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2014.05.30

【ついに日本のPIC/S加盟決定!】ASTROM通信<51号>

 ~安全な医薬品の安定供給をご支援する~

こんにちは
ASTROM通信担当の橋本奈央子です。

静岡県内の山間部ではホトトギスが鳴き始め、すっかり初夏らしくなってきました
が、いかが
お過ごしでいらっしゃいますか?

さて、既にご存知の方も多いと思いますが、2014年5月15日~16日にローマで開かれ
たPIC/Sの
総会で、ついに、日本が今年の7月1日からPIC/Sに加盟することが承認されました。

そこで、今回は、PIC/S加盟の話題と、同じ総会で導入が決定したPIC/S GDPガイドラ
インの話題、
最後に7月2日~4日まで開催されるインターフェックスジャパンの話題について取
上げたいと
思います。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
日本のPIC/S加盟決定
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
前述の通り、2014年5月15日~16日にローマで開かれたPIC/Sの総会で、日本が今年の
7月1日から
PIC/Sに加盟することが承認されました。
2012年3月9日に加盟申請をしたので、2年ちょっとで加盟承認を得られたことになり
ます。

2012年4月10日に加盟申請をした韓国も、日本同様、今年の7月1日からPIC/Sに加盟す
ることが
承認されました。

アメリカのFDAの場合、2005年に申請してから2011年1月1日に加盟するまで5年かかっ
たことを
考えると、日本も韓国も非常に短期間で承認が得られたといえます。

加盟承認を得られたということは、日本のGMP基準が国際的なレベルであると認めら
れたことに
なります。
もちろん、今までも、日本のレベルが低かったということはないと思いますが、公に
認められた
ということは意義深いのではないでしょうか。

また、2014年12月31日までにPIC/S GMP適合証明書がなければ、台湾への医薬品の輸
出ができなく
なるのではないかと懸念されていましたが、それが回避できるという点でも、加盟承
認は意義の
ある出来事だと思います。

PIC/S加盟により、今後(1)患者が安全な医薬品にアクセスしやすくなる(2)査
察リソース
が効率的に活用できる(3)日本の医薬品の海外輸出がしやすくなる等の効果が期待
できますが、
製薬会社様は、今まで以上に海外の規制動向に注意を払い、グローバルな視点を持つ
ことが必要に
なってくると思われます。

次の章で取り上げますPIC/S GDPガイドラインのような情報も、PIC/Sに加盟したから
には“自社
には無関係”と言ってはいられません。今まで以上に積極的に情報収集をしていく必
要が
あるでしょう。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
PIC/S GDPガイドラインについて
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
日本のPIC/S加盟が承認されたPIC/S総会の中で、GDP(Good Distribution
Practice)ガイド
ラインの導入が決まりました。
2014年6月1日に発効の予定です。

PIC/S GDPガイドラインは、GMPガイドライン同様、EU GDPガイドラインに基づいてい
ます。
但し、EU GDPガイドラインがEUにおいて法律上拘束力があるのに対し、PIC/S GDPガ
イドライン
はPIC/S加盟当局に対する法的拘束力のないガイダンス文書です。

PIC/S GDPガイドラインは、発効直前にPIC/Sウェブサイトに掲示される予定とのこと
で、現時点
では中味を見ることはできませんが、EU GDPガイドライン 及び そのQ&A集 は、
下記URLから
確認できます。

EU GDPガイドライン
http://eur-lex.europa.eu/LexUriServ/LexUriServ.do?uri=OJ:C:2013:343:0001:001
4:EN:PDF


EU GDPガイドラインQ&A集
http://ec.europa.eu/health/files/gdp/2014-04_qas_.pdf

ガイドライン 及び Q&A集 には、例えば下記のことが書かれています。
・卸売流通に関する品質システムの整備
・手順の文書化
・人員の教育
・施設・装置および設備の管理
・苦情、返品、偽造が疑われる薬、回収に関する適切な管理
・卸売流通業者は輸送中の破損、品質悪化、盗難から医薬品を守り、温度条件等を維
持すること
 を保証すること
・製薬会社による卸売流通業者の管理

製薬会社様はもちろんですが、卸売流通に関わる運送会社様は、是非一度、目を通し
ておくこと
をお勧めします。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
インターフェックスジャパンのご案内
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
今年も、弊社では、7月2日(水)~7月4日(金)に東京ビックサイトで開催される医薬
品・化粧品・
洗剤の研究開発・製造技術国際展『インターフェックスジャパン』に出展します。
ITソリューションゾーン【25-40】にて、生産管理システム、在庫管理システム
他、製薬会社様
向けITシステムをご紹介しております。

システムをお探しでない方でも、是非、弊社ブースにお立ち寄りいただき、メールマ
ガジンの
ご感想などお聞かせいただければ幸いです。
よろしくお願いいたします。

インターフェックスジャパンについて
http://www.interphex.jp/


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
まとめ
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
ついに、日本のPIC/S加盟が認められました。
しかし、必ずしも全ての製薬会社様に、PIC/S GMPガイドライン、特に、リスクベー
スドアプ
ローチの考え方が浸透してはいないように思います。
PIC/S GMPガイドラインとの整合性を図るために2013年8月30日に発出されたGMP施行
通知改訂版、
2013年12月19日にGMP事例集2013年版を、今一度チェックしておく必要があるのでは
ないでしょう
か。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。
☆次回は、6/13(金)に配信させていただきます。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

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【発行責任者】
株式会社プロス
『ASTROM通信』担当 橋本奈央子
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2014.05.15

【最近のFDAワーニングレター】ASTROM通信<50号>

 ~安全な医薬品の安定供給をご支援する~

こんにちは
ASTROM通信担当の橋本奈央子です。

ゴールデンウィークも終わり、だんだん暑くなってきましたが、いかがお過ごしでいらっしゃ
いますか?

さて今回は、2014年にCDER(FDA医薬品評価センター)の製造及び製品品質オフィスから
発行されたワーニングレターについて、見ていきます。

出典http://www.fda.gov/Drugs/GuidanceComplianceRegulatoryInformation/EnforcementActivitiesbyFDA/WarningLettersandNoticeofViolationLetterstoPharmaceuticalCompanies/ucm380323.htm#DMPQ

FDA査察官が指摘した内容を確認することで、我々の品質レベルの向上につなげていければと
思います。

※文中のXXは、ワーニングレターの中でマスキングされている文言です。


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2014年1月31日付 ワーニングレター(320-14-002 )
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■香港の製造所について
1.原薬に関する記録保持の不履行
・23ロットの記録が、バッチ番号、製造日付、有効期限日またはリテスト日付を含んでいな
 かった。
・メーカ元確認、住所、バッチ番号、購買、受入、輸送、流通、分析証明書を含むメーカの
 記録に関し、一貫性のない記録の保管手法がみつかった。
受入れたり販売したりした原薬を識別し追跡するのに十分な在庫記録を含んでいなかった。
 例えば、ある記録は、納品書番号を含んでいなかった。
これらの作業の責任を負う人員あるいは作業部署が特定されていなかった。

2.原薬メーカから受け取った品質情報または規制情報の顧客への伝達不履行
・貴社の分析証明書には、メーカや実際の試験設備の確認がかけていた。
 更に、バッチまたはロット番号、実験室のテスト情報、有効期限日またはリテスト日付、
 その他関連情報を含んでいなかった。

3.原薬の再梱包や再ラベル付けの管理、取り違えや紛失を防ぐための保管作業の不履行
・分類されていない原薬を、不適切なラベルのついたトート容器の中で保管する手順は、
 原薬の取り違えを招く。
・返品された原薬を、明確な分離や識別をせずに、入荷した原薬と同じ棚に保管した。

4.CGMP文書や手順をレビュ、承認したり、製品品質を保証したりする品質部署の設置不履行
・査察の間、貴社は、品質部署を設置していないと言い、品質部署の役割と責任について述べた
 文書を提供しなかった。また、品質活動に関する文書化された手順を持っていなかった。

■米国アリゾナ州の製造所について
1.適切なCGMP管理下での原薬の再ラベル付け及び保管の不履行
・XX(賦形剤)と表示された容器はXXを含んでいなかった
 FDAの容器の中味のテストでは、異なる成分を確認した。

2.原薬の完全な記録保管の不履行
・貴社は、原薬を保証するための品質システムを実行しなかった。
 具体的には、貴社は、メーカ元確認、住所、分析証明書、成分に関する重要情報等を含む、
 保管すべき基本的文書の提供を怠った。加えて、貴社の分析証明書には、メーカの名前、
 住所、電話番号、権限を持った品質部署の人員の承認が欠けていた。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
2014年2月6日付 ワーニングレター(320-14-003 )
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
インドの製造所について
1.実験室管理で求められた方法の不履行と文書記録の不作成
実験室の分析者がサンプルの秤量時に平衡重錘を記録しなかった。
 具体的には、計算で使用されるサンプル重量は、クロマトグラフィーの実行の後に作成
 された。
 分析者は、実際の分析から得た生データとして表記されたサンプル重量が、分析の後に出力
 した、日付をごまかした重量であり、実験ノート用に生成されたものだったことを認めた。

2.権限を与えられた人員だけがマスタや制御記録を変更できることを保証するための
コンピュータ・関連システムの適正管理の不履行
・貴社は、品質管理部門の実験室内のコンピュータ化システムの使用に関する適切な手順の制定
 を怠った。我々の査察チームは、実験室のコンピュータユーザが、分析結果からデータを削除
 できることを発見した。
 特にガスクロマトグラフとX線解析システムの監査証跡機能は、査察時に無効だった。
 そのため、貴社は、実験室データの取得または変更に関する記録を欠いている。
 さらに、XX人以上の品質管理部門の実験室の人員がXX個の高速液体クロマトグラフィーの
 ログインIDを共同使用していた。
 加えて、実験室のスタップが1つのX線解析システムログインIDを共同使用していた。
 分析者もまた、ガスクロマトグラフのワークステーションのウインドウズOSのユーザ名と
 パスワードを共同使用し、OSへの不正アクセスを防ぐためのコンピュータロック機能が設定
 されていなかった。
 更に、ガスクロマトグラフのスタンドアロンワークステーションのデータのバックアップと
 保護の手順がなかった。
 貴社は、定期的なデータのバックアップを行っていると述べたが、バックアップデータに
 全てのオリジナルデータが含まれている保証がない。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
2014年2月6日付 ワーニングレター(320-14-004 )
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
インドの製造所について
1.規格に適合することを保証するための原薬の実験室試験の実施と、分析証明書上での
正確な結果報告の不履行
・貴社は、3つの原薬バッチに関し試験を実施せずに、分析証明書上に微生物限度試験結果
 を報告した。品質部署は、出荷規格を満たすことを裏付けるデータがないにも関わらず、
 これらの原薬バッチの出荷を承認した。分析証明書では、微生物限度試験が規格に適合
 しているとあったが、査察では、テストが行われていないことを発見した。
 複数の人員が分析証明書で報告されている微生物限度試験を実施していなかったことを
 確認した。

2.定められた規格や基準に従っていることを保証するための実験室試験から得られる完全な
データの保管の不履行
・貴社は、元素分析試験に使用される原子吸光分光光度計から生データが削除されるのを防ぐ
 ことを怠った。具体的には、査察において、実験室の分析者が、原子吸光分光光度計の
 生データを削除したり上書きしたりするためにアクセスしたことがわかった。この器具に、
 権限のない者のデータファイルまたはフォルダへのアクセス、変更、削除を防ぐ十分な
 制限装置がなかった。
 このことは、原子吸光分光光度計のハードドライブには38の生データしか見つからなか
 ったが、分析者は原子吸光分光光度計が400以上の分析に使用されていたと述べたことにも
 関係がある。

3.原薬の品質を変えうる材料の汚染を防ぐために、設備が、再現可能かつ有効な方法で洗浄
されたことを保証出来ないこと
・貴社は、非専用設備が使用後に十分に洗浄されたことを保証できなかった。
 具体的には、5日以上にわたって実施した3回の設備の現状確認の間、設備に”クリーン”
 ラベルが貼られているにも関わらず、残留物が内部に残っていることを確認した。これは、
 この設備で製造された原薬に交差汚染の可能性があることを示す。さらに、貴社は、非専用
 設備において、適切な洗浄バリデーションの調査を実施することを怠った。

4.原薬が事前に承認された指図に従って製造され、バッチの製造記録は、各バッチの製造に
関わる完全な情報を含むことを保証できないこと
・貴社は何度も計算を誤り、正しくない量の出発原料を使用した。査察において、XXの製造に
 使われる出発原料の割合を正しく計算していないことがわかった。貴社の処方マスタは、
 原料の割合を指定しているが、バッチ製造記録には、バッチサイズにあった出発原料の量を
 適切に調整するための計算が記載されていない。
・貴社は、重要な手順またはオペレーションを行った製造担当者のサインのないバッチ製造
 記録を使って原薬を出荷した。
・貴社は欠落情報を含む製造記録を持つ原薬を出荷した。例えば、pHは設備が清潔であること
 を保証するための要件であるのにも関わらず、洗浄報告のすすぎpH欄に、”無”と書かれて
 いることを査察の中で発見した。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
2014年3月6日付 ワーニングレター(320-14-005 )
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
インドの製造所について
1.貴社の原薬の規格や基準を確立するための適合性確立過程における、完全かつ正確な
実験室データの保管の不履行
スタンドアロンの高速液体クロマトグラフィーの監査証跡でみつかった削除の記録について、
 説明の記録がなかった。
 貴社のSOPには、電子の生データの保持のための指示を含んでいなかった。
・実験室試験データは、高速液体クロマトグラフィーの分析に使用された統合パラメーター
 記録を含んでいなかった。
・原薬について用いられたテスト方法の妥当性確認/検証活動を立証するには不完全な
 生データが存在していた。
・出荷及び安定性試験に先立ち、高速液体クロマトグラフィー分析において、トライアル注入
 を実施していることを確認したが、トライアルの準備と注入の実施を正当化する根拠は
 なかった。
・作業を行ったとして各記録にサインをした人物は、その日仕事をしていなかったので、
 キャリブレーション及び媒体準備の記録に信憑性がないことを確認した。

2.現在販売されている原薬に関する製造及び制御記録の保持及び記録のレビュへの利用が
できないこと
・EDQM(European Directorate for the Quality of Medicines)の査察で、規格外の原薬の
 バッチを他の原薬のバッチに混ぜていることを発見した。品質保証及び薬事規制の長は、
 我々の査察官に対して、関連する記録は破棄されたと説明した。しかし、貴社の文書の回答
 には、査察中に誤った伝達があり、実際には、これらの記録は破壊されていないとあった。

3.重大な逸脱や、規格または品質基準に不適合なバッチに関する不適切な調査

上記以外の不備
・我々の査察官は、薬剤師が、二重のログブック(全体的な内部記録)を作成するために
 任命されたことを発見した。ログブックの原本を差替える理由が書かれた記録はなかった。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
2014年2月6日付 ワーニングレター(320-14-006 )
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
アイルランドの製造所について
1.重大な逸脱に関する完全な調査の不履行
・貴社はXXを作るために使用されたXXが、原薬、中間体、溶媒を保管できる医薬品廃棄タンク
 の原料によって汚染されたことを発見した。
 貴社は、2012年1月この汚染に気づき、2013年4月19日に汚染された溶媒を使って製造
 されたXXの品質への影響を判断するため、リスク評価を行った。重大な逸脱に気づいた後、
 汚染の可能性があるXXバッチのXXを販売した。その一方、汚染されたXXと一緒に作られた
 XXバッチは不合格とされた。

2.試験で規格外となったものの調査と記録の不履行
・貴社は2011年9月と2011年10月に、ガスクロマトグラフィー法を用いて、あるタンクの
 溶媒の汚染の可能性について試験した。両サンプルのクロマトグラムは、他の汚染の場合
 と同様に大きなピークを示した。これらのピークは、タンクが医薬品の廃棄物で汚染された
 ことを示していたはずだが、実験室の人員は、これらのピークを無視し、何が原因かの調査
 を実施しなかった。その結果、2012年1月の3回目のサンプルをテストまで汚染に気づかな
 かった。

3.貴社の製造工程が、再生可能な方法で、予め定義した品質特性を満たす原薬を製造できると
示せなかったこと
・貴社のバリデーション手順では、最低でも3つの連続する予め指定した工程のPQ用バッチを、
 初期のプロセスバリデーションの実地説明のために、製造すると宣言している。しかし、
 貴社は、3つの連続する合格バッチを製造することができなかった。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
まとめ
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
いかがでしたでしょうか。
ワーニングレターの中には、コンピュータ化システムに関する指摘がいくつかありました。
・アクセス制限が設定できない
・ログインIDを共同使用している
・監査証跡がとられていない
・監査証跡には削除の記録が残っているが、削除の理由が残っていない
・バックアップデータが保護されていない

このうちのいくつかは、皆様がお使いのコンピュータ化システムにも当てはまると思います
当然、今お使いのシステムの機能では対応しきれないこともあるはずです
例えば、アクセス制限が設定できないシステムをお使いの場合。対応は無理と諦めず、まずは
どなたが何時から何時までシステムを使用したかを手書きの記録で残す等の対策を講じておく
ことをお勧めします。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。
☆次回は、5/30(金)に配信させていただきます。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

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ASTROM通信』担当 橋本奈央子
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2014.05.01

【EU GMPガイドラインPart1第6章の改訂について】ASTROM通信<49号>

 ~安全な医薬品の安定供給をご支援する~

こんにちは
ASTROM通信担当の橋本奈央子です。

ゴールデンウィークの真只中ですが、いかがお過ごしでいらっしゃいますか?

さて今回は、2014年3月28日発出され、2014年10月1日から施行されるEU GMPガイドライン
Part1の第6章「品質管理」改訂版について取り上げたいと思います。

ご存知の通り、EU GMPガイドラインは、日本で活用されているPIC/S GMPガイドラインに
先立って改訂されるケースが多いため、今回、EU GMPガイドラインの改訂版が出たという
ことは、近々PIC/S GMPガイドラインにも同様の改訂が発生することが予想されます
今後のPIC/S GMPガイドラインの動向を把握するうえで、今回のEU GMPガイドラインの改訂
内容を確認していただければと思います。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
EU GMPガイドライン Part1 第6章「品質管理」改訂について
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
冒頭にも述べましたが、EU GMPガイドラインPart1の第6章「品質管理」改訂版が発出され
ました。
改訂の理由は、“試験方法の技術移転”という章の追加や、規格外に関する項目の追加等に
よるもので、本改訂版は2014年10月1日から施行されます。

原文:
http://ec.europa.eu/health/files/eudralex/vol-4/2014-03_gmp_chapter_6.pdf


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
EU GMPガイドラインの変更箇所について
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
それでは、ここから、今回の改訂箇所について見ていきたいと思います。
文中の『』内が、改訂もしくは追加された記述です。
一部の文言が変更・追加された箇所は省略していますので、予めご承知おきくただい。

6.5章
管理試験室の構造設備に関する記述に、下記の文章が追加されました。
『実験装置は、交差汚染を回避するために、リスクの高いエリア間で日常的に移動される
べきではない。特に、微生物学の研究所は交差汚染の危険を最小化するようにしなければ
ならない。』

6.7章
品質管理部門で速やかに利用可能であるべき項目として、規格、サンプリングやテストの
手順、機器の校正及び装置の保守 等に加えて、下記の項目が追加されました。
『・規格外またはトレンド外の結果に関する調査の手順』

6.12章
サンプリングについて、下記文言が追加されました。
『採用するサンプリング計画は、適切に正当化され、リスクベースドアプローチに基づく
べきである。』
原料・製品のサンプリングは、機械的に一定数を採取すればいいのではなく、リスクに応じ
て抜き取ること、また、その抜取方法の根拠が説明できなければいけないということです。

6.13章
サンプル容器に貼るラベルについて、下記文言が追加されました。
『取り違えのリスクを最小化し、不適格な貯蔵条件からサンプルを保護する方法で管理され
るべきである。』

6.15章
試験方法のバリデーションを実施しなければならないという文書の後に、次の文章が追加
されました。
バリデーションを行っていない試験方法を使用している試験室は、試験方法の適切さを
確認するべきである。』

6.20章(追加)
『標準品は、それらの用途にあうように定められなければならない。
それらの適格性評価や証明書は、明確に示され、文書化されていなければならない。
公に認められたところから得た標準品が存在する場合は、その妥当性を示されていなくても、
第一の標準品として使用されることが好ましい。(第二の標準品の使用は、第一の標準品と
のトレーサビリティが示され、文書化されたら、許可される。)
国の所轄官庁により認められない限り、これらの標準品は、研究論文内に書かれた目的の
ために使用されなければならない。』

6.23章(追加)
『科学的な正当性が示されない限り、培地は、培地製造者の要求に従って準備されなければ
ならない。全ての培地の能力は使用前に評価されなければならない。』

6.24章(追加)
『使用された微生物培地および株は、標準手順によって浄化され、残留物の交差汚染および
滞留を防ぐ方法で処分されなければならない。
微生物培地の使用中の保存可能期間は確立され、文書化され、科学的に正当化されるべきで
ある。』

6.25章(追加)
『テストに使用する動物、材料または製品は、使用前、適切な場所に隔離されるべきである。
それらは、意図した通りの使用にあうことを保証するための方法で保管され管理されなければ
ならない。それらは、識別され、使用の履歴を示す適切な記録が保持されなければならない。』

試験方法の技術移転(追加)
6.37章(追加)
『試験方法を移転する前に、移転するサイトは、試験方法が医薬品販売承認や、関連する
技術書類に書かれた方法に従っているかを検証しなければならない
試験方法に関してはじめに実施したバリデーションが、現在のICH/VICHに従っていることを
保証するために精査されなければならない。技術移転作業の開始に先立って、ギャップ分析が
実施され、実施すべき全ての補足的なバリデーションを確認するために文書化されなければ
ならない。』
 ICH:日米EU医薬品規制調和国際会議
 VICH:動物用医薬品の承認審査資料の調和に関する国際協力会議

6.38章(追加)
『ある試験室(移動元試験室)から別の試験室(移動先試験室)への試験方法の移転は、詳細な
手順書に記載されるべきである。』

6.39章(追加)
『移転される手順書には、以下のことが記載されていなければならない。但し記載内容は
下記に限定されない。
i.      実施される試験と、移転中に実施される関連試験の確認
ii.     追加のトレーニング条件の確認
iii.    テストされる標準品及びサンプル品の確認
iv.     試験品の特別な輸送条件及び保管条件の確認
v.      方法論及びICH/VICHの要件に関する現在のバリデーション結果に基づく合否基準』

6.40章(追加)
手順書からの逸脱は、技術移転作業の終了前に調査されなければならない。技術移転報告は
作業の相対的な結果を文書化し、可能な場合は、試験方法の更なる再バリデーションが必要
なエリアを特定しなければならない。

6.41章(追加)
場合によっては、特定の試験方法(例:近赤外分光法)の移転のために、他のヨーロッパの
ガイドラインに書かれた特別な要件に対処しなければならない。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
まとめ
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
今回の改訂は、大改訂というほどのものではありません。
但し、本改訂により、これまで、特に文書化していなかった手順や、採用する根拠を明確に
していなかった試験方法もしくはサンプリング方法を明確にしていく必要が出てきました。

今回のEU GMPガイドラインの改訂に限らず、昨今、リスクに応じた管理や、手順の文書化を
求める動向が顕著です。

”今までやってきた方法で問題なかったのだから、これからもこの方法を続けていけば問題
ない”と考えてしまうと、今後の規制の変化に対応できなくなるでしょう。
試験方法に限らず、作業の中で”これって、何でこういう方法でやっているんだっけ?”と
いうようなものがあれば、この機会に、手順書の有無の確認、実施の根拠等を見直すのも
よいのではないでしょうか。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。
☆次回は、5/15(木)に配信させていただきます。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

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