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2017.12.15

【最近のウォーニングレター】ASTROM通信<136号>

 ~安全な医薬品の安定供給をご支援する~

こんにちは
ASTROM通信担当の橋本奈央子です。

いよいよ2017年も残すところあとわずかとなってきましたが、いかがお過ごしでしょうか。

さて今回も前回に引き続き、最近FDAから出たウォーニングレター3件について取り上げ、
FDAがGMP上のどのような点について指摘をしているのかを確認していきたいと思います。


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最近のウォーニングレターの概要
注:文中のXXはウォーニングレターでマスキングされている文言です
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■WL:320-18-06 インドの製造所の査察(Goa:2017/3/27~2017/4/7、Indore:2017/5/8~2017/5/19)
でみつかった医薬品製造における重大なCGMP違反に関する2017/11/6付ウォーニングレターには、
下記の指摘事項があげられています。
●Goa製造所
1.貴社は、バッチが既に販売されたかどうかにかかわらず、説明のつかない不一致、バッチや
  成分の規格への不適合について、徹底的な調査を怠った。
貴社は頻繁に潜在的な製造の原因に注意を向けた適切な調査をせず、初期の規格外の試験結果(OOS)を
無効にした。
A.分析の不具合
有効成分XXバッチXXのリリース試験中、貴社は、XX%の不合格の分析結果を得た。(規格はXX%からXX%)
調査から得られたデータは、多数の再試験の結果は初期のOOSの結果と同等であることを示した。
第二の分析者は新しいサンプルを使ったテストで同様の結果を得た。貴社は、再度テストを実施し、
最後のサンプルのみ、かなり異なる分析結果が出た。
多数の値がもともとのOOSの値に近いという結果だったにもかかわらず、貴社は、最初の結果は異常値
と考えられ、再試験の結果が最終結果として報告されたものであるとして、最初の不合格の分析結果を
無効にした。調査は、根本的な原因を特定できなかったが、貴社は供給者の評価を実施せず、バッチの
リリースのために平均値を報告した。
原薬の分析結果を無効にするために“棄却検定”を使うのは不適切である。そのような統計的な処理は
極端な試験結果の原因を明らかにしないし、化学的試験の調査における情報の利用にすぎない。
我々の査察官は、他にも棄却試験の不適切な使用を明らかにした。貴社は、再試験を行い、オリジナル
のOOSの結果は異常値とすることで、原材料や医薬品のバッチをリリースした。
我々は、貴社の2017年1月18日の変更管理で、規格外試験結果の取り扱いのSOPにおいて、棄却試験を
廃止することを確認した。貴社は、XXのバッチXXの最初のリリース判定を無効にし、不合格とした。
しかし、貴社は、悪い分析結果をもたらした原因かもしれない原薬の品質問題に対処していないし、
棄却検定によりリリースした他のバッチの適切な再評価に欠けている。
B.含量均一性の不具合
XX㎎錠剤のバッチXXの含量均一性のOOSの結果に関する貴社の調査は不十分だった。XXに保管された
証拠のバッチに関し、2つの個体とその合格判定値がOOSだった。
OOSの結果の初期の分析では、分析者による試験ミスの証拠はなかった。貯蔵液の再試験と超音波に
より再切断したサンプルから得られた結果は、オリジナルのOOSと一致した結果になり、根本原因と
して不適切な超音波処理と希釈ミスを除外した。調査は、最終的な突き止められる原因を明示しな
かったが、貴社は“可能性の高い試験ミス”は、分析者によるXXのシャフトの不十分な洗浄だった
と推測した。それから、貴社は最初のOOSの結果を無効にし、規格に合格した新しいXXの試験結果を
報告した。貴社の調査結果では、試験ミスがあったと“確認した”と述べた。
調査で試験ミスの決定的なエビデンスが不足していた場合、可能性のある製造の原因の調査を徹底的
に実施しなければならない。XXの含量均一性の試験は、バッチの一部に不均一性があるかを見つける
のを助けることを意図している。証明されていな仮説に基づいた新しいXXの試験から得られた結果
よる合格の判断は調査の結論を下すのには不適切である。貴社はさらなる試験の調査で、可能性の
ある製造の原因を確認し、より大々的にバッチの均一性を明らかにするべきだった。
XXのシャフトの不十分な洗浄は、XXmg錠剤のバッチXXの含量均一性のOOSの考えられる根本的原因と
して前の調査でも挙がっていた。異なる分析者がテストを行い、是正処置・予防処置(CAPA)計画
は、職員の再教育を必要としていた。
貴社は回答の中で、“もしXX回ミスがくりかえされたら、分析者は特別な分析技術の再資格取得が
さればければならない”と記述をするために“SOP CQA-063 分析者の適格性”を改訂したと述べた。
しかし、貴社の回答は、貴社の品質システムが実験室の手順と分析装置の不備が是正されることを
保証する改善に十分に取り組んでいなかった。
この文書における回答の中で、下記の内容を含むGoaの独立した評価結果を提出せよ。
・アメリカ市場向け製品に関する、無効にされた全ての(工程及び最終製品の試験の)OOSの結果
 科学的根拠とエビデンスが決定的なものかを評価せよ。最終的に試験ミスを根本原因として定めた
調査に関し、CAPAの妥当性を判断し、同じ原因により脆弱と判断された他の試験手順の改善を保証
せよ。原因が最終的でないか根本原因でないと確認されたOOSに関し、製造(例:バッチの製造記録、
 製造手順の適切性、工程の能力、逸脱の履歴、バッチの不合格の履歴)の徹底的なレビュを含めよ。
 それらの各調査に関する製造の根本原因を特定するCAPAの計画と、適切な工程の改善を含めよ。
・全ての試験方法に関する過去の実績
 各方法の指図の適格性、実験装置の適合性、分析者の能力を評価せよ。履歴を通じて、さまざまな
 場面で発生したミスを判断し、ロバスト性を向上させるために必要とされる更なるCAPAの方法
 割り出せ。
・OOSの結果を調査する全体的なシステム
 貴社の全ての製造所におけるOOS調査の質を向上させるためのCAPAを提出せよ。CAPAでは、実験室
の調査に改善された品質保証部門を参加させ、それに反する実験室の管理の傾向の特定を含めよ。
改良された実験室の調査の手順を提供せよ。貴社の改訂された手順が全てのOOSの調査でたとえ原因が
最終的に実験室で見つからなかった場合も、いかにOOSの調査を可能性のある製造の根本原因の完全な
レビュに広げることを保証するかを述べよ。
2.貴社は医薬品の品質を保証するために、製造の各フェーズの完了に関する適切なタイムリミット
  を制定することを怠った。
固形剤XXの製剤製造で使用されたバルクXXは、適切な保持時間の研究や科学的根拠のないまま、
商用のバッチ製造において過度の期間保持された。たとえば、たくさんの例において、多数の製品に
使用されるバルクXXはXX以上保持された。これらの過度の保持時間にもかかわらず、貴社はXX用の
XXをリリースし、その最終製品をまれにしか安定性プログラムの対象としなかった。
これらの過度の保持時間が問題ないと立証するための研究は、保持条件が実際の作業を代表して
いないので、不十分である。
XX工程はXX固形剤の製剤製造における重要なステップである。長期の保持時間は、水分量、粒の
凝集の原因を増し、流量特性の不均一性につながり、XXまたはXX中の分離を促進する。
貴社の回答は、研究は商用バッチの作業を代表する量を使って実施されるべきだったと認めた。
しかし貴社は、XXの過度の保持時間の影響や製品の安定性の回顧的評価を実施していないので、
貴社の回答は不適切である。また、貴社は、適切な最大保持時間を立証する研究を実施する一方で、
保持時間が製品の品質特性に影響を与えないことを保証するための改良された管理や暫定的な義務を
述べていない。
この文書への回答の中で:
アメリカ市場に出荷された全てのバッチの回顧的レビュを実施せよ。XXのXX以上保持された
 バッチを安定性プログラムに含めよ。この文書の受領から45日以内に、それらのバッチの初回の
 テスト結果(溶解、含量均一性、分析)を提供せよ。
・2014年以降の、OOSの結果の各バッチ(後で無効とされたかどうかに関わらず)について、
 重要な製造工程に関連する保持時間を提出せよ。
・各製品ついて、全ての重要な製造工程における適切なタイムリミットを制定するための代表的で
 ロバストな研究を実施せよ。
・今後の無用に長い保持時間の発生を防ぐ、改良された製造手順を作成せよ。
・工程の保持時間の制限を定める暫定手順を提出せよ。
●Indore製造所
1.貴社は医薬品の品質を保証するために、製造の各フェーズの完了に関する適切なタイムリミット
  を制定することを怠った。
XXの保持時間が問題ないと立証するための研究は、その保持条件が実際の作業を代表していない
ので、不十分である。
貴社は回答の中で、貴社が“ハイリスク”とみなすXX工程で、完全な保持時間の研究をすると
約束した。しかし、XXの長い保持時間の影響と安定性の回顧的評価を実施していないので、貴社の
回答は不十分である。また、貴社は、より適切な最大保持時間を設ける一方で、保持時間が製品の
品質特性に影響を与えないことを保証するための暫定的な方法や義務を述べていない。
この文書への回答の中で、
アメリカ市場に出荷された全てのバッチの回顧的レビュを実施せよ。XXのXX以上保持されたバッチ
 を安定性プログラムに含めよ。この文書の受領から45日以内に、それらのバッチの初回のテスト結果
 (溶解、含量均一性、分析)を提供せよ。
・2014年以降の、OOSの結果の各バッチ(後で無効とされたかどうかに関わらず)について、重要な
 製造工程の保持時間を提出せよ。
・各製品ついて、全ての重要な製造工程における適切なタイムリミットを制定するための代表的で
 ロバストな研究を実施せよ。
・今後の無用に長い保持時間の発生を防ぐ、改良された製造手順を作成せよ。
・工程の保持時間の制限を定める暫定手順を提出せよ。
2.貴社は、バッチが既に販売されたかどうかにかかわらず、説明のつかない不一致、バッチの
  不具合、成分の規格への適合について、徹底的な調査を怠った。
貴社は、初回のOOSの結果を適切な調査をせず無効にした。2015年1月1日から2016年12月31日まで、
貴社は、ほぼ全て(139件のうち134件)の初回のOOSの結果を無効にし、試験ミスのせいにした。
いくつかの調査は、試験ミスの発生を明確に立証しなかったが、貴社は、可能性のある製造の
原因を徹底的にレビュし、高度のばらつきやOOSの結果に同様の事象を確認し履歴を評価す
ために、完全な調査を実施しなかった。
例えば、貴社は、最終製品の分析結果でOOSの結果を得た後、実験室の調査を開始した。貴社は
OOSとなったオリジナルのバイアルを廃棄した。貴社は、三重の再試験に基づき、可能性のある
製造の根本原因の調査をせずに、初回の不合格の結果を無効にした。
また貴社は、バッチXXについて、低い分析結果を得たが、OOSの分析結果について可能性のある
製造の根本原因の調査をせずに再試験の合格結果を報告した。
貴社のCAPAは、しばしば貴社の分析者の訓練に限定されていた。ロバスト性を高めミスを防止
するために、分析方法や装置の改善は一般的には実施されなかった。
貴社は回答の中で、根本原因を作った試験と分析者を特定するために、OOSの結果をたどり、
傾向を見せると約束した。さらに、貴社は、OOSの結果を無効にし、再試験の結果を採用する
手順をもっと厳格にすると述べた。
我々は、貴社のヒューマンエラーのリスクの軽減と、より継続できる解決策をみつけるための
OOSの傾向の追跡を認める。また、我々は、貴社がOOSの手順の改善のために努めていることに
気づいている。しかし、貴社の調査手順が十分に修正されたようにみえないので、貴社の回答
は不十分である。また、貴社は、科学的な強い根拠や明確なエビデンスもなしに無効とされた
全てのOOSの結果を確認するための回顧的評価を行なわなかった。さらに、貴社は、OOSの結果が、
仮定された試験の問題よりもむしろ潜在的な製造の問題(例:工程の保持時間)によるもの
なのかどうかを判断するために製造のレビュをしなかった。
この文書への回答の中で、下記の内容を含むIndoreの独立した評価結果を提出せよ。
・アメリカ市場向け製品に関する、無効にされた全ての(工程及び最終製品の試験の)OOSの結果
 科学的根拠とエビデンスが決定的なものかを評価せよ。最終的に試験を根本原因として定めた
 調査に関し、CAPAの妥当性を判断し、同じ原因により脆弱と判断された他の試験手順の改善
 を保証せよ。原因が最終的でないか根本原因でないと確認されたOOSに関し、
 製造(例:バッチの製造記録、製造手順の適切性、工程の能力、逸脱の履歴、バッチの不合格
 の履歴)の徹底的なレビュを含めよ。それらの各調査に関する製造の根本原因を特定するCAPA
 の計画と、適切な工程の改善を含めよ。
・全ての試験方法に関する過去の実績
 各方法の指図の適格性、実験装置の適合性、分析者の能力を評価せよ。履歴を通じて、
 さまざまな場面で発生したミスを判断し、ロバスト性を向上させるために必要とされる更なる
 CAPAの方法を割り出せ。
・OOSの結果を調査する全体的なシステム
貴社の全ての製造所におけるOOS調査の質を向上させるためのCAPAを提出せよ。CAPAでは、
実験室の調査に改善された品質保証部門を参加させ、それに反する実験室の管理の傾向の特定を
含めよ。
改良された実験室の調査の手順を提供せよ。貴社の改訂された手順が全てのOOSの調査が、たとえ
原因が最終的に実験室で見つからなかった場合も、いかにOOSの調査を可能性のある製造の
根本原因の完全なレビュに広げることを保証するかを述べよ。
●コンサルタントの推奨
我々が貴社で発見した違反の性質に基づき、我々は、CGMP要件を満たす手助けをする適格なコンサル
タントを雇うことを強く勧める。特に、コンサルタントは、貴社の製造工程と試験システムを包括的
に評価し、全てのOOSの調査を回顧的にレビュするべきである。貴社のコンサルタントの使用は、
CGMPを順守するための貴社の義務を軽減するものではない。貴社の経営陣には、全ての不備を解決し、
継続的なCGMP順守を保証する責任が残る。
●多数製造所における逸脱の繰り返し
FDAは貴社のネットワーク内の他の製造所での同様のCGMPの逸脱を挙げている。
多数の製造所におけるこれらの繰り返される不備は、貴社の医薬品製造の監督や管理が不適切である
ことを示す。貴社は、すぐに、そして包括的に、システム、工程、最終的に製品がFDAの要件に従う
ことを保証するために、貴社全体の製造作業を評価するべきである。
出典:https://www.fda.gov/ICECI/EnforcementActions/WarningLetters/2017/ucm584699.htm

■WL:320-18-07 中国の製造所の査察(2017/7/31~2017/8/4)でみつかった原薬製造における重大な
CGMP違反に関する2017/11/6付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。
1.貴社の製造工程が、あらかじめ定めた品質特性を満たす原薬を再現性よく製造できることを示すこと
  の不履行
貴社は、販売前に、XX原薬の多数のバッチを製造するのに用いられる工程をバリデートしなかった。
貴社は、工程の適格性評価を実施せず、安定した製造作業と一貫した医薬品の品質を保証するための
工程管理のモニタリングに関する継続的なプログラムが欠如していた。貴社は、我々が貴社の製造所
を査察する直前の2017年5月22日に承認されたバリデーション手順を査察官に提出し、2017年7月25日
にそれに続くバリデーション報告を提出した。
貴社のバッチ記録は、XXとXXの混合のようなXX原薬の製造に関して重要と認定したプロセスパラメータ
の定義が不足していた。
2.貴社の品質部門の、原薬の品質に影響がある可能性のある変更の承認の不履行
貴社は、貴社の変更管理プログラムに従うことを怠った。我々の査察官は、適切に文書化されず、
貴社の”変更管理“手順による品質部門の評価や承認もなく実施されている多数の変更を発見した。
これらの変更は、XX原薬の製造に関する、製品規格、試験方法、分析装置、洗浄手順を含んでいた。
効果的な変更管理プログラムは、適切な品質部門がXX原薬の品質に影響を与えるかもしれない変更
管理を保証するために絶対不可欠である。
3.全ての試験手順が、貴社の原薬が制定した品質及び純度の基準に従うことを確実にするために、
  科学的に理にかない適切であることを保証することの不履行
貴社は、適切な試験手順を制定することを怠った。例えば、貴社の分析者は、ピークの分析が不足して
いるにも関わらずXX原薬の高速液体クロマトグフラフィー試験をマニュアルで実施した。貴社は、
マニュアルの実施に関する手順や、手順の品質の管理が不足したいた。
●コンサルタントの推奨
我々が貴社で発見した違反の性質に基づき、我々は、CGMP要件を満たす手助けをする適格なコンサル
タントを雇うことを強く勧める。貴社のコンサルタントの使用は、CGMPを順守するための貴社の義務
を軽減するものではない。貴社の経営陣には、全ての不備を解決し、継続的なCGMP順守を保証する責任
が残る。
出典:https://www.fda.gov/ICECI/EnforcementActions/WarningLetters/2017/ucm585015.htm

■WL:320-18-10 韓国の製造所の査察(2017/3/13~2017/3/17)でみつかった医薬品製造における
重大なCGMP違反に関する2017/11/20付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。
●CGMP違反
1.貴社は、受取の際と合格判定前に、成分の各容器に、内容物について適切なラベルが貼ってあること
  を視覚的に調査することを怠った。
貴社は、少なくとも1つの医薬品成分の積荷について、適切にラベルが貼られていることを保証せず
に合格判定をした。例えば、多数の有効成分を含む中間品XX、ロット#XXのドラムのラベルは、XXのみ
を表示していたが、成分の中に含まれる有効成分を確認することや、それらの濃度の一覧を作ることを
怠った。さらに、ドラムのバッチ数は、この成分の使用を裏付けるために貴社が提供した文書にあった
バッチ数と一致しなかった。
この中間品XXは、ストリキニーネを含むホミカのような潜在的な毒性作用をもたらす成分から製造された
ものである。非常に有毒で、よく研究された毒であるストリキニーネは、殺鼠剤としても使われる。貴社
は適切なラベルかを調べずに合格にした成分の一部を使ってホメオパシー医薬品XXを製造した。
貴社は、内容について適切にラベルが貼られていなければ、医薬品の成分を合格とすることはできない。
この文書に対する回答の中で、貴社の供給者から入荷した医薬品の成分の内容について、例えば全ての
成分の同一性と濃度がラベルに貼られているように、適切にラベルが貼られていることを保証するために
詳細の計画を提出せよ。
2.貴社は、医薬品の各成分の同一性を検証するための試験を少なくとも1回実施することを怠った。
  貴社は、各成分が純度、濃度、品質に関する適切な文書化された規格に一致することを試験する
  ことも怠った。
貴社は、入荷した医薬品の成分でXXから受け取った中間品を、XX製造工程で使用するのに先立ち、
同一性や品質基準に関して試験することを怠った。これらの中間品XXの同一性、純度、濃度、品質に
関する適切でない分析により、貴社は製造用に入荷した原材料の適合性を保証することを怠った。
貴社は中間品XXの供給者の分析証明書の信頼性を立証しなかった
供給者の試験結果の適切なバリデーションなしに供給者の質問表を使用することは、貴社の医薬品の
成分の品質属性に関して試験の代わりに受け取った分析証明書が使えることを保証するのには不十分
である。
貴社は回答の中で、XXの存在に関し、入荷した中間品XXのテストを始めるだろうと述べたが、XXは
このXXの有効成分ではない。貴社が使用すると主張する有効成分は潜在的に有毒で、ラベルに表示
された含有量より多く存在していれば、著しい安全上の問題をもたらし得る。
この文書に対する回答の中で、潜在的に毒性作用をもたらす成分を含む全ての成分が、製造で使用
される前に適切な規格を満たしていることを保証する方法に関する貴社の科学的正当性を提供せよ。
また、貴社の供給者の適格性評価の手順を、明確に事前に規格を定義した段階や、供給者の試験結果
の定期的な再バリデーションの段階等でいかに正すかを述べよ。
また、適切に試験されず適格とされた成分を使って製造された製品の全てのロットについてのリスク
アセスメントを提供せよ。貴社のリスクアセスメントは、使用期限内で、かつ、アメリカ市場内に
販売された全ての製品について実施すべきである。
3.貴社は、全ての成分、容器、蓋、中間材料、包装材料、ラベル、医薬品を承認したり、不合格と
  判定したりする責任と権威を持った品質管理部門と、品質管理部門に適用する手順を制定する
  ことを怠った。
貴社には、適切な品質管理部門が欠けている。
貴社は、多数の機能に関し、文書化された手順の制定を怠った。例えば、品質管理部門、苦情、
逸脱、調査、さまざまな基本的な医薬品製造作業に関する手順がなかった。
さらに、貴社の品質部門には、バッチの製造や品質の許容限度を示す文書がなかった。例えば、
下記に関する記録がなかった:
・変更管理
・年次製品照査
発見された誤りが完全に調査されたことを保証するためのバッチ記録のレビュ
・貴社の医薬品の合格または不合格の判定
査察中、貴社の従業員の一人は、貴社の品質部門は出荷前に最終製品の完成したバッチ記録を
レビュしないことを認めた。この文書に対する回答の中で、下記のことを保証するための是正処置を
提出せよ。
・その責任を果たし、医薬品の品質を一貫して保証するために、適切な権限と十分な要員を備えた
 適切な品質管理部門を制定する
・全ての作業の許容限度を示す完全な文書を作成し保持する
●医薬品の不正商標表示の責任
貴社の製品は、診断、治療、緩和、手当、病気の予防、及び/または、体の組織や機能に作用する
ことを意図しているので、医薬品である。連邦食品・医薬品・化粧品法のもとで、医薬品は、ラベル
に誤りがあったり、判断を誤らせたりする場合、不正商標表示となる。
貴社のバッチの記録によれは、製品には多数の成分が含まれているが、最終製品のラベルにはXXや
XXが示されていなかった。さらに、最終製品のラベルに表示されていてバッチの記録にない成分が
あった。ラベル上の成分の表示の誤りや、製品に含まれていない成分のラベルへの記載は、虚偽
または欺きであり、そのような製品は、不正商標表示である。
●受託業者としての責任
医薬品はCGMPに従って製造されなければならない。FDAは、たくさんの医薬品製造業者が製造工場、
試験研究所、包装業者、ラベル貼付業者のような独立した受託業者を使用することを知っている。
FDAは受託業者は、製造業者の拡張と捉える。
貴社と貴社の顧客XXは、XXの製造に関し品質協定を結んでいる。品質協定が適切かどうかに関わらず、
貴社は、受託製造所として貴社が製造した医薬品の品質に関して責任がある。貴社は、医薬品が、
連邦食品・医薬品・化粧品法に従って製造されていることを保証する責任がある。
●コンサルタントの推奨
我々が貴社で発見した違反の性質に基づき、我々は、CGMP要件を満たす手助けをする適格なコンサル
タントを雇うことを強く勧める。貴社のコンサルタントの使用は、CGMPを順守するための貴社の義務
を軽減するものではない。貴社の経営陣には、全ての不備を解決し、継続的なCGMP順守を保証する
責任が残る。
出典:https://www.fda.gov/ICECI/EnforcementActions/WarningLetters/2017/ucm586501.htm


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まとめ
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いかがでしたでしょうか。
OOSの原因の調査不足は、ウォーニングレターでもよく取り上げられる指摘です。
原因の特定が難しいために、安易に試験担当者のミスとして片づけてしまって、裏にある根本原因の
発見が遅れてしまうというような事態は避けなければいけません。ただ、OOSの原因は“試験担当者の
ミスが原因です”と言えてしまうのは、実際に試験に人的ミスが発生しやすいからなのだと思います。
試験手順の明確化、教育訓練の徹底も必要だと思いますが、試験ミスの起きないしくみ作り(たとえば、
試験の自動化)も必要なのではないでしょうか。

最後になりましたが、今年も1年間メールマガジンをお読み頂き、ありがとうございました。
来年もどうぞよろしくお願いいたします。

☆次回は、1/5(金)に配信させていただきます。

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hashimoto@e-pros.co.jp

【発行責任者】
株式会社プロス
ASTROM通信』担当 橋本奈央子

2017.12.01

【最近のウォーニングレター】ASTROM通信<135号>

 ~安全な医薬品の安定供給をご支援する~

こんにちは
ASTROM通信担当の橋本奈央子です。

今日からいよいよ12月。今年も残すところあとわずかになりましたが、いかがお過ごしで
いらっしゃいますか。

さて今回も、前回に引き続き、最近FDA(米国医薬品食品局)から出たウォーニングレター4件
について取り上げ、FDAがGMP上のどのような点について指摘をしているのかを確認していき
たいと思います。

最後までお付き合いいただければ幸いです。


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最近のウォーニングレターの概要
注:文中のXXはウォーニングレターでマスキングされている文言です
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■WL:320-18-01 インドの製造所の査察(2017/4/3~2017/4/6)でみつかった原薬製造における
重大なCGMP違反に関する2017/10/10付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。
1.全ての製品の逸脱が報告され、評価され、重大な逸脱については調査され、その結果が記録され
  ることを保証することの不履行
貴社は、製造に関する文書化された手順に従い、製造の手順で発生した逸脱を報告・評価・調査する
ことを怠った。例えば、貴社のXXのバッチの記録は、XXに関する工程内の定量試験を指定している。
貴社は、2016年に少なくとも5バッチについて、これらの工程内の定量試験を実施しなかったが、
これらの試験を実施しなかったことについて説明がなかった。さらに、XXのバッチの記録は、XXに
対する収量の照合の方式を指定していたが、2016年に少なくとも3バッチについて、正当な理由もなく
指定された方式を使用することを怠った。
貴社は回答の中で、XXに関する工程内の定量試験は、他でも同様の情報が提供されるので、論理的
根拠はなしに単なる情報として時々実施されていたが、それらのバッチは規格の中だったと述べた。
また、貴社は、生産記録のマスタを改訂し、工程内の定量試験の要件をなくしたと述べ、XXが規格外
の値の時だけ試験を行うようにした。さらに、貴社は、生産記録のマスタ内のXXの収量の方式は正しく
なかったと認めた。
正当な理由もなく他の手順が時々実施されていないか、また、他の医薬品に関しバッチの記録のマスタ
の方式が間違っていないかを判断するために、全ての記録をレビュしていなかったので、貴社の回答は
不十分である。
この文書に対する回答において、アメリカ市場に販売され有効期限内の全ての医薬品について、製造の
逸脱の事例がないか確認するために、製造記録のレビュを実施し、その結果を提供せよ。確認された
いかなる不具合についても製品品質への影響を判断するためにリスク分析を実施し、重大な逸脱について
調査し対応するために貴社がとるつもりの手順を示せ。
2.バッチの製造記録において、作業を実施し各重要な段階で直接監督または確認する職員のサイン
  して、重要手順の完了を適切に文書化することの不履行
貴社のバッチの製造記録は、製造工程内で、誰が文書を作成し、直接監督し、重要な各手順を確認した
かを記録するサイン欄を削除した。例えば、XXのバッチXXに関するバッチの製造記録のE章の包装詳細
では、ドラムNo.4に関するXXの総重量、XXの風袋重量、XXの計算された正味重量を表示している。
訂正された正味重量はXXでなければならないが、誰が計量作業を実施し、誰が次にそれを確認したかを
特定するサインがない。我々は、他のバッチ製造記録の実施者や確認者の多数の欄が同じ職員によっ
署名されていることに気づいた。査察中、貴社は、作業者のために監督者が仮署名をしたりサインを
したりすることは一般的な手順であると述べた。
貴社は回答の中で、作業者と確認者がサインをするための余白を加えるためにXXのバッチ記録を改訂した
と述べた。貴社は、作業者は手が汚いので監督者が作業者の代わりにサインをしているが、是正処置・
予防処置(Corrective Action and Preventive Action : CAPA)として、作業者に手袋を与えると説明した。
さらに貴社は、貴社のバッチ記録は英語だが、作業者の多くはヒンディ語しか理解しないと言及した。
それゆえ、貴社は、作業者の理解と規則順守を向上させるために英語とヒンディ語の二言語を併用した
バッチ記録を提案した。
貴社は、不適切に実施されたかもしれない他の重大な手順を確認するために全ての医薬品のバッチの
記録をレビュしなかったので、XXのバッチ記録の改訂は不十分であり、貴社の回答は不十分である。
作業者に手袋を提供するというCAPAや、二言語併用のバッチ記録を作成するという提案は、監督者が
重要な手順を実施した作業者の代わりに記録にサインをするという不備に直接対処していない。
この文書に対する回答において、アメリカ市場に販売され有効期限内の全ての原薬について、バッチ記録
の回顧的調査の結果を提出せよ。
貴社は、不適切な作業や文書作成を示唆するバッチ記録内のいかなる事象も確認し、作業内の重大な手順
をレビュしなければならない。また、それらの事象について、原薬の品質への影響を判断するための
リスクアセスメントを実施せよ。また、通常の文書化システムの制定、バッチ記録の品質部門の定期的監査
のような、全ての製品の現在もしくは将来のバッチ記録が適切で正しくサインされていることを保証する
ために貴社がとった特別な行動について情報を提供せよ。
3.規格外の結果の適切な調査と文書化や、適切な是正処置の実施の不履行
貴社は、異常な分析試験結果について、調査し、根本原因を究明し、適切な是正処置を実施するのではなく、
無視をした。貴社は、これらの規格外の試験結果(Out-of-Specification : OOS)を原薬の使用期限の
せいにした。たとえば、我々の査察官は、XXのバリデーションのバッチXX、XX、XXのXX内の内容物XXに
関する48ヶ月の安定性のガスクロマトグラフィー(Gas Chromatography : GC)の試験結果をレビュした。
査察官はこれらのバッチの3つの全てのクロマトグラムが、保持時間より早いタイミングで未知のピークを
示していることを発見した。我々の査察に先立ち、貴社はこのOOSの結果の調査の開始や根本原因の究明を
せず、未知のピークが貴社の医薬品の品質に与える影響の評価をしなかった。代わりに、貴社は、これら
のバッチに関する安定性データを、貴社の商業用の原薬バッチXXの使用期限を決定するためにレビュ
承認し使用した。
貴社は回答の中で、貴社が回顧的調査を実施し、未知のピークは、インジェクタの汚染によると判断した
と述べた。貴社は未知のピークは独立していて、全体的な製品品質の逸脱には反映せず、XXの報告された
値やラベルに表示された使用期限に影響しないと結論づけた。貴社は、分析者がOOSの結果を文書に記録し
調査するよう手順を修正し、新しいGC装置を購入するつもりであると述べた。
貴社は、同じGCで試験された他の医薬品が同様のインジェクタの汚染により影響されていないかどうかを
判断するための調査の範囲を広げなかったし、なぜ最初の事象でこれらの異常な試験結果を調査すること
を放置しOOSの結果を原薬の使用期限のせいにしたかを説明しなかったので、回答は不十分である。
この文書に対する回答において、影響を受けたGC装置で試験された全ての医薬品についての調査報告と
リスク分析の結果を提出せよ。ニードルの汚染や、そのキャリーオーバーにより影響されたと判断した
分析試験結果に関し、貴社がとる予定の措置を示せ。また、使用期限が科学的に妥当で適切な規格に合う
分析データにのみ基づいていることをいかに保証するかを示すために、改訂した安定性プログラムを提出
せよ。
4.品質部門の年次製品照査の適切な実施の不履行
我々は多数の製品に関する貴社の年次製品照査(Annual Product Reviews : APR)をレビュし、いろいろな
不備を発見した。例えば、2016年のXXのAPRの安定性データは、同じ原薬に関する2015年のデータと同一で
あった。貴社の2016年のXXのAPRは、APRの提供された時点で生成できない安定性データやいろいろなエラー
を含んでいた。たとえば、水分量、不純物、旋光度といった製品品質の属性に関する平均値が、その最大値
を超えていた。最小値は”非検出“として、最大値を報告していた。別の事例では、平均値が1つのバッチ
で報告されていた。
そのような報告のエラーはこの製造所の2013年のFDA査察から繰り返されている。
貴社は回答の中で、これらのAPRの誤りを職員の前年のAPRをテンプレートとして使用したせいにした。
貴社は、手順に空のテンプレートを加えるよう改訂した。貴社は、また、全ての誤りは、関連部門の
すべての管理者による転写の誤りやレビュの誤りであると述べた。
貴社は、QMS(Quality Management System)データをオンラインで集めるERP(Enterprise Resource Planning)
の使用により今後そのような誤りを防ぐだろうと述べた。
貴社は、ERPの使用が今後いかにAPRの誤りを防止するかを説明しなかった。さらに、貴社は薬の品質を
損なったり不明確にしたりする誤りがないことを保証するための全APRの回顧的レビュを実施しなかった。
この文書に対する回答において、過去3年の全てのAPRの回顧的レビュを実施し、レビュの概要を表形式で
提出せよ。また、2015年と2016年のXXとXXの改訂したAPRの注釈付きコピーを提出せよ。
●多数製造所における逸脱の繰り返し
FDAは貴社のネットワーク内の他の製造所での同様のCGMPの逸脱を挙げている。特に2015年にFDAが別の
製造所を査察した時、査察中にみつかった同様の問題の結果、その製造所は医薬品製造を許容しがたいと
分類された。多数の製造所におけるこれらの繰り返される不備は、貴社の医薬品製造の監督や管理が
不適切であることを示す。
貴社の経営陣には、全ての不備を解決し、CGMPを順守し続けることを保証する責任が依然として残る。
貴社は、すぐに、そして、包括的に、システム、工程、最終的に製品がFDAの要件に従うことを保証する
ために、貴社全体の製造作業を評価するべきである。
●CGMPコンサルタントの推奨
我々が貴社で発見した違反の性質に基づき、我々は、CGMP要件を満たす手助けをする適格なコンサル
タントを雇うことを強く勧める。貴社のコンサルタントの使用は、CGMPを順守するための貴社の義務
を軽減するものではない。貴社の経営陣には、全ての不備を解決し、継続的なCGMP順守を保証する
責任が残る。
出典: https://www.fda.gov/ICECI/EnforcementActions/WarningLetters/2017/ucm580751.htm

■WL:320-18-02 インドの製造所の査察(2017/6/5~2017/6/9)でみつかった医薬品製造における
重大なCGMP違反に関する2017/10/16付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。
1.貴社は、医薬品の各バッチについて、出荷前に、各有効成分の同一性と含量を含む医薬品の最終
  規格 に合うことを実験室で適切に判断することを怠った。
例えば、XXの多数のバッチは、有効成分の容量を含む最終製品の規格に合わなかった。これらの
不合格の試験結果に関わらず、貴社は、これらの医薬品をアメリカに出荷した。
さらに、貴社の職員は我々の査察官に、バッチが日常的に試験されていないと知らせた。さらに、
貴社は、数年前に製造された過去のバッチからテスト結果を再利用し、新しいバッチの分析証明書
にそれらの結果を記入した。
貴社の回答は、貴社が、バッチの試験をローデータやテスト結果を含めずに実施していることを示した。
2.貴社は、全ての成分、容器、蓋、工程内原料、包装材料、ラベル、医薬品を承認したり不合格
  と判定したりする責任と権威を持った品質管理部門と、品質管理部門に適用する手順を制定する
  ことを怠った。
貴社には、適切な品質管理部門が欠けている。貴社は多数の機能に関する文書化された手順の制定を
怠った。例えば、苦情処理、回収、規格外の試験結果(OOS)の調査、逸脱、不合格、返品、安定性
を含む重大な品質部門の作業に関する手順がなかった。
3.貴社は、制定した規格や基準に従うことを保証するために必要な全ての試験から得られるデータ
を含む実験室の記録を保証することを怠った。
貴社は、分析証明書に記録された分析試験結果を裏付ける記録を持っていなかった。貴社は、我々の
調査官に対して、貴社は最終製品の分析を紙の綴りに記録し、分析証明書に転記し、それから紙は
破棄したと述べた。そもそも試験が実施された保証はないし、関連する計算が実施された記録もない。
●データ・インテグリティの改善
貴社の品質システムは、貴社が製造した薬の安全性、効果、品質を裏付けるデータの正確性・完全性
を適切に保証していない。我々は貴社の改善を支援する適格なコンサルタントを雇うことを強く勧める。
この文書への回答において、次の情報を提供せよ。
A.データの記録と報告における不正確さの範囲に対する包括的な調査
調査には下記を含めよ。
・調査手順と方法論の詳細、アセスメントの対象となる全ての実験室・製造作業・システムの概要、
 貴社が除外を検討している作業の正当性を示す理由
・データの不完全性の性質・範囲・根本原因を特定するための現在及びかつての従業員の面接
 我々は、これらの面接が適格な第三者により実施されることを推奨する。
・貴社の設備におけるデータ・インテグリティの欠陥の範囲のアセスメント
 データの省略、変更、削除、記録の破棄、非同時の記録の完成、その他の欠陥の特定をせよ。
 貴社が発見したデータ・インテグリティの欠落箇所について、全ての設備の操作を述べよ。
・試験及び製造のデータ・インテグリティの欠陥の性質についての総合的な回顧的評価
 我々は、違反の可能性のある分野の特別な専門知識をもった適格な第三者が、すべての
 データ・インテグリティの欠陥について評価することを推奨する。
B.貴社の薬の品質で発見された問題に関する影響の可能性についての現在のリスクアセスメント
アセスメントにはデータ・インテグリティの欠落の影響を受けた薬の出荷により引き起こされた患者
のリスクと、継続的な操作によるリスクの分析を含めるべきである。
C.全体的な是正処置及び予防処置の計画の詳細を含む貴社の経営戦略
貴社の戦略には下記のことを含めよ。
・分析データ、製造記録、FDAに提出した全てのデータを含む貴社が生成した全てのデータの信頼性
 と網羅性を保証するために貴社がどのようにするつもりかを述べた是正処置計画の詳細
・現在の行動計画の範囲と深さが、調査とリスクアセスメントで見つかったことに釣り合うことを
 示すエビデンスを含んだ、データ・インテグリティの欠落の根本原因の包括的な記述
 データ・インテグリティの欠落に関する個々の責任が、貴社のCGMP関連または薬の申請データに
 依然影響を与えるかどうかを示すこと。
・顧客への通知、製品の回収、追加試験の実施、安定性を保証するための安定性プログラムへの
 ロットの追加、薬の申請の活動、苦情のモニタリングの強化のような、患者を保護し、貴社の薬の
 品質を保証するためにとられた処置、及び、これから取ろうとしている処置を述べた暫定的な手段
・貴社のデータの完全性を保証するための、全ての改善の努力と、手順、工程、方法、管理、システム、
 経営者の管理、人的資源(例:訓練、職員の配置の改善)の強化を述べた長期的手段
・上記活動が既に進行中または完了といったステイタスの報告
●コンサルタントの推奨
我々が貴社で発見した違反の性質に基づき、我々は、CGMP要件を満たす手助けをする適格なコンサル
タントを雇うことを強く勧める。貴社のコンサルタントの使用は、CGMPを順守するための貴社の義務
を軽減するものではない。貴社の経営陣には、全ての不備を解決し、継続的なCGMP順守を保証する
責任が残る。
出典:https://www.fda.gov/ICECI/EnforcementActions/WarningLetters/2017/ucm581853.htm

■WL:320-18-03 カナダの製造所の査察(2017/6/12~2017/6/13)でみつかった医薬品製造における
重大なCGMP違反に関する2017/10/20付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。
1.貴社は、全ての成分、容器、蓋、工程内原料、包装材料、ラベル、医薬品を承認したり不合格と
  判定  したりする責任と権威を持った適切な品質管理部門を制定することを怠った。
貴社は正式な品質部門や、品質部門の責任を述べた文書化された手順を制定していなかった。さらに、
貴社は、ラベリング作業及び貴社がアメリカに輸出するOTC薬の苦情処理に関する文書化された手順を
制定していなかった。貴社は、供給者を適切に適格と評価する文書化された手順を制定していなかった。
●FDAの輸入警告措置(Import Alert) 66-40を受けている製造業者からの医薬品の購入
我々は、貴社の供給者のリストをレビュしたところ、FDAのImport Alertのリストに載っているXXが
含まれていた。Import Alert 66-40はFDAの公式ウェブサイトで確認できる。Import Alert 66-40が
示すように、XXで製造された医薬品は、CGMPに従っていないため、アメリカへの輸入拒否の対象だった。
貴社はImport Alert 66-40を受けている会社から購入した不純物の混じった原材料を使用したので、
貴社の製造した医薬品も不純物が混じっている。
●コンサルタントの推奨
我々が貴社で発見した違反の性質に基づき、我々は、CGMP要件を満たす手助けをする適格なコンサル
タントを雇うことを強く勧める。貴社のコンサルタントの使用は、CGMPを順守するための貴社の義務
を軽減するものではない。貴社の経営陣には、全ての不備を解決し、継続的なCGMP順守を保証する
責任が残る。
出典:https://www.fda.gov/ICECI/EnforcementActions/WarningLetters/2017/ucm582202.htm

■WL:320-18-04 中国の製造所の査察(2017/5/15~2017/5/19)でみつかった医薬品製造における
重大なCGMP違反に関する2017/10/30付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。
1.貴社は、全ての成分、容器、蓋、工程内原料、包装材料、ラベル、医薬品を承認したり不合格と
  判定したりする責任と権威を持った適切な品質管理部門を制定することを怠った。
貴社は、有効成分にヒドロコルチゾンを含む表示された局所用OTC医薬品を製造した。査察中、我々
の査察官は、この製品には、異なる有効成分である酢酸デキサメタゾンが実際に使用されたこと
示す記録をレビュした。査察官が不正な有効成分について尋ねた時、貴社は通訳のミスであると述べ、
2つの有効成分は同じ成分であると信じられていた。貴社の品質部門は、不正な有効成分を含むこの
製品の多数のロットがアメリカに販売されることを承認した。
貴社は2017年8月30日、アメリカ向けに販売したこの医薬品を回収した。しかし、貴社は、品質部門
の失敗についての調査の詳細と再発防止のためのアクションプランを提出しなかった。また、貴社は、
貴社がアメリカへの販売用に出荷した全ての医薬品が適切な成分で製造されたことを保証する評価の
詳細を提出しなかった。
2.貴社は、医薬品の各バッチについて、出荷前に、各有効成分の同一性、含量、医薬品の最終規格
  に合 うことを実験室で適切に判断しなかった。
貴社は、出荷及び販売前に、同一性、有効成分の含量に関する医薬品の試験を怠った。有効成分の
試験は、製造した医薬品が、それが有するとうたう化学的属性に関し、制定した規格を満たすこと
を確認する絶対不可欠な試験である。
3.貴社は貴社が製造した医薬品が、有するまたは有すると表示された同一性、含量、品質、純度を
  持つことを保証するための製造及び工程管理に関する適切な文書化された手順を制定することを
  怠った。
貴社は、製品を製造するために使用される工程をバリデートしていなかった。貴社は、工程の性能
適格性評価を実施せず、安定した製造作業と一貫性のある医薬品の品質を保証するための工程管理の
モニタリングに関する継続的なプログラムが欠けていた。
●不十分な回答とコンサルタントの推奨
FDAの査察結果に対する2017年8月16日の貴社の回答は不十分で、貴社の作業がCGMPを順守するため
の是正処置の十分なエビデンスが提供されなかった。例えば、貴社は、下記の提供を怠った。
・バッチの出荷判定前に、各医薬品のバッチを分析するために用いられる、化学的及び微生物学的
 品質特性を含む、品質管理試験の方法や規格
・有効成分の同一性や含量、総数や好ましくない微生物の試験を含む他の品質特性に関し、全ての
 医薬品の試験をするという明確な誓約
貴社の各医薬品に関する工程の性能適格性評価に関するタイムラインと、バッチ内と中間バッチ
 のばらつきの定期的なモニタリングに関する貴社のアプローチの概
我々が貴社で発見した違反の性質に基づき、我々は、CGMP要件を満たす手助けをする適格なコンサル
タントを雇うことを強く勧める。貴社のコンサルタントの使用は、CGMPを順守するための貴社の義務
を軽減するものではない。貴社の経営陣には、全ての不備を解決し、継続的なCGMP順守を保証する
責任が残る。
出典:https://www.fda.gov/ICECI/EnforcementActions/WarningLetters/2017/ucm583939.htm


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まとめ
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いかがでしたでしょうか。
今回取り上げたウォーニングレターでは、データ・インテグリティの指摘の他に、
OOS(Out-of-Specification)発生時の根本原因の調査不足、
不十分なCAPA(Corrective Action and Preventive Action)、年次製品照査の不備が
指摘されていました。
ご存知の通り、昨今、製薬業界ではありませんが、品質管理の不備が大きな問題になっています。
この機会に、品質管理、特にOOS発生時の対応に不備がないかを確認してみるのもよいのでは
ないでしょうか。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。
☆次回は、12/15(金)に配信させていただきます。

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