ASTROM通信バックナンバー
月別アーカイブ
2017.07.14
【中国発 2016年医薬品査察の年次報告書(1)】ASTROM通信<126号>
~安全な医薬品の安定供給をご支援する~
こんにちは
ASTROM通信担当の橋本奈央子です。
暑い日が続いていますが、いかがお過ごしでいらっしゃいますか?
さて、これまで3回にわたり、英国医薬品庁(MHRA)
傾向をまとめたレポートについて取り上げてきましたが、今回は、
中国国家食品薬品監督管理局(CFDA:China Food and Drug Administration)が2016年に実施した
医薬品関連の査察の年次報告書を見ていきたいと思います。
中国といえば、以前は、製造所の管理ができていない、
いうイメージが強かったですが、CFDAの規制強化により、
また、2017年6月にはICHにも加盟し、
日本の製薬会社様の中で、中国に輸出をしている、もしくは、
いますので、CFDAがどのような査察を行い、
思います。
最後までお付き合い頂ければ幸いです。
出典
http://eng.sfda.gov.cn/WS03/
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
2016年に実施した査察について
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
The Center for Food and Drug Inspection(CFDI)は、(1)承認前査察:
16件(3)GMPフォローアップ査察:204件(4)
(6)GSP(Good Supply Practice)無通告査察:50件(7)国際査察の観察:
実施した。
※文中では(5)の海外査察は49件、(6)
Part1. 承認前査察
I. 概略
34件42製造所の査察を実施し、34製造所(81%)
II. 主な結果
トレースできないデータや、
同時に、不十分なプロセスバリデーション、
パラメータとの不一致がみつかった。詳細は以下の通りである。
(1)データの完全性に関する問題
1.テストデータがトレースできなかった。一部の企業は、
の実施を怠った。
承認前査察において、
ついて要求される記録や、破棄の記録、安定性試験のサンプル、
を怠った。
2.申請書類に添付されたバッチの製造記録が虚偽で、不完全で、
(2)プロセスバリデーションが不十分で、
多様なプロセスバリデーションの実施が不十分だった。
ダイナミックな製造中、いくつかの手順で重大な逸脱があったり、
から大きく外れていたりした。
(3)製造プロセス、キープロセスパラメータ、内装材料が、
されていなかった。
1.製造プロセスは、
2.キープロセスパラメータが承認された、または、
3.内装材料の製造業者が登録申請中の業者と不一致だったが、
(4)必要な逸脱調査が実施されなかった。
ダイナミックな製造において重大な異常があったが、
申請中の原薬の、
最終製品の生産率に重大な違いがあったが、
Part2. GMP認証検査
I. 概略
16件の医薬品製造業者の査察が準備され、
にレビュした。そのうち12件は、GMP認証査察に合格し、
にワーニングレターが発行された。2件の製造業者は、
証プロセスが中断している。
II. 主な結果
23件のメジャーな不備、
品質管理・品質保証の不備が41件、文書管理の不備が32件、
23件、検証や適格性評価の不備が21件で、
今年は対外診断薬を製造する2社とも、
(1)品質マネジメントシステム
品質マネジメントシステムが効果的に運用されず、
人の移動が頻繁で、熟練者が不足し、教育が実施されておらず、
システムの要件を満たしていなかった。文書の運用性が乏しく、
変更手順に従って変更を変更管理の対象としていなかった。
(2)検証と適格性評価
GMP認証を申請中の全ての製品についてプロセスバリデーション
また、
不完全だった。
Part3. GMPフォローアップ査察
I. 概略
2016年は、215社のフォローアップ査察の実施を予告し、
58件は製造休止または長期間製造中止の企業の査察だった。
た。
12社(5.9%)はフォローアップ査察に不合格になり、
査察で不合格になった12社のうち、
察の対象だった。
(1)2015年の品質レポートにおける臨時査察の状況
10社がフォローアップ査察を受け入れ、5社が不合格になり、
(2)2重のランダム査察
本質的な監視と、査察後の監視を革新するために、
製薬企業向けの2重のランダム査察システムが最初に行われた。
れ、4社が不合格になり、69%が合格し、
(3)ワクチン製造業者
2016年に、
1社は2014年にGMP認証を取り消され、
ため、
7社にジェネラルのリスクがみつかり、
よると、
不備にされるべきものだった。全体的にみると、
製造者は、規格化生産と品質マネジメントを行っている。
(4)血液製剤製造業者
2016年に、
25社の製造業者に対して実施した。
みつかり、改善のためのワーニングレターが発行された。
品質リスクは管理可能で、
ただし、個々の製造業者に対する監視は強化されるだろう。
(5)2015年にワーニングレターが発行された製造業者
2015年にワーニングレターが出された32の製造業者に対して
製造業者は基本的には要件を満たしていたが、
(6)
県の認証に合格した21の無菌製剤の製造業者が臨時査察を受けた
6社にワーニングレターが発行された。
査察結果によると、
(7)ハイリスクの製品に対する特別査察
今年は、主に骨ペプチド、フルクトース二リン酸塩、
対してフォローアップ査察が実施された。
不合格、または、長期間製造を行っていないため、
査察において、骨ペプチド注射剤製造業者1社と、
なり、21社にワーニングレターが発行された。
II. 主な結果
(1)全体的な状況
204の査察で、合計2271件の不備がみつかり、
2039件がジェネラルな不備だった。
な不備が増えた。
特別査察の対象であるハイリスク製品の製造業者の中には、
GMP(2010年版)
である。
1.製造工程と登録された工程が不一致だった。
2.製造記録の改ざん、データのでたらめな利用、
装置、
3.プロセスバリデーションが不十分である。
ションを怠ることに、より多くの問題がある。
4.データ管理の標準化の問題が目立つ。
文書やデータの修正・削除に関する許可、合理的な管理の不足や、
関する合理的な説明の不足がある。
5.コンピュータシステムの付属文書と、
ギャップがあり、たくさんの問題がみつかった。
6.逸脱や変更の管理が弱い。主に、
評価やバリデーションの不足がある。
(2)2015年の臨時査察で不適格だった企業
11社の査察において、11件のクリティカル、
主な問題は下記の通りである。
1.製造工程が登録された工程と不一致だった。
2.データインテグリティの問題
3.プロセスバリデーションの問題
(3)2重のランダム査察
5件のクリティカル、24件のメジャー、
主な問題は下記の通りである。
1.記録の改ざん
2.製品の品質と安全性の潜在的な危険
3.データインテグリティの問題
4.プロセスバリデーションの問題
5.汚染、取り違い、間違えのリスクがある、
6.汚染や交差汚染を効果的に防ぐことのできない不完全な洗浄
(4)ワクチン製造業者
38件のメジャー、383件のジェネラルな不備がみつかった。
1.装置
注入水貯蔵タンクに入る注入準備システム用の水が通るステンレス
水のジェネレータの間に非常に長い水のよどみ部分があった。
2.原料と製品
破壊された製品の量が、
企業は、
ことを怠った。
3.文書管理
文書が特定されず、その管理の実施可能性が乏しかった。
状況と一致していなかった。個々の記録は不完全な内容だった。
理由がなくデザインされ、
4.品質管理と品質保証
①実験室の品質管理
企業は、必要なテストデータと解析を、
いくつかの原料は、サンプル混合の後に試験を行った。
②逸脱の対処
逸脱の対処に関する文書の教育と実施が行われていなかった。
調査をタイムリーに開始することを怠った。
予防手段は実施されず、
③変更管理
企業は、変更手順に従って変更を処理し、
いくつかの変更について、評価を行わないか、
④供給者の管理
いくつかの原料の供給者に関し、監査内容が不完全だった。また、
に与える影響に基づいた供給者の監査内容を決定することを怠った
⑤製品品質レビュ
企業は、製品の年次の品質レビュの実施を怠った。
5.コンピュータシステム
企業はコンピュータシステムの管理のために、
分類管理を怠った。また、
をとらなかった。
いなかった。また、
(5)血液製剤製造業者
25社の査察において、13件のメジャー、
不備はみつからなかった。主な問題は以下の通りである。
1.制度と人員
いくつかの職において、職員の教育不足があった。
2.建物と施設
汚染や交差汚染が効果的に管理できていない。
3.設備
いくつかのセンサは、実際の使用範囲をカバーしていなかった。
設備は、定期的にキャリブレートされていないか、
記録は不完全だった。設備は、ステイタスの識別や、
4.原料と製品
供給源、有効期間、
したり取り違えたりしやすいカードだった。
5.検証と適格性評価
培地の模擬充填試験中、
のみだった。また、
6.文書管理
技術的な手順と操作手順は内容が明確に記述されておらず、
されていなかった。
7.製造管理
不活化する前に加えられるオクチル酸ナトリウム溶液に関する微生
レベルAの層流のもとで、
8.品質管理と品質保証
①QC(品質管理)実験室の管理
試験された製品の受領と発送をするために使用されるマシンのアカ
中間体や半製品のテストサンプルの受領情報がなかった。
された培地のプレートはテストされていなかった。
されなかった。
②製品の安定性試験
中間品に関し、有効期間が策定されていたが、
裏付けがなかった。
③変更管理
変更管理が行われていなかった。
④逸脱の対処
企業は逸脱の調査をタイムリーにはじめなかった。
不十分だった。
⑤供給者管理
企業が適格と判断した供給者の名簿に、
⑥製品品質レビュ
製品の年次品質レビュに、いくつかの情報が含まれていなかった。
⑦製品の配送と回収
企業は、
⑧コンピュータシステム
コンピュータシステムに関する文書が不完全で、
及び関連データの評価が不足していた。
がなかった。システムは、
システムの変更のリスクがあった。
かった。
(6)2015年にワーニングレターが発行された製造業者
32の製造所を査察し、2件のクリティカル、32件のメジャー、
主な問題は下記の通りである。
1.データインテグリティの問題
2.逸脱に関する記録や調査の不実施
3.無菌保証に関する問題があった。
(7)県の認証に合格した無菌製剤製造業者
21の企業の査察で、15件のメジャー、
不備はみつからなかった。
主な問題は次の通りである:
が不十分であった。1品目の洗浄バリデーションは行っていたが、
していなかった。いくつかの調査の記録は不十分な内容だった。
と監査をまだ実施していなかった。
(8)ハイリスクの製品に対する特別査察
61の企業の査察において、3件のクリティカル、
主な問題は下記の通りである。
1. 骨ペプチド注射剤
①XX社から前脚の骨7バッチを購入したが、
会社は調達SOPに従って、調達オーダを策定しなかった。
倉庫保管・原料の貯蔵に関するSOPに従って、
チェックすることを怠った。
受入試験に関し、
②
購入依頼後25日間保管され、
裏付けるバリデーションデータはあったが、
まで10時間だったが、微生物限度データはなかった。
③連続的な安定性試験の計画を立てることを怠り、活性指標や、
毒性といった関連のある安全性の指標を設定することを怠った。
2.フルクトース二リン酸塩注射剤
①
する条件に従って改訂することを怠った。
②
12月だった。現場の査察で、
含有量定量の実施に合成酵素試薬を使用しているのがみつかった。
3.シチコリンナトリウム注射剤
①
品質標準を参照してトルエン残留物は追加されなかった。
②
実施した。
③シチコリンナトリウム注射剤の企業は、
を怠った。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
まとめ
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
年次報告書の前半を見てきましたが、いかがでしたでしょうか。
FDAの中国の製薬会社に対するウォーニングレターを見ると、
ゴミ箱からみつかった等、かなり強烈な指摘内容が多かったため、
載っているのかと思って読んでみたら、
現品の表示が紛失したり取り違えたりしやすいカードだったとか、
いないといった問題は、
また、この報告書から、
興味深かったです。
中国と取引のある製薬会社様は参考にしていただければ幸いです。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
☆次回は、8/1(火)に、残りのPart4. 無通告査察、Part5. 海外査察、
Part6. GSP(Good Supply Practice)無通告査察、Part7.
いきたいと思います。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
★弊社サービスのご案内
https://drmarketing.jp/cch/73/
★ブログ毎日更新中!
◆ PROS.社長の滋養強壮ブログ
https://drmarketing.jp/cch/73/
◆ 営業ウーマンの営業報告ブログ
https://drmarketing.jp/cch/73/
※URLクリック数の統計をとらせていただいております。
本メルマガは、名刺交換させていただいた方に、毎月1日、
は前日)に配信いたしております。
今後このような情報が必要ない方は、お手数ですが、
お願いいたします。
hashimoto@e-pros.co.jp
【発行責任者】
株式会社プロス
『ASTROM通信』担当 橋本奈央子