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2017.04.14

【国内の話題:医薬品の偽造品流通防止検討会】ASTROM通信<120号>

 ~安全な医薬品の安定供給をご支援する~

こんにちは
ASTROM通信担当の橋本奈央子です。

新年度がはじまりましたが、いかがお過ごしでいらっしゃいますか?

2017年3月29日、厚生労働省は ハーボニーの偽造品が流通した問題を受けて、“医療用医薬品の
偽造品流通防止のための施策のあり方に関する検討会”を開催しました。
検討会の結果次第で、省令改正やGDPガイドラインの制度化の可能性があります。
そこで、今回のメールマガジンでは、この検討会の状況を確認しておきたいと思います。


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医療用医薬品の偽造品流通防止のための施策のあり方に関する検討会”について
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ギリアド・サイエンシズ株式会社が販売しているC 型肝炎治療薬「ハーボニー配合錠」の偽造品が
奈良県内の株式会社関西メディコが運営するサン薬局で調剤され患者に提供された事件は記憶に
新しいと思います。
偽造医薬品など存在しないと思われていたこの日本で、薬局薬剤師が非正規のルートから外箱も
添付文書もない製品を仕入れて患者に調剤してしまったという点で、この事件はかなり衝撃的な
ものだったと思います。

この事案を踏まえ、2017年3月29日、厚生労働省医薬・生活衛生局は、偽造医薬品流通防止に向けて、
医療用医薬品の偽造品流通防止のための施策のあり方に関する検討会”を開催しました。

偽造医薬品流通防止については、「卸売販売業者及び薬局における記録及び管理の徹底について」
(平成29年2月16日付薬生総発0216第1号)において、既に、下記の留意事項が通知されています。
●譲渡等の記録の正確性の確保
卸売販売業者及び薬局開設者は、譲渡人の氏名(卸売販売業者等の名称)の確認の際には、医薬品を
納品する者の身分証明書等の提示を求めて本人確認を行うこと。併せて、譲渡人が有する販売業等の
許可番号や連絡先等の情報を確認し、確認した情報については、譲渡人の氏名等の情報と併せて記録
すること。 ただし、譲渡人との間で取引契約に基づく、継続した取引実績がある場合であって、
譲渡人が医薬品の販売業等の許可を受けた者等であることを既に確認している場合はこの限りではない。
●管理薬剤師による医薬品の管理の徹底
卸売販売業者及び薬局の管理者は、法第8条第1項及び第36条第1項の規定に基づき、保健衛生上
支障を生ずるおそれがないように医薬品等を管理する義務がある。このため、譲り受けた医薬品が
本来の容器包装等に収められているかどうかその状態の確認を行うとともに、医薬品の管理状況等に
ついて疑念がある場合には、譲渡人における仕入れの経緯、医薬品管理状況等を確認し、管理者として
必要な注意をすること。
●薬剤師による医薬品の管理の徹底
薬局の薬剤師は、患者等に対し、調剤しようとする医薬品(その容器包装等を含む。) の状態を
観察し、通常と異なると認められる場合は、これを調剤せず、異常のない医薬品を用いて改めて調剤
するほか、医薬品等を管理する責任を有する管理薬剤師に報告するなど適切に対応すること。

しかし、上記の通知だけでは必ずしも十分ではないとして、検討会では、卸業者や薬局による仕入れ先
の確認・記録の義務化や、薬剤師による医薬品管理のあり方などについて、省令改正も含めて検討を
進めることになりました。省令改正の時期はまだ明らかになっていませんが、夏ごろをメドに中間の
取りまとめを行う予定だそうです。

検討会において、厚生労働省の武田俊彦医薬・生活衛生局長は、「取引相手の適格性の評価などの課題
について、国際的な動向も踏まえつつ、製造から販売に至るまでの一貫した施策のあり方について検討
していただき、制度的な対応を含めた再発防止策を講じていきたい」と述べ、参考資料として、
PIC/S GDPガイドラインを配布しました。
国際的な動向も踏まえるということになると、PIC/S GDPガイドラインをベースに日本のGDP
(医薬品の適正流通基準)の制度化が一気に進む可能性があります。

<出典>
厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000158516.html
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11121000-Iyakushokuhinkyoku-Soumuka/siryou3_1.pdf
薬事日報
http://www.yakuji.co.jp/entry57272.html


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PIC/S GDPガイドラインの内容が制度化された場合の影響
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医療用医薬品の偽造品流通防止のための施策のあり方に関する検討会”の結果次第で、近いうちに
GDP(医薬品の適正流通基準)が制度化される可能性が高まっています。
そこで、ここでは、PIC/S GDPガイドラインをベースにGDPが制度化された場合、どのような影響が
あるかを簡単に見ておきたいと思います。

<影響>
・卸売販売業者は品質システムを整備する必要がある
・卸売販売業者には適格性のある職員が必須であり、責任を明確化し、教育訓練を実施する必要がある
・卸売販売業者は、医薬品の適切な保管及び流通を保証するために、適切かつ十分な施設・設備・機器
 を保有し管理する必要がある
 コンピュータも含め、機器は適格性評価及びバリデーションが必要である
・手順書、指図書、契約書、記録及びデータの文書化が必要である
 記録は各作業の実施時に作成する
・卸売販売業者は、偽造医薬品が正規流通経路に混入する危険性を最小限に抑える
 注)卸売販売業者には、医薬品の供給業者の適格性評価、顧客の適格性評価、医薬品の受領・保管、
   使用期限/保存期間が 過ぎた製品の廃棄、ピッキング、供給、輸入及び輸出に関する管理が
   求められています。
・苦情、返品、偽造の疑いのある医薬品及び回収について、記録し、手順書に従って実施する
・外部委託業務は、正確に定義・合意・管理する
 注)契約委託者は契約受託者の能力を評価し、契約書及び監査を通じて、GDPの原則及びガイドライン
   が遵守されることを保証する責任があります。
   つまり、製薬会社には卸売販売業者を管理する責任があります。
・卸売販売業者は自己点検を実施する
・卸売販売業者は、医薬品を破損、品質劣化及び盗難から保護し、輸送中の温度条件を許容可能な範囲
 に維持する責任がある
詳細は、“医療用医薬品の偽造品流通防止のための施策のあり方に関する検討会”で配布された
PIC/S GDPガイドライン日本語訳案をご参照ください。
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11121000-Iyakushokuhinkyoku-Soumuka/sannkousiryou1.pdf


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まとめ
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GDPガイドラインについては、数年前から出る、出ると言われていましたが、なかなか動きはありません
でした。しかし、今回のハーボニー偽造品流通問題を受けて、近いうちに制度化される可能性が高く
なってきました。
GDPが制度化された場合、卸売販売業者が大きな影響を受けるのは当然ですが、製薬会社にもかなりの
影響が及ぶことが予想されます。
製薬会社は、卸売販売業者がGDPを遵守することを確実にするという責任を負うことになり、
(今でもそうではありますが)GDPが担保できない運送会社や宅急便の使用はできませんし、今まで以上
に卸売販売業者を管理し監査する必要が出てきます。
検討会の今後の動きには十分注意をしていく必要があると思います

最後までお読み頂き、ありがとうございました。
☆次回は、5/1(月)に配信させていただきます。


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おしらせ
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弊社は、今年も、6月28日(水)~6月30日(金)に開催される医薬品・化粧品・洗剤 研究・製造技術展
インターフェックスジャパン(会場:東京ビックサイト)に出展します。
ブースは、東1ホールのITソリューションゾーン【E26-32】となります。
お時間がおありの方は、是非弊社ブースにお立ち寄りいただければ幸いです。
よろしくお願いいたします。


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