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2018.05.15

【PIC/S GMPガイドライン改訂&最近のウォーニングレター】ASTROM通信<146号>

 ~安全な医薬品の安定供給をご支援する~ 

こんにちは 
ASTROM通信担当の橋本奈央子です。

寒かったり暑かったりと、気候が一定しないこの頃ですが、いかがお過ごしでいらっしゃいますか。

さて、今回のメールマガジンでは、下記の2点を取り上げたいと思います。 
1.PIC/S GMP ガイドライン Part 1 3章、5章、8章の改訂について 
2.ASTROM通信145号に引き続き、最近FDA(米国食品医薬品局)の製造品質局から出たウォーニング 
  レター5件

皆様の業務に参考にしていただければ幸いです。


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1.PIC/S GMP ガイドライン Part 1 3章、5章、8章の改訂  
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PIC/S GMP ガイドライン パート1の3章(建物及び設備)、5章(製造)、8章(苦情及び製品回収) 
が、EU GMP ガイドラインの3章、5章、8章に基づいて改訂され、2018年7月1日から施行されることに 
なりました。改訂版はじきに公開されることになっています。 
注)EU GMP ガイドラインの3章、5章、8章は、2015年3月1日から施行されています。

<改訂のポイント> 
3章:交差汚染防止の要件が追加されています。 
5章:交差汚染防止の要件が追加され、供給者の適格性評価が変更されています。 
8章:製品回収の関連で、品質欠陥の評価に関する品質マネジメントシステムへの期待が拡大されて 
  います。

PIC/S GMP ガイドラインとEU GMP ガイドラインは、多少の言葉の違いはありますが、内容的にほとんど 
違いはありませんので、EU GMP ガイドラインのほうで確認してみたところ、3章は3.6項が変わる程度で 
済みそうですが、5章は5.17項、8章は全体的に改訂されることになりそうです。

PIC/S GMP ガイドラインが改訂されますと、厚生労働省から“「PIC/SのGMP ガイドラインを活用する 
際の考え方について」 の一部改正について”の事務連絡も出ることになると思われます。 
前回の場合、PIC/S GMP ガイドラインが2017年1月1日に改訂され、厚生労働省の事務連絡は 
2017年8月9日に出ていました。 
PIC/S GMP ガイドラインの改訂版の内容 及び 厚生労働省の事務連絡の発出に注意が必要です。

■PIC/S GMP ガイドライン改訂について 
 https://www.picscheme.org/newsletters/5aefefa46412d 
■EU GMP ガイドライン 
 https://ec.europa.eu/health/documents/eudralex/vol-4_en


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2.最近のウォーニングレターの概要   
注:文中のXXはウォーニングレターでマスキングされている文言です。 
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■WL:320-18-40 インドの製造所の査察(2017/9/4~2017/9/8)でみつかった原薬製造における重大な 
CGMP違反に関する2018/3/9付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。 
1.開放形装置が使用される場所で原薬の汚染のリスクを最小化するための適切な予防措置をとること 
  を怠った。 
原薬製造設備の一部は、屋外に開いている。我々の査察官は、設備内の医薬品製造に使用される開放形 
装置の近くで鳥や虫のような害虫・害獣を発見した。これらの存在は、医薬品に汚染のリスクを与える。 
貴社は開放形装置を使って医薬品を製造している時の汚染のリスクを防ぐための適切な予防措置をとる 
ことを怠った。 
貴社は是正及び予防処置(CAPA)を約束したが、製品への品質や安全性の潜在的なリスクに対処して 
いないので、貴社の回答は不十分である。 
この文書への回答の中で、アメリカ向けに製造され販売されたリテスト期限内の全ての医薬品のリスク 
評価を提出せよ。全てのXX、中間体、害虫・害獣により汚染された可能性のある医薬品の評価を含めよ。 
2.原薬製造において、意図した使用・洗浄のための適切な設計と適合性をもった装置を持つことを怠っ  
  た。 
製造工程のXX及びXX段階で、貴社はXX容器を使用する。貴社の回答で、貴社は、XXの水は、XXの容器の 
洗浄に使用されると述べた。しかし、貴社の洗浄工程は不十分である。貴社は、XXから染み出る異物や 
その他の不純物の汚染を防げるという正当な理由に欠いている。さらに、貴社の装置は、再現性良く洗浄 
するのが難しい。 
貴社は回答で、XXは部分的にXXまで水と一緒に保管されていると述べた。XXででき、部分的に貯留水で 
満たされている容器の使用は、汚染のリスクを増やすだろう。さらに、装置の表面は、簡単に洗浄可能で、 
付加的な、吸収性がある、または反応性の高い性質を防ぐために建造されるべきである。 
この文書への回答の中で、 
・許容できないXX装置を、意図した使用にあった素材で作られた装置への交換を約束せよ。 
不適切な装置を使ってアメリカ向けに製造され販売されたリテスト期限内の全ての医薬品のリスクアセス 
 メントを提供せよ。装置の表面が、反応性が高く、吸収性があり、または付加的で、医薬品の品質・ 
 純度・安全性に影響を与えるかものなのかどうかを判断せよ。 
3.貴社の製造工程があらかじめ定められた品質属性を満たす原薬を再現性よく製造できることを示す 
  ことを怠った。 
我々の査察中、貴社は、原薬XXの製造工程を適切にバリデートすることを怠ったと認めた。さらに、我々 
の査察で、貴社の工程は、XX段階での適切な管理に欠けていることを発見した。約2年間を通して、 
24バッチが詳細不明の不純物によるOOSの試験結果を生んだ。貴社はこれらの不適合なバッチを不合格とし、 
それらのいくつかを再処理した。 
工程の適格性評価用バッチの製造の前に、全てのばらつきの重大な原因を特定し、作業全体の堅固な管理 
を開発しなければならない。貴社のプロセスバリデーションプログラムは、工程の再現性を支えるために、 
商業生産作業における工程パラメータとその他の変数に対処していない。貴社のプロセスバリデーション 
プログラムは、商業生産状態で、工程が好ましい品質の製品を一貫して製造できるかどうかを判断する 
ために十分な情報とデータを提供することが不可欠である。 
貴社は回答の中で、貴社の調査とバッチの不具合に対する適時性の回答が不十分であり、また、正式な 
変更管理をせずに工程の変更が開始されたことを認めた。貴社は不純物に関する規格と同一性を満たした 
たくさんのバッチから得られたデータを提供した。しかしこのデータは、適切な工程設計、管理、CAPA, 
変更管理の代わりにはならないし、貴社の工程が堅固であるという貴社の主張を十分に裏付けはしない。 
貴社は、安定した製造作業と一貫した医薬品の品質を保証するための工程管理をモニタリングするための 
適切な継続的プログラムを持っていない。 
この文書への回答の中で、下記の情報を提供せよ。 
・製品のライフサイクルを通じて、ばらつきの原因を特定し、堅固なデザインと管理を定め、バッチ内と 
 バッチ間のばらつきの監視を保証するデータ駆動型の、科学的に合理的なプロセスバリデーションプロ 
 グラム。また、工程の適格性評価手順と最近のバリデーションから得られた結果。 
・バリデーションバッチの安定性試験から得られる結果。 
・貴社の変更管理システムの包括的で独立した評価と改善。評価には、これに限定されないが、変更が 
 適切に正当化され、貴社の品質部門に承認され、効果が評価されることの保証を含めるべきである。 
 また、2015年9月1日以後の適切な変更管理手順の外で実施された全ての変更と製品品質への影響の回顧 
 的評価を含めよ。 
・CAPAシステムの包括的で独立した評価と改善。評価は、これに限定されないが、2015年9月1日以後の 
 全てのCAPAの効果の回顧的分析を含めよ。 
・医薬品の品質リスクとXXの不純物の毒性の評価。また、制定された不純物の規格を含む不純物の最新の 
 調査結果と、貴社の工程の改善(自動化を含む)が効果的であるという評価を提出せよ。 
●コンサルタントの推奨 
我々が貴社で発見した違反の性質に基づき、我々は、CGMP要件を満たす手助けをする適格なコンサルタント 
を雇うことを強く勧める。貴社のコンサルタントの使用は、CGMPを順守するための貴社の義務を軽減する 
ものではない。貴社の経営陣には、全ての不備を解決し、継続的なCGMP順守を保証する責任が残る。 
●結論 
FDAは2017年12月13日、貴社に輸入警告措置66-40をとった。 
出典:https://www.fda.gov/ICECI/EnforcementActions/WarningLetters/ucm600931.htm

■WL:320-18-41 インドの製造所の査察(2017/5/25~2017/5/31)でみつかった原薬製造における重大な 
CGMP違反に関する2018/3/15付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。 
1.OOSの結果の適切な調査と適切な是正処置の不履行 
貴社のOOSの結果の調査は不十分だった。 
例えば、多くの場合、貴社は、結果の無効化を裏付けるための試験室の第一段階の調査をせず、リテスト 
の結果に基づいて、もともとの不合格の結果を無視した。また、潜在的な根本原因に関し製造作業を評価 
するための第二段階の調査も不足していた。 
貴社の回答は、OOSの結果の回顧的なレビュを含んでいた。貴社のレビュは、CAPAの不足を含んだ再発の 
パターン、調査が不十分な類似のOOSの結果を示している。貴社は、もともとのOOSの発生からかなりの時間 
が経過してしまっているので、不合格の結果について、信頼できる回顧的な根本原因の特定と、判断に 
関する科学的に論理的な根拠を提供することは不可能であると回答に付け加えている。試験室の失敗という 
仮説に関する信頼できる情報と科学的なエビデンスを提供するためには、タイムリーな調査が不可欠である。 
我々は2015年2月から2017年4月の間で、OOSの結果としてではなく、“インシデント(出来事)”として、 
多数のOOSの結果が調査されたことを発見した。貴社のインシデントの手順は、OOSの結果の実質的な調査 
を必要としない。貴社は回答で、この手順は不十分で、それゆえに、OOSの結果に関する貴社の判断は十分 
な調査と科学的に論理的な根拠により裏付けされていないと認めた。 
貴社は、適切な科学的正当性もなくOOSの結果を無効化しないことと、今後OOSの手順を使用することを約束 
した。 
この文書への回答の中で以下の情報を提供せよ。 
・アメリカ市場向け製品で得られた全ての無効化されたOOS(工程試験及び最終試験)の結果の回顧的レビュ 
 科学的正当性とエビデンスは決定的なものか評価せよ。最終的に試験室が根本原因であるとした調査に 
 関し、CAPAが十分であることを判断し、改善に関し、同じ根本原因に対して脆弱な他の試験室の手順が 
 改善により特定されることを保証せよ。最終的に試験室が根本原因であるかどうかに関わらず、いかなる 
 OOSについても、製造の徹底的なレビュ(例:バッチの製造記録、製造手順の適切性、原材料、工程の 
 能力、逸脱の記録、バッチの不合格の記録)を含めよ。それらのそれぞれの調査に関し、製造の根本原因 
 の可能性が判断されたものは、適切な工程の改善を含むCAPAの計画を提出せよ。 
・OOSの結果の調査に関する貴社のシステムの独立した評価 
 貴社の設備のOOSの調査を修正するためのCAPAを含めよ。CAPAの要素には、これに限定されないが、OOSの 
 結果に関する即時の試験室の調査、調査への強化された品質保証の参加、試験室の管理とは逆の傾向の 
 特定、第二段階の製造品質調査の適切な開始を含めよ。 
・逸脱、普通でない出来事、OOSの結果、苦情、不合格の調査を含む、貴社の全般的な調査システムの独立 
 した評価とCAPA 
 CAPAは、これに限定されないが、調査の能力の改善、手順の改善、調査の監督をする品質部門の十分な 
 改善を含めるべきである。 
2.試験手順に関する試験室の完全な管理記録の保持の不履行 
いくつかの場合、貴社は、試験されアメリカ市場に販売された原薬に関する完全なデータを保持することを 
怠った。例えば、我々は、同一性試験のサンプル重量、参照基準と試薬のバッチ/ロット数、装置の識別情報、 
関連する化合物に関する薄層の完全なクロマトグラフィ―のデータがない試験データシートを発見した。 
この文書への回答の中で 
・データ、記録、報告の不十分な点について、包括的な調査結果を提出せよ。 
 省略、変更、削除、記録の破壊、非同時の記録の完成、その他の不備について特定せよ。 
 さらに、CGMP情報が記録・保持されていな貴社の設備の作業の全ての部分について述べよ。 
 貴社の作業を通して、データの記録と、記録の保持の手順を修正するためのCAPAを含めよ。 
試験室の管理と製品の品質を評価のうえでの不完全なデータの影響のリスクアセスメントの要約を提出 
 せよ。 
試験室の記録が完全であることを保証するための包括的な是正処置を対象となる日付と一緒に提出せよ。 
●設備の継続的な観察 
以前の査察(2011年5月15日~17日、2014年4月14日~18日)において、FDAは同様の不備を挙げた。貴社は、 
回答の中でこれらの不備に対する特別な是正を提案した。これらの再発する逸脱は、貴社の医薬品製造に 
関する設備の監督・管理が不十分であることを示している。 
●コンサルタントの推奨 
我々が貴社で発見した違反の性質に基づき、我々は、CGMP要件を満たす手助けをする適格なコンサルタント 
を雇うことを強く勧める。貴社の作業のサードパーティによるレビュは、これに限定されないが、調査、 
試験室の管理、データマネジメントシステム、品質部門の権限とリソース、その他の品質システムに関する 
要素を包括的に監査し、貴社の作業の修正を助けなければならない。貴社のコンサルタントの使用は、 
CGMPを順守するための貴社の義務を軽減するものではない。貴社の経営陣には、全ての不備を解決し、 
継続的なCGMP順守を保証する責任が残る。 
●結論 
この文書で言及した違反は包括的なリストとしては表されていない。貴社は、これらの逸脱の調査、原因 
の特定、再発の防止、貴社の全ての設備内でのその他の違反の防止に責任を負う。 
貴社が全ての違反を完全に是正し、我々が、貴社がCGMPに準拠していることを確認するまで、FDAは 
いかなる新しい申請や医薬品製造者としての貴社の追補リストの承認を保留する。 
出典:https://www.fda.gov/ICECI/EnforcementActions/WarningLetters/ucm602671.htm

■WL:320-18-42 韓国の製造所の査察(2017/11/27~2017/12/1)でみつかった医薬品製造における重大な 
CGMP違反に関する2018/3/29付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。 
1.貴社は、制定した規格や標準に一致することを保証するために、全ての必要な試験から得られる完全 
  なデータが含まれる試験室の記録を残さなかった。 
貴社は、貴社のOTC医薬品に関し、貴社が実施した最終製品の微生物試験を検証するためのローデータを 
提供できなかった。 
2.貴社は医薬品の安定性を評価するための適切に文書化された試験プログラムを制定して従うことを 
  怠り、また、安定性試験の結果を適切な保管条件と有効期限を判断するために使用することを怠った。 
貴社の安定性試験は、貴社が製造するOTC医薬品がラベル表示された使用期間中、規格内におさまることを 
保証するのには不十分である。例えば、貴社は、ラベル表示された使用期間を裏付けるために、6週間の 
加速試験のみを実施した。貴社は、長期間の安定性試験を実施しなかった。 
貴社の安定性試験プログラムは、OTC医薬品の有効成分の分析を含んでいないので不十分である。さらに、 
安定性試験プログラムは、試験の方法、試験の頻度、または、使用される容器/栓システムに関する情報を 
含んでいない。 
3.貴社は、製造される製品の各ロットの完全な情報と一緒に、ロットの製造指図・記録を作成すること 
  を怠った。 
貴社のロットの記録は、これに限らないが、製造工程で使用される原材料の重量、測定、XX工程の開始 
及び終了時刻、製造工程の各重要な段階を確認するサイン、最終製品のラベルのコピーを含む重要な 
製造の詳細の記録を含んでいなかった。 
4.貴社は、医薬品の製造、加工、包装、または、保管において、目的の使用とその洗浄やメンテナンス 
  において、作業を容易にするために、適切なデザイン・適切なサイズで、適切に設置された装置を 
  使用することを怠った。 
貴社は製造、包装、貴社のOTC医薬品のリリース試験に使用される装置が、目的の使用において、作業を 
楽にする適切なデザインであることを示すための適格性評価をしなかった。 
●不適切な回答 
貴社の作業がCGMPに準拠するための是正処置の十分なエビデンスを提供しなかったので、貴社の回答は 
不適切である。貴社の回答は、貴社が提出した全ての是正処置を完了するまでにとられる暫定的な手段 
を含んでいなかった。さらに、貴社の回答は、これらの違反が、使用期限内で現在アメリカ市場にある 
OTC医薬品に与えうる影響について取り組んでいなかった。 
●コンサルタントの推奨 
我々が貴社で発見した違反の性質に基づき、我々は、CGMP要件を満たす手助けをする適格なコンサルタント 
を雇うことを強く勧める。第三者がCGMP順守に関し、貴社の全ての作業を包括的に監査すべきである。 
貴社の是正処置及び予防処置は、貴社が貴社のコンプライアンス状態の解決を図る前に、系統的な改善を 
確実にすることを助けるために、第三者により評価されるべきである。 
貴社のコンサルタントの使用は、CGMPを順守するための貴社の義務を軽減するものではない。貴社の経営陣 
には、全ての不備を解決し、継続的なCGMP順守を保証する責任が残る。 
●結論 
FDAは2018年3月8日、貴社に輸入警告措置66-40をとった。 
出典:https://www.fda.gov/ICECI/EnforcementActions/WarningLetters/ucm604272.htm

■WL:320-18-44 香港の製造所の査察(2017/9/25~2017/9/28)でみつかった医薬品製造における重大な 
CGMP違反に関する2018/4/6付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。 
1.貴社は、製品の各ロットについて、出荷前に、各有効成分の同一性、力価を含む最終規格に十分に 
  一致するという試験室の判断を怠った。また、好ましくない微生物を含まないことが求められる製品の 
  各ロットについて、必要とされる適切な試験室の試験を怠った。 
貴社は、アメリカ市場向けのOTC医薬品を、各有効成分の同一性、力価の試験をせずに出荷した。さらに、 
貴社は、これらの医薬品を好気性細菌数や好ましくない微生物に関する試験をせずに出荷した。 
試験は、貴社が製造した医薬品が、貴社が有するとうたう化学的・微生物学的特性に関して制定した規格に 
合致することを保証するために絶対不可欠である。 
貴社は、貴社の医薬品の製造工程に関し、新しいサンプリング手順を作るつもりであると回答したが貴社の 
回答は不十分である。貴社の回答は、貴社のOTC医薬品の最終規格の制定に関する詳細の提出を怠っている。 
また、貴社は、関連する試験方法の詳細や、貴社の試験方法がアメリカ薬局方と同等またはそれよりよい 
ことを示すための比較研究の詳細を提出しなかった。さらに、貴社の回答は、規格を満たすことを保証する 
ために、貴社が保管しているアメリカに出荷した医薬品のサンプルの回顧的試験を実施するかどうかに 
ついてもふれていない。 
この文書への回答の中で、貴社の新たに制定した試験方法と出荷前に製品の各ロットを分析するための規格 
を提出せよ。また、アメリカ市場に出荷された使用期限内の貴社製品の全てのロットの保管品の試験から 
得られた結果のサマリを提出せよ。もし、OOSの出荷ロットをみつけたら、顧客への通知や製品回収と 
いった貴社がとるつもりの是正処置を示せ。 
2.貴社は医薬品の各成分の同一性を検証するために少なくとも1試験を実施することを怠った。貴社は、 
  供給者の試験結果を適切な間隔でバリデーションすることを通じて、貴社が試験を実施する代わりに 
  貴社が信頼する供給者の成分分析の信頼性を規定することを怠った。 
貴社は、OTC医薬品の製造に使用される入荷した有効成分やその他の成分について、その同一性、純度、 
力価、その他の品質特性について判断するための試験を怠った。代わりに貴社は、適格性が評価されて 
いない供給者の分析証明書をもっぱら信用した。 
貴社は、入荷する有効成分やその他の成分の同一性試験を実施するつもりで、サンプリング手順を制定する 
つもりであると述べたが、貴社の回答は不十分である。貴社の回答は、貴社のOTC医薬品のために試験される 
べき有効成分やその他の成分のリストの提出を怠った。また、貴社は、貴社の有効成分やその他の成分に 
関する試験方法がアメリカ薬局方と同等またはそれよりよいことを示す詳細を提出しなかった。 
この文書への回答の中で、供給者の分析証明書が正当であることを証明するために、有効成分やその他の 
成分の試験から得られる結果のサマリを提出せよ。さらに、全ての有効成分とその他の成分の規格を提出 
せよ。それには、実施されるサンプリングと試験の説明を含めよ。 
3.貴社は、その医薬品が適切な安定性試験により裏付けされた使用期限を満たすことを保証することを 
  怠った。 
貴社は安定性プログラムを制定していなかった。貴社は、貴社のOTC医薬品の化学的及び物理的特性が 
ラベルに表示された使用期間中、許容可能な状態であることを示すためのデータに欠けていた。 
貴社は、加速試験を実施し、安定性プログラムを制定するつもりであると述べたが、貴社の回答は不十分 
である。貴社の回答は、タイムラインを含む安定性試験の手順を含んでいなかった。また、貴社は、安定 
性データの裏付けがない使用期限が設定されアメリカに出荷された製品のためのリスク評価や試験の実施 
をするかどうかにふれていなかった。 
この文書への回答の中で、アメリカ市場に出荷された貴社の全てのOTC医薬品が使用期間中、その規格を 
満たすことを示すための安定性データを提出せよ。また、現在実施中の安定性プログラムの手順を提出せよ。 
4.貴社は、貴社が製造した製品が、貴社のうたう同一性、力価、品質、純度を持つことを保証するめの 
  製造指図・記録に関する適切に文書化された手順を制定することを怠った。 
貴社は、貴社の医薬品を製造するために用いられる工程をバリデートしていなかった。貴社は、性能適格 
性評価を実施せず、安定した製造作業と一貫した品質を保証するための工程管理のモニタリングに関する 
継続的なプログラムに欠けていた。 
貴社は、重要な製造段階を判断するために製造工程を評価するつもりであると述べた。また、貴社は、 
製造記録の原本の改良を含む製造工程のコンカレントバリデーションを実施するつもりであると述べた 
が、貴社の回答は不十分である。貴社は、貴社のバリデーション手順の提供をしていない。また、貴社 
は、新たに制定された製造のプロセスパラメータに基づく、改訂された製造記録を提出しなかった。 
この文書への回答の中で、貴社の各医薬品に関する工程の適格性評価に関するタイムラインを提出せよ。 
さらに、ロット間とロット内のばらつきを定期的にモニタリングするための貴社のアプローチの詳細を 
提出せよ。また、新たに定義されたXX時間やXXスピード、温度、バルクのホールド・タイムなどの 
プロセスパラメータと共に、改訂された製造記録のドラフトを提出せよ。 
●CGMPコンサルタントの推奨 
我々は、査察中、貴社がコンサルタントと一緒に作業していることを知っている。しかし、我々が貴社 
で発見した違反の性質に基づき、我々は、CGMP要件を満たす手助けをする適格なコンサルタントを雇う 
ことを強く勧める。 
貴社のコンサルタントの使用は、CGMPを順守するための貴社の義務を軽減するものではない。貴社の 
経営陣には、全ての不備を解決し、継続的なCGMP順守を保証する責任が残る。 
●結論 
FDAは2018年1月18日、貴社に輸入警告措置66-40をとった。 
出典:https://www.fda.gov/ICECI/EnforcementActions/WarningLetters/ucm604456.htm

■WL:320-18-45 イギリスの製造所の査察(2017/7/24~2017/7/26)でみつかった医薬品製造における 
重大なCGMP違反に関する2018/4/9付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。 
1.貴社は、製品の各ロットについて、出荷前に、各有効成分の同一性、力価を含む最終規格に十分に 
  一致するという試験室の判断を怠った。 
貴社は、貴社のOTC医薬品XXが同一性・力価を含む規格に一致するかの試験をせずに出荷した。貴社は、 
試験手順、規格、製品の出荷を裏付ける分析データに欠けていた。 
貴社は回答の中で、今は、他にもあるが、“最終製品試験”に関する文書化されたSOPを持っていると 
述べた。しかし、貴社はこれらのSOPまたは貴社の医薬品を出荷するために貴社の契約試験室が使用して 
いる規格のコピーを提供しなかった。 
この文書への回答の中で、是正処置の計画と、全ての製品のロットが、アメリカへの出荷前に同一性と 
力価に関する試験がされていることを保証するための試験手順について述べよ。貴社の文書化された手順 
は、貴社の製品に関する試験の要件と、適切な許容可能な合格基準をもったバリデートされた試験方法を 
記述すべきである。 
2.貴社は、各成分のサンプルの、同一性、純度に関する文書化された全ての規格への一致、力価、品質 
  に関する試験を怠った。また、貴社は、供給者の試験結果を適切な間隔でバリデーションすることを 
  通じて、貴社が試験を実施する代わりに貴社が信頼する供給者の成分分析の信頼性を規定することを 
  怠った。 
貴社は、同一性、純度、力価、その他の規格を判断するために、XX製造のために使用する入荷した原材料 
の試験を怠った。 
代わりに、貴社は、適切なバリデーションを通して供給者の分析の信頼性を証明せず、少なくとも1つの 
同一性試験も実施せず、供給者の分析証明書から得られる結果を使用した。貴社は、貴社の成分の同一性 
を確認するために供給者の分析証明書を頼ってはならない。 
貴社は回答の中で、XXの製造に使用される全ての入荷原料について、規格に対する確認を行ったと言った。 
貴社は、入荷原料の試験に関する手順も、試験から得られる結果も提出しなかったので、貴社の回答は 
不十分である。さらに、貴社は、貴社の供給者の試験結果の信頼性をいかに証明するつもりかという情報 
を提出しなかった。 
この文書への回答の中で、入荷成分を試験するための手順を提出せよ。また、各成分の同一性、純度、 
力価、品質に関する文書化された規格への一致を試験するための計画の詳細の記述を提出せよ。 
貴社の製品に使用される全ての入荷成分の少なくとも1つの同一性試験をどう実施しようと考えているか 
を説明せよ。もし貴社が、純度、力価、品質に関する成分の試験を実施する代わりに貴社の供給者の 
分析証明書を受け入れるのならば、貴社の供給者の試験結果の信頼性を確認するための計画を説明せよ。 
3.貴社は、全ての成分、医薬品の容器、蓋、仕掛品、包装材料、ラベル、医薬品の合否を判断する責任 
  と権限を持った品質管理部門を制定することを怠った。 
貴社は品質管理部門が欠けていた。貴社は、CGMPの訓練、変更管理、年次製品照査、苦情処理、その他 
のさまざまな基本的な医薬品の製造・試験の作業の管理等、品質管理部門のたくさんの作業の文書化され 
た手順が欠けていた。 
貴社は回答の中で、貴社は小さな会社で、品質管理部門のリソースがないと述べた。貴社は、全ての品質 
関連文書のレビュと承認の責任を負っていると述べたが、貴社の回答は不十分である。会社のサイズに 
関わらず、医薬品製造業者として、貴社は、信頼できる作業を行うために責任を負い権限を持った品質部門 
を持たなければならない。 
この文書への回答の中で、貴社が、品質部門の職務を行う職員に関する定義された役割と責任をいかに制定 
するかを説明せよ。これらの個人は、一貫した医薬品の品質を保証するための責任を果たすために、適切な 
権限と十分なリソースを持っていなければならない。 
4.貴社は、貴社が製造した医薬品が、貴社がうたう同一性、力価、品質、純度を持つためことを保証する 
  ための製造指図・記録に関する適切に文書化された手順を制定することを怠った。 
貴社は、安定した製造作業と一貫した医薬品の品質を保証するための工程管理のモニタリングに関する 
継続的なプログラムを含む、貴社OTC医薬品XXのプロセスバリデーションが欠けている。 
貴社は、回答の中で、プロセスバリデーションの計画にふれなかった。 
この文書への回答の中で、貴社のバリデーション計画を提出せよ。貴社の製品に関する工程の性能適格性 
評価を実施するためのタイムラインと、バッチ間のばらつきの継続的なモニタリングに関する貴社のアプ 
ローチを含めよ。 
5.貴社は、貴社が製造した各ロットの完全な情報と一緒に、ロットの製造指図・記録を作成することを 
  怠った。 
貴社の製造指図・記録は、仕掛品や最終製品が品質要件を満たすことを保証するためのプロセスパラ 
メータを定義して文書化していなかった。例えば、貴社のロットの記録は、同一性、装置、実際のXX時間、 
温度、充填及び包装作業段階、歩留まり率のような情報を含んでいなかった。 
貴社は回答で、ロットの記録は、この情報を含むために修正されたと述べた。貴社は、これらのロットの 
記録のコピーを提出しなかったので、貴社の回答は不十分である。 
この文書への回答の中で、貴社の医薬品が、それぞれの重要なバリデートされた製造段階で完全に文書化 
されていることを示すために、貴社の医薬品の製造指図・記録原本を提出せよ。また、貴社の医薬品XXの 
サイン済の製造指図・記録を提出せよ。 
●コンサルタントの推奨 
我々が貴社で発見した違反の性質に基づき、我々は、CGMP要件を満たす手助けをする適格なコンサルタント 
を雇うことを強く勧める。 
貴社のコンサルタントの使用は、CGMPを順守するための貴社の義務を軽減するものではない。貴社の経営陣 
には、全ての不備を解決し、継続的なCGMP順守を保証する責任が残る。 
●結論 
この文書で言及した違反は包括的なリストとしては表されていない。貴社は、これらの違反の調査、原因の 
特定、再発の防止、貴社の全ての設備内でのその他の違反の防止に責任を負う。 
貴社が全ての違反を完全に是正し、我々が、貴社がCGMPに準拠していることを確認するまで、FDAはいかなる 
新しい申請や医薬品製造者としての貴社の追補リストの承認を保留する。 
出典:https://www.fda.gov/ICECI/EnforcementActions/WarningLetters/ucm604560.htm


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 
まとめ 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 
いかがでしたでしょうか。 
1つ目の、PIC/S GMP ガイドライン Part 1 3章、5章、8章の改訂。 
特に5章、8章部分の改訂は、かなりインパクトがあるため、PIC/Sの改訂版の公開や、厚労省の事務連絡の 
動きに十分注意しておく必要があると思います。 

2つ目の、ウォーニングレターの話題。今回、5件のうち、WL:320-18-42,44,45の3件で、製造・指図記録の 
中味についての指摘している点が印象的でした。 
どの製薬会社様も、製造・指図記録書には、細かい大量の指図・記録をされていると思いますが、それらが、 
安定した製造作業と一貫した品質を保証するという視点で、内容的に足りているのか、また逆に、過剰な記録 
になっていないか、定期的に見直してみる必要があると思いました。

☆次回は、6/1(金)に配信させていただきます。

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今後このような情報が必要ない方は、お手数ですが、こちらに配信停止依頼のメールを お願いいたします。 
hashimoto@e-pros.co.jp
【発行責任者】 
株式会社プロス 
ASTROM通信』担当 橋本奈央子

2018.05.01

【最近のウォーニングレター】ASTROM通信<145号>

 ~安全な医薬品の安定供給をご支援する~ 
株式会社プロス 
太田和宏様

こんにちは 
ASTROM通信担当の橋本奈央子です。

9連休真っ只中の方も多いかもしれませんが、いかがお過ごしでいらっしゃいますか。

さて、今回のメールマガジンでは、最近FDA(米国食品医薬品局)の製造品質局から出たウォーニング 
レター5件について取り上げたいと思います。

アメリカ市場に輸出がありFDAの査察を受ける機会のある会社様はもちろん、それ以外の会社様も、 
どんなことでGMP上の指摘を受ける可能性があるのかをご確認いただき、参考にしていただければと 
思います。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 
最近のウォーニングレターの概要   
注:文中のXXはウォーニングレターでマスキングされている文言です。 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 
■WL:320-18-35 インドの製造所の査察(2017/9/11~2017/9/15)でみつかった原薬製造における重大な 
CGMP違反に関する2018/2/16付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。 
1.貴社は、貴社の原薬が制定された規格や標準に従うことを保証するために実施された全ての試験室 
  の試験から得られる完全なデータを保持することを怠った。 
我々の査察官は、貴社が試験室のデータを偽造していることを発見した。例えば、コロニー形成単位(CFU) 
の試験の数は、貴社の報告書に記録された数と相当違っていた。貴社の分析者は、我々査察官が発見した数 
よりはるかに少なくCFUを報告していた。さらに、貴社は好ましくない微生物を検出するために使用された 
培地上での成長がないと報告したが、査察官はこの培地での成長を発見した。 
我々は、貴社の、リスクアセスメントに基づく原薬XXとXXの製造の一次中止の決断と、データ・インテ 
グリティの評価のサードパーティへの約束を認識している。また、我々は貴社の、販売した製品に関する 
リスク分析とデータレビュを行うという約束、水システムXXを消毒しバリデートするという約束を認識 
している。 
我々はアメリカ向けの原薬XXとXXの製造を再開する前に、FDAに通知することを求める。 
この文書への回答の中で、この文書の下にあるデータ・インテグリティの改善の章に要求した通りの 
データ・インテグリティの改善努力の情報を提出せよ。さらに、下記の内容を提出せよ。 
・水システムの設計・管理・メンテナンスの独立した評価 
・水システムの設計、管理、メンテナンスの改善に関する包括的な是正処置及び予防処置(CAPA)の計画 
・貴社の水システムXXのバリデーション報告 
継続的な管理とメンテナンスに関する貴社のプログラムだけでなく、水システムの設計の改善に関する 
 概要 
このシステムに関し現在貴社が使用する微生物の総数と内毒素の限界値 
2.装置を適切に維持することを怠り、主要な装置のメンテナンスの完全な記録を保管することを怠った。 
我々査察官は多品種用装置の傷ついた製品接触表面を発見した。例えば、XXのガスケット111のマンホール 
は劣化し、剥離テープで包まれていた。XXの上のガスケット102も一部が割れ、剥離テープで包まれていた。 
貴社のSOP/ENG/39-1『装置のガスケットの管理及び製品と直接つながるパイプライン』の4.18章で、XX111 
及びXXのXX102のガスケットを含む重要なエリアのガスケットの交換を定めていた。貴社は査察中、この 
装置に関するガスケットの交換の記録を提出できなかった。 
さらに、XXのXX102のガスケットの状態に関する貴社のチェックの最新の記録は、2017年1月からだった。 
これは2015年2月の査察での発見の繰り返しである。我々は、貴社が原薬の粒子の苦情の根本原因がガス 
ケットの劣化であると気づいていたことも知っている。 
貴社の回答は不適切である。貴社は、関係するガスケットはすぐに交換されたと述べたが、貴社の製造 
装置の他の全てのガスケットは評価しなかった。貴社は、手順に製品の接触表面の評価をするために 
管理者の実地調査を義務付けるよう改善するつもりであることを示したが、十分な詳細(例:装置の調査 
の頻度)が含まれていなかった。また、貴社は、ガスケットのメンテナンスの記録の欠如に取り組むこと 
を怠っていた。 
この文書への回答の中で、全ての装置に関する貴社のメンテナンスプログラムに取り組むための包括的な 
アセスメント、是正処置及び予防処置(CAPA)を提出せよ。このシステムのアセスメントとCAPAは、貴社の 
メンテナンス記録の不備も改善すべきである。さらに、ガスケットのアセスメントと予防メンテナンス交換 
要求の頻度を明記した手順を提出せよ。 
3.貴社の品質部門は、品質関連の苦情が調査され解決されることを保証することを怠った。 
貴社の品質部門は原薬XXの顧客の苦情を徹底的に調査しなかった。例えば、貴社は、原薬XXの中の黒い点に 
関する2015年12月31日の苦情CC1/P/11を、十分なレビュをせずに”マイナーで不当な苦情“と識別した。 
貴社は、装置のガスケットが同様の過去の苦情の根本原因であると発見していたのに、製造記録や装置の 
洗浄及びメンテナンスのログの詳細なレビュをしなかった。 
さらに、貴社は、XXの水分含量のOOSの結果に関する2015年4月20日の苦情CC1/P/01を、十分なレビュをせず 
に”マイナーで不当な苦情“と識別した。苦情のあったバッチと3つの過去のバッチの保管サンプルのテスト 
をしたが、貴社の調査は、原薬の乾燥工程などの製造記録のレビュが不足していた。 
貴社は回答の中で、全ての調査の独立したレビュを行い、逸脱・苦情・調査の文書化された手順を最新化 
すると約束した。しかし、貴社の回答は、貴社がいかに調査システムを包括的に改善するつもりかの詳細が 
欠けていた。 
この文書への回答の中で、包括的な独立したレビュと、逸脱・苦情・欠陥・OOS・不具合の徹底的で 
タイムリーで効果的な調査を保証するために用いるシステムの改善についての情報を提出せよ。 
4.中間体や原薬の製造に使用する建物や設備を適切に維持することを怠った。 
製造ブロックのXXセクション内のトイレ装置が、壊れたタイルや流れない水により不潔な状態にあるのが 
みつかった。さらに、貴社の設備の100,000クラス(ISO-8)エリアのXX及びXXセクションの手指消毒ステー 
ションは目に見えるほど汚かった。 
貴社の回答で、これらのエリアの改築を約束した。しかし、貴社はこれらのエリアの定期的な洗浄と予防的 
メンテナンスの詳細を提出しなかった。 
この文書への回答の中で、貴社の設備の洗浄とメンテナンスのプログラムの包括的な評価を提供せよ。 
これだけではないが、貴社のトイレ装置と手指消毒ステーションを含む貴社の設備の定期的な洗浄とメンテ 
ナンスのプログラムも提出せよ。 
5.洗浄及びトイレの設備の適切な清掃を行う職員を準備することを怠った。 
貴社の手指消毒ステーションは不便なところにあり、完全に実用的でなかった。例えば、貴社の設備のXX 
及びXXセクションの100,000クラス用の手指消毒ステーションは、トイレ設備の中にあり、既に更衣と手袋 
を着用済の職員のみが使用できた。手指消毒ステーションは、お湯、石鹸、手の乾燥装置が無かった。 
これは、2015年2月の査察での発見の繰り返しである。 
我々は、100,000クラスのクリーンルームの更衣エリア内に、一時的な手指消毒ステーションの組み込みと、 
恒久的なステーションの建設に関する貴社の約束を認識している。 
●繰り返しの逸脱 
2015年2月2日~6日の前回の査察において、FDAは同様のCGMPの逸脱を挙げた。2015年と2017年の査察に 
対する貴社の回答において、貴社はこれらの逸脱に関する明確な改善を提案した。しかし、繰り返しの 
逸脱は、医薬品の製造における貴社の設備の監督と管理が不十分であることを示している。 
●コンサルタントの推奨 
我々が貴社で発見した違反の性質に基づき、我々は、CGMP要件を満たす手助けをする適格なコンサルタ 
ントを雇うことを強く勧める。コンサルタントは、貴社の全てのシステム、工程、最終的には貴社が製造する 
製品がFDAの要件に一致することを保証するために、製造作業をすぐに包括的に評価しなければならない。特に、 
この適格性のあるサードパーティのコンサルタントは、徹底的に評価し、データ・インテグリティ、試験室、 
調査、メンテナンスプログラム、貴社の品質の監督に関する改善の手助けをしなければならない。貴社の 
コンサルタントの使用は、CGMPを順守するための貴社の義務を軽減するものではない。貴社の経営陣には、 
全ての不備を解決し、継続的なCGMP順守を保証する責任が残る。 
●データ・インテグリティの改善 
貴社の品質システムは、貴社が製造した薬の安全性、効果、品質を裏付けるデータの正確性・完全性を適切 
に保証していない。 
この文書への回答において、次の情報を提供せよ。 
A.アメリカ向けに販売された製品のデータレビュの結果を含む、データの記録と報告における不正確さの 
  範囲に対する包括的な調査 
B.貴社の薬の品質で発見された問題に関する影響の可能性についての現在のリスクアセスメント 
  アセスメントにはデータ・インテグリティの欠落の影響を受けた薬の出荷により引き起こされた患者 
  のリスクと、継続的な稼動によるリスクの分析を含めるべきである。 
C.全体的な是正処置及び予防処置の計画の詳細を含む貴社の管理の戦略 
●結論 
この文書で言及した違反は包括的なリストとしては表されていない。貴社は、これらの違反の調査、原因の 
特定、再発の防止、貴社の全ての設備内でのその他の違反の防止に責任を負う。 
貴社が全ての違反を完全に是正し、我々が、貴社がCGMPに準拠していることを確認するまで、FDAはいかなる 
新しい申請や医薬品製造者としての貴社の追補リストの承認を保留する。 
出典:https://www.fda.gov/ICECI/EnforcementActions/WarningLetters/ucm597706.htm

■WL:320-18-36 香港の製造所の査察(2017/9/25~2017/9/29)でみつかった医薬品製造における重大な 
CGMP違反に関する2018/2/23付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。 
1.貴社は、製品の各バッチに関し、出荷前に、各有効成分の同一性、力価を含む最終規格に十分に一致 
  するという試験室の判断を怠った。また、好ましくない微生物を含まないことが求められる製品の 
  各バッチに関し、適切な試験室の試験を怠った。 
貴社は、各バッチの出荷前に、規格への一致について、OTC医薬品である局所液体鎮痛薬の全バッチの試験 
を怠った。例えば、貴社は、2013年から2016年に出荷された鎮痛薬のローションの各バッチについて、 
微生物限度試験を実施しなかった。代わりに、貴社は、2013年に1バッチの微生物限度試験を実施し、 
アメリカ市場向けに続いて製造されたバッチを出荷するために同じ結果を報告した。 
貴社は、最終製品の試験を実施するために契約試験室も使っている。貴社の最終製品は、XXの有効成分を 
含んでいるが、契約試験室は、貴社が製品の出荷の際に任せている最終製品試験の中で、それらの有効成分 
の1つの力価と同一性のみ試験をした。 
2.貴社は、貴社の製造した医薬品が、それが持つとされる同一性、力価、品質、純度を持つことを保証 
  するための文書化された製造と工程管理の手順を制定することを怠った。 
貴社はOTC医薬品の製造に使用される工程をバリデートしていなかった。貴社は性能適格性評価を実施せず、 
安定した製造作業と一貫した品質を保証するための工程管理の継続的なプログラムも不足していた。 
3.貴社は製品の各成分の同一性を検証するための試験を少なくとも1回怠った。 
貴社は、入荷した医薬品の有効成分の試験を怠り、また、その他の成分について、製造工程にて使用される 
前に同一性、純度、力価、品質の試験を怠った。 
4.貴社は医薬品の安定性を評価するための適切に文書化された試験プログラムを制定して従うことを怠 
  り、また、安定性試験の結果を適切な保管条件と有効期限を判断するために使用することを怠った。 
貴社は、製品の安定性の適切な評価をせずにXX年の使用有効期限の書かれたラベルを製品に貼った。貴社は、 
指定した使用有効期限を裏付けるための適切な安定性試験データを持っていなかった。 
我々は、貴社が、CGMP査察結果に関するForm483に対し、2017年11月14日にFDAに回答したことを認識して 
いる。上記の違反を含むCGMP査察結果に対する貴社の回答は、貴社の作業がCGMPを順守するための是正処置 
の十分なエビデンスを提出していないので、不十分である。 
●コンサルタントの推奨 
我々が貴社で発見した違反の性質に基づき、我々は、CGMP要件を満たす手助けをする適格なコンサルタ 
ントを雇うことを強く勧める。貴社のコンサルタントの使用は、CGMPを順守するための貴社の義務を軽減 
するものではない。貴社の経営陣には、全ての不備を解決し、継続的なCGMP順守を保証する責任が残る。 
●虚偽表示の違反 
・製品のラベルに有効成分とその割合、添加物がうたわれていない。 
有効成分として使用されている成分が製品のラベル上に有効成分としてうたわれていない。 
・製品のラベルに“指示された以外に使ってはいけない”といった、表示を義務付けられた警告をのせて 
 いない。 
●結論 
FDAは2018年1月8日、貴社に輸入警告措置66-40をとった。 
出典:https://www.fda.gov/ICECI/EnforcementActions/WarningLetters/ucm598447.htm

■WL:320-18-37 中国の製造所の査察(2017/8/14~2017/8/18)でみつかった医薬品製造における重大な 
CGMP違反に関する2018/2/23付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。 
1.貴社は、制定した規格や標準に一致することを保証するために、全ての必要な試験から得られる完全な 
  データが含まれる試験室の記録を確保しなかった。 
貴社は、貴社のOTC医薬品の紙や電子記録の変更を防ぐための基本的な試験室の管理が欠けていた。貴社は、 
XXスプレーの3バッチとXXの1バッチの分析試験のデータを提供できなかった。我々は、これらの4バッチの 
分析証明書が、製造され試験される前に作られたことを発見した。 
質問した時、貴社は、アメリカ市場向けのXXスプレー及びXX医薬品の出荷・販売を支えるために使用された 
分析証明書の分析試験結果を偽造したと認めた。 
さらに我々は3つの電子データのファイルが、XXスプレーの最終製品試験に使用するスタンドアロンのHPLC 
(高速液体クロマトグラフィ)システムのゴミ箱にあるのを発見した。この装置はバックアップと監査証跡 
の機能が欠けているので、我々は、公式なバッチ試験の前に得られた試験データがどれだけ頻繁に捨てられて 
いるかを判断できなかった。貴社は、これらの電子ファイルがなぜ消去されたか説明できなかった。 
CGMP関連データは、バッチの廃棄に関して、品質部門が適切な評価と決定を可能にし、継続的な管理を証明 
するために、試験室によって保持されなければならない。 
回答の中で、貴社は、全ての試験関連の記録の保持と定期的なデータのレビュの実施を義務付ける改訂された 
手順を提出した。貴社は、CGMP要件に従うために貴社の分析装置をグレードアップすることも約束したが、 
貴社の回答は不十分である。 
貴社は、他の電子データシステムにおける不十分なデータ保管を対象とする回顧的な評価と、貴社の製品への 
潜在的な影響の評価を実施しなかった。貴社の回答は、監査証跡機能の詳細な情報の提供や、新しいHPLC 
システムのバリデーションの適切な記述を怠っている。この文書の下の部分のデータ・インテグリティの 
改善の章を見よ。 
2.貴社は医薬品の各成分の同一性を検証するために少なくとも1試験を実施することを怠った。貴社は、 
  供給者の試験結果を適切な間隔でバリデーションすることを通じて、貴社が試験を実施する代わりに 
  貴社が信頼する供給者の成分分析の信頼性を規定することを怠った。 
貴社では、XXスプレーとOTC医薬品XXを製造するために使用された入荷原薬のXX及びXXロットの同一性試験が 
不足していた。貴社は、文書化された純度、力価、品質に関する全ての規格に従うことを保証するため、 
原薬供給者の分析証明書の信頼性を立証するための試験をすることを怠った。 
回答の中で、貴社は、サードパーティの試験室は入荷した原薬の同一性について各バッチを試験し、供給者の 
分析証明書を確認するつもりであると述べたが貴社の回答は不十分である。貴社は入荷した成分の試験に関する 
プログラムに十分に取り組んでいなかった。また、入荷した各成分が、供給者の分析証明書と照らして検証され 
たことを示す試験結果を提出しなかった。 
この文書への回答の中で、原薬及びその他の成分に関する以下の情報を提供せよ。 
・全ての成分に関する、貴社の現在の入荷ロットのリリース規格 
入荷した各ロットが同一性に関して試験されたことを保証する貴社の手順 
2017年9月以来入荷した全ての成分のロットに関する同一性確認試験の結果 
成分の各供給者により提供された分析証明書の正当性を立証するために実施された全ての検証のサマリ 
3.貴社は医薬品の安定性を評価するための適切に文書化された試験プログラムに従うことを怠り、また、 
  安定性試験の結果を適切な保管条件と有効期限を判断するために使用することを怠った。 
貴社はXXスプレーのバッチXXとXXスプレーのバッチXXの含有量に関する安定性と、微生物の属性を試験しな 
かった。また、分析方法は安定性を示さなかった。 
回答の中で、貴社は、有効成分と微生物限度を含む安定性属性に関し、全てのロットを試験するつもりである 
と述べ、改訂した手順を提出したが貴社の回答は不適切である。 
貴社は、是正処置に先立ち、現在市場にあるバッチが有効期限を通じて全ての適切な品質特性を満たすことを 
示すデータを提出することを怠ったので、貴社の回答は不十分である。 
この文書への回答の中で、是正処置を実施する前に、現在市場にあるバッチが全ての適切な品質特性を満たすか 
どうかを示すXX及びXXに関する安定性データの全てのサマリを提出せよ。また、現在市場にあるXXとXXのバッチ 
を評価するために使用される安定性を示す方法を提出せよ。 
●サンプル結果 
FDAの査察前の2016年9月に、FDAは貴社のOTC医薬品XXスプレーのバッチXXのサンプルを留め置き、試験をした。 
このバッチはラベルに表示されているもののほぼ2倍の有効成分を含むことがわかった。FDAにより留め置き試験 
された後のバッチも同様にものすごい結果になった。貴社は、XXスプレーの処方を組み直し、USP(米国薬局方) 
にならって試験方法を改訂することを約束した。 
●データ・インテグリティの改善 
貴社の品質システムは、貴社が製造した薬の安全性、効果、品質を裏付けるデータの正確性・完全性を適切に 
保証していない。我々は、貴社の改善を支える適格性のあるコンサルタントを雇うことを強く勧める。 
この文書への回答において、次の情報を提供せよ。 
A.データの記録と報告における不正確さの範囲に対する包括的な調査 
  調査には下記を含めよ。 
  ・調査手順と方法論の詳細:アセスメントの対象となる全ての試験室・製造作業・システムの概要、貴社 
   が除外を検討している作業の正当性を示す理由 
  ・データの不完全性の性質・範囲・根本原因を特定するための現在及びかつての従業員の面接 
   我々は、これらの面接が適格な第三者により実施されることを推奨する。 
  ・貴社の設備におけるデータ・インテグリティの欠陥の範囲のアセスメント 
   データの省略、変更、削除、記録の破棄、非同時の記録の完成、その他の欠陥の特定をせよ。 
   貴社が発見したデータ・インテグリティの欠落箇所について、全ての設備の操作を述べよ。 
  ・貴社の作業を通じたデータ・インテグリティの欠陥の性質についての総合的な回顧的評価 
   我々は、違反の可能性のある分野の特別な専門知識をもった適格な第三者が、すべてのデータ・インテ 
   グリティの欠陥について評価することを推奨する。 
B.貴社の薬の品質で発見された問題に関する影響の可能性についての現在のリスクアセスメント 
  アセスメントにはデータ・インテグリティの欠落の影響を受けた薬の出荷により引き起こされた患者 
  のリスクと、継続的な稼動によるリスクの分析を含めるべきである。 
C.全体的な是正処置及び予防処置の計画の詳細を含む貴社の管理の戦略 
  貴社の戦略には下記のことを含めよ。 
  ・分析データ、製造記録、FDAに提出した全てのデータを含む貴社が生成した全てのデータの信頼性と 
   網羅性を保証するために貴社がどのようにするつもりかを述べた是正処置計画の詳細 
  ・現在の行動計画の範囲と深さが、調査とリスクアセスメントで見つかったことに釣り合うことを示す 
   エビデンスを含んだ、データ・インテグリティの欠落の根本原因の包括的な記述 
   データ・インテグリティの欠落に責任のある個人が、貴社のCGMP関連または薬の申請データに依然影響 
   を与えるかどうかを示すこと。 
  ・顧客への通知、製品の回収、追加試験の実施、安定性を保証するための安定性プログラムへのロットの 
   追加、薬の申請の活動、苦情のモニタリングの強化のような、患者を保護し、貴社の薬の品質を保証 
   するためにとられた処置、及び、これから取ろうとしている処置を述べた暫定的な手段 
  ・貴社のデータの完全性を保証するための、全ての改善の努力と、手順、工程、方法、管理、システム、 
   経営者の管理、人的資源(例:訓練、職員の配置の改善)の強化を述べた長期的手段 
・上記活動が既に進行中または完了といったステイタスの報告 
●コンサルタントの推奨 
我々が貴社で発見した違反の性質に基づき、我々は、CGMP要件を満たす手助けをする適格なコンサルタント 
を雇うことを強く勧める。データ・インテグリティの改善を助けることに加え、我々は、適格なコンサル 
タントが、CGMP要件に従うことを保証するために、貴社の設備、方法、管理、品質システムを包括的に監査 
することを求める。貴社のコンサルタントの使用は、CGMPを順守するための貴社の義務を軽減するものでは 
ない。貴社の経営陣には、全ての不備を解決し、継続的なCGMP順守を保証する責任が残る。 
●結論 
FDAは2017年12月28日、貴社に輸入警告措置66-40をとった。 
出典:https://www.fda.gov/ICECI/EnforcementActions/WarningLetters/ucm598585.htm

■WL:320-18-38 フランスの製造所の査察(2017/9/14~2017/9/15)でみつかった医薬品製造における重大 
なCGMP違反に関する2018/3/5付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。 
1.貴社は、試験方法を制定し、精度、感度、特異性、再現性を文書化することを怠った。 
例えば、貴社の顧客の医薬品を分析するための公定書に非収載の試験方法はバリデートされていなかった。 
貴社は回答の中で、分析証明書に顧客に分析がバリデートされていない試験方法を使って実施されている 
ことを知らせるコメントが追加されたと述べた。貴社は、今後の全ての試験方法は、試験室で得られた結果 
を正当化するために、適切に伝達されるかバリデートされる必要があるだろうとしらせることも約束した。 
貴社の回答は不十分である。CGMPの対象である医薬品の分析結果が正確であることを保証するためにバリ 
デートされた、もしくは、検証された方法を使用することが、試験の請負業者には絶対不可欠である。 
使用された試験方法が信頼できるという保証なしに、“結果は規格に従う”と分析証明書が報告する時、 
サプライチェインの説明責任は損なわれている。説明責任を果たさなければ、CGMP要件である貴社の試験 
方法がバリデートされ、その意図した目的にふさわしいことを保証しなければならない。 
さらに、貴社は、今後の分析に関し、貴社が試験方法のバリデーション及び/または変更に関する要件に 
ついて顧客に報告するつもりであると述べたが、貴社の回答は、貴社がバリデートされていない公定書に 
非収載の方法で以前に実施した全ての分析結果をいかにレビュするか、または、これらの要件に準拠して 
いない分析について顧客にいかに伝えるかについて対処していなかった。 
この文書への回答の中で、下記の情報を提供せよ。 
全ての公定書に非収載の試験方法についてのバリデーションまたは変更、及び、製品の出荷に関して試験 
 する貴社の施設における全ての公定書収載の試験方法の検証 
・アメリカ市場向けに出荷された製品の、バリデートも検証もされていない試験方法の使用の評価、及び 
 以前にバリデートも検証もされていない試験方法で試験された製品に関する顧客への伝達のための計画 
貴社の施設において使用される今後全ての公定書非収載の試験方法が適切にバリデートされるか、変更 
 されることと、全ての公定書収載の試験方法が使用前に検証されていることを保証するための手順 
2.貴社は、バッチが既に販売されたかどうかにかかわらず、説明のつかない規格との不一致、バッチや 
  成分の規格への不適合について、徹底的な調査を怠った。 
XXのサンプル15/0871のもともとの原子吸光分析は、OOSだった。サンプルの再試験もまたOOSだった。 
3つ目のサンプルが再試験され、規格内になった。貴社は、OOSの結果を、正当や理由は文書化された調査も 
なく無効にした。 
貴社の回答において、貴社は、先の標本と試験で使用された汚れたガラス器具が不具合の根本原因だと 
述べた。貴社は、試験前のガラス器具のすすぎが問題を解決したと主張した。 
原因とした根本原因の科学的正当性がなく、適切な是正処置・予防処置をとっていないので、、貴社の 
回答は不適切である。 
これに限定されないが、貴社の品質管理部門、実験室、調査システム、文書システム、その他の貴社の 
作業は、契約試験室として実施する作業に適用されるCGMP規則に準拠しなければならない。FDAの業界 
向けガイダンスに記載されているように、試験室は、OOSの結果を受けて分析方法の重要な意味のある 
エラーなのかを判断するための初期のアセスメントを実施すべきである。その評価の後、実験室は、製造 
会社の品質管理部門に、そのデータ、調査結果、証明となる文書を伝えなければならない。 
FDAは、受託業者を製造業者の延長とみなしている。貴社のCGMP違反は、貴社がクライアントのために 
試験した製品の品質、安全性、有効性に影響するかもしれない。貴社は、CGMPに完全に準拠して作業する 
という貴社の責任を理解し、これらの薬の試験中にみつかった重大な問題を全ての顧客にしらせることが 
不可欠である。代わりに、貴社のクライアント(例:医薬品製造業者、スポンサー)は、信頼できる試験 
方法の実施を支援するために必要な全ての科学的データと情報を貴社に提供しなければならない。 
貴社の手順には、CGMPの対象となる各分析に関するバリデートされた試験方法の使用を含まれなければ 
ならない。貴社は、最終製品の廃棄決定の評価と検討のために全ての試験結果を提供するので、重要で 
ある。OOSの結果に関する貴社の調査が、原因を見つけない場合、全ての試験結果は分析証明書上で顧客に 
報告さればければならない。我々は、OOSの報告書が顧客に提出されることと、貴社が試験した製品に関し、 
使用する試験方法の適合性に影響を与える重要な情報を顧客から得るための手順のステップを含めること 
を勧める。 
この文書への回答の中で、下記の情報を提供せよ。 
結果が科学的な正当性なしに無効化されたかどうかを判断するための、全てのOOSの結果の回顧的レビュ 
 貴社のレビュは、文書化された調査が実施されていない事象と、これらの逸脱を貴社のクライアントに 
 伝える計画も確認すべきである。調査結果と共に、貴社のレビュ報告、再発を防止するためのCAPAの 
 計画を提出せよ。 
・OOSの調査に関する貴社の改訂された文書化された手順 
●品質協定 
貴社と貴社の顧客XXは、貴社の医薬品に使用されるはずの試験方法を指定した品質協定を持っている。 
貴社は、医薬品の成分試験について、アメリカ薬局方の使用に関する品質協定に記述されている手順に従 
うことを怠った。貴社は、試験方法を変更する前に、品質協定の要求通りに顧客の事前承認を得ることを 
怠った。 
●結論 
この文書で言及した違反は包括的なリストとしては表されていない。貴社は、これらの違反の調査、原因の 
特定、再発の防止、貴社の全ての設備内でのその他の違反の防止に責任を負う。 
貴社が全ての違反を完全に是正し、我々が、貴社がCGMPに準拠していることを確認するまで、FDAはいかなる 
新しい申請や医薬品製造者としての貴社の追補リストの承認を保留する。 
出典:https://www.fda.gov/ICECI/EnforcementActions/WarningLetters/ucm599876.htm

■WL:320-18-39 ドミニカ共和国の製造所の査察(2017/6/5~2017/6/9)でみつかった医薬品製造における 
重大なCGMP違反に関する2018/3/9付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。 
1.貴社は、適切なサイズの具体的に定義されたエリア内で作業を実施すること、分離されたエリアまたは 
  定義されたエリアまたは汚染や取り違えを防ぐために必要なその他の管理システムを持つことを怠った。 
貴社はXXと非XXの製品を同じ設備内で製造する。例えば、XXとXXはOTC医薬品の非XXと一緒に製造 
される。貴社は、貴社の設備で製造される他の医薬品に容認できないXX汚染のリスクを引き起こさせる 
XXの製造設備を、完全に徹底的に分離しなかった。 
この文書への回答の中で 
・貴社の設備で製造され、アメリカ市場に出荷された全てのバッチをまとめ、同じ設備内で製造作業が実施 
 されたXXと非XXの影響の徹底的なリスクアセスメントを実施せよ。 
・XX汚染の可能性のリスクがある、アメリカのサプライチェインの中にある全ての製品に対応するための、 
 顧客への通知と回収を含む、貴社が提案する市場でのアクションプランの要点を述べよ。 
・XX医薬品の製造に関し、貴社の設備を完全に徹底的に分離するための計画を提出せよ。XXを製造してきた 
 設備に関する以下の2つの選択肢の1つを約束せよ。 
 〇設備をXXの製造専用にせよ。我々は貴社に、設備をXX製造専用にすることを強く勧める。物理的に同じ 
  設備の中で他のいかなる製品を製造することも容認できない。もし貴社がこの選択肢を選ぶのなら、 
  実施のタイムラインを提出せよ。また、同じ設備の中で異なるクラスのXXが製造されることは適切で 
  ないと勧告されるだろう。我々の査察で、貴社が、分離された専用設備ではなく、同じ設備内で、異なる 
  市場向けのXXと非XXを製造しているのをかなり見つけた。 
 〇完全に設備を除染せよ。設備でXXの残留物を完全に除染するのは大いに難しい。もし貴社が除染し非XX 
  の製造だけを再開しようとするなら、設備の総合的な除染計画を提出せよ。また、設備中のXX及びXXの 
  残留物を検知するための高感度な測定方法を提出せよ。また、XXの非XX医薬品の中への交差汚染の全て 
  の潜在的な原因に対処せよ。貴社は、FDAが貴社の提案する除染計画、方法、手段が適切で、完全で、 
  徹底的に実施されたと判断し、FDAの査察で検証されるまで、アメリカのサプライチェインの中に 
  いかなる医薬品も導入すべきでない。 
2.貴社は、制定した規格や標準に一致することを保証するために、全ての必要な試験から得られる完全 
  なデータが含まれる試験室の記録を確保しなかった。 
貴社は、最終製品及び有効成分の分析試験から得られるデータが保持され、品質部門によりレビュされる 
ことを保証するのを怠った。例えば、我々の査察官は、分析者が分析中に生成された吸光度データを文書 
化することを怠り、計算結果のみ報告したことを発見した。 
貴社は、分析から得られた完全なデータを文書化して保持しなかったので、方法が守られ、データが正しい 
かどうかを評価することも、貴社の実験室の逸脱やばらつきの原因を実質的に調査することもできない。 
分析中に生成された全てのデータが保持され、実験室の手順が守られているか、原材料や製品が制定された 
規格に従うかどうかを判断するためにレビュすることは不可欠である。 
この文書への回答の中で、 
使用期限内のアメリカ市場向けに製造された全ての製品に関するデータの記録と報告の不備の包括的な 
 調査結果を提出せよ。脱落、変更、削除、破壊、非同時の記録の完成、その他の不備について確認せよ。 
 さらに、CGMPの情報が記録や保持されていない貴社の設備の作業の全ての部分について述べよ。 
 貴社の作業全体のデータの記録と保持の実施をするための是正処置及び予防処置(CAPA)を含めよ。 
不完全なデータが実験室の管理と製品品質の評価に与える影響をまとめたリスク評価を提出せよ。 
・分析や製造のデータを含む、貴社がどのように生成した全てのデータの信頼性と完全性を保証しようと 
 しているかを述べた詳細の是正処置を提出せよ。これには、貴社の文書化、データ評価、レビュ、保持、 
 品質監督実施の手順の詳細を含めるべきである。是正処置の効果をいかに評価するか要点を述べよ。 
3.貴社は試験方法の精度、感度、特異性、再現性を定め文書化することを怠った。 
貴社の有効成分及び最終製品の分析に用いられる分析手法はバリデートされず、特異性に欠けている。 
さらに、貴社は実験室の試験を行うために使用される機器のキャリブレーションや検証を行っていなかった 
ので、貴社の試験方法や機器が精確で信頼性のあるデータを生成したという保証がない。 
この文書への回答の中で、 
全てのアメリカ向け製品と原材料に関して実施された試験方法の適合性と、試験方法のバリデーション 
 (または公定書収載の方法に関する検証)の妥当性についての独立した評価を提出せよ。 
アメリカ向けに出荷される製品に関連して使用される全ての分析方法に関するバリデーション(または 
 公定書収載の方法に関する検証)を完結するためのアクションプランを提出せよ。 
・試験室のシステムと、試験の作業の改善を保証するCAPAの計画に関する包括的で独立したレビュ結果を 
 提出せよ。例えば、貴社の試験室のシステムのレビュには、これに限定されないが、全ての試験装置、 
 完全に改善されたキャリブレーションプログラム、職員の能力、監督管理、データシステム、その他の 
 試験室の管理の要素を含むべきである。 
●コンサルタントの推奨 
我々が貴社で発見した違反の性質に基づき、我々は、CGMP要件を満たす手助けをする適格なコンサルタント 
を雇うことを強く勧める。適格なサードパーティのコンサルタントが、適切な設備の設計、試験室の作業、 
記録の完全性、工程の管理と経営層の監督に重点を置いた、全ての試験室と製造の作業を含む貴社の設備を 
包括的に監査することも勧める。貴社の是正処置及び予防処置は、貴社のコンプライアンス状態の解決を 
求める前に、システムの改善を助けるためにサードパーティによって完全に評価されなければならない。 
貴社のコンサルタントの使用は、CGMPを順守するための貴社の義務を軽減するものではない。貴社の経営陣 
には、全ての不備を解決し、継続的なCGMP順守を保証する責任が残る。 
●結論 
FDAは2018年2月8日、貴社に輸入警告措置66-40をとった。 
出典:https://www.fda.gov/ICECI/EnforcementActions/WarningLetters/ucm601181.htm


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まとめ 
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いかがでしたでしょうか。 
今回のウォーニングレターは、5件とも試験に絡む指摘が含まれていた点が印象的でした。 
試験を行っていない、試験方法がバリデートされていない、試験のデータを保持していない、安定性試験が 
適切に行われていない等、指摘内容はいろいろありましたが、“品質”という重要な部分の管理の甘さが 
目立ちました。 
5件のうち4件は、改善のためにコンサルタントの使用が推奨され、そのうち3件は輸入警告措置がとられる 
という厳しい内容でした。 
この機会に、ウォーニングレターの指摘内容を参考に、自社の品質管理体制を再確認してみることをお勧め 
します。

☆次回は、5/15(火)に配信させていただきます。


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