ASTROM通信バックナンバー

月別アーカイブ

2015.09.15

【厚労省発表、医薬品産業競争力強化総合戦略】ASTROM通信<82号>

 ~安全な医薬品の安定供給をご支援する~

こんにちは
ASTROM通信担当の橋本奈央子です。

朝夕日ごとに涼しくなってきましたが、いかがお過ごしでいらっしゃいますか?

さて、ここ最近のメールマガジンでは、ヨーロッパ、アメリカの規制動向を取り上げてきました
が、今回は、9月4日に厚生労働省が公表した医薬品産業競争力強化総合戦略について取り上げたい
と思います。

最後までお付き合いいただければ幸いです。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
医薬品産業競争力強化総合戦略の概要
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
今年の6月、「後発医薬品の数量シェア目標を2018年度から2020年度末までの間のなるべく早い
時期に80%以上とする」という閣議決定がされました。

これにより、後発医薬品メーカーには、今まで以上に後発医薬品の質と量の改善、先発医薬品
メーカーには、先発品の国内市場の縮小への対応が求められることとなりました。

厚生労働省は、後発医薬品80%時代に備えて、2015年8月24日に、医薬品産業の競争力を強化する
ための総合戦略を「革新的医薬品・医療機器創出のための官民対話」として発表し、更に2015年
9月4日に、戦略の全文「医薬品産業競争力強化総合戦略」を公表しました。

この「医薬品産業競争力強化総合戦略」には、
・「国民への良質な医薬品の安定供給」
・「医療費の効率化」
・「産業の競争力強化」
を実現するため、
・「イノベーションの推進」
・「質の高い効率的な医療の実現」
・「グローバルな視点での政策の再構築」
を基本理念とする医薬品産業の競争力強化に向けた緊急的・集中実施的な戦略が書かれています。

この中で気になった、「医薬品産業の将来像」と、「新バーコード表示の必須化」について、次の
章で取り上げていきます。

概要
http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10807000-Iseikyoku-Keizaika/0000096427.pdf
http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10807000-Iseikyoku-Keizaika/0000096428.pdf

詳細
http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10807000-Iseikyoku-Keizaika/0000096426.pdf


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
医薬品産業の将来像
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
厚生労働省は、医薬品産業競争力強化総合戦略の1つである「グローバルな視点での政策の再
構築」の中の「医薬品産業の将来像」において、後発医薬品80%時代にむけ、行政だけでなく
業界団体も検討すべきであるとしたうえで、下記の課題を挙げています。(一部抜粋)

・新薬メーカーに期待される役割は、グローバルに展開できる革新的新薬の創出であり、
  今後一定の期間、新薬の創出ができなかったメーカーについては、事業の転換等が迫られるの
 ではないか?

・新薬の開発には時間と費用がかかり、成功確率も低いため、資本力が必要である。
  日本の新薬メーカーは欧米メーカーに比べて規模が小さいため、今後は、M&A等による事業規模
 の拡大を視野に入れるべきではないか?

・後発医薬品メーカーは、数の多さと企業規模の小ささが指摘される。後発医薬品の使用の飛躍的
 加速が見込まれる中で、良質で安価な後発医薬品の安定供給のためには、企業規模がより大きな
 メーカーが誕生することが望ましいのではないか?

・後発医薬品80%時代の到来後、後発医薬品の市場拡大の余地は小さくなる。それを見越して、
 各メーカーは集約化・大型化を含め、そのあり方について検討することが必要ではないか?

<コメント>
国内製薬企業の再編は、これまでにも言われてきたことではありますが、今回課題として挙げら
れている「新薬が出せない新薬メーカーの事業転換」、「数が多く企業規模の小さい後発医薬品
メーカーの集約化・大型化」は、具体的かつ厳しい内容の話だと思います。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
新バーコード表示の必須化
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
厚生労働省は、医薬品産業競争力強化総合戦略の1つである「質の高い効率的な医療の実現」の
ために、後発医薬品の使用促進による流通量の増加を踏まえ、医薬品の元梱包装単位、販売包装
単位における製造番号・製造記号及び有効期限といった変動情報を盛り込んだ新バーコード表示
の必須化を検討しています。

具体的には、新バーコード表示の必須化に向けた工程表の策定、バーコード表のない後発医薬品
については薬価収載を認めないといった措置の検討が進められるようです。

<コメント>
現在、特定生物由来製品、生物由来製品以外の医療用医薬品の元梱包装単位、販売包装単位に、
製造番号・製造記号、有効期限を表示することは任意となっていますが、今後、変動情報も必須
表示項目となると、包装デザインの変更、印刷機の入替など、かなりインパクトがあると思われ
ます。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
まとめ
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
医薬品産業競争力強化のための課題として挙げられている「新薬が出せない新薬メーカーの事業
転換」、「数が多く企業規模の小さい後発医薬品メーカーの集約化・大型化」がはじまると、
製薬業界は大変なことになるのではないでしょうか。
特に中小の製薬会社様への影響は計り知れないものがあります。合併という選択肢もあるでしょう
が、単独で生き残るためには、価格・品質・供給能力において、自社独自の強みを持つことが
不可欠だと思います。

変動情報を盛り込んだ新バーコード表示の必須化もまた、非常にインパクトのある話だと思います。
最近ようやく任意情報の表示対応を終えたばかりの製薬会社様にとっては、げっそりされる話では
ないでしょうか。
しかし、ぎりぎりになって苦労しないためには、今から準備を進めていく必要があると思われます。

今回公表された「医薬品産業競争力強化総合戦略」には、上記の話題以外にも、気になる話題が
記載されています。
たとえば、「1つの成分(先発医薬品)に対し、30数品目など非常に多くの後発医薬品が薬価基準
に収載されることは、薬局等や医薬品卸売販売業者の在庫負担や安定供給への懸念になるので対応
策を検討する」といったことも書かれています。
今後の製薬業界の動向を予測するためにも、「医薬品産業競争力強化総合戦略」は、是非一度、
目を通されておくことをお勧めします。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

☆次回は、10/1 (木)に配信させていただきます。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

★弊社サービスのご案内
http://e-mktg.jp/~pros/_dm/cc.php?ccd=3.693.430

★ブログ毎日更新中!
◆ PROS.社長の滋養強壮ブログ
http://e-mktg.jp/~pros/_dm/cc.php?ccd=1.693.430
◆ 営業ウーマンの営業報告ブログ
http://e-mktg.jp/~pros/_dm/cc.php?ccd=2.693.430
※URLクリック数の統計をとらせていただいております。

本メルマガは、名刺交換させていただいた方に、毎月1日、15日(土日祝日に重なった場合
は前日)に配信いたしております。

今後このような情報が必要ない方は、お手数ですが、こちらに配信停止依頼のメールを
お願いいたします。
hashimoto@e-pros.co.jp

【発行責任者】
株式会社プロス
ASTROM通信』担当 橋本奈央子
info@e-pros.co.jp

2015.09.01

【最近のFDAウォーニングレター】ASTROM通信<81号>

 ~安全な医薬品の安定供給をご支援する~

こんにちは
ASTROM通信担当の橋本奈央子です。

厳しかった暑さもようやくおさまり、朝夕はかなり涼しくなってきましたが、いかがお過ごし
ですか?

さて、今回は、FDAの製造及び製品品質オフィスから最近発行された3通のウォーニングレター
(Warning Letter)について取り上げたいと思います。

最後までお付き合いいただければ幸いです。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
ウォーニングレター(1)
WL: 320-15-12 2015年7月13日 インドの製薬会社に対して(一部抜粋)
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
2014年5月19日~24日に行われたインドの製造所査察において、原薬の製造に関し、CGMPからの
重大な逸脱が確認され、2014年6月16日に提出された回答は是正措置が不十分であった。

1.作業が実施された時点で記録していない。また、オリジナルの記録を破棄している。
a.一部の作業者が、重要な製造データを記録するのに“大まかなメモ”(綴じられていない
    自由な紙)を使用し、バッチの製造記録に転記した後、オリジナルの記録を破棄した。
b.バッチの製造記録が、生産部長と技術部長により前の日付に遡って署名されていた。
  技術部長は、自身が不在であったので、別の人が照査をし、それに副署したと述べたが、
  照査を実施したという別の人の署名はなかった。
  技術部長が製造所に戻る前にバッチを出荷し、技術部長は、品質部門が照査した日に遡っ
  て署名を行った。
  貴社の回答は、CGMPデータの記録に“大まかなメモ”を使用したことを説明していない。
  同時に、日付を遡った記録があることは、全ての貴社のデータの完全性、真正性、信頼性や
  原薬の品質について、更なる懸念が生じさせる。

2.データへの無許可のアクセスや変更を防いでいない。また、データ削除を防ぐ適切な管理を
  行っていない。
  貴社の実験室のシステムは、削除や変更からローデータを守るアクセスコントロールが不足
  している。
a.ガスクロマトグラフィーの電子的ローデータを完全に保持しているという保証がない。
  FDA査察官は、モニタに「いかなるデータも削除禁止」と張り紙のあるワークステーション
  コンピュータに複数のコピーがあるのを見た。
b.従業員は、オペレーティングシステム、残留溶媒を追跡するデータ収集ソフト、水分含量の
  データに無許可でアクセスすることが許されていた。査察官は、オペレーティングシステムと
  データ収集ソフトにログインするパスワードがないことに気付いた
c.高速液体クロマトグラフィーとガスクロマトグラフィーのデータ収集ソフトに、変更前データ、
  変更者、変更日時の記録を含む監査証跡機能がなかった。

3.特別な操作やCGMPについての従業員の教育を行っていない。
a.インタビューの中で、複数の従業員が、製造作業に関するオンザジョブ・トレーニングを受け
  ていないと述べた。
b.最終原薬の中の残留溶媒を試験するガスクロマトグラフィー分析に関する訓練の記録がなかっ
  た。
c.“訓練プログラム”手順によれば、各訓練に関する指導者と訓練者の名前、評価シート等と
  一緒に訓練の報告が作られる。しかし、貴社は査察官に訓練報告を1つも提出できなかった。

このレターで挙げた例は重大なCGMPからの逸脱で、貴社の品質システムは、貴社で製造した医薬品
の安全性、効果、品質を裏付けるために、製造所で生成されたデータの正確性、完全性を適切に
保証していない。
我々は、貴社がCGMP要件に適合するのを助けるために、データの完全性の問題を見つける経験を
持った有能な第三者の監査人/コンサルタントを雇うことを強く勧める。

出典:
http://www.fda.gov/ICECI/EnforcementActions/WarningLetters/2015/ucm455345.htm


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
ウォーニングレター(2)
WL: 320-15-13 2015年7月23日 インドの製薬会社に対して(一部抜粋)
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
2014年2月24日~2014年3月1日に行われたインドの製造所査察において、最終医薬品や原薬のテスト
に関し、CGMPの重大な違反がみつかったことから、下記指摘を含むウォーニングレターが出ました。

1.テスト方法の精度、感度、特異度、再現性を確立し、文書化することを怠った。
  2009年4月と2011年9月の査察で、多くの製品試験に用いられる方法が検証/バリデーション
  されていなかった。最近の査察でも、その方法のバリデートが不十分で、最新の査察で挙げら
  れたいくつかの方法はまだバリデートされていなかった。さらに具体的に言うと、
a.2011年の査察で確認した14の分析方法のうち4つのみがバリデートされ、10の方法はバリデート
  されていないままだった。
b.バリデーション活動について、貴社が規定した標準操作手順(SOP)が守られていなかった。
  例えば、2013年2月18日付の“分析方法のバリデーション”SOPで、社内の全部署に摘要する
  ことになっていたロバスト性の試験が、実施されていなかった。

2.バッチやその成分の原因不明の不具合や異常について、バッチが既に配送されたかどうかに
  関わらず徹底的に調査するべきだが、その調査を怠った。
  貴社の文書化された手順は、異常、予期せぬ事象、トレンド異常を調査する必要性を十分書
  いていない。例えば、2014年2月3日に分析者はCHNOS分析において異常に気が付いた。
  分析者は分析を繰り返したが、研究所で事象がレビュされたことを示す文書や、貴社の顧客
  である製造会社に報告されたことを示す文書はなかった。貴社の回答では、貴社は、不適合
  の分析の連続について書いたSOPを準備していたし、この事象について調査したと述べた。
  しかし、この事象や類似の異常に関連していたかもしれない他の医薬品に調査を広げなかっ
  た。

また、HPLC/GC用バイアルや栓の再使用に関するバリデートされた手順を持っていなかった。
貴社の回答では、HPLC/GC用バイアルや栓の再使用を続けていないということだった。しかし、
この手順がすくなくとも1つのOut-of-Specificationの根本的原因として確認されたのだから、
貴社は、HPLC/GC用バイアルや栓の再使用の影響を評価するためのリスク評価を実施すべきである。

出典:
http://www.fda.gov/ICECI/EnforcementActions/WarningLetters/2015/ucm456535.htm


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
ウォーニングレター(3)
WL: 320-15-14 2015年8月6日 アメリカの製薬会社に対して(一部抜粋)
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
インドの3つの製造所査察(A製造所は2015年2月6日~13日、B製造所は2014年9月23日~10月3日、
C製造所は2014年8月1日~8日)において、最終医薬品に関し、CGMPの重大な違反を発見した。

A製造所
1.無菌医薬品の微生物汚染を防ぐため、無菌・滅菌工程のバリデーションを含む適切な文書化
  された手順の制定を怠った。
a.不完全な手袋が無菌工程の作業を実施する際に使用されていた。
  たとえば、無菌工程で使用される手袋に破れと小さい穴があった。
b.製造環境が無菌工程に適した状態に維持していることの保証が不足している。
  ・環境モニタリング
   たとえば、環境の制御上の問題を確認し、適切なフォローアップ活動を実施するために
   環境モニタリングデータを使用しなかった。微生物試験において、たびたび、環境制御が
   されていなレベルの結果が得られたが、貴社は傾向データを調査したり、適切なフォロー
   アップ活動を行なったりしなかった。
  ・人員モニタリング
   作業者の業務の不備は、貴社の製造人員のモニタリングプログラムに不備があることを示し
   ている。例えば、バッチ製造のビデオの中で作業者はアクセス制限エリア(RABS)に入り、
   手袋をした手を消毒することなくXXに接触した。この手袋は後で無菌接続等に使用された。
   さらに、貴社は、従業員がエリアを出るときにモニタしていないので、RABSに入った作業者
   が無菌環境に消毒なしで入ったかどうか判断する方法がない。
c.充填エリアで着用されている無菌用上着が不完全だった。我々は無菌ガウンに破れ、穴、
  ほつれを発見した。

2.成分、医薬品のコンテナ、栓、工程内の原料、ラベリング、及び医薬品が、同一性、濃度、
  品質、純度の適切な標準に従っていることを保証するためにデザインされた、科学的に妥当で
  適切な仕様書、標準、サンプリング計画、テスト手順を含む試験室の管理を怠った。
a.水のサンプル収集において“微生物学的物質に関する水のモニタリング”SOPに従っていなか
  った。査察中、定められた水のサンプリング場所でのサンプリングは行われていなかった。
  しかし、分析用ローデータのワークシートによれば、サンプリング場所での微生物試験は実施
  されていた。我々はこれらのサンプルが貴社の微生物担当者により収集されていないことを
  確認した。
b.貴社の環境モニタリングテストに使用される原料のせいで、貴社の環境モニタリングデータは
  信頼性がない。先に使用されていた培地が環境モニタリング用培地として使われた

3.無菌工程エリアでの環境状態をモニタリングする適切なシステムを構築していない。
a.無菌充填室内の環境モニタリングのサンプリングする場所に関し科学的論理的根拠がない。
  煙調査結果、作業者の数と位置、過去の危険箇所の評価における微生物のデータのような
  ファクタを含んでいない。
  例えば、培地が危険なエリアに適切に配置されていなかった。貴社の煙調査は、セットアップ
  中、充填で、RABSの前または後ろに空気が流れていることを示している。
  しかし、最近、関連する2ヵ所のサンプリングが廃止されていた。その結果、これらのリスク
  が増加する箇所がモニタされていない。
b.ISO 6の作業者がISO5にいることを確認した。

B製造所
1.無菌医薬品の微生物汚染を防ぐため、無菌・滅菌工程のバリデーションを含む適切な文書化
  された手順の制定を怠った。
a.培地充填のバッチ記録(MFBR)において、バイアルが、突き止められる原因なしに、“ジャム
  不合格品”または“その他不合格品”として識別されていた。
  培地充填作業において手順の不合格を除外する妥当性が不十分である。
b.滅菌原料を製造エリアや無菌充填室に移動するために用いられるエアフロー装置の煙調査が
  行われていない。また、従業員が無菌充填室を出入りする際に、一定方向のエアフローとエア
  品質が維持されていることを示す動的条件下での煙調査も行っていない。

2.無菌工程エリアでの環境状態をモニタリングする適切なシステムを構築していない。
a.環境モニタリングプログラムの一環としてロバストサンプリング計画を持っていない。
b.ISO 5とISO 7の環境内で、差圧をモニタリングする建物管理システムと、発塵をモニタリング
  する発塵モニタリングシステムが故障していた。
c.ISO 7エリアのグラム陰性汚染源を特定せず、適切な是正処置・予防処置の実施を怠った。

3.生産管理の記録またはその他の記録を権限のある人員だけが変更できることを保証するために
  コンピュータまたは関連システムの適切な管理の実施を怠った。
  建物管理システムと発塵モニタリングシステムはネットワークやサーバにアクセスするための
  パスワードを必要としない。貴社の請負業者のアクセス制限がない。システム管理者の責任が
  定義されていない。

C製造所
1.バッチやその成分の、仕様との原因不明の不一致や不具合について、バッチが既に配送された
  かどうかに関わらず徹底的に調査するべきだが、その調査を怠った
a.2012年、貴社は注射剤の変色に関する2件の苦情を受け取った。苦情品と保存ロットの試験の
  実施後、貴社は変色に気が付いた。3ロットは低値の分析で不合格だった。これらのロットは、
  高値の不純物の特定でも不合格だった。貴社の調査は不適切であった。
b.貴社は2013年2月16日に、副作用に関する苦情を受け取ったが、根本原因を特定するために
  調査を行わなかった。
c.貴社は2013年2月26日に製品が変色しているという苦情を受け取ったが、製品の変色の根本
  原因を調査しなかった。貴社は、変色の原因を特定し、含有率や不純物が規格内かどうかを
  判断するための品質特性の評価をしなかった。

2.無菌工程エリアでの環境状態をモニタリングする適切なシステムを構築していない。
a.付着菌収集のためのコンタクトプレートを製品の汚染リスクが最も高い場所に置かなかった。
b.2014年8月6日に、手袋の指の付着菌収集の際、微生物担当者は、指がサンプリングしたプレート
  表面に接触していることを保証することを怠った。

3.無菌医薬品の微生物汚染を防ぐため、無菌・滅菌工程のバリデーションを含む適切な文書化さ
  れた手順の制定を怠った。
a.分類されたエリアを出入りする作業者が、ゆっくりと慎重でない。作業が充填さ作業の間、
  お互いにぶつかるのをしばしば見た。
b.充填ラインで、充填中、その内部で作業をするためのバリアが、充填作業が完了しても開いた
  ままだった。バリアは、ラインのセットアップの間もセットアップ後、微生物のサンプリング
  をしている間も、作業者が手袋を変えるために去った後も、サンプリング者が部屋を去った後
  も開いていた。

出典:
http://www.fda.gov/ICECI/EnforcementActions/WarningLetters/2015/ucm458363.htm


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
まとめ
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
前々回のメールマガジンでウォーニングレターを取り上げた時にも、コンピュータ化システムへの
アクセス制限の管理や、微生物汚染の管理に関する指摘が目立ちましたが、今回も、アクセス制限
と微生物汚染防止、環境モニタリングに関する指摘が多かったように思います。
かなり具体的な指摘なので、是非、自社もしくは委託先の管理状況を確認する際に参考にしていた
だければと思います。

それから、1通目のWL: 320-15-12 で“作業が実施された時点で記録していない。また、オリジナル
の記録を破棄している。”という指摘は、決して他人事ではないように思います。
現場に指図書を持ち込めないので小さなメモ用紙を持ち込んでいるとか、記録がリアルタイムでつけ
られていないという話は、非常によく耳にします。
いかに作業実施時に記録を残していくかは、IoTの活用の検討も含め、今後解決していくべき課題で
はないでしょうか。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。
☆次回は、9/15 (火)に配信させていただきます。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

★弊社サービスのご案内
http://e-mktg.jp/~pros/_dm/cc.php?ccd=3.685.430

★ブログ毎日更新中!
◆ PROS.社長の滋養強壮ブログ
http://e-mktg.jp/~pros/_dm/cc.php?ccd=1.685.430
◆ 営業ウーマンの営業報告ブログ
http://e-mktg.jp/~pros/_dm/cc.php?ccd=2.685.430
※URLクリック数の統計をとらせていただいております。

本メルマガは、名刺交換させていただいた方に、毎月1日、15日(土日祝日に重なった場合
は前日)に配信いたしております。

今後このような情報が必要ない方は、お手数ですが、こちらに配信停止依頼のメールを
お願いいたします。
hashimoto@e-pros.co.jp

【発行責任者】
株式会社プロス
ASTROM通信』担当 橋本奈央子
info@e-pros.co.jp