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2016.09.30

【2016年発行EUのNon-Compliance Report】ASTROM通信<107号>

 ~安全な医薬品の安定供給をご支援する~

こんにちは
ASTROM通信担当の橋本奈央子です。

長雨が続いていますが、いかがお過ごしですか?

さて、今回は、9/1付メールマガジンで取り上げた、EUのノンコンプライアンスレポート
(Non-Compliance Report)の続きを見ていきたいと思います。

ノンコンプライアンスレポートは、製造所の査察において、EU GMPに不適合と判断される不備が
見つかった場合に発行されるレポートで、3部構成になっています。
Part1に確認した当局の名前、製造業者の名前、製造所の住所等、Part2にノンコンプライアント
な製造オペレーション、Part3にノンコンプライアンスの種類、EUの対策等が書かれています。
査察結果を報告するという点ではウォーニングレターと似ていますが、ウォーニングレターに
比べて、指摘の内容があまり詳しくありません。また、不備を、クリティカル(Critical)、
メジャー(Major)、その他(Others)に分類して、クリティカルとメジャーが何件あったかを
明記しているという特徴があります。

今回は、前回の続きの10件について、Part3部分をみていきたいと思います。

EU-GMP査察ではどのようなことが指摘されるのか、ウォーニングレターとどこが違うのかなど
を感じて頂きながら、最後までお付き合いいただければ幸いです。


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Report No.Insp GMP 22917/37149-0007 NCR EudraGMDP#35704
アメリカの製薬会社を英国規制当局が2016/2/26に査察
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■不備
査察において、2つのクリティカルな不備がみつかった。
(1)同じ製造設備で、共有の装置を使って製造された有害物質と非有害物質の間の交差汚染の
   リスクを最小化するための組織的及び技術的な手段の不履行
(2)品質部門による品質システムの有効な運用の確実な実施の不履行
   これは、変更管理の全くの不履行、適格性の評価がされていないHPLCの使用許可及び、
   製造装置の適格性評価の受け入れがたい取り組みを含む。品質調査もまた、品質リスク
   マネジメントの原則の実施がされていなかった。
3つのメジャーな不備もみつかった。
(1)特に電子システムから得られる分析データの生成と確認に関する組織的なデータの管理の
  不履行と、以前のデータの完全性の不具合についての不十分な調査
(2)滅菌とパイロジェン除去工程の不備
(3)無菌性保証の要求レベルを満たすための無菌操作の不十分な管理
■対策
・GMP証明の撤回
・出荷済バッチの回収の推奨
・供給禁止
・臨床試験の停止
■出典
http://eudragmdp.ema.europa.eu/inspections/gmpc/searchGMPNonCompliance.do?ctrl=searchGMPNCResultControlList&action=Drilldown&param=35704


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Report No.IT/NCR/API/2/2016 EudraGMDP#35252
インドの製薬会社をイタリア規制当局が2016/3/11に査察
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■不備
24の不備がみつかった。そのうちの5つはメジャーと分類された。
会社の品質マネジメントシステムの弱さや、設備・原材料管理・製造に使用される水の品質・
QC試験のようないくつかのGMP分野の取り組みが、GMP適合レベルを維持するのに十分に堅固
ではなかったため、発見された不備は、公衆衛生に対する重大なリスクがあることを示した。
5つのメジャーの不備は、次の分野で発見された。
・逸脱管理  ・職員の教育  ・設備  ・最終製品の保管管理
・精製水の製造とモニタリング
■対策
・出荷済バッチの回収(必要であれば実施)
・供給禁止
・CEP(ヨーロッパ薬局方認証)の停止または取り消し
■その他
・この供給者は、いかなる新しい、または、継続申請も承認されるべきではない。
■出典
http://eudragmdp.ema.europa.eu/inspections/gmpc/searchGMPNonCompliance.do?ctrl=searchGMPNCResultControlList&action=Drilldown&param=35252


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Report No.IT/NCR/API/1/2016 EudraGMDP#35251
インドの製薬会社をイタリア規制当局が2016/3/16に査察
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■不備
28の不備が査察官によりあげられ、そのうちの9つは次の分野で”メジャー“と分類された。
品質マネジメント-品質システムにおけるデータの完全性と安全性(1件)、職員(2件)、
建造物と設備(1件)、原材料管理(1件)、製造及び工程内管理(1件)、
ラボの管理-分析データの完全性と安全性(1件)、バリデーション:装置の適格性評価(1件)、
変更管理(1件)
発見した不備の範囲と重大性は、繰り返されるネガティブな査察の結果と相まって、許容できる
GMP適合レベルを維持するための能力が会社にないことを示している。
■対策
・出荷済バッチの回収(必要であれば実施)
・供給禁止
・CEP(ヨーロッパ薬局方認証)の停止または取り消し
■その他
・発見された不備は、同じ製造所で製造されたほかの全ての原薬にも当てはまるとみなされる。
■出典
http://eudragmdp.ema.europa.eu/inspections/gmpc/searchGMPNonCompliance.do?ctrl=searchGMPNCResultControlList&action=Drilldown&param=35251


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Report No.DICM/INSP/MBP-SLA-PAL EudraGMDP#34594
スペインの製薬会社をスペイン規制当局が2016/3/16に査察
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■不備
2016年3月15日~16日に実施された最新の査察で発見された不備は、製造所の品質システムと
滅菌の免疫学的製品(無菌工程)に影響を与える。品質、特に、製造された製品の無菌性は保証
できない。
この結果と、患者のリスクを防ぐため、Spanish Agency of Medicines and Medical Devices
 (AEMPS)は、必要な是正/予防処置の実施まで、製造所の最終製品の製造許可を停止することを
決定した。
■対策
・製造許可の停止
この製造所で製造された非経口免疫学的製品の出荷済バッチの回収
■出典
http://eudragmdp.ema.europa.eu/inspections/gmpc/searchGMPNonCompliance.do?ctrl=searchGMPNCResultControlList&action=Drilldown&param=34594


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Report No.Insp GMP 46177/14316169-0001 NCR  EudraGMDP#35529
インドの製薬会社を英国規制当局が2016/4/13に査察
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■不備
この査察で1件のクリティカル、3件のメジャーの不備がみつかった。クリティカルな不備は、
全てのアンプルが2時間160度の滅菌状態を満たしたことを確認するためのバリデーションの間の
エビデンスが不十分で、滅菌サンプル計画が劣っていて、漏れ試験のサイクルの適格性評価が
欠けていて、無菌保証が不十分であるためだった。
メジャーの不備は、滅菌の不十分な管理とバリデーション、品質マネジメントシステムの全ての
局面での不備と、堅固な環境モニタリングプログラムの欠如であった。GMPの全局面に及ぶ、
その他の13件の不備は、クリティカルやメジャーの不備に気を取られないために、記録は
されたが、正式に報告されなかった。
■対策
・製造許可の変更要求
・出荷済バッチの回収(4バッチ予定。新しい患者には使用しない。既存患者にのみ臨床医の
  判断で使用)
・供給禁止
■その他
これは、製造所の最初の査察であったため、製造許可は発行されていなかった。
■出典
http://eudragmdp.ema.europa.eu/inspections/gmpc/searchGMPNonCompliance.do?ctrl=searchGMPNCResultControlList&action=Drilldown&param=35529


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Report No.INSP 2015-026-0869333 EudraGMDP#36670
中国の製薬会社をスペイン規制当局が2016/6/1に査察
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■不備
製造所は、2015年6月にEDQM(European Directorate for the Quality of Medicines &
HealthCare)によって査察され、GMP不適合がみつかったので、CEP(ヨーロッパ薬局方認証)
が停止された。
2015年のGMP不適合に関わらず、EUの顧客への販売は続いた。
会社には、合計30件のGMP不適合がみつかり、そのうちの2件はクリティカル、8件はメジャー
の不備に分類された。前回のEDQMの査察(2015年6月、CEP停止)報告に対するCAPAが、十分な方法
で実施されていなかったことがわかった。クリティカルな不備は、生データの安全性と管理、
OOS(Out of Specification)のレビュにおいてみつかった。さらに、メジャーの不備のいくつか
は、教育、変更管理、品質アセスメント、工程及び洗浄バリデーションにおいてみつかった。
■対策
・供給禁止
・CEP(ヨーロッパ薬局方認証)の停止または取り消し
■出典
http://eudragmdp.ema.europa.eu/inspections/gmpc/searchGMPNonCompliance.do?ctrl=searchGMPNCResultControlList&action=Drilldown&param=36670


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Report No.INS/GMP/2016/020-021_PE0101228/PE0101232 EudraGMDP#37663
中国の製薬会社をスペイン規制当局が2016/6/4に査察
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■不備
査察の間に、全体で57件の不備がみつかり、3件はクリティカルで17件がメジャーだった。
【クリティカル1】
交差汚染のリスクが、完全に特定されて軽減されていなかった。フィプロニルAPI(動物用の
外用の外部寄生虫撲滅薬)が、他の有効成分(クロロスロン)と同じ建物、同じエリア、同じ
装置で作られていた。フィプロニルは、他の人用・動物用の有効成分と同じ倉庫の同じ部屋に
保管されていた。HVAC(冷暖房空調設備)システム、粉塵除去システム、洗浄バリデーションが
適切でなかった。
更に、ペネム中間体が倉庫内の冷凍室に保管されていた。原材料が、他の固形の原材料と同じ
サンプリング室でサンプリングされていた。
【クリティカル2】
3つのフィプロニルAPIがHisun Pharmaceutical製造所が製造されていなかった。サイトマスタ
ファイルやその他の文書において、3つのフィプロニルAPIの製造がHisun Pharmaceutical製造所
で行われているように偽って書かれていた。
【クリティカル3】
不正な文書化行為、不十分な原材料管理
特に、倉庫で、管理されていない文書、バッチ番号や使用期限等のさまざまなデータが載った
管理されていない包装材料がみつかった。
【メジャーの不備】
みつかった17件のメジャーの不備は、医薬品品質システムや、経営陣の責任、洗浄バリデー
ション、医薬品の識別、フィルタの使用と保管、安定性試験の逸脱とリテスト、コンピュータ化
システムバリデーション、コンピュータ化システムの監査証跡、文書管理、原材料の販売、
期限切れ製品の取り扱い、原材料の滅菌、中間品の保管期間、窒素と圧縮空気のテストの頻度、
通気フィルタの完全性のテスト、テストに使用される標準的基準、サイトマスタファイルの
不正確な情報の分野で確認された。
■対策
・製造承認の変更依頼
・出荷済バッチの回収(現在は、原薬、中間体、最終製品の回収は勧告していないが、OOSの
  ケースは当局と相談する)
・供給停止
■その他
・多数の重度の不備の発見により、現在のGMP証明は取り消されるべきである。
次の方法が勧告される。
・EU及び第三国にある医薬品製造者に、Hisunで製造された有効成分の全てのバッチの完全な
  分析試験の実施の義務付け(現在市場にあるバッチを除く)
・ヨーロッパの製造者と輸入者は、Zhejiang Hisunから調達した中間製品、最終製品、または、
  Hisunから調達した原薬または中間体を含む全てのバッチの完全な分析試験の実施の義務づけ
 (現在市場にあるバッチを除く)
■出典
http://eudragmdp.ema.europa.eu/inspections/gmpc/searchGMPNonCompliance.do?ctrl=searchGMPNCResultControlList&action=Drilldown&param=37663


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Report No.DICM/INSP/SM-MASA- PE010-1216 EudraGMDP#36981
スペインの製薬会社をスペイン規制当局が2016/6/15に査察
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■不備
2015年6月15日と16日に実施された査察の目的は、このサイトが、内用液であるシロップ、
経口液剤の製造に関しEU GMPに適合していることを確認することにあった。2015年6月15日と
16日の査察中に、会社がGMPに適合していることを保証するための適切な設備、人員、原材料
の供給源をもっていないことがわかった。合計29件の不備がみつかった。そのうちの8件が
メジャーとして分類された。会社は、2016年の7月8日と29日に是正処置の計画を提案した。
その評価後、2016年8月2日、査察当局は、多数の未処理の問題があり、会社は、EU GMP要件に
準拠していないと判断した。概して、提案された是正処置は不十分で、冗長で、その方法の
及ぶ範囲の記述がなかった。特に、職員の不足に関する不備は解決していないままで、一部の
職員の仕事と責任の蓄積は品質へのリスクであり、EU GMPの順守に関して要求される活動の
適切な実施を保証しない。その他の目立った問題は、科学的物理的試験や微生物学的試験の
適切な実施に関するラボの品質管理の欠如にある。さらに、よくない文書化手順、不適切な
原材料供給者やサービスプロバイダの管理、製品や原材料の不十分な識別、設備・ユーティリ
ティ・工程における適格性評価やバリデーションの実施作業の重要な局面での定期的管理の
不備等は、疑わしい品質の製品の製造につながりかねない、EU GMPからの大きな逸脱を示して
いる。
■対策
・製造承認の停止
・回収不要
■出典
http://eudragmdp.ema.europa.eu/inspections/gmpc/searchGMPNonCompliance.do?ctrl=searchGMPNCResultControlList&action=Drilldown&param=36981


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Report No.DE_SH/NCS/API/01/2016 EudraGMDP#36996
インドの製薬会社をドイツ規制当局が2016/6/29に査察
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■不備
査察において、査察チームが35件の不備をみつけた。それらの5件はメジャーに分類され、
よって、査察された製造所で製造された医薬品有効成分が使われた時、人及び動物の患者を
危険にさらすことにつながる可能性がある。
・ERP(Enterprise Resource Planning)システムのインストールと実行、品質マネジメント
  システム外へのGMP関連データのホスティング(※)が、品質保証の監督不足を示した。
・文書がなく、品質保証の承認がない状態で、再包装が行われていた。
原材料及び原薬のラベルの発行が不適切に管理されているのがみつかった。
・機器のあるラボ内で、会社は、データの完全性の基本的な原則に違反した。すなわち、正当な
  理由や品質保証の監督なしに、手動操作があった。
会社のコンピュータ化システムのバリデーションのやり方が要件に適合していないとみなされ
  た。
※ホスティング:サービスプロバイダの管理する外部サーバにデータを預けること
■対策
・回収不要
・供給禁止
・CEP(ヨーロッパ薬局方認証)の停止または取り消し
■その他
・この供給者は、いかなる新しい、または、継続申請も承認されるべきではない。
関係国の当局は、供給者が現在の医薬品市販承認を取り止めるか評価すべきである。
■出典
http://eudragmdp.ema.europa.eu/inspections/gmpc/searchGMPNonCompliance.do?ctrl=searchGMPNCResultControlList&action=Drilldown&param=36996


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Report No.UK GMP 36736 Insp GMP 36736/1707035-0003 - NCR EudraGMDP#37171
インドの製薬会社を英国規制当局が2016/7/1に査察
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■不備
査察で製品の無菌保証に関するクリティカルな不備がみつかった。不備は、建物、圧力差に
よる分離、無菌工程を含む多数の分野に及ぶ。無菌工程は微生物汚染のリスクが可能な限り
減らされておらず、微生物汚染の根本原因を特定し適切なアクションをとるための無菌工程の
シミュレーション調査を怠った。環境モニタリングプログラムは科学的正当性に基づいておら
ず、重大なリスクのある多数のエリアがモニタされていなかった。不完全に設計された加圧
滅菌器の負荷パターンを含む滅菌作業は、隠蔽面と閉塞部位が流出のない状態でないことを
示していた。SIP(定置滅菌)工程は配管が適切に傾斜させていない状態で、適切に詳述されて
いない手動の介入があり、上の問題の全ては、科学的知識の不足とつながっていた。
■対策
・供給禁止
■出典
http://eudragmdp.ema.europa.eu/inspections/gmpc/searchGMPNonCompliance.do?ctrl=searchGMPNCResultControlList&action=Drilldown&param=37171


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まとめ
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ノンコンプライアンスレポートは、ウォーニングレターに比べて不備の具体的な内容が書か
れていないため詳細は不明なのですが、FDA査察が製造記録や品質記録を特に細かく指摘して
いるのに対し、EU GMP査察は、交差汚染対策、変更管理、バリデーションや適格性評価の不備
といった分野まで広く指摘しているように感じました。
それから、最後から2つ目のレポートにあったGMP関連データのホスティングについての指摘が
興味深かったです。自社でサーバの管理をする手間を省くため、データを外部のデータセンタ等
に預ける動きが、昨今、特に海外で進んでいます。これは、自社にサーバやサーバルームを
置かなくていいうえに、サーバの監視やデータのバックアップを業者に任せることができるので
非常に便利なのですが、品質保証部門の目が届かなくなりがちです。
ホスティングは今後日本でもどんどん普及することが予想されますが、先行している海外の
製薬会社の状況を十分参考にする必要があると思います。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。
☆次回は、10/14(金)に配信させていただきます。


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hashimoto@e-pros.co.jp

【発行責任者】
株式会社プロス
ASTROM通信』担当 橋本奈央子

2016.09.15

【国内品質システム実施対応状況 及び 新バーコード】ASTROM通信<106号>

 ~安全な医薬品の安定供給をご支援する~

こんにちは
ASTROM通信担当の橋本奈央子です。

ようやく残暑もおさまり、朝晩はすっかり秋の気配を感じるこの頃ですが、いかがお過ごしですか?

さて、このところ海外の情報を連続して取り上げてきましたので、今回は国内のニュースを2つ取り
上げたいと思います。

1つ目は、厚生労働科学研究「GMP、QMS、GTP及び医薬品添加剤のガイドラインの国際整合化に関する
研究」の調査について、2つ目は、平成28年8月30日に発出された課長通知『「医療用医薬品へのバー
コード表示の実施要項」の一部改正について』を取り上げたいと思います。

2つ目のバーコード表示の話題は、平成24年6月29日付医政経発0629第2号・薬食安発0629第2号
厚生労働省医政局経済課長・医薬食品局安全対策課長連名通知『「医療用医薬品へのバーコード表示の
実施要項」の一部改正について』において、内用薬(生物由来製品を除く)、注射薬(生物由来製品
を除く)及び外用薬(生物由来製品を除く)の販売包装単位及び元梱包装単位で任意表示だった項目
が、平成33年4月までに原則必須表示になるというインパクトの大きな内容ですので、是非ご確認くだ
さい。

最後までお付き合いいただければ幸いです。


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「GMP、QMS、GTP及び医薬品添加剤のガイドラインの国際整合化に関する研究」の調査について
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平成28年8月22日付薬事日報に厚生労働科学研究「GMP、QMS、GTP及び医薬品添加剤のガイドラインの
国際整合化に関する研究」で実施された調査の結果が載っていました。
調査は国内の製造業者を対象に、ICHの品質リスクマネジメントと医薬品品質システムの考え方につい
て、アンケート形式で実施されたそうです。
調査結果はざっと下記の通りです。
1)品質リスクマネジメントの手順書作成について
  製造所の74%が品質リスクマネジメントの手順書を作成し、10%は単独の手順書は作成していない
  ですが個別の手順書内で変更管理などのリスクマネジメントについて規定していたそうです。
2)品質リスクマネジメントの活用状況について
  製造所の13%は品質リスクマネジメントを定期的に実施し、66%が不定期に実施している一方で、
  12%の製造所では行っていなかったそうです。
  定期的に実施していると回答した製造所の場合、実施頻度としては年1回というケースが一番多
  かったそうです。
3)医薬品品質システムの実施について
  製造所の65%が品質マニュアルを作成していた一方で、OTC、原薬、生薬・漢方製剤分野の製造所
  の作成率が著しく低かったそうです。
  そして、全体の30%の製造所では医薬品品質システムを実施していないことが判明したそうです。
  医薬品品質システムを実施していない1番の理由は「資源不足」、次いで「法的拘束力がない」と
  いう回答が多かったそうです。

→この調査結果から、品質リスクマネジメントを実施していない製造所や医薬品品質システムを実施
 していない製造所がかなり存在していることがわかります。
 また、中小の製造所が、限られた資源の中で、品質リスクマネジメントや医薬品品質システムを実
 施することの難しさを物語っているようにも思います。

■出典
平成28年8月22日付薬事日報


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「医療用医薬品へのバーコード表示の実施要項」の一部改正について
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平成28年8月30日に、『「医療用医薬品へのバーコード表示の実施要項」の一部改正について』(医政
経発0830第1号・薬生安発0830第1号・薬生監麻発0830第1号厚生労働省医政局経済課長、医薬生活衛生
局安全対策課長、医薬生活衛生局監視指導麻薬対策課長連名通知)が発出されました。

バーコード表示については、平成 27 年9月に策定された「医薬品産業強化総合戦略」において、後発
医薬品の使用促進による流通量の増加を踏まえ、医療機関や保険薬局との連携による効率的な在庫管
理や新規収載品目について、有効期限、製造番号などの変動情報を含んだ新バーコード表示の必須化
の方針が示されていました。

今回の課長通知は、その戦略を踏襲する形で、流通の効率化や、トレーサビリティの強化を図ること
で、より適正な製品回収等の対応を可能にすることを目的に、これまで任意項目であった医療用医薬
品に関する販売包装単位及び元梱包装単位の表示についても、必須表示の範囲が拡大されることにな
りました。

★★前回課長通知(平成24年6月29日発出)からの変更点★★
内用薬(生物由来製品を除く)、注射薬(生物由来製品を除く)及び外用薬(生物由来製品を除く)
の販売包装単位及び元梱包装単位の任意表示項目が必須表示項目になりました。
 ★販売包装単位の場合
  任意表示項目であった有効期限、製造番号または製造記号が、必須表示項目になりました。
 ★元梱包装単位の場合
  任意表示項目であった商品コード、有効期限、製造番号または製造記号、数量が、必須表示項目
  になりました。

過去の課長通知も含めた現時点のバーコード表示要件は下記の通りです。詳細は、実際の課長通知を
ご覧ください。
■表示対象及び表示するデータ■
1.調剤包装単位
 ●特定生物由来製品
   商品コード、有効期限、製造番号または製造記号が、全て【必須表示】
 ●生物由来製品(特定生物由来製品を除く)、内用薬(生物由来製品を除く)、注射薬(生物由来
  製品を除く)、外用薬(生物由来製品を除く)
   商品コードが【必須表示】、有効期限、製造番号または製造記号が【任意表示】

2.販売包装単位
 ●特定生物由来製品、生物由来製品(特定生物由来製品を除く)、内用薬(生物由来製品を除く)
  、注射薬(生物由来製品を除く)、外用薬(生物由来製品を除く)の全て
   商品コード、有効期限、製造番号または製造記号が、全て【必須表示】

3.元梱包装単位
 ●特定生物由来製品、生物由来製品(特定生物由来製品を除く)、内用薬(生物由来製品を除く)
  、注射薬(生物由来製品を除く)、外用薬(生物由来製品を除く)の全て
   商品コード、有効期限、製造番号または製造記号、数量が、全て【必須表示】

※元梱包装単位で表示する数量とは、元梱包装単位に含まれる販売包装単位の数量をさします。
※商品コードは、個々の医薬品の包装単位の種類ごとに付される JAN(以下「共通商品コード」とい
 う。)の先頭に、調剤包装単位においては「0」、販売包装単位にお いては「1」、元梱包装単位
 においては「2」を付けた 14 桁のコードとなります。

■バーコードシンボル体系■
1.調剤包装単位 及び 販売包装単位
   商品コードに加え製造番号又は製造記号及び有効期限を表示する場合は、GS1データバー限定
   型合成シンボルCC-Aを用いる。表示面積が小さい場合は、GS1データバー二層型合成シンボル
   CC-Aを用いることができる。
   商品コードのみ表示する場合は、GS1 データバー限定型を用いる。表示面積が小さい場合は、
   GS1データバー二層型を用いることができる。
2.元梱包装単位
   コード128 を用いる

■新バーコード表示の実施時期■
1.特定生物由来製品及び生物由来製品の全ての包装単位、注射薬(生物由来製品を除く)の調剤包
  装単位及び販売包装単位並びに内用薬(生物由来製品を除く)及 び外用薬(生物由来製品を除
  く)の販売包装単位の商品コード
   平成20年9月(ただし、年1回しか製造していないもの等特段の事情があるものについては平成
   21年9月)以降 に製造販売業者から出荷されるものに表示する。
2.内用薬(生物由来製品を除く)及び外用薬(生物由来製品を除く)の調剤包装単位
   平成27年7月(ただし、年1回しか製造していないもの等特段の事情があるものについては平成
   28年7月)以降に製造販売業者から出荷されるものに表示する。
3.内用薬(生物由来製品を除く)、注射薬(生物由来製品を除く)及び外用薬(生物由来製品を除
  く)の販売包装単位の有効期限、製造番号または製造記号 及び
  内用薬(生物由来製品を除く)、注射薬(生物由来製品を除く)及び外用薬(生物由来製品を除
  く)の元梱包装単位の有効期限、製造番号または製造記号、数量
   平成33年4月(ただし、特段の事情があるものについては平成35年4月)以降に製造販売業者か
   ら出荷されるものに表示する。

■出典
http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T160830G0010.pdf


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まとめ
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1つ目のテーマにあった、品質リスクマネジメントと医薬品品質システムに対する対応状況の数字、
どのように思われましたか?
私自身、営業で中小の製薬会社様を訪問させていただく中で、調査結果にある通り、人員の不足や、
法的拘束力がないという理由で、中小の製薬会社様の対応が進んでいないことを感じていたのです
が、12%の製造所が品質リスクマネジメントを未実施であり、30%の製造所が医薬品品質システムを
未実施であるという数字を実際に見ると、やはり少し心配になります。
規模の小さい製薬会社様が対応することは本当に大変だと思いますが、いずれ、PIC/S GMPガイド
ラインにも織り込まれる内容ですので、早急な対応が必要なのではないでしょうか。

2つ目の、医療用医薬品へのバーコード表示の課長通知もまた気になる内容でした。
平成24年6月29日の課長通知で、内用薬、注射薬、外用薬(3つとも生物由来製品を除く)の販売
包装単位及び元梱包装単位で任意だった表示項目が、平成33年4月(特段の事情があるものについて
は平成35年4月)出荷分以降は全て必須表示項目となるというのは、中小の製薬会社様にとっては
相当大変な事態なのではないでしょうか?
5年先ではありますが、設備、システム、手順書等の対応が必要と思われますので、まずは早急に
影響範囲の確認をされることをお勧めします。


最後までお読み頂き、ありがとうございました。
☆次回は、9/30(金)に配信させていただきます。


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【発行責任者】
株式会社プロス
ASTROM通信』担当 橋本奈央子

2016.09.01

【2016年発行EUのNon-Compliance Report】ASTROM通信<105号>

 ~安全な医薬品の安定供給をご支援する~

こんにちは
ASTROM通信担当の橋本奈央子です。

夜になると虫の声が聞こえ、夏も終わりを実感するこの頃ですが、いかがお過ごしですか?

さて、これまで何度かFDAのウォーニングレターを見てきましたが、今回は、EUのノンコンプライ
アンスレポート(Non-Compliance Report)を取り上げてみたいと思います。

ノンコンプライアンスレポートは、Part1に確認した当局の名前、製造業者の名前、製造所の住所
等、Part2にノンコンプライアントな製造オペレーション、Part3にノンコンプライアンスの種類、
EUの対策等が書かれた3部構成になっています。
査察結果を報告するという点ではウォーニングレターと似ていますが、ウォーニングレターに比べ
て、指摘の内容があまり詳しくありません。また、不備を、クリティカル(Critical)、メジャー
(Major)、その他(Others)に分類して、何件あったかといった情報は明記しているという特徴が
あります。

ノンコンプライアンスレポートは、2016年になってから、8月27日時点で合計15件発行されていま
す。今回はそのうちの6件について、Part3部分をみていきたいと思います。

EU-GMP査察ではどのようなことが指摘されるのか、ウォーニングレターとどこが違うのかなどを
感じて頂きながら、最後までお付き合いいただければ幸いです。


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Report No.INS16-001c スペインの製薬会社 2016/1/13査察終了
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■クリティカルな不備
a)効果的な製薬品質保証システムの欠如。
b)製造手順を完了せず、品質保証部門のチェックと承認なしで、製品を出荷。
c)適格性評価のされていないクロマトグラフの装置を、誤った操作で、バリデートされていない
 コンピュータ化マネジメントシステムと共に品質管理に使用。結果として、データの完全性・信頼
 性・最新性・原本性・真正性が保証できない。
d)適切な管理方法の移管や、関連する保健当局の許可なしに、第三者に医薬品の最終的な品質管理
 の分析の一部を譲渡。
e)適切にバリデートされていない、または、定期的に再バリデートされていない手順で医薬品を製
 造。
f)OOS(Out of Specification)となった前の試験結果の根本原因を究明するための詳細な調査に取
 組まずに、繰り返し行われる最終製品の分析や滅菌試験の結果を採用。
g)注射剤の外観検査は多数のクリティカルな品質の欠陥を示していたが、逸脱を開示せず調査しな
 かった
h)外観検査をパスした注射剤の統計サンプルの品質管理を実施しなかった。
■メジャーな不備
a)製造した医薬品の品質の年次レビュを実施しなかった。
b)製造過程での逸脱の適切で詳細な調査がされなかった。
c)製造エリアの空気処理システムが、“停止中”にのみチェックされ、“運転中”はチェックされ
 ていないということで、”適切に適格性評価がされていなかった。
d)医薬品販売承認書類で定められた状態に従わずに 及び/または 定められた工程管理を実施せず
 に医薬品が製造された。
e)医薬品の各バッチの製造及び品質管理の文書が正しくファイルされていない。
f)関連保健当局の許可なしに設備が改修された。
g)滅菌試験、無菌製造工程のシミュレーション、重要製造エリアの環境管理に使用される培地の
 成長促進試験が実施されていない。
h)製造に使用される原料に関する全ての規格のパラメータを分析していない。
■対策
・製造許可の一時停止
・2014年~2016年に製造された出荷済バッチの回収
・供給禁止
■出典
 http://eudragmdp.ema.europa.eu/inspections/gmpc/searchGMPNonCompliance.do?ctrl=searchGMPNCResultControlList&action=Drilldown&param=33564


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Report No.Insp GMP 20181/88564-0006 NCR インドの製薬会社 2016/1/22査察終了
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■不備
製薬品質システムが、患者の安全を守るための適切な方法で運用されていなかった。また、前回の
査察で発生したデータの完全性のクリティカルな問題の根本原因に対処したエビデンスがなかった。
1.コアなシステムを含む品質マネジメントシステムに広範囲な欠陥があった。
2.電子データとラボシステムの管理が堅固でなく、データのトレーサビリティやセキュリティを
 保証できなかった。
3.汚染を管理するためのシステムが不完全で、交差汚染のリスクの適切な評価が保証できない。
4.包装エリア内の重要管理が堅固でない、または、管理されていない。
5.管理の教育に関する堅固な手順がなく、教育されていない分析者が分析を実施しているため、
 教育が不完全である。
■対策
・供給禁止
■出典
 http://eudragmdp.ema.europa.eu/inspections/gmpc/searchGMPNonCompliance.do?ctrl=searchGMPNCResultControlList&action=Drilldown&param=34550


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Report No.16MPP005NCS インドの製薬会社 2016/2/12査察終了
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■不備
査察において全体で24の不備がみつかった。
[クリティカル]
有効成分を微粉末化しヨーロッパに輸出する、または、ヨーロッパに輸出する販売業者に販売して
いる製造元(すなわち、製造者の名前、オリジナルのバッチナンバーや分析証明書)ついて、有効成
分のユーザに情報を伝達していない。一部の有効成分は、他の製造元で微粉末化されていた。
さらに、一部の有効成分については、EU-GMPに準拠していない製造元で微粉末化され、違う製造業
者の名前でヨーロッパに直接輸出されていた。
[メジャー1]:文書管理の欠陥
いくつかの文書は壁の反対側のがれきの山の中から見つかった。これらは、保管が義務付けられて
いる再包装の記録や、2013年からの有効成分の注文書を含んでいた。
[メジャー2]:プロセスバリデーションの不備
微粉末化したバッチの混合に関するバリデーションデータが入手できなかった。微粉末化に使用する
エアジェット・ミルの洗浄バリデーションの記録が入手できなかった。回収酢酸エチル溶媒の軽減
試験に関する添付資料が入手できなかった。
■対策
・GMP証明の撤回
・QRMの原則による出荷済バッチの回収の検討
・医薬品販売承認の変更要求
・供給禁止
・CEP(Certification of suitability)の一時停止または取り消し
■出典
 http://eudragmdp.ema.europa.eu/inspections/gmpc/searchGMPNonCompliance.do?ctrl=searchGMPNCResultControlList&action=Drilldown&param=34511


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Report No.UP/I-530-10/16-06/03; 381-13-04/151-16-04 インドの製薬会社 2016/2/19査察終了
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■不備
査察において合計32のEU-GMPに対する不備がみつかった。そのうちの1つはクリティカルとして
分類され、会社の品質保証システムの弱さに関係している。7つの不備は、メジャーとして分類
され、品質保証関連で2件、建物と設備、文書、原材料の管理/保管、ラボの管理、適格性評価関連
で各1件ある。
[クリティカル]
セフィキシムの製造に使用される製造所で実施されている品質保証システムが弱く、適切な品質の
製品の着実な引き渡しを許可するシステムの設計・計画・実施・維持管理・継続的改善ができない。
これらの所見は結果的に関連部署内で確認される。GMP違反は深刻で、人または動物の患者がリスク
を負っている。
[メジャー]
管理の不足により、EUの顧客に供給されるセフィキシムの、異なる工程で得られた異なるグレード
のバッチの取り違えが排除できない。
[メジャー]
バッチの製造やバッチの分析レポートのレビュを実施せず、テスト後に混合に使用した。
[メジャー]
中間建屋の地下の遠心分離エリア、流動床乾燥機の場所で、あけすけに製品が扱われていて、汚染
を排除できない。
[メジャー]
バッチの製造記録、装置の洗浄記録、ロットの製造記録(BPR,ECR,LMPR)は、PDFファイルから関連
した文書を印刷することで発行されていた。電子文書の管理の原則は考慮されていなかった。(また
は無視されていた)
[メジャー]
原材料の受け取り・保管・分配等関するいくつかの所見は、品質による悪影響を排除できないという
結論に達した。
[メジャー]
IPCラボにおいて深刻なEU-GMP違反が行われ、このラボで分析業務が実施されていた。
[メジャー]
62の機器のうち、4つだけが完全に適格性評価を実施されていた。5つの機器は、DQ,IQ,OQのみ行って
いた。会社は、問題のある装置のみを対象とし、全体的な方法でCAPAを実施していなかった。
■対策
・GMP証明の撤回
・医薬品販売承認の変更要求
・供給禁止
・CEP(Certification of suitability)の一時停止または取り消し
■出典
 http://eudragmdp.ema.europa.eu/inspections/gmpc/searchGMPNonCompliance.do?ctrl=searchGMPNCResultControlList&action=Drilldown&param=35325


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Report No.6.2.1-2015-103399 アメリカの製薬会社 2016/2/24査察終了
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■不備
・GMP順守について容認できないレベルの不備があり、査察を繰り返し実施。
・不備に対する是正処置の不履行、要求した信頼できる情報提供の不履行
前回の査察(2016年2月)中、2件のクリティカルな不備、7件のメジャーな不備、12件のその他の
不備がみつかった。2件のクリティカルな不備と、1件のメジャーな不備は、データの完全性に関わ
る。メジャーな不備は、バリデーション、衛生のルーティン作業、多目的施設内におけるモバイル
装置の識別、文書のルーティン作業の分野で見つかった。
いくつかは、以前の2回の査察(2015年8月~9月、2012年8月)から是正されていなかった。
■対策
・GMP証明の撤回
・出荷済バッチの回収
■出典
 http://eudragmdp.ema.europa.eu/inspections/gmpc/searchGMPNonCompliance.do?ctrl=searchGMPNCResultControlList&action=Drilldown&param=35188


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Report No.INSP GMP 22917/8721389-0002 NCR アメリカの製薬会社 2016/2/26査察終了
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■不備
査察で、2件のクリティカルな不備がみつかった。
(1)同じ製造設備内で、装置を共有して製造している危険製品と非危険製品間の交差汚染を最小化
 するための、組織的・技術的対策の不履行
(2)品質部門の、品質システムの効果的運用を確実にするための活動の不履行
 これは、変更管理の目に余る怠慢、適格性評価がされていないHPLCシステムの使用の許可、製造
 装置の適格性評価に対する容認できないアプローチを含む。品質調査は、品質リスクマネジメント
 の原則の導入を欠いていた。
3件のメジャーな不備がみつかった。
(1)組織的なデータ管理の不履行
 特に、電子システムから得られる分析データの生成とチェックに関するもの、以前のデータの完全
 性の不備に関する調査
(2)滅菌工程とdepyrogenation工程の不備
(3)要求された滅菌保証レベルを提供するための無菌作業の不十分な管
■対策
・出荷済バッチの回収
・供給禁止
・臨床試験の一時停止
■出典
 http://eudragmdp.ema.europa.eu/inspections/gmpc/searchGMPNonCompliance.do?ctrl=searchGMPNCResultControlList&action=Drilldown&param=35642


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まとめ
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ノンコンプライアンスレポートは、いかがでしたでしょうか?
ウォーニングレターに比べると、不備の内容が詳しく書かれていないため、具体的には何が問題
だったのか非常に気になった箇所がいくつかありました。
内容は漠然としていますが、どのような点が不備として指摘の対象になるのかはわかりますので
是非、ノンコンプライアンスレポートを、自社の定期点検等の参考にしていただければと思います。


最後までお読み頂き、ありがとうございました。
☆次回は、9/15(木)に配信させていただきます。


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