されるものから必須表示となる項目
・内用薬、注射薬、外用薬の販売包装単位への有効期限、製造番号 又は製造記号
  :約 15~50%(前年度約5~36%)
・内用薬、注射薬、外用薬の元梱包装単位への商品コード、有効期限、製造番号又は製造記号、数量
  :約 67~88%(前年度約 59~83%)
●任意表示項目
・調剤包装単位の有効期限、製造番号又は製造記号
  :約0~19% (前年度約0~22%) 

平成33年から必須となる項目については、前年度調査結果より表示率が上がっていますが、
任意項目については、前年度より若干ではありますが表示率が下がっていることがわかります。

出典:https://www.mhlw.go.jp/content/10807000/000361164.pdf


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3.FDAの医療機器の品質システムに関する規制動向について
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FDA(米国食品医薬品局)のCDRH(医療機器・放射線保健センタ:Center for Devices and 
Radiological Health)は、医療機器製造業者の品質システムに関する規制要件(21 CFR Part 820)を、
医療機器・体外診断用医薬品の国際規格であるISO 13485に融合させようと計画しています。

CDRHが2つのシステムの違いと類似点を調査しているところですが、CDRHによると、現時点で
医療機器品質マネジメントシステムの監査への取り組みのうち約95%は部分的に一致している
ものの、残りの5%は、いかに対処するか確認して判断する必要があるとのことです。

一致していないものの具体的な例として、以下の3点があります。
・医療機器レポート
・医療機器単一調査プログラム(MDSAP)
・個々の機器の識別

CDRHは、2019年4月までに、改訂された規制要件を公開することを予定していますが、実現に
向けてより大きな調整の必要性を懸念している人もいるようです。

■補足
医療機器単一調査プログラム(MDSAP)
MDSAP参加国がQMS調査機関(MDSAP調査機関)を共同で評価・認定 し、その質を一定程度に
担保するとともに、MDSAP調査機関が実施した QMS調査結果(MDSAP調査報告書)の各国での
活用を目指すもので、日本もこのプログラムに参加しています。
医療機器単一調査プログラムは、様々な規制要件に対応するための時間とコストの削減に
つながるものとして、各製造業者も期待をしています。

出典
https://www.gmp-publishing.com/en/gmp-news/gmp-aktuell/cdrh-iso-13485-21-cfr-820-blending-quality-system-april-2019.html
https://www.raps.org/news-and-articles/news-articles/2018/9/fda-reveals-vision-for-the-transition-to-iso-13485?utm_source=MagnetMail&utm_medium=Email%20&utm_campaign=RF%20Today%20%7C%2027%20September
https://www.pmda.go.jp/files/000223724.pdf


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まとめ
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いかがでしたでしょうか。

1つ目の製品識別(シリアライゼーション)は、医薬品だけでなく医療機器や化粧品についても、
世界的に導入が進んでいます。
日本国内は、偽造や盗難がない(少ない)ということもあり、検討が遅れていますが、海外に輸出
をされたり輸出を検討されたりしている会社様には避けて通れない話ですので、是非、参考にして
いただければと思います。

これを読んでから2つ目の日本のバーコード表示の話題を読むと、日本はまだ、商品コード、有効期限、
製造番号(又は製造記号)の対応中で、シリアル番号まで到達していないため、海外に比べて対応が
遅れていることを感じます。
ただ、グローバル化の流れの中で、今後、日本国内の規制要件も変化すると思われますので、その
動向には注意が必要だと思います。

話は変わりますが、下記の日程で開催される今年の秋の日本製薬団体連合会主催の第38回医薬品
GQP・GMP研究会では、「GDPガイドライン素案(2016年度版)に対する製造販売業者の実施状況概要」
の講演もあるようですので、興味がある方は参加してみてはいかがでしょうか。
<開催日程>
  東京:10月30日(火)
  大阪:11月2日(金)
  富山:11月15日(木)

☆次回は、11/1(木)に配信させていただきます。


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hashimoto@e-pros.co.jp

【発行責任者】 
株式会社プロス 
ASTROM通信』担当 橋本奈央子

2018.10.01

【最近のウォーニングレター】ASTROM通信<155号>

 ~安全な医薬品の安定供給をご支援する~ 

こんにちは 
ASTROM通信担当の橋本奈央子です。

台風24号の被害が心配なところですが、いかがお過ごしでいらっしゃいますか。

さて、今回は、下記の2つのテーマを取り上げたいと思います。 
1.アジアの医薬品製造業者6社がFDAから輸入警告措置を受けた件 
2.FDAの製造品質局から最近出たウォーニングレター(3件)

昨今、海外に化粧品を輸出する会社様が増えていますが、一部の化粧品は、アメリカでは化粧品では 
なくOTC医薬品に分類されます。 
アメリカでOTC医薬品と分類されれば、医薬品製造業者としてFDAの査察を受け、場合によっては 
ウォーニングレターを受け取る可能性があります。ウォーニングレターの1件目が、まさにそのケース
に あたります。

製薬会社様だけではなく化粧品製造会社様も是非、FDAが査察時に何を指摘するかを確認 してみて
いただければと思います。


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アジアの医薬品製造業者6社のFDA査察拒否 
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FDA(米国食品医薬品局)は、2018年8月に、FDAで計画された査察を拒んだアジアの6つの 
医薬品製造業者(中国4社、インド1社、韓国1社)を輸入警告措置(99-32)のリストに 
加え、社名と製品名を公表しました。 
立入またはFDA職員の査察の拒否は、何かがおかしいという印象を与え、製造、加工、包装 
された製品は不良であると強く疑われます。 
これらの医薬品製造業者が査察を拒んだ理由はまだわかっていません。 
出典:https://www.gmp-publishing.com/en/gmp-news/gmp-aktuell/asia-fda-inspection-refused.html 
   https://www.accessdata.fda.gov/cms_ia/importalert_521.html


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最近のウォーニングレターの概要   
注:文中のXXはウォーニングレターでマスキングされている文言です。 
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■WL:320-18-67 中国の製造所の査察(2018/3/26~2018/3/29)でみつかった医薬品製造における重大な 
CGMP違反に関する2018/7/31付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。 
1.貴社は、出荷前に、医薬品の各ロットについて、各有効成分の同一性、力価を含む規格を十分に 
  満たすかどうか試験室の判断を行うことを怠った。 
貴社はOTC医薬品であるローションXX(有効成分XX)、クリームXX(有効成分XX)、クリームXX(有効 
成分XX)を、有効成分の同一性と力価に関する適切な試験をせずに出荷した。この試験なしに、貴社は、 
製品が規格に従うかどうか判断できない。 
2.貴社は、医薬品の各成分の同一性を確認するために少なくとも1回の試験を実施することを怠った。 
  また貴社は、適切な間隔で、成分の供給者の分析試験の信頼性を検証し証明することを怠った。 
貴社は、入荷した、有効成分XX、XXを含む原料の試験を怠った。また、XXのような添加物の同一性、 
純度、力価、その他の適切な品質特性に関する試験が不足していた。代わりに、貴社は、供給者の 
適格性評価を通じて、供給者の分析の信頼性を証明することなく、供給者からの分析証明書(COA)を 
信頼した。 
3.貴社は、ロットが既に販売されたかどうかに関わらず、ロットやその成分の、説明のつかない規格 
  との不一致や不具合を徹底的に調査することを怠った。 
貴社は、製品XXロットXXの保存サンプルの一次包材(チューブ)が、XX(出荷時)から黄色に変わって 
しまっていたことを発見した後、2018年1月29日に調査を開始した。貴社の調査は、供給者が、一次包材用 
に誤った材料を送ったと判断した。また貴社は、この逸脱の、容器に入れる製品への影響を評価すること 
を怠った。さらに、貴社は、正しくない包装材料による他の販売済の製品ロットに影響があるかどうかの 
判断を怠った。 
4.貴社は、貴社が製造する医薬品が、それが持つとされる同一性、力価、品質、純度を持つことを保証 
  するために設計された製造と工程管理に関する手順を文書化して制定することを怠った。 
貴社は、製品を製造するために使用する工程をバリデートしていなかった。例えば、貴社は、工程の性能 
適格性評価の研究を実施しなかった。また、安定した製造作業と一貫した医薬品の品質を保証するために 
工程管理のモニタリングに関する継続的なプログラムが不足している。 
●受託業者としての責任 
医薬品はCGMPに従って製造されなければならない。FDAは、多数の医薬品製造業者が、製造設備、試験機関、 
包装業者、ラベル業者などの独立した受託業者を使用していることを知っている。FDAは、受託業者を 
製造業者の延長としてみなす。 
貴社には、プロダクトオーナーとの契約があるかどうかに関わらず、受託設備として、貴社が製造した 
医薬品の品質に関する責任がある。貴社には、医薬品が安全性、同一性、濃度、品質、純度に関し、 
連邦食品・医薬品・化粧品法(FD&C Act)に従って製造されたことを保証することが求められる。 
●全体的な対応 
貴社は回答で、CGMPに関する査察結果の重要性を認めているが、限定された是正処置の情報しか提供せず、 
是正処置が貴社の作業や販売される医薬品にCGMP順守をもたらすことを裏付けるための詳細な情報や 
エビデンスを提供しなかった。貴社は回答の中で、自分たちは化粧品製造業者であると述べ、自分たちが 
医薬品を製造している意識がなく、顧客と一緒に製品ラベルを改訂するつもりであると述べた。 
この文書で述べた通り、貴社が製造しアメリカに販売している製品は、医薬品とみなされる。FD&C Actは、 
その使用目的が診断、治療、緩和、手当、疾病の予防である場合や、人や動物の身体の組織や機能に 
影響を与えることを意図する場合、医薬品と定義する。 
我々は、貴社が、適用されるCGMP要件に合致することを助けるコンサルタントを雇うことを勧める。貴社 
のコンサルタントの使用は、CGMPを順守するための貴社の義務を軽減するものではない。貴社の経営陣 
には、全ての不備を解決し、継続的なCGMP順守を保証する責任が残る。 
●結論 
FDAは2018年7月16日、貴社に輸入警告措置66-40をとった。 
出典:https://www.fda.gov/ICECI/EnforcementActions/WarningLetters/ucm617355.htm

■WL:320-18-68 カナダの製造所の査察(2018/3/12~2018/3/16)でみつかった医薬品製造における重大な 
CGMP違反に関する2018/8/1付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。 
1.貴社は、出荷前に、医薬品の各ロットについて、各有効成分の同一性、力価を含む規格を十分に 
  満たすかどうか試験室の判断を行うことを怠った。また、貴社は、好ましくない微生物が含まれない 
  ことが求められる医薬品の各ロットについて、必要な試験を行うことを怠った。 
貴社は、各有効成分の同一性、力価の試験をせずに、アメリカ市場にOTC医薬品を出荷した。さらに、 
貴社は、各ロットについて、微生物の総数と好ましくない微生物に関する試験をせずにこれらの医薬品を 
出荷した。最終製品試験は、貴社により製造された製品の各ロットが化学及び微生物学的な規格を満たす 
ことを保証するために不可欠である。 
2.貴社は、医薬品の各成分の同一性を確認するために少なくとも1つの試験を実施することを怠った。 
  また、貴社は、適切な間隔で供給者の分析試験をバリデートし、信頼性を証明することを怠った。 
貴社は、入荷した有効成分の同一性試験を実施することを怠った。また、貴社は入荷した有効成分及び 
その他の成分が、純度、力価、その他の規格に従うことを判断するための試験を実施することを怠った。 
代わりに、貴社は、適格性評価を通じて供給者の分析の信頼性を証明することなく、供給者から得た 
分析証明書(COA)を信頼した。 
3.貴社は、製造過程の原材料や製品の特性の変動を引き起こす原因となりうる製造工程の生産量を 
  モニタし、性能をバリデートするため管理手順を制定してそれに従うことを怠った。 
貴社は、貴社の製品を製造するために使用される工程をバリデートしていなかった。貴社は、工程の 
適格性評価の研究を実施することを怠り、安定した作業と一貫した医薬品の品質を保証するために工程 
の管理をモニタリングするための継続的なプログラムに欠けていた。 
●CGMPコンサルタントの推奨 
貴社は、アメリカに医薬品とみなされる製品を輸出しないつもりだと述べたが、もし貴社がアメリカ市場 
向けに医薬品の製造を再開するのであれば、我々が貴社で発見した違反の性質に基づき、我々は、CGMP 
要件を満たす手助けをする適格なコンサルタントを雇うことを強く勧める。また、我々は、貴社がFDAの 
求める状態を遵守しようとする前に、適格なコンサルタントが、貴社の全ての作業のCGMP順守について 
包括的な監査を実施し、貴社が実施してきた全ての是正処置・予防処置の完了と効果を評価することを 
勧める。貴社のコンサルタントの使用は、CGMPを順守するための貴社の義務を軽減するものではない。 
貴社の経営陣には、全ての不備を解決し、継続的なCGMP順守を保証する責任が残る。 
●結論 
FDAは2018年7月24日、貴社に輸入警告措置66-40をとった。 
出典:https://www.fda.gov/ICECI/EnforcementActions/WarningLetters/ucm616280.htm

■WL:320-18-69 インドの製造所の査察(2017/11/6~2017/11/17)でみつかった医薬品製造における重大 
なCGMP違反に関する2018/8/9付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。 
1.貴社は、ロットが既に販売されたかどうかに関わらず、ロットやその成分の、説明のつかない規格と 
  の不一致や不具合を徹底的に調査することを怠った。 
貴社の規格外試験結果(OOS)と製造の逸脱の調査は不十分で、科学的裏付けのある結論を含んでいない。 
例えば: 
A.貴社は、カプセルXXの製造中に、XXの場所で採取したサンプルを試験した。相対標準偏差(RSD)は 
  OOS:XX%(規格はXX%以下)だった。その後貴社は、保管しているカプセルを試験し、このロットに関し 
  更なるOOSの結果を得た。1つは、XX%(規格はXX%~XX%)の結果を示し、RSDはXX%(規格はXX%以下) 
  だった。 
  貴社は、OOSの結果を除外し、合格としてXX%の新しい値を使いRSDを再計算した。 
  貴社は、保管しているカプセルを試験せず、同じロットを2016年12月17日の生体利用効率の検証で 
  使用した後、約1ヶ月半がたつまで、不合格のカプセルの調査をしなかった。 
  貴社は、不合格を試験室の原因不明のエラーのせいにしたので、貴社の回答は不適切である。貴社 
  は、低い分析試験結果は異常値であり、もっとも可能性のある根本原因は分析のエラーであると 
  主張した。製品のばらつきが何か評価されている場合は、異常値の試験の適用はない。貴社は、低い 
  試験結果を捨てる、または、試験室の根本原因が不明という曖昧な結論を支持するための十分な正当性 
  を提出しなかった。 
B.貴社は、錠剤XXの3ヶ月の安定性試験サンプルの規格外試験結果(OOS)や傾向外試験結果(OOT)の分析 
  結果の調査を開始した。貴社の2017年5月の調査で、貴社は、1ヶ月時点でもOOTの結果を得たと述べた。 
  貴社は、OOSとOOTの結果は、サンプル準備中の分析者のエラーによると結論づけたが、貴社の結論を 
  裏付けるデータに欠けていた。貴社の調査に関連した試験は、サンプル準備で逸脱がなかった場合でも 
  大幅に分析値が変わらなかったので、サンプル準備が異常な結果の原因となることを立証しなかった。 
  Site Incident Response Committeeが調査の開始を要求したが、貴社は、製造に調査の範囲を広げな 
  かった。貴社は、我々の査察の後に、製造段階の調査を実施した。 
  貴社は、第三者が9件の無効にされたOOSの調査の回顧的レビュを実施し、”全てのケースで、調査は、 
  十分で安定したものであり、調査結果は十分に根拠がある“と説明した。しかし、これは第三者の報告 
  と完全には一致していない。この個別のOOSの調査に関し、第三者の報告は、” 再試験を正当化する 
  ための試験室のOOSの調査過程で、十分に科学的なエビデンスが提出されたとは思わなかった。 
  再試験で合格結果が得られた試験のみが、結論の根拠になっている。“と述べている。 
C.不十分なクロマトグラフィーや不合格の結果を調査するために使用される差異調査チェックリスト(VIC) 
  と差異調査報告(VIR)は不適切である。これらのVICとVIRの調査は、貴社のOOSの調査手順に含まれず、 
  貴社は、それらを追跡したり傾向分析をしたりしていない。我々の査察は、貴社が、もともとの結果 
  を差し替えるためにVICやVIRの調査で得られた試験結果を使ったことを確認した。さらに、貴社の 
  職員は、顧客に低い試験結果を見せたくないので、VIRの調査の一部としてサンプルを再試験したと述べた。 
  貴社は、全てのVICとVIRの調査の回顧的レビュの結果を提供しなかったので、貴社の回答は不十分である。 
D.2017年8月8日と9日に、貴社は錠剤XXの2ロットに、継ぎ目があり、端のすりきれた錠剤をみつけた。 
  貴社は、これらの欠陥により、各ロットから相当な数の錠剤を不合格にした。貴社は調査を開始し 
  2017年9月7日に終了し、もっとも可能性のある根本原因は、XXの強い力によると結論づけたが、その 
  範囲内で問題なく製造された他のロットがあるので、この根本原因を裏付ける科学的なエビデンスが 
  欠けていた。2017年10月に、継ぎ目のある錠剤のある第三のロットの発見後、貴社は別の調査を開始した。 
  貴社は、錠剤の欠陥は、複数の根本原因によるかもしれないので、問題の調査を続けると回答した。 
  しかし、貴社の回答は、継ぎ目のある錠剤の調査の詳細の最新情報が不足している。また貴社は、 
  調査と一緒に開始した是正処置・予防処置(CAPA)を回答に含めなかった。 
この文書への回答の中で、 
・カプセルXXのロットXXは、なぜ、試験と調査活動が完了する前に出荷され生体利用効率の検証で使用 
 されたかを説明せよ。また、貴社の手順は、ロットの出荷前に全ての試験と調査を終えることを求めて 
 いるかどうか述べよ。 
・異常値の試験が、前のOOSの調査で使用されたかどうかを判断するために3年間の回顧的レビュを実施せよ。 
 また、不適切に無効化されたOOSの結果に、それらが使用されたかどうかを判断せよ。 
・2015年1月1日以降に開始された全てのVIRとVICの回顧的レビュに関する報告と関連したCAPAの情報を提出 
 せよ。それぞれのVIRとVICの第三者の評価と、貴社の最終報告を含めよ。 
・サンプルの収集と試験及び結果の評価を含む、XXの一様性を評価するために貴社が使用する手順を評価せよ。 
・試験室及び製造に関する逸脱、標準に合致しない出来事、苦情、OOSの結果、不具合の調査に関する貴社の 
 総合的なシステムの包括的で独立した評価を提出せよ。 
 貴社のCAPAの計画には、これに限定されないが、調査の能力、根本原因の分析、文書化された手順、品質 
 部門の管理の改善を含めるべきである。また、CAPAの効果を評価するための改善された手順を含めよ。 
2.貴社は、適切な製造過程の規格を制定することを怠った。 
貴社は、XXの品質を保証するための製造過程の適切な規格を制定することを怠った。我々の査察中、貴社の 
経営陣は、原材料がXXだったので、XXは試験されず、分析が規格から外れたかもしれないと説明した。OOSの 
XXは、規格を満たすために他のロットと一緒にXXされるべきではなかった。 
貴社は、工程のフロー図が、XXのXXは、XXステップとXXステップで、別々に投入されることを示していて、 
分けて試験されていないと回答している。貴社は、XXは不完全なので、XX段階での分析試験は、重大な品質 
特性ではないと述べた。また、貴社は、このXXの試験は、プロセスバリデーション中に実施しなかったこと 
を認めた。貴社の回答は不適切である。XXは個々に試験され、適切な規格を満たすことが確認されなければ 
ならない。 
この文書への回答の中で、XXがXXの品質特性について試験されることを保証するために、現在の手順を修正 
せよ。貴社の手順に行われた全ての改訂を提出せよ。同様の方法で製造された全ての製品のリストを提供せよ。 
使用期限内にあり、この方法で製造された全てのロットへの影響の評価を含めよ。 
●品質部門の権限 
貴社の調査の履歴は、貴社の品質部門が、例えば、適切な調査が実施され、根本原因を確認し、科学的な 
正当性の裏付けがある合理的な結論に達することを保証するような権限を行使していないことを示している。 
貴社は、品質部門に対し、その責任を果たし、医薬品の品質を一貫して保証するために、適切な権限、十分 
なリソースと職員を提供しなければならない。 
●品質システム 
貴社の品質システムは不適切である。FDAのガイダンスを見よ。 
●複数製造所での繰り返しの違反と逸脱 
FDAは、貴社の系列内の、この製造所や他の製造所で、類似のCGMPの違反や逸脱を挙げてきた。最近の 
5年間で、FDAは貴社におけるCGMPの違反や逸脱に対する回答に対し、以下の対応をとってきた。 
1.FDAは、OOSの調査と文書化の不履行に対し、2014年4月1日に輸入警告措置をとり、2014年6月16日に 
  ウォーニングレターを発行した。 
2.FDAは、品質管理部門に適用される文書化された手順の順守の不履行に対し、2014年9月22日に輸入警告 
  措置をとり、2015年1月30日にウォーニングレターを発行した。 
FDAは複数の規制会議の中で、貴社の経営陣に対する、適切でグローバルな品質の監視の必要性について 
やりとりをしてきた。複数製造所でのこれらの繰り返しの不具合は、経営陣の医薬品製造の監督と管理が 
不適切であることを示している。 
貴社の品質システムは、貴社の製造所で作られた医薬品の安全性、有効性、品質を保証するために必要な 
効果的な是正処置を実施していなかった。 
●CGMPコンサルタントの推奨 
貴社は、繰り返しの違反の是正を怠っているので、我々は、CGMP要件を満たす手助けをする適格なコンサル 
タントを雇うことを強く勧める。貴社のコンサルタントの使用は、CGMPを順守するための貴社の義務を軽減 
するものではない。また、我々は、貴社がFDAの求める状態を遵守しようとする前に、適格なコンサルタント 
が、貴社の全ての作業のCGMP順守について包括的な監査を実施し、貴社が実施してきた全ての是正処置・ 
予防処置の完了と効果を評価することを勧める。 
貴社の経営陣には、全ての不備を解決し、継続的なCGMP順守を保証する責任が残る。 
●結論 
この文書に挙げた違反は、全ての違反のリストではない。貴社は、これらの違反を調査し、原因を特定し、 
再発を防止し、貴社の全ての製造所での違反を防止する責任がある。 
FDAは2018年4月12日、貴社に輸入警告措置66-40をとった。 
出典:https://www.fda.gov/ICECI/EnforcementActions/WarningLetters/ucm616444.htm


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まとめ 
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いかがでしたでしょうか。 
ウォーニングレターの1件目を見ると、自身がプロダクトオーナーではなく受託製造を行っている化粧品 
製造会社であっても、アメリカで医薬品とみなされる製品を製造して輸出している場合、ウォーニング 
レターを受け取っていることがわかります。

昨今、海外に輸出をされる化粧品製造会社様が非常に増えていますが、アメリカに輸出をされる場合は、 
以下の点には十分注意する必要があります。 
・日焼け止めのクリームやローションは、アメリカでは、化粧品ではなくOTC医薬品とみなされること 
 (日焼け止め以外でも、使用目的が診断、治療、緩和、手当、疾病の予防である場合や、人や動物の 
  身体の組織や機能に影響を与えることを意図する場合、医薬品とみなされます) 
・外部に委託している化粧品会社は、委託先の適格性を確認しておく必要があるのはもちろんですが、 
 受託製造会社も連邦食品・医薬品・化粧品法(FD&C Act)に従って製造を行う必要があること


☆次回は、10/15(月)に配信させていただきます。

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