ASTROM通信バックナンバー

月別アーカイブ

2018.02.15

【最近のウォーニングレター】ASTROM通信<140号>

 ~安全な医薬品の安定供給をご支援する~

こんにちは
ASTROM通信担当の橋本奈央子です。

まだまだ寒い日が続いていますが、いかがお過ごしでいらっしゃいますか。

さて今回は、最近FDA(米国食品医薬品局)から出たウォーニングレター5件について取り上げ、FDAがGMP
上のどのような点について指摘をしているのかを確認していきたいと思います。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
最近のウォーニングレターの概要
注:文中のXXはウォーニングレターでマスキングされている文言です
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
■WL:320-18-09 中国の製造所の査察(2017/6/19~2017/6/22)でみつかった医薬品製造における重大な
CGMP違反に関する2017/11/17付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。
1.貴社は、出荷前に、各有効成分の同一性や力価を含む、製品の規格への十分な一致についての、適切な
  実験室の判断の実施を怠った。
貴社は、同一性、力価を含む規格への一致に関する試験を実施せず、OTC医薬品を出荷した。
貴社は回答で、現在は、OTC医薬品の出荷前に、貴社または委託試験研究所が有効成分の含有量について
試験をしていると述べた。貴社はまた、FDAの貴社製造所の査察後に、委託試験研究所によって試験された
最終製品2ロットに関する試験結果を提出した。
2.貴社は、各成分が同一性、純度、力価、品質に関し、適切な文書化された規格への一致についてサンプル
  を試験することを怠った。
貴社は、適切な品質特性の規格順守のため、入荷した有効成分やその他の成分を適切に試験しなかった。
例えば、貴社の手順は、入荷する各原料のロットの同一性試験に関する要求を含んでいなかった。貴社は、
外観、重金属、微生物の特性に関する所定の受入試験のみ要求した。
貴社は回答で、現在は、製造への使用前に、規格に合致することを保証するために原材料を試験していると
述べた。貴社はまた、FDAの貴社製造所の査察後に、委託試験研究所によって試験された有効成分4バッチに
関する試験結果を提出した。
3.貴社は、適切な安定性試験により裏付けられた使用期限に貴社製品が耐えることの保証を怠った。
査察中、我々の査察官は、使用期限なしで、アメリカにOTC医薬品が出荷され、貴社は、これらの製品が有効
期間を通じて、その規格(例:有効成分の含有量)を満たすことを示す安定性データをもっていないことを
発見した。
貴社は回答で、”我々の顧客が安定性と有効期限に従うことをテストすると理解している“と述べた。貴社は
また、責任とOTC医薬品の使用期限を確認するために顧客に連絡中であると述べた。
●不適当な回答
貴社の2017年7月12日のFDAの査察結果に対する回答は不十分である。貴社は、貴社の作業がCGMPに完全に一致
するために是正処置をとっているという十分な証拠を提供しなかった。例えば、貴社は下記の提供を怠った。
・バッチの出荷判定前に各医薬品のバッチを分析するために、貴社(または委託試験室)により使用される
 品質管理試験の方法と規格
・有効成分の同一性と力価、及び、他のすべての品質特性(微生物の総数と好ましくない微生物を含む)に
 関する、アメリカ市場向け医薬品の試験から得られた日付順の試験結果のサマリ
・全ての入荷した成分に関する品質管理の合格基準と、各ロットに対して貴社が実施した試験
・供給者の分析証明をバリデートするための、全ての入荷した成分のXX試験から得られた試験結果のサマリ
 貴社はまた、同一性に関し、入荷した各成分の試験をすることを明言していなかった。
貴社が製造した製品の試験をする委託機関の適性を判断し監督するための貴社の手順(例:適格性評価、
 監査、責任の概要説明)のサマリ
・アメリカに販売される全ての医薬品が、指定された使用期限を通じて規格をみたすことを示すための
 安定性データと、現在進行中の安定性プログラムの標準操作手順(SOP)
CGMP要件順守の包括的な評価及び全ての改善を保証するCAPA計画
●コンサルタントの推奨
我々が貴社で発見した違反の性質に基づき、我々は、CGMP要件を満たす手助けをする適格なコンサルタント
を雇うことを強く勧める。貴社のコンサルタントの使用は、CGMPを順守するための貴社の義務を軽減する
ものではない。貴社の経営陣には、全ての不備を解決し、継続的なCGMP順守を保証する責任が残る。
●受託業者としての責任
医薬品はCGMPに従って製造されなければならない。FDAは、たくさんの医薬品製造業者が製造工場、試験研究
所、包装業者、ラベル貼付業者のような独立した受託業者を使用することを知っている。FDAは受託業者は、
製造業者の拡張と捉える。貴社は、貴社の製品オーナとの品質協定に関わらず、受託製造所として貴社が製造
した医薬品の品質に関して責任がある。貴社は、医薬品が、連邦食品・医薬品・化粧品法に従って製造されて
いることを保証する責任がある。
●結論
FDAは2017年9月14日、貴社に輸入警告措置66-40をとった。
出典:https://www.fda.gov/ICECI/EnforcementActions/WarningLetters/2017/ucm586711.htm

■WL:320-18-11 イタリアの製造所の査察(2017/6/19~2017/6/23)でみつかった医薬品製造における重大な
CGMP違反に関する2017/11/29付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。
1.貴社は、出荷前に、各有効成分の同一性や力価を含む、製品の規格への十分な一致についての、適切な
  実験室の判断の実施を怠った。
貴社は、出荷前及び販売前に、有効成分の同一性と力価に関する医薬品の試験を怠った。
2.貴社は、様々な供給者からの有効成分を含む成分の同一性を保証することを怠った。
貴社は貴社の製品の製造に使用する入荷した有効成分について、同一性、純度、力価、その他の規格について
判断するための試験を怠った。代わりに貴社は、適切なバリデーションを通じて供給者の分析の信頼性を証明
せずに、供給者の分析証明書に基づいてリリースをした。
3.貴社は、貴社が製造した医薬品が有するとうたう同一性、力価、品質、純度を持つことを保証するための、
  製造及び工程管理の文書化された手順を定めることを怠った。
貴社は、貴社の医薬品の製造工程をバリデートしていなかった。貴社は、製造工程が、バッチの均一性、
完全性、一貫性のある品質をうむことを保証することに欠けている。
4.貴社は、適切な安定性試験により裏付けられた使用期限に貴社製品が耐えることを保証することを怠った。
貴社は、我々査察官にOTC医薬品の使用期限を裏付けるための文書化された安定性プログラムがないと述べた。
●コンサルタントの推奨
もし貴社がアメリカ市場向けの薬の製造を再開する場合、我々は、CGMP要件を満たす手助けをする適格な
コンサルタントを雇うことを強く勧める。貴社のコンサルタントの使用は、CGMPを順守するための貴社の義務
を軽減するものではない。貴社の経営陣には、全ての不備を解決し、継続的なCGMP順守を保証する責任が残る。
●結論
FDAは2017年11月27日、貴社に輸入警告措置66-40をとった。
出典:https://www.fda.gov/ICECI/EnforcementActions/WarningLetters/2017/ucm592712.htm

■WL:320-18-14 中国の製造所の査察(2017/7/31~2017/8/3)でみつかった医薬品製造における重大なCGMP
違反に関する2017/12/5付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。
1.貴社は、医薬品の性質のための適切な洗浄とメンテナンス、公的またその他制定された要件を超えて
  医薬品の安全性、同一性、力価、品質、純度を変える誤動作や汚染を防ぐために適切な間隔で装置や器具を
  消毒、かつ/または、滅菌することを怠った。
例えば、査察官によって収集された写真のエビデンスに基づけば、アメリカ市場向けOTC医薬品を製造するため
に使用される貴社の充填機は不潔で、段ボールと汚れたぼろ布に囲まれていた。貴社はまた、10年以上前に設置
されて以来、XXシステムの消毒を怠った。
2.貴社は、貴社が製造した医薬品が有するとうたう同一性、力価、品質、純度を持つことを保証するための、
  製造及び工程管理の文書化された手順に従うことを怠った。また、作業の実行と同時に文書化することを
  怠った。
貴社は、製造と加工の手順に従うことを怠った。例えば、標準操作手順(SOP)HH/QB-03重要な製造ステップの
管理は、原材料の管理、XXと最終製品の微生物学的試験の実施、装置の洗浄、文書化、工程試験、製品の
出荷判定を求めている。貴社の回答は、これらの手順に従うのを怠ったことを認めた。
3.貴社は、出荷前に、各有効成分の同一性や力価を含む、製品の規格への十分な一致についての、適切な
  実験室の判断の実施を怠った。また、好ましくない微生物がいないことが要求される医薬品の各バッチに
  ついて、適切な実験室の試験を実施することを怠った。
貴社は、アメリカ市場向け医薬品の出荷判定を裏付ける試験記録を持っていなかった。貴社の技術者と品質保証
部長は微生物学的試験は実施されなかったと述べ、pH試験の記録はなく、XXやXXのような有効成分の濃度は確認
されていなかった。貴社は、いくつかの試験は、委託試験機関に送られたと述べたが、査察中、貴社はいかなる
試験報告も提供しなかった。
4.貴社は、様々な供給者からの有効成分、賦形剤を含む成分の同一性を保証することを怠った。
貴社は、入荷した有効成分、賦形剤を含む原材料のいかなる同一性試験も実施しなかった。貴社は、適格性が
評価されていない供給者からの分析証明書(COA)に頼っていると述べた。貴社は、適切な間隔で供給者の試験
結果の適切なバリデーションを通じて供給者の分析の信頼性を確認していなかった。
5.貴社は、製造された医薬品の各バッチの製造と管理に関する完全な情報と共にバッチの製造と管理の記録を
  作成することを怠った
貴社は、アメリカ市場向けに製造されたXXのXXバッチの記録を提供することを怠った。貴社は、我々の査察官に、
各バッチに関する記録はないと述べた。
●コンサルタントの推奨
我々が貴社で発見した違反の性質に基づき、我々は、CGMP要件を満たす手助けをする適格なコンサルタントを
雇うことを強く勧める。貴社のコンサルタントの使用は、CGMPを順守するための貴社の義務を軽減するものでは
ない。貴社の経営陣には、全ての不備を解決し、継続的なCGMP順守を保証する責任が残る。
●結論
FDAは2017年11月2、貴社に輸入警告措置66-40をとった。
出典:https://www.fda.gov/ICECI/EnforcementActions/WarningLetters/2017/ucm591795.htm

■WL:320-18-15 韓国の製造所の査察(2017/5/8~2017/5/12)でみつかった医薬品製造における重大なCGMP
違反に関する2017/12/13付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。
1.貴社は、全ての成分、容器、蓋、中間材料、包装材料、ラベル、契約のもと他社により製造、加工、包装、
  保管された医薬品を含む医薬品を承認したり不合格と判定したりする責任と権限を持った品質管理部門と、
  品質管理部門に適用する文書化された責任と手順を制定することを怠った。
貴社には、適切な品質部門がない。
貴社には、これだけではないが、苦情、逸脱、変更管理、供給者の適格性評価、バッチの出荷判定を含む様々な
機能に関する文書化された手順がない。
貴社は、アメリカ市場向けのOTC医薬品を製造するために委託製造業者を利用している。貴社は、委託製造業者
が製造し供給した製品の品質に責任があると述べた契約を、委託製造業者と結んでいる。しかし、貴社は、
有効成分の同一性や力価に関する出荷判定試験を貴社も委託業者も行っていないいくつかの製品を出荷した。
その結果、貴社の医薬品のいくつかは、有効成分の同一性と力価が規格に合っている確認なしに販売された
この文書に対する回答の中で、これだけではないが以下のことを含む、責任を果たす権限をもった適切な品質
管理部門を定める文書化された手順を提出せよ。
貴社のバッチのレビュと出荷判定の手順を定義した文書化された手
・加工、包装、保管などの全ての製造の段階で医薬品CGMPに従っていることを保証するための手順を含む、
 貴社の供給者と委託者の適格性評価、選択、監督プログラムを定めた文書化された手順
2.貴社は、製品の包装やラベル貼りに使用される前に代表的にサンプリングされ、受入の試験またはテストを
  されるラベル及び包装資材について、受入、識別、保管、取り扱い、サンプリング、試験、及び/または、
  テストについて述べた文書化された手順を持つことを怠った。
貴社は、文書化された手順なしに、医薬品の製造に使用するために、包装資材やラベル資材をリリースした。
貴社は我々の査察官に、バッチサイズに関わらず、包装資材のXXユニットだけを試験すると述べた。貴社は、
XXユニットが代表的なサンプルであることを示すデータを持っていなかった。
この文書に対する回答の中で、製造に使用する包装及びラベル資材に関する適切な手順を提出せよ
●委託業者の使用
OTC医薬品を含むすべての医薬品はCGMPに従って製造されなければならない。FDAは、たくさんの医薬品製造業者
が、製造工場、試験研究所、包装業者、ラベル貼付業者のような独立した委託業者を使用することを知っている。
FDAは、委託業者を製造業者の拡張と捉える。
品質協定があるかどうかに関わらず、貴社は、貴社が製造した医薬品の品質に関して責任がある。貴社は、
医薬品が、安全性、同一性、力価、品質、及び純度を保証するために、連邦食品・医薬品・化粧品法に従って
製造されていることを保証する必要がある。
●コンサルタントの推奨
我々が貴社で発見した違反の性質に基づき、我々は、CGMP要件を満たす手助けをする適格なコンサルタ
ントを雇うことを強く勧める。貴社のコンサルタントの使用は、CGMPを順守するための貴社の義務を軽減する
ものではない。貴社の経営陣には、全ての不備を解決し、継続的なCGMP順守を保証する責任が残る。
●結論
FDAは2017年8月23日、貴社に輸入警告措置66-40をとった。
出典:https://www.fda.gov/ICECI/EnforcementActions/WarningLetters/2017/ucm590011.htm

■WL:320-18-16 韓国の製造所の査察(2017/5/29~2017/5/30)でみつかった医薬品製造における重大なCGMP
違反に関する2017/12/13付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。
1.貴社は、バッチが既に販売されたかどうかにかかわらず、バッチの説明のつかない不一致や不具合、成分
  の規格への適合について、徹底的な調査を怠った。
貴社は、XXクリームのXXロットに関し、粘度試験の結果で最初のOOS(Out-of-Specification)を得た。次の
2回のリテストの結果もOOSだった。貴社は、これらのOOSの結果について、実験室と製造に対し、根本原因
の特定と是正処置・予防処置(CAPA)を含む調査を指示することを怠った。かわりに、適切な調査を実施せず
に、そのバッチを不合格にした。
貴社は回答の中で、職員を再訓練したので、今後は、研究開発部門が不合格の結果を調査し、適切なアクショ
ンプランを決定すると述べた。貴社の回答は、どのようにして、いつ、実験室と製造の調査を実施するかを
明確に述べていないので不完全である。
この文書への回答の中で
・2015年1月1日以降で、最終バッチの廃棄分も含め、最初のOOOSまたは予想外の結果を得た後、再試験を
実施した全ての場合を事例についてリストアップせよ。各事例に関連する調査やCAPAの情報を提出せよ。
・OOSの結果の調査が適切に実施されることを保証するために、詳細にわたるOOSの手順を見直し提供せよ。
・これに限定されないが、逸脱、普通でない出来事、OOSの結果、バッチの不合格の全ての調査についての
 品質部門の最終的な承認を保証する改善された手順含む貴社の全体的な品質の管理を改善するためのCAPAの
 情報を提供せよ。
2.貴社は、医薬品の安定性を評価し、適切な保存方法と使用期限を決定するための安定性試験の結果を使
  するために計画された適切な文書化された試験プログラムに従うことを怠った。
査察官は、貴社が、XXmlのXX容器に入れて、OTC医薬品の安定性サンプルを保管しているのを発見した。しかし、
貴社の製品は、異なるサイズのXX容器、XX容器、XXチューブに入れて販売されている。
貴社は回答の中で、今、実際の包装形態で製品の試験を始めたと述べ、安定性試験のワークシートを提出した。
しかし、貴社の安定性試験のワークシートは、貴社が医薬品の有効成分の分析試験をしていないことを示した。
この文書への回答の中で、
・有効成分の分析を含めるために、安定性手順の見直しをせよ。
・貴社の安定性試験の方法が、確実で品質低下を検知して定量化できることを裏付けるデータを提供せよ。
・適切な裏付けとなる安定性データを持っていない、アメリカに販売され、現在使用期限内の全てのOTC医薬品
 の保管サンプルの分析を実施せよ。
3.貴社は、製造品をモニタし、中間材料と製品の特性のばらつきの原因になる製造工程の性能をバリデート
  するための適切な管理手順を制定し、それに従うことを怠った。
貴社は、OTC医薬品の製造に使用する工程をバリデートしていなかった。貴社は工程の性能適格性評価をせず、
安定した製造作業と一定の医薬品の品質を保証するための工程管理のモニタリングに関する継続的なプログラム
が不足していた。
貴社は回答で、製品が一定であることを保証するためにバルクと最終製品の試験に頼っていると述べた。医薬品
の販売前に製造工程のバリデートに責任を持っていないので、貴社の回答は不十分である。
この文書への回答の中で以下の情報を提供せよ。
OTC医薬品に関する工程の性能適格性評価に関するタイムラインと、各OTC医薬品の工程の性能適格性評価の
 詳細な手順
・製品のライフサイクルを通じ、継続的な基準に基づき、ばらつきの原因を適切に特定し、バッチ内及び
 バッチ間のばらつきの管理を保証するデータに基づく科学的に合理的なプロセスバリデーションのプログラム
バリデートされていない工程で製造された販売されたOTC医薬品のリスクアセスメント
 リスクアセスメントはアメリカに販売され使用期限内の製品を対象にすべきである。
●コンサルタントの推奨
我々が貴社で発見した違反の性質に基づき、我々は、CGMP要件を満たす手助けをする適格なコンサルタントを
雇うことを強く勧める。貴社のコンサルタントの使用は、CGMPを順守するための貴社の義務を軽減するものでは
ない。貴社の経営陣には、全ての不備を解決し、継続的なCGMP順守を保証する責任が残る。
出典:https://www.fda.gov/ICECI/EnforcementActions/WarningLetters/2017/ucm590188.htm


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
まとめ
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
今回は取り上げた5件のウォーニングレターのうち4件が輸入警告措置66-40の対象となっていました。
指摘の内容としては、
・品質管理部門の責任や権限が明確になっていなかったり、文書化はされてはいるが守られていない
・試験が十分に行われていない
・安定性試験がされていない
といった、医薬品の品質が保証されているのか心配になるようなものでした。

少し前になりましたが、日本の製造業の信頼を揺るがしかねない品質管理の問題が連続して発覚しました。
日本の製薬会社様の場合、品質管理部門の責任や権限の文書化がされているのは間違いないと思いますが、
文書化した品質管理体制のうち有名無実化してしまっている部分はないかチェックしてみる必要があるのでは
ないでしょうか。

☆次回は、2/15(木)に配信させていただきます。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
おしらせ
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
きたる2月21日(水)~2月23日(金)にインテックス大阪にて開催される医薬品・化粧品・洗剤 研究・製造
技術展インターフェックス大阪に出展いたします。
ブースは、【8-19】となります。
新大阪・大阪からは少し離れていて不便ではありますが、ご都合のつく方は、是非弊社ブースにお立ち寄り
いただければ幸いです。
よろしくお願いいたします。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
★弊社サービスのご案内
https://drmarketing.jp/cch/73/136/3/426/84965/672909

★ブログ毎日更新中!
◆ PROS.社長の滋養強壮ブログ
https://drmarketing.jp/cch/73/136/1/426/84965/196dde
◆ 営業ウーマンの営業報告ブログ
https://drmarketing.jp/cch/73/136/2/426/84965/ba93a2
※URLクリック数の統計をとらせていただいております。

本メルマガは、名刺交換させていただいた方に、毎月1日、15日(土日祝日に重なった場合
は前日)に配信いたしております。
今後このような情報が必要ない方は、お手数ですが、こちらに配信停止依頼のメールを
お願いいたします。
hashimoto@e-pros.co.jp

【発行責任者】
株式会社プロス
ASTROM通信』担当 橋本奈央子

2018.02.01

【EU GMPガイドラインAnnex 1改訂案パブコメ募集】ASTROM通信<139号>

 ~安全な医薬品の安定供給をご支援する~

こんにちは
ASTROM通信担当の橋本奈央子です。

春が待ち遠しいこの頃ですが、いかがお過ごしでいらっしゃいますか。

さて今回は、EU GMPガイドラインAnnex 1(無菌医薬品の製造)改訂案及びそのパブリックコメント募集
について取り上げたいと思います。
ヨーロッパに輸出していないので直接関係ないと思われる方もおいでになるでしょうが、EU GMPガイド
ラインはPIC/S GMPガイドラインにも反映されるため、PIC/Sガイドラインの今後の改訂の動向を把握する
うえで参考になります。
特に今回の改訂案は、グローバルな調和のためにWHOやPIC/Sとも協力して作成されているため、正式版
が出ればPIC/Sに反映される時期も早いと考えられます。
また、無菌医薬品の製造というタイトルですが、スコープとして、無菌医薬品だけでなく、その他の製品
の製造時、微生物、微粒子、ピロゲンの汚染管理にも使えると書かれており、実際、様々な場面で参考に
できるところがあるかと思います。

ということで、最後までお付き合いいただければ幸いです。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
EU GMPガイドラインAnnex 1の改訂について
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
EU GMPガイドラインAnnex 1は、1971年に初版が出て以来、部分的な改訂は何度もされてきたものの、
全面的な見直しはされてきませんでした。
そこでECは、明確で、かつ、新しい技術および革新的なプロセスを組み込むことを可能にし構造
より論理的な流れに変更するために、品質リスクマネジメントの原則を導入することを意図して
全面的な見直しを行うこととしました。
主な変更点は下記の通りです。
・新しい章の導入:スコープ、ユーティリティ、環境や工程のモニタリング、用語集
・QRM(Quality Risk Management)の原則の採用
・より論理的な流れにするための再編成
・より一層の明晰さを提供するために、前述の章に詳細の記述を追加

Annex 1改訂案の全文は下記URLから確認できます。
https://ec.europa.eu/health/sites/health/files/files/gmp/2017_12_pc_annex1_consultation_document.pdf


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
Annex 1改訂案のポイント
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
現在日本で参照されているPIC/S GMPガイドラインAnnex 1と比較して、今回のEU GMPガイドラインAnnex 1
改訂案の変更のポイントをまとめてみました。

1章 スコープ
・新しく追加された章です。
品質リスクマネジメントの原則を導入することが謳われています。
・Annex 1無菌医薬品を対象としているが、無菌医薬品だけでなく、その他の製品の製造時の微生物、微粒子、
 ピロゲンの汚染管理をサポートするために使えるという記述が追加されています。

2章 原則
・記述が大幅に追加になっています。
・ここにも、品質リスクマネジメントの原則に従って工程、装置、設備、製造活動が管理されるべきであると
 いう記述が登場します。
・汚染管理の戦略の文書の中で、少なくとも次の要素が検討されるべきであると書かれています。
 a)プラントと工程の設計
 b)装置と設備
 c)人員
 d)ユーティリティ
 e)原材料の管理-工程内の管理を含む
 f)製品の容器と蓋
 g)ベンダの承認-例えば、主要成分、成分の滅菌、単独使用のシステム、サービスなど
 h)外部委託サービスに関し、例えば、滅菌の場合、処理が正しく行われていることを保証するために十分
   なエビデンスが委託者に提供されなければならない
 i)工程のリスクアセスメント
 j)プロセスバリデーション
 k)予防保全-汚染の重大なリスクをもたらさない装置や設備(計画保全及び計画外保全)の基準の維持
 l)洗浄と消毒
 m)モニタリングシステム-環境汚染の発見を最大限に行う、科学的に合理的で現代的な方法の導入の
   実現可能性の評価を含む
 n)予防-傾向分析、調査、是正処置・予防処置(CAPA)、根本原因の判断、よりしっかりした調査ツール
   のニーズ
 o)上記システムからの情報に基づく継続的改善

3章 医薬品品質システム(PQS)
・新しく追加された章です。
・EU GMPガイドライン1章の医薬品品質システムの要件に加え、無菌医薬品の製造者は以下のことを保証しな
 いといけないと書かれています。
 a)無菌性の保証を含む無菌製造製品の安全性、品質、効能を保証するために、微生物汚染を最小化する
   ため、製品のライフサイクルに組み込まれた効果的なリスクマネジメントシステムがあること。
 b)製造業者は製造する製品と使用する製造方法に関する十分な知識と専門技術を持っていること。
 c)手順、工程、装置の不具合の根本原因の分析は、製品へのリスクが正しく理解され、適切な是正及び
   予防処置が実施されることを保証するために重要であること。
 d)汚染を防止するために汚染のリスクを特定・評価・除去(可能であれば)・管理し、汚染をモニタして
   検知し、無菌製造工程の全ての要素に関して工程の要件と許容基準を設定するために、リスクアセス
   メントが実施されること。
   リスクアセスメントは文書化され、リスクを軽減し、潜在的なリスクや未解決のリスクをなくすため
   にとられる判断のための論理的根拠を含むべきである。リスクアセスメントは継続的な品質管理の一環
   として、変更管理や定期的な製品品質レビュの間に、定期的にレビュされること。
 e)無菌製品の仕上げと輸送に関わるプロセスは、容器の完全性や汚染のリスクに関して、最終無菌製品
   を損なってはならない。また、医薬品が登録された保管条件に従って保管され保持されていること
   保証しなければならない。
 f)無菌医薬品の品質の判定に責任を負う人員は、医薬品が登録された規格書と、要求される安全性・品質
   ・効能に従って製造されたことを確認するために、製造と品質の情報にアクセスでき、無菌の剤型の
   製造と重要な品質特性に関する適切な知識を持っていること。

4章 人員
・記述が増えています。
・4.1章、4.4章~4.6章あたりに、要件を満たし経験のある十分に適切な人員がいることを保証しなければ
 ならないという記述や、その要件の詳細な記述が追加されています。

5章 建物
・記述が増えています。
・特にバリア技術の詳細な記述が追加されています。

6章 設備
・冒頭に、設備設計の文書化された詳細な記述が作られ最新化されていなければならないという記述が追加
 されています。
・それ以外にも、例えば下記の記述が増えています。
設備のモニタリング要件が適格性評価の中で決定されなければならない(6.2章)
*洗浄工程がバリデートされていなければならない(6.5章)

7章 ユーティリティ
・新しく追加された章です。
・水、空気、真空に関する要件がまとめられています。

8章 製造と特別な記述
これまでバラバラに記述されていた無菌や滅菌の技術がまとめられています。
・凍結乾燥技術の詳細な記述が追加されています。

9章 生存環境(Viable Environment)及び非生存環境(Non-viable Environment)と工程のモニタリング
・新しく追加された章です。
・環境モニタリング、生存環境(Viable Environment)のモニタリング、非生存環境(Non-viable Environment)
 のモニタリング、無菌工程シミュレーション(Aseptic Process Simulation)について詳細に書かれています。

10章 品質管理
・具体的な品質管理の要件が追加されています。

11章 用語集
・5ページにわたる用語集が追加になりました。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
Annex 1改訂案に対するパブリックコメントの募集
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
ECは、最高の品質を同時に保証する基準のグローバルな調和のために、ANNEX 1改訂案を、WHOやPIC/Sとも
協力して準備し、2017年12月20日から2018年3月20日までパブリックコメントの募集を開始しました。
●パブリックコメントの提出方法●
ECのパブリックコメント募集サイト(https://ec.europa.eu/health/human-use/quality/developments/pc_2017_12_sterile_medicinal_products_en)
からダウンロードしたテンプレートにコメントを記入し、SANTE-REVISION-ANNEX-1@ec.europa.eu へ送付
してください。
コメントは、ブリュッセルの健康・食品安全総局(Unit SANTE B/4, BE-1049 Brussels)に送ることもでき
ます。
コメントには、名前、e-mailアドレス、個人なのか組織の代表なのかを記載してください。もし、組織の代表
であれば、組織と分類(企業/ビジネス、国家の諸機関(支部、地域、国家、国際)、NGO、患者組織、その他)
も記載してください。もし、あなたが企業の代表であれば、EUが定義する中小企業(年間売上高が50万ユーロ
未満、従業員が250人未満)に該当するかどうかを述べてください。
もし、あなたの組織が透明性登録(Transparency Register)をしていれば、コメントのはじめに登録ID番号
を記載してください。
パブリックコメントはインターネット上に公開される予定です。

なお、ISPEのメンバまたはグループは、ISPEを通じてパブリックコメントを提出することもができます
その場合は、ECのサイトからダウンロードしたテンプレートにコメントを記入し、2018年2月8日の業務終了時間
までに、ISPEのコメント送付先(regulatorycomments@ispe.org)に送付をしてください。
コメントはISPEの専門家チームによって吟味されたうえで提出されることになります。
また、ISPEに提出されたコメントは、会社としてではなく個人のコメントとして取り扱われます。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
まとめ
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
EU GMPガイドラインAnnex 1改訂案は、以前に比べて章立てがすっきりし、かつ、具体例が増え、かなり読み
やすくなっているように思います。また、最低限抑えておかないという検討項目を挙げてくれていて、参考に
なる部分が多いと思います。
ところで、今回の改訂案でモニタリングについての要求事項が非常に増えているように思います。原文の中の
“monitoring”という言葉を検索してその周辺を読むだけでも、要求事項の中身を確認できて面白いかと思い
ます。
是非、ご一読ください。

☆次回は、2/15(木)に配信させていただきます。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
おしらせ
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
きたる2月21日(水)~2月23日(金)に開催される医薬品・化粧品・洗剤 研究・製造技術展インター
フェックス大阪(会場:インテックス大阪)に出展します。
ブースは、【8-19】となります。
お時間がおありの方は、是非弊社ブースにお立ち寄りいただければ幸いです。
よろしくお願いいたします。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
★弊社サービスのご案内
https://drmarketing.jp/cch/73/132/3/426/82736/fe684a

★ブログ毎日更新中!
◆ PROS.社長の滋養強壮ブログ
https://drmarketing.jp/cch/73/132/1/426/82736/74c8da
◆ 営業ウーマンの営業報告ブログ
https://drmarketing.jp/cch/73/132/2/426/82736/0ca9ea
※URLクリック数の統計をとらせていただいております。

本メルマガは、名刺交換させていただいた方に、毎月1日、15日(土日祝日に重なった場合は前日)に配信
いたしております。
今後このような情報が必要ない方は、お手数ですが、こちらに配信停止依頼のメールをお願いいたします。
hashimoto@e-pros.co.jp

【発行責任者】
株式会社プロス
ASTROM通信』担当 橋本奈央子