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2017.08.15

【最近のウォーニングレター】ASTROM通信<128号>

 ~安全な医薬品の安定供給をご支援する~

こんにちは
ASTROM通信担当の橋本奈央子です。

立秋を過ぎ、こころなしか涼しくなってきたように思えるこの頃ですが、いかがお過ごしで
いらっしゃいますか。

さて、今回は、3ヶ月ぶりに、最近の米国食品医薬品局(FDA)の製品品質オフィスから発行された
ウォーニングレター(Warning Letter)の内容を確認していきたいと思います。

FDAがどんな点を指摘しているのかをご一緒に確認できれば幸いです。


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ウォーニングレターの概要
注:文中のXXはウォーニングレターでマスキングされている文言です
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■WL:320-17-35 インドの製造所の査察(2016/6/27~2016/7/1)でみつかった原薬製造における
重大なCGMP違反に関する2017/4/20付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。
●CGMPからの逸脱
1.原薬製造業者から受け取った全ての品質または規制情報を貴社の顧客に伝達することの不履行
貴社は、貴社が顧客に向けて発行した分析証明書(CoA)において、原薬のオリジナルの製造業者の名前と
住所を削除した。貴社は、レターヘッドのオリジナルの製造業者の情報を差し替えて、貴社の分析証明書
を作成した。
査察中、我々は、貴社の2つの供給者が、医薬品の製造業者としてFDAに登録されていないことを発見した
しかし貴社は、これらの会社から得た原薬をアメリカに出荷し、顧客に対して提供した輸入書類と
分析証明書上で貴社が製造業者であると申告した。貴社が顧客に対して提供した輸入書類と分析証明書上で
オリジナルの製造業者を申告しなかったことは、アメリカに、未登録の会社の製品が入ることを可能にした。
顧客と規制当局は、医薬品の品質と供給源及び成分についての情報に関し、分析証明書を信頼している。
分析証明書から情報を削除することは、サプライチェインの説明責任とトレーサビリティを損ない、顧客を
危険にさらすかもしれない。
2.CGMPの適切な管理のもとでの原薬のラベルの貼り替えと保管の不履行
査察中、貴社は、貴社の車を運転して、いくつかの供給者から原薬を引き取り、車内で、自社のラベルに
貼り替えると述べた。貴社は、業者が、温度の管理された環境内で原薬を安全に保管しているか確認できな
と述べた。
原薬の再梱包、ラベルの貼り替え、保管は、原薬の同一性や純度を失うのを避けるために、CGMPの適切な
管理のもとで実施されなければならない。
貴社は、アメリカへの輸出を停止するつもりであり、アメリカへの輸出を再開する前にFDAの監視に対処する
つもりであると述べた。しかし、貴社は、販売を再開する前に、貴社の運用がCGMPに則っている状態にする
ための是正処置の詳細な情報やエビデンスを提供していないので、貴社の対応は不十分である。
●CGMPコンサルタントの推奨
我々が発見した貴社の逸脱の性質に基づき、我々は、貴社の作業を評価しCGMP要件を満たす手助けをする
適格なコンサルタントを雇うことを強く勧める。
 出典 https://www.fda.gov/ICECI/EnforcementActions/WarningLetters/2017/ucm554775.htm

■WL:320-17-36 中国の製造所の査察(2016/11/28~2016/12/1)でみつかった原薬製造における重大なCGMP違反
に関する2017/4/24付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。
1.データへの許可されていないアクセスや変更を防ぐことの不履行 及び データの削除を防ぐための適切な
管理の不履行
査察官は、貴社の実験室のシステムが、電子的ローデータの削除や変更を防ぐための管理が不足していることを
発見した。
a.監査証跡データのレビュで、分析者が、HPLCシステムの日付/時刻の設定を操作したことを明らかにした。
  査察中、分析者は、時計を戻して分析を繰り返したことを認めた。最初のサンプルの分析結果は、上書き
  されるか削除され、査察官のレビュに利用できなかった。貴社は、繰り返しの分析のうち合格結果のみを
  報告した。テスト結果が上書きされた時、品質部門は、貴社で製造された薬の品質について、不完全で
  不正確な情報を提供された。
b.貴社の品質管理の分析者は、HPLCシステムにアクセスするために、共有ログインアカウントを使用した。
  このログインアカウントは、トレーサビリティなしに、分析者がコンピュータの日付/時刻の設定を変更し、
  フィル名を変更し、HPLCのオリジナルデータを削除することを許した。
c.原薬の試験に使用された貴社のHPLCのうち7つは、監査証跡機能を持っていたにもかかわらず、機能を無効
  にしていた。
貴社の回答内で、貴社は、貴社のコンピュータ化システム内でのデータを管理するための効果的な手段が
不足していたことを認めた。貴社は、コンピュータ化システム、日付/時刻の設定のロック、監査証跡機
能の有効化に関する手順の改訂を約束した。しかし、貴社は、全ての品質管理機器の監査証跡機能が
2017年9月30日まで完全に有効にされることはないと述べ、当面、ソフトウエアやログブックのアップデート
を含む方法を管理することを約束した。
貴社の回答は、誰がコンピュータの管理者権限を持つかを特定せず、データ操作(例:削除、日付/時刻の変更)
に対処していないので、不十分である。
このレターへの回答内で、
・実験室の各システムに関し、個別ユーザの役割と、関連する権限の詳細を明確にせよ。
・貴社の当面のシステム管理の効果の評価を提供せよ。
2017年9月までに実施することが期待されているすべてのシステム管理の効果に関する同様の評価を
 実施するという誓約を提出せよ。
これらの改善を実施し効果を保証する品質部門の役割を説明せよ。
2.制定した規格や基準に従うことを保証するために実験室で実施される全ての試験から得られる完全な
データの保持の不履行
査察官は、貴社が、全ての実験室の分析に関する完全なデータを保持することを怠り、貴社の薬が制定した
規格に合うかどうかを決定する際に不完全な情報に頼っていることを発見した。
a.HPLCクロマトグラムは、削除され、査察官のレビュに利用できなかった。貴社は、2016年1月に、
  クロマトグラフのオペレーティングシステムのソフトウエアのネットワーク版をインストールして
  いる間、一部のデータが削除されたことを認めた。
b.査察官は、合格結果が得られるまでサンプルのリテストを繰り返す行為をみつけた。例えば、査察官
  は粗XXのバッチXXに関する特定の物質のHPLCの繰り返しの試験を発見した。最初の試験は、クロマト
  グラムの未知のピークを示した。別の分析者が、5日後にそのバッチのリテストを実施し、この分析は
  未知のピークを示さなかった。文書化された正当性の説明や調査もなしに、2番目の分析者の結果のみ
  がバッチの傾向として使用された。
3.貴社の品質部門が、貴社の設備で製造された原薬がCGMPに従い、制定した品質や純度の規格を満たす
ことを保証することの不履行
査察官は、空欄または部分的に完成した製造データを含み、日付や確認のサインがないバッチの製造記録
をみつけた。例えば、貴社のXX工場内で、査察官は、不足した重さや体積などの製造データを入力する
ように品質保証部門から操作者に指示をしている付箋のメモがついたXXの出発原料に関するバッチの記録
を見つけた。また、品質部門は、原料が製造に使用される前にこのバッチの記録を承認していなかった。
品質部門がバッチのレビュの際に評価できるようCGMPに関するすべてのデータは完全で信頼できなければ
ならない。
貴社の品質部門はこれらの受け入れがたい製造部門の運用を知っていたが、それらが是正されることを保証
しなかった。
逸脱の調査が、失われた製造データの薬の品質への影響を判断していないので、貴社の回答は不適切である。
このレターへの回答内で、
データインテグリティに関するバッチの記録の回顧的レビュの最新情報を提供せよ。
文書が同時に作られているかを判断するための方法を含む評価を貴社がいかに実施したかを説明せよ。
貴社の製造所の品質部門の機能の十分性に関する総合的な評価を実施せよ。
・逸脱とその調査システムの総合的な評価結果を提供し、貴社の運用の著しく不十分な部分を修正する
CAPAを実施せよ。
査察で発見した重大な問題は、貴社の品質部門がその権限及び/または責任を完全に果たしていないことを
示している。貴社は、貴社の品質部門に、適切な権限とその責任を実行し一貫して薬の品質を保証するため
のリソースを提供しなければならない。
●データインテグリティの改善
貴社の品質システムは、貴社で製造した薬の安全性、有効性、品質を裏付けるためのデータの正確性や完全性
を適切に保証していない。我々は、貴社の改善を手伝う適切なコンサルタントを雇うことを強く勧める
このレターへの回答の中で、以下の情報を提供せよ。
a.データの記録や報告の不正確さの範囲の総合的な調査。
  調査には下記のことを含めよ。
  ・詳細の調査手順や方法、全ての実験室の概要、製造作業、評価がカバーするシステム、貴社が一部の
   作業の除外を提案する正当な理由
  ・データの不正確さの性質、範囲、根本的な原因を特定するための現在と過去の従業員のインタビュ
    我々は、適切な第三者がインタビュを実施することを進める。
  ・貴社の製造所のデータインテグリティの欠陥の範囲の評価
    省略、変更、削除、レコードの破壊、非同時のレコードの完成、その他の欠陥について特定せよ。
    データインテグリティが失われている貴社製造所の運用の全ての部分について述べよ。これは、
    審理中または承認された申請内容を裏付けるために用いられたすべての試験(安定性試験を含む)
    データの完全で総合的な監査を含む。
  ・試験と製造のデータのインテグリティの欠陥の総合的な回顧的評価
    我々は違反の可能性がある分野の特別な専門知識をもった適切な第三者が、すべてのデータ
    インテグリティの欠落を評価することを勧める。
b.みつかった不具合の、貴社の薬の品質に対する潜在的な影響に関する現在のリスクアセスメント
   評価には、データインテグリティの欠如の影響がある薬の出荷による患者へのリスクの分析や、
   現在進行中の作業によりもたらされるリスクを含めるべきである。
c.グローバルな是正処置及び予防処置の計画の詳細を含む貴社の管理戦略
  貴社の戦略に以下の事を含めるべきである:
  ・分析データ、製造記録、FDAに提出されたすべてのデータを含む貴社が生成したすべてのデータの
   信頼性と完全性を保証するために、貴社がどうするつもりかを述べた詳細な是正処置の計画
  ・現在のアクションプランの範囲と深さが、調査とリスクアセスメントで見つかった内容にふさわしい
   というエビデンスを含む、貴社のデータインテグリティの欠如の根本原因に関する総合的は記
   CGMP関連のデータまたは薬の申請データに影響を与えうるデータインテグリティの欠陥に関し、
   個人に責任があるかどうかを示しなさい。
  ・例えば、顧客への通知、製品の回収、追加試験の実施、安定性を保証するための安定性プログラム
   へのロットの追加、薬の申請活動、改善された苦情のモニタリングのような、患者を守り、貴社の
   薬の品質を保証するために貴社がとった、またはとろうとしている行動を述べた経過措置
  ・貴社のデータのインテグリティを保証するために計画された手順、工程、方法、管理、システム、
   経営の監視、人材(例:訓練、スタッフの配置の改善)に対する全ての改善努力や強化について
   述べた長期の方策
  ・進行中また完了した上記活動の状況報告
 出典 https://www.fda.gov/ICECI/EnforcementActions/WarningLetters/2017/ucm563067.htm

■WL:320-17-37 インドの製造所の査察(2016/10/18)でみつかった最終医薬品製造における重大な
CGMP違反に関する2017/4/28付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。
1.貴社は、事前通告査察の予定を決めようとしたFDAの試みを遅らせた。
2016年4月25日、FDAは、査察の進行を容易にし、適切な記録を確保し、職員が応対できるよう、
貴社に連絡をとった。2016年6月18日、貴社は、FDAに、“工場労働者と職員がストライキをしている”
としらせた。2016年6月20日、貴社はFDAに、労働者が、抗議の一環として設備の入口をふさいでいると
しらせた。その結果、FDAは、2016年6月27日に実施すると事前通告していた査察をキャンセルした。
2016年7月15日、貴社は、従業員がストライキを続けているとしらせた。2016年8月8日、貴社は従業員
の辞職願のコピーや、設備の入口をふさいでストライキをしている従業員の写真を含むストライキの
証拠を提供した。
従業員がストライキをしていたという貴社の主張に関わらず、FDAは貴社は2016年7月11日から2016年8月9日
の間に、少なくともXXバッチの薬を含む多数の製品を製造していた証拠を得た。
ストライキと称する貴社の虚偽の陳述がFDAの事前通告査察の計画と実施を遅らせた。
2.貴社はFDAの査察を制限した。
FDAは、2016年10月18日に貴社の設備に入った。この査察中の貴社の行動は、貴社がCGMPに則っているか
FDAが評価することを著しく妨害した。例えば、XXの容器の部屋と、包装とラベルの保管エリアへのドア
はかぎが掛けられ、査察官が立ち入ることを妨げ、査察を制限した。
3.権限の与えられた査察のために速やかに利用できるように要求された記録の提供の不履行
2016年10月18日の査察中、貴社は査察官にバッチの記録を提供しなかった。査察の終わりに、貴社は、
これらの電子記録を数日中に提供すると述べたが今日までFDAはいかなるバッチの記録も受け取っていない。
●保全されていない設備
査察中、設備の照明はついていなかった。物理的には立ち入り可能だったエリアで、査察官は懐中電灯を
使って暗闇の中を歩かなければならなかった。制限された視界ではあったが、査察官は、製造エリアで、
床にこびりついた粉も含め、散乱したXXの粉を発見した。さらに査察官は、粉に覆われた空の箱、ゴミ、
最終製品や、設備中に散らかった包装箱を発見した。
 出典 https://www.fda.gov/ICECI/EnforcementActions/WarningLetters/2017/ucm556425.htm

■WL:320-17-38 中国の製造所の査察(2017/2/13~2017/2/17)でみつかった原薬製造における重大な
CGMP違反に関する2017/5/11付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。
1.原薬が品質と純度の意図された規格を満たすという信頼を保証するための活動だけでなく
組織的構造、手順、工程やリソースを含む品質を管理するシステムの実装の不履行、品質に関する全ての
活動の文書を定義することの不履行
2016年8月より前、貴社は、アメリカ向けの薬を製造し出荷しているにも関わらず、品質関連の手順を
持っていなかった。2017年2月の査察までに、貴社は、いくつかの手順の草案は作ったが、査察までに
どの手順も実施していなかった。
2.入荷、識別、隔離、保管、サンプリング、試験、管理、原材料の承認や不合格に関する適切な文書化
された手順を持っていない。
例えば、査察官が重要な原材料のリストとサンプル条件をたずねたところ、貴社は受け入れた原材料の
試験及びサンプリングの文書化された手順がないといった。代わりに、貴社の倉庫の従業員は、受け入れた
原材料の管理、サンプリング、試験を”頭の中“で記述していると説明した。
3.制定した規格や基準に従うことを保証するために実験室で実施される全ての試験から得られる完全な
データを含む実験室の管理記録の保持の不履行
例えば、査察官は、XXのロットXXの分析試験の監査証跡をレビュし、文書や調査もなしに、数日の間に
同じサンプルの試験を3回実施してることを発見した。貴社は3回目の結果と分析証明書用の最終試験の
結果のみを報告して、原薬のバッチを出荷していると報告した。
4.適切なバッチの製造記録と、その時に実施した活動の記録を作成することの不履行
例えば、査察官は、貴社の作業者が、疲れすぎてすぐにデータを記録できず、その値を忘れてしまった時、
新しいバッチの記録を完成させるために、前のバッチからプロセスパラメータの値を使用していることを
発見した。
●CGMPコンサルタントの推奨
我々が発見した貴社の逸脱の性質に基づき、我々は、貴社の作業を評価しCGMP要件を満たす手助けをする
適格なコンサルタントを雇うことを強く勧める。
 出典 https://www.fda.gov/ICECI/EnforcementActions/WarningLetters/2017/ucm558917.htm

■WL:320-17-39 中国の製造所の査察(2017/1/16~2017/1/18)でみつかった原薬製造における重大な
CGMP違反に関する2017/6/22付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。
1.貴社の原薬が、制定した品質及び/または純度の基準に確実に従うために、試験の手順が科学的に
妥当で適切であることを保証するのを怠った。
貴社は、核磁気共鳴(NMR)分光法を使ってヘパリンまたはヘパリン関連医薬品のサンプルにおける過硫酸化
コンドロイチン硫酸(OSCS)を分析する契約試験研究所である。
貴社はOSCSについてサンプルを試験する時に、定期的なシステム適合性試験を実施することを怠った。
さらに、2014年12月26日に、貴社は、システム適合性試験を実施して不合格になった。貴社は、OSCS
の検知用の装置がなぜシステム適合性試験に不合格になったか調査したり、システム適合性に不合格に
なった日より前に実施された他のOSCSの試験の信頼性について判断したりしなかった。
貴社の回答において、貴社は、“ヘパリン標準(USP)とOSCSは少なくともXX検知された“としつつ、
貴社の実験室がシステム適合性試験をまれにしか実施していないことを認めた。貴社は、今後は日常的に
バッチのサンプルの分析の前にシステム適合性の試験を行うことを約束した。
サンプルの分析と一緒にシステム適合性試験を実施することを怠った期間中に実施されたヘパリンまたは
ヘパリン関連医薬品のOSCSに関する全ての試験結果の妥当性を調査しなかったので、貴社の回答は不十分
である。
システム適合性試験は、詳細の条件を満たすかどうかを判定し、サンプルの分析前に、目的の試験にNMR
分光計が合っていることを保証する。機器が適切に作動していない時に、サンプルが誤って合格になる
可能性を避けるためにヘパリンのOSCS汚染を検知において、貴社のシステムが適合と示すのは危険である。
2.データへの許可されていないアクセスや変更を防ぐことの不履行 及び データの改ざんや削除を防ぐ
ための適切な管理の不履行
貴社の品質管理部門は、電子的に保管された実験室のデータの変更を防ぐための基本的な管理を行って
いなかった。査察中、我々は、ヘパリンまたはヘパリン関連医薬品のサンプルのオリジナルの電子データ
を表示するよう求めた。貴社の分析者は、要求したデータを検索することができず、新しく取得される
データのための場所を作るために古いデータを削除したと説明した
貴社は、回答の中で、分析者のコンピュータの操作の許可レベルに関する手順を改訂すると約束したが、
削除されたデータについては対処しなかった。
●査察中の情報へのアクセス
査察中、貴社は、貴社が試験を行ったXXという顧客の名前が載った文書を提供した。しかし、貴社は、
これらの顧客に関するサンプルの情報や試験結果などの付加的な情報のみ提供した。貴社は、他の顧客に
ついては、顧客の同意が得られるまでは実施した試験に関するデータの提供はしないと述べ、アメリカ向け
のヘパリンやヘパリン関連医薬品を製造している会社XXのために分析されたサンプルに関する情報を
提供しなかった。
 出典 https://www.fda.gov/ICECI/EnforcementActions/WarningLetters/2017/ucm565030.htm

■WL:320-17-40 インドの製造所の査察(2016/9/19~2016/9/23)でみつかった最終医薬品製造における
重大なCGMP違反に関する2017/7/5付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。
1.公的な条件または他で制定された条件を超えて、医薬品の安全性、同一性、含量、品質や純度を変え
  るような故障や汚染を防ぐために、衛生および/または滅菌設備や用具を、適切な間隔で、適切に清
  掃し、維持することを怠った。
2016年9月19日、貴社の製造エリアを歩いていて、査察官は、貴社がXXのために使用している装置の
コンプレッションが破損していることを発見した。特に、査察官は、XXや血管拡張薬を製造するために
使用している3つの装置に穴や腐食を発見した。
査察に先立ち、2016年3月7日に、FDAは、錠剤に金属が埋め込まれていたという苦情を受け取った。
査察中、査察官は、貴社が苦情を調査した時、貴社の装置の悪い状態が問題の原因になっていたかどうか
を検討することを怠っていたことに気づいた。
貴社は回答の中で、破損していると判断された装置は交換したと述べた。しかし、貴社の回答は、問題の
錠剤及び、上記装置を使ってアメリカ市場向けに製造された米国薬局方塩酸イソクスプリン20㎎錠剤の
回顧的レビュを含んでいないため、不十分である。
2.貴社は、貴社が製造した製品が称する、または、示された同一性、含量、品質及び純度を持つことを
保証するために設計された工程管理や製造に関する文書化された手順の制定を怠った。
貴社は、査察官に対して、米国薬局方塩酸イソクスプリン20㎎錠剤に関するプロセスバリデーションを実施
していなかったことを認めた。この薬の製造工程のバリデーションをしていなかったが、貴社は少なくとも
XXバッチをアメリカに出荷した。製造業者は、仕掛品及び最終製品が連続して確実に、所定の品質条件を
満たすことを保証するために、製造工程を設計し管理しなければならない。
貴社は回答の中で、米国薬局方塩酸イソクスプリン20㎎錠剤とXXを現在は製造していないと述べたが、貴社の
回答は不十分である。貴社は、いつ、どのように、貴社が製造した米国薬局方塩酸イソクスプリン20㎎錠剤の
バリデーションを終える予定だったかを示していなかった。さらに貴社は、製造工程をバリデートしなかった
ことが、既に出荷した米国薬局方塩酸イソクスプリン20㎎錠剤の品質に与える影響の可能性を判断するための
回顧的リスクアセスメントを実施しなかった。
 出典 https://www.fda.gov/ICECI/EnforcementActions/WarningLetters/2017/ucm565861.htm

■WL:320-17-41 イタリアの製造所の査察(2016/12/1~2016/12/9)でみつかった最終医薬品製造における
重大なCGMP違反に関する2017/7/6付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。
1.貴社は、医薬品の製造、加工、包装、保管において、適切な設計、適切なサイズで、用途にあった
使用・清掃・維持に関して作業を容易にするために適切に設置された装置を使用することを怠った。
査察中、査察官は、アメリカ市場向けのXXとXXを製造しているXXルームの無菌操作ラインで2015年9月に
実施された煙調査をレビュし、乱流に気づいた。この乱流は、貴社の製品に重大な汚染の危険をもたらす。
貴社は回答の中で、2016年12月に実施した追加の煙調査結果を提出したが、2015年の調査と同様に2016年の
調査も、無菌充填ラインの複数の場所で、乱流を示していた。
貴社は、容器にキャップがつけられる場所で、一方向流が存在することを立証しなかった。さらに、
貴社のダイナミックな煙調査のビデオは、充填及び密封作業の囲いの外側で、操作者が手動でXXのボウルに、
XXの無菌容器密閉部品を入れる時に、乱流が発生していることを示している。操作者は、現在の装置や
工程設計の制限を克服するために、無菌容器密閉部品をのせる間、XXのボウルに手を伸ばす。これらの
手動の操作の人間工学が、貴社の無菌工程操作において重大な危険をもたらす。
2.貴社は、成分、製品の容器、密閉、仕掛品、ラベル、製品が、同一性、含量、品質、純度の適切な
基準に従うことを保証するために設計された科学的に妥当で適切な規格、基準、サンプリング計画、
テスト手順を含む実験室の管理を制定することを怠った。
貴社は、出荷前に、製品XXの微粒子に関する試験を必要としなかった。特に、査察官は、2016年12月2日に
XXのロットXXの製造中、高い粒子数のアラームが繰り返されている状態を発見した。
2016年12月9日にサインされた貴社の変更管理文書の付録は、最終製品の粒子試験の必要性を取り上げて
いた。付録は、貴社は、この試験の実施が必要になり、製品仕様の一つとする予定である“と述べていた。
しかし、貴社の回答は、微粒子試験の実際の導入について述べていない。微粒子の汚染は、XXへの危険を
もたらしうる。
●CGMP問題の追加
我々は、貴社の設備の無菌性保証プログラムに関し、次の不備に気付いた。
◎無菌試験
貴社は微生物実験室にサンプルを移動するためにXXを使っている。XXをXXに入れる時、サンプルの表面を
XXで消毒する。貴社は、XXをXXから移す時にも、サンプルの表面をXXで消毒する。これら2つの適切な
サンプルの汚染除去ステップに加えて、貴社は、無菌試験サンプルをXXのXX内にさらすことを行っている。
このXXサイクルの使用は、無菌試験で見つける可能性のある有機物を殺すか傷つける可能性がある。
このレターへの回答の中で、この問題を完全に修正するCAPAを準備し、無菌サンプルが傷つける可能性の
ない方法で消毒されることを保証せよ。
◎詰まり
貴社はバッチの製造中に、XXが詰まる現象が繰り返し発生することを経験した。貴社はXXの不純物が
詰まりの原因であると考えた。これらの詰まりは、無菌作業中にXXの変更を必要とした。
このレターへの回答の中で、2015年12月以降に発生した全てのつまりの現象をまとめよ。また、CAPAの実施
のステイタスと有効性について述べよ。
 出典 https://www.fda.gov/ICECI/EnforcementActions/WarningLetters/2017/ucm566429.htm


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まとめ
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7通のウォーニングレターを見てきましたが、いかがでしたでしょうか。
今回の指摘内容は、データインテグリティに関わる指摘の含まれるものは2通だけで、それ以外は、
文書化された手順が定められていない、設備の管理がされていないというものが多かったように思います。
昨今、査察側も査察を受ける側もデータインテグリティに目が行きがちですが、手順書の未制定という
基本的な不備がないかを再確認することも、時に必要かもしれません。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。
☆次回は、9/1(金)に配信させていただきます。

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hashimoto@e-pros.co.jp

【発行責任者】
株式会社プロス
ASTROM通信』担当 橋本奈央子

2017.08.01

【中国発 2016年医薬品査察の年次報告書(2)】ASTROM通信<127号>

 ~安全な医薬品の安定供給をご支援する~

こんにちは
ASTROM通信担当の橋本奈央子です。

うだるような暑さが続いていますが、いかがお過ごしでいらっしゃいますか?

さて、今回も前回に続いて、
中国国家食品薬品監督管理局(CFDA:China Food and Drug Administration)が2016年に実施した
医薬品関連の査察の年次報告書を見ていきたいと思います。

前回のメールマガジンで、CFDAの管理レベルの高さに驚かれた方が多かったようですが、中国は
2017年6月にはICHにも加盟するなど、グローバルスタンダードに対応してきているので、今後の
動向は非常に興味深いところです。
是非、今回のメールマガジンも最後までお付き合い頂ければ幸いです。

出典
http://eng.sfda.gov.cn/WS03/CL0757/173386.html


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2016年に実施した査察について ※Part1~Part3は前回のメルマガをご参照ください。
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Part4. 無通告査察
I. 概略
CFDAの関連部署の要求により、製薬GMPの無通告査察の作業手順に基づき、2016年はCFDAから45社の
無通告査察の仕事を受け、そのうち39社は完了し、残りは、現在実施中である。39社のうち、9社は
バイオ医薬品の製造業者、20社はTCM(Traditional Chinese Medicine:中国の伝統薬)の製造業者、
9社は化学薬品の製造業者、2社は血液製剤の製造業者である。
2016年の無通告査察において、21社(54%)が不合格となった。14社の企業の製薬GMP認証の取り消しと、
10社の取り調べの開始が示唆された。7社の問題の多い製品は、回収が命じられた。製薬GMP無通告査察
において、TCM薬品と化学薬品は、より多くの問題があると判断された。無通告査察で発見された全て
の問題は、法律に従って対処された。
II. 主な結果
(1)TCM製造業者で見つかった主な問題
20のTCM製造業者のうち12社は製薬GMPの要件を満たしていなかった。
 1.中国漢方薬の製造業者
 ①工程の正式に許可されていない変更の問題が目立った。
  経口剤の製造コストを減らすため、前処理と抽出処理の許可されていない変更が目立った。
  今年の無通告査察は、処方にある植物薬が抽出されなかったことにより実施された。
  この植物薬は、技術的な手段により抽出されるべきだが、粉砕後に直接加えられていた。
 ②植物薬及び薄切りの生薬は管理がされていなかった。
  全レベルの医薬品の規制当局による査察に対処するために、中国漢方薬の製造業者は、倉庫の原料
  のシステム在庫数と、在庫品と欠品の記録を改ざんした。
  企業の内部操作により、関連するシステム在庫と原料の記録は一致させることができたが、購入に
  関するインボイスや領収書の対応をし損ねた。また、そのような企業は、植物薬が農家から直接
  買うことができることを悪用し、逆に、中国漢方薬の製造分から植物薬を使用し、また、原料の
  システム在庫数を改ざんした。
 ③購入された植物薬と薄切りの生薬は厳格な検査の対象ではなく、データの完全性が疑わしい。
  中国漢方薬の昔ながらの製造業者は、たくさんの製品品種を持ち、その中には、多様な植物薬と
  薄切りの生薬を含んでいる。詳細の分析装置とQC職員は生産規模に適応していないため、
  購入された植物薬と薄切りの生薬の各バッチが検査されたことを保証することができない。
 2.人工牛黄
  人工牛黄は、中国薬局方で“医薬原料と薄切りの生薬”の分類のもとで販売されているので、
  それは中国漢方薬の原料に属し、人工牛黄の製造業者は製薬GMPの要件に従って製品を作ることが
  できない。特に、人工牛黄の上流サプライチェインの供給者の監査や管理に関し、製薬GMP要件が
  非常に不十分で、加工場所の衛生状態は悪く、原料はトレースできず、加工工程は管理されていない。
  主な問題は下記の通りである。
 ①供給者の管理が弱い
 ②微生物限度の信頼性試験が疑わしい
 ③品質保証システムに含まれていない
 3.薄切りの生薬
  外注委託された薄切りの生薬の販売は非常に一般的である。購入された植物薬や加工製品の含有量
  定量の問題は非常に突出している。時々、染色や重さの問題が発生し、バッチの製造記録の信ぴょう
  性が疑わしい。
 ①信頼できないバッチの製造記録
 ②疑わしい外部委託された薄切り生薬の販売
 ③データインテグリティの信ぴょう性
(2)バイオ医薬品
 1. 抗ganglioside GM1抗体ナトリウムの査察
  2016年、抗ganglioside GM1抗体ナトリウムの製造業者4社が査察を受け、原料の品質の管理と、
  豚の脳の供給者にリスクがあることがわかった。
 ①企業による供給者の管理は、効果的なトレーサビリティが保証できていないので、供給者の管理を
  向上させなければならない。
 ②豚の脳の低温輸送のモニタリング用電子データの管理が不十分だった。
 2.肝細胞の成長促進因子の注射剤の査察
  2016年、肝細胞の成長促進因子の注射剤の製造業者4社が査察を受け、2社は製薬GMP認証を取り
  消され、2社は、ワーニングレターが発行された。
 ①記録ファイルの偽造
 ②データインテグリティの問題
 ③登録された製造工程の不一致
 ④原料としての肝臓の品質の有効な保証ができないこと

Part5. 海外査察
I. 概略
(1)年間査察業務の概略
CFDAの2016年の海外査察の合計は49件だった。
 1.2016年の査察は19か国に及び、ヨーロッパ33件、北米6件、東南アジア6件、南米2件、インド
  1件、オーストラリア1件だった。ヨーロッパと北米は相対的に薬の種類が多かったこと、インドと
  ベトナムは品質リスクが高いことから査察件数が多かった。
 2.査察は、評価と承認に役立ち、市販されている製品の安全性の要件を考慮に入れるべきであるとい
  原則に従った。審査中の薬の割合が増え、査察の範囲には、治験の申請中の製品、製造や再登録
  の申請、追加申請の段階のものがすべて含まれる。販売されている製品を査察する理由は、主に通関地
  の品質試験の問題だった。海外の会社で製造された副作用のリスクが高いiodoprestamine注射剤が査察
  に追加された。
 3.査察業務は、包括的でさまざまな剤型に及び、化学製剤にも及んだ。注射剤、固形製剤、インプラント、
  スプレー式点鼻薬を含む40の化学薬品が含まれ、その中にはバイオ薬品が3件、原薬が6件、
  ワクチン・血液製剤・治療用バイオ薬品が11件、植物薬が4件含まれる。
(2)2016年の査察の実施
上半期のCFDAとCFDI(The Center for Food and Drug Inspection)の査察ツアー、関連する海外の状況や、
企業の製品の準備により、CFDIは年間を通じて37件の医薬品の査察業務を提案した。7件の現地査察を含む
15件の査察業務が完了し、そのうちの3件(42%)は、不合格になり、8件の医薬品の企業は、輸入登録認証を
取り下げるか、査察中に申請を返上した。21件については、企業の製造スケジュールにより、査察が2017年
の第1四半期に完了するよう計画された。その他の12件は、2017年の第1四半期に査察を受けられないため、
CFDIは2017年の海外査察にそれらを含めることを監督部門に報告した。
II. 主な結果
査察した7件のうち、3件が不合格になり、その率は前年に比べてわずかに増えた。査察では117の不
備が確認された。そのうちの3件はクリティカル、18件はメジャーの不備だった。問題は主に、品質
管理と品質保証、原料システム、変更管理に集中した。クリティカルの不備は主に、製造プロセスの一
貫性とデータインテグリティだった。海外査察で発見された全ての問題は、法律に従って対処された。
主な重大な問題は下記の通りである。
 1.実際の製造プロセスと製造施設が登録申請の内容と不一致で、大きな変更が中国での申請の提出なしに
  実施されていた。
 2.データインテグリティについて、製品品質に深刻な影響を与えるような重大な問題があった。
 3.オフサイトの査察で処理された品目が多数あった。

Part6. GSP(Good Supply Practice)無通告査察
I. 概略
2016年、CFDAは医薬品の流通フィールド内での違法な販売の集中的な改善を実施し、さらに、会社の
自己点検と改正、県の管理組織による管理と査察、CFDAによる無通告査察を通じて、医薬品の流通規
則を再編成し管理し、違法な販売を解決した。年間を通じて、53の医薬品卸売販売業者で査察を実施
した。無通告査察の結果はCFDAから発表された。
II. 主な結果
(1)CFDA通知No.94の違反
 1.規制に則って医薬品を保管・輸送し、温度・湿度をモニタすることを怠った。
 2.医薬品の購入・販売に関し、認証(ライセンス証明書)、請求書(インボイス、商品に添付される
  シート)、勘定(原料の数量、金融勘定)、商品(医薬品)とお金(医薬品の支払い)が一致しない
  か、または、お互いに矛盾がある。隠し口座の医薬品を倉庫に入れることを怠った。品質マネジメント
  システムに含まれた後も医薬品を管理することを怠った。ビジネスの取引に個人の口座を使用した等が
  みつかった。
 3. 企業は、医薬品の調達源を改ざんし、医薬品の販売の流れをねつ造し、コンピュータシステムや、
  温度及び湿度のモニタリングシステムのデータを改ざんし、本物の医薬品の購買―販売―保管の記録、
  請求書、領収書やデータを隠匿した。医薬品の購買―販売―保管の記録は不完全で信用できず、
  販売はトレースができなかった。
(2)企業によるCFDAの製薬GSP(Good Supply Practice for Pharmaceuticals)の違反の状況
 医薬品流通企業のGSPの問題は、主に、一般規定、保管、維持管理、販売に集中していた。主な問題は下記
 の通りである。
 1.法律に従ったビジネスの実施を怠り、虚偽や不正行為があった。
  企業は許可なく、登録された住所を変更した。許可の範囲を超えて医薬品を保管するための倉庫を
  作った。医薬品の不法な販売の条件を備えていた。医薬品の調達源と販売の流れを改ざんした。請求書
  を隠匿し、偽の原料を提供した。信用できない自己点検記録を提供した。納税申告書を改ざんした。
  温度と湿度のモニタリングデータを改ざんした。
 2.規制に従って医薬品を保管することを怠り、倉庫の温度と湿度を効果的にモニタリングすることを怠った。
 3.請求書、入出金、商品と支払が、購入した医薬品と販売した医薬品と矛盾している。企業は、特定の医薬
  品の販売に関し、国の規制を実践することを怠った。

Part7. 海外の組織によるGMP査察の観察
I. 概略
CFDAの国際協力部門からの文書に基づき、CFDIは2016年に81件の査察の観察を計画した。そのうち76社80%は
浙江 、山東、江蘇、広東、湖北、海南、および河北を含む20県におよび、これは昨年と基本的に一致している。
2016年は、査察の観察を行った査察組織は、世界保健機構(WHO)、欧州医薬品品質理事会(EDQM)、アメリカ
の食品医薬品局(FDA)、ドイツのBGV、ブラジルのANVIA、フランスのANSMなど、海外の医薬品規制当局の12個
の国際組織を含んでいた。医薬品製造業者9社(11%)でクリティカルな不備がみつかり、海外の規制当局/査察
組織による現地査察が不合格になった。
2015年と比較すると、不合格の率はわずかに増加した。査察に不合格になった9社のうち、最もクリティカルな
不備は、適格と評価されるまで、繰り返し試験を実施する、システムの時刻を変えた後に試験をする、監査証跡
の記録を消す、信用できない記録、データや記録の紛失、不十分なファイル記録管理等を含むデータインテグリ
ティだった。そして、いくつかの企業では、不当に作られた原料の基準、交差汚染を防ぐためにとっている
不適切な方法がみつかった。
全体的に、データインテグリティの問題が突出していた。2016年の国内企業の不合格の増加の主な理由は、現在
の医薬品の査察の傾向の変化を反映している。
今年の査察の観察は合計172の医薬品で、原薬が119、経口固形製剤が23、注射剤が19、バイオ医薬品が5、
その他製品が6だった。査察した81件のうち、62件(69%)が原薬、12件(13%)が経口固形製剤で、原薬の割合が最も
多かった。
II. 主な結果
2016年の査察の観察において、1108件の不備が確認され記録された。中国GMP(2010年版)に基づき、不備を分類
すると、すべての不備の88%が、①品質管理と品質保証②文書管理③装置④原料と製品⑤検証と適格性評価
⑥建物と設備の6つのカテゴリに入った。現在の海外の査察において、データインテグリティの要件が広がり
厳しくなっているという懸念を反映し、企業が徐々にデータインテグリティの管理を強化するムードの中で
2015年に比べ文書管理の不備が7%増加し、4位から2位になった。
海外の組織による製薬GMP査察において、“品質管理と品質保証”の不備は、トップの27.3%だった。主な問題は、
実験室内のコンピュータ化分析装置、逸脱の取り扱いとCAPA、製品品質レビュ、変更管理、OOS/OOTの結果の処理、
実験室の管理手順の規定との不一致、微生物試験の管理、品質リスクマネジメントと安定性試験に集中した。
2位の“文書管理”は、主に、記録の完全性と追跡可能性、文書のライフサイクルマネジメント、文書の完全性、
記録の運用の4点に集中した。
3位の“装置”の不備は、使用と洗浄、装置の保守と修理、水の準備システムで83.6%を占めた。
“原料と製品”の不備は、供給者の管理、原料と製品の識別、原料の加工の管理、原料と製品の基準への準拠、
リリース管理に集中した。
”検証と適格性評価“は主に、バリデーションの科学性、バリデーションの管理とバリデーションの文書と記録
の問題を含んでいた。”建物と設備“の不備は主に、環境の管理、保管エリアの管理、汚染及び交差汚染を防ぐ
ための手段、建物と設備のライフサイクルマネジメントを含んでいた。
III.異なる組織の製薬GMP査察の分析
査察内容の観点から、異なる製薬GMP査察機関の間で、査察の焦点に違いがあったが、2016年の査察の観察でみつ
かった不備の分析の結果、①品質管理と品質保証②文書管理③装置④原料と製品⑤検証と適格性評価⑥建物と
設備の6点により多くの不備があったことがわかった。
EDQMとWHOは、より多くの不備のデータを提出し、各査察で平均すると20件あった。各不備については査察中に
発見された問題が説明された。
査察の終了後、そのような問題は、最終査察報告の準備のためにまとめられた。アメリカのFDAは、査察において
相対的に提出した不備が少なく、各査察で平均すると7件だった。また、すべての問題を査察中に不備として
取り上げなかった。査察官は、製品リスクとの関連において識別された問題にもとづく判断の後に不備を提出した。
そして、最後の査察ミーティングの時に、Form 483の形式で企業に通知した。


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まとめ
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2回にわたって、中国国家食品薬品監督管理局(CFDA:China Food and Drug Administration)が2016年に実施
した医薬品関連の査察の年次報告書をみてきましたが、いかがでしたでしょうか。
データインテグリティへの対応を強化しつつも査察の中で不備が多く見つかっている状況は、日本と全く変わらず
興味深かったです。
査察の中で、在庫、購入インボイス、領収書、納税申告書等を確認し、不法な販売を行っていないかをチェック
している点も非常に興味深かったです。
日本でも、もっとこのようなチェックを行っていけば、アセトアミノフェン問題のような事案が防げるのではない
かと感じました。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。
☆次回は、8/15(火)に配信させていただきます。

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