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2015.11.30
【最近のFDAウォーニングレター】ASTROM通信<87号>
~安全な医薬品の安定供給をご支援する~
こんにちは
ASTROM通信担当の橋本奈央子です。
明日から師走。慌ただしい季節になってきましたが、
さて、今回は、
ウォーニングレター(Warning Letter)について見ていきたいと思います。
※文中の“XX”は、
最後までお付き合いいただければ幸いです。
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ウォーニングレター(1)
WL:320-15-15 2015年9月2日 インドの製薬会社に対して(一部抜粋)
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2014年7月14日~
重大な逸脱が確認され、
1.開放系の装置の使われている原薬製造用建物の汚染を防止し、
を保つことを怠った。例えば、
a.査察官は、製造エリアの製造装置の近くで、壁の穴や、
見つけた。
b.外壁に、
2.開放系の原薬製造用装置の適切な維持と、
例えば、
a.査察官は、開放系の医薬品製造装置の上や周りに、さび、
露出を見つけた。
我々は、貴社が、設備や装置の修理がされておらず、
後も、アメリカ市場向けの製造を続けたことに注目している。
2014年6月6日付の変更管理に、“
2014年7月に、貴社は原薬を製造した。
貴社は、関連するバッチを国内(インド)
貴社は、FDAの製造設備の査察の通知に基づき、
さまざまな修理や改築を60~90日以内に終えると約束した。
FDA査察で同様の回答をした時からずっと改修中である。
この違反に対する回答において、
写真のエビデンスを提供し、
答には、
を保証するための計画も入れてください。
3. 全てのテストから得られる完全なデータの保持と、
保証すること
を怠った。
2012年6月に製造されたロットについて、重金属分析、
名を含むテストの結果を記録するために”分析試験手順“
された文書は、下記の通りだった。
a.重金属分析は実施されていなかった。
b.残留溶媒分析者の名前がなかった。
c.正確さ、完全性、
貴社は、後続ロットのテスト結果を提供したうえで、
と回答した。また、貴社は“
処置を実施する”と回答した。しかし、貴社の回答は、
されたかどうか、また、
記録されていないからなのかを特定していない。また、
レビュなしに出荷されたかどうかも示してない。
期限内に、
完全なテストの情報やレビュの無い状態で出荷されたかどうかを示
た標準に従わないで出荷されたことを示すデータが見つかった場合
対策の計画を提供してください。
出典:
http://www.fda.gov/ICECI/
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ウォーニングレター(2)
WL:320-15-16 2015年9月4日 ニュージーランドの製薬会社に対して(一部抜粋)
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2014年7月7日~
CGMPからの重大な逸脱が確認された。加えて、
2014年7月17日付の貴社の回答の詳細レビュをしたところ、
■CGMP違反
1.
2.製造中、XXをモニタするための、
3.最終製品のバッチの有効成分の属性や濃度のテストを怠った。
4.化学的・
持っていなかった。
貴社の品質部門は、上記違反があるにも関わらず、
2014年7月17日の貴社の回答によれば、
と契約すると回答した。また、安定性試験を実施し、
保証するために、行動計画を作り実行すると回答した。更に、
仕様書に従って適切にテストされることを保証すると回答した。
しかし貴社は、品質部門が、仕様書に従っていない構成成分、
にし、
怠った。
更に、貴社はアメリカに配送された全ての薬の、
XXのばらつきの原因と影響を評価すべきである。また、
いること、仕様書と手順の適合性、製造手順の妥当性、
十分性を判断すべきである。
■不正商標表示
貴社の日焼け止め製品は、診断、治療、緩和、手当、
フォントスタイルやサイズ、テキスト、表示情報等が21 CFRの要件を満たしていない。
出典:
http://www.fda.gov/ICECI/
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ウォーニングレター(3)
WL:320-15-17 2015年9月28日 インドの製薬会社に対して(一部抜粋)
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2014年3月18日~
重大な逸脱が確認され、2014年4月8日、
回答における是正処置が不十分であった。
1.製造及び分析試験実施時に文書化することを怠った。
査察中、テスト結果や、
た。例えば、
a. 2014年3月18日にバッチXXの製造が行われていたが、
手順XXの記録・サインがされていなかった。
b.外部のコメントにより返品された製品につき、
矛盾を見つけた。具体的に言うと、作業者が製造所にいない時に、
サインをしていた。これは、製造を行っていない人員により、
示している。査察中及び貴社の回答文書において、
作られたことを認めた。
c.
言うと、
誰がサンプルを準備し、いつ培養をはじめ、
確認されたかを特定していなかった。
貴社の回答によれば、貴社の製造スタッフは、
も微生物分析担当者も業務を軽視していた。貴社には、
製造及びテスト業務の所定の管理について責任があるが、
品質システムの欠陥には触れていなかった。
このウォーニングレターへの回答において、貴社は、
実施し、調査結果を提出してください。調査は、
欠陥や管理ミスを対象としてください。全てのCGMPの業務が、
ように、文書化手順を見直す計画を提供してください。また、
コピーのデータを保存するための手順を見直す計画を提供してくだ
からの逸脱に対処するための教育や職員の監視を含む手順を提供し
2.データの無許可のアクセスや変更を防いでいない。また、
行っていない。
貴社の実験室のシステムは、
いる。例えば、
a.分析者は、システムに対する固有のユーザネーム、
い。実験室の全職員は、
や手順、積分パラメータ、
原薬の品質を評価するために、
いる。
b.複合機器は、
貴社は、
までに是正処置・予防処置を行うと約束した。
電子データシステムが電子データの削除は変更を防いでいることを
評価のコピーを提供してください。適格性評価の取り組みの中で、
データの完全性を保証しないと判断した場合、取るべき手段(例:
ウエアのインストール)を述べてください。
文書保管の手順及びこれらの是正処置の効果をいかに評価しようと
コンピュータ化システムを適切に使用するように職員を教育するた
さい。
3.全てのテストから得られる完全なデータの保持と、
することを怠った。
テスト記録から積分パラメータやインジェクション順序のような必
を捨てたため、原薬の品質を評価し、
不完全なデータに頼らなければならない。例えば、
a.安定性評価用サンプルに関するマニュアルの積分処理や、
レビュに関する手順がみつからなかった。
アルでも記録されていなかった。次のサンプルが分析される時、
ていた。
b.一部の分析テストデータは不適切に保管され、
i)HPLCの14のファイルに、
プルのローデータが含まれていたが、
ものがなかった。
ii)
クロマトグラムがあったが、結果は文書化されていなかった。
6週間以上後の2013年7月7日がデータ取得日になっていた。
データを取得していない)
iii)
貴社は“
システムの何らかの故障によるものだ”と回答した。しかし、
ないし、
貴社の回答は不適切である。
装置の完全な電子ローデータの保持を保証するため、
を述べなさい。また、
で生成された全てのデータの完全性を保証する品質保証部門の責任
さい。
4.
我々は、製造所内に有害生物の痕跡をみつけた。
かった。外部から入るパイプに大きな複数の隙間があった。
ものを発見した。2014年3月18日、査察官は棚の上と、
た。同じ日、原材料倉庫#1の中でトカゲを発見した。
貴社は有害生物の管理に関する文書化した手順を持っていなかった
製造所において是正処置を実施したというが、
評価が含まれてない。
建物の適切な設計と、規則として定められた清掃・
建物の維持は、製造所の操業の必須要素である。
有害生物の予防と管理プログラムの詳細を提出してください。
存在が原薬の品質に与える影響のレビュ結果を提出してください。
出典:
http://www.fda.gov/ICECI/
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
まとめ
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今回のウォーニングレターには、鳥の巣やフン、トカゲが登場し、
指摘事項への回答における、担当者が業務を軽視していた
(原文:…,and your chemist or microbiologist each neglected his work.)という説明にも
驚かされました。
しかし、これを“インドの話だから・・・”
製薬会社様は、自社の原薬供給者が同様の状態にないか、
また、原薬メーカ様は、
再確認する必要があるのではないでしょうか。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
☆次回は、12/15(火)に配信させていただきます。
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『ASTROM通信』担当 橋本奈央子
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2015.11.15
【注射剤のパッケージタイプに関するFDAドラフト版ガイダンス】ASTROM通信<86号>
~安全な医薬品の安定供給をご支援する~
こんにちは
ASTROM通信担当の橋本奈央子です。
今年も残すところ1ヶ月半となりましたが、
先日、日薬連主催の第35回GQP/GMP研究会に参加し、
と、将来必ず施行されるであろうPIC/S GDPガイドラインへの対応準備の必要性を感じました。
さて、本日は、10月21日にFDAより発出された、
Terms and Recommendations for Labeling Injectable Medical Products Packaged in
Multiple-Dose, Single-Dose, and Single-Patient-Use Containers1 for Human Use
Guidance for Industry(ヒト用注射剤のパッケージタイプの選択と、
用/
上げたいと思います。
※現在、
最終版が発出されると、
(単一使用)が廃止となり、
製造している企業にはインパクトのある内容だと思いますが、
”へー、そういう理由で変更になるのか”
ガイダンス案の原文
http://www.fda.gov/downloads/
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ドラフト版ガイダンスの内容
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I.序文
このガイダンスは、適切なパッケージタイプの選択と、
容器に包装されたヒト用注射剤に関する適切な廃棄の記述の選択に
特にこのガイダンスは、FDAの複数回投与用/
新しいパッケージタイプである一患者用容器の定義を紹介する。
一般にFDAのガイダンス文書は法的履行責任を定めない。
現在の考えを述べたものであり、
見なすべきである。
II.背景
注射針、注射器、
安全を脅かし、
不適切に使用された時に、中味が汚染され、
した。また、標準的な使用上の注意の不履行や、
関する感染症の数回の流行と関係している。
の通りである:
・1998年から2008年にかけて、
よる患者間の血液感染性の病原菌の伝染により、
・疾病対策センター(CDC)によれば、5年の間に、
不適切な使用により少なくとも26件の事故が起き、95,
可能性にさらされた。
・2002年、
ウイルス肝炎(HCV)の感染と、31件のB型ウイルス肝炎(
・2008年、ネバダにおけるHCV流行は、
患者への使用が原因と考えられる。
上記の通り、
使用が細菌性感染症やウイルス性感染症の流行の原因の一つになっ
タイプは、複数回投与に使用されるある種の容器(例:
患者の使用を意図していることを適切に伝えきれていないという懸
III.考察
医薬品のレビュの一環として、FDAは、パッケージタイプと、
を明確にするか、または、承認する。
用注射剤の廃棄の記述が、注射剤の適切な使用を促進し、
教育努力の基盤を提供すると信じる。以下の章は、ヒト用の、
用注射剤、生物学的製剤、及び、
なパッケージタイプについて述べる。
<定義>
1.Single-Dose Container(一回投与用容器)
一回投与用容器は、非経口投与用(注射または点滴用)
の要件を満たす必要はない。一回投与用容器は、
に設計されている。スペースが許せば、一回投与用容器に、
だラベルが貼付されるべきである。
一回投与用容器の例は、バイアル、アンプル、
2.Multiple-Dose Container(複数回投与用容器)
複数回投与用容器は、非経口投与用(注射または点滴用)
の要件を満たすものか、
用容器は、医薬品が2投与分以上入れることを意図している。
容器には、そのことが記載されたラベルが貼付されるべきである。
30mLまたはそれ以下の薬剤を入れる。
は、製造業者がラベルに指定している場合以外は28日である。
複数回投与用容器の例は、バイアルである。
大部分の場合、“一回投与用”と“複数回投与用”
しかし、ある特殊な状況は、一人の患者の使用を意図しているが、
このパッケージタイプの容器は防腐剤を含んでいないかもしれない
抗菌有効性試験に合格できないかもれない。
である。
パッケージタイプは適切でない。しかし、パッケージの中味は、
ことができないので、“複数回投与用”
その他のケースで、
よる使用に限定されているパッケージがある。“複数回投与用”
患者の使用に限定することを適切に伝えられない。
複数投与分を含んだインスリンのペン型注入器である。
過去に、複数投与分を含むが、
定義するために、Single-Use(単一使用)
しかし、残念ながら、“単一使用”は、
なパッケージタイプとして不適切に使用された。
用語の混乱に対処するために、当局は“単一使用”
一人の患者に使用されることを意図したパッケージのために、
を作った。
3.Single-Patient-Use Container(一患者用容器)
一患者用容器は、非経口投与用(注射または点滴用)
することを意図している。スペースが許せば、一患者用容器には、
廃棄の記述を含んだラベルが貼付されるべきである。
用カートリッジや、ある種のペン型注入器である。
“複数回投与用”と“一患者用”容器について、
ラベルに印字された使用期限や廃棄の記述の根拠として使われるだ
<容器の決定>
製造業者が意図する投与回数が1回 : “一回投与用”
製造業者が意図する投与回数が2回以上かつ一患者のみの使用を意
製造業者が意図する投与回数が2回以上かつ一患者のみの使用を意
IV.ラベリングの要件及び勧告
申請者は、ヒト用注射剤の適切なパッケージタイプ(“
“一患者用”)を決定し、
ない。
FDAは、
簡単にパッケージのタイプを識別できるようにすることを勧めてい
カートンを含み、可能であれば、処方情報を記載する。
“一回投与用”は、スペースがあれば、United States Pharmacopeia(アメリカ薬局方:USP)
モノグラフのついた注射剤の容器ラベルに表示されることが求めら
カートンまたは、
情報をのせる。FDAの経験により、
がある。
スペースが許せば、“複数回投与用”と“一患者用”
に、パッケージタイプが表示されるべきである。
見やすい場所に、パッケージタイプを表示しなければならない。
適切な情報があれば、“一患者用”と“一回投与用”
なければならない。廃棄の記述は、
ない。例えば
“一回投与用”容器のラベルには、一般的には、”
“複数回投与用”容器は、他の指示が無い限り、
28日を前提としているため、通常は廃棄の記述はない。もし、
なデータで裏付けられた適切な廃棄の記述が容器ラベル、
含まれなければならない。“複数回投与用”容器には、
・“開封後、または、針を入れた後、XX時間以内に捨てること” または
・初回仕様後、XX日を超えない間、
当局は、このガイドライン発出後、
全ての提出物(年次報告と補足資料)は、
さらに、ガイダンスの勧告に従った補足資料は、“
変更”という位置づけで提出しなければならない。
たラベルの変更を、FDAに提出しなければならない。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
まとめ
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
Single-Useという言葉を使うと、
Single-Dose/Multiple-Dose/
FDAの取り組みは非常に興味深かったです。
我々の日常業務においても、言葉の使い方が不明確で、
ドキュメントを修正するのが面倒で、
のではないでしょうか。
FDAが行おうとしている変更は、
とするところがすごいなと思いました。
皆様はいかが思われましたか?
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
☆次回は、11/30(月)に配信させていただきます。
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