ASTROM通信バックナンバー

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2017.01.13

【最新のEU発Non-Compliance Report】ASTROM通信<114号>

 ~安全な医薬品の安定供給をご支援する~

こんにちは
ASTROM通信担当の橋本奈央子です。

いよいよ寒さも本格的になってきましたが、いかがお過ごしですか?

さて、前回は、米国FDAのウォーニングレターを取り上げたので、今回は、最近発行された
EUのノンコンプライアンスレポート(Non-Compliance Report)を見ていきたいと思います。

ASTROM通信でも何回か取り上げているノンコンプライアンスレポートですが、このレポートは、
製造所の査察において、EU GMPに不適合と判断される不備が見つかった場合に発行されるもので、
3部構成になっています。
Part1に確認した当局の名前、製造業者の名前、製造所の住所等、Part2にノンコンプライアント
な製造オペレーション、Part3に不備の内容、EUの対策等が書かれています。
査察結果を報告するという点ではウォーニングレターと似ていますが、ウォーニングレターに
比べて、指摘の内容があまり詳しくありません。また、不備を、クリティカル(Critical)、
メジャー(Major)、その他(Others)に分類して、クリティカルとメジャーが何件あったかを
明記しているという特徴があります。

今回は、ASTROM通信107号で取り上げた以降に発行された4件について、Part3部分をみていき
たいと思います。

EU-GMP査察ではどのようなことが指摘されるのか、ウォーニングレターとどこが違うのかなどを
感じて頂きながら、最後までお付き合いいただければ幸いです。


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Report No. UK GMP 22481 Insp GMP 22481/1080970-0005 NCR
インドの製薬会社をイギリス規制当局が2016/7/18に査察
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■不備
1)GMP書類の中に、データの完全性の問題があるエビデンスがあった。また、建物に関する文書も、
  査察官を欺くように偽造されていた。
2)設備保全、工程、環境モニタリング、無菌バリデーションの手順において、交差汚染のエビデンス
  がみつかった。
■対策
・GMP証明の撤回
・販売許可の変更
・供給禁止
■出典
http://eudragmdp.ema.europa.eu/inspections/gmpc/searchGMPNonCompliance.do?ctrl=searchGMPNCResultControlList&action=Drilldown&param=38397


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Report No. 16MPP053NCR
インドの製薬会社をフランス規制当局が2016/8/20に査察
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■不備
査察エリアの大部分から、重大な不備がみつかった。
偽造された手順(クリティカルな不備1.1)と、製造所全体における不適切な管理システムの記録
(クリティカルな不備1.2)があった。メジャーな不備も見つかった:汚染のリスク、包装エリアの
基本的な衛生手順の欠如/保存サンプルと安定性検討の管理に関する貧弱な基準/特に分析と洗浄
のバリデーションの不履行/洗浄手段の欠如/不十分な訓練の実施/精製水の品質のモニタリング
の不備/文書に関し、不十分な記録と保管の手順/ラベル表示手順の不備
■対策
・出荷済バッチの回収
・供給禁止
■出典
http://eudragmdp.ema.europa.eu/inspections/gmpc/searchGMPNonCompliance.do?ctrl=searchGMPNCResultControlList&action=Drilldown&param=38026


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
Report No. DICM/INSP/AMG/MBP/ACS
スペインの医薬品・医療機器メーカをスペイン規制当局が2016/11/17に査察
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■不備
2016年11月16日~17日に実施した査察において、製造所の品質システムと抗体医薬品の製造工程に
影響のあるクリティカルとメジャーの不備がみつかった。(皮下用の無菌の細菌ワクチン、皮下用
の無菌の細菌自家ワクチン、皮下用の無菌のアレルギーワクチン、舌下・経鼻投与製品)
とりわけクリティカルな不備のいくつかは以下の通りである。
a)効果的な品質システムの欠如
b)ヨーロッパ薬局方による無菌試験を実施せずに、皮下投与用の細菌ワクチン及び細菌自家ワクチン
  のバッチを出荷
c)プロセスバリデーションが行われていない
d)培地充填が行われていない
e)細菌ワクチン及び細菌自家ワクチンの最終滅菌のバリデーションが行われていない
f)細菌ワクチン及び細菌自家ワクチンの不活性化処理のバリデーションが行われていない
このように、この製造所で製造された製品の品質は保証されない。
■対策
・製造許可の停止
・出荷済バッチの回収
・供給禁止
■出典
http://eudragmdp.ema.europa.eu/inspections/gmpc/searchGMPNonCompliance.do?ctrl=searchGMPNCResultControlList&action=Drilldown&param=39173


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Report No. DK H 00083517
デンマークの製薬会社をデンマーク規制当局が2016/12/13に査察
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■不備
GMPに対する深刻な違反がみつかった。たとえば、意図的な情報隠し、当局の管理を避けるための
故意の行動、医薬品の使用期限の改ざん、製造所の監査をせず受託者を使用
■対策
・製造許可の部分的な停止
・GMP証明の撤回
・出荷済バッチの回収
・供給禁止
■出典
http://eudragmdp.ema.europa.eu/inspections/gmpc/searchGMPNonCompliance.do;jsessionid=H66CmcqIWcz3QCHzKupgMqsAsD57VxLKK6cZyWuLaCpSrDzMNRl9!2097447264?ctrl=searchGMPNCResultControlList&action=Drilldown&param=39443


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
まとめ
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
いかがでしたでしょうか。
ノンコンプライアンスレポートの指摘内容の詳細は、ウォーニングレターに比べてわかりづらいのです
が、不備に対するEUの対策は、FDAに比べて明確で厳格であるように思います。
また、スペインやデンマークの規制当局が、自国の製薬会社に対してかなり厳しい処置を講じている
のも印象的でした。
ところで、1件目のノンコンプライアンスレポートは、イギリスの規制当局の査察に基づき発行された
ものでしたが、イギリスがEUを離脱したら、EUの査察自体に何らかの影響があるのでしょう?
今後の動向が気になるところです。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。
☆次回は、2/1(水)に配信させていただきます。


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【発行責任者】
株式会社プロス
ASTROM通信』担当 橋本奈央子

2017.01.05

【最近のFDAウォーニングレター4通】ASTROM通信<113号>

 ~安全な医薬品の安定供給をご支援する~

明けましておめでとうございます。
ASTROM通信担当の橋本奈央子です。
今年もどうぞよろしくお願いいたします。

さて今回は、昨年のASTROM通信111号で取り上げた後、米国食品医薬品局(FDA)の
製品品質オフィスから発行された4通のウォーニングレター(Warning Letter)について
その概要を確認していきたいと思います。

最後までお付き合いいただければ幸いです。


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4通のウォーニングレターの概要
注:文中のXXはウォーニングレターでマスキングされている文言です
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■WL:320-17-06 中国の製造所の原薬製造における重大なCGMP違反に関する2016/11/10付
ウォーニングレターにおいて、下記の指摘事項があげられています。
1.OOS(Out-Of-Specification)の結果の、手順に従った適切な調査と文書化の不履行
及び適切な是正処置の不履行
 貴社は、ヘパリンのポリメラーゼ連鎖反応(Q-PCR)試験において、試験結果が制定した
 規格の上限を超えた時、正当な理由もなく繰り返し再サンプリングと再試験を行った。
 その結果、OOSの可能性のあるヘパリンを米国市場向けヘパリンナトリウムの製造に使用
 した。
 貴社は、最初のサンプルのOOSも、最初のサンプルを使った再試験も評価せず、合格が
 得られるまで再サンプリングを行った。
2.貴社の原薬が制定した品質・純度の規格に確実に従うために行うテストの手順が科学的
に理にかなっていて適切であると保証できていないこと
 査察官は、受け入れたヘパリンのバッチが反芻動物DNAで汚染されているか判断するため
 のポリメラーゼ連鎖反応(Q-PCR)の手法をレビュし、その方法のバリデーションに不備
 があることを確認した。
3.ヘパリン供給者の適切なモニタの不履行
 ヘパリン供給者の適格性評価プログラムの一部として、貴社は、供給者となる可能性の
 ある業者から、テストのために原料のサンプリングをし、テストが不合格であればその
 業者を使わなかった。
 しかし、すでに適格性評価をした供給者がテストに失敗した原料を提供した時、貴社は
 原料を拒絶せず、供給者の適格性評価のステイタスを再評価することをしなかった。
 貴社の品質部門が全ての供給者の選定の決定をし、供給者の適性と能力を保証するための
 供給者の適格性評価のステイタスを継続的に行うことは危険である。供給者の悪い情報が
 あった場合は、供給者の資格剥奪が必要であるかもしれない。
4.品質部門により全ての重大な逸脱が調査され解決されることが確実に行えていないこと
 査察官は、ヘパリンの過硫酸化コンドロイチン硫酸(OSCS)のHPLC分析をレビュし、ヘパリン
 の標準の試験とシステムの適合性試験は別々に実施されたことを発見した。
 貴社の従業員の一人は、分析者が、最初のサンプリングの作業中に、システムの適合性試験
 をしなかったことに気付いたと説明した。分析者は、関連するサンプル試験の結果を無効に
 する代わりに、システムの適合性試験を再実施した。
 HPLCシステムの適合性試験の失敗は、同じ装置で実施されたOSCS試験の正当性に疑問を投げ
 かける。
http://www.fda.gov/ICECI/EnforcementActions/WarningLetters/2016/ucm530369.htm

■WL:320-17-07 インドの製薬会社のイギリスの製造所の最終医薬品製造における重大なCGMP
違反に関する2016/11/16付ウォーニングレターにおいて、下記の指摘事項があげられています。
1.貴社は、無菌医薬品の微生物学的汚染を防ぐために設計された、全ての無菌及び滅菌工程
のバリデーションを含む文書化された手順に従うことを怠った。
 無菌のセットアップや充填中に、以下の例を含む不十分な手順がみつかった。
 ・ISO-7クリーンエリアの表面や物に触れた複数の作業者が、ISO-5エリア内の作業を実施
  する前に手を消毒することを怠った。
  例えば、作業者が外部のコントロールパネルと手押し車に触れた。手袋をはめた手を
  消毒せずに、ISO-5エリアの限定アクセス障壁システム(Restricted Access Barrier
  System : RABS)を開き、作業を実施した。
 ・ABSが開いている時に、RABSと隣接している場所で、作業者が活発に動くことでXXの過剰の
  動作を引き起こしていることを発見した。
 ・使用前に、XXを入れるカートをいつも消毒することをしていない。このカートは、長期間
  グレードBエリアに置かれていて、XXの時だけ洗浄され消毒される。
 ・ISO-7エリア内にて、RABSへの移動の際、XXの袋が無菌の供給品と接触していた。
  これらの袋はRABSに入る前に消毒されなかった。
 これらの逸脱は、バッチの製造記録に記録されず、また、貴社のSOP#QAP-199-0-1704に
 よる作業映像を監視中の品質部門によっても記録されなかった。この手順は、ISO-5とISO-7
 のエリア内のクリーンルームの職員の全般的な手法や動作の許容基準について品質部門に
 よるレビュが必要である。
 ISO-5は、無菌製品が露出するので、汚染に対して脆弱であるため、重要なエリアである。
 貴社の無菌充填工程は、無菌製品への汚染の危険を防ぐために設計され、作業が実施される
 べきである。
2.貴社は、適切なサイズの特別に定義されたエリア内で作業すること、無菌工程内で、
汚染や取り違えを防ぐために必要な、分離または明確にされたエリア、または、管理システムを
持つことを怠った。
 a.環境モニタリング
  貴社の環境モニタリングプログラムは、セットアップ、充填中のISO-5エリア内の人員
  及び無菌工程ルームにおけるその他の作業を十分にカバーしていなかった。例えば、
  Class100の入退室ログと、充填ラインの作業者を示した製造記録をレビュしたところ、
  これらの作業者のほとんどはモニタされていなかった。
 b.消毒の適格性評価
  貴社は適切にRABSの消毒をしていなかった。例えば、RABSの表面は定期的に消毒されて
  いなかった。また、RABSの底は不完全に消毒されていた。
  更に、無菌工程のクリーンルームで使う消毒剤の有効性を立証していなかった。
http://www.fda.gov/ICECI/EnforcementActions/WarningLetters/2016/ucm529931.htm

■WL:320-17-08 スペインの製造所の原薬製造における重大なCGMP違反に関する2016/11/22付
ウォーニングレターにおいて、下記の指摘事項があげられています。
1.残留物の許容基準を定義し正当性を証明した適切な洗浄手段を持っていなかった。
 医薬品製造専用ではない装置の内側表面は、貴社の洗浄SOPで義務付けた通りに清潔では
 なかった。例えば、“洗浄済”のラベルが貼られたXXの内側にXXの残留物が存在した。
 洗浄中の製造装置からの残留物の不十分な除去は、同じ装置でその後に製造される原薬の
 交差汚染につながる。
2.原材料、中間製品、原薬に触れる表面が、原薬の品質を変えないための装置を構成する
ことを怠った。
 2つの非専用装置の内側表面は変色していた。貴社は、変色はXXの劣化によるものだと
 説明した。貴社の装置メンテナンス業者は、そのダメージに気付き、XXをXXの材質に変えた。
 しかし、貴社は、XXをXXに変えた内側表面が原薬の品質に影響がないと示すことを怠った。
3.品質部門は、原薬や中間製品のリテスト日、使用期限、保管条件を裏付ける安定性データ
を確実に持つことを怠った。
 査察中、貴社は、再加工した原薬のリテスト期間を裏付ける安定性データを提供しなかった。
 貴社は再加工した原薬の12ヶ月の安定性データを提供した。貴社は、再加工の作業を説明
 しただけで、安定性データの説明が欠けていた。再加工した原薬の安定性データがなくて、
 使用有効期限を通じて再加工した原薬が規格を満たすか保証できない。これは、貴社の原薬
 を使って製造を行う貴社の顧客の薬の品質に影響がある。
http://www.fda.gov/ICECI/EnforcementActions/WarningLetters/2016/ucm530789.htm

■WL:320-17-09 中国の製造所の医薬品製造における重大なCGMP違反に関する2016/12/8付
ウォーニングレターにおいて、下記の指摘事項があげられています。
1.貴社は、FDAの査察を遅らせ、拒否・制限し、FDA査察の許可を拒んだ。
 2016年6月6日、試験室の試験エリアの実地の査察中、査察官は、貴社が製造し米国に販売
 しているXXに行われている微生物試験の過程の説明を依頼した。貴社の代表者は、会社の
 企業秘密は開示しないと述べた。査察官は、査察の一部で、FDAは作業の詳細を知る必要が
 あり、FDAは情報の詳細を開示しないと説明したが、合理的な説明もないまま、全ての試験
 手順は提供されなかった。
 貴社は、XXの微生物試験を実施する設備内の製造工程の開示を拒むことで査察を制限した。
2.貴社は、全ての成分、容器、封じ込め、工程内の原料、包装材料、ラベル、製品を承認
したり不合格と判定したりする責任と権限を持つ品質管理部門を設置することを怠った。
 査察中、査察官は、製造部門や品質部門の責任を文書化した手順がないことに気付いた
 品質部門は、XXの承認や出荷や米国市場への流通を許可していた。貴社は、貴社の品質部門
 が、製品が規格を満たし、適切な管理下で製造されたという保証もしない状態で、出荷を
 承認した。
3.貴社は、製品の各バッチが、有効成分の同一性や濃度を含む最終の規格を満たすことに
ついての出荷前の試験室の適切な判断を持っていない。
 貴社は、米国市場への出荷前に最終製品の微生物学的分析を行っていないと述べた。さらに、
 貴社は、出荷前に、OTC医薬品の有効成分の同一性や濃度を確認するための試験分析を行って
 いないと査察官に告げた。また、貴社は、米国市場に出荷する製品に関して行った化学的
 分析について、要求された記録の提供も行わなかった。
4.薬の製造、加工、包装、保管に使用される建物を清潔で衛生的な状態に保つことを怠り、
ネズミ、鳥、虫、その他の害虫がいない状態を維持することを怠った。
 査察官は、大量の黒いカビのようなものが倉庫#2の床や壁にあると記録した。さらに、
 同じ倉庫で、床に淀んだ水と、倉庫の入口に生きている虫を発見した。この倉庫は、
 貴社のXXの製造に使われるXXの保管エリアである。貴社の設備の劣悪な状態は、貴社が
 製造する製品の品質を損なうだろう。
5.貴社は、温水・冷水、石鹸または洗浄剤、空気乾燥機または使い切りタオル、作業エリア
から容易にアクセス可能な清潔なトイレを含む、適切な手洗い場を提供することを怠った。
 貴社の製造所には、作業エリアからアクセス可能な適切な手洗い場がなかった。さらに、
 製造所の唯一のトイレ設備は、明らかな下水を含み、流水がなかった。このトイレ設備は、
 貴社の設備の製造・品質・管理職員により共有されていた。
6.貴社は、受入れ、識別、保管、取扱、サンプリング、試験、成分や容器の承認や不合格
の判断、封じ込めに関する十分詳細な文書化された手順を制定し、それに従うことを怠った。
 特に、貴社は、XXの原材料のドラムを供給者から識別ラベルもない状態で受け取っている。
 貴社は、受入時または使用前に、同一性テストや、その他、入荷した原材料の分析を行って
 いない。また、最終製品の各バッチに含まれるXXの調達源のトレースを可能にする手順を
 持っていない。
http://www.fda.gov/ICECI/EnforcementActions/WarningLetters/2016/ucm533225.htm


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
まとめ
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
今回の4通のウォーニングレターのうち2通は、スペイン、イギリスの製造所に対して発行され
たものでした。2016年9月には、オランダ、スイスの製造所に対してもウォーニングレターが
発行されています。
このことから、ASTROM通信111号にも書いたことなのですが、昨今のFDAは、インド、中国
の査察にのみ注力しているのではないことがよくわかります。
ただ、インド、中国の製造所に対する指摘内容には、まだまだ驚くべき内容が含まれています。
インド、中国から原薬、原材料を輸入する場合は、取引開始前はもちろん、取引中も定期的に
供給者の確認が必要であると改めて思いました。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。
☆次回は、1/13(金)に配信させていただきます。


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