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2015.10.30
【EU GMPガイドラインAnnex16改訂版について】ASTROM通信<85号>
~安全な医薬品の安定供給をご支援する~
こんにちは
ASTROM通信担当の橋本奈央子です。
そろそろコートが必要な季節になってきましたが、
さて、2015年10月12日にEU GMPガイドラインAnnex16 “Certification by a Qualified Person
and Batch Release”
(クオリファイドパーソンによる出荷許可及びバッチの出荷)
改訂版は、2016年4月15日から適用されます。
※クオリファイドパーソンは、PIC/S GMPガイドラインで言うオーソライズドパーソンに該当し
ます。
日本では、EU GMPガイドラインの内容と非常に近いPIC/S GMPガイドラインを活用していますが、
Annex16は活用の対象外とされているため、
のEU GMPガイドラインAnne16の改訂の直接的な影響ありません
ただ、EU GMPガイドラインは、製薬業界の品質管理の方針や、ICH(
の方向性も加味して改訂されていきますので、
知るのに役立つと思われます。
そこで、今回は、
長いのですが、最後までお付き合いいただければ幸いです。
EU GMPガイドラインAnnex16改訂版原文
http://ec.europa.eu/health/
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
Annex16の改訂理由
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
Annexは、医薬品のサプライ・
ために改訂されてきた。この改訂も、ICH Q8,Q9,Q10及び、製造及び輸入承認(MIA)
といった解説文書を実装している。
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EU GMPガイドラインAnnex16の概要
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■範囲
Annex16は、
・クオリファイドパーソン(QP)による出荷許可
・販売許可(MA)を持つヒト及び動物用医薬品、または、
医薬品のEU内での出荷可否判定
に関するガイダンスである。このガイダンスの原則は、
■一般原則
医薬品の使用期限、安全性、品質、
にある。しかし、QPは個々のバッチが販売許可(MA)
れた場所で施行されている法律に従って製造されチェックされたこ
バッチの出荷は以下のプロセスからなっている:
i.
ii.
の出荷許可。
iii. QPによる出荷許可がされた最終製品の販売可能倉庫への移動また
許可の行われた場所とは異なるサイトで実施される場合、
されなければならない。
バッチの出荷判定の管理の目的は、
i.バッチが、販売許可の要件に従って製造され、
ii.バッチがGMPの原則やガイドラインに従って製造され、
iii.その他の関連する法的要件が考慮されていること
iv.EudraLex Chapter8 Volume4 Part1に書かれている品質欠陥が起きた場合は、調査され、
は、バッチが回収されること。また、
確認できること
■1.出荷許可の手順
1.1 最終製品の各バッチは、EU内での販売、供給、
QPにより出荷許可されなければならない。出荷許可は、
輸入業者のQPによってのみ実施できる。
1.2 バッチの出荷許可または確認に関係する全てのQPは、
を持っていなければならない。QPは製品の特性、工程、
の継続的な教育について証明しなければならない。
1.3 製造、輸入、試験、出荷許可前のバッチの保管と、
いくつのサイトがあるかに関わらず、
出荷許可が行われるサイトの加盟国の法的義務に従っていることを
られた医薬品の品質システムのもとで全ての必要な工程が完了され
い。
1.4 EU内で行われる製造工程については、
1.4.1 バッチに関する部分的な製造作業のみを請け負う製造所では、
請け負った作業がGMP及び製造所が責任を負うものとして記載さ
ことを確認しなければならない。
QPは販売許可要件の詳細にアクセスできなければならない。
1.4.2 最終製品の出荷許可を行うQPは、
は、
同じ製造承認(MIA)取得者のもとで作業するQPや、
しうる。
1.4.3 バッチの規制準拠の証明に関わるQP間の責任分担は、
て定義されなければならない。この文書には、
に関する責任を明記しなければならない。
1.5 EU外で製造された医薬品に関する物理的な輸入と出荷許可は、
る前に実施する。
1.5.1 本Annexの1章で述べた通り、出荷許可の作業は、サプライ・
グローバルなサイトであるかに関わらず、EU市場に出荷、
1.5.2 本Annexの1.4章に従い、
は販売許可内で定義された他の製造承認取得者の製造所で行われた
確認や、
1.5.3 もし、バッチとサンプルが別々に送られてくる場合、
許可をする前にQPによって確認されなければならない。
1.5.4 最終製品の出荷許可をするQPは、
されたことを保証する責任を負う。
ば、QPは販売許可要件に従った医薬品の品質を保証するために、
分析、
1.5.5 輸入製品のサンプリングは、
到着後、または、
て第三国の製造所内でとられているかもしれない。
された契約内で定義されていなければならない。
同等の輸送条件で出荷されなければならない。
1.5.6 サンプリングが第三国の製造所で行われる場合、
管理するための技術的根拠は正式な品質リスクマネジメント手順に
完全に文書化され、
i. サンプルが、
活動を含む製造活動の監査、
ii.
を含む包括的な科学的調査
この調査は少なくとも下記を含んでいなければならない。
・第三国でのサンプリング手順の記述。
・サンプルと輸入バッチの輸送条件の記述。
ならない。
・
・制限時間の定義を裏付けるために、サンプリングとバッチの輸入 及び データ生成 の時間的
隔たりの考慮
iii.
分析データの提供
iv.予期しない結果や仕様からはずれた結果のレビュ。
リングの信頼性も含まれ、
である。
そのような事象は、潜在的な品質の欠陥とみなし、
されるべきである。
1.5.7 輸入された異なる最終製品のバッチは、
い。異なる最終製品のバッチのQPによる出荷許可は、
正当性が文書化された最終製品の初回輸入バッチの品質管理試験の
これは、
下記の文書化された検証を通じて立証され、
するために、利用できなければならない。
i.包装前のバルク製品の保管に関する要件が満たされていること
ii.最終製品バッチが、
iii.委託品は安全な状態が保たれ、
iv.製品の正しい識別がされていること
v.
1.6 QPは、市場出荷や輸出のための出荷許可に先立ち、
ければならない。
i.製造承認の条項に基づいて、出荷許可がされていること
ii. 国の法律による追加の義務や要件に従うこと
iii.
1.7 加えて、QPは、1.7.1から1.7.
適切に教育された社員または第三者に委託されるだろう。
必要があるだろうが、
ならない。
1.7.1 製造に関連する全ての活動や、医薬品の試験は、
されたこと
1.7.2 原薬及び医薬品の、出荷許可段階までのサプライ・
可能であること。文書には、出発原料や医薬品の包装材料、
重要とみなされたその他の原料の製造所を含む。文書は、例えば、
消毒のような、
1.7.3 製造所、医薬品の試験、
出荷許可を行うQPが利用可能でること。
1.7.4 製造、分析、
こと。
1.7.5 全ての製造の活動及び試験の活動は、
こと。
1.7.6 バッチに使用される出発原料や包装材料の調達元や仕様は販売許可
と。
ものであること。
1.7.7 2001/83/EC指令、または2001/82/
GMPに従って作られ、原薬のGDPに従って配送されたこと。
1.7.8 ヒト用医薬品の製造に使用される原薬の輸入は、2001/83/
1.7.9 2001/83/EC指令の範囲に含まれる医薬品について、
1.7.10 バッチの製造に使用される全ての原料のTSE(
要件に従っていること。
1.7.11 全ての記録は適切な職員により完成され承認されること。
及びチェックが実施されたこと。
1.7.12 全ての製造及び試験工程はバリデートされた状態をたもっているこ
教育され、権限を与えられていること。
1.7.13 最終製品の品質管理(QC)試験データは、販売許可、または、
(Real Time Release Testing)
1.7.14 当局の市販後の製品の製造または試験に関するコミットメントに対
収集中の安定性データが、出荷許可を裏付けていること。
1.7.15 製品の製造や試験に対するいかなる変更の影響も評価され、
していること。
1.7.16 出荷許可された全てのバッチ(規格外や傾向外を含む)
裏付けるのに十分なレベルまで完了していること。
1.7.17 現在進行中のいかなる苦情、調査、回収も、
打ち消してはならない。
1.7.18 必要な技術契約が存在すること。
1.7.19 自己点検プログラムが、機能し、行われていること。
1.7.20 配送や出荷に関する適切な手配が行われていること。
1.7.21 EU連合内の市場のヒト用医薬品について、2001/83/
に付けられていること
1.8 EudraLex Volume4,Annex2の生物活性物質やヒト用医薬品、
製品には特定のガイダンスが適用される。
1.9 並行輸入や並行流通の場合、
管轄庁により承認されなければならない
1.9.1 再包装されたバッチの出荷許可に先立ち、
関するEUのルールに従っていることを確認しなければならない。
1.9.2 再包装された最終製品のバッチの出荷許可を任命されたMIA取得
再包装に関係する管轄庁とGMPに従って実施されていることを証
1.10 QPの出荷許可の記録
1.10.1 医薬品の出荷許可は記録簿または、
ならない。記録は各製造バッチが2001/83/EC指令、
ならない。記録は、業務の実施にあわせて最新の状態に保たれ、
た最低5年の期間中、
1.10.2 バッチが他の加盟国に入った時にさらなる管理をすることを免除さ
関する2001/83/EC指令または2001/82/
市場への出荷許可に関する同様のシステムに基づいた別の証明が、
■2.監査等第三者によるGMP評価への依存
いくつかの場合、QPは、
だろう。それは、
2.1 監査等第三者によるGMP評価への依存は、
に、GMPガイドライン7章に従っていなければならない。
2.2 特別の注意点は、監査報告の承認で確認されなければならない。
i. 監査報告は、
原薬製造、品質管理試験、
ii. 原薬や医薬品の製造及び品質管理がGMP、
2001/82/
iii. 外部委託活動の場合、
iv. QPは、
なければならない。QPは、
する全ての文書にアクセスできなければならない。
v. 製品品質に重要な影響のある外部委託活動は、EudraLex Volume4 PartIIIに記載された品質
リスクマネジメントの原則に従って定義されなければならない。
の出荷許可の前に製品品質に重要な影響を与える監査結果に気づく
vi. 品質リスクマネジメントの原則に従って繰り返し監査が実施されな
■3. 予期しない逸脱の取り扱い
もし、原薬、添加剤、包装材料、
またはGMPに記載された詳細から製造工程 及び/または分析管理手法に関して予期しない逸脱が
発生した場合、
を検討するだろう。逸脱は徹底的に調査され、
継続する製品の製造に関する変動を提出することを要求されるかも
3.1 逸脱の影響は、
リスクマネジメントの手順に従って評価されなければならない。
下記のことを含んでいなければならない。
i. バッチの品質、安全性、効能に対する逸脱の潜在的影響の評価と、
結論
ii. 実施中の安定性プログラムに影響を受けたバッチを含める必要があ
iii. バイオ医薬品の場合、承認された手順からの逸脱が安全性、
与えるかの検討
責任がバッチの製造や管理に関する2人以上のQPの間で分担され
バッチの出荷許可をするQPは、GMP及び/
気づき、考慮しなければならない。
■4. バッチの出荷許可
4.1 医薬品のバッチは、
なければならない。バッチの出荷が許可されるまで、バッチは、
関連する管轄庁に承認されたサイトへ隔離された状態で出荷されな
4.2 許可されていないバッチが販売可能倉庫に出荷されないことを保証
隔離、ラベル表示、
物理的に設けられなければならない。
場所に移動された場合、
4.3 販売可能倉庫への移動を行うサイトへのQPの許可を知らせるため
の中で定義されなければならに。
EudraLex Volume4 PartIの4章の要件に従っていなければならない。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
まとめ
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長い文章でげっそりされたかもしれませんが、
改訂版Annex16は品質リスクマネジメントを非常に意識した
それから、気になったのは、
5.4.2章、5.5.1章、5.6章、5.7章に、
Annex16では1.6章に簡潔にまとめられている点です。
なり、QPの責任が重くなったように思いましたが、
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
☆次回は、11/13(金)に配信させていただきます。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
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2015.10.15
【WHOの非公開情報共有の話題 等】ASTROM通信<84号>
~安全な医薬品の安定供給をご支援する~
こんにちは
ASTROM通信担当の橋本奈央子です。
まだ10月とはいえ、
いかがお過ごしでいらっしゃいますか?
さて、今回は、下記2つのテーマを取り上げたいと思います。
1)EC、EMA、WHOによる非公開情報の共有について
2)製薬業界向けデータセンター事業について
最後までお付き合いいただければ幸いです。
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EC、EMA、WHOによる非公開情報の共有について
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
欧州委員会(EC)と欧州医薬品庁(EMA)は、世界保健機構(
安全性、
共有を開始しました。非公開の情報には、欧州連合(EU)
だけでなく、照査中の情報や、
含まれます。
この協力は、各組織間のコミュニケーションを強化し、より容易、
公衆衛生を守るための行動をとることを可能にします。また、
の新しい革新的な薬にアクセスすることを早め、
承認を促進する等の効果が期待されます。
秘密厳守のもと、各組織は下記の情報を共有することになります。
・承認後の医薬品安全性監視データ
特に、定期的な安全性の報告から生じた懸念のあるデータ、
・科学的アドバイスの申請、希少薬の指示、
承認後の活動の情報 等
・査察、製造設備、臨床研究に関するデータや関連するレポート
出典:
http://www.ema.europa.eu/ema/
<コメント>
WHOといえば国連の専門機関ですが、今回の合意は、
との非公開情報の共有という点で少し気になりました。もちろん、
ありますがヨーロッパだけでなく、是非とも、
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
製薬業界向けデータセンター事業について
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
2015年9月25日付薬事日報に、
を一体化させた新しいクラウドサービス構想が掲載されていました
製薬業界におけるデータセンターの活用はなかなか進んでいないた
興味深く、本メールマガジンでも取り上げることにしました。
まず、データセンターとは、顧客のサーバを預かり、
運用サービスなどを提供する施設を意味します。
「インターネットデータセンター」(IDC)とも呼ばれ、
するサービスを「コロケーションサービス」とか「
自らが用意したサーバを顧客に貸し出すホスティングサービスを提
データセンターは耐震性に優れたビルに高速な通信回線を引き込ん
高度な空調設備を備え、
ティを確保しています。
監視するサービスや、
出典:
http://e-words.jp/w/%E3%83%87%
企業が自前でサーバを管理するとなると、
管理をしたりと、手間やコストがかかります。
そのため、一般的には、
なっています。しかし、製薬業界は、
薬事規制要件に対応することが難しいため、
のが実状です。
今回の大手IT企業による製薬業界向けデータセンター事業は、
・管理手順の説明資料や作業証跡の整備
・トラブル対応や信頼性保証業務求められる教育訓練文書の整備
・センター監査向けの自己点検シートの準備
・製薬企業の監査への対応
も含めたCSV対応サービスを提供するそうです。
<コメント>
これまで、
サービスが提供されるようになると安心してデータセンターを利用
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まとめ
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
1つ目の、EC、EMA、WHOによる非公開情報の共有の話題、
せっかく、PIC/SやICH等により、
ヨーロッパだけでなく、世界中で情報共有をしてほしいものです。
2つ目のデータセンターの話題は非常に興味深いものです。
データセンターの利用にもコストがかかりますが、
の場合、
いずれにしても、
センター活用が一気に進む可能性があります。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
☆次回は、10/30(金)に配信させていただきます。
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2015.10.01
【インド問題 & EU GMP Annex17諮問書発出】ASTROM通信<83号>
~安全な医薬品の安定供給をご支援する~
こんにちは
ASTROM通信担当の橋本奈央子です。
秋の気配がいよいよ濃くなってきましたが、
さて、今回は、下記2つのヨーロッパネタでいきます。
1)
2)9月15日に発出されたEU GMPガイドラインAnnex17(リアルタイムリリース試験)
ついて
リアルタイムリリース試験は、
保証する方法で、
普及していくと思われる興味深い話題です。
最後までお付き合いいただければ幸いです。
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インドの後発医薬品の販売禁止
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2015年1月に欧州医薬品庁(EMA)は、インドのGVK Biosciencesで臨床試験が実施され欧州連合
(EU)内で販売承認されている約700の後発医薬品について、
理由に、販売禁止(サスペンション)を勧告していました。
これを受けて本件の再調査を実施した結果、ヒト用医薬品委員会(
に勧告を採用し、ついに欧州委員会(EC)は、
拘束力をもったサスペンションの最終決定を下しました。
これらの医薬品の一部は、
残る可能性があります。
医薬品が患者にとって重要かの判断は、
会社は追加の臨床試験データを提出するために12ヶ月の猶予を与
EMA通知
http://www.ema.europa.eu/docs/
サスペンション対象医薬品のリスト
http://www.ema.europa.eu/docs/
2015年8月6日付フィナンシャル・タイムズによると、
製薬会社数社の輸入を禁止しているそうです。
インドの製薬産業は、この10年、
きましたが、数年前からその伸びが劇的に鈍っているそうです。
受けるかもしれません。
2015年8月6日付フィナンシャル・タイムズ
http://www.nikkei.com/article/
<コメント>
エコノミック・タイムズによると、インド政府は、
向上させ、PIC/S基準に合致させようとしているそうです。
は、品質に関する信頼を回復することは難しく、
ないでしょうか。
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EU GMPガイドラインAnnex17(リアルタイムリリース試験)
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2015年9月15日、
リリース試験改訂案の諮問書を発出し、
以下に、Annex17の概要をまとめます。
■変更の理由
前のガイドラインは、無菌試験の省略があらかじめ定められ、
されたことが証明できる場合、無菌試験を実施せずに、
パラメトリックリリースの適用、更に、プロセス解析工学(
(QbD:設計による品質の作り込み)
いた。
本ガイドラインは、ICH、Q8、Q9、Q10、
された情報、製品知識、
ステムに関する規制当局の期待を詳説している。
■施行期限
発行の6ヶ月後
1.原則
医薬品は承認された製品の規格に従わなければならない。そして、
一連のテストの実行により市場に出荷することができる。
製品の知識、工程の理解とコントロールに基づき、
2.適用範囲
本文書は、重要なパラメータや関連する原料の属性が、
に用いられるリアルタイム試験(RTRT)
このガイドラインの変更の主要な目的は、
なるタイプの最終製品においてもRTRTの適用を具体化すること
3.リアルタイムリリース試験(RTRT)
3.1 RTRTのもと、工程内のモニタリングと管理の組み合わせが、
繰り返しの試験を実施しなくてもバッチリリースの妥当性を示す十
工程の評価の期間中、
レベルは、
承認されたら、クオリファイドパーソンは、
ータに基づきバッチを保証することができる。
3.2 RTRT戦略を設計する際、以下の基準が最低限制定され、
れる。
i. 関連する工程内の原料の属性と工程パラメータのリアルタイムの測
と一致することを予測する正確な判断材料とならなければいけない
ii. 最終製品の属性の代わりとして、
合わせが、原料、
iii. 組み合わされた工程の測定(工程パラメータと原料属性)や、
収集されたいかなるテストデータも、
しなければならない。
3.3 医薬品の品質システムを通じて適切に統合され管理されたRTRT
ていなければいけない。
i. リスクアセスメントに関連する全工程の品質リスクアセスメント
ii. 変更管理プログラム
iiii. 管理戦略
ivi. 職員の教育プログラム
vi. 装置と設備の設計及び適格性評価プログラム
vii. 逸脱/CAPAシステム
viii. 工程開発及びバリデーションプログラム
viiii. 工程センサ/装置の不具合における危機管理手順
ixi. 継続的な製品の品質保証のためにRTRT計画の有効性を測定する
グラム。それは、
モニタリングプログラムを含む。
3.4 リスク評価では、
メータを確認しなければならない。
過去のデータの評価が必要になるが、
は、工程開発の間にリスク評価が実施されなければならない。
3.5 1章に述べられた原則やAnnex15に基づくなら、
ース計画の重要部分である。製品の製造や試験、または、
装置や工程に潜在的に影響のある全ての変更は、
より妥当性を示し、完全に文書化されなければならない。
損なわないことを示すために、
促されなければならない。
3.6 管理戦略は、工程のモニタだけでなく、管理状態を保持し、
製造されることを保証するように設計されなければならない。
管理、原料の属性、
ればならない。また管理戦略は、製品、処方、
管理戦略は、動的で、
ライフサイクルを通じて変わるだろう。
管理戦略ではサンプリング計画、合格/不合格の基準を記述し、
動作特性曲線(Operating Characteristic curve)または合格品質水準(AQL)と不合格品質水準
(UQL)を含めなければならない。
プリング場所、サンプリング頻度、
ことを保証しなければならない。
分布を考慮したリスクベースのサンプリング計画を実行するために
3.7 職員はRTRTの技術、原則、
職員は適切な経験と製品や工程への知識や理解を証明しなければな
のためには、
横断型の/
3.8 RTRT計画の重要な部分は、設備、システム、
デーションである。特に、適格性評価、バリデーション、
手法に注意を払うべきである。これらは、
ションがされなければならない。
3.9 いかなる逸脱や工程の不具合は徹底的に調査され、
異常な傾向は適切に追及されなければならない。工程センサ/
は有効でなければならない。
3.10 製品のライフサイクルを通して行われるデータ収集と分析による継
あり、
ツールの使用と共に、
どれくらい、または、もしかして、
これらのデータを科学的に評価しなければならない。
3.11 予想外の結果、または、
により、製品の実際のテストを実施するのはよくない。例えば、
情報の一部が利用できない場合、出荷が目的の最終テストは、
4.パラメトリックリリース
4.1 この章では、最終製品の無菌試験を求めるのではなく、
最終滅菌された製品のバッチリリースを定めたパラメトリックリリ
4.2 最終製品の無菌試験は、
の微生物の成長を刺激する培地を使うため、
の無菌試験は、
工程内管理から得られるデータや関連する滅菌パラメータのモニタ
は、
4.3 パラメトリックリリースは、局方の要求事項に従い、
射線を使って滅菌が行われる製品に適用される。
4.4 このアプローチを利用するために、製造業者は、
のある工程管理と工程の理解を示すための揺るぎない滅菌保証シス
い。GMP遵守の評価の際、可能であれば、
4.5 滅菌保証システムは、少なくとも、安定した滅菌サイクルの開発、
バーデンの管理、環境モニタリングプログラム、製品の滅菌計画、
性評価プログラム、変更管理プログラム、職員の教育、
な重要工程パラメータの確認とモニタリングを含んでいなければな
4.6 リスク評価は、パラメトリックリリースの要件に不可欠で、
無菌状態を達成するために、
い。もし、
が実施されなければならない。
評価には、過去のデータの評価を含めなければならない。
4.7 滅菌保証に適任で経験のある職員(エンジニア、
の現場にいなければならない。
危機管理、教育は、文書化されなければならない。
4.8 製品及びその包装は無菌用で、
なければならない。
4.9 滅菌保証に影響しうるいかなる変更提案も変更管理システムに記録
ラインAnnex15の要求に従って、
4.10 加工済品と未加工品や、
製品の分別保管計画が利用可能でなければならない。
4.11 事前滅菌製品のバイオバーデンモニタリングプログラムが、
支えるために開発されなければならない。
なければならい。滅菌前のサンプリング場所は、
ものでなければならない。
ある胞子形成細菌でないことが確認されなければならない。
ため、細心の検討がされなければならない。
4.12 製造環境や工程の設計は、
されていることを保証しなければならない。
-効率的な清掃、消毒、衛生化のための装置と設備の設計
-清掃、消毒、
-工程の定義とバルク流体及び充填容器の保持時間の限界
-可能であれば微生物の除去フィルターの使用
-職員の衛生、着衣、操作、
-原料及び中間体の微生物の特性の定義
4.13 水溶液であったり、
溶解のタイムラグ、製品の流体のろ過、滅菌は、
に定義されなければならない。
○滅菌工程
4.14 完全にバリデートされた湿式加熱、乾式加熱、
メトリックリリースを検討できる。
4.15 滅菌システムの設計が適切であることを保証するために、
は重要な活動である。ガンマ線照射装置を除き、
微生物学的特性の適格性評価を推奨する。
4.16 定期的な装置の再適格性評価と工程の再バリデーションはGMPガ
に従って実施されなければならない。
4.17 適切な滅菌モニタリング装置の使用はパラメトリックリリースの重
のバッチの滅菌について使用されなければならない。
校正は国家又は国際基準に沿っていなければいけない。
4.18 重要な操作パラメータが制定され定義されなければならない。
工程能力、校正の許容誤差限界、
4.19 滅菌設備の日常のモニタリングは、各滅菌サイクルにおいて、
バリデートされた状態や滅菌保証レベルが達成されていることを示
メータは、特に滅菌フェーズの間は、
4.20 管理戦略手順では、重要な操作パラメータに合わない不具合は、
明確にしなければならない。
4.21 滅菌サイクルの冷却段階では製品を微生物汚染のリスクにさらして
4.22 滅菌記録は全ての重要な工程パラメータを含んでいなければならな
とも2つの独立したシステムにより、
らのシステムは2人の人員或いはバリデーション済のコンピュータ
る。
4.23 規制当局により一度パラメトリックリリースが承認されたら、
は、承認された規格と、
変更、計画外及び所定の計画されたメンテナンス活動は、
承認されなければならない。
試験の合格によって覆してはならない。
原文
http://ec.europa.eu/health/
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まとめ
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1つ目の話題のインドの後発医薬品の販売禁止の件、
のウォーニングレターの内容を見る限り、
いる日本の製薬会社様は多いので、
ただ、ECの販売禁止の背景には、
絡んでいるようですので、そのあたりも踏まえて、
しょうか。
2つ目のEU GMPガイドラインAnnex17(リアルタイムリリース試験)
です。
工程内でモニタリングすべき重要パラメータを決定し、
あることを示す科学的エビデンスを用意するのは難しいと思います
が決定され、それが工程内でリアルタイムに測定・管理できれば、
も確かな品質保証が可能となり得、
どのようなパブリックコメントが、
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
☆次回は、10/15 (木)に配信させていただきます。
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